(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183953
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】乾燥システム、手乾燥装置および食器乾燥装置
(51)【国際特許分類】
A47K 10/48 20060101AFI20221206BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A47K10/48 Z
F26B21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091518
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 浩志郎
(72)【発明者】
【氏名】朝日 洋平
(72)【発明者】
【氏名】清水 映吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 章樹
(72)【発明者】
【氏名】澤部 健司
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB01
3L113AC08
3L113AC51
3L113AC64
3L113AC85
3L113BA13
3L113CB05
3L113CB24
3L113DA24
(57)【要約】
【課題】衛生性に優れた乾燥システムを得る。
【解決手段】本開示に係る乾燥システムは、筐体1と、筐体1の内側に形成され、対象物を収納して乾燥するための乾燥庫2と、乾燥庫2内に空気を吹き出す吹出部3と、吹出部3から乾燥庫2内に空気を吹き出すための気流を生成する電動送風機4と、筐体1の内部に収納され、空気を吸い込んで当該空気を電動送風機4へ送って当該空気を電動送風機4から吹出部3へ送るためのダクトと、ダクトを流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部8と、を備える。ダクトのうち紫外線照射部8から照射される紫外線が当たる部分を、乾燥庫2を形成する部材よりも紫外線反射率または紫外線耐性の高い部材で構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内側に形成され、対象物を収納して乾燥するための乾燥庫と、
前記乾燥庫内に空気を吹き出す吹出部と、
前記吹出部から前記乾燥庫内に空気を吹き出すための気流を生成する電動送風機と、
前記筐体の内部に収納され、空気を吸い込んで当該空気を前記電動送風機へ送って当該空気を前記電動送風機から前記吹出部へ送るためのダクトと、
前記ダクトを流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部と、
を備え、
前記ダクトのうち前記紫外線照射部から照射される紫外線が当たる部分を、前記乾燥庫を形成する部材よりも紫外線反射率または紫外線耐性の高い部材で構成したことを特徴とする乾燥システム。
【請求項2】
前記ダクトの途中に設けられた清浄化フィルタを備え、
前記紫外線照射部は、前記清浄化フィルタに向けて紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載の乾燥システム。
【請求項3】
前記清浄化フィルタは、平板状であり、前記ダクト内の空気の流れる方向に対して垂直に配置されることを特徴とする請求項2に記載の乾燥システム。
【請求項4】
前記清浄化フィルタは、平板状であり、前記ダクト内の空気の流れる方向に沿って配置されることを特徴とする請求項2に記載の乾燥システム。
【請求項5】
前記ダクトと前記清浄化フィルタとの間には隙間が形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の乾燥システム。
【請求項6】
前記紫外線照射部の光源として、LED光源を用いることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の乾燥システム。
【請求項7】
前記紫外線照射部は、前記ダクトの内部に露出する放熱部を有することを特徴とする請求項6に記載の乾燥システム。
【請求項8】
前記紫外線照射部は、前記ダクトの曲げ部に対して紫外線を照射することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の乾燥システム。
【請求項9】
前記ダクトは、前記筐体の外表面に設けられた外気吸引口から外気を吸い込むことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の乾燥システム。
【請求項10】
