(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183998
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0485 20220101AFI20221206BHJP
G09G 5/34 20060101ALI20221206BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G06F3/0485
G09G5/34 A
G09G5/00 550X
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091581
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】511249637
【氏名又は名称】株式会社Cygames
(74)【代理人】
【識別番号】100135666
【弁理士】
【氏名又は名称】原 弘晃
(74)【代理人】
【識別番号】100131680
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 健一
(72)【発明者】
【氏名】高 超
(72)【発明者】
【氏名】李 元
【テーマコード(参考)】
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB02
5C182AB08
5C182AB14
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA35
5C182BA66
5C182BC25
5C182BC26
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB44
5C182CC14
5C182DA65
5E555AA41
5E555BA01
5E555BB01
5E555BC01
5E555DA01
5E555DB33
5E555DB53
5E555DC03
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】閲覧を中断したコンテンツの閲覧を再開する際の利便性を向上させるプログラムを提供する。
【解決手段】複数のページ画像からなるコンテンツをユーザー入力に応答してスクロール表示して当該コンテンツを閲覧させるためのプログラムであって、コンテンツのスクロール表示の量的データを含むスクロール情報を記憶部に保存する処理を行うスクロール管理部と、コンテンツの閲覧が中断され、当該コンテンツの閲覧が再開された場合に、記憶部からスクロール情報を取得して、当該スクロール情報に基づいて中断時の閲覧状況を再現する処理を行う表示再現部として、コンピュータを機能させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページ画像からなるコンテンツをユーザー入力に応答してスクロール表示して当該コンテンツを閲覧させるためのプログラムであって、
前記コンテンツのスクロール表示の量的データを含むスクロール情報を記憶部に保存する処理を行うスクロール管理部と、
前記コンテンツの閲覧が中断され、当該コンテンツの閲覧が再開された場合に、前記記憶部から前記スクロール情報を取得して、当該スクロール情報に基づいて中断時の閲覧状況を再現する処理を行う表示再現部として、コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザー端末でサーバーにアクセスしてコンテンツの閲覧を可能とする情報処理システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコンテンツの閲覧においては、ユーザーが最後までコンテンツの閲覧をせずに一時的に閲覧を中断する場合がある。この場合に、ユーザーが閲覧を中断したコンテンツを再び閲覧する際の利便性の向上が求められている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、閲覧を中断したコンテンツの閲覧を再開する際の利便性を向上させるプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数のページ画像からなるコンテンツをユーザー入力に応答してスクロール表示して当該コンテンツを閲覧させるためのプログラムであって、前記コンテンツのスクロール表示の量的データを含むスクロール情報を記憶部に保存する処理を行うスクロール管理部と、前記コンテンツの閲覧が中断され、当該コンテンツの閲覧が再開された場合に、前記記憶部から前記スクロール情報を取得して、当該スクロール情報に基づいて中断時の閲覧状況を再現する処理を行う表示再現部として、コンピュータを機能させるプログラムに関するものである。
