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  • 特開-遠隔操作装置及び遠隔操作方法 図1
  • 特開-遠隔操作装置及び遠隔操作方法 図2
  • 特開-遠隔操作装置及び遠隔操作方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183999
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】遠隔操作装置及び遠隔操作方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091582
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新幡 裕一
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 智至
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707JU12
3C707KS15
3C707LW12
3C707MS08
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】遠隔地から操作されるロボットを、適切に動作させること。
【解決手段】ロボットを操作する遠隔操作装置であって、ロボットの周辺情報を取得する周辺情報取得部と、ロボットの動作状態を取得する動作状態取得部と、ロボットへの操作入力を取得する操作入力取得部と、操作入力に基づいて、ロボットを制御する動作命令を生成する命令生成部と、周辺情報と動作状態と操作入力とから発生する事象を予測する事象予測部と、所定の動作を禁止するルールを規定するデータベースと、データベースを検索し、予測した事象がルールに抵触するか否かを判断する問い合わせ部と、を備え、信号生成部は、事象がルールに抵触すると判断した場合、操作入力の操作を実行するロボットへの動作命令を生成せず、ルールに抵触しないと判断した場合、操作入力に基づいてロボットへの動作命令を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを操作する遠隔操作装置であって、
前記ロボットの周辺情報を取得する周辺情報取得部と、
前記ロボットの動作状態を取得する動作状態取得部と、
前記ロボットへの操作入力を取得する操作入力取得部と、
前記操作入力に基づいて、前記ロボットを制御する動作命令を生成する命令生成部と、
前記周辺情報と前記動作状態と前記操作入力とから発生する事象を予測する事象予測部と、
所定の動作を禁止するルールを規定するデータベースと、
前記データベースを検索し、予測した前記事象が前記ルールに抵触するか否かを判断する問い合わせ部と、を備え、
前記信号生成部は、前記事象が前記ルールに抵触すると判断した場合、前記操作入力の操作を実行する前記ロボットへの前記動作命令を生成せず、前記ルールに抵触しないと判断した場合、前記操作入力に基づいて前記ロボットへの前記動作命令を生成する、遠隔操作装置。
【請求項2】
前記信号生成部は、前記問い合わせ部で前記事象が前記ルールに抵触すると判断した場合、前記操作入力の操作とは異なり、かつ、前記ルールに抵触しない動作を実行する前記ロボットへの前記動作命令を生成する、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記ルールは、前記ロボットが配置されている領域において実行した場合、処罰が設定されている動作を禁止する、請求項1または2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記問い合わせ部は、前記データベースに記憶されている前記ルールと、前記ロボットの動作を用いて、機械学習した学習済みプログラムに基づいて、前記ルールに抵触するか否かを判断する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記周辺情報取得部は、前記ロボットの位置情報を取得し、
前記問い合わせ部は、前記位置情報に応じて、前記ルールに抵触するか否かを判断する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
ロボットを操作する遠隔操作方法であって、
前記ロボットの周辺情報を取得するステップと、
前記ロボットの動作状態を取得するステップと、
前記ロボットへの操作入力を取得するステップと、
前記周辺情報と前記動作状態と前記操作入力とから発生する事象を予測するステップと、
所定の動作を禁止するルールを規定するデータベースを検索し、予測した前記事象が前記ルールに抵触するか否かを判断するステップと、
