(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183994
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】炭酸飲料用プラスチックボトルおよび炭酸飲料製品
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20221206BHJP
B65D 85/72 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D85/72 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091572
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大住 裕一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 彩乃
【テーマコード(参考)】
3E033
3E035
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033CA05
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC03
3E033DD05
3E033EA07
3E033FA03
3E033GA02
3E035AA03
3E035BA04
3E035BC02
3E035BD02
3E035CA03
(57)【要約】
【課題】従来の炭酸飲料製品の外観と明確に差別化しうる外観を実現しうる炭酸飲料用プラスチックボトルおよび炭酸飲料製品を実現する。
【解決手段】表面が複数の多角形面51により構成される凹凸部5を備え、凹凸部5は、隣接する二つの多角形面51の一つの境界に形成される峰部52と、隣接する二つの多角形面51の他の境界に形成される谷部53と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が複数の多角形面により構成される凹凸部を備え、
前記凹凸部は、隣接する二つの前記多角形面の一つの境界に形成される峰部と、隣接する二つの前記多角形面の他の境界に形成される谷部と、を有する炭酸飲料用プラスチックボトル。
【請求項2】
回転対称性が1回対称または2回対称である請求項1に記載の炭酸飲料用プラスチックボトル。
【請求項3】
前記凹凸部の上下方向の長さは、3mm以上である請求項1または2に記載の炭酸飲料用プラスチックボトル。
【請求項4】
底面を基準とする口部の先端の高さを全高とし、前記全高の7~92%の領域に少なくとも一つの前記凹凸部が設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の炭酸飲料用プラスチックボトル。
【請求項5】
内容量が160~1800mLであり、前記内容量に対する重量の比率が0.014~0.20g/mLである請求項1~4のいずれか一項に記載の炭酸飲料用プラスチックボトル。
【請求項6】
プラスチックボトルに炭酸飲料が充填されている炭酸飲料製品であって、
内圧が0.08MPaG以上であり、
表面が複数の多角形面により構成される凹凸部を備え、
前記凹凸部は、隣接する二つの前記多角形面の一つの境界に形成される峰部と、隣接する二つの前記多角形面の他の境界に形成される谷部と、を有する炭酸飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸飲料用プラスチックボトルおよび炭酸飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料を充填するための容器として、プラスチックボトルが汎用されており、かかるプラスチックボトルに炭酸飲料が充填された炭酸飲料製品が広く流通している。
【0003】
炭酸飲料を充填して密封した容器の内部には、炭酸飲料に溶解している炭酸ガスに起因して、大気圧より高い内圧が生じる。そのため、プラスチックボトルの形状を、内圧に耐えうる形状にする必要がある。たとえば特開2012-121617号公報(特許文献1)および特開2008-62944号公報(特許文献2)には、胴部が円筒状に形成されたプラスチックボトルが開示されている。胴部が円筒状であると、その断面が円形であるため内圧が均等に作用するので、内圧に対する耐力を有するボトルを実現しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-121617号公報
【特許文献2】特開2008-62944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、市場に流通している炭酸飲料製品のほとんどが、特許文献1および特許文献2に例示されるような、胴部が円筒状に形成されたプラスチックボトルに充填されている。表面にパターンを形成するなどの措置が施されて外観上の差別化が意図された炭酸飲料製品は存在するが、そのような措置が施されたものを含むほとんどの製品は、回転体としての輪郭を有する外観を有していた。そのため、炭酸飲料製品の外観を、他の炭酸飲料製品の外観と明確に差別化しうる態様にすることが難しかった。
【0006】
