(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184020
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】穿孔機及び穿孔工法
(51)【国際特許分類】
B23B 41/00 20060101AFI20221206BHJP
B23B 47/02 20060101ALI20221206BHJP
F16L 41/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B23B41/00 E
B23B47/02 A
F16L41/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091620
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】391000841
【氏名又は名称】大肯精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小泉 祐介
【テーマコード(参考)】
3C036
3H019
【Fターム(参考)】
3C036AA02
3C036DD05
3H019CA01
3H019CB01
(57)【要約】
【課題】室内配管などの配管の支持反力が十分に得ることができない場合であっても、配管に穿孔することが可能な穿孔機、及び穿孔工法を提供すること、これによって、室内配管など支持反力が十分に得られない配管において分岐工事を円滑に行う。
【解決手段】ホルソー40の刃が配管Pに当接して穿孔が始まるまでは、穿孔方向と逆向きの負荷がかからないので、スピンドル30及びホルソー40が被螺合部21の螺子ピッチに沿って送られることとなる。そして、ホルソー40の刃が配管Pに当接して穿孔方向と逆向きに規定値以上の負荷がかかったときに、スピンドル30が送りナット20と供回りすることで空転し、螺子ピッチで送られなくなるため、ホルソー40へのトルク伝達が遮断される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に孔を開ける穿孔機であって、
外周面に螺合部が形成されたスピンドルと、
前記螺合部と螺合される被螺合部が形成された送りナットと、
前記スピンドルに取り付けられる穿孔部と、
前記スピンドルに穿孔方向と逆方向の負荷がかかったときに、トルクの伝達を遮断する過負荷防止機能と、
を備えたことを特徴とする穿孔機。
【請求項2】
前記送りナットの外周に設けられ、前記送りナットの回転を補助するベアリングと、
をさらに備え、
前記送りナットは、
前記ベアリングが取り付けられる取付部と、
外周方向に突出した突出部と、
備えており、
前記過負荷防止機能は、
前記送りナットの前記取付部と、前記突出部との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔機。
【請求項3】
穿孔機を用いて配管に孔を開ける穿孔工法であって、
前記穿孔機は、
外周面に螺合部が形成されたスピンドルと、
前記螺合部と螺合される被螺合部が形成された送りナットと、
前記スピンドルに取り付けられる穿孔部と、
前記スピンドルに穿孔方向と逆方向の負荷がかかったときに、トルクの伝達を遮断する過負荷防止機能と、
を備えていることを特徴とする穿孔工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を穿孔する穿孔機、及びこの穿孔機を用いた穿孔工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管に取り付けられた分岐栓のフランジに取り付けられる穿孔機が開示されている(例えば、特許文献1)。このような穿孔機は、ボディ貫通孔にカッタユニットが取り付けられた回転軸部材を設けるとともに、この回転軸部材の下端から中央部にかけて貫通する軸中心孔が設けられる。そして、回転軸部材の側面から軸中心孔へ通じる第1軸スリットと、ボディの側面からボディ貫通孔に通じる第1ボディスリットが設けられる。これにより、カッタユニットから容易に切片を押し出して取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている穿孔機をはじめとする従来の穿孔機は、地面や地中に支持された配管の分岐工事に用いられることが一般的である。ここで、従来の穿孔機を用いて配管の上面を穿孔する際には、穿孔の対象となる配管が地面や地中に支持されていることから、配管の上面にホルソーを押し付ける力の反力が配管の支持によって確保されていた。