前記ルールに抵触すると判断した場合、前記操作入力の操作を実行する前記ロボットへの動作命令を生成せず、前記ルールに抵触しないと判断した場合、前記操作入力に基づいて前記ロボットへの動作命令を生成するステップと、を備える遠隔操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作装置及び遠隔操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが離れた位置のロボットを操作する技術が知られている。例えば、特許文献1には、遠隔地から他のユーザがいる領域に配置されたロボットを操作するシステムが記載されている。また、遠隔地のユーザには、ロボットで検出した位置情報を基にアバターを表示することで、複数のユーザが3次元的な位置の認識を共有して、同じ空間にいるような感覚を得ることができる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-168971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
離れた場所からユーザがロボットを操作する場合、ロボットが意図しない動作をしてしまう場合や、ユーザの判断ミスで不適切な動作をしてしまう恐れがある。ロボットが不適切な動作を実行した場合、ロボットにより周囲に悪影響が生じたり、ユーザに不利益が発生したりする。
【0005】
本発明は、遠隔地から操作されるロボットを、適切に動作させる遠隔操作装置及び遠隔操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る遠隔操作装置は、ロボットを操作する遠隔操作装置であって、前記ロボットの周辺情報を取得する周辺情報取得部と、前記ロボットの動作状態を取得する動作状態取得部と、前記ロボットへの操作入力を取得する操作入力取得部と、前記操作入力に基づいて、前記ロボットを制御する動作命令を生成する命令生成部と、前記周辺情報と前記動作状態と前記操作入力とから発生する事象を予測する事象予測部と、所定の動作を禁止するルールを規定するデータベースと、前記データベースを検索し、予測した前記事象が前記ルールに抵触するか否かを判断する問い合わせ部と、を備え、前記信号生成部は、前記事象が前記ルールに抵触すると判断した場合、前記操作入力の操作を実行する前記ロボットへの前記動作命令を生成せず、前記ルールに抵触しないと判断した場合、前記操作入力に基づいて前記ロボットへの前記動作命令を生成する。
【0007】
本発明の一態様に係る遠隔操作方法は、ロボットを操作する遠隔操作方法であって、前記ロボットの周辺情報を取得するステップと、前記ロボットの動作状態を取得するステップと、前記ロボットへの操作入力を取得するステップと、前記周辺情報と前記動作状態と前記操作入力とから発生する事象を予測するステップと、所定の動作を禁止するルールを規定するデータベースを検索し、予測した前記事象が前記ルールに抵触するか否かを判断するステップと、前記ルールに抵触すると判断した場合、前記操作入力の操作を実行する前記ロボットへの動作命令を生成せず、前記ルールに抵触しないと判断した場合、前記操作入力に基づいて前記ロボットへの動作命令を生成するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遠隔地から操作されるロボットを、適切に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るロボットシステムの構成例を説明するための図である。
図2図2は、実施形態に係る遠隔操作装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る遠隔操作装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
[ロボットシステム]
図1を用いて、実施形態に係るロボットシステムについて説明する。図1は、実施形態に係るロボットシステムの構成例を示す図である。図1に示すように、ロボットシステム10は、ロボット(操作対象物)12と遠隔操作装置(操作端末)14とネットワーク16と、を含む。ロボットシステム10は、ユーザにより遠隔操作装置14に入力されたロボット12への操作を、ネットワーク16を介してロボット12に送信する。ロボット12は、受信した操作に基づいて動作する。ネットワーク16は、例えば、インターネット網である。
【0012】
ロボット12は、少なくとも一部が物理的に移動する。ロボット12は、地面を移動する機構を備えていても、ロボットアームのように本体に対して移動する機構を備えていてもよい。ロボット12は、制御部22と、駆動部24と、通信部26と、情報取得部28と、を備える。
【0013】
制御部22は、ロボット12の各部の動作を制御する。制御部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の演算装置と、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブなどの記憶装置と、を備える。制御部22は、記憶装置に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係るプログラム)がRAM等を作業領域として実行されることにより制御機能を実現する。また、制御部22は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部22は、ソフトウェアと、ハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0014】
