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  • 特開-排水処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018403
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】排水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20220120BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20220120BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20220120BHJP
   C02F 1/461 20060101ALI20220120BHJP
   C02F 1/76 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
C02F1/28 A
B01J20/20 A
B01J20/30
C02F1/461 101C
C02F1/76 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121487
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D050
4D061
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
4D050AA12
4D050AB11
4D050BB06
4D050BD04
4D050BD06
4D050CA06
4D050CA10
4D050CA15
4D061DA08
4D061DB19
4D061DC08
4D061EA03
4D061FA06
4D061FA13
4D061FA16
4D624AA00
4D624AA04
4D624AB04
4D624BA02
4D624BC01
4D624DA03
4D624DA04
4D624DB03
4D624DB09
4D624DB23
4G066AA05B
4G066CA01
4G066DA08
4G066FA18
(57)【要約】
【課題】 従来よりも適正処理をすることができる排水処理方法を提供しようとするもの。
【解決手段】 排水の汚れ成分の濃度を自己処理放流水Wにより平準化して吸着剤槽Cに通す吸着濾過工程を有し、前記吸着濾過工程では排水の濃度を適正処理可能な濃度域になるように自己処理放流水Wをフィードバックして排水原水側に混合し、自己処理放流水Wの濃度が放流基準値の濃度に上昇するまでの時間帯と吸着剤を賦活再生する時間帯とが重複しないようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水の汚れ成分の濃度を自己処理放流水(W)により平準化して吸着剤槽(C)に通す吸着濾過工程を有し、前記吸着濾過工程では排水の濃度を適正処理可能な濃度域になるように自己処理放流水(W)をフィードバックして排水原水側に混合し、自己処理放流水(W)の濃度が放流基準値の濃度に上昇するまでの時間帯と吸着剤を賦活再生する時間帯とが重複しないようにしたことを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
前記排水中の汚れ成分を酸化分解してその濃度を低減する前処理工程を有するようにした請求項1記載の排水処理方法。
【請求項3】
前記前処理工程では汚れ成分の濃度が高い状態で処理してからより低い濃度に低減するようにした請求項1又は2記載の排水処理方法。
【請求項4】
前記吸着剤の賦活再生時の排水中の汚れ成分の炭化成分を吸着剤として利用するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の排水処理方法。
【請求項5】
前記排水処理を全有機炭素の測定値を介して吸着剤槽(C)に通す排水量を遠隔制御で調節するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の排水処理方法。
【請求項6】
前記吸着剤の賦活再生時の排気をスクラバーするようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の排水処理方法。
【請求項7】
前記吸着剤槽(C)との間を循環する電解装置(E)を有するようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の排水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物理化学的に処理を行う排水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々有機物を含有した排水を生物学的に除去するための生物処理装置に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、生物処理法の種類は種々あり、一般的には生物処理は高温・高圧を必要とせず、微生物の酵素による反応でBOD成分(有機成分)を分解してくれる最も合理的な方法で、このような生物処理法の代表的なものに活性汚泥法がある。
