IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 関西電力株式会社の特許一覧

特開2022-183996風力発電設備の点検方法および無人点検装置
<>
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図1
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図2
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図3
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図4
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図5
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図6
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図7
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図8
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図9
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図10
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図11
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図12
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図13
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図14
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図15
  • 特開-風力発電設備の点検方法および無人点検装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183996
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】風力発電設備の点検方法および無人点検装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20221206BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20221206BHJP
   F03D 80/30 20160101ALI20221206BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20221206BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20221206BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D1/06 A
F03D80/30
G01R31/54
G01R31/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091575
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 恵
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 隆一
【テーマコード(参考)】
2G014
3H178
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA13
2G014AB08
2G014AB33
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB43
3H178BB56
3H178CC02
3H178DD12Z
3H178DD51X
(57)【要約】
【課題】風力発電設備のブレードに設けられたレセプタを用いた導通点検を安全に行なう技術を提供する。
【解決手段】風力発電設備のブレードに設けられたレセプタを用いた導通点検を安全に行なう無人点検装置100は、レーザー発光装置およびカメラを備えたドローン101と、ドローン101を保護するためのガード102と、無人点検装置100の前方にレーザー光を照射するレーザー発光装置430と、無人点検装置100の前方を撮影するカメラ440と、衝撃を吸収する緩衝機構410,411と、緩衝機構410,411に取り付けられた接点用器具300とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機と、前記無人航空機を保護するガードと、前記ガードの外部に取り付けられた接点用器具と、前記接点用器具を介して電流を供給するための供給手段とを備える無人点検装置を、風力発電設備の風車を構成するブレードのうちの、落雷による電流を大地に流すための受雷部が設けられた部分の近傍に飛行させるステップと、
前記接点用器具を前記受雷部に接触させるステップと、
前記供給手段から前記接点用器具を介して電流を前記受雷部に供給するステップと、
前記電流が前記受雷部に供給されたことに基づいて、前記ブレードから前記大地までの抵抗値を測定するステップとを含む、風力発電設備の点検方法。
【請求項2】
前記無人点検装置は、前記接点用器具と前記ガードとの間に複数の緩衝機構を備え、
前記点検方法は、前記接点用器具と前記受雷部との接触領域が多くなるように、前記複数の緩衝機構のいずれかの緩衝機構の長さを他の緩衝機構よりも短くするステップをさらに含む、請求項1に記載の風力発電設備の点検方法。
【請求項3】
前記受雷部が設けられたブレードの表面と前記ガードに取り付けられた前記接点用器具の表面とが平行になるように、前記無人航空機に対する前記ガードの傾きを調整するステップをさらに含み、
前記無人点検装置を飛行させるステップは、前記ガードの傾きが調整された前記無人点検装置を飛行させるステップを含む、請求項1に記載の風力発電設備の点検方法。
【請求項4】
前記接点用器具は、導電性を有する格子状部材を含み、
前記無人点検装置は、前記接点用器具の方向に光を発する発光装置と、前記格子状部材の範囲を撮影できるカメラと、モニタを有する端末と通信するための通信手段とをさらに備え、
前記点検方法は、
前記接点用器具の方向に光を発するステップと、
前記接点用器具の前記格子状部材を撮影するステップと、
前記撮影により得られた画像を前記端末に送信するステップとをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の風力発電設備の点検方法。
【請求項5】
前記接点用器具を前記受雷部に接触させる前に、前記受雷部をクリーニングするステップをさらに備える、請求項1~4のいずれかに記載の風力発電設備の点検方法。
【請求項6】
無人航空機と、
前記無人航空機を保護するためのガードと、