駆動部24は、ロボット12の可動部分である。駆動部24は、車輪、脚等の本体を移動させる機構や、ロボットアーム等の本体に設置され、本体に対して移動する機構である。駆動部24は、制御部22により制御される。
【0015】
通信部26は、遠距離無線通信を行う遠距離無線通信部である。具体的には、通信部26は、ネットワーク16を介して、遠隔操作装置14と通信可能に接続されている。すなわち、ロボット12は、通信部26を用いて、遠隔操作装置14と遠距離無線通信を行う。
【0016】
情報取得部28は、ロボット12の周囲の情報を取得する。情報取得部28は、位置センサ、画像センサ、距離センサ、マイク等を備え、周囲の情報として、現在の位置情報、周囲の三次元形状、周囲の画像、音声等を取得する。位置センサとしては、GPS等の絶対座標の位置を取得するセンサや、周囲の障害物との間の距離を検出するレーザレーダ(例えば、LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)、赤外線照射部と受光センサとを含む赤外線センサ、およびToF(Time of Flight)センサなどが例示される。画像センサとしては、CMOSイメージセンサおよびCCDなどが例示される。
【0017】
図2は、実施形態に係る遠隔操作装置14の構成例を示すブロック図である。遠隔操作装置14は、ユーザがロボット12に関する情報を取得し、ロボット12に対する操作を入力する機器である。遠隔操作装置14は、例えば、パーソナルコンピュータや、ユーザが頭部に装着して使用するHMD(Head Mounted Display)装置と操作を入力する入力装置とを用いた構成が例示されるが、これに限定されない。遠隔操作装置14は、入力部30と、出力部32と、通信部34と、演算部36と、記憶部38と、を含む。
【0018】
入力部30は、遠隔操作装置14に対するユーザからの各種の操作を受け付ける。入力部30は、ロボット12への操作などを受け付ける。操作は、入力端末への物理入力、音声入力、ジェスチャー入力等、種々の入力がある。入力部30は、キーボード、マウス、タッチパネル、マイク、カメラなどが例示されるが、これに限定されない。入力部30は、ユーザの操作に関する操作信号を演算部36に出力する。
【0019】
出力部32は、ユーザに各種情報を出力する。出力方法は、特に限定されず、視覚への出力、聴覚への出力等がある。出力部32は、ディスプレイ、スピーカ等である。
【0020】
通信部34は、遠距離無線通信を行う遠距離無線通信部である。具体的には、通信部34は、ネットワーク16を介して、ロボット12と通信可能に接続されている。すなわち、遠隔操作装置14は、通信部34を用いて、ロボット12と遠距離無線通信を行う。
【0021】
演算部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部38に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係るプログラム)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、演算部36は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。演算部36は、ソフトウェアと、ハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。演算部36は、周囲情報取得部42と、動作状態取得部44と、操作入力取得部46と、事象予測部48と、問い合わせ部50と、命令生成部52と、を含む。各部については、記憶部38の後に説明する。
【0022】
記憶部38は、各種の情報を記憶する。記憶部38は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブなどの記憶装置で実現することができる。記憶部38は、制御プログラム62と、問い合わせプログラム64と、命令生成プログラム66と、データベース68と、を含む。
【0023】
制御プログラム62は、ロボット12の遠隔操作処理の全体を統括する。制御プログラム62は、周囲情報取得部42と、動作状態取得部44と、操作入力取得部46と、事象予測部48の各部の動作を実現するプログラムである。制御プログラム62は、問い合わせプログラム64と、命令生成プログラム66の処理の制御も実行する。問い合わせプログラム64は、問い合わせ部50の処理を実現するプログラムである。問い合わせプログラム64は、ロボット12の周囲情報と入力された動作命令とに基づいて、動作命令を実行してもよいかを判定する。命令生成プログラム66は、命令生成部52の処理を実現するプログラムである。命令生成プログラム66は、動作命令に基づいてロボット12に出力する命令(動作信号)を生成する。
【0024】