活性汚泥法とは曝気槽,沈殿槽(固液分離槽),返送汚泥ラインの三条件を満たしたプロセスにより、通常、排水を好気性下で微生物処理し、浄化する方法である。
活性汚泥法は前述したように、自然環境と同様、排水中の有機性成分を微生物により分解除去する最も合理的な方法であるが、活性汚泥法の操作条件や、排水の負荷変動により一旦処理が不安定になった場合、元の安定な状態に復帰させるのに時間を要する欠点を抱えている。
また、排水の量や性状はある程度変動するものであり、適正処理が行えない場合が多いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-103296
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、従来よりも適正処理をすることができる排水処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の排水処理方法は、排水の汚れ成分の濃度を自己処理放流水により平準化して吸着剤槽に通す吸着濾過工程を有し、前記吸着濾過工程では排水の濃度を適正処理可能な濃度域になるように自己処理放流水をフィードバックして排水原水側に混合し、自己処理放流水の濃度が放流基準値の濃度に上昇するまでの時間帯と吸着剤を賦活再生する時間帯とが重複しないようにしたことを特徴とする。
この排水処理方法は、排水の汚れ成分の濃度を自己処理放流水により平準化して吸着剤槽に通す吸着濾過工程を有するので、排水の汚れ成分の濃度が高いう状態ではなく自己処理放流水により平準化して低濃度化すると共に経時的な濃度のアップ・ダウンが少ないように時間的な平均化をして吸着剤への負担を軽減することが出来る。
また、前記吸着濾過工程では排水の濃度を適正処理可能な濃度域になるように自己処理放流水をフィードバックして排水原水側に混合するようにしたので、フィードバックした清浄な自己処理放流水を排水原水側に混合することにより吸着剤の吸着平衡が立ちにくい低い濃度で処理することが出来る。
さらに、自己処理放流水の濃度が放流基準値の濃度に上昇するまでの時間帯と吸着剤を賦活再生する時間帯とが重複しないようにしたので、自己処理放流水の濃度が規定の濃度に上昇するまでの時間に、吸着剤を賦活再生する時間を合わせることが出来る。
これにより、吸着剤の量をできるだけ少ない量に最適化して処理することができることとなる。
ここで、前記「排水」とは、狭義の排水、廃水、排液、廃液を含む上位概念とする。狭義の排水、廃水は汚れ成分の濃度が比較的低いものであり(例えばCOD 3,000ppm未満)、狭義の排液、廃液は汚れ成分の濃度が比較的高いものである(例えばCOD 3,000ppm以上)。そして、これら全てを含む上位概念を、「排水」として広義に総称することとする。
前記汚れ成分は、主として有機成分である。汚れ成分の濃度を測る指標として、TOC(全有機炭素)、COD(化学的酸素要求量)、NH3(アンモニア性窒素)、N‐ヘキサン値、ss成分(有機系粒子)などを例示することが出来る。
【0006】
(2)前記排水中の汚れ成分を酸化分解してその濃度を低減する前処理工程を有するようにしてもよい。
このように、排水中の汚れ成分を酸化分解してその濃度を低減する前処理工程を有するようにすると、排水中の汚れ成分の濃度を予めある程度低減しておくことができるので吸着濾過工程での負荷を軽減することが出来る。
【0007】
(3)前記前処理工程では汚れ成分の濃度が高い状態で処理してからより低い濃度に低減するようにしてもよい。
このように、前処理工程で汚れ成分の濃度が高い状態で処理してからより低い濃度に低減するようにすると、汚れ成分の濃度が高い状態で効率よく処理してから吸着濾過工程における適正な濃度に低減することが出来る。
【0008】
(4)前記吸着剤の賦活再生時の排水中の汚れ成分の炭化成分を吸着剤として利用するようにしてもよい。
このように、吸着剤の賦活再生時(例えば900℃)の排水中の炭化成分を吸着剤として利用するようにすると、排水処理中に吸着剤に付着した排水中の有機成分の炭化物を吸着剤として有効利用することが出来る。
【0009】
(5)前記排水処理を全有機炭素の測定値を介して吸着剤槽に通す排水量を遠隔制御で調節するようにしてもよい。
このように、排水処理を全有機炭素の測定値を介して吸着剤槽に通す排水量を遠隔制御で調節するようにすると、全有機炭素(TOC)の測定値を介したリモートの遠隔操作により、工場現場のエンド・ユーザーではなく、遠方の排水処理の専門家によるリアルタイムの判断によって現地人材のバック・アップを図ることが、予定通りの運転を行うことが出来る。
