(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183992
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】空紙管供給装置を有する仮撚加工機
(51)【国際特許分類】
D02G 1/04 20060101AFI20221206BHJP
D02J 11/00 20060101ALI20221206BHJP
D01D 7/00 20060101ALI20221206BHJP
B65H 67/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
D02G1/04 Z
D02J11/00
D01D7/00 F
B65H67/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091570
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中道 貴士
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 太志
【テーマコード(参考)】
3F112
4L036
4L045
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112EB03
4L036AA01
4L036MA04
4L036MA33
4L036PA05
4L036PA49
4L045BA03
4L045DC23
4L045DC24
(57)【要約】
【課題】
作業者や自動ロボット等による空紙管供給装置への空紙管の補充のし忘れを抑制し、巻取装置による糸の巻き取りの失敗が生じることを抑制する。
【解決手段】仮撚加工機1は、複数の巻取装置のそれぞれに対して設けられ、巻取装置に空ボビンBwを供給する空ボビン供給装置23と、制御部と、を有する。空ボビン供給装置23はストッカー部51と、第1センサ52と、第2センサ53とを有する。制御部40は、第1センサ52及び第2センサ53によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が所定数以下であることが検知されたとき、ストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知する報知信号を生成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を紙管に巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取装置と、
前記複数の巻取装置のそれぞれに対して設けられ、前記巻取装置に空紙管を供給する複数の空紙管供給装置と、
制御部と、を備え、
前記空紙管供給装置は、複数の前記空紙管を収容可能なストッカー部と、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が所定数以下であることを検知する少なくとも1つのセンサと、を有し、
前記制御部は、
前記少なくとも1つのセンサによって前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が前記所定数以下であることが検知されたとき、前記ストッカー部に前記空紙管を補充する必要がある旨を報知するための報知信号を生成することを特徴とする仮撚加工機。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサは、前記所定数として1以上の数である第1所定数について、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が前記第1所定数以下であることを検知する第1センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の仮撚加工機。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が0個であることを検知する第2センサを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の仮撚加工機。
【請求項4】
前記報知信号は、
前記第2センサによって、前記複数の空紙管供給装置のそれぞれの前記ストッカー部のうちの何れかのストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が0個であることが検知されたときに、前記空紙管の収容数が0個であるストッカー部について他のストッカー部よりも優先して前記空紙管を補充する必要がある旨を報知するための優先報知信号を含むことを特徴とする請求項3に記載の仮撚加工機。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が0個であるとき、当該ストッカー部に対応する前記巻取装置が満巻きパッケージの形成後に再び巻き取り動作を行わないように制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の仮撚加工機。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、2以上のセンサを含み、
前記2以上のセンサのそれぞれは、互いに異なる前記所定数について、前記所定数以下であることを検知するセンサであることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の仮撚加工機。
【請求項7】
作業者に対して、前記ストッカー部に前記空紙管を補充する必要がある旨を報知する報知動作を実行可能な報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記報知部に前記報知信号を送信することで前記報知動作を実行させることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の仮撚加工機。
【請求項8】
前記ストッカー部への前記空紙管の補充動作を自動で実行可能な空紙管補充ロボットをさらに備え、
前記制御部は、前記空紙管補充ロボットに前記報知信号を送信することで前記補充動作を実行させることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の仮撚加工機。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサは、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が最大数であることを検知可能な第3センサを含み、
前記制御部は、前記第3センサによって前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が最大数であることが検知されたとき、前記空紙管補充ロボットが前記補充動作を実行しないように制御することを特徴とする請求項8に記載の仮撚加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置に空紙管を供給する空紙管供給装置を有する仮撚加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、糸に仮撚加工を施す仮撚加工機が開示されている。特許文献1の仮撚加工機は、給糸部と、給糸部から供給された糸を走行させるフィードローラと、走行する糸を巻き取る巻取装置と、給糸部から巻取装置までの糸道に配置された加熱装置、冷却装置及び仮撚装置とを有している。
【0003】