前記ダクトは前記電動送風機の上流側に位置する部分の内部に水滴分離部を設け、且つ前記乾燥庫から前記ダクトへ空気を吸い込む開口部分に庇を設けたことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載の乾燥システム。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体の内側に形成され、手指を収納して乾燥するための乾燥庫と、
前記乾燥庫内に空気を吹き出す吹出部と、
前記吹出部から前記乾燥庫内に空気を吹き出すための気流を生成する電動送風機と、
前記筐体の内部に収納され、空気を吸い込んで当該空気を前記電動送風機へ送って当該空気を前記電動送風機から前記吹出部へ送るためのダクトと、
前記ダクトを流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部と、
を備え、
前記ダクトのうち前記紫外線照射部から照射される紫外線が当たる部分を、前記乾燥庫を形成する部材よりも紫外線反射率または紫外線耐性の高い部材で構成したことを特徴とする手乾燥装置。
【請求項12】
筐体と、
前記筐体の内側に形成され、食器を収納して乾燥するための乾燥庫と、
前記乾燥庫内に空気を吹き出す吹出部と、
前記吹出部から前記乾燥庫内に空気を吹き出すための気流を生成する電動送風機と、
前記筐体の内部に収納され、空気を吸い込んで当該空気を前記電動送風機へ送って当該空気を前記電動送風機から前記吹出部へ送るためのダクトと、
前記ダクトを流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部と、
を備え、
前記ダクトのうち前記紫外線照射部から照射される紫外線が当たる部分を、前記乾燥庫を形成する部材よりも紫外線反射率または紫外線耐性の高い部材で構成したことを特徴とする食器乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は乾燥システム、手乾燥装置および食器乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物を乾燥させる機能を有する乾燥システムの一例として、例えば、特許文献1には手乾燥装置が記載されている。この手乾燥装置は、気流を噴射することによって対象物である手指を乾燥させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の手乾燥装置においては、手指に付着した水を気流によって除去するときに、菌、ウイルスあるいは皮脂等の有機物を含んだ水滴が、手乾燥装置の内部に拡散してしまう。このため、再びこの手乾燥装置を使用した場合に、使用者の手指に菌、ウイルスあるいは臭気等が付着してしまう可能性がある。また、気流の噴射によって菌、ウイルスあるいは臭気等を外部へ拡散させてしまう可能性もある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためのものである。本開示の目的は、衛生性に優れた乾燥システム、および、この乾燥システムを適用した手乾燥装置および食器乾燥装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乾燥システムは、筐体と、筐体の内側に形成され、対象物を収納して乾燥するための乾燥庫と、乾燥庫内に空気を吹き出す吹出部と、吹出部から乾燥庫内に空気を吹き出すための気流を生成する電動送風機と、筐体の内部に収納され、空気を吸い込んで当該空気を電動送風機へ送って当該空気を電動送風機から吹出部へ送るためのダクトと、ダクトを流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部と、を備える。ダクトのうち紫外線照射部から照射される紫外線が当たる部分を、乾燥庫を形成する部材よりも紫外線反射率または紫外線耐性の高い部材で構成する。
また、本開示に係る手乾燥装置は、筐体と、筐体の内側に形成され、手指を収納して乾燥するための乾燥庫と、乾燥庫内に空気を吹き出す吹出部と、吹出部から乾燥庫内に空気を吹き出すための気流を生成する電動送風機と、筐体の内部に収納され、空気を吸い込んで当該空気を電動送風機へ送って当該空気を電動送風機から吹出部へ送るためのダクトと、ダクトを流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部と、を備える。ダクトのうち紫外線照射部から照射される紫外線が当たる部分を、乾燥庫を形成する部材よりも紫外線反射率または紫外線耐性の高い部材で構成する。
また、本開示に係る食器乾燥装置は、筐体と、筐体の内側に形成され、食器を収納して乾燥するための乾燥庫と、乾燥庫内に空気を吹き出す吹出部と、吹出部から乾燥庫内に空気を吹き出すための気流を生成する電動送風機と、筐体の内部に収納され、空気を吸い込んで当該空気を電動送風機へ送って当該空気を電動送風機から吹出部へ送るためのダクトと、ダクトを流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部と、を備える。ダクトのうち紫外線照射部から照射される紫外線が当たる部分を、乾燥庫を形成する部材よりも紫外線反射率または紫外線耐性の高い部材で構成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、衛生性に優れた乾燥システム、手乾燥装置および食器乾燥装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による手乾燥装置の斜視図である。