前記ガードの外部に配置された導電性の接点用器具と、
前記無人航空機を制御するための制御装置と、
前記ガードの内側に配置されて前記接点用器具を介して、風力発電設備の風車を構成するブレードのうちの、落雷による電流を大地に流すための受雷部に電流を供給するための供給手段とを備える、風力発電設備の無人点検装置。
【請求項7】
前記無人点検装置は、前記接点用器具と前記ガードとの間に複数の緩衝機構を備え、
前記複数の緩衝機構のうちのいずれかの緩衝機構は、他の緩衝機構よりも短い、請求項6に記載の風力発電設備の無人点検装置。
【請求項8】
前記受雷部が設けられたブレードの表面と前記ガードに取り付けられた前記接点用器具の表面とが平行になるように、前記ガードは、前記無人航空機に取り付けられている、請求項6に記載の風力発電設備の無人点検装置。
【請求項9】
前記接点用器具は、導電性を有する格子状部材を含み、
前記無人点検装置は、
前記接点用器具の方向に光を発する発光装置と、
前記格子状部材の範囲を撮影できるカメラと、
モニタを有する端末と通信するための通信手段とをさらに備え、
前記制御装置は、
前記接点用器具の方向に光を発するように前記発光装置を制御し、
前記接点用器具の前記格子状部材を撮影するように前記カメラを制御し、
前記撮影により得られた画像を前記端末に送信させる、請求項6~8のいずれかに記載の風力発電設備の無人点検装置。
【請求項10】
前記受雷部を洗浄するための洗浄手段をさらに備える、請求項6~9のいずれかに記載の無人点検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風力発電設備を点検する技術に関し、より特定的には、無人航空機を用いて風力発電設備を点検する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上風力発電は、今後導入や拡大が期待される再生可能エネルギーを供給するための設備の筆頭である。風力発電設備が設置される候補地によっては、当該風力発電設備に対する落雷の可能性があり、実際に落雷の被害が増えている場所もある。落雷の被害は、ブレードに多く発生し、被災したブレードの修理または取り替えは、多額の費用を要し、また、発電の停止する期間も長期に及ぶ。
【0003】
ブレードの耐雷対策として、雷撃電流を大地に流すための受雷部(レセプタ)がブレード先端等に取り付けられている。このレセプタが取り付けられた風力発電設備の健全性を確認するために、検査員が当該レセプタまでロープワークで移動し、持参したテスターで導通点検を行なっていた。この方法では、高所作業に伴う墜落災害が発生する恐れがあり、また、風力発電設備が設置されていることからも明らかなように、相応の(風速がある)風が吹くため、作業の安定性を欠き、健全性の確認に時間を要している。
【0004】
レセプタの点検方法に関し、例えば、特開2017-151018号公報(特許文献1)は、「風車翼のレセプタの導通検査を簡易的に行うことが可能な風車レセプタの検査方法」を開示している。特許文献1に開示された技術によれば、「風車のハブに取り付けられた状態の風車翼2のレセプタ12に対してUAV(Unmanned Aerial Vehicle)20を接近させ、レセプタ12の導通検査を行うステップを備える。風車翼2に取り付けられるレセプタの検査において、UAVを用いることで、ハブに取り付けられた状態の風車翼のレセプタに容易に接近することができ、レセプタの導通検査を簡易的に行うことが可能になる。このため、高所作業車等を用いて導通検査を行う場合に比べて、検査時間の短縮化が可能となり、また検査コストの削減も図れる。」というものである([要約]参照)。
【0005】
また、特開2021-47026号公報(特許文献2)は、「無人航空機を使った高所における導通検査作業をより高い信頼性で実施可能とする」技術を開示している。特許文献2に開示された技術によれば、「無人航空機を用いた導通検査システムであって、前記無人航空機は、水平回転翼と、導電性の接点部材と、前記接点部材を機外に保持する接点支持部と、前記接点部材を回転または往復動させる接点駆動部と、機外に延出する電線と、を有し、前記接点部材と前記電線とは電気的に接続されていることを特徴とする導通検査システムにより解決する。」というものである([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-151018号公報
【特許文献2】特開2021-47026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術によれば、「風車翼の先端部」に設けられたレセプタを点検することができるが、風車翼(以下「ブレード」ともいう。)に埋め込まれたレセプタを点検することができない。また、特許文献2に開示された技術によれば、接点部材を回転または振動させるための動力が必要になり無人航空機の飛行時間が短くなる恐れがあり、点検に割り当てられる時間も結果として短くなる恐れがある。したがって、飛行時間を短くすることなく、ブレードに埋め込まれたレセプタの導通点検を行なう技術が必要とされている。
【0008】
本開示は、上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面に従うと、ブレードに埋め込まれたレセプタの導通点検を行なう技術が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施の形態に従うと、風力発電設備の点検方法が提供される。この点検方法は、無人航空機と、無人航空機を保護するガードと、ガードの外部に取り付けられた接点用器具と、接点用器具を介して電流を供給するための供給手段とを備える無人点検装置を、風力発電設備の風車を構成するブレードのうちの、落雷による電流を大地に流すための受雷部が設けられた部分の近傍に飛行させるステップと、接点用器具を受雷部に接触させるステップと、供給手段から接点用器具を介して電流を受雷部に供給するステップと、電流が受雷部に供給されたことに基づいて、ブレードから大地までの抵抗値を測定するステップとを含む。
【0010】
ある局面に従う点検方法において、無人点検装置は、接点用器具とガードとの間に複数の緩衝機構を備える。点検方法は、接点用器具と受雷部との接触領域が多くなるように、複数の緩衝機構のいずれかの緩衝機構の長さを他の緩衝機構よりも短くするステップをさらに含む。
【0011】
ある局面に従うと、点検方法は、受雷部が設けられたブレードの表面とガードに取り付けられた接点用器具の表面とが平行になるように、無人航空機に対するガードの傾きを調整するステップをさらに含む。無人点検装置を飛行させるステップは、ガードの傾きが調整された無人点検装置を飛行させるステップを含む。
【0012】
ある局面に従う点検方法において、接点用器具は、導電性を有する格子状部材を含む。無人点検装置は、接点用器具の方向に光を発する発光装置と、格子状部材の範囲を撮影できるカメラと、モニタを有する端末と通信するための通信手段とをさらに備える。点検方法は、接点用器具の方向に光を発するステップと、接点用器具の格子状部材を撮影するステップと、撮影により得られた画像を端末に送信するステップとをさらに含む。
【0013】
