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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183947
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】時間インジケータ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/36 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B65D47/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091506
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】山科 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】田端 真一
(72)【発明者】
【氏名】菅根 康二
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB01
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB02
3E084HC03
3E084HD03
3E084JA05
3E084JA20
3E084KA15
3E084LA01
3E084LA17
3E084LB01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】容器開封後の経過時間を簡単な操作で認識することが可能な時間インジケータ付き容器を提供することである。
【解決手段】容器本体10と、キャップ20と、除去リング25と、内部にインク33を収納した袋状に形成されたインク収納部31と、内部に被浸食体34を収納するとともに周方向に延びる袋状に形成され、一端においてインク収納部31に破断可能な隔壁35を介して連なる経過時間表示部32と、を備えた時間インジケータ30と、を有し、除去リング25が除去された状態でキャップ20が口部11に装着されると、上端面11aと天壁21との間でインク収納部31が押圧されて隔壁35が破断し、インク33が経過時間表示部32に移動して、時間の経過とともに被浸食体34が一端から他端に向けて徐々に変色するように構成されていることを特徴とする、時間インジケータ付き容器1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口部を備えた容器本体と、
前記口部の上端面に対向する天壁と、前記口部の外周面を覆う周壁とを備え、前記口部に着脱自在に装着されるキャップと、
前記周壁に連結して設けられ、前記キャップが前記口部から取り外されて前記容器本体が開封される際に前記口部から除去される除去リングと、
内部に視認可能に着色されたインクを収納した袋状に形成され、前記口部の上端面と前記天壁との間に配置されたインク収納部と、内部に前記インクが時間とともに徐々に浸食することで変色する被浸食体を収納するとともに前記口部の上端面に沿って周方向に延びる袋状に形成され、一端において前記インク収納部に破断可能な隔壁を介して連なる経過時間表示部と、を備えた時間インジケータと、を有し、
前記除去リングが除去された状態で前記キャップが前記口部に装着されると、前記上端面と前記天壁との間で前記インク収納部が押圧されて前記隔壁が破断し、前記インク収納部に収納されているインクが前記経過時間表示部に移動して、時間の経過とともに前記被浸食体が一端から他端に向けて徐々に変色するように構成されていることを特徴とする、時間インジケータ付き容器。
【請求項2】
前記天壁の下面に、前記口部の内周面に当接する筒状のインナーシールが一体に設けられ、
前記インナーシールの外周面に沿って前記時間インジケータが配置されている、請求項1に記載の時間インジケータ付き容器。
【請求項3】
前記キャップが、透明または半透明である、請求項1または2に記載の時間インジケータ付き容器。
【請求項4】
前記天壁の、前記時間インジケータに対向する部分が、他の部分よりも薄肉に形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の時間インジケータ付き容器。
【請求項5】
前記天壁の、前記時間インジケータと対向する部分に、前記経過時間表示部に沿って延びる貫通孔が設けられている、請求項1~4の何れか1項に記載の時間インジケータ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封後の経過時間を表示する時間インジケータ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や食料品などの商品には、通常、使用期限や消費期限が定められている。使用期限や消費期限が過ぎた商品は劣化により効力の低下等の問題が生じる虞があるので、これらの商品を収納する容器には、通常、当該使用期限や消費期限が表示される。
【0003】