【
図2】実施の形態1による手乾燥装置の縦断面図である。
【
図3】実施の形態1による手乾燥装置の縦断面図である。
【
図4】実施の形態1による手乾燥装置の縦断面図である。
【
図5】実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部の一例を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部の一例を示す分解斜視図である。
【
図7】実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部の一例を示す断面図である。
【
図8】実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部の別例を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態1による手乾燥装置が備える清浄化フィルタの配置例を示す図である。
【
図10】実施の形態2の食器乾燥装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、実施の形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。また、本開示では、重複する説明については、適宜に簡略化または省略する。なお、本開示は、その趣旨を逸脱しない範囲において、以下の各実施の形態によって開示される構成のあらゆる変形およびあらゆる組み合わせを含み得るものである。
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態では、本開示に係る乾燥システムの適用例として、手乾燥装置について説明する。
図1は、実施の形態1による手乾燥装置の斜視図である。
図2、
図3および
図4は、実施の形態1による手乾燥装置の縦断面図である。
図2および
図3は、正面視における手乾燥装置の断面構造を示している。
図4は、側面視における手乾燥装置の断面構造を示している。
図2から
図4における矢印は、手乾燥装置の動作時における空気の流れを示している。
【0011】
手乾燥装置は、対象物である手指を乾燥させる機能を有する機器である。手乾燥装置は、外郭をなす筐体1と、当該筐体1の内側に形成される乾燥庫2と、を備える。乾燥庫2は、対象物である手指を収納して乾燥するためのものである。使用者は、手乾燥装置の使用時に、手指を乾燥庫2に挿入する。また、乾燥庫2は、外観に露出する意匠部分でもある。
【0012】
図1から
図4に示すように、手乾燥装置は、乾燥庫2内に空気を吹き出す吹出部3を備える。手乾燥装置は、吹出部3から吹き出される乾燥した状態の空気によって、対象物である手指の乾燥を行う。
【0013】
また、手乾燥装置は、電動送風機4、吸引ダクト5および送風ダクト6を備える。電動送風機4は、吹出部3から乾燥庫2内へ空気を吹き出すための気流を生成する。吸引ダクト5は、空気を吸い込んで当該空気を電動送風機4へ送るためのダクトである。一例として、吸引ダクト5は、乾燥庫2内に連通する排出部7を介して、乾燥庫2内から空気を吸い込んで当該空気を電動送風機4へ送る。また、送風ダクト6は、空気を電動送風機4から吹出部3へ送るためのダクトである。本実施の形態において、吸引ダクト5および送風ダクト6は、筐体1の内部に収納されている。
【0014】
電動送風機4が動作すると、排出部7から吸引ダクト5内へ空気が吸い込まれる。吸引ダクト5へ吸い込まれた空気は、当該吸引ダクト5を通過して電動送風機4を経由し、送風ダクト6を通過して吹出部3から乾燥庫2内へ吹き出される。
【0015】
また、本実施の形態による手乾燥装置は、紫外線照射部8を備える。紫外線照射部8は、空気に対して紫外線を照射することによって当該空気の殺菌を行う。図示の例において手乾燥装置は、複数の紫外線照射部8を備えているが、紫外線照射部8は少なくとも1つ備えられていればよい。紫外線照射部8は、吸引ダクト5および送風ダクト6の少なくとも一方を流れる空気に向けて紫外線を照射するように設けられていればよい。
【0016】