ある局面に従うと、点検方法は、接点用器具を受雷部に接触させる前に、受雷部をクリーニングするステップをさらに備える。
【0014】
他の実施の形態に従うと、風力発電設備の無人点検装置が提供される。この無人点検装置は、無人航空機と、無人航空機を保護するためのガードと、ガードの外部に配置された導電性の接点用器具と、無人航空機を制御するための制御装置と、ガードの内側に配置されて接点用器具を介して、風力発電設備の風車を構成するブレードのうちの、落雷による電流を大地に流すための受雷部に電流を供給するための供給手段とを備える。
【0015】
ある局面に従うと、無人点検装置は、接点用器具とガードとの間に複数の緩衝機構を備える。複数の緩衝機構のうちのいずれかの緩衝機構は、他の緩衝機構よりも短い。
【0016】
ある局面に従う風力発電設備の無人点検装置において、受雷部が設けられたブレードの表面とガードに取り付けられた接点用器具の表面とが平行になるように、ガードは、無人航空機に取り付けられている。
【0017】
ある局面に従う風力発電設備の無人点検装置において、接点用器具は、導電性を有する格子状部材を含む。無人点検装置は、接点用器具の方向に光を発する発光装置と、格子状部材の範囲を撮影できるカメラと、モニタを有する端末と通信するための通信手段とをさらに備える。制御装置は、接点用器具の方向に光を発するように発光装置を制御し、接点用器具の格子状部材を撮影するようにカメラを制御し、撮影により得られた画像を端末に送信させる。
【0018】
ある局面に従うと、無人点検装置は、受雷部を洗浄するための洗浄手段をさらに備える。
【0019】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ある実施の形態に従う洋上風力発電の風車110と無人点検装置100とを表わす図である。
図2図1に示される領域170を詳細に示す図である。
図3】無人点検装置100がレセプタ240に接している状態の一例を表わす図である。
図4】無人点検装置100の構成の概略を表わす図である。
図5】ある実施の形態に従う接点用器具300の概要を表わす図である。
図6】無人点検装置100の接点用器具300の接触面310がブレードの正面に位置している場合におけるクロスラインレーザーとターゲットとの関係を表わす図である。
図7】無人点検装置100の接点用器具300の接触面310がブレードの正面から左にずれている場合におけるクロスラインレーザーとターゲット(レセプタ240)との関係を表わす図である。
図8】ブレード120が傾斜を有している場合におけるクロスラインレーザーとターゲットとの関係を表わす図である。
図9】検査員200が風車110のブレードの導通点検を実施するために行なう処理の手順の一部を表わすフローチャートである。
図10】他の実施の形態に従う接点用器具の一例を表わす図である。
図11】ブレードの角度が0度(=ブレードの表面が鉛直方向に平行)である場合における接点用器具300の状態を表わす図である。
図12】ブレードの角度が30度である(=ブレードの表面が鉛直方向に対して30度傾いている)場合における接点用器具300の状態を表わす図である。
図13】ドローン101のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図14】端末210のハードウェア構成を表わすブロック図である。
図15】ある実施の形態に従う洗浄機能を有するドローン1500の概要を表わす図である。
図16】ある実施の形態に従うドローン1500がレセプタを洗浄してから導通点検を行なう処理の流れを表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
図1を参照して、洋上風力発電の設備の概要について説明する。図1は、ある実施の形態に従う洋上風力発電の風車110と無人点検装置100とを表わす図である。風力発電設備として風車110は、海底190に設置された基礎180の上に配置されている。風車110は、ブレード120,121,122と、タワー130とを備える。以下、ブレード120,121,122を総称するときは、単に、ブレードという。タワー130は基礎180に設置されている。ブレード120,121,122は、その表面にレセプタをそれぞれ含む。当該レセプタは、それが設けられているブレードの内部の配線と、タワー130の内部の配線とによって海底190の地盤に接地されている。この接地の状態は、経年変化により、あるいは、ブレード120,121,122のいずれかに対する落雷により、劣化する恐れがある。そのため、各ブレードに設けられたレセプタまでの導通点検を行ない、接地の状態が適切であるか否かが点検される。
【0023】
図1に示されるように、ある実施の形態に従うと、無人点検装置100は、各ブレードの近傍まで飛行し、後述するように、無人点検装置100に設けられた接点用器具を当該ブレードに設けられたレセプタに接するように姿勢制御を行なう。無人点検装置100は、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)の一例であるドローン101と、ガード102とを含む。無人点検装置100とブレード120とを含む領域170の詳細は、図2に示される。
【0024】
そこで、図2を参照して、無人点検装置100を用いて風力発電設備を点検する一態様の詳細について説明する。図2は、図1に示される領域170を詳細に示す図である。
【0025】
図2に示されるように、検査員200は、タワー130の底部で端末210を用いて、無人点検装置100を操縦している。無人点検装置100は、ガード102の外部に導電性の接点用器具300を有する。ブレード120には、レセプタ240が設けられている。レセプタ240は、ブレード120の内部に設けられたケーブル260に接続されている。ケーブル260は、ブレードおよびタワー130の内部を経て接地されており、落雷を受けた場合の電流を地中に流す。端末210と無人点検装置100とは、導電性のケーブル250によって接続されている。端末210は、さらに、ケーブル230によって接地されている。したがって、ケーブル230とケーブル260とは、同電位である。
【0026】
検査員200は、端末210を操作して無人点検装置100の位置及び姿勢を制御することで、無人点検装置100の接点用器具300をレセプタ240に接触させる。その上で、検査員200は、端末210からケーブル250を介して無人点検装置100に電流を供給して導通点検を行なう。ケーブル260が劣化により断線している場合は、電流が流れなくなり抵抗値が所定の値を示すので、ケーブル260の異常が検出される。
【0027】
[レセプタと無人点検装置との接触]
図3を参照して、洋上風力発電の風車のブレードの側面について説明する。図3は、無人点検装置100がレセプタ240に接している状態の一例を表わす図である。ある局面において、無人点検装置100のガード102の外側には、接点用器具300が設けられている。レセプタ240は、ブレード120の表面に配置されており、図3の例示では、レセプタ240は突起部を有し、突起部が接点用器具300と接している。他の局面において、レセプタ240は突起部を有さなくても良く、レセプタ240の表面とブレード120の表面とが同一面に含まれる構成であってもよい。