【0007】
本発明では、ユーザーがコンテンツの閲覧を一時的に中断した後に、閲覧を中断したコンテンツの閲覧を再開した場合、前回の閲覧においてスクロール表示した位置で閲覧を再開することができるため、ユーザー入力の利便性を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】情報処理システムで実現される機能のうち、サーバーに関連する機能を示す機能ブロック図である。
【
図3】情報処理システムで実現される機能のうち、ユーザー端末に関連する機能を示す機能ブロック図である。
【
図4】サーバーにおいて実行されるコンテンツの配信準備の流れを示す図である。
【
図5】原稿画像を裁断して配信用のページ画像を作成する裁断処理の一例を示す図である。
【
図6】ユーザー端末において実行されるコンテンツの閲覧制御の流れを示す図である。
【
図7】縦読み用コンテンツの閲覧に関するスクロール表示の量的データの管理手法を示す図である。
【
図8】見開きページを伴う縦読み用コンテンツの閲覧に関するスクロール表示の量的データの管理手法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の実施形態について説明する。なお以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.情報処理システムの構成
図1は、本実施形態の情報処理システム10の全体構成を示す図である。
図1に示すように情報処理システム10では、サーバー20と複数のユーザー端末40が、インターネット、携帯電話網、LAN、WANなどのネットワークにより接続されており、いわゆるクライアント・サーバー方式の通信システムが構築されている。そして複数のユーザー端末40のそれぞれは、ネットワーク30を介してサーバー20と互いに通信を行って種々の情報を送受信する。なお複数のユーザー端末40のそれぞれが、ネットワーク30およびサーバー20を介して他のユーザー端末40と互いに通信を行って種々の情報を送受信することも可能である。
【0011】
サーバー20は、CPU等のプロセッサーからなる制御部21と、ROMやRAM等の主記憶装置、およびHDDやSSD等の補助記憶装置からなる記憶部22と、通信モジュールや通信インターフェースからなる通信部23とを含む。サーバー20は、制御部21が記憶部22に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。またサーバー20は、通信部23によってユーザー端末40から情報を受信し、制御部21が実行した処理の結果に関する情報等をユーザー端末40に送信する。
【0012】
ユーザー端末40は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター、携帯ゲーム機、店舗や家庭に設置される据え置きゲーム機等である。ユーザー端末40は、CPU等のプロセッサーからなる制御部41と、ROMやRAM等の主記憶装置、およびフラッシュメモリ、HDD、SDD等の補助記憶装置からなる記憶部42と、タッチパネルやキーボード、マイク等からなる操作・入力部43と、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなる表示部44と、通信モジュールや通信インターフェースからなる通信部45とを含む。ユーザー端末40も、記憶部42に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。またユーザー端末40は、通信部45によってサーバー20からの情報を受信し、サーバー20に情報を送信する。なおユーザー端末40は、サーバー20を介して他のユーザー端末40に情報を送信することも可能である。
【0013】
なお、サーバー20には、いわゆるCDN(Content-Delivery-Network)を構築する装置も含まれ、オリジンサーバーに限らず、オリジンサーバーと同様にコンテンツを配信可能なキャッシュサーバーであってもよい。すなわちユーザー端末40とでサーバー20とで構築される情報処理システム10は、ネットワーク負荷をキャッシュサーバーで軽減するCDN(Content-Delivery-Network)を利用したシステムを含む。
【0014】