【0005】
しかしながら、室内に吊設された配管など、配管の支持反力が十分に得ることができない場合には、配管に穿孔することが困難であった。このため、支持反力が十分に得られない室内配管において分岐工事を円滑に行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、係る問題点に鑑み、配管の支持反力が十分に得ることができない場合であっても、配管に穿孔することが可能な穿孔機、及び穿孔工法を提供すること、これによって、室内配管など支持反力が十分に得られない配管において分岐工事を円滑に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明に係る穿孔機は、配管に孔を開ける穿孔機であって、外周面に螺合部が形成されたスピンドルと、前記螺合部と螺合される被螺合部が形成された送りナットと、前記スピンドルに取り付けられる穿孔部と、前記スピンドルに穿孔方向と逆方向の負荷がかかったときに、トルクの伝達を遮断する過負荷防止機能と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る穿孔機は、前記送りナットの外周に設けられ、前記送りナットの回転を補助するベアリングと、をさらに備え、前記送りナットは、前記ベアリングが取り付けられる取付部と、外周方向に突出した突出部と、を備えており、前記過負荷防止機能は、前記送りナットの前記取付部と、前記突出部との間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る穿孔工法は、穿孔機を用いて配管に孔を開ける穿孔工法であって、前記穿孔機は、外周面に螺合部が形成されたスピンドルと、前記螺合部と螺合される被螺合部が形成された送りナットと、前記スピンドルに取り付けられる穿孔部と、前記穿孔部の刃が前記配管に食いついて前記スピンドルに穿孔方向と逆方向の負荷がかかったときに、トルクの伝達を遮断する過負荷防止機能と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配管の支持反力が十分に得ることができない場合であっても、配管に穿孔することが可能な穿孔機、及び穿孔工法を提供することができ、これによって、支持反力が十分に得られない室内配管においても分岐工事を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】無負荷時における穿孔機のX-X断面図である。
【
図3】負荷時における穿孔機のX-X断面図である。
【
図4】配管の上面から穿孔するときの穿孔機の使用態様を示す図である。
【
図5】配管の側方や下方から穿孔するときの穿孔機の使用態様を示す図である。
【
図6】第2実施形態における穿孔機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
(穿孔機1の外観図)
まず、
図1を用いて、穿孔機1の外観図について説明を行う。
【0014】
穿孔機1は、上下方向に長さを有する円柱形状のボディ10と、ボディ10の開口部11に取り付けられた送りナット20と、送りナット20に取り付けられたスピンドル30とを備えている。また、スピンドル30には、刃を備えたホルソー40が取り付けられている。
【0015】
(無負荷時における穿孔機1のX-X断面図)
次に、
図2を用いて、無負荷時における穿孔機1のX-X断面図について説明を行う。
【0016】
図2に示す通り、送りナット20外周には、送りナット20の回転を補助するベアリング50が設けられている。具体的には、送りナット20の外周には取付部22が設けられており、ベアリング50は、取付部22の外周に取り付けられている。
【0017】
また、ベアリング50の下方であって、送りナット20の外周には、スピンドル30の送り量を調整するための皿バネ60が設けられている。具体的には、ボディ10の内部であって、送りナット20の底部には、送りナット20の周方向の外側に突出する突出部23が突設されており、皿バネ60は、取付部22と、突出部23との間に設けられている。
【0018】