【0028】
[無人点検装置100の構成]
図4参照して、無人点検装置100の構成について説明する。図4は、無人点検装置100の構成の概略を表わす図である。無人点検装置100は、ドローン101と、ガード102と、レーザー発光装置430と、カメラ440と、緩衝機構410,411と、緩衝機構410,411に取り付けられた接点用器具300とを備える。ドローン101は、本体部11と、腕部12と、二組の脚部22と、四つのプロペラ14とを備える。腕部12は、ガード102のフレームに締結されている。ドローン101の構成は、適宜詳述する。緩衝機構410,411は、衝撃を吸収する部材、たとえばダンパー等により実現される。
【0029】
ある局面において、レーザー発光装置430は、クロスラインレーザー発光装置であり得る。レーザー発光装置430は、無人点検装置100の前方にレーザー光を照射する。無人点検装置100がブレード120,121,122の正面にいる場合には、レーザー光はブレード120,121,122の表面に照射される。
【0030】
カメラ440は、FPV(First Person View)用カメラであり得る。カメラ440による撮影によって得られた画像データは、ケーブル(図示しない)を介して端末210に送られる。検査員200は、端末210のモニタに表示される画像を視認しながら、ドローン101の姿勢を制御する操作を行なう。操作に応じた信号はドローン101に送信され、検査員200は、無人点検装置100の位置および姿勢を制御できる。無人点検装置100の位置および姿勢の制御は自動制御でもよい。
【0031】
[接点用器具]
図5を参照して、無人点検装置に取り付けられる器具について説明する。図5は、ある実施の形態に従う接点用器具300の概要を表わす図である。
【0032】
図5(A)に示されるように、接点用器具300は、緩衝機構410,411を介してガード102に取り付けられている。ガード102の内部には、レーザー発光装置430とカメラ440とが配置されている。レーザー発光装置430は、接点用器具300の上方に向けて(ガード102の内側から外側に向けて)レーザー光を照射する。カメラ440は、ガード102を介して接点用器具300の方向を撮影するように配置されている。
【0033】
図5(B)は、ブレード(図示しない)から接点用器具300を通じて無人点検装置100を見た状態を模式的に表わす図である。ある局面において、接点用器具300は、フレームと、メッシュとを含む。レーザー光が接点用器具300のフレームの外側を通るように、レーザー発光装置430は、接点用器具300のフレームの外側に配置されている。ガード102の内側において、カメラ440は、接点用器具300のフレーム内に配置されている。検査員200は、メッシュを通じて無人点検装置100の前方をカメラ440からの画像で視認できるので、位置制御および姿勢制御は容易となる。
【0034】
図6図8を参照して、風車のブレードに対する無人点検装置100の姿勢制御について説明する。
【0035】
図6は、無人点検装置100の接点用器具300の接触面310がブレードの正面に位置している場合におけるクロスラインレーザーとターゲットとの関係を表わす図である。図6(A)は、無人点検装置100がブレードに正対している場合にレーザー発光装置430から発せられるクロスラインレーザーが当該ブレードの一部の領域610に照射されている状態を表わしている。図6(A)を参照して、ある局面において、無人点検装置100が水平状態にあり、ブレードの正面に位置決めされると、ターゲットとしてのレセプタ240は、クロスラインレーザーの鉛直方向の線上で視認される。例えば、レセプタ240が配置されたブレードの表面が鉛直方向と平行である場合、接点用器具300は、その接触面310も鉛直方向に平行となるように、緩衝機構410,411を介して無人点検装置100に取り付けられている。
【0036】
すなわち、図6(B)に示されるように、無人点検装置100の点検対象(ブレード)の表面が鉛直方向である場合には、上下に配置された緩衝機構410,411は同程度の長さで接点用器具300を支える。この場合、無人点検装置100は、接点用器具300の重量とのバランスを取るために、ウェイト630を備え得る。
【0037】
図7は、無人点検装置100の接点用器具300の接触面310がブレードの正面から左にずれている場合におけるクロスラインレーザーとターゲット(レセプタ240)との関係を表わす図である。図7(A)は、無人点検装置100がブレードに正対しておらずずれている場合にレーザー発光装置430から発せられるクロスラインレーザーが当該ブレードの一部の領域710に照射されている状態を表わしている。この場合、図7(B)に示されるように、検査員200は、端末210を操作して、矢印720の方向に、上方から見て時計回りに無人点検装置100を回転させる。これにより、クロスラインレーザーがブレードに形成される場所が、当該ブレードにおいて右に移動するので、クロスラインレーザーの鉛直方向の線上にレセプタ240が位置するように、無人点検装置100の姿勢が制御される。
【0038】
図8は、ブレード120が傾斜を有している場合におけるクロスラインレーザーとターゲットとの関係を表わす図である。ここでは、全ブレードを代表してブレード120を参照しながら当該関係について説明するが、他のブレード121,122についても同様である。ブレード120のうちレセプタ240が配置されている部分が傾斜している場合、接点用器具300がレセプタ240に接するように、無人点検装置100も傾斜した状態となることが望ましい。この場合、図8(A)に示されるように、レセプタ240がクロスラインレーザーの鉛直方向の線上に位置するように無人点検装置100が制御される。
【0039】
図8(B)は、接点用器具300の取り付け位置が異なった場合の構成を有する無人点検装置800がブレード120に接している状態を表わす図である。図8(B)に示されるように、無人点検装置800では、ドローン101の姿勢はそのまま(すなわち水平方向)を維持しつつ、接点用器具300の接触面310がブレード120の傾斜面と平行になるように、接点用器具300は、レセプタ240またはブレードの表面またはレセプタ240が配置された表面の傾斜角度に相当する角度だけ水平面から傾けられた位置において、ガード102に取り付けられている。
【0040】
このような構成によれば、無人点検装置800は、上下移動および水平移動を行なうことで、所定の傾斜角度を有するレセプタ240またはブレード120に、接点用器具300を適切に接することができるので、導通点検の実施に十分な接触面が確保され得る。また、各ブレード(あるいは、レセプタ240の表面)の表面の鉛直方向に対する傾斜が既知である場合には、その傾斜に応じてガード102がドローン101に取り付けられる。
【0041】
他の局面において、無人点検装置800は、角度を調整可能なアクチュエータを、ドローン101とガード102との間に備えてもよい。このような構成によれば、ブレードまたはレセプタ240の表面の傾斜角に応じて当該アクチュエータを駆動することで、接点用器具300が取り付けられたガード102の傾きをその都度変更できる。
【0042】