しかし、容器に表示される使用期限や消費期限は未開封状態での期限であるのが一般的であり、未開封状態よりも劣化が早まる開封後における使用期限や消費期限については、開封時を基点として期限をカウントする必要があるため、単に、「開封後〇日以内にご使用ください」などと表示されることが多く、具体的な期限(〇年〇月〇日まで)を管理することは困難である。
【0004】
そこで、容器に時間インジケータを取り付けておき、容器を開封したときに、時間インジケータに設けられた第1リザーバを指で押し潰すことで、当該第1リザーバに収納されている液体を第2リザーバに移動させ、第2リザーバに収納されている移行媒体を時間の経過に応じて液体によって変色させていくことで、容器開封後の経過時間を目視で確認することができるようにしたものが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4409939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の時間インジケータは、使用者が指などで第1リザーバを押し潰すことで経過時間のカウントが開始される構成であるので、容器を開封したときに当該押し潰し作業を忘れずに行う必要があり、この点で取り扱いが煩雑であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、容器開封後の経過時間を簡単な操作で認識することが可能な時間インジケータ付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の時間インジケータ付き容器は、筒状の口部を備えた容器本体と、前記口部の上端面に対向する天壁と、前記口部の外周面を覆う周壁とを備え、前記口部に着脱自在に装着されるキャップと、前記周壁に連結して設けられ、前記キャップが前記口部から取り外されて前記容器本体が開封される際に前記口部から除去される除去リングと、内部に視認可能に着色されたインクを収納した袋状に形成され、前記口部の上端面と前記天壁との間に配置されたインク収納部と、内部に前記インクが時間とともに徐々に浸食することで変色する被浸食体を収納するとともに前記口部の上端面に沿って周方向に延びる袋状に形成され、一端において前記インク収納部に破断可能な隔壁を介して連なる経過時間表示部と、を備えた時間インジケータと、を有し、前記除去リングが除去された状態で前記キャップが前記口部に装着されると、前記上端面と前記天壁との間で前記インク収納部が押圧されて前記隔壁が破断し、前記インク収納部に収納されているインクが前記経過時間表示部に移動して、時間の経過とともに前記被浸食体が一端から他端に向けて徐々に変色するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の時間インジケータ付き容器は、上記構成において、前記天壁の下面に、前記口部の内周面に当接する筒状のインナーシールが一体に設けられ、前記インナーシールの外周面に沿って前記時間インジケータが配置されているのが好ましい。
【0010】
本発明の時間インジケータ付き容器は、上記構成において、前記キャップが、透明または半透明であるのが好ましい。
【0011】
本発明の時間インジケータ付き容器は、上記構成において、前記天壁の、前記時間インジケータに対向する部分が、他の部分よりも薄肉に形成されているのが好ましい。
【0012】
本発明の時間インジケータ付き容器は、上記構成において、前記天壁の、前記時間インジケータと対向する部分に、前記経過時間表示部に沿って延びる貫通孔が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器開封後の経過時間を簡単な操作で認識することが可能な時間インジケータ付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る時間インジケータ付き容器の正面図である。
図2図1に示す時間インジケータ付き容器の、要部の拡大半断面図である。
図3図1に示す時間インジケータ付き容器の、キャップの部分の平面図である。
図4図1に示す時間インジケータ付き容器の、キャップの部分の側面図である。
図5図1に示す時間インジケータ付き容器の、キャップを取り外して容器本体を開封した状態の拡大半断面図である。
図6図1に示す時間インジケータ付き容器の、開封後にキャップを口部に再度装着した状態における拡大半断面図である。
図7図1に示す時間インジケータ付き容器の、開封後にキャップを口部に再度装着した後におけるキャップの部分の平面図である。
図8】変形例に係る時間インジケータ付き容器の、要部の拡大半断面図である。
図9】他の変形例に係る時間インジケータ付き容器の、要部の拡大半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係る時間インジケータ付き容器1について詳細に例示説明する。
【0016】
なお、特許請求の範囲及び本明細書においては、「上」及び「下」は、図1に示すように時間インジケータ付き容器1を正立姿勢で配置した状態における「上」及び「下」を意味するものとする。