また、本実施形態では皿バネ60は複数枚設けられている。ここで、皿バネ60の枚数や組み合わせは、ホルソー40に対する反力によって変動する。本実施形態では、下方に撓むように並列された直列一段の3枚の皿バネ60と、上方に撓むように並列された直列一段の3枚の皿バネ60とを1セットとして、3セット分の皿バネ60が設けられている。なお、皿バネ60の撓み量が大きければ大きいほど皿バネ60が作動する際の規定トルクの調整がし易くなる。
【0019】
スピンドル30の外周には螺合部31が設けられており、送りナット20の内周には、螺合部31と螺合される被螺合部21が設けられている。ここで、本実施形態において、螺合部31は雄螺子により構成されており、被螺合部21は雌螺子により構成されている。
【0020】
なお、送りナット20には、ボディ10と当接するストッパ24が設けられている。
【0021】
スピンドル30には、スピンドル30の振動を抑止する振止部32が設けられている。ここで、振止部32は、ボディ10の内部であって、スピンドル30の周方向の外側に突設されている。また、振止部32は、ボディ10の内壁12に当接することで、スピンドル30の芯ブレを防止することができる。
【0022】
ここで、穿孔機1を用いて後述の配管Pを穿孔する場合において、ホルソー40が後述の配管Pに当接して穿孔が始まるまでは、ホルソー40に対してトルクがかからない。すなわち、穿孔機1に対して、スピンドル30の送り方向、すなわち穿孔方向(矢印Aの方向)と逆向きの負荷がかからない。このため、スピンドル30が回転方向(矢印Bの方向)に回動すると、スピンドル30及びホルソー40が、送りナット20の被螺合部21の螺子ピッチに沿って穿孔方向(矢印Aの方向)に送られることとなる。
【0023】
(負荷時における穿孔機1のX-X断面図)
次に、
図3を用いて、負荷時における穿孔機1のX-X断面図について説明を行う。
【0024】
穿孔機1を用いて後述の配管Pを穿孔する場合において、ホルソー40の刃が後述の配管Pに当接して穿孔が始まると、穿孔方向と逆向き(矢印Cの方向)に負荷が生じる。この負荷が規定値以上になった際に、スピンドル30から力が伝達されて送りナット20が押し上げられる。なお、「規定値」とは、ホルソー40の刃が配管Pに食いつきを起こさない程度の所定の値をいう。
【0025】
送りナット20が押し上げられると、取付部22と、突出部23との間に設けられている皿バネ60に負荷がかかり、皿バネ60が圧縮される。そして、皿バネ60が圧縮されると、ベアリング50と、皿バネ60との間に摩擦が生じることにより、送りナット20、及びベアリング50がスピンドル30と供回りするため、ホルソー40へのトルク伝達が遮断される。これにより、ホルソー40への過負荷を防ぎ、ホルソー40の刃の破損防止や、作業者の手に反力が作用してしまうのを防止することができる。
【0026】
このとき、スピンドル30は空転しているため、穿孔方向へ螺子ピッチに沿って送られず、ホルソー40もスピンドル30からトルクの伝達がされていないため、穿孔方向へ螺子に沿って送られなくなる。
【0027】
そして、皿バネ60への圧縮量が減り、摩擦が減ると、送りナット20、及びベアリング50がスピンドル30と供回りしなくなる。これにより、スピンドル30及びホルソー40は、再度、被螺合部21の螺子ピッチに沿って穿孔方向に送られることとなる。
【0028】
そして、スピンドル30及びホルソー40は、皿バネ60の圧縮反力がなくなると、再度、被螺合部21の螺子ピッチで送られるようになり、皿バネ60に対する負荷がかかると、皿バネ60の圧縮反力によって穿孔方向に送られるようになる。これらを繰り返すことにより配管Pの穿孔が完了する。
【0029】
(配管Pの上面から穿孔するときの穿孔機1の使用態様)
次に、
図4を用いて、配管Pの上面から穿孔するときの穿孔機1の使用態様について説明を行う。
【0030】
本実施形態における穿孔機1を用いて配管Pを上面から穿孔する場合、分岐継手Sに取り付けられているシャッタ装置のフランジFに対して穿孔機1を取り付ける。そして、後述する電動機D(例えば、モータ、電動ドリル)を穿孔機1のスピンドル30の上部に装着して穿孔することとなる。なお、分岐継手Sに対して穿孔機1を直接取り付けることとしてもよい。
【0031】