図9を参照して、風車のブレードを無人点検装置を用いて点検する方法について説明する。図9は、検査員200が風車110のブレードの導通点検を実施するために行なう処理の手順の一部を表わすフローチャートである。
【0043】
ステップS910にて、検査員200は、点検の対象となるブレードを選定する。
ステップS920にて、検査員200は、選定されたブレードの角度を把握する。例えば、検査員200は、風車110の制御システムから確認することや、無人点検装置100を事前に飛行させて、図8(A)に示すようにクロスラインレーザーを照射させて当該ブレードとの関係を確認することにより当該ブレードの角度を把握する。
【0044】
ステップS930にて、検査員200は、ブレードの角度に合わせて接点用器具300をガード102に取り付ける。この時、検査員200は、当該角度に応じて接点用器具300の傾きを変えるために、緩衝機構410,411の長さを調整し得る。
【0045】
ステップS940にて、検査員200は、レセプタの導通点検に必要なその他の器具をドローン101に装着する。その他の器具は、例えば、レーザー発光装置430と、カメラ440と、端末210に接続されるケーブルとを含む。なお、他の局面において、ケーブルを用いた有線通信に代えて、無線通信のための装置がドローン101に取り付けられてもよい。
【0046】
ステップS950にて、検査員200は端末210を操作してレーザー発光装置430を駆動してクロスラインレーザーを当該ブレードに照射させ、さらに、当該ブレードの水平角度に対してドローン101が正対するようにドローン101の姿勢を制御する。
【0047】
ステップS960にて、検査員200は、ドローン101の水平角度の正対姿勢を保ち、クロスラインレーザーの照射状況をカメラ440で確認しながら、ドローン101に装着された接点用器具300をブロードのレセプタ240に接触させて、接触の状態を維持し、導通点検を実施する。例えば、検査員200は、ドローン101に内蔵されたジャイロスコープから得られる情報を参照しながら、ドローン101の姿勢を水平状態に維持する。検査員200は、端末210のモニタに表示される画像を見ながら、レーザー発光装置430からブレードに照射されるクロスラインレーザーの状況を視認しながら、クロスラインレーザーの鉛直方向の線上にレセプタ240が位置するように、無人点検装置100の姿勢を制御する。その上で、検査員200は、端末210を操作して、導通点検を実施する。より具体的には、検査員200は、端末210からケーブル250を介してドローン101に電流を流し、接点用器具300に接しているレセプタ240からブレードの内部に設けられている配線について、導通点検を実施する。
【0048】
ステップS970にて、検査員200は、全てのブレードの点検が完了したか否かを判断する。検査員200は、全てのブレードの点検が完了したと判断すると(ステップS970にてYES)、処理を終了する。そうでない場合には(ステップS970にてNO)、検査員200は、点検の対象となる次のブレードを選定し(ステップS980)、ステップS920以降の作業を繰り返す。
【0049】
図10を参照して、接点用器具の他の例について説明する。図10は、他の実施の形態に従う接点用器具の一例を表わす図である。
【0050】
図10(A)に示される接点用器具1010は、そのフレームの内部の格子が斜めに形成されている。図10(B)に示される接点用器具1020は、そのフレームの内部の格子が水平方向と垂直方向とに形成されている。図10(C)に示される接点用器具1030は、そのフレームの内部の格子が斜めに形成されている。
【0051】
図11および図12を参照して、ブレードの角度に応じた接点用器具の状態の変化について説明する。
【0052】
図11は、ブレードの角度が0度(=ブレードの表面が鉛直方向に平行)である場合における接点用器具300の状態を表わす図である。図11(A)は、無人点検装置100を水平方向から見た(断面の)状態を表わす図である。緩衝機構410,411と、レーザー発光装置430とカメラ440とは、ガード部材1100に取り付けられている。
【0053】
ブレードの表面が鉛直方向である場合、より具体的には、レセプタ240の表面が鉛直方向である場合には、接点用器具300もブレードの表面またはレセプタ240の表面と平行であることが望ましい。そこで、図11(A)に示されるように、緩衝機構410の長さと、緩衝機構411の長さとは、接点用器具300の表面が鉛直方向に平行となるように、同じ長さとなるように検査員200によって調整される。
【0054】
図11(B)は、無人点検装置100を上から見た場合の主たる構成を概略的に表わした図である。接点用器具300は、図示しない緩衝機構410および緩衝機構411に加えて、左右方向の位置決めのための緩衝機構1110,1120によってガード部材1100,1101に取り付けられている。
【0055】
図12は、ブレードの角度が30度である(=ブレードの表面が鉛直方向に対して30度傾いている)場合における接点用器具300の状態を表わす図である。
【0056】
図12(A)は、無人点検装置100を水平方向から見た(断面の)状態を表わす図である。緩衝機構1210,1220と、レーザー発光装置430とカメラ440とは、ガード部材1100に取り付けられている。
【0057】
ブレードの表面が傾斜している(すなわち、鉛直方向でない)場合、より具体的には、レセプタ240の表面が鉛直方向に対して傾斜している場合には、接点用器具300の接触面310がブレードの表面またはレセプタ240の表面と平行になるように、接点用器具300も傾斜していることが望ましい。そこで、図12(A)に示されるように、緩衝機構1210を緩衝機構1220より短くすることにより接点用器具300を傾斜させて、接点用器具300の接触面310がブレードの表面またはレセプタ240の表面に平行にさせる。このような構成は、緩衝機構1210,1220が長さ調節機能を有する場合には、当該傾斜に応じた長さとなるように緩衝機構1210,1220を調整することにより実現される。他の局面において、当該傾斜角となるように予め導出された長さを有する緩衝機構1210,1220を採用することにより、図12(A)に示される構成は実現され得る。
【0058】
図12(B)は、無人点検装置100を上から見た場合の主たる構成を概略的に表わした図である。接点用器具300は、緩衝機構1210(図示しない)および緩衝機構1220に加えて、左右方向の位置決めのための緩衝機構1230,1240によってガード部材1100,1101に取り付けられている。
【0059】
[ドローンの構成]
図13を参照して、ドローンの詳細な構成について説明する。図13は、ドローン101のハードウェア構成を例示するブロック図である。ドローン101は、図4に示される構成に加えて、本体部11の上部に腕部12を介して接続された4セットのプロペラモータ13およびプロペラ14と、本体部11の下部に取り付けられた脚部22とを備える。腕部12の内部には、プロペラモータ13を駆動するためのモータ駆動回路15が設けられている。さらに、ドローン101は、本体部11の下部に取り付けられたエンジン16および発電機17と、レーザー発光装置430と、カメラ440と、本体部11の上部に取り付けられたLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ24とを備える。