【0010】
(6)前記吸着剤の賦活再生時の排気をスクラバーするようにしてもよい。
このように、吸着剤の賦活再生時(例えば900℃)の排気をスクラバーするようにすると、浄化した清浄なガスを排出することが出来る。
例えば、排気・排ガスを電解水中に曝気し、さらにこれに電解水ミストをシャワーし、最終は活性炭フィルターに通して外部へと排出することが出来る。
【0011】
(7)前記吸着剤槽との間を循環する電解槽を有するようにしてもよい。
このように、吸着剤槽との間を循環する電解槽を有するようにすると、排水中に残存する汚れ成分を電解槽における電気分解で低減することが出来る。なお、電気分解により生成して残留する有効塩素は吸着剤で消すことが出来る。
【発明の効果】
【0012】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
吸着剤の量をできるだけ少ない量に最適化して処理することができるので、従来よりも適正処理をすることができる排水処理方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の排水処理方法の実施形態を説明するシステム・フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
〔実施形態1〕
図1に示すように、この排水処理方法は、排水の汚れ成分の濃度を自己処理放流水W…図示右下側(COD 20~100ppm程度)により平準化して、2連並列の吸着剤槽C…図示右よりの下側(交互運転する)に通す吸着濾過工程を有する。吸着剤として、この実施形態では活性炭を使用した。
排水とは、狭義の排水、廃水、排液、廃液を含む上位概念である。狭義の排水、廃水は汚れ成分の濃度が比較的低いものであり(COD 3,000ppm未満)、狭義の排液、廃液は汚れ成分の濃度が比較的高いものである(COD 3,000ppm以上)。そして、これら全てを含む上位概念を、排水として広義に総称する。
【0015】
前記汚れ成分は、主として有機成分である。汚れ成分の濃度を測る指標としては、TOC(全有機炭素)、COD(化学的酸素要求量)、NH3(アンモニア性窒素)、N‐ヘキサン値、ss成分(有機系粒子)などである。
排水の原水(COD 19,400ppm)は、TOCセンサーS1を介して原水槽1…図示左端 に受け入れるようにしている。TOCセンサーS1は、排水の汚れ成分の濃度が規定の濃度(COD 20,000ppm)以上であると信号を発するようにしており、これにより異常排水の受け入れを制限して、排水処理装置を自動停止するように制御することが出来る。
この実施形態では、排水の原水COD 約20,000ppm(元々はより高濃度であるが適正処理のため希釈した)で受け入れて処理するようにしたが、排水の性状に応じて、15,000ppm、10,000ppmなどで受け入れた方が全体としての処理のバランスが良好になる場合がある。
【0016】
先ず、排水の原水(1,000cc)を原水槽1に流入させ、吸着剤槽C…図示左側(活性炭量360g)、次亜水混合槽2を介して中間槽3に移行させるようにしている。排水は活性炭槽に対し13.2cc/分で通水した。吸着剤槽を出た時点のCODは、4,200ppmであった。なお、吸着剤槽Cを出た排水を原水槽1に戻して再度 吸着剤槽Cで処理する再処理ラインRを設けている。この再処理ラインRを利用することにより、吸着剤の処理性を排水の性状に合わせてアジャストすることが出来る。
次亜水混合槽2には、12%NaOCl(次亜塩素酸ナトリウム)に希釈水(工業用水、地下水、蒸留水)を混合して次亜水貯留槽4に貯留したものを添加するようにしている。そして、次亜水(排水500ccに対して12%NaOCl 8cc と希釈水42ccの割合)を混合したことにより中間槽3がアルカリ性に傾いた際には、HCl(塩酸)を適宜量 添加して中性域に戻すようにしている。
【0017】
次いで、中間槽3から電解装置Eを介して次の中間槽3に送るようにしている。電解装置Eでは、約6A/dm2の電流で電解した。そして、中間槽3に排水中の有機成分を凝集させる液中バインダー剤を添加し、砂濾過装置Sへと送るようにしている。砂濾過装置Sから原水槽1へは、逆洗浄水ラインLを設けている。
すなわち、前記排水中の汚れ成分は、次亜水と電解装置Eにより酸化分解してその濃度を低減する前処理工程を有するようにしている。
次いで、中間槽3からss成分等を除去する砂濾過装置S、TOCセンサーS2を介して中間混合槽5に導く。砂濾過装置Sを出た時点のCODは、3,229ppmであった。砂濾過装置Sでは、ss成分と共に液中バインダー剤により凝集した有機成分も除去する。すなわち、高分子量の有機汚れ成分は、液中バインダー剤で凝集させて砂濾過装置Sで濾別するようにしている。
【0018】