本実施形態の情報処理システム10では、サーバー20において管理されているコンテンツをユーザー端末40に対して配信可能となっている。以下では、提供されるコンテンツが、複数のページ画像によって1のチャプターが構成される漫画であり、ユーザー端末40の表示画面において主として縦方向のスクロール表示によりコンテンツを閲覧する縦読み用のコンテンツである場合を例にとり説明する。
【0015】
図2は、サーバー20の主要な機能を示す機能ブロック図である。本実施形態では、サーバー20が、コンテンツの原稿画像を配信用のページ画像に加工する機能、コンテンツのアクセス情報をユーザー端末40に通知する機能、ユーザー毎にコンテンツの閲覧履歴を管理する機能などを有している。そしてサーバー20では、
図2(A)に示すように、サーバーデータ記憶部50と、サーバーデータ管理部60とが、協働して上記機能が実現される。
【0016】
サーバーデータ記憶部50は、サーバーデータ管理部60が各種の処理を行うためのデータを記憶するものであり、主として記憶部22により実現される。
【0017】
またサーバーデータ記憶部50は、原稿データベース51を含み、原稿データベース51にコンテンツの原稿画像のデータが記憶される。原稿画像のデータは、例えば、作者などから原稿画像を受け取った編集担当者の端末(図示省略)からサーバー20にアップロードされ、原稿データベース51に保存される。なお本実施形態では、各コンテンツに関して、1のチャプターが複数の原稿画像によって構成され、原稿データベース51において、1のチャプターを構成する複数の原稿画像が個別のデータとして保存されていてもよいし、1のチャプターを構成する複数の原稿画像が結合されたデータとして保存されていてもよい。
【0018】
またサーバーデータ記憶部50は、コンテンツデータベース52を含み、コンテンツデータベース52にコンテンツのページ画像のデータが記憶される。ページ画像のデータは、後述する裁断処理や画質調整処理によって原稿画像を元にして作成された配信用のデータであって、コンテンツを構成する複数のページ画像がチャプター毎にネットワークアドレスと紐付けて管理される。
【0019】
またサーバーデータ記憶部50は、閲覧履歴データベース53を含み、閲覧履歴データベース53にユーザーのユーザーIDに紐付けてコンテンツの閲覧履歴が記憶される。閲覧履歴には、少なくともユーザーが閲覧したことのあるコンテンツの種類とコンテンツの読了に関する情報が含まれる。
【0020】
サーバーデータ管理部60は、原稿画像を裁断してページ画像の画像サイズを調整する処理、ページ画像の画質を調整する処理、ユーザー端末40を通じてコンテンツを閲覧させてユーザーの閲覧履歴を作成・更新する処理などを行い、主として制御部21および通信部23により実現される。そしてサーバーデータ管理部60は、画像裁断部61、画質調整部62、コンテンツ閲覧管理部63を含む。
【0021】
画像裁断部61は、原稿画像を所定の縦横比になるように裁断する処理を行う。本実施形態では、原稿データベース51に保存されている1のチャプターを構成する複数の原稿画像を、最終ページに相当する原稿画像を除いて隙間なく縦に繋げた結合データを生成し、結合データを、その横幅に合わせて正方形(縦横比が1:1)に裁断して配信用のページ画像を生成する。本実施形態では、原稿画像のうち1ページ目から最終ページの1つ前のページまでは結合された上で裁断されて配信用のページ画像となり、最終ページの原稿画像はそのまま配信用のページ画像となる。なお最終ページの原稿画像を含む1のチャプターを構成する全ての原稿画像を結合した上で所定形状に裁断するようにしてもよい。また原稿データベース51において原稿画像が結合された状態で保存されている場合には結合データの生成は不要である。また結合データの全長によっては一部のページ画像が正方形にならない場合がある。その場合、横長の長方形のページ画像が含まれることになる。
【0022】
画質調整部62は、裁断済みのページ画像の画質を所定の解像度に調整する処理を行う。本実施形態では、各コンテンツについて低画質(例えば、600dpi)または高画質(1200dpi)の2種類の解像度のページ画像が生成され、コンテンツデータベース52に保存される。低画質または高画質のいずれの画質でコンテンツを閲覧するかについてはユーザー端末40からの要求に応じて決定される。
【0023】