仮撚加工機において、給糸部から給糸された糸は、仮撚装置などによって仮撚り加工され、巻取装置によって紙管に巻き取られることでパッケージを形成する。満巻きとなったパッケージは巻取装置から取り外され、糸が巻かれていない状態の空紙管が巻取装置に取り付けられた後、再び巻取装置による糸の巻き取りが行われる。
【0004】
特許文献2には、仮撚加工機等の巻取装置に空紙管(空ボビン)を供給する空紙管供給装置(ボビン交換装置)が開示されている。空紙管供給装置は、空紙管を収容可能であり、巻取装置によって糸が紙管に巻き取られて満巻きパッケージとなると、満巻きパッケージが取り外され、空紙管供給レールから巻取装置に空紙管が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-47074号公報
【特許文献2】特開平10―279188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
空紙管供給装置には、作業者や自動ロボットなどによって適宜、空紙管が補充される。ここで、空紙管供給装置に収容された空紙管がないにもかかわらず、空紙管の補充のし忘れがあった場合、空紙管供給装置から巻取装置に空紙管を供給することができない。仮撚加工機では、給糸部から糸が連続的に給糸されている。このため、巻取装置から満巻きパッケージが取り外された後に巻取装置に空紙管が供給されない場合、給糸部から糸が給糸され続けることによって、糸が巻取装置に絡まるなどといった不具合を生じさせるおそれがある。
【0007】
また、糸の巻き取りの途中での糸切れや、巻取装置への糸掛け失敗などが起こった場合には、巻取装置による巻き取りを途中で中断し、次の空紙管の供給が早めに要求されることがある。このような場合において、空紙管供給装置に空紙管が収容されていないと、上記のような不具合が生じるおそれがあり、空紙管供給装置への空紙管の補充のタイミングを把握することの必要性は大きい。
【0008】
特に、複数の巻取装置を有する仮撚加工機では、それぞれの巻取装置に対応する空紙管供給装置のすべてについて空紙管を補充するタイミングを把握することは困難であり、空紙管の補充のし忘れが生じやすい。
【0009】
本発明の目的は、空紙管供給装置への空紙管の補充のし忘れを抑制し、巻取装置による糸の巻き取りの失敗が生じることを抑制することができる仮撚加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、糸を紙管に巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取装置と、前記複数の巻取装置のそれぞれに対して設けられ、前記巻取装置に空紙管を供給する複数の空紙管供給装置と、制御部と、を備え、前記空紙管供給装置は、複数の前記空紙管を収容可能なストッカー部と、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が所定数以下であることを検知する少なくとも1つのセンサと、を有し、前記制御部は、前記少なくとも1つのセンサによって前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が前記所定数以下であることが検知されたとき、前記ストッカー部に前記空紙管を補充する必要がある旨を報知するための報知信号を生成することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ストッカー部への空紙管の補充は、報知信号に基づいて行えばよいため、複数の巻取装置に対応する空紙管供給装置のすべてについて、空紙管を補充するタイミングを把握することが可能となる。これにより、空紙管供給装置への空紙管の補充のし忘れを抑制でき、巻取装置による糸の巻き取りの失敗が生じることを抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記少なくとも1つのセンサは、前記所定数として1以上の数である第1所定数について、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が前記第1所定数以下であることを検知する第1センサを含むことが好ましい。
【0013】
巻取装置の設置数が多い場合、ストッカー部に収容された空紙管の収容数が0個となってから空紙管をストッカー部に補充するのでは、空紙管供給装置による巻取装置への空紙管の供給が間に合わないことがある。本発明によれば、予めストッカー部に収容された空紙管の収容数が0個になる前に報知信号を生成することができる。このため、ストッカー部への空紙管の補充の遅れを抑制できる。
【0014】
本発明において、前記少なくとも1つのセンサは、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が0個であることを検知する第2センサを含むことが好ましい。
【0015】
本発明によれば、ストッカー部に収容された空紙管の収容数が0個となったときに報知信号を生成することができる。このため、ストッカー部に収容された空紙管が0個となって、速やかに空紙管の補充が必要である緊急性の高いタイミングを把握することが可能となる。
【0016】
本発明において、前記報知信号は、前記第2センサによって、前記複数の空紙管供給装置のそれぞれの前記ストッカー部のうちの何れかのストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が0個であることが検知されたときに、前記空紙管の収容数が0個であるストッカー部について他のストッカー部よりも優先して前記空紙管を補充する必要がある旨を報知するための優先報知信号を含むことが好ましい。
【0017】
本発明によれば、優先報知信号に基づいて空紙管の補充を行うことで、複数のストッカー部のうちの空紙管の収容数が0個であるストッカー部に優先的に空紙管の補充を行うことができる。このため、空紙管供給装置から巻取装置に空紙管の供給が行われない状況となることを抑制することができる。
【0018】
本発明において、前記制御部は、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が0個であるとき、当該ストッカー部に対応する前記巻取装置が満巻きパッケージの形成後に再び巻き取り動作を行わないように制御することが好ましい。
【0019】
本発明によれば、あるストッカー部における空紙管の収容数が0個となった場合に、そのストッカー部に対応する巻取装置が満巻きパッケージを形成後に巻き取り動作を再開することがない。このため、紙管がない状態で巻き取り動作を再開した巻取装置に糸が絡まる不具合が生じることを回避することができる。
【0020】
本発明において、前記少なくとも1つのセンサは、2以上のセンサを含み、前記2以上のセンサのそれぞれは、互いに異なる前記所定数について、前記所定数以下であることを検知するセンサであることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、2以上のセンサを設けることで、ストッカー部に収容されている空紙管の個数をより詳細に把握することができる。したがって、どういうタイミングで空紙管を補充する必要がある旨を報知するかについても、現場の状況等に応じて自由に調整しやすくなる。
【0022】
本発明において、作業者に対して、前記ストッカー部に前記空紙管を補充する必要がある旨を報知する報知動作を実行可能な報知部をさらに備え、前記制御部は、前記報知部に前記報知信号を送信することで前記報知動作を実行させることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、ストッカー部への空紙管の補充が作業者によって行われる場合において、作業者が空紙管を補充するタイミングを報知部の報知動作によって確実に把握することが可能となる。