前記中間混合槽5から、TOCセンサーS3を介して2連並列の吸着剤槽C(交互運転する)に移行するようにしている(吸着濾過工程)。
そして、2連の各吸着剤槽Cに次ぐ吸着処理水槽6には、これとの間を循環する電解装置を設けるようにしている。必要に応じて、この電解装置を使用することが出来る。この電解装置により、吸着処理水槽6中に残留する排水の汚れ成分を電気分解して除去することが出来る。この電気分解による汚れ成分の除去の態様として、陽極電極による直接電解と電解生成塩素による酸化分解とがある。電解装置Eへは、12%NaOClを希釈して供給できるようにしている。
【0019】
吸着濾過工程では、排水の濃度を適正処理可能な濃度域になるように自己処理放流水Wを最終処理水槽7からフィードバックラインFで分岐して、TOCセンサーS4を介して排水原水側の中間混合槽5に混合させるようにしている。砂濾過装置S後のCODが約3,000ppmの場合、FB 150して処理開始当初の希釈CODが20ppm程度になるようにしている。
一方、系外に排出する自己処理放流水Wは、TOCセンサーS5で最終の水質(COD換算で<100ppm)を測定してから放流するようにしている。
そして、自己処理放流水Wの濃度が放流基準値の濃度(<COD100ppm)に上昇するまでの時間帯と、吸着剤を賦活再生装置8による賦活再生(900℃)する時間帯とが重複しないようにしている。この賦活再生装置8は、LNGガスによる熱風発生機構と熱分解路とを有する。賦活再生装置8から取り出した吸着剤は、吸着剤貯留槽9に移行してエアーで冷却するようにしている。
吸着剤槽C中の活性炭は、吸着剤貯留槽9との間で往復するようにしている。図中、点線で吸着剤貯留槽9→吸着剤槽Cの経路、太い破線で吸着剤槽C→吸着剤貯留槽9の経路を示す。
【0020】
吸着剤を賦活再生する際には、吸着剤が脱水して高温となり微細経路が形成されていく過程と、この過程において吸着された排水中の汚れ成分が分解炭化されていく過程とがある。吸着剤の賦活再生時(900℃)の排水中の汚れ成分の炭化成分を、吸着剤(活性炭)として利用するようにした。
前記吸着剤の賦活再生時の排気ガス(流路を細い破線で示す)を、吸着剤貯留槽9を介して浄化するスクラバー装置10を設けるようにしている。排気・排ガスを電解水中に曝気し、さらに電解水ミストをシャワーし、活性炭を充填したガス濾過装置で清浄化したうえで大気解放するようにしている。
ここで、実機で排水処理する際には、全有機炭素の測定値(TOCセンサーS1-5)を介して吸着剤槽Cに通す排水量を遠隔制御で調節することも出来る。すなわち、排水の経路に流量計を設置し、遠隔操作でフィードバックする流量の調整を行うことにより、FB量を増減し、排水の汚れ成分の濃度を平準化して、吸着剤の負荷をコントロールすることが出来る。
【0021】
次に、この実施形態の排水処理方法の使用状態を説明する。
この排水処理方法(原水COD 19,400ppm)は、前処理工程後の排水の汚れ成分の濃度(COD 3,000~4,000ppm程度)を自己処理放流水W(COD 20~100ppm程度)により平準化して吸着剤槽Cに通す吸着濾過工程を有するので、排水の汚れ成分の濃度が高い状態ではなく自己処理放流水Wにより平準化して低濃度化(中間混合槽5)すると共に、経時的な濃度のアップ・ダウンが少ないように時間的な平均化をして吸着剤への負担を軽減することが出来た。
【0022】
また、前記吸着濾過工程では排水の濃度を適正処理可能な濃度域(中間混合槽5)になるように自己処理放流水W(COD 20~100ppm程度)をフィードバックして排水原水側に混合(中間混合槽5)するようにしたので、フィードバックした清浄な自己処理放流水Wを排水原水側に混合することにより吸着剤の吸着平衡が立ちにくい低い濃度で処理することが出来た。
【0023】
さらに、自己処理放流水Wの濃度(COD 20~100ppm程度)が放流基準値の濃度(<COD100ppm)に上昇するまでの時間帯と吸着剤を賦活再生する時間帯とが2連の吸着剤槽C(交互運転する)で重複しないようにしたので、自己処理放流水Wの濃度(COD 20~100ppm程度)が規定の濃度(<COD100ppm)に上昇するまでの時間に、吸着剤を賦活再生する時間を合わせることが出来た。
これにより、吸着剤の量をできるだけ少ない量に最適化して処理することができることとなり、従来よりも適正処理をすることが出来た。
【0024】
また、前記排水中の汚れ成分(COD 20,000ppm程度)を酸化分解してその濃度を低減(COD 3,000~4,000ppm程度)する前処理工程を有するようにしたので、排水中の汚れ成分の濃度を予めある程度低減しておくことができるので吸着濾過工程での負荷を軽減することが出来た。
なお、前記前処理工程では汚れ成分の濃度が高い状態で処理してからより低い濃度に低減するようにすると、汚れ成分の濃度が高い状態で効率よく処理してから吸着濾過工程における適正な濃度に低減することが出来る。