コンテンツ閲覧制御部63は、ユーザー端末40からの閲覧要求に応答してコンテンツへのアクセス情報およびページ情報(各ページのページ長と総ページ数を少なくとも含む)をユーザー端末40に送信する処理を行う。本実施形態では、ユーザー端末40が、サーバー20から受信したアクセス情報に基づいてコンテンツデータベース52に保存されているコンテンツの各ページ画像をダウンロードしてコンテンツの閲覧を可能とする。なお本実施形態では、ユーザー端末40側で起動される閲覧アプリケーションにおいて、コンテンツの閲覧設定として、コンテンツを高画質の画像または低画質の画像のいずれで閲覧するかを設定しておくことができ、ユーザー端末40から閲覧要求をサーバー20に送る際に、ユーザーがあらかじめ設定した画質設定に関する情報が含まれる。そしてコンテンツ閲覧制御部63は、受信した閲覧要求に高画質設定の情報が含まれている場合には、高画質データへのアクセス情報をユーザー端末40に送信し、受信した閲覧要求に低画質設定の情報が含まれている場合には、低画質データへのアクセス情報をユーザー端末40に送信する。なおサーバー20においてユーザー情報として画質設定の情報をユーザーIDに紐付けて管理し、閲覧要求を受信した場合にユーザーIDに基づき画質設定の情報を参照して、高画質データまたは低画質データのいずれに対するアクセス情報をユーザー端末40に送信するかを決定する制御を行うようにしてもよい。
【0024】
またコンテンツ閲覧管理部63は、ユーザーごとにコンテンツの閲覧履歴を管理する処理を行う。本実施形態では、ユーザー端末40からの閲覧要求があったコンテンツの種類をユーザーIDに紐付けて閲覧履歴データベース53に登録する処理を行う。また閲覧履歴として、閲覧されたコンテンツについて読了の有無も記録されており、コンテンツ閲覧制御部63は、ユーザー端末40からの読了報告によって、コンテンツの読了を閲覧履歴データベース53に登録する処理も行っている。
【0025】
図3は、ユーザー端末40の主要な機能を示す機能ブロック図である。本実施形態では、ユーザー端末40が、閲覧するコンテンツの選択を受け付ける機能、サーバー20に対してコンテンツの閲覧を要求する機能、コンテンツを構成するページ画像をディスプレイ(表示部44)に表示させる機能、コンテンツの読了をサーバー20に通知する機能などを有している。そしてユーザー端末40では、
図3に示すように、端末データ記憶部70と、コンテンツ閲覧制御部80とが、協働して上記機能が実現される。
【0026】
端末データ記憶部70は、コンテンツ閲覧制御部80が各種の処理を行うためのデータを記憶するものであり、主として記憶部42により実現される。
【0027】
また端末データ記憶部70は、コンテンツ記憶部71を含み、コンテンツ記憶部71に閲覧対象のコンテンツを構成するページ画像がサーバー20のコンテンツデータベース52からダウンロードされる。本実施形態では、コンテンツ記憶部71にダウンロードされたページ画像がユーザー端末40のディスプレイ(表示部44)の画面サイズに応じて拡大・縮小してレンダリングされてコンテンツが閲覧される。
【0028】
また端末データ記憶部70は、スクロール情報記憶部72を含み、スクロール情報記憶部72には、閲覧中のコンテンツを構成する各ページ画像のページ長に関する情報であるページ長情報と、閲覧中のコンテンツの総ページ数に関する情報であるページ数情報と、閲覧中のコンテンツのスクロール表示の量的データに対応する情報であるスクロール情報とが記憶される。本実施形態では、ページ長情報とページ数情報とに基づく、コンテンツの総ページ長(各ページ画像のページ長を合算したもの)に対するスクロール割合をスクロール情報として保存しており、閲覧が中断されたコンテンツの閲覧を再開する場合にスクロール情報に基づく表示内容の再現が可能となっている。
【0029】
また端末データ記憶部70は、ユーザー情報記憶部73を含み、ユーザー情報記憶部73には、ユーザー名やユーザーIDなどのユーザープロフィールに関する情報、コンテンツの閲覧時の画質の設定情報(低画質または高画質)などが記憶される。
【0030】
コンテンツ閲覧制御部80は、コンテンツの閲覧に関する種々の処理を行い、主として制御部41および通信部45により実現される。本実施形態では、コンテンツ閲覧制御部80は、閲覧対象のコンテンツの選択を受け付けて、選択されたコンテンツを特定する情報や画質の設定情報を含む閲覧要求をサーバー20に対して送信する処理を行う。そして閲覧要求に対してサーバー20からコンテンツへのアクセス情報およびページ情報を取得すると、コンテンツ閲覧制御部80は、コンテンツのページ画像をコンテンツ記憶部71にダウンロードしてディスプレイ(表示部44)のサイズに合わせてページ画像を拡大・縮小して表示させる処理を行う。またコンテンツ閲覧制御部80は、コンテンツの閲覧中においてはディスプレイ(表示部44)を兼用するタッチパネル(操作入力部43)に対するスワイプ入力が行われるとスワイプ量に応じてページ画像をスクロール表示させる処理を行う。