【0060】
図13の例では、プロペラモータ13およびプロペラ14は4セット設けられているが、プロペラモータ13およびプロペラ14の構成は、これに限定されない。各プロペラモータ13の回転速度を制御することにより、ドローン101の垂直方向の上昇および下降、任意の斜め方向の上昇および下降、空中停止、前進、後退、右移動、左移動、右回転、左回転などが可能である。すなわち、プロペラモータ13およびプロペラ14によって、ドローン101を推進および空中停止させる推進機構が構成される。
【0061】
発電機17は、エンジン16によって駆動されることにより、ドローン101の動作に必要な電力を生成する。これにより、長時間および低気温でのドローン101の飛行が可能になる。エンジン16および発電機17に代えて、バッテリーがドローン101に取り付けられてもよい。
【0062】
カメラ440は、ドローン101の前方、すなわち、接点用器具300の方向を撮影する。カメラ440は、点検用画像を撮影するための高解像度のカメラと、FPV用の動画像を撮影するための低解像度のカメラとを含み得る。低解像度のカメラによって撮影された動画像は、送受信機33によって、端末210に送信される。これにより、検査員200は、カメラ440で撮影された映像をリアルタイムで見ることができる。カメラ440の撮影方向は、アクチュエータ(図示しない)によって調整できる。当該アクチュエータは、端末210からの信号でも調整できる。
【0063】
なお、他の局面において、ドローン101は、その直下を撮影するための直下用カメラを有していてもよい。直下用カメラは、点検用画像を撮影するための高解像度のカメラと、FPV用画像を撮影するための低解像度のカメラとを含み得る。
【0064】
LiDARセンサ24は、パルス状のレーザー光を走査させることにより、対象物からの反射光に基づいて、対象物までの距離および角度を検出する。LiDARセンサ24に代えて他の距離センサを用いても構わない。
【0065】
図13を再び参照して、本体部11は、コントローラ30、記憶装置31、慣性計測ユニット32、送受信機33、GPS(Global Positioning System)受信機34、電源回路35、蓄電池36などを内蔵する。
【0066】
コントローラ30は、モータ駆動回路15、カメラ18、LiDARセンサ24などの動作を制御する。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および不揮発性メモリを含むマイクロコンピュータによって構成されてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって構成されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用回路によって構成されてもよい。また、コントローラ30は、これらのうちの少なくとも2つの組み合わせによって構成されてもよい。
【0067】
記憶装置31は、一例として、SDメモリカードなどの着脱可能な不揮発性の記録媒体38と、記録媒体38へのデータの書き込みおよび記録媒体38からのデータの読み出しを行うためのリーダライタ37とを含む。リーダライタ37は、コントローラ30の指令に従って、カメラ440によって撮影された点検用の静止画像、コントローラ30の制御内容、およびフライト情報などを記録媒体38に格納する。
【0068】
慣性計測ユニット32は、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、地磁気センサ、気圧センサ、温度センサなどを1つのパッケージに統合したセンサユニットである。コントローラ30は、慣性計測ユニット32の各種センサの検出値に基づいて、ドローン101の自律飛行および姿勢制御を行う。
【0069】
送受信機33は、点検対象の風車に設けられた送受信機および端末210に対して信号、データなどの情報の送受信を行う。たとえば、送受信機33は、風車の稼働状態の情報、または端末210からの指令などを受信する。また、送受信機33は、コントローラ30の指令に従って、低解像度のカメラによって撮影された監視用の動画像を拠点施設に向けて送信する。
【0070】
GPS受信機34は、GPS衛星からの信号を受信する。コントローラ30は、GPS受信機34の受信信号に基づいて、ドローン101の現在位置を検知する。
【0071】
電源回路35は、発電機17によって生成された電力に基づいて、ドローン101の各部を駆動するための電源電圧を生成する。
【0072】
蓄電池36は、ドローン101の補助電源として用いられる。たとえば、蓄電池36は、エンジン16および発電機17の停止中に、コントローラ30、記憶装置31、送受信機33などを駆動するための電力を供給する。
【0073】
[ハードウェア構成]
図14を参照して、本実施の形態に係る端末210の構成について説明する。図14は、端末210のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0074】
端末210は、CPU1420と、アンテナ1423と、通信装置1424と、操作ボタン1425と、フラッシュメモリ1427と、RAM(Random Access Memory)1428と、ROM(Read Only Memory)1429と、メモリカード駆動装置1430と、マイク1432と、スピーカ1433と、音声信号処理回路1434と、モニタ1435と、LED(Light Emitting Diode)1436と、データ通信インターフェイス1437とを備える。メモリカード駆動装置1430には、メモリカード1431が装着され得る。
【0075】
アンテナ1423は、基地局によって発信される信号を受信し、または、基地局を介して他の通信装置と通信するための信号を送信する。アンテナ1423によって受信された信号は、通信装置1424によってフロントエンド処理が行なわれた後、処理後の信号は、CPU1420に送られる。
【0076】
操作ボタン1425は、端末210に対する操作を受け付ける。操作ボタン1425は、たとえば、ハードキー、ソフトキーとして実現される。操作ボタン1425は、操作を受け付けると、その時の端末210の動作モードに応じた信号をCPU1420に送出する。
【0077】
CPU1420は、端末210に対して与えられる命令に基づいて端末210の動作を制御するための処理を実行する。端末210が信号を受信すると、CPU1420は、通信装置1424から送られた信号に基づいて予め規定された処理を実行し、処理後の信号を音声信号処理回路1434に送出する。音声信号処理回路1434は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をスピーカ1433に送出する。スピーカ1433は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0078】
