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特開2022-184033栄養強化剤、飼料組成物、栄養強化剤の製造方法、飼料組成物の製造方法、及び養殖方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184033
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】栄養強化剤、飼料組成物、栄養強化剤の製造方法、飼料組成物の製造方法、及び養殖方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/158 20160101AFI20221206BHJP
   A23K 10/12 20160101ALI20221206BHJP
   A23K 50/80 20160101ALI20221206BHJP
【FI】
A23K20/158
A23K10/12
A23K50/80
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091648
(22)【出願日】2021-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年1月6日に学術誌「Aquaculture」(Volume 535,30 March 2021,736352)のウェブ版にて発表 令和3年3月30日に学術誌「Aquaculture」(Volume 535,30 March 2021,736352)にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(71)【出願人】
【識別番号】301042941
【氏名又は名称】株式会社栄電社
(71)【出願人】
【識別番号】516320311
【氏名又は名称】有限会社栄電エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】小谷 知也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 研三
(72)【発明者】
【氏名】川路 博文
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005GA08
2B005LB06
2B150AA07
2B150AB02
2B150AD02
2B150AD08
2B150BB01
2B150CC05
2B150DA36
(57)【要約】
【課題】水産生物の仔稚魚の成長を促進するとともに生存率を高めることができる動物プランクトン用の栄養強化剤、水産生物用の飼料組成物、動物プランクトン用の栄養強化剤の製造方法、水産生物用の飼料組成物の製造方法、及び水産生物の養殖方法を提供することを目的とする。
【解決手段】飼料添加物に乳酸発酵させた焼酎粕を添加してなる栄養強化剤用いて栄養強化されたワムシ、及びアルテミア等の飼料組成物を魚類等の水産生物に給餌させて水産生物を養殖することで、仔稚魚に変態するまでの水産生物の生存率の改善を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物と、乳酸発酵された焼酎粕と、を含有する
動物プランクトン用の栄養強化剤。
【請求項2】
前記飼料添加物100重量部に対して前記焼酎粕が1重量部~10重量部が含有されている
請求項1に記載の動物プランクトン用の栄養強化剤。
【請求項3】
前記飼料添加物は、すじこ乳化油を主原料とする
請求項1または請求項2に記載の動物プランクトン用の栄養強化剤。
【請求項4】
高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物に乳酸発酵された焼酎粕が混合された栄養強化剤により栄養強化された動物プランクトンからなる
水産生物用の飼料組成物。
【請求項5】
前記動物プランクトンは、ワムシ、又はアルテミアである
請求項4に記載の水産生物用の飼料組成物。
【請求項6】
焼酎粕を乳酸発酵する工程と、
乳酸発酵後の前記焼酎粕を遠心分離して上清液と沈殿液に分離する工程と、
前記沈殿液を抽出して高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物を混合する工程と、を備える
動物プランクトン用の栄養強化剤の製造方法。
【請求項7】
焼酎粕を乳酸発酵する工程と、
乳酸発酵後の前記焼酎粕を遠心分離して上清液と沈殿液に分離する工程と、
前記沈殿液を抽出して高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物と混合した栄養強化剤を生成する工程と、
動物プランクトンを前記栄養強化剤で栄養強化する工程と、を備える
水産生物用の飼料組成物の製造方法。
【請求項8】
高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物、及び乳酸発酵された焼酎粕により栄養強化された動物プランクトンを、孵化後3日齢以上かつ40日齢以下の所定の期間内に水産生物の仔稚魚に給餌する工程を備える