【0031】
またコンテンツ閲覧制御部80は、コンテンツの読了を判定する処理、閲覧を中断したコンテンツの閲覧中断時の表示状況を再現する処理も行っており、スクロール管理部81、読了判定部82、表示再現部83を含む。
【0032】
スクロール管理部81は、コンテンツのスクロール表示の量的データに関する情報(スクロール情報)をスクロール情報記憶部72に保存する処理を行う。本実施形態では、コンテンツの最終ページを除く各ページのページ長を合算したものを総スクロール量とし、閲覧によってスクロール表示されたページ長を既表示スクロール量として、総スクロール量に対する既表示スクロール量の割合であるスクロール割合をスクロール情報として保存する。スクロール情報の保存は、少なくともコンテンツの閲覧が中断された場合に行われる。コンテンツの閲覧が中断される場合とは、例えば、コンテンツの閲覧対象を変更した場合、アプリケーションの切り替えが行われた場合、アプリケーションが終了した場合などである。なお閲覧中のスワイプ入力によってスクロール表示が行われた場合などにもスクロール情報を保存するようにしてもよい。またスクロール情報の保存は、定期的に行われるようにしてもよい。例えば、所定時間を経過する毎にスクロール情報を保存したり、表示画面のフレーム更新周期でスクロール情報を保存するようにしてもよい。
【0033】
読了判定部82は、閲覧中のコンテンツの読了を判定する処理を行う。本実施形態では、既表示スクロール量が総スクロール量に達した場合に読了と判定される。また読了判定部82は、コンテンツの読了である判定すると、ユーザー端末40からサーバー20に対して読了報告を送信する。なお読了を判定する処理は、ユーザー端末40の表示画面の上端から所定割合(例えば、30%)の位置に判定補助線を設定しておき、最終ページ画像の上端が判定補助線を通過した場合にコンテンツの読了であると判定するようにしてもよい。
【0034】
表示再現部83は、閲覧が中断されているコンテンツ(読了と判定されていないコンテンツ)の閲覧が再開される場合に、スクロール情報記憶部72に記憶されている当該コンテンツのスクロール情報から閲覧中断時の表示状況を再現する処理を行う。本実施形態では、スクロール割合に基づき閲覧の中断時に表示されていたページ画像を特定して、当該ページ画像をディスプレイ(表示部44)に表示させることによって閲覧中断時の表示状況を再現する。
【0035】
2.本実施形態の制御手法
以下では、本実施形態の制御手法について、スマートフォンとして設けられたユーザー端末40の閲覧アプリケーションを用いてコンテンツを閲覧させる場合を例に挙げて説明する。
【0036】
本実施形態では、サーバー20のプログラムにおいて、コンテンツの原稿画像を加工して配信用のページ画像を生成する機能を実現する。
図4は、サーバー20でのコンテンツの配信準備の流れを示す図である。
【0037】
まず原稿画像のデータのアップロードを受け付ける(ステップS101)。本実施形態では、所定のデータ形式(例えば、JPEG形式)で1のチャプターを構成する複数の原稿画像のデータがサーバー20にアップロードされ、原稿データベース51に保存されて管理される。
【0038】
次に1のチャプターを構成する複数の原稿画像を配信用のページ画像のサイズに裁断する(ステップS102)。本実施形態では、原稿画像が縦長となっており、原稿画像を本来のページ順(原稿上でのページ順)に隙間なく並べて繋げた結合データを生成し、結合データから縦横比が1:1となるようにページ画像を裁断する。
【0039】
例えば、
図5に示すように、5枚の原稿画像201~205が用意され、原稿画像201~205のそれぞれについて、縦横比が4:3である場合を想定する。これら5枚の原稿画像201~205に基づいて、最終ページに相当する原稿画像205を除く残りの原稿画像201~204を縦方向に隙間なく繋がれた結合データ206が生成され、横幅に合わせて正方形の画像となるように裁断位置P1~P5が定められる。
【0040】
そして裁断位置P1~P5が決定されると、その位置で結合データを裁断して、6枚のページ画像207~212が生成される。
図5に示す例では、1ページ目~5ページ目までのページ画像207~211については縦横比が1:1の正方形の画像に裁断され、6ページ目のページ画像212については縦横比が1:3の長方形の画像に裁断される。また最終ページの原稿画像205については、縦横比を4:3としたままページ画像213として流用される。