【0017】
図1に示す時間インジケータ付き容器1は、例えば化粧品や食料品などの、使用期限や消費期限が定められているものを内容物として収納する用途に用いられるものであり、容器本体10とキャップ20とを備えている。
【0018】
図2に示すように、容器本体10は、軸線Oを中心とした円筒状の口部11を備えている。口部11の下端には、口部11の外周面から軸線Oを中心とした径方向外側に向けて突出するフランジ状のネックリング12が口部11の全周に亘って一体に設けられている。ネックリング12の下方側は胴部13となっており、胴部13の内部は内容物の収納空間となっている。口部11のネックリング12よりも上方側における外周面には、雄ねじ14が一体に設けられている。また、口部11の雄ねじ14とネックリング12との間における外周面には、フランジ状の係合部15が一体に設けられている。
【0019】
容器本体10は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製のブロー成形品とすることができるが、合成樹脂製の射出成型品としてもよく、ガラスなどの他の材料で形成されたものとしてもよい。
【0020】
図2図3に示すように、キャップ20は、口部11の上端面11aに対向する円板状の天壁21と、口部11の外周面を覆う円筒状の周壁22とを備えている。周壁22の内周面には、雌ねじ23が一体に設けられている。キャップ20は、雌ねじ23が雄ねじ14にねじ結合することにより、口部11にねじ結合により着脱自在に装着されている。
【0021】
キャップ20は合成樹脂製とすることができる。本実施の形態では、キャップ20は、透明または半透明の合成樹脂製となっている。
【0022】
キャップ20の周壁22の下端には、弱化部24を介して除去リング25が一体に連結して設けられている。除去リング25は、周壁22の下端に沿って周方向に延びるとともに、図4に示すように、周方向の両端部が互いに離間している。また、図2に示すように、除去リング25は、その下端部の内周面に、斜め上方に向けて延びるストッパ片25aを一体に備えている。除去リング25は、ストッパ片25aが係合部15に係止されることにより、口部11に対する上方への移動が規制されている。
【0023】
弱化部24は、周壁22及び除去リング25よりも薄肉に形成されており、容易に破断することができる。なお、弱化部24は、周方向に間隔を空けて並ぶ複数の連結片で構成されたものとすることもできる。
【0024】
したがって、キャップ20を口部11に対してねじ結合を緩める方向に回転させて口部11から取り外すと、図5に示すように、その際に弱化部24が破断して除去リング25はキャップ20から分離され、口部11の根本部分に残されるようになっている。
【0025】
キャップ20が口部11から取り外されて容器本体10が開封された後、除去リング25は、その周方向の一端部を指で摘んで径方向外側に引くことで、口部11から取り除くことができる。指を引っ掛けて除去リング25の端部を摘まみ易くするために、除去リング25の周方向の一端部側におけるネックリング12に対向する側部に、切欠き25b(図4参照)を設けてもよい。なお、除去リング25は、口部11から除去できれば、その除去方法は上記に限らず種々の方法であってもよい。
【0026】
このように、除去リング25は、キャップ20が口部11から取り外されて容器本体10が開封される際に、弱化部24を破断して口部11から除去される。
【0027】
なお、キャップ20は、除去リング25を除去しなければ口部11から取り外すことができない構成とすることもできる。この場合、キャップ20を口部11から取り外す前に、除去リング25の一方の端部を指で摘まんで径方向外側に引くことで、弱化部24を破断させて除去リング25を口部11から除去し、その後、キャップ20を口部11から取り外すことができる。このような構成によれば、口部11からキャップ20を取り外して容器本体10を開封した際に、確実に除去リング25が口部11から除去された状態とすることができる。
【0028】
除去リング25が口部11から除去された後、キャップ20を口部11に再度ねじ結合により装着すると、除去リング25が除去されているために、図6に示すように、キャップ20は容器本体10の開封前に比べて、天壁21がより口部11の上端面11aに接近する位置(容器本体10の開封前に比べて周壁22の下端とネックリング12との間隔が狭くなる位置)にまで深くねじ込まれる。
【0029】
キャップ20は、天壁21の下面に、口部11の内周面に当接する円筒状のインナーシール26が一体に設けられた構成とすることができる。インナーシール26を設けることにより、口部11とキャップ20との間のシール性を高めて、内容物の漏れ出しを効果的に防止することができる。
【0030】
キャップ20と口部11との間には、時間インジケータ30が配置されている。本実施の形態では、図2図3に示すように、時間インジケータ30は、インナーシール26の外周面に沿って、口部11の上端面11aとキャップ20の天壁21との間に配置されている。
【0031】