そこで、従来の炭酸飲料製品の外観と明確に差別化された外観を実現しうる炭酸飲料用プラスチックボトルおよび炭酸飲料製品の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルは、表面が複数の多角形面により構成される凹凸部を備え、前記凹凸部は、隣接する二つの前記多角形面の一つの境界に形成される峰部と、隣接する二つの前記多角形面の他の境界に形成される谷部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る炭酸飲料製品は、プラスチックボトルに炭酸飲料が充填されている炭酸飲料製品であって、内圧が0.08MPaG以上であり、表面が複数の多角形面により構成される凹凸部を備え、前記凹凸部は、隣接する二つの前記多角形面の一つの境界に形成される峰部と、隣接する二つの前記多角形面の他の境界に形成される谷部と、を有することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、炭酸飲料製品の容器(プラスチックボトル)の少なくとも一部に、複数の多角形面によって峰部と谷部とが形成された凹凸部を実現できる。この凹凸部は、回転体状としての輪郭を有する従来の炭酸飲料製品の外観とは明確に異なる。これによって、炭酸飲料製品の外観を、従来の炭酸飲料製品の外観と明確に差別化しうる。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルは、一態様として、回転対称性が1回対称または2回対称であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、炭酸飲料用プラスチックボトルの形状を回転対称性が比較的低い形状にすることによって、回転体状としての輪郭を有する従来の炭酸飲料製品の外観と一層差別化しうる外観を実現できる。
【0013】
本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルは、一態様として、前記凹凸部の上下方向の長さは、3mm以上であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、凹凸部の上下方向の長さをある程度以上長くすることによって、消費者が炭酸飲料用プラスチックボトルまたはこれに充填された炭酸飲料製品を手に取ったときに凹凸部が消費者の手のひらに当たりやすくなる。これによって、凹凸部の外観による視覚効果に加えて、触感によっても従来の炭酸飲料製品と差別化しうる。
【0015】
本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルは、一態様として、底面を基準とする口部の先端の高さを全高とし、前記全高の7~92%の領域に少なくとも一つの前記凹凸部が設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ボトルの全高(全長)に対する中央部分に凹凸部が設けられるので、消費者が炭酸飲料用プラスチックボトルまたはこれに充填された炭酸飲料製品を手に取ったときに凹凸部が消費者の手のひらに当たりやすくなる。これによって、凹凸部の外観による視覚効果に加えて、触感によっても従来の炭酸飲料製品と差別化しうる。
【0017】
本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルは、一態様として、内容量が160~1800mLであり、前記内容量に対する重量の比率が0.014~0.20g/mLであることが好ましい。
【0018】
上記に特定される内容量および比率の範囲は、耐圧性の要求が特に厳しい範囲であるので、回転体を逸脱したプラスチックボトルを採用することが特に難しい。そのため、上記の内容量および比率の範囲に属するプラスチック容器については、上記の凹凸部を設けることによる外観の差別化が特に顕著である。
【0019】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】
図1において二点鎖線IIで示した領域の部分拡大図である。
【
図3】
図2に図示した領域を他の角度から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルおよび炭酸飲料製品の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルを、炭酸水(炭酸飲料の例)を充填する用途に供されるプラスチックボトル1(以下、単にボトル1と称する。)に適用した例について説明する。なお、プラスチックボトル1に炭酸水が充填された炭酸水製品は、本発明に係る炭酸飲料製品の例である。
【0022】
〔ボトルの構成〕
ボトル1は、概して有底筒状に形成された容器であり、液体(炭酸水)の注ぎ口として機能する口部2と、ボトル1の接地部分として機能する底部4と、口部2と底部4との間に延在する胴部3と、を有する(
図1)。なお、以下の説明における「上下」は、ボトル1の口部2側を「上」、底部4側を「下」と定義するものとする。
【0023】
口部2の外表面には、キャップ(不図示)と螺合可能な雄ねじ部21が形成されている。
【0024】
胴部3は、上側に形成されている凹凸部5と、下側に形成されている平滑部6と、を有する。このうち平滑部6は、その大部分が、表面が平滑な曲面61として形成された部分であり、平滑部6におけるボトル1の形状は略円筒状である。平滑部6(曲面61)は、ロールラベルを貼付可能な部位として機能する。なお、凹凸部5については後述する。
【0025】
底部4は、炭酸ガスによる内圧上昇に耐えるため、接地部が点在する複雑な凹凸形状(いわゆるペタロイド形状)を有するとともに、他の部位より分厚く形成されている。
【0026】