【0041】
次に、裁断処理によって生成されたページ画像(ページ画像207~213)について、低画質配信用のページ画像と、高画質配信用のページ画像とをそれぞれ生成する画質調整処理が行われる。本実施形態では、解像度を調整する処理によって低画質配信用のページ画像と高画質配信用のページ画像を生成し、例えば、低画質配信用のページ画像については解像度が600dpiに調整され、高画質配信用のページ画像については解像度が1200dpiに調整され、それぞれについてコンテンツデータベース52に保存される。
【0042】
また本実施形態では、ユーザー端末40のプログラムにおいて、コンテンツのスクロール表示の量的データを保存して閲覧中断からの再開に際して中断時の状況を再現する機能を実現する。
図6は、ユーザー端末40でのコンテンツの閲覧の流れを示す図である。
【0043】
まずコンテンツの選択を受け付ける(ステップS301)。本実施形態では、コンテンツ選択画面においてチャプター単位で閲覧対象を選択することができる。閲覧対象の選択が行われると、サーバー20に対して閲覧要求が送信され、閲覧要求を受信したサーバー20からアクセス情報等(閲覧対象のコンテンツへのアクセス情報、当該コンテンツのページ長情報、および当該コンテンツのページ数情報)を取得する(ステップS302)。
【0044】
そしてサーバー20から取得したアクセス情報に基づいてコンテンツの閲覧が可能となる。閲覧対象のコンテンツが閲覧中断されたものではない場合には(ステップS303でN)、アクセス情報に基づいてコンテンツデータベース52に保存されている閲覧対象のコンテンツを構成するページ画像をダウンロードして先頭ページに対応するページ画像から表示する閲覧開始処理を行う(ステップS304)。
【0045】
閲覧開始処理では、例えば、閲覧対象が、
図5に示した7枚のページ画像207~213で構成されるコンテンツであった場合、
図7(A)に示すように、ユーザー端末40のディスプレイ(表示部44)の表示画面400の上端に、コンテンツの先頭ページであるページ画像207の上端が重なる位置で、ページ画像207およびページ画像208がレンダリングされる。
【0046】
そしてコンテンツの閲覧が開始された後は、表示画面400に対するスワイプ入力を検出すると(ステップS306でY)、ページ画像がスクロール表示されるスクロール処理が行われる(ステップS307)。
【0047】
例えば、
図7(A)に示す閲覧開始の状況から上方向へのスワイプ入力を検出した場合、スワイプ量に応じてスクロール量d1が決定され、
図7(B)に示す位置までスクロール表示が行われる。本実施形態では、スクロール処理が行われた場合、コンテンツが最終ページまで読み進められたことに該当する読了となったか否かが判定される(ステップS308)。
【0048】
本実施形態では、先頭ページの上端から表示画面の上端までの必要スクロール量を既表示スクロール量として、既表示スクロール量が、先頭ページの上端から最終ページの上端までのページ長の合計である総スクロール量に達した場合に読了であると判定される。なお既表示スクロール量は、閲覧開始時における表示画面の位置(初期位置)からのスクロール量であればよく表示画面の上端とは異なる任意の位置(例えば、下端)を基準にしていてもよい。
【0049】
また
図7に示す例では、ページ画像207~211のそれぞれのページ長が「3」に設定され、ページ画像212のページ長が「1」に設定されている。このため先頭ページに相当するページ画像207の上端から最終ページに相当するページ画像213の上端までのページ長の合計は「16」となり、これが総スクロール量となる。そして
図7(B)に示す閲覧状況では、既表示スクロール量d1が「3」であるため、総スクロール量「16」には達しておらず、読了ではないと判定される(ステップS308でN)。
【0050】
やがてコンテンツの閲覧が進んで、
図7(C)に示すように、最終ページに相当するページ画像213までの閲覧が完了すると、既表示スクロール量d2が総スクロール量「16」に到達して読了であると判定される。本実施形態では、閲覧中のコンテンツが読了であると判定されると(ステップS308でY)、読了時処理が行われる(ステップS309)。読了時処理では、表示画面にチャプターが読み終えられたことをユーザーに通知するポップアップ画像を表示するとともに、サーバー20に対してコンテンツの読了を報告する読了報告を送信する。
【0051】