【0024】
また、本発明において、前記ストッカー部への前記空紙管の補充動作を自動で実行可能な空紙管補充ロボットをさらに備え、前記制御部は、前記空紙管補充ロボットに前記報知信号を送信することで前記補充動作を実行させることが好ましい。
【0025】
本発明によれば、ストッカー部への空紙管の補充が空紙管補充ロボットによって自動で行われる場合において、補充動作のタイミングを適切に制御することができる。
【0026】
本発明において、前記少なくとも1つのセンサは、前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が最大数であることを検知可能な第3センサを含み、前記制御部は、前記第3センサによって前記ストッカー部に収容された前記空紙管の収容数が最大数であることが検知されたとき、前記空紙管補充ロボットが前記補充動作を実行しないように制御することが好ましい。
【0027】
本発明によれば、ストッカー部への空紙管の補充が空紙管補充ロボットによって自動で行われる場合において、ストッカー部に空紙管が最大数収容されているときに補充動作が実行されることを防止できる。これにより、ストッカー部から空紙管が溢れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態に係る仮撚加工機の側面図である。
【
図4】空ボビン供給装置の構成を示す模式図である。
【
図5】仮撚加工機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】変形例に係る仮撚加工機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】変形例に係る空ボビン供給装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0030】
(仮撚加工機1の全体構成)
図1は、本実施形態に係る仮撚加工機1の概略構成を示す側面図である。以下、
図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向と機台幅方向の両方が直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。以下、上記の方向語を適宜使用して説明する。
【0031】
仮撚加工機1は、例えばナイロン(ポリアミド系繊維)等の合成繊維からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。仮撚加工機1は、糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された糸Yを仮撚加工する加工部3と、加工部3によって加工された糸Yを巻取ボビンBw(本発明の紙管)に巻き取る巻取部4と、制御部40(
図5参照)とを備える。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素(後述)は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道が配置される糸の走行面(
図1の紙面)と直交する機台長手方向において、複数配列されている。
【0032】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド7を有し、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、糸走行方向の上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取装置21で巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPw(本発明のパッケージ)を形成する。
【0033】
また、仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延設されており、互いに対向するように配置されている。主機台8の上部と巻取台9の上部とは、支持フレーム10によって連結されている。加工部3を構成する各装置は、主に主機台8や支持フレーム10に取り付けられている。主機台8と巻取台9と支持フレーム10とによって、作業者が各装置に対して糸掛け等の作業を行うための作業空間22が形成されている。糸道は、糸Yが主に作業空間22の周りを走行するように形成されている。
【0034】
仮撚加工機1は、互いに対向配置された1組の主機台8及び巻取台9を含むスパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンでは、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。一例として、1つの巻取台9に12個の巻取装置21が設けられている(
図2参照)。そして、仮撚加工機1は、このスパンが、主機台8の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置される(主機台8は左右のスパンで共通のものとなっている)とともに、機台長手方向に複数配列された構成となっている。
【0035】
(加工部の構成)
次に、加工部3の各構成要素について説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2から供給された糸Yを第1加熱装置13へ送るためのものである。第1フィードローラ11は、巻取台9の上方に配置されている(
図1参照)。第1フィードローラ11は、機台長手方向に1列に配列されている。
【0036】
撚止ガイド12は、後述する仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないようにするためのものである。撚止ガイド12は、第1フィードローラ11の糸走行方向下流側、且つ、第1加熱装置13の糸走行方向上流側に配置されている。撚止ガイド12は、例えば、給糸部2から供給される複数の糸Yに対して個別に設けられており、機台長手方向に1列に配列されている。
【0037】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを加熱するためのものであり、支持フレーム10に設置されている(
図1参照)。第1加熱装置13は、給糸部2から供給される複数の糸Yに対して複数設けられており、機台長手方向に1列に配列されている。
【0038】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するためのものである。冷却装置14は、第1加熱装置13の糸走行方向下流側、且つ、仮撚装置15の糸走行方向上流側に配置されている。冷却装置14は、給糸部2から供給される複数の糸Yに対して複数設けられており、機台長手方向に1列に配列されている。
【0039】
仮撚装置15は、糸Yに撚りを付与するための装置である。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向におけるすぐ下流側に配置されている。仮撚装置15は、機台長手方向において複数配列されている。例えば、仮撚装置15は、1つのスパンにつき12個設けられている。
【0040】
第2フィードローラ16は、仮撚装置15で撚りが付与された糸Yを、交絡装置17に向けて送るローラである。第2フィードローラ16は、主機台8において仮撚装置15の糸走行方向下流側に配置されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。このため、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸される。