マイク1432は、端末210に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路1434に対して送出する。音声信号処理回路1434は、その信号に基づいて通話のために予め規定された処理を実行し、処理後の信号をCPU1420に対して送出する。CPU1420は、その信号を送信用のデータに変換し、変換後のデータを通信装置1424に対して送出する。通信装置1424は、そのデータを用いて送信用の信号を生成し、アンテナ1423に向けてその信号を送出する。
【0079】
フラッシュメモリ1427は、CPU1420から送られるデータを格納する。また、CPU1420は、フラッシュメモリ1427に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。
【0080】
RAM1428は、操作ボタン1425に対して行なわれた操作に基づいてCPU1420によって生成されるデータを一時的に保持する。ROM1429は、端末210に予め定められた動作を実行させるためのプログラムあるいはデータを格納している。CPU1420は、ROM1429から当該プログラムまたはデータを読み出し、端末210の動作を制御する。
【0081】
メモリカード駆動装置1430は、メモリカード1431に格納されているデータを読み出し、CPU1420に送出する。メモリカード駆動装置1430は、CPU1420によって出力されるデータを、メモリカード1431の空き領域に書き込む。
【0082】
音声信号処理回路1434は、上述のような通話のための信号処理を実行する。なお、図14に示される例では、CPU1420と音声信号処理回路1434とが別個の構成として示されているが、他の局面において、CPU1420と音声信号処理回路1434とが一体として構成されていてもよい。
【0083】
モニタ1435は、タッチパネル式のディスプレイであるが、タッチパネルの機構は特に限られない。モニタ1435は、CPU1420から取得されるデータに基づいて、当該データによって規定される画像を表示する。たとえば、モニタ1435は、ドローン101から送信されてきた画像を表示する。
【0084】
LED1436は、CPU1420からの信号に基づいて、予め定められた発光動作を実現する。データ通信インターフェイス1437は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。
【0085】
データ通信インターフェイス1437は、CPU1420から出力される信号を当該ケーブルに対して送出する。あるいは、データ通信インターフェイス1437は、当該ケーブルを介して受信されるデータを、CPU1420に対して送出する。
【0086】
なお、端末210の構成は上述のものに限られず、少なくとも、表示機能と通信機能とデータ保持機能と演算処理機能とを有する情報処理端末であればよい。
【0087】
[洗浄機能を有する無人点検装置]
ある実施の形態において、レセプタ240の表面が汚れていることが推測される。そのため、導通点検を行なう前にレセプタ240の表面を洗浄しておくことが望ましい場合がある。そこで、図15を参照して、レセプタ240の洗浄機能を有する無人点検装置について説明する。図15は、ある実施の形態に従う洗浄機能を有するドローン1500の概要を表わす図である。ドローン1500は、ドローン101と同様に、ガード102の中に組み込まれて一体となって飛行できる。
【0088】
ドローン1500は、図4に示されるドローン101が備える構成に加えて、噴射装置1510を備える。噴射装置1510は、ノズル1520を有する。ノズル1520の噴射方向は、カメラ440の撮影方向と同じ方向を向いている。したがって、ドローン1500がレセプタ240の近傍に到達した場合には、検査員200は、カメラ440による撮影された画像を見ながら噴射装置1510から洗浄剤を噴射させることにより、レセプタ240の表面の汚れを落とすことができる。導通点検の前にレセプタ240の表面が洗浄されるので、レセプタ240と接点用器具300との接触が確実になり、導通点検も確実に行なうことができる。
【0089】
噴射装置1510は、一例として、スズメバチの駆除に使用される殺虫剤を噴霧するためのスプレー缶のような形態で実現され得る。
【0090】
なお、他の局面において、ドローン1500は、噴射装置1510に加えて、接点用器具300を擦るように作動してもよい。例えば、ドローン1500は、噴射装置1510から洗浄剤を噴射した後に、接点用器具300をレセプタ240に接触させて、接点用器具300がレセプタに接触した状態で、ドローン1500自身をまたは接点用器具300を振動させる。あるいは、接点用器具300の支持部がアクチュエータ(図示しない)を有する場合には、コントローラ30は、当該アクチュエータを駆動して接点用器具300を上下あるいは左右に摺動させてもよい。
【0091】
図16を参照して、ドローン1500を用いた導通点検の方法について説明する。図16は、ある実施の形態に従うドローン1500がレセプタを洗浄してから導通点検を行なう処理の流れを表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同じ処理には同じステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない。
【0092】
ステップS1610にて、ドローン1500は、噴射装置1510からレセプタ240に洗浄剤を噴射して、レセプタ240の表面を洗浄する。洗浄剤は、一例として、脱脂洗浄剤、錆取り剤などである。ドローン1500は、レセプタ240への噴射を行なった後、予め定められた時間待機して、洗浄後のレセプタ240の表面に接点用器具300を接触させることができる。
【0093】
他の局面において、ドローン1500に搭載される噴射装置1510が全てのブレードのレセプタの洗浄に必要な洗浄剤を収容可能である場合、ドローン1500は、全てのレセプタを洗浄してから導通点検を行なってもよい。より具体的には、ドローン1500は、全てのブレード120,121,122の各々のレセプタ240に洗浄剤を噴射していき、全てのレセプタ240への噴射が完了した後に、最初のレセプタ240に戻り、そのレセプタ240の導通点検を開始してもよい。このようにすると、あるブレードのレセプタ240に洗浄剤を噴射した後に待機する間に他のブレードのレセプタ240に対して洗浄剤を噴射できるので、全体の点検時間が短くなり得る。
【0094】
上記に開示された技術的特徴の一部は、以下のように要約され得る。
[構成1]ある実施の形態に従うと、風力発電設備の風車110を構成するブレード120,121,122を点検するための方法が提供される。この方法は、無人航空機(たとえば、ドローン101)と、無人航空機を保護するガード102と、ガード102の外部に取り付けられた接点用器具300と、接点用器具を介して電流を供給するための供給手段(たとえば、蓄電池、あるいは、検査員200が使用する端末210の電源とケーブル接続されたスイッチ)とを備える無人点検装置100を、風力発電設備の風車110を構成するブレードのうちの、落雷による電流を大地に流すための受雷部(たとえばレセプタ240)が設けられた部分の近傍に飛行させるステップと、接点用器具300を当該受雷部に接触させるステップと、供給手段から接点用器具300を介して電流を受雷部に供給するステップと、電流が受雷部に供給されたことに基づいて、ブレード120,121,122から大地までの抵抗値を測定するステップとを含む。