またコンテンツを閲覧していたユーザーがコンテンツを最終ページまで読み終える前に閲覧を中断する場合がある。例えば、閲覧対象のコンテンツを変更する場合、他のアプリケーションを使用する場合、閲覧アプリケーションを終了する場合などである。このような場合を本実施形態ではページ離脱として取り扱い、閲覧中のコンテンツの読了が判定される前にページ離脱の状況が発生した場合には(ステップS310でY)、現在の表示画面での総ページ長に対するスクロール割合とコンテンツの種類とを対応づけたスクロール情報をスクロール情報記憶部72に保存する(ステップS311)。
【0052】
例えば、
図7(B)に示す閲覧状況においてコンテンツの閲覧が中断された場合(ページ離脱が発生した場合)、既表示スクロール量d1が「3」であり、総ページ長が「20」であるからスクロール割合が3/20として保存される。なおスクロール割合については総スクロール量に対する既表示スクロール量の割合としてもよい。
【0053】
そして、ユーザーが閲覧を中断したコンテンツの閲覧を再開した場合には、ステップS303において閲覧対象のコンテンツが閲覧中断されたものであると判断され(ステップS303でY)、スクロール情報記憶部72に保存されているスクロール情報に基づいて中断時の閲覧状況を再現する表示再現処理を行う(ステップS305)。例えば、スクロール割合が3/20で保存されていた場合には、そのスクロール割合から中断時のスクロール位置を特定して、当該スクロール位置において表示されるべきページ画像をレンダリングして中断時の閲覧状況を再現する。
【0054】
以上に述べた本実施形態の情報処理システム10では、表示画面の長手方向に沿ってページ画像をスクロール表示して閲覧される縦読み用のコンテンツの1チャプターを構成する一連の原稿画像を、物理表示単位で整数倍とする辺の正方形のサイズに分割するように裁断してページ画像を生成し、コンテンツの閲覧時にユーザー端末40においてダウンロードとレンダリングを行っている。
【0055】
特に昨今のスマートフォンのディスプレイの高精細化に伴い、1インチ幅内のピクセル密度(dpi)がユーザー端末40の機種毎に異なることがあるため、コンテンツを構成するページ画像を表示画面のサイズで1ページ分とする従来の管理方式では、縦読み用のコンテンツとするべく、各ページ画像を縦に繋ぐ場合、ユーザー端末40の機種によっては1ピクセル前後のズレが生じ、表示画面においてページ画像の間に黒線が発生するおそれがあった。
【0056】
そこで本実施形態では、縦読み用のコンテンツを構成するページ画像を、できるだけ物理表示単位で整数倍とする辺の正方形のサイズとし、コンテンツを表示する際に、それらのページ画像をユーザー端末40のディスプレイに合わせて拡大縮小してレンダリングすることにより、ページ画像の間に隙間なくコンテンツを表示することを可能にしている。
【0057】
また本実施形態の情報処理システム10では、縦読み用のコンテンツ閲覧時の読了の判定と、読了の判定結果に基づくスクロール位置の再現を行う機能を実現する。
【0058】
本機能は、縦読み用のコンテンツを閲覧している際に、そのスクロール位置を保存可能とし、ユーザーがコンテンツの閲覧を一時的に中断して別のコンテンツを閲覧、または別のアプリケーションを利用した後などに、再び、閲覧を中断したコンテンツの閲覧を再開した場合、中断時の閲覧状況を精度よく再現することができる。
【0059】
また縦読み用のコンテンツでは明確なページ境界が存在せず、シームレスにスクロールしながらコンテンツを閲覧するため、閲覧中断時の表示状況が多様となり、従来において慣用されてきた1枚のページ画像を表示画面サイズで管理してページ単位で既読判定をする手法では、閲覧再開時のスクロール位置の再現が正確にできない。
【0060】
これに対して本実施形態の情報処理システム10では、先頭ページの上端からのスクロール割合を保存しているため、コンテンツの閲覧を再開した場合に、前回閲覧時の表示状況をほぼ正確に再現することができる。
【0061】
すなわち本実施形態の情報処理システム10では、コンテンツの閲覧状況を、ページ単位ではなく、スクロール表示の量的データで保存し、それに基づいて中断時の閲覧状況を再現するものである。これにより、ユーザーが閲覧中断時の状況を覚えていなくても当該状況に正しく復帰することができ、スムースな閲覧の再開ができるため、ユーザー入力の利便性を大きく向上させることができる。
【0062】