一般に紫外線は可視光線よりも波長が短い光の総称であり、およそ1nmから400nmの波長を持つ電磁波である。また、一般に100nmから280nmの波長域はUVCと称され、280nmから315nmの波長域はUVBと称され、315nmから400nmの波長域はUVAと称される。一般に、UVAよりもUVBの方が微生物を不活化させる能力が高く、UVBよりもUVCの方が微生物を不活化させる能力がさらに高いといわれている。特に、UVCの波長はDNAを直接破壊する能力が高く、これにより微生物を不活化する速度が速い。さらに、UVC領域の中で、特に200nm~285nmの波長が、殺菌力が高い。より具体的には222nm、260nmを中心とした波長の殺菌力が高いといわれている。紫外線照射部8が照射する紫外線の主波長は、UVA、UVB、UVCのいずれの帯域にあってもよい。特に、紫外線照射部8が照射する紫外線の主波長は、殺菌力の高いUVC領域にあることが望ましい。
【0017】
紫外線照射部8の光源としては、ランプまたは発光ダイオード(LED)がある。光源が生成する光の主波長は、220nmから280nmの間にあることが好ましい。より好ましくは、光源が生成する光の主波長は、220nmから225nmの範囲、または、250nmから285nmの範囲にあることが望ましい。さらに好ましくは、光源が生成する光の主波長は、255nmから280nmの範囲にあることが望ましい。
【0018】
ランプ光源は、水銀を有しているものでもよいし、水銀を有していない水銀フリーのものでもよい。また、紫外線を生成するLED光源は、水銀を含有していない。一般に、水銀は毒性があり、また、環境に悪い一面がある。LED光源は水銀を含有していないため、安全性が高く、環境へ悪影響を与えるリスクが小さい。
【0019】
また、LED光源は、ランプ光源と比較してサイズが小さい。LED光源を用いることで、紫外線照射部8の小型化が可能となり、その結果、紫外線照射部8を搭載した機器の小型化も可能となる、また、LED光源は指向性を有する。LED光源を用いることで、吸引ダクト5または送風ダクト6内に紫外線照射部8を配置する際、空気の流れ方に合わせた自由な配置が可能となる。
【0020】
紫外線照射部8を備える手乾燥装置であれば、電動送風機4に吸い込まれる空気の殺菌、除菌および当該空気中の有機物の分解をすることで、乾燥庫2内へ吹き出される空気を清潔な状態に維持することできる。本実施の形態に係る手乾燥装置であれば、乾燥庫2内へ収納された対象物への菌、ウイルスおよび臭気等の付着を抑制することができる。また、手乾燥装置外部への菌、ウイルスおよび臭気等の飛散を抑制することができる。
【0021】
また、手乾燥装置は、筐体1の内部に収納したダクト内に紫外線を照射するように構成されている。このため、機器外部へ紫外線が漏れ出すことがない。
【0022】
上述したように、紫外線照射部8は、吸引ダクト5および送風ダクト6の少なくとも一方を流れる空気に向けて紫外線を照射する。本実施の形態において、吸引ダクト5および送風ダクト6のうち紫外線照射部8から照射される紫外線が当たる部分は、乾燥庫2を形成する部材よりも紫外線反射率の高い部材で構成されている。または、吸引ダクト5および送風ダクト6のうち紫外線照射部8から照射される紫外線が当たる部分は、乾燥庫2を形成する部材よりも紫外線耐性の高い部材で構成してもよい。吸引ダクト5および送風ダクト6のうち紫外線照射部8から照射される紫外線が当たる部分は、例えば、フッ素樹脂材料または金属材料で構成されている。
【0023】
紫外線が当たる部分を紫外線反射率の高い部材で構成することによって、ダクト内で紫外線を高効率で反射可能となる。これにより、ダクトを構成する部材に紫外線が吸収されることなく、除菌、殺菌および臭気抑制等の効果を効率的に得ることができる。このように、本実施の形態および変形例によれば、衛生性に優れた手乾燥装置を得ることができる。特に、金属材料を用いた場合には、紫外線による劣化も抑制することができる。また、フッ素樹脂材料を用いた場合には、より高効率での紫外線の反射が実現できる。
【0024】
また、乾燥庫2は、紫外線照射部8から照射される紫外線が当たる部位ではない。このため、乾燥庫2を構成する部材には紫外線の反射率および紫外線耐性を考慮する必要がなく、その他の性能を重視することができる。例えば、乾燥庫2には、意匠性を重視した部材を用いることができる。
【0025】
また、
図5は、実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部8の一例を示す斜視図である。
図6は、実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部8の一例を示す分解斜視図である。
図7は、実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部8の一例を示す断面図である。
【0026】
図示の構成例において、紫外線照射部8は、光源であるLED9と、ケース10と、窓部11と、基板12と、ヒートシンク13と、クッション14と、ガスケット15と、ねじ16と、配線17と、を備える。なお、紫外線照射部8の構成部品は、これらに限定されるものではなく、適宜省略、追加、代替されるものであってもよい。