そして、ホルソー40の刃が配管Pに当接して穿孔が始まると、穿孔方向と逆向き(矢印Cの方向)の負荷がかかることとなる。この負荷が規定値以上になると、スピンドル30とホルソー40との間のトルク伝達が遮断され、穿孔方向への螺子による送りがかからなくなる。負荷が減ると再度トルクの伝達がされ、穿孔方向に螺子に沿って送られるようになる。これらを繰り返すことにより、配管Pが揺動しないように反力を適度に逃がしながら回転していって少しずつ配管Pを切削していくこととなる。
【0032】
すなわち、スピンドル30は、ホルソー40が配管Pに当接して穿孔が始まるまでは、被螺合部21の螺子ピッチで送られ、ホルソー40の刃への負荷が大きくなり、負荷が規定値以上になった際はスピンドル30とホルソー40との間のトルク伝達が遮断され、穿孔方向への螺子による送りがかからなくなる。
【0033】
(配管Pの側面や底面を穿孔するときの穿孔機1の使用態様)
次に、
図5を用いて、配管Pの側面や底面を穿孔するときの穿孔機1の使用態様について説明を行う。
【0034】
従来の穿孔機1を用いて配管Pの側面や底面を穿孔する場合、例えば、
図5(B)に示すように、室内の天井に吊設された配管Pの底面を穿孔する場合、配管Pの支持反力を十分に得ることができず、配管に穿孔をすることができない。
【0035】
また、従来の穿孔機1を用いて配管Pの側面や下面を穿孔する場合、作業者は、配管が設置されている位置によっては無理な体制で作業をしなくてはならない場合がある。例えば、
図5(A)に示す通り、室内に設置されている配管Pの側面を穿孔するとき、作業者は膝を付いて穿孔機1を配管Pに押し付ける必要がある。また、
図5(B)に示す通り、室内の天井に吊設された配管Pの底面を穿孔するとき、作業者は上方を見上げながら腕を上げて穿孔機1を配管Pに押し付ける必要がある。
【0036】
そして、室内に設置された配管Pの側面や下面を穿孔する場合、配管Pの支持反力が十分に得ることができず、配管Pに穿孔することが困難であった。ここで、被螺合部21の螺子ピッチを細かくすることが考えられる。しかしながら、被螺合部21の螺子ピッチを細かくすると、ホルソー40の刃が管路Pに当接して穿孔が始まるまでの時間が長時間となってしまうため、作業時間が長くなってしまうという問題点がある。
【0037】
これに対して、本実施形態における穿孔機1を用いて配管Pの側面を穿孔する場合や、配管Pの底面を穿孔する場合において、ホルソー40の刃が管路Pに当接して穿孔が始まるまでは、穿孔方向と逆向きの負荷がかからないので、スピンドル30及びホルソー40が被螺合部21の螺子ピッチに沿って送られることとなる。そして、ホルソー40の刃が管路Pに当接して穿孔が始まると、穿孔方向と逆向き(矢印Cの方向)の負荷がかかることとなる。この負荷が規定値以上になると、スピンドル30からホルソー40へのトルク伝達が遮断され、送りナット20、及びベアリング50がスピンドル30と供回りし、穿孔方向への螺子による送りがかからなくなる。
【0038】
また、天井から吊設された配管Pを穿孔する場合には、穿孔機1を配管Pの下方から押し付けて穿孔する必要があるが、配管Pに対して必要以上の負荷がかかってしまい、吊設された配管Pが外れてしまう虞や、配管Pが破損してしまう虞がある。また、配管Pの側方や下方から穿孔する場合に、作業者は、配管Pが設置されている位置によっては無理な体制にならないといけない場合がある。そして、作業者が無理な体制で配管Pの穿孔を行っているときに作業者の手に反力が作用してしまうと、安全性に問題点があった。
【0039】
これに対して、本実施形態における穿孔機1は、穿孔方向と逆向きに規定値以上の負荷がかかったときに、送りナット20とベアリング50がスピンドル30と供回りすることで、スピンドル30が空転し、被螺合部21の螺子ピッチで送られなくなるためホルソー40へのトルク伝達が遮断される。これにより、ホルソー40は、作業者に対する反力が適度に逃げるので、安全に穿孔作業を行うことができる。
【0040】
ここで、穿孔機1にギアを搭載し、このギアによってスピンドル30の送り量や、トルクの伝達を調整することも考えられる。しかしながら、穿孔機1にギアを搭載すると、穿孔機1の重量が重くなってしまうので、作業者の負担になってしまうという問題点が生じてしまう。特に、狭い室内で配管Pの穿孔作業を行うときに穿孔機1の重量が重いと、作業者にかかる負担は計りしれない。これに対して、本実施形態における穿孔機1は、ギアを搭載する必要がないことから、ギアを搭載した場合と比較して穿孔機1の重量を軽くすることができるので、作業者の負担を軽減することができる。
【0041】
(穿孔機1の第2実施形態)
次に、