【0041】
交絡装置17は、糸Yに対して空気を噴射することによって交絡を付与する装置である。交絡装置17は、主機台8において第2フィードローラ16の下方に配置されている。
【0042】
第3フィードローラ18は、交絡装置17によって交絡が付与された糸Yを、第2加熱装置19に向けて送るローラである。第3フィードローラ18は、主機台8において交絡装置17の下方に配置されている。第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。
【0043】
第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するための装置である。第2加熱装置19は、主機台8において第3フィードローラ18の下方に配置されている。第2加熱装置19は、鉛直方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。
【0044】
第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって熱処理された糸Yを、巻取装置21に向けて送るローラである。第4フィードローラ20は、巻取台9の下部に配置されている。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
【0045】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yに、仮撚装置15によって撚りが付与される。仮撚装置15によって形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15から下流では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって各フィラメントが波状に仮撚りされた状態が維持される。仮撚装置15によって仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、交絡装置17によって交絡が付与され、糸走行方向における下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱固定される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Yは、巻取装置21によって巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
【0046】
(巻取部4の構成)
次に、巻取部4の構成について
図2及び
図3を参照しつつ説明する。巻取部4は、
図3に示すように、糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する複数の巻取装置21と、複数の空ボビン供給装置23(本発明の空紙管供給装置)と、複数の貯留部24とを有する。複数の空ボビン供給装置23及び複数の貯留部24は、複数の巻取装置21のそれぞれに対して1つずつ設けられている。各巻取装置21は、巻取ボビンBwを回転自在に支持する単一のクレードル31を有する。クレードル31に支持されている巻取ボビンBwは、例えば、不図示のモータによって回転駆動される。巻取装置21は、巻取ボビンBwを回転駆動することにより、糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0047】
空ボビン供給装置23は、糸Yが巻き取られていない状態の空の巻取ボビンBwを巻取装置21に供給するための装置である。なお、空の巻取ボビンBw(以降、空ボビンBwと表記する)が本発明の空紙管に相当する。空ボビン供給装置23の詳細については後述する。
【0048】
貯留部24は、巻取装置21によって形成された満巻きの巻取パッケージPwを貯留させるものである。巻取パッケージPwが満巻きとなると、クレードル31に支持された巻取ボビンBwは、クレードル31が機台長手方向である回転軸を中心に回転することで、巻取装置21から取り外され、貯留部24に供給される。例えば、貯留部24は、巻取パッケージPwを最大3個貯留可能である。なお、巻取装置21による糸Yの巻き取りの途中で糸切れが起きた場合などにおいては、巻取パッケージPwは満巻きとなっていなくても貯留部24に供給されてもよい。
【0049】
(空ボビン供給装置23の構成)
次に、空ボビン供給装置23の構成について、
図4を参照しつつ説明する。空ボビン供給装置23は、巻取パッケージPwが巻取装置21から取り外されて貯留部24に供給された後に、空ボビンBwを巻取装置21に供給するための装置である。各空ボビン供給装置23は、4個の空ボビンBwを収容可能なストッカー部51と、第1センサ52と、第2センサ53と、先端部材54とを有する。
【0050】
ストッカー部51は、支持部材51aと、側壁51bとを有する。支持部材51aは、空ボビンBwを下方から支持する部材であって、機台幅方向の巻取装置21が配置されている側に向かって下方に傾斜している。支持部材51aは、の機台長手方向の長さが空ボビンBwの軸心に沿った長さよりも若干長くなるように形成されている。側壁51bは、支持部材51aの機台長手方向の一端部及び他端部から上向きに延びた部材である。なお、
図4では、支持部材51aに支持された空ボビンBwの紙面奥側の側壁51bのみ図示しているが、実際には空ボビンBwの紙面手前側にも側壁51bは設けられている。本実施形態において、ストッカー部51は、最大で4個の空ボビンBwを収容可能である。本実施形態において、ストッカー部51への空ボビンBwの補充は作業者によって手作業で行われる。作業者によってストッカー部51に補充された空ボビンBwは、下方に傾斜している支持部材51aに沿って機台幅方向の巻取装置21が配置されている側へと移動する。ストッカー部51に収容される1個目の空ボビンBwは、支持部材51aの傾斜に沿って移動し、ストッカー部51の機台幅方向の巻取装置21が配置されている側の端部に位置することとなる。1個目の空ボビンBwがストッカー部51に収容された状態で、さらに補充される2~4個目の空ボビンBwは、ストッカー部51の傾斜に沿って移動し、1個目の空ボビンBwの隣に2個目、3個目、4個目の空ボビンBwが順に位置することとなる。以降、巻取装置21に近い側から順番に、1個目の空ボビンBw、2個目の空ボビンBw、3個目の空ボビンBw、4個目の空ボビンBwと呼ぶ。
【0051】
第1センサ52は、支持部材51aの底面からわずかに上方に突出する検出片52aを有するマイクロスイッチである。また、第2センサ53は、支持部材51aの底面からわずかに上方に突出する検出片53aを有するマイクロスイッチである。第1センサ52は、空ボビンBwが検出片52aと接触しているときオンとなり、検出片52aと接触していないときオフとなる。第2センサ53は、空ボビンBwが検出片53aと接触しているときオンとなり、検出片53aと接触していないときオフとなる。なお、第1センサ52及び第2センサ53はマイクロスイッチに限られるものではなく、赤外線照射によって空ボビンBwを検知する赤外線センサなどでもよい。
【0052】
第1センサ52の検出片52aは、3個目の空ボビンBwが接触する位置に配置されている。したがって、第1センサ52がオンのときは、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が3個以上であることを示す。また、第1センサ52がオフのときは、空ボビンBwの収容数が2個以下であることを示す。すなわち、本実施形態の第1センサ52は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個以下であることを検知可能であり、本発明の第1センサに相当する。