【0027】
ケース10は、紫外線照射部8の外観をなす部品である。ケース10は、窓部11が取り付けられる位置に開口を有する。基板12に、LED9が設置されている。基板12からLED9に給電されることで、LED9が発光する。窓部11は、LED9を保護する。窓部11は、基板12と反対側からLED9を覆う。LED9により生成された光は、窓部11を透過した後、吸引ダクト5あるいは送風ダクト6の壁面表面に照射される。
【0028】
ヒートシンク13は、発光により加熱されたLED9および基板12の熱を散逸させるための放熱部の一例である。図示の例のヒートシンク13は、表面積を拡大するためのフィンを有している。放熱部の一例であるヒートシンク13は、吸引ダクト5または送風ダクト6の内部に露出するように配置されてもよい。これにより、吸引ダクト5または送風ダクト6を通る空気がヒートシンク13の表面を通過することで、効果的な放熱が可能となる。なお、別の例として、ヒートシンク13に対して直接的に送風を行うファンなどの送風装置を備えていてもよい。
【0029】
クッション14は、窓部11とLED9との間の距離を保つためのものであり、基板12と窓部11との間に配置される。ガスケット15は、例えば、ケース10と窓部11との隙間を封止することにより、気密性及び液密性を保つ部材である。ねじ16は、ケース10と基板12とヒートシンク13とを締結することによりこれらの位置を固定するための固定部材の一例である。配線17は、基板12を図示を省略する電源部につなぐためのものである。
【0030】
窓部11は、LED9に対して隙間を空けて配置される。この隙間は、例えば、0.1mm~50mm程度の距離でもよい。
【0031】
窓部11は、円盤状または円形の板状を呈する。変形例として、窓部11は、例えば、直方体形状を呈するものでもよいし、レンズ状の形状を呈するものでもよい。レンズ状の形状を呈する窓部11によれば、LED9から放射された光を集光することができ、比較的小さいビーム角を達成できる。
【0032】
一般に、窓部11の厚みが増すと、その透過率が低下する傾向にある。このため、窓部11の厚みは、例えば、0.5mm~3mm程度である。好ましくは、窓部11の厚みは、1mm~2mm程度である。
【0033】
また、
図8は、実施の形態1による手乾燥装置が備える紫外線照射部8の別例を示す斜視図である。紫外線照射部8は、
図8に示すように、ケース10および窓部11等を備えずに、LED9と基板12と配線17とから構成されてもよい。
図8の構成例において、発光により生じたLED9および基板12の熱は、平板状のアルミまたは銅等からなる基板12の表面から放出される。
図8の構成例において、基板12は、放熱部として機能する。放熱部として機能する基板12は、吸引ダクト5または送風ダクト6の内部に露出するように配置される。
【0034】
手乾燥装置は、
図1から
図4に示すように、清浄化フィルタ18を備えていてもよい。清浄化フィルタ18は、吸引ダクト5および送風ダクト6の少なくとも一方の途中に配置される。清浄化フィルタ18は、吸引ダクト5または送風ダクト6内を通過する空気中に含まれる塵埃、水分、菌およびウイルス等を捕捉するフィルタから構成される。清浄化フィルタ18を構成するフィルタとしては、メッシュ状またはプリーツ状等の任意の形状のものが用いられる。
【0035】
清浄化フィルタ18が設けられることで、電動送風機4に水分、菌およびウイルス等が付着することを抑制できる。これにより、電動送風機4を安定的に運転させることが可能となる。
【0036】
また、清浄化フィルタ18が設けられる場合、紫外線照射部8は、当該清浄化フィルタ18に対して紫外線を照射するように構成するとよい。清浄化フィルタ18で捕捉した菌およびウイルス等に対して集中的に紫外線を照射することで,より効率的に殺菌および臭気抑制等の効果を得ることができる。
【0037】
清浄化フィルタ18は、例えば、平板状である。
図9は、実施の形態1による手乾燥装置が備える清浄化フィルタ18の配置例を示す図である。平板状の清浄化フィルタ18は、例えば、
図9(a)に示すように、空気の流れる方向に対して垂直になるように配置される。これにより、ダクト内の空気のほぼ全量が清浄化フィルタ18を通過することとなり、清浄化フィルタ18の捕集効率を高めることができる。
【0038】
平板状の清浄化フィルタ18は、例えば、
図9(b)に示すように、空気の流れる方向に沿って配置されてもよい。例えば、平板状の清浄化フィルタ18は、空気の流れる方向に対して平行になるように配置されてもよい。これにより、ダクトと清浄化フィルタ18との間に隙間が形成され、圧力損失を低減することができる。なお、平板状の清浄化フィルタ18が空気の流れる方向に対して垂直になるように配置される場合においても、ダクトと清浄化フィルタ18との間に圧力損失を低減させるための隙間を形成してもよい。
【0039】