水産生物の養殖方法。
【請求項9】
前記動物プランクトンを前記水産生物の仔稚魚に給餌する工程は、
孵化後3日齢以上20日齢以下まので所定の期間内はワムシを前記水産生物の仔稚魚に給餌し、
孵化後18日以上40日以下までの所定の期間内はアルテミアを前記水産生物の仔稚魚に給餌する工程を含む
請求項8に記載の水産生物の養殖方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養強化剤、飼料組成物、栄養強化剤の製造方法、飼料組成物の製造方法、及び養殖方法に関する。さらに詳しくは、水産生物の仔稚魚の成長を促進するとともに生存率を高めることができる動物プランクトン用の栄養強化剤、水産生物用の飼料組成物、動物プランクトン用の栄養強化剤の製造方法、水産生物用の飼料組成物の製造方法、及び水産生物の養殖方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人口増加による食料問題、中でも天然生物資源である水産生物(魚類や甲殻類等)の乱獲による個体数の減少が問題となっている。そのため、水産資源の保護の観点から、養殖などによる栽培漁業の重要性が高まってきている。
【0003】
多くの水産生物の種苗生産には、ワムシやアルテミア等の動物プランクトンが飼料組成物として用いられている。ワムシとしては、例えば、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属藻類等の藻類やサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母を給餌して培養されたものが飼料として利用されている。また、アルテミアとしては、例えば、休眠卵を孵化させて得られる幼生が飼料として利用されている。
【0004】
このようにして得られるワムシやアルテミアは、仔稚魚の成長に必須となるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)等の高度不飽和脂肪酸の含有量が低いため、水産生物用の生物餌料として用いるには栄養面での不足があるという課題がある。そのため、動物プランクンに不足するDHAやEPA等の高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物(栄養強化剤)を用いて栄養的に強化した後に水産生物に給餌している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-147620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に示すように、従来の栄養強化剤としての飼料添加物は、DHA、及びEPAの強化を中心として、ビタミン類、ミネラル類および遊離アミノ酸であるタウリンを強化することに主眼が置かれたものであり、これまでの改良技術により仔稚魚の生残率は改善傾向となっている。
【0007】
一方で、近年では数多くの栄養強化剤が開発をされているが、既存の栄養強化剤の質には大差は無く、どの栄養強化剤を使用しても一定の生残数を得ることができるものの、仔稚魚に変態する時期までの生存率は約50%程度の横ばい状態となっている。そのため、既存の栄養強化剤の改良で大幅に仔稚魚の生残率が向上することは期待できなくなっているのが現状であり、今後、漁業生産量が減り、養殖生産量が増加すると予想される中で仔稚魚の生残率の向上が求められるのは必然であり、どのような飼育環境においても生残率を改善させるためには、栄養強化剤のさらなる改良が必須となる。
【0008】
そこで、本発明の発明者らは鋭意研究をした結果、焼酎粕に含まれる機能性成分(例えばアミノ酸、有機酸、糖分、ビタミン、麹菌や酵母菌等の菌体、たんぱく質、でん粉、繊維分等)が、動物プランクトンを栄養強化剤で栄養強化する際に、動物プランクトンにおける栄養強化剤の消化吸収が促進され、係る動物プランクトンを摂食した水産生物の仔稚魚の生存率を高めるとの一定の知見を得るに至った。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、水産生物の仔稚魚の成長を促進するとともに生存率を高めることができる動物プランクトン用の栄養強化剤、水産生物用の飼料組成物、動物プランクトン用の栄養強化剤の製造方法、水産生物用の飼料組成物の製造方法、及び水産生物の養殖方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明の動物プランクトン用の栄養強化剤は、高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物と、乳酸発酵された焼酎粕とを含有する。
【0011】
ここで、栄養強化剤が高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物を含有することにより、水産生物の仔稚魚の成長に必須となるDHAやEPAを飼料添加物により栄養強化することができる。