【0053】
第2センサ53の検出片53aは、2個目の空ボビンBwが接触する位置に配置されている。したがって、第2センサ53がオンのときは、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個以上であることを示す。また、第2センサ53がオフのときは、空ボビンBwの収容数が1個以下であることを示す。すなわち、本実施形態の第2センサ53は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が1個以下であることを検知可能であり、本発明の第1センサに相当する。
【0054】
また、制御部40は、第2センサ53のオンオフの切り替えタイミングによって、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が1個であるか0個であるかを判別することが可能である。以下、制御部40が、第2センサ53の検知に基づいて、空ボビンBwの収容数を判別する仕組みについて説明する。
【0055】
空ボビン供給装置23から巻取装置21への空ボビンBwの供給は1個ずつ行われる。そして、一度、空ボビン供給装置23から巻取装置21に空ボビンBwが供給された後は、巻取パッケージPwが満巻きとなって巻取装置21から取り外されるまでは次の空ボビンBwの供給は行われない。例えば、制御部40は、空ボビン供給装置23から巻取装置21に空ボビンBwが供給されてから、巻取パッケージPwが満巻きとなって巻取装置21から取り外され、次の空ボビンBwが巻取装置21に供給されるまでの時間を予め所定時間として算出しておく。なお、所定時間は、制御部40によって算出されるものに限らず、作業者によって予め入力されるものであってもよい。
【0056】
制御部40は、第2センサ53がオフのときであって、且つ、直前の所定時間内にオンからオフに切り替わった場合、直前の所定時間内にストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個から1個となったと判断する。これにより、制御部40は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が1個であると判別することができる。
【0057】
一方で、制御部40は、第2センサ53がオフの状態が所定時間以上経過した場合、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個から1個となった後にさらに空ボビンBwが巻取装置21に供給され、収容数が0個となったと判断する。これにより、制御部40は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個であると判別することができる。したがって、本実施形態の第2センサ53は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個であることを検知可能であり、本発明の第2センサに相当する。
【0058】
なお、本実施形態において、第1センサ52が空ボビンBwを検知しておらず、第2センサ53が空ボビンBwを検知している場合、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個であることを検知することができる。
【0059】
先端部材54は、ストッカー部51の機台幅方向の巻取装置21が配置されている側の先端に設けられている。下方に傾斜した支持部材51aに沿って移動する空ボビンBwは、先端部材54と接触することで、ストッカー部51の巻取装置21が配置されている側の先端から巻取装置21に供給されることが規制される。
【0060】
空ボビン供給装置23から巻取装置21への空ボビンBwの供給の仕組みについて、以下に説明する。巻取装置21によって糸Yの巻き取り動作が行われているときは、空ボビン供給装置23は、先端部材54が空ボビンBwの移動を規制可能な待機位置にある(
図3参照)。巻取装置21によって形成された満巻きの巻取パッケージPwがクレードル31の回転により巻取装置21から取り外されると、空ボビン供給装置23は空ボビンBwを巻取装置21に供給するための供給位置に移動する。具体的には、空ボビン供給装置23が、ストッカー部51より下方の位置にある機台長手方向に沿った回転軸(不図示)を中心に回転することで、クレードル31が設けられた供給位置まで移動する。空ボビン供給装置23が供給位置に移動したことによって、先端部材54による空ボビンBwの規制は解除され、空ボビンBwはストッカー部51の巻取装置21が配置されている側の先端を通過してクレードル31に至る。そして、空ボビンBwは、クレードル31に支持される。以上によって、空ボビン供給装置23から巻取装置21への空ボビンBwの供給が完了する。なお、空ボビン供給装置23の回転は、不図示のモータによって駆動される。
【0061】
また、本実施形態に係る仮撚加工機1は、作業者に対して、ストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要があることを報知する報知動作を実行可能な報知部61を有する(
図5参照)。報知部61は、例えば、各空ボビン供給装置23と電気的に接続されたモニタである。報知部61は、ストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要がある旨をモニタに表示することにより報知動作を実行する。報知部61が報知動作を実行するタイミングについては後述する。
【0062】
(電気的構成)
図5は、仮撚加工機1の電気的構成を示すブロック図である。制御部40は、給糸部2、加工部3、巻取部4のそれぞれの構成要素の動作を制御する。
図5では、紙面の都合上、制御部40は、複数の巻取装置21及び複数の空ボビン供給装置23のうち、1つの巻取装置21及び1つの空ボビン供給装置23について接続されているが、実際には、他の巻取装置21及び空ボビン供給装置23とも接続されている。なお、複数の巻取装置21、複数の空ボビン供給装置23ごとに制御部40が設けられていてもよい。
【0063】
また、制御部40は、第1センサ52、第2センサ53及び報知部61と電気的に接続されている。空ボビン供給装置23に設けられた第1センサ52及び第2センサ53がオンであるかオフであるかの情報、すなわち、第1センサ52及び第2センサ53が空ボビンBwを検知したか否かの情報は制御部40に送られる。制御部40は、第1センサ52及び第2センサ53から送られた情報に基づいて、予め設定されたタイミングで報知部61に報知動作を実行させる。
【0064】
(報知動作)
以下、制御部40が、報知部61に報知動作を実行させるタイミングについて説明する。
【0065】
制御部40は、第1センサ52によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個以下であることが検知されたとき、ストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知するための報知信号を生成する。そして、制御部40は、報知信号を報知部61に送信することで、報知部61に報知動作を実行させる。
【0066】