データベース68は、問い合わせ部64で判断する基準のデータが含まれる。データベース68は、ロボット12の動作を制限するルールに基づいて、動作を実行可能か判断する基準の情報が含まれる。ルールは、社会通念上避ける必要がある各種事項を含み、例えば、法律、政令、条例、施設や地域の規則、施設や地域の習慣に基づいて設定される。データベースは、ルールと設定される各種事項をデータとして含んでも、ルールに基づいて作成した基準のデータを含んでもよい。基準のデータは、比較するための画像データ、ロボットの動作状態を示すデータ等が含まれる。なお、データベース68は、各部の処理に必要なデータを含んでもよい。
【0025】
次に、演算部36の各部を説明する。周囲情報取得部42は、通信部34を介してロボット12の情報取得部28で取得した情報を取得する。周囲情報取得部42は、情報取得部28で取得した情報に基づいて、ロボット12の周囲の情報を取得する。具体的には、ロボット12の位置や、周囲にある物体等の情報を取得する。
【0026】
動作状態取得部44は、ロボット12の動作状態を取得する。具体的には、動作状態取得部44は、ロボット12に入力した動作命令や、ロボット12の駆動部24の駆動信号に基づいて、ロボット12が実行している動作の情報を取得する。動作状態として、ロボット12の移動速度、移動方向、可動部の位置情報、移動速度等が含まれる。操作入力取得部46は、ロボット12への操作入力、つまり、入力部30に入力されたユーザの操作に関する操作信号を取得する。
【0027】
事象予測部48は、周囲情報取得部42で取得した周囲情報と、動作状態取得部44で取得した動作状態と、操作入力取得部46で取得した動作命令とに基づいて、ロボット12で動作命令を実行した場合に生じる事象を予測する。事象予測部48は、動作情報と動作命令とに基づいてロボット12で実行する動作を算出し、周囲情報に基づいて把握した周囲の状況から、算出したロボット12の動作を実行した場合に生じる状態を予測する。事象予測部48は、例えば、周囲情報からオブジェクトを認識し、ロボット12の動作速度と動作命令入力からそのオブジェクトとロボットが衝突するかを予測する。
【0028】
問い合わせ部50は、事象予測部48で予測した事象に基づいて、データベース68のルールを検索し、予測した事象に抵触するルールがあるかを判定する。問い合わせ部50は、予測した事象に抵触するルールがある場合、該当するルールを出力する。問い合わせ部50は、例えば、オブジェクトに接触禁止というルールがあり、かつ、ロボット12のロボットアームが、対象のオブジェクトに衝突するという予測である場合、ロボットアームの動作の継続がルールに抵触することを出力する。
【0029】
命令生成部52は、問い合わせ部50でルールに抵触せず、動作命令を出力すると判定された場合、操作入力取得部46に入力された操作に基づいた動作命令を生成し、ロボット12に出力する。また、命令生成部52は、問い合わせ部50でルールに抵触すると判定した場合、ロボット12に現状入力されている情報に基づいて、データベース68のルールに抵触しない動作を実行する動作命令を生成する。例えば、オペレータはあるオブジェクトをロボットアームに取って確認しようとしているケースに対し、問い合わせ部50がロボットアームの動作の継続を止めるよう判定した場合は、オペレータからの動作命令を阻止し、現在のロボットアームの動作を止めるような動作命令に変換する。命令生成部52は、生成した動作命令を通信部34を介してロボット12へ送信する。ロボット12は、通信部26を介して受信した動作命令を制御部22に入力し、駆動部24は動作命令に従って動作する。これにより、ユーザはロボット12を適切に動作させることができる。
【0030】
次に、図3を用いて、遠隔操作装置14の動作について説明する。図3は、実施形態に係る遠隔操作装置の処理の一例を示すフローチャートである。遠隔操作装置14は、図3に示す処理を繰り返し実行することで、ロボット12の動作を制御する。
【0031】
遠隔操作装置14は、周囲状況取得部42で周囲情報を取得する(ステップS12)。次に、遠隔操作装置14は、動作状態取得部44で、動作状況を取得する(ステップS14)。次に、遠隔操作装置14は、操作入力取得部46で動作命令を取得する(ステップS16)。なお、遠隔操作装置14は、周囲情報、動作状況、動作命令を取得できればよく、ステップS12からステップS16の処理は順番が異なってもよいし、並列して処理してもよい。
【0032】
遠隔操作装置14は、事象予測部48で発生する事象を予測する(ステップS18)。遠隔操作装置14は、周囲情報、動作状況と動作命令に基づいて、これから実行するロボット12の動作を算出し、周囲情報で取得した状況下で当該動作を実行した場合に生じる事象を予測する。
【0033】
次に、遠隔操作装置14は、問い合わせ部50で発生する事象がルールに抵触するかを判定する(ステップS20)。問い合わせ部50は、データベースから、発生する事象に対応するルールを抽出し、抽出したルールの中で発生する事象を禁止するルールがあるかを判定する。問い合わせ部50は、禁止するルールがある場合、抵触すると判定し、禁止するルールがない場合抵触しないと判定する。
【0034】