【0012】
また、栄養強化剤が乳酸発酵された焼酎粕を含有することにより、動物プランクトンを飼料添加物で栄養強化する際に、飼料添加物に含有される高度不飽和脂肪酸の動物プランクトンにおける吸収率を高めることができる。
【0013】
また、飼料添加物100重量部に対して焼酎粕が1重量部~10重量部が含有されている場合には、動物プランクトンの飼料添加物中の高度不飽和脂肪酸の吸収効率を高めることができる。
【0014】
なお、飼料添加物100重量部に対して焼酎粕の含有量が1重量部未満である場合には、動物プランクトンの飼料添加物中の高度不飽和脂肪酸の吸収効果を高めることができない。一方、飼料添加物100重量部に対して焼酎粕の含有量が10重量部よりも多い場合には、動物プランクトンの高度不飽和脂肪酸の吸収率は高まるものの、栄養強化剤の酸味が強くなり過ぎることにより、水産生物が積極的に動物プランクトンを摂食しない可能性がある。
【0015】
また、飼料添加物は、すじこ乳化油を主原料とする場合には、動物プランクトンに不足する高度不飽和脂肪酸を優位に強化することができる。
【0016】
前記の目的を達成するために、本発明の水産生物用の飼料組成物は、高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物に乳酸発酵された焼酎粕が混合された栄養強化剤により栄養強化された動物プランクトンからなる。
【0017】
ここで、飼料組成物が高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物により栄養強化された動物プランクトンからなることにより、動物プランクトンを摂食した水産生物は、仔稚魚の成長に必須となるDHAやEPAを吸収することができる。
【0018】
また、飼料添加物には乳酸発酵された焼酎粕が含有されていることにより、動物プランクトンが飼料添加物により栄養強化される際に、飼料添加物に含有される高度不飽和脂肪酸の吸収率を高めることができる。そして、係る動物プランクトンを水産生物に給餌させることで、水産生物は仔稚魚の成長に必須である高度不飽和脂肪酸を効率的に吸収することができる。
【0019】
また、動物プランクトンは、ワムシ、又はアルテミアである場合には、水産生物の仔稚魚の月齢に応じて、ワムシ、又はアルテミアの何れかを給餌させることで、水産生物の仔稚魚の成長を促進することができる。
【0020】
前記の目的を達成するために、本発明の動物プランクトン用の栄養強化剤の製造方法は、焼酎粕を乳酸発酵する工程と、乳酸発酵後の前記焼酎粕を遠心分離して上清液と沈殿液に分離する工程と、前記沈殿液を抽出して高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物と混合する工程とを備える。
【0021】
ここで、焼酎粕を乳酸発酵する工程を備えることにより、焼酎粕に含まれる生理活性成分である炭水化物(糖類)の分泌を促進することができる。
【0022】
また、乳酸発酵後の焼酎粕を遠心分離して上清液と沈殿液に分離する工程と、沈殿液を抽出して高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物と混合する工程とを備えることにより、焼酎粕に含まれる機能成分のうち、主に有機酸を含有する上清液と、炭水化物(糖類)を含有す沈殿液に分離したうえで、沈殿液のみを抽出して飼料添加物と混合することができる。
【0023】
ここで、沈殿液には消化吸収の促進、或いは生理活性を促進する炭水化物を含有するため、飼料添加物と混合された沈殿液を動物プランクトンに給餌させることで、飼料添加物に含有される高度不飽和脂肪酸の動物プランクトンにおける吸収率を高めることができる。さらに、係る動物プランクトンを水産生物に給餌させることで、水産生物の仔稚魚の生存、及び成長に必須となる高度不飽和脂肪酸を効率的に消化吸収することができるとともに、水産生物の生理活性を促進することができる。
【0024】
なお、焼酎粕に含まれる機能成分としての有機酸は、前記した遠心分離により上清液に多く含まれることになる。係る有機産を水産生物が吸収すると粘液を多量に出し、その結果、水産生物の呼吸頻度が高くなることによって生存率が悪化することが懸念される。そこで、焼酎粕を遠心分離により得られた上清液は、飼料添加物と混合せず、そのまま廃棄することが好ましい。
【0025】
前記の目的を達成するために、本発明の水産生物用の飼料組成物の製造方法は、焼酎粕を乳酸発酵する工程と、乳酸発酵後の前記焼酎粕を遠心分離して上清液と沈殿液に分離する工程と、前記沈殿液を抽出して高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物と混合した栄養強化剤を生成する工程と、動物プランクトンを前記栄養強化剤で栄養強化する工程とを備える。
【0026】
ここで、焼酎粕を乳酸発酵する工程を備えることにより、焼酎粕に含まれる生理活性成分である炭水化物(糖類)の分泌を促進することができる。