【0095】
係る構成によれば、当該抵抗値を測定することにより、受雷部と風車110の内部に設けられたケーブルが損傷しているか否かを判断できるので、検査員が風車やブレードに上る必要がなくなるので、点検が安全に行なわれる。
【0096】
[構成2]ある局面に従う点検方法において、無人点検装置は、接点用器具とガードとの間に複数の緩衝機構410,411、1210,1220を備える。点検方法は、接点用器具と受雷部との接触領域が多くなるように、複数の緩衝機構のいずれかの緩衝機構(例えば、緩衝機構1210)を他の緩衝機構(例えば、緩衝機構1220)よりも短くするステップをさらに含む。
【0097】
係る構成によれば、接点用器具300の接触面310が傾斜するので、ブレードの表面が傾斜している場合に接触面を十分に確保できる。その結果、導通点検を確実に行なうことができる。
【0098】
[構成3]ある局面に従うと、点検方法は、受雷部が設けられたブレード120の表面とガードに取り付けられた接点用器具の接触面とが平行になるように、無人航空機(たとえば、ドローン101)に対するガード102の傾きを調整するステップをさらに含む。無人点検装置を飛行させるステップは、ガード102の傾きが調整された無人点検装置800を飛行させるステップを含む。
【0099】
係る構成によれば、無人点検装置800が上下移動および水平移動のみ可能な場合であっても、傾いたブレードの表面に接点用器具300の接触面を確実に接触させることができるので、導通点検が確実に行なわれる。
【0100】
[構成4]ある局面に従う点検方法において、接点用器具1010,1020は、導電性を有する格子状部材を含む。無人点検装置は、接点用器具の方向に光を発する発光装置(例えば、レーザー発光装置430)と、格子状部材の範囲を撮影できるカメラ(カメラ440)と、モニタを有する端末210と通信するための通信手段(たとえば、通信回路、通信ケーブル)とをさらに備える。点検方法は、発光装置が接点用器具の方向に光を発するステップと、接点用器具の格子状部材を撮影するステップと、撮影により得られた画像を端末210に送信するステップとをさらに含む。
【0101】
係る構成によれば、端末210を使用する検査員200は、モニタ1435に表示される画像を見ながら無人航空機を制御できるので、レセプタ240への接触を確実に行なうことができる。
【0102】
[構成5]ある局面に従う点検方法は、接点用器具を受雷部に接触させる前に、ドローン101に搭載された噴射装置1510が、そのノズル1520から洗浄剤を噴射することにより、レセプタ240の表面を洗浄するステップをさらに備える。
【0103】
係る構成によれば、レセプタ240の表面の汚れが落ちるので、レセプタ240と接点用器具300との接触が確実になる。
【0104】
[構成6]他の実施の形態に従うと、風力発電設備の無人点検装置100,800が提供される。この無人点検装置は、無人航空機(例えば、ドローン101)と、無人航空機を保護するためのガード102と、ガード102の外部に配置された導電性の接点用器具300と、無人航空機を制御するための制御装置と、ガードの内側に配置されて接点用器具300を介して、風力発電設備の風車110を構成するブレード120,121,122のうちの、落雷による電流を大地に流すための受雷部(たとえば、レセプタ240)に電流を供給するための供給手段とを備える。
【0105】
[構成7]ある局面に従うと、無人点検装置は、接点用器具300とガード102との間に複数の緩衝機構を備える。複数の緩衝機構のうちのいずれかの緩衝機構(例えば、緩衝機構1210)は、他の緩衝機構(例えば、緩衝機構1220)よりも短い。
【0106】
[構成8]ある局面に従う風力発電設備の無人点検装置において、受雷部(たとえばレセプタ240)が設けられたブレード120の表面とガード102に取り付けられた接点用器具300の接触面とが平行になるように、ガード102は、無人点検装置800に取り付けられている。
【0107】
[構成9]ある局面に従う風力発電設備の無人点検装置において、接点用器具は、導電性を有する格子状部材を含む。無人点検装置は、接点用器具の方向に光を発する発光装置(レーザー発光装置430)と、格子状部材の範囲を撮影できるカメラ440と、モニタを有する端末と通信するための通信手段とをさらに備える。制御装置は、接点用器具の方向に光を発するように発光装置を制御し、接点用器具の格子状部材を撮影するようにカメラを制御し、撮影により得られた画像を端末に送信させる。
【0108】
[構成10]ある局面に従う風力発電設備の無人点検装置は、レセプタ240を洗浄するための洗浄装置をさらに備える。洗浄装置は、一例として、噴射装置1510である。
【0109】
[実施の形態のまとめ]
以上開示された実施の形態に従うと、無人点検装置100,800は、ガード102の外側に接点用器具300を備え、その接触面310がレセプタ240に接触する。接点用器具300の接触面310は、レセプタ240の表面の傾斜に応じて傾斜するようにガード102に配置される。このような構成により、無人点検装置100,800は、接触面310を確実にレセプタ240の表面に接触させることができるので、導通点検を確実に実施できる。また、風車110の運転を停止する時間を必要最小限に短くできるので、発電が停止される期間も最小限となり、発電電力量の減少も最小限に留めることができる。
【0110】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
8,1435 モニタ、11 本体部、13 プロペラモータ、14 プロペラ、15 モータ駆動回路、16 エンジン、17 発電機、18,18A,18B,20A,20B,440 カメラ、19,21 ジンバル、20 直下用カメラ、24 LiDARセンサ、30 コントローラ、31 記憶装置、32 慣性計測ユニット、33 送受信機、34 GPS受信機、35 電源回路、36 蓄電池、37 リーダライタ、38 記録媒体、100,800 無人点検装置、101 ドローン、102 ガード、110 風車、120,121,122 ブレード、130 タワー、170 領域、180 基礎、190 海底、200 検査員、210 端末、220,230,250 ケーブル、240 レセプタ、300,1010,1020,1030 接点用器具、310 接触面、410,411,1110,1120,1210,1220,1230,1240 緩衝機構、430 レーザー発光装置、630 ウェイト、710 矢印、1100,1101 ガード部材、1423 アンテナ、1424 通信装置、1425 操作ボタン、1427 フラッシュメモリ、1428 RAM、1429 ROM、1430 メモリカード駆動装置、1431 メモリカード、1432 マイク、1433 スピーカ、1434 音声信号処理回路、1437 データ通信インターフェイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16