遠隔操作装置14は、問い合わせ部50で発生する事象がルールに抵触する(ステップS20でYes)と判定した場合、動作命令に基づく動作を停止する(ステップS22)。具体的には、命令生成部52で動作命令に基づく動作を行わない命令を生成し、ロボット12に出力する。動作命令に基づく動作を行わない命令は、動作を停止する命令でも、動作命令とは異なる動作を行う命令でもよい。ここで、動作命令に基づく動作を行わない命令は、ルールに抵触しない動作となる。
【0035】
遠隔操作装置14は、問い合わせ部50で発生する事象がルールに抵触しない(ステップS20でNo)と判定した場合、動作命令に基づく動作を継続する(ステップS24)。具体的には、命令生成部52で動作命令の動作を行う命令を生成し、ロボット12に出力する。
【0036】
遠隔操作装置14は、ロボット12から周辺状況、動作状況の情報を取得し、ユーザに入力された操作に基づいたロボット12の動作で周囲に生じる事象を予測する。遠隔操作装置14は、予測した事象がデータベースに記憶させた社会通念上避ける必要がある各種事項に抵触するかを判定し、抵触する場合、当該動作を実行しない。これにより、遠隔操作装置14は、ユーザが遠隔でロボット12を操作した場合でも、社会通念上避ける必要がある各種事項に抵触した動作を実行することを抑制できる。また、社会通念上避ける必要がある各種事項に基づいて判定することで、ユーザが知らないルールに基づいた動作を入力した場合も、当該動作が実行されることを防ぐことができる。これにより、ロボット12が周囲に悪影響を与えることを抑制でき、ユーザに操作の責任でペナルティが発生することを抑制できる。
【0037】
社会通念上避ける必要がある各種事項、つまり禁止する動作としては、ロボットが配置されている領域において実行した場合、処罰が設定されている動作であることが好ましい。これにより、ロボット12の操作で問題が生じることをより確実に防ぐことができる。
【0038】
また、社会通念上避ける必要がある各種事項をルールとしてデータベースに格納し、ルールと事象を比較することで、法律等の改正で、社会通念上避ける必要がある各種事項が変更になった場合も、ルールの対象の事項を変更することで対応することができる。これにより、ルールに基づいて判断することで、禁止事項の動作を網羅的に設定しなくても、社会通念上避ける必要がある各種事項をロボット12が実行しないように制御できる。
【0039】
遠隔操作装置14は、問い合わせ部50での判定処理を機械学習で学習した学習済みプログラムを用いてもよい。つまり問い合わせプログラム64を学習済みプログラムとしてもよい。具体的には、遠隔操作装置14は、社会通念上避ける必要がある各種事項と、各種事象及び事象がルールに抵触するか、どのルールに抵触するかの情報に基づいて学習を行い、学習済みプログラムを作成する。ここで、機械学習は、教師あり学習の例としたが教師無し学習でもよい。遠隔操作装置14は、問い合わせ部50の処理を機械学習で学習することで、学習済みプログラムの社会通念上避ける必要がある各種事項の変更することで、容易に変更することができる。これにより、国や地域の違いに応じた変更を簡単に行うことができる。また、GPSなどの位置センサにより位置情報を参照して、国や地域の違いに応じてルールを設定するようにしても良い。
【0040】
遠隔操作装置14は、事象予測部48の予測処理も機械学習で学習した学習済みプログラムを用いてもよい。つまり制御プログラム62を学習済みプログラムとしてもよい。このように、事象の予測も機械学習とし、予測モデルを再学習することで、予測の精度を高くすることができる。
【0041】
遠隔操作装置14は、演算部36と記憶部38の全てを含むものとして説明した。これら演算部36と記憶部38について、その少なくとも一部の要素は、ロボット12やネットワーク16と接続されたサーバ18(図示せず)に配置してもよい。さらに、記憶部38の少なくとも一部の要素は、ネットワーク16上に分散して配置してもよい。例えば、データベース68はサーバ18にのみ配置してもよいし、ロボット12とサーバ18とにそれぞれ分散して配置してもよい。ロボット12は、通信部26を介して定期的にサーバ18に配置されたデータベース68からルールを参照する。また、ロボット12は情報取得部28のGPSなどの位置センサを介して、その位置に応じたルールをデータベース68から参照してもよい。
【0042】
ここで、遠隔操作装置14を、演算部36と記憶部38のみから構成した場合を考える。すると、遠隔操作装置14は、ネットワーク16上の任意の位置(例えば図1のロボット12の位置)に配置される。この場合、入力部30、出力部32、通信部34からなる操作端末を構成し、図1の遠隔操作装置14の位置に配置される。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
10 ロボットシステム
12 ロボット(操作対象物)
14 遠隔操作装置(操作端末)
16 ネットワーク
22 制御部
24 駆動部
26 通信部
28 情報取得部
30 入力部
32 出力部
34 通信部
36 演算部
38 記憶部
42 周囲情報取得部
44 動作状態取得部
46 操作入力取得部
48 事象予測部
50 問い合わせ部
52 命令生成部
62 制御プログラム
64 問い合わせプログラム
66 命令生成プログラム
68 データベース
図1
図2
図3