【0027】
また、乳酸発酵後の焼酎粕を遠心分離して上清液と沈殿液に分離する工程と、沈殿液を抽出して高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物と混合した栄養強化剤を生成する工程とを備えることにより、焼酎粕に含まれる機能成分のうち、主に有機酸を含有する上清液と、炭水化物を含有する沈殿液に分離したうえで、沈殿液のみを抽出して飼料添加物と混合することができる。
【0028】
なお、焼酎粕に含まれる機能成分としての有機酸は、前記した遠心分離により上清液に多く含まれることになる。係る有機産を水産生物が吸収すると粘液を多量に出し、その結果、水産生物の呼吸頻度が高くなることによって生存率が悪化することが懸念される。そこで、焼酎粕を遠心分離により得られた上清液は、飼料添加物と混合せず、そのまま廃棄することが好ましい。
【0029】
また、動物プランクトンを栄養強化剤で栄養強化する工程を備えることにより、動物プランクトンに不足する高度不飽和脂肪酸を栄養強化剤により栄養的に強化することができる。
【0030】
このとき、沈殿液には消化吸収や生理活性を促進する炭水化物を含有するため、飼料添加物と混合された沈殿液を動物プランクトンに給餌させることで、飼料添加物に含有される高度不飽和脂肪酸の吸収率を高めることができる。さらに、係る動物プランクトンを水産生物に給餌させることで、水産生物の仔稚魚の生存、及び成長に必須となる高度不飽和脂肪酸を効率的に消化吸収することができるとともに、水産生物の生理活性を促進することができる。
【0031】
前記の目的を達成するために、本発明の水産生物の養殖方法は、高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物、及び乳酸発酵された焼酎粕により栄養強化された動物プランクトンを孵化後3日齢以上かつ40日齢以下の所定の期間内に水産生物の仔稚魚に給餌する工程を備える。
【0032】
ここで、水産生物の仔稚魚に対して、高度不飽和脂肪酸を含む飼料添加物、及び乳酸発酵された焼酎粕により栄養強化された動物プランクトンを給餌する工程を備えることで、水産生物が動物プランクトンを摂食することで、水産生物の仔稚魚の成長にとって必須となる栄養素成分を、動物プランクトンを通じて吸収することができる。
【0033】
また、動物プランクトンを孵化後3日齢以上かつ40日齢以下の所定の期間内に水産生物の仔稚魚に給餌する工程を備えることで、仔稚魚は成長に必須となる高度不飽和脂肪酸を、動物プランクトンを通じて効率的に摂取することができるため、仔稚魚の生存率を高め、安定した水産生物の養殖を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る動物プランクトン用の栄養強化剤、水産生物用の飼料組成物、動物プランクトン用の栄養強化剤の製造方法、水産生物用の飼料組成物の製造方法、及び水産生物の養殖方法は、水産生物の仔稚魚の成長を促進するとともに生存率を高めることができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】仔稚魚の生存率を示すグラフである。
図2】仔稚魚の成長記録を示すグラフである。
図3】トリプシンの発現(a)と活性(b)を示すグラフである。
図4】キモトリプシンの発現(a)と活性(b)を示すグラフである。
図5】ペプシンの発現(a)と活性(b)を示すグラフである。
図6】リパーゼの発現(a)と活性(b)を示すグラフである。
図7】アミラーゼの発現(a)と活性(b)を示すグラフである。
図8】アデノシン三リン酸(ATP)の発現を示すグラフである。
図9】シクロオキシゲナーゼ(COX)の発現を示すグラフである。
図10】コレシストキニン(CCK)の発現を示すグラフである。
図11】インスリン様成長因子1(IGF-1)の発現を示すグラフである。
図12】免疫関連遺伝子(IL-10、IL-1β、P2Y6、TNF-α)の発現を示すグラフである。
図13】抗酸化関連遺伝子(SOD、CAT)の発現を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、栄養強化剤、飼料組成物、栄養強化剤の製造方法、飼料組成物の製造方法、及び養殖方法に関する本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
【0037】
1.実験準備
[焼酎粕]
本発明の実施形態において用いた焼酎粕は、焼酎蒸留所で得られた発酵残渣の粘度を取り除いた後、固液分離により微粒の懸濁物質を含有する濾過液と、比較的大きな懸濁物質からなる固形物に分離される。このうち濾過液について市販の乳酸菌株(畜産用ラクトヒロックス 株式会社廣商)と所定量の糖類を混合させながら発酵させた。
【0038】
焼酎粕の乳酸菌による発酵条件は、公知の乳酸発酵の発酵条件に従い、略25~30℃の温度条件における嫌気性雰囲気のもとで、一定期間(略7~10日間)発酵させた。このとき、所定時間(例えば略12~24時間)毎にゆっくりと数十秒間撹拌し、pHが4程度を発酵完了の目安とした。