時間インジケータ30は、キャップ20を射出成型により形成する際に、金型内にインサート材としてバキューム等の手段で保持しておくことで、キャップ20と一体化させて設けた構成としてもよく、キャップ20とは別に形成したものをキャップ20ないし口部11に組み付けた構成としてもよい。本実施の形態では、時間インジケータ30はキャップ20の天壁21に固定されている。
【0032】
本実施の形態では、キャップ20は透明または半透明となっているので、キャップ20の天壁21を通して外部から時間インジケータ30を視認することができる。この場合、キャップ20は、図2に示すように、天壁21の、時間インジケータ30に対向する部分が、他の部分よりも薄肉に形成された薄肉部21aとなる構成とすることができる。これにより、時間インジケータ30の天壁21を通した外部からの視認性を高めることができる。
【0033】
時間インジケータ30は、インク収納部31と経過時間表示部32とを備えている。
【0034】
インク収納部31は透明または半透明の略円形の袋状となっており、内部に視認可能に着色されたインク33を収納している。図2に示すように、インク収納部31は、口部11の上端面11aとキャップ20の天壁21との間に、上端面11aと天壁21とによって挟み込まれた状態で配置されている。
【0035】
経過時間表示部32は、透明または半透明であるとともに口部11の上端面11aに沿って周方向に延びる袋状となっており、内部に被浸食体34を収納している。被浸食体34は、経過時間表示部32と同様に、口部11の上端面11aに沿って周方向に延びた形状を有し、インク33により一端から他端に向けて時間とともに徐々に侵食されて当該浸食により変色する性質を有している。
【0036】
経過時間表示部32は、周方向の一端において、破断可能な隔壁35を介してインク収納部31に連なっている。隔壁35は、インク収納部31が所定の圧力で押圧されると破断するように構成されている。隔壁35が破断すると、インク収納部31と経過時間表示部32とが連通し、インク収納部31に収納されているインク33は経過時間表示部32に移動することができるようになる。
【0037】
キャップ20は、天壁21の上面に、印刷やシールの貼り付け等によって、経過時間表示部32に沿って経過時間を示す目盛り36を設けた構成とすることができる。本実施の形態では、経過時間を日数で示す目盛り36を設けている。
【0038】
なお、目盛り36が示す経過期間は、内容物の消費期限等に応じて任意に設定することができる。
【0039】
次に、上記構成を有する時間インジケータ付き容器1の使用方法について説明する。
【0040】
まず、図1に示すように、口部11がキャップ20で閉塞された未開封の状態の時間インジケータ付き容器1の口部11から、図5に示すように、キャップ20を口部11に対してねじ結合を緩める方向に回転させて取り外して容器本体10を開封する。
【0041】
キャップ20を口部11から取り外すと、弱化部24が破断して除去リング25がキャップ20から分離されて口部11の根本部分に残されるので、除去リング25を指で摘まんで口部11から除去する。
【0042】
必要に応じて内容物を口部11から吐出させるなどした後、口部11にキャップ20をねじ結合により装着する。このとき、除去リング25が除去されている状態でキャップ20が口部11にねじ込まれるので、図6に示すように、キャップ20は容器本体10の開封前に比べて、天壁21がより口部11の上端面11aに接近する位置にまでねじ込まれる。これにより、時間インジケータ30のインク収納部31が口部11の上端面11aとキャップ20の天壁21との間に挟み込まれて所定の圧力で押圧され、当該押圧によって隔壁35が破断する。
【0043】
隔壁35が破断すると、図7に示すように、インク収納部31に収納されていたインク33が経過時間表示部32に移動し、当該インク33が、時間の経過とともに被浸食体34をその一端から他端に向けて徐々に浸食し、当該浸食によって被浸食体34を一端から他端に向けて徐々に変色させる。被浸食体34は透明ないし半透明のキャップ20の天壁21を通して外部から視認可能であるので、使用者は、被浸食体34の変色した部分の先端位置を目盛り36と見比べることで、容器本体10の開封後の経過時間を認識することができる。
【0044】
このように、本実施の形態の時間インジケータ付き容器1では、未開封の状態からキャップ20を容器本体10の口部11から取り外して開封した後、除去リング25を除去してキャップ20を再度口部11に装着するだけの簡単な操作で、容易かつ確実に時間インジケータ30による開封後の時間のカウントを開始させることができる。したがって、時間インジケータ付き容器1を、容器開封後の経過時間を簡単な操作で認識することが可能なものとすることができる。また、容器本体10が開封されると、それに応じて時間インジケータ30による開封後の時間のカウントが開始されるので、容器開封後の経過時間を、時間インジケータ30より正確に表示することができる。
【0045】