また、紫外線照射部8は、
図3に示すように、吸引ダクト5または送風ダクト6の曲げ部19に対して紫外線を照射するように配置されてもよい。ダクトの曲げ部19に紫外線を照射することで、照射した紫外線がダクトの上流および下流の広範囲に直接的に到達する。これにより、効率的に殺菌および臭気抑制等の効果を得ることができる。
【0040】
また、
図3に示すように、吸引ダクト5は、筐体1の外表面に設けられた外気吸引口20から外気を直接的に吸い込むように構成されてもよい。送風ダクト6と吹出部3とから出た空気を排出部7から吸引ダクト5に再び吸い込む際に、外気も合わせて吸い込むようにすることで、電動送風機4の温度上昇を抑制することができる。これにより、電動送風機4を安定して長時間運転させることが可能となる。
【0041】
また、
図3に示すように、電動送風機4の上流側に位置する吸引ダクト5の内部には、空気中の水滴を分離する水滴分離部21を設けてもよい。これにより、水滴の電動送風機4への付着を抑制し、電動送風機4を安定して長時間運転させることが可能となる。さらに
図2に示すように、乾燥庫2から吸引ダクト5へ空気を吸い込む開口部分である排出部7に庇22を設けても良い。庇22は、排出部7への水滴の侵入を妨げる部材である。庇22を設けることで、乾燥庫2から吸引ダクト5への水滴の侵入を抑制することができる。
【0042】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。
図10は実施の形態2の食器乾燥装置の構成を示す模式図である。本実施の形態では、本開示に係る乾燥装置の適用例として、食器乾燥装置について説明する。実施の形態1と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。
【0043】
食器乾燥装置は、筐体1を備える。食器乾燥装置は、筐体1の内側に形成された乾燥庫2を備える。食器乾燥装置の乾燥庫2は、対象物である食器23を収納して乾燥するためのものである。乾燥庫2内には、一例として、食器23を設置するための食器かご24が設けられる。食器乾燥装置は、乾燥庫2内に空気を吹き出す吹出部3を備える。
【0044】
食器乾燥装置は、食器23を乾燥する機能だけでなく、食器23を洗浄する機能を有していても。食器乾燥装置は、例えば、洗浄水を噴出する洗浄ノズル25、洗浄ノズル25から洗浄水を噴出させるための洗浄ポンプ26を備える。
【0045】
また、食器乾燥装置は、電動送風機4、吸引ダクト5および送風ダクト6を備える。電動送風機4は、吹出部3から乾燥庫2内へ空気を吹き出すための気流を生成する。吸引ダクト5は、空気を吸い込んで当該空気を電動送風機4へ送るためのダクトである。一例として、吸引ダクト5は、乾燥庫2内に連通する排出部7を介して、乾燥庫2内から空気を吸い込んで当該空気を電動送風機4へ送る。吸引ダクト5は、外気吸引口20から外気を吸い込んでもよい。また、送風ダクト6は、空気を電動送風機4から吹出部3へ送るためのダクトである。吸引ダクト5および送風ダクト6は、筐体1の内部に収納されている。
【0046】
そして、食器乾燥装置は、吸引ダクト5および送風ダクト6の少なくとも一方を流れる空気に向けて紫外線を照射する紫外線照射部8を備える。吸引ダクト5および送風ダクト6のうち紫外線照射部8から照射される紫外線が当たる部分は、乾燥庫2を形成する部材よりも紫外線反射率の高い部材で構成される。本実施の形態によれば、実施の形態1の手乾燥装置と同様に、衛生性に優れた食器乾燥装置を得ることができる。
【0047】
なお、本開示に係る乾燥システムは、実施の形態1で示した手乾燥装置および実施の形態2で示した食器乾燥装置に限られず、対象物の乾燥を行う機能を有する各種の機器に適用することができる。本開示に係る乾燥システムは、例えば、熱交換器を収納して乾燥するための空間を有する空気調和機等にも適用することができる。
【0048】
また、本開示に係る乾燥システムは、対象物をより効率よく乾燥させるために、空気加熱用のヒータを備えていてもよい。この場合には、ヒータの駆動中には紫外線の照射を行わないようにすることが好ましい。ヒータの駆動中には紫外線を照射させないようにすることで、紫外線照射部8の温度が上がりすぎないようにし、紫外線照射部8の長寿命化および出力維持を実現することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 筐体、 2 乾燥庫、 3 吹出部、 4 電動送風機、 5 吸引ダクト、 6 送風ダクト、 7 排出部、 8 紫外線照射部、 9 LED、 10 ケース、 11 窓部、 12 基板、 13 ヒートシンク、 14 クッション、 15 ガスケット、 16 ねじ、 17 配線、 18 清浄化フィルタ、 19 曲げ部、 20 外気吸引口、 21 水滴分離部、 22 庇、 23 食器、 24 食器かご、 25 洗浄ノズル、 26 洗浄ポンプ