また、制御部40は、第2センサ53によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が1個以下であることが検知されたとき、改めて報知信号を生成させる。そして、制御部40は、当該報知信号を報知部61に送信することで、報知部61に報知動作を再び実行させる。この場合において、制御部40は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個以下であることが検知されたときにおける報知部61の報知動作と、収容数が1個以下であることが検知されたときにおける報知部61の報知動作とを異ならせてもよい。具体的には、制御部40は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数に応じて、モニタである報知部61の表示を異ならせる。
【0067】
また、制御部40は、第2センサ53によってストッカー部51に空ボビンBwの収容数が0個であることが検知されたとき、優先報知信号を生成する。優先報知信号とは、複数の空ボビン供給装置23のそれぞれのストッカー部51のうちの何れかのストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個であると検知されたとき、空ボビンBwの収容数が0個であるストッカー部51について他のストッカー部51よりも優先して空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知するための報知信号である。そして、制御部40は、優先報知信号を報知部61に送信することで、報知部61に報知動作を実行させる。
【0068】
制御部40は、優先報知信号を送信した場合に報知部61に実行させる報知動作と、優先報知信号ではない通常の報知信号を送信した場合に報知部61に実行させる報知動作とを区別できるように、報知部61による報知動作を制御する。例えば、制御部40は、モニタである報知部61の表示を、優先報知信号を送信した場合と、通常の報知信号を送信した場合とで異ならせる。
【0069】
なお、上述したように、第1センサ52が空ボビンBwを検知しておらず、第2センサ53が空ボビンBwを検知している場合、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個であることを検知することができる。制御部40は、報知動作とは別に、ストッカー部51に収容される空ボビンBwの収容数が2個である旨の情報をモニタに表示させるように報知部61の動作を制御してもよい。また、制御部40は、第1センサ52によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が3個以上であることが検知されたとき、報知動作とは別に、空ボビンBwの収容数が3個以上である旨の情報をモニタに表示させるように報知部61の動作を制御してもよい。
【0070】
また、制御部40は、第2センサ53によってストッカー部51に空ボビンBwの収容数が0個であることが検知されたとき、当該ストッカー部51に対応する巻取装置21が満巻きの巻取パッケージPwを形成後に再び巻き取り動作を行わないように制御する。
【0071】
(効果)
本実施形態の仮撚加工機1では、制御部40は、第1センサ52及び第2センサ53によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が所定数以下であることが検知されたとき、ストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知する報知信号を生成する。本実施形態において、所定数は2、1又は0である。そして、制御部40は、報知信号を報知部61に送信することで、作業者に対してストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知する報知動作を報知部61に実行させる。これによれば、ストッカー部51への空ボビンBwの補充が作業者によって行われる場合において、複数の巻取装置21に対応する空ボビン供給装置23のすべてについて、作業者が空ボビンBwを補充するタイミングを報知部61の報知動作によって把握することが可能となる。これにより、空ボビン供給装置23のストッカー部51への空ボビンBwの補充のし忘れを抑制でき、巻取装置21による糸Yの巻き取りの失敗が生じることを抑制することができる。
【0072】
本実施形態では、空ボビン供給装置23は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個以下であることを検知する第1センサ52と、収容数が1個以下であることを検知する第2センサ53とを有する。これによれば、制御部40は、予めストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個になる前に報知信号を生成することができる。このため、ストッカー部51への空ボビンBwの補充の遅れを抑制できる。
【0073】
本実施形態では、空ボビン供給装置23は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個であることを検知する第2センサ53を有する。これによれば、ストッカー部51に収容された空ボビンBwが0個となった時に報知信号を生成することができる。このため、ストッカー部51に収容された空ボビンBwが0個となって、速やかに空ボビンBwの補充が必要である緊急性の高いタイミングを把握することが可能となる。
【0074】
本実施形態では、制御部40は、複数のストッカー部51のうちの何れかのストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個であると検知されたとき、空ボビンBwの収容数が0個であるストッカー部51について優先報知信号を生成する。これによれば、優先報知信号に基づいて空ボビンBwの補充を行うことで、複数のストッカー部51のうちの空ボビンBwの収容数が0個であるストッカー部51に優先的に空ボビンBwの補充を行うことができる。このため、空ボビン供給装置23から巻取装置21に空ボビンBwの供給が行われない状況となることを抑制することができる。
【0075】
本実施形態では、制御部40は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個であるとき、当該ストッカー部51に対応する巻取装置21が満巻きの巻取パッケージPwの形成後に再び巻き取り動作を行わないように制御する。これによれば、あるストッカー部51における空ボビンBwの収容数が0個となった場合に、そのストッカー部51に対応する巻取装置21が満巻きの巻取パッケージPwを形成後に巻き取り動作を再開することがない。このため、巻取ボビンBwがない状態で巻き取り動作を再開した巻取装置21に糸Yが絡まる不具合が生じることを回避することができる。
【0076】
本実施形態では、互いに異なる所定数について、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が所定数以下であることを検知する2つのセンサ(第1センサ52及び第2センサ)が設けられている。これによれば、2つのセンサを設けることで、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数をより詳細に把握することができる。したがって、どういうタイミングで空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知するかについて、現場の状況等に応じて自由に調整しやすくなる。
【0077】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。以下に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0078】