ボトル1は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、二軸延伸ブロー成形などの延伸成形法によって一体的に成形できる。ボトル1の容量は特に限定されず、一般的に流通している160mL、280mL、350mL、500mLなど、100mL~2L程度とすることができる。ボトル1の容量は、160~1800mLであることが好ましく、350~700mLであることがより好ましく、480~550mLであることがさらに好ましい。
図1では、ボトル1の満容量が534mLである例を図示しており、飲料製品として流通する態様ではボトル1に510mLの炭酸水が充填される。
【0027】
ボトル1を製造する際に用いられるプリフォームは、上記の容量のボトル1を形成する際に通常用いられるものでありうる。ただし、当該プリフォームは、重量が23~38gであることが好ましく、28~31gであることがより好ましい。ここで、ボトル1の重量は製造時に用いられたプリフォームの重量に対応する。ボトル1の容量に対するボトル1の重量の比率は、0.014~0.20g/mLであることが好ましく、0.017~0.15g/mLであることがより好ましく、0.020~0.10g/mLであることがさらに好ましい。
【0028】
〔凹凸部の構成〕
凹凸部5は、表面が複数の多角形面51により構成された部分である。多角形面51としては、三角形の面51a、四角形の面51b、五角形の面51cなどが混在しており、これによって、氷山のような印象を与えうる外観が実現されている。多角形面51は、その頂点の数によらず、いずれも平面状に形成されている。すなわち凹凸部5は、複数の平面から構成されている。
【0029】
凹凸部5において、二つの多角形面51の境界には、峰部52または谷部53が形成されている。峰部52は、隣接する二つの多角形面51が、ボトル1の外側に凸の境界を形成している部分である。反対に谷部53は、隣接する二つの多角形面51が、ボトル1の内側に凸の境界を形成している部分である。凹凸部5は、峰部52と谷部53とが不規則に繰り返される構造によって、上記の氷山状の外観を呈している。
【0030】
図2および
図3を用いて、多角形面51、ならびに峰部52および谷部53の部分構造を説明する。
図2は、
図1中に二点鎖線IIで示した箇所の拡大図である。
図3は、
図2に示した部位を、第二多角形面512に沿う方向(
図2の矢印III)で
図2の右側方向から観察した図である。なお、
図2および
図3において、峰部52を太い線で、谷部53を細い線で、それぞれ示している。
【0031】
図2および
図3に示すように、二つの多角形面51(第一多角形面511および第二多角形面512)とは、谷部531を介して隣接している。ボトル1に炭酸水が充填されると、内圧(たとえば3.8MPaG。なお、単位「MPaG」はゲージ圧を表す。)によって、第一多角形面511と第二多角形面512とを外側に押し広げようとする力Fが働く(
図3)。しかし、第一多角形面511と第二多角形面512とが形成する角θは、第一多角形面511と第二多角形面512との間に存在する峰部521およびその延長線521aによって規制されている。したがって、内圧によって第一多角形面511と第二多角形面512とを外側に押し広げる力Fが作用する状況下においても、峰部52および谷部53を有する凹凸部5の構造が維持される。これによって、ボトル1に炭酸水を充填した状態であっても、氷山のような印象を与えうる外観が維持される。
【0032】
このように、隣接する二つの多角形面511、512と、当該二つの多角形面511、512の間に少なくとも部分的に延在する峰部521(構造体の例)とが一体となって、止め構造7を形成している。止め構造7は、上述のように、当該止め構造7を有する部分に二つの多角形面511、512を外側に押し広げようとする力F(たとえば内圧による。)が作用する状況下において、二つの多角形面511、512が離間する方向に動くことを抑制する。ここで、峰部521は、第一多角形面511および第二多角形面512とは異なる第三多角形面と第四多角形面との境界に形成されている。このように、構造体が形成される境界を画定する二つの多角形面のうちの少なくとも一つは、第一多角形面および第二多角形面とは異なる。
【0033】
なお、本実施形態では、上記に説明した止め構造7と同様の止め構造が、凹凸部5の軸心まわりに等間隔に三か所設けられている。これによって、ボトル1に対して、内圧に対する耐力を周方向に均等に付与できる。このように、止め構造が凹凸部の軸心周りに等間隔に設けられていることが好ましい。
【0034】
凹凸部5における多角形面51、ならびに峰部52および谷部53の配置は特に限定されないが、比較的対称性の低い配置のほうが、氷山様の印象がより強まるため好適である。具体的には、ボトル1の全体の回転対称性が、1回対称または2回対称であることが好ましい。ここで、1回対称とは、回転非対称の形状を表し、2回対称とは、ある軸の周りに180°回転させたときに回転前の形状と一致するような形状を表す。このように、凹凸部5が比較的対称性の低い構造を有することによって、ボトル1が有する氷山様の印象が強くなりうる。なお、上記の回転対称軸は、ボトル1の全体について考慮されるものであり、典型的にはボトル1の口部と底部との中心同士を結ぶ直線(仮想線)でありうる。特に炭酸飲料用の従来のプラスチックボトルでは、内圧に対する耐力を付与する観点から、口部と底部との中心同士を結ぶ直線に関して回転対称性が高い形状(たとえば略円筒状、略六角柱状、略八角柱状など)が採用される場合が多かった。
【0035】