【0039】
乳酸発酵後の焼酎粕(以下、単に「焼酎粕」)という)を10分間遠心分離し、上清液と沈殿液に分離し、このうち上清液を除去して沈殿液のみを抽出した。ペースト状の沈殿液は凍結乾燥機(EYELA FDU-1200 東京理化器械株式会社)を使用して、15kPaの絶対減圧で24時間乾燥させた。乾燥した焼酎粕は粉末状であり、実験に使用するまで約-80度で冷凍保存した。
【0040】
[栄養強化剤]
実験に用いた栄養強化剤としては、高度不飽和脂肪酸を含むすじこ乳化油(飼料添加物)のみを用いたもの(Control)、すじこ乳化油に焼酎粕を1%添加したもの(S1)、すじこ乳化油に焼酎粕を5%添加したもの(S5)、すじこ乳化油に焼酎粕を10%添加したもの(S10)をそれぞれ実施例として準備した。すじこ乳化油の投与量は、メーカーの推奨に従って濃縮量0.03g/Lとした。なお、前記したS1、S5、S10の焼酎粕の添加量は、すじこ乳化油の総量に対するパーセンテージを意味する。
【0041】
なお、飼料添加物としてはすじこ乳化油に限定されるものではなく、動物プランクトンに不足する高度不飽和脂肪酸を含み、動物プランクトンを栄養的に強化できるものであれば特に限定されるものではない。
【0042】
[飼料組成物]
水産生物の仔稚魚に対する初期餌料である動物プランクトンとしてL型のシオミズツボワムシ(以下単に「ワムシ」という。)、及びアルテミアを使用した。ワムシやアルテミアは市販のものでもよいし、公知の方法で培養したものを用いてもよい。本発明の実施形態では、ワムシは植物プランクトンであるクロレラを餌料として一次培養を行った。一次培養後のワムシを洗浄し、さらに前記した栄養強化剤を添加して8~24時間かけて二次培養を行うことで、ワムシに不足する高度不飽和脂肪酸を中心とする栄養強化を行った。
【0043】
[水産生物の仔稚魚の養殖条件]
養殖には容積が100Lの飼育水槽を用いた。養殖に用いる飼育水は連続的に曝気され、35PSUの塩分濃度となるように塩分調整された。また、飼育水の温度は、チタンヒーター(日東機材株式会社)を使用して常時15℃に維持され、この飼育水に2,000個のヒラメの受精卵を放流した。
【0044】
なお、本発明の実施形態においては水産生物としてヒラメを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、マダイ、ブリ、カンパチ、クロマグロ、トラフグ、マアジ、アユ等の主な魚類に対しても適用することができる。
【0045】
卵から孵化したヒラメの仔魚は、孵化後3日目に開口が確認された。この時点(孵化後3日目)から孵化後18日目までの期間において、飼育水槽に前記の手順で栄養強化されたワムシを供給した。孵化後18日目を過ぎると飼料をワムシからアルテミアに切り替えた。アルテミアは孵化後21日目まで供給した。
【0046】
なお、水産生物へのワムシ、及びアルテミアの給餌機関としては、前記した期間に限定されるものではなく、仔稚魚の成長状況に応じて適宜変更することができる。
【0047】
ワムシとアルテミアの飼育水槽内における個体数については、1日に2回(午前8時と午後3時)監視を行い、ワムシについては密度が5個体/ml、アルテミアについては3個体/mlに維持されるように個体数を調整した。
【0048】
[水産生物の仔稚魚のサンプルの採取]
以上のように養殖された水産生物の仔稚魚のサンプルを採取した。サンプルは、卵からの孵化後1日目、3日目、5日目、10日目、15日目、20日目、25日目、30日目、35日目、及び40日目のそれぞれで採取した。仔稚魚のサンプルのうち遺伝子発現の確認用の仔稚魚については、蒸留水で洗浄した後に組織保存試薬を入れた容器内で4℃の温度条件で一晩保存し、その後-20℃の温度条件で一定期間保存した。
【0049】
また、採取した仔稚魚のサンプルのうち、生化学的組成(粗タンパク質、粗炭水化物、脂質、脂肪酸、遊離アミノ酸)の確認のための仔稚魚は、蒸留水で洗浄した後に-80℃で保存した。なお、飼料組成物であるワムシ、及びアルテミアについてもサンプルを採取のうえ、前記した生化学的組成の分析を行った。
【0050】
2.測定方法
[遺伝子発現量の測定]
各遺伝子を増幅するためのプライマーセットを用いてリアルタイムPCRを実施し、検量線法により遺伝子の発現量を測定した。RNAは、サンプルである5匹の仔稚魚からtotal RNAをTRIzol試薬(Invitorogen社)により抽出し、抽出したRNAはアガロースゲル電気泳動により検出した。
【0051】
また、抽出されたRNA濃度は、ナノドロップ分光光度計(NanoDrop technology社製)を用い、260nm、又は280nmで光学密度(OD)を測定することにより定量化された。
【0052】
前記の抽出によって得られたRNA溶液から、逆転写反応によりcDNAの合成を行った。cDNAの合成は、iScript cDNA Synthesis Kit(