上記実施形態では、制御部40は、報知信号を報知部61に送信することで、報知動作を実行させる。しかしながら、制御部40は、報知信号を報知部61とは別の装置に送信するものでもよい。例えば、仮撚加工機101では、制御部140は、報知信号を空ボビン補充ロボット161(本発明の空紙管補充ロボット)に送信する(
図6参照)。空ボビン補充ロボット161は、ストッカー部51への空ボビンBwの補充動作を自動で実行可能な装置である。空ボビン補充ロボット161は、例えば、機台長手方向に沿って往復移動可能であり、ロボットアームやコンベアなどを動作させることによって各ストッカー部51に空ボビンBwを自動で補充可能なロボットである。制御部140は、空ボビン補充ロボット161に報知信号を送信することで空ボビンBwの補充動作を実行させる。この構成によれば、ストッカー部51への空ボビンBwの補充が空ボビン補充ロボット161によって自動で行われる場合において、補充動作のタイミングを適切に制御することができる。
【0079】
また、空ボビン補充ロボット161を有する仮撚加工機101において、空ボビン供給装置123は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数がストッカー部51の収容可能な最大数であることを検知する第3センサ154を有していてもよい(
図7参照)。第3センサ154の検出片154aは、4個目の空ボビンBwが接触する位置に配置されている。第3センサ154がオンのときは、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が4個であることを示す。また、第3センサ154がオフのときは、空ボビンBwの収容数が3個以下であることを示す。すなわち、第3センサ154は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が3個であることを検知可能であり、本発明の第1センサに相当する。また、第3センサ154は、空ボビンBwの収容数が収容可能な最大数の4個であることを検知可能であり、本発明の第3センサに相当する。
【0080】
制御部140は、第3センサ154によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が最大数であることが検知されたとき、空ボビン補充ロボット161が補充動作を実行しないように制御する。この構成によれば、ストッカー部51への空ボビンBwの補充が空ボビン補充ロボット161によって自動で行われる場合において、ストッカー部51に空ボビンBwが最大数収容されているときに補充動作が実行されることを防止できる。これにより、ストッカー部51から空ボビンBwが溢れてしまうことを防止することができる。
【0081】
また、制御部140は、空ボビン補充ロボット161に補充動作を実行させる際、第3センサ154によって空ボビンBwの収容数が最大数であることが検知されるまで、補充動作を継続させてもよい。これによると、ストッカー部51への空ボビンBwの補充が空ボビン補充ロボット161によって自動で行われる場合に、1回の補充動作で最大数の空ボビンBwを補充することができる。
【0082】
上記実施形態において、第3センサ154が設置されていてもよい。この場合、制御部40は、第3センサ154によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が最大数であることが検知されたとき、当該ストッカー部に空ボビンBwの補充を行うことができない旨を報知する動作を報知部61に実行させてもよい。
【0083】
上記実施形態において、第2センサ53は、ストッカー部51に空ボビンBwが1個以上収容されたときにおける、1個目の空ボビンBwを検知可能な位置に設置されていてもよい。この場合、第2センサ53は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が1個以上であること及び0個であることを検知するセンサである。すなわち、この場合の第2センサ53は、本発明の第2センサに相当する。
【0084】
また、本発明において、空ボビン供給装置23は、4つのセンサを有していてもよい。この場合、4つのセンサは、ストッカー部51に空ボビンBwが4個収容されたときにおける、1~4個目の空ボビンBwを検知可能な4つの位置に1つずつ設置される。また、空ボビン供給装置23は、1つのセンサのみ有していてもよい。
【0085】
上記実施形態において、制御部40は、第1センサ52によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個以下であることが検知されたときのみ、報知信号を生成してもよい。また、制御部40は、第2センサ53によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が1個以下であることが検知されたときのみ、報知信号を生成してもよい。さらに、制御部40は、第2センサ53によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が0個であることが検知されたときのみ、報知信号を生成してもよい。いずれにせよ、制御部40は、第1センサ52及び第2センサ53の一方又は両方によって、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が所定数以下となったことが検知されたとき、報知信号を生成し、報知部61に報知動作を実行させる。制御部40が報知信号を生成するタイミングは、仮撚加工機1あたりの空ボビン供給装置23の設置数や空ボビンBwの補充を行う作業員の人数といった現場の状況等に応じて、空ボビンBwの補充のし忘れが最も抑制できるタイミングが予め設定される。
【0086】
上記実施形態では、制御部40は、第2センサ53によってストッカー部51に空ボビンBwの収容数が0個であることが検知されたとき、優先報知信号を生成している。しかしながら、制御部40は、第2センサ53によってストッカー部51に空ボビンBwの収容数が0個であることが検知されたとき、優先報知信号ではない、通常の報知信号を生成してもよい。
【0087】
上記実施形態では、ストッカー部51は4個の空ボビンBwを収容可能である。しかしながら、ストッカー部51は、2個または3個の空ボビンBwを収容可能なものでもよく、5個以上の空ボビンBwを収容可能なものでもよい。また、センサは、ストッカー部51が収容可能な空ボビンBwの数に応じて設置されてもよい。例えば、ストッカー部51が2以上の数であるn個の空ボビンBwを収容可能なものである場合に、n個のセンサが設置されていてもよい。この場合、n個のセンサは、ストッカー部51に空ボビンBwがn個収容されたときにおける、1~n個目の空ボビンBwを検知可能なn箇所の位置に1つずつ設置される。また、ストッカー部51がn個の空ボビンBwを収容可能なものである場合において、1~n-1のうちの任意の数のセンサが設置されていてもよい。
【0088】
上記実施形態では、報知部61は、各空ボビン供給装置23と電気的に接続されたモニタである。しかしながら、報知部61は、例えば、各空ボビン供給装置23に取り付けられたランプであってもよい。この場合、制御部40は、報知信号を報知部61に送信することで、空ボビンBwの収容数が所定数以下となったストッカー部51に対応する報知部61のランプを点灯させる。作業員は、点灯したランプに対応する空ボビン供給装置23のストッカー部51に空ボビンBwの補充が必要であることを把握することができる。なお、制御部40は、報知部61に優先報知信号を送信した場合と、優先報知信号ではない通常の報知信号を送信した場合とで、報知部61が点灯するランプの色を異ならせてもよい。これにより、報知部61の報知動作について、優先報知信号を受信して行われたものであるか、優先報知信号ではない通常の報知信号を受信して行われたものであるかを区別することができる。