本実施形態において、凹凸部5の上下方向の長さLは、92mmである。このように、凹凸部5の上下方向の長さLを3mm以上にすることが好ましい。これは、凹凸部5の上下方向の長さLをある程度以上長くすることによって、消費者が炭酸飲料を手に取ったときに凹凸部5が消費者の手のひらに当たりやすくなり、凹凸部5の外観による視覚効果に加えて触感によっても氷山様の印象を与えうるためである。また、消費者がボトル1を開栓するときに、凹凸部5が手にひっかかることによってキャップを回す力を加えやすくなり、開栓が容易になる。なお、ボトル1の全長(上下方向の長さ)L0は214mmであり、したがってボトル1の全長L0に対する凹凸部5の上下方向の長さLの割合は47%である。凹凸部5の上下方向の長さLは、10mm以上であることがより好ましく、30mm以上であることがさらに好ましい。
【0036】
また、本実施形態では、凹凸部5は底面(底部4の最下面)を基準とする口部2の先端の高さを全高(すなわち全長L0)としたときに、当該全高の45~92%の領域に凹凸部5が設けられている。このように、全高の7~92%の領域に少なくとも一つの凹凸部5が設けられていると、消費者が炭酸飲料を手に取ったときに凹凸部5が消費者の手のひらに当たりやすくなるため、好ましい。凹凸部5は、ボトル1の全高の15~80%の領域に少なくとも一つ設けられていることがより好ましく、30~70%の領域に少なくとも一つ設けられていることがさらに好ましい。なお、凹凸部5は、上記の好ましい領域の内外にまたがって設けられていてもよい。
【0037】
なお、凹凸部5の一部にはロゴパネル54が設けられている。ロゴパネル54には、製品名や企業名などが、凹凸加工、印刷、およびラベル貼付などの公知の方法によって表示されうる。
【0038】
〔炭酸水製品の構成〕
本実施形態に係る炭酸水製品は、ボトル1に510mLの炭酸水を充填して、口部2をキャップで封止したものである。炭酸水に溶解している炭酸ガスに起因して、炭酸水製品の内圧は0.08MPaG以上になる。前述のように、ボトル1に炭酸水を充填した状態(すなわち炭酸水製品の態様)であっても、峰部52および谷部53を有する凹凸部5の構造が維持されている。
【0039】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルおよび炭酸飲料製品のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0040】
上記の実施形態では、凹凸部5の表面を構成する複数の多角形面51が、氷山のような印象を与えうる外観を実現しうる態様で配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る凹凸部は、表面が複数の多角形面により構成される限度において、意図される外観の印象は制限されない。ただし、いずれの態様においても、凹凸部は峰部および谷部の双方を有する。
【0041】
上記の実施形態では、凹凸部5が胴部3の上側の一箇所に設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルにおいて、凹凸部の数および設けられる位置は限定されない。たとえば、複数の凹凸部が分散して設けられていてもよい。
【0042】
上記の実施形態では、凹凸部5に止め構造7が形成されており、当該止め構造7によって内圧に対する耐力が付与されている構成を例として説明した。すなわち、本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルは、前記凹凸部に、峰部または谷部を画定する二つの面と、前記二つの面の間に少なくとも部分的に延在する構造体と、を有する止め構造が形成されている、上記のいずれかの構成の炭酸飲料用プラスチックボトルでありうる。しかし、本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルにおいて、凹凸部に止め構造が設けられていなくてもよく、たとえば、少なくとも凹凸部を従来のプラスチックボトルに比べて肉厚に形成することによって、内圧に対する耐力を付与してもよい。この場合、プラスチックボトル全体を省資源化する観点から、凹凸部のみを選択的に肉厚に形成することが好ましい。そのような構成は、たとえば、プラスチックボトルの原料として用いるプリフォームにおいて、凹凸部が形成される予定の部位の肉厚を他の部位の肉厚より厚くすることによって実現されうる。また、止め構造が設けられる場合、止め構造は一箇所でも複数箇所でもよく、所望の構造に応じて適宜採用される。
【0043】
上記の実施形態では、炭酸水を充填する用途に供されるボトル1を例として本発明を説明した。しかし、本発明に係る炭酸飲料用プラスチックボトルに充填される炭酸飲料は炭酸水に限定されず、したがって、甘味料、酸味料、フレーバリングなどの炭酸飲料に通常添加されうる任意の成分を含んでいてもよい。これに対応して、本発明に係る炭酸飲料製品は、炭酸水製品に限定されず、上記のように添加されうる成分に対応した風味を有する炭酸飲料製品であってもよい。
【0044】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、たとえば炭酸飲料を充填して流通および販売に供するための炭酸飲料用プラスチックボトルに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 :プラスチックボトル
2 :口部
21 :雄ねじ部
3 :胴部
4 :底部
5 :凹凸部
51 :多角形面
511 :第一多角形面
512 :第二多角形面
52 :峰部
53 :谷部
54 :ロゴパネル
511 :多角形面
512 :多角形面
521 :峰部
521a :延長線
531 :谷部
6 :平滑部
61 :曲面
7 :止め構造