図6を用いて、穿孔機1の第2実施形態について説明を行う。
【0042】
上述した第1実施形態では、皿バネ60によりトルクの伝達が遮断されることとなるが、第2実施形態では、巻きばね73によりトルクの伝達が遮断されることとなる。
【0043】
具体的には、
図6(A)に示す通り、第2実施形態における穿孔機1は、スラストベアリング70の下方に設けられたボール溝71に鉄球72が嵌合すると、スピンドル30のトルクがホルソー40に対して伝達される。このとき、スピンドル30は、被螺合部21の螺子ピッチに沿って穿孔方向に送られる。
【0044】
図6(B)に示す通り、ホルソー40に対して特定以上の反力が生じた際に、ボール溝71と、鉄球72との間に生じる摩擦が増加し、ボール溝71に嵌合されている鉄球72が外れる。そして、鉄球72が穿孔方向Aに移動して巻きバネ73を押圧する。これにより、ホルソー40に対するトルクの伝達が遮断され、スピンドル30が空転することとなる。
【0045】
そして、巻きバネ73の圧縮反力がなくなると、ボール溝71に対して鉄球72が再度嵌合し、スピンドル30及びホルソー40は、被螺合部21の螺子ピッチで送られるようになる。これらを繰り返すことにより配管Pの穿孔が完了する。
【0046】
このように、本発明における穿孔機1によれば、ホルソー40の刃が配管Pに当接して穿孔が始まるまでは、穿孔方向と逆向きの負荷がかからないので、スピンドル30及びホルソー40が被螺合部21の螺子ピッチに沿って送られることとなる。そして、ホルソー40の刃が配管Pに当接して穿孔方向と逆向きに規定値以上の負荷がかかったときに、スピンドル30が送りナット20と供回りすることで空転し、螺子ピッチで送られなくなるため、ホルソー40へのトルク伝達が遮断される。これにより、室内に吊設された配管Pのように、配管Pの支持反力が十分に得ることができない場合であっても配管Pを穿孔することができ、このように支持反力が十分に得られない室内配管においても分岐工事を円滑に行うことができる。また、スピンドル30の螺子ピッチを細かくする必要が無いので、ホルソー40の刃が管路Pに当接するまでの作業時間の短縮化を図ることができる。
【0047】
(第1発明)
第1発明は、配管(例えば、配管P)に孔を開ける穿孔機であって、外周面に螺合部(例えば、螺合部31)が形成されたスピンドル(例えば、スピンドル30)と、前記螺合部と螺合される被螺合部(例えば、被螺合部21)が形成された送りナット(例えば、送りナット20)と、前記スピンドルに取り付けられる穿孔部(例えば、ホルソー40)と、前記スピンドルに穿孔方向と逆方向の負荷がかかったときに、トルクの伝達を遮断する過負荷防止機能(例えば、皿バネ60、巻きバネ73)と、を備えたことを特徴とする穿孔機である。
【0048】
(第2発明)
第2発明は、前記送りナットの外周に設けられ、前記送りナットの回転を補助するベアリング(例えば、ベアリング50)と、をさらに備え、前記送りナットは、前記ベアリングが取り付けられる取付部(例えば、取付部22)と、外周方向に突出した突出部(例えば、突出部23)と、備えており、前記過負荷防止機能は、前記送りナットの前記取付部と、前記突出部との間に設けられていることを特徴とする第1発明に記載の穿孔機である。
【0049】
(第3発明)
第3発明は、穿孔機を用いて配管に孔を開ける穿孔工法であって、前記穿孔機は、外周面に螺合部(例えば、螺合部31)が形成されたスピンドル(例えば、スピンドル30)と、前記螺合部と螺合される被螺合部(例えば、被螺合部21)が形成された送りナット(例えば、送りナット20)と、前記スピンドルに取り付けられる穿孔部(例えば、ホルソー40)と、前記スピンドルに穿孔方向と逆方向の負荷がかかったときに、トルクの伝達を遮断するクラッチ機構(例えば、皿バネ60、巻きバネ73)と、を備えていることを特徴とする穿孔工法である。
【0050】
なお、上記実施形態や変形例で示した事項は、あくまで一例に過ぎず、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 穿孔機
10 ボディ
11 開口部
12 内壁
20 送りナット
21 被螺合部
22 取付部
23 突出部
30 スピンドル
31 螺合部
32 振止部
40 ホルソー
50 ベアリング
60 皿バネ
70 スラストベアリング
71 ボール溝
72 鉄球
73 巻きバネ
D 電動機
F フランジ
P 配管
S 分岐継手