なお本実施形態では、スクロール表示の量的データとしてスクロール割合を採用していたが、スクロール情報として保存する量的データの単位としては、ピクセル数や結合データにおけるピクセル位置などであってもよい。また、表示画面上の物理的な表示位置を量的データの単位としてもよい。また本実施形態では、ユーザー端末40においてスクロール情報を保存するようにしたが、ユーザー端末40のみならずサーバー20においてもスクロール情報を保存可能としてもよい。またサーバー20でスクロール情報を管理して、コンテンツの閲覧再開時にユーザー端末40がサーバー20からスクロール情報を取得するようにしてもよい。
【0063】
また本実施形態の情報処理システム10では、ユーザー端末40において表示再現処理を実行可能としたことによって、同一コンテンツに関して閲覧を中断してから閲覧を再開する際に、前回スクロールした位置まで表示画面を自動的に遷移する機能を実現している。なお表示再現処理における表示画面の遷移の手法としては、中断時の閲覧状況に直接的に遷移してもよいし、先頭ページから中断時の閲覧状況に至るまでスクロールさせるアニメーション処理を経由して中断時の閲覧状況まで遷移させるようにしてもよい。
【0064】
また本実施形態では、コンテンツに見開きページが存在せず、コンテンツの閲覧時に縦方向のみのスクロール表示がなされる場合について説明したが、見開きページが存在する縦読み用のコンテンツにおいてスクロール情報を管理して中断時の閲覧状況を再現することも可能である。
【0065】
図8は、見開きページを含む縦読み用のコンテンツを示す図である。この例では、コンテンツがページ画像401~405によって構成されており、ページ画像402が見開きページとして存在する。この場合、スクロール表示の経路は、矢印501~503に示す通りであり、見開きページの閲覧中には、スクロール方向が横方向に変化する。スクロール方向の変化については、ページ画像402に見開き属性データを設定しておき、見開き属性データが設定されているページ画像402のスクロール表示についてはスクロール方向を横方向に変化させることで実現する。なおスクロール表示の経路についてページ長を用いたシナリオデータを用意してスクロール方向が指定されており、既表示スクロール量からシナリオデータを参照してスクロール方向を判断するようにしてもよい。
【0066】
図8に示すような見開きページを含むコンテンツの場合には、スクロール表示の方向に応じてスクロール表示の量的データを管理することにより、上記実施形態で説明した手法を適用して閲覧中断時の状況再現を行うことができる。具体的には、表示画面の上端がページ画像402の上端に達するまでは縦方向のスクロール表示が行われ、ページ画像401のページ長d3をスクロール表示の量的データとする。続いて見開きページであるページ画像402に関する横方向のスクロール表示については、ページ画像402の右端からページ画像403の右端までのページ長d4をスクロール表示の量的データとして扱う。最後にスクロール表示の方向が横方向から縦方向に変化した後については、ページ画像402の上端から最終ページであるページ画像405の上端までのページ長d5をスクロール表示の量的データとする。すなわち
図8に示す例では総スクロール量がd3+d4+d5となり、既表示スクロール量が総スクロール量に達したことに基づいて読了と判定される。またコンテンツの閲覧が中断される場合には、総ページ長(d3+d4+d5+d6)に対する既表示スクロール量の割合をスクロール情報として保存して、コンテンツの閲覧再開時には閲覧中断時の表示状況を再現することができる。なおこの場合においても総スクロール量(d3+d4+d5)に対する既表示スクロール量の割合をスクロール情報として保存するようにしてもよい。
【0067】
また本実施形態のスクロール表示の量的データを管理して閲覧中断時の状況を再現する手法は、いわゆる横読み用のコンテンツ(ページ画像を横方向にスクロール表示して閲覧するコンテンツ)に対して適用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 情報処理システム、
20 サーバー、40 ユーザー端末、21,41 制御部、22,42 記憶部、
23,45 通信部、43 操作入力部、44 表示部、
50 サーバーデータ記憶部、51 原稿データベース、
52 コンテンツデータベース、53 閲覧履歴データベース、
60 サーバーデータ管理部、61 画像裁断部、62 画質調整部、
63 コンテンツ閲覧制御部、70 端末データ記憶部、71 コンテンツ記憶部、
72 スクロール情報記憶部、73 ユーザー情報記憶部、
80 コンテンツ閲覧制御部、81 スクロール管理部、82 読了判定部、
83 表示再現部、