【0025】
また、吸着剤の賦活再生時(900℃)の排水中の炭化成分を吸着剤として利用するようにしたので、排水処理中に吸着剤に付着した排水中の有機成分の炭化物を吸着剤として有効利用することが出来た。
さらに、吸着剤の賦活再生時(900℃)の排気をスクラバーするようにしたので、浄化した清浄なガスを排出することが出来た。
実機で排水処理する際、排水処理を全有機炭素の測定値(TOCセンサーS1-5)を介して吸着剤槽Cに通す排水量を遠隔制御で調節するようにすると、全有機炭素(TOC)の測定値を介したリモートの遠隔操作により、工場現場のエンド・ユーザーではなく、遠方の排水処理の専門家によるリアルタイムの判断によって現地人材のバック・アップを図ることが、予定通りの運転を行うことが出来ることとなる。
【0026】
〔実施形態2〕
排水原水のCOD 19,200ppmに対し、前処理工程後の排水の汚れ成分の濃度(COD 3,000~4,000ppm程度)を自己処理放流水(COD 20~100ppm程度)により平準化して吸着剤槽C(7kg)に通した(3L/時)。
そして、排水の濃度を適正処理可能な濃度域になるように自己処理放流水(COD 20~100ppm程度)をフィードバック(FB倍数 約200)して排水原水側に混合した。
【実施例0027】
排水原水COD:19,200ppm
前処理工程後の排水COD:3,650ppm
自己処理放流水のCOD(処理開始時):19.5ppm
先ず、中間混合槽の排水のCODの変移は次の通りである。
処理開始3時間後:32ppm
処理開始6時間後:50ppm
処理開始9時間後:61ppm
処理開始12時間後:73ppm
処理開始15時間後:83ppm
処理開始18時間後:99ppm
処理開始21時間後:100ppm
一方、最終処理水槽(自己処理放流水)の排水のCODの変移は次の通りである。
処理開始3時間後:14ppm
処理開始6時間後:28ppm
処理開始9時間後:44ppm
処理開始12時間後:62ppm
処理開始15時間後:70ppm
処理開始18時間後:86ppm
処理開始21時間後:93ppm
自己処理放流水の濃度が放流基準値の濃度(<COD 100ppm)に上昇するまでの時間帯(21時間)と吸着剤を賦活再生する時間帯(21時間)とが多連の吸着剤槽(交互運転する)で重複しないようにすることができた。
【実施例0028】
排水原水COD:19,200ppm
前処理工程後の排水COD:4,250ppm
自己処理放流水のCOD(処理開始時):20.5ppm
先ず、中間混合槽の排水のCODの変移は次の通りである。
処理開始3時間後:41ppm
処理開始6時間後:56ppm
処理開始9時間後:73ppm
処理開始12時間後:81ppm
処理開始15時間後:79ppm
処理開始18時間後:110ppm
処理開始21時間後:113ppm
一方、最終処理水槽(自己処理放流水)の排水のCODの変移は次の通りである。
処理開始3時間後:17ppm
処理開始6時間後:33ppm
処理開始9時間後:46ppm
処理開始12時間後:59ppm
処理開始15時間後:79ppm
処理開始18時間後:85ppm
処理開始21時間後:98ppm
自己処理放流水の濃度が放流基準値の濃度(<COD 100ppm)に上昇するまでの時間帯(21時間)と吸着剤を賦活再生する時間帯(21時間)とが多連の吸着剤槽(交互運転する)で重複しないようにすることができた。
【実施例0029】
排水原水COD:19,200ppm
前処理工程後の排水COD:4,100ppm
自己処理放流水のCOD(処理開始時):19.5ppm
先ず、中間混合槽の排水のCODの変移は次の通りである。
処理開始3時間後:36ppm
処理開始6時間後:45ppm
処理開始9時間後:60ppm
処理開始12時間後:79ppm
処理開始15時間後:93ppm
処理開始18時間後:91ppm
処理開始21時間後:105ppm
一方、最終処理水槽(自己処理放流水)の排水のCODの変移は次の通りである。
処理開始3時間後:12ppm
処理開始6時間後:26ppm
処理開始9時間後:39ppm
処理開始12時間後:61ppm
処理開始15時間後:67ppm
処理開始18時間後:73ppm
処理開始21時間後:89ppm
自己処理放流水の濃度が放流基準値の濃度(<COD 100ppm)に上昇するまでの時間帯(21時間)と吸着剤を賦活再生する時間帯(21時間)とが多連の吸着剤槽(交互運転する)で重複しないようにすることができた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
従来よりも適正処理をすることができることによって、種々の排水処理方法の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
C 吸着剤槽
W 自己処理放流水
図1