また、本実施の形態の時間インジケータ付き容器1では、天壁21の下面に、口部11の内周面に当接する円筒状のインナーシール26を一体に設け、インナーシール26の外周面に沿って時間インジケータ30を配置するようにしたので、キャップ20の内部に時間インジケータ30を設けた構成としつつ、口部11とキャップ20との間からの内容物の漏れ出しを確実に防止することができる。
【0046】
さらに、本実施の形態の時間インジケータ付き容器1では、キャップ20を透明または半透明のものとしたので、キャップ20の内部に時間インジケータ30を設けた構成としつつ、時間インジケータ30を外部から視認し易くすることができる。
【0047】
特に、本実施の形態の時間インジケータ付き容器1では、天壁21の、時間インジケータ30に対向する部分を、他の部分よりも薄肉の薄肉部21aに形成するようにしたので、時間インジケータ30を外部からより視認し易くすることができる。また、時間インジケータ30を薄肉部21aに対向させて配置することで、キャップ20の全高を低くすることができるとともに、薄肉部21aやインナーシール26により、時間インジケータ30の軸線Oを中心とした径方向へのガタツキを防止することができる。
【0048】
図8に変形例として示すように、キャップ20は、不透明またはキャップ20の内部を外部から視認できない程度に着色されるとともに、薄肉部21aが設けられない構成とすることもできる。この場合、キャップ20を口部11から取り外した後、キャップ20の内側を覗いて時間インジケータ30を視認することで、開封後の経過時間を認識することができる。この場合、目盛り36を天壁21の内面(裏面)に設けてもよい。
【0049】
また、図9に他の変形例として示すように、キャップ20を、キャップ20の内部を外部から視認できない程度に着色されるとともに薄肉部21aが設けられない構成とした場合には、天壁21の、時間インジケータ30と対向する部分に、貫通孔27を設けた構成とすることもできる。この場合、経過時間表示部32に沿って複数の貫通孔27を断続的に設けるようにするのが、天壁21の強度を確保する点で好ましい。このような構成により、キャップ20を口部11に取り付けた状態のままで、外部から貫通孔27を通して時間インジケータ30を視認することで、開封後の経過時間を認識することができる。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0051】
例えば、容器本体10は、図1に示すようなボトル形状に限らず、筒状の口部11を有していれば、例えば広口形状などの種々の形状とすることができる。また、口部11は、円筒状に限らず、筒状であれば角筒状、楕円筒状などであってもよい。これらの場合、口部11にキャップ20をねじ結合に替えて打栓により装着する構成とすることができる。また、これらの場合、インナーシール26も同様の形状とすることができる。
【0052】
また、除去リング25は、周壁22の下端に弱化部24を介して一体に連結される構成に限らず、周壁22とは別体に形成されたものを周壁22に連結した構成とすることもできる。
【0053】
さらに、除去リング25は、図8図9に示すように、ストッパ片25aを備えない構成とすることもできる。この場合、口部11からキャップ20を取り外して容器本体10を開封したときに、除去リング25を適宜キャップ20から除去すればよい。
【0054】
さらに、前記実施の形態では、口部11からキャップ20を取り外し、次いで除去リング25を除去した後に、キャップ20を口部11に再度装着して時間インジケータ30による開封後の時間のカウントを開始させ、または、除去リング25を除去した後に、口部11からキャップ20を取り外し、次いでキャップ20を口部11に再度装着して時間インジケータ30による開封後の時間のカウントを開始させるようにしているが、除去リング25を除去した後、そのままキャップ20を口部11に対してさらに下降させて時間インジケータ30による開封後の時間のカウントを開始させた後、キャップ20を口部11から取り外して容器本体10を開封させるようにしてもよい。
【0055】
さらに、図2に示すように、天壁21に薄肉部21aを設けた構成としつつ、当該薄肉部21aに図9に示す貫通孔27を設けた構成とすることもできる。
【0056】
さらに、経過時間表示部32は、口部11の上端面11a及びインナーシール26の外周面に沿って延びる形状とされているが、インナーシール26が設けられない場合など、キャップ20の形状によっては、その延在方向ないし形状は種々変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 時間インジケータ付き容器
10 容器本体
11 口部
11a 上端面
12 ネックリング
13 胴部
14 雄ねじ
15 係止部
20 キャップ
21 天壁
21a 薄肉部
22 周壁
23 雌ねじ
24 弱化部
25 除去リング
25a ストッパ片
25b 切欠き
26 インナーシール
27 貫通孔
30 時間インジケータ
31 インク収納部
32 経過時間表示部
33 インク
34 被浸食体
35 隔壁
O 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9