【0089】
また、報知部61は、例えば、音声を発する装置であってもよい。この場合、報知部61は、各空ボビン供給装置23に取り付けられていてもよく、複数の空ボビン供給装置23に共通する1つの報知部61であってもよい。報知部61が各空ボビン供給装置23に取り付けられている場合、制御部40は、報知信号を報知部61に送信することで、空ボビンBwの収容数が所定数以下となったストッカー部51に対応する報知部61に音声を発生させる。報知部61が複数の空ボビン供給装置23に共通する1つの報知部61である場合、制御部40は、報知信号を報知部61に送信することで、どのストッカー部51が空ボビンBwの収容数が所定数以下となったストッカー部51であるかについて報知する音声を報知部61に発生させる。なお、制御部40は、報知部61に優先報知信号を送信した場合と、優先報知信号ではない通常の報知信号を送信した場合とで、報知部61が発する音声パターンを異ならせてもよい。これにより、報知部61の報知動作について、優先報知信号を受信して行われたものであるか、優先報知信号ではない通常の報知信号を受信して行われたものであるかを区別することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 仮撚加工機
21 巻取装置
23 空ボビン供給装置(空紙管供給装置)
40 制御部
51 ストッカー部
52 第1センサ
53 第2センサ
101 仮撚加工機
123 空ボビン供給装置(空紙管供給装置)
140 制御部
154 第3センサ
161 空ボビン補充ロボット(空紙管補充ロボット)
Pw 巻取パッケージ
Y 糸
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の目的は、作業者や自動ロボット等による空紙管供給装置への空紙管の補充のし忘れを抑制し、巻取装置による糸の巻き取りの失敗が生じることを抑制することができる仮撚加工機を提供することである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明によれば、ストッカー部への空紙管の補充は、報知信号に基づいて行えばよいため、複数の巻取装置に対応する空紙管供給装置のすべてについて、空紙管を補充するタイミングを把握することが可能となる。これにより、作業者や自動ロボット等による空紙管供給装置への空紙管の補充のし忘れを抑制でき、巻取装置による糸の巻き取りの失敗が生じることを抑制することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
ストッカー部51は、支持部材51aと、側壁51bとを有する。支持部材51aは、空ボビンBwを下方から支持する部材であって、機台幅方向の巻取装置21が配置されている側に向かって下方に傾斜している。支持部材51aは、
機台長手方向の長さが空ボビンBwの軸心に沿った長さよりも若干長くなるように形成されている。側壁51bは、支持部材51aの機台長手方向の一端部及び他端部から上向きに延びた部材である。なお、
図4では、支持部材51aに支持された空ボビンBwの紙面奥側の側壁51bのみ図示しているが、実際には空ボビンBwの紙面手前側にも側壁51bは設けられている。本実施形態において、ストッカー部51は、最大で4個の空ボビンBwを収容可能である。本実施形態において、ストッカー部51への空ボビンBwの補充は作業者によって手作業で行われる。作業者によってストッカー部51に補充された空ボビンBwは、下方に傾斜している支持部材51aに沿って機台幅方向の巻取装置21が配置されている側へと移動する。ストッカー部51に収容される1個目の空ボビンBwは、支持部材51aの傾斜に沿って移動し、ストッカー部51の機台幅方向の巻取装置21が配置されている側の端部に位置することとなる。1個目の空ボビンBwがストッカー部51に収容された状態で、さらに補充される2~4個目の空ボビンBwは、ストッカー部51の傾斜に沿って移動し、1個目の空ボビンBwの隣に2個目、3個目、4個目の空ボビンBwが順に位置することとなる。以降、巻取装置21に近い側から順番に、1個目の空ボビンBw、2個目の空ボビンBw、3個目の空ボビンBw、4個目の空ボビンBwと呼ぶ。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
第2センサ53の検出片53aは、2個目の空ボビンBwが接触する位置に配置されている。したがって、第2センサ53がオンのときは、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が2個以上であることを示す。また、第2センサ53がオフのときは、空ボビンBwの収容数が1個以下であることを示す。この場合の第2センサ53は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が所定数である1個以下であることを検知可能であり、本発明の第1センサと見なされることが可能である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
本実施形態の仮撚加工機1では、制御部40は、第1センサ52及び第2センサ53によってストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が所定数以下であることが検知されたとき、ストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知する報知信号を生成する。本実施形態において、所定数は2、1又は0である。そして、制御部40は、報知信号を報知部61に送信することで、作業者に対してストッカー部51に空ボビンBwを補充する必要がある旨を報知する報知動作を報知部61に実行させる。これによれば、ストッカー部51への空ボビンBwの補充が作業者によって行われる場合において、複数の巻取装置21に対応する空ボビン供給装置23のすべてについて、作業者が空ボビンBwを補充するタイミングを報知部61の報知動作によって把握することが可能となる。これにより、作業者や自動ロボット等による空ボビン供給装置23のストッカー部51への空ボビンBwの補充のし忘れを抑制でき、巻取装置21による糸Yの巻き取りの失敗が生じることを抑制することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
(変形例)
以下に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
また、空ボビン補充ロボット161を有する仮撚加工機101において、空ボビン供給装置123は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数がストッカー部51の収容可能な最大数であることを検知する第3センサ154を有していてもよい(
図7参照)。第3センサ154の検出片154aは、4個目の空ボビンBwが接触する位置に配置されている。第3センサ154がオンのときは、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が4個であることを示す。また、第3センサ154がオフのときは、空ボビンBwの収容数が3個以下であることを示す。
この場合の第3センサ154は、ストッカー部51に収容された空ボビンBwの収容数が
所定数である3個
以下であることを検知可能であり、本発明の第1センサ
と見なされることが可能である。また、第3センサ154は、空ボビンBwの収容数が収容可能な最大数の4個であることを検知可能であり、本発明の第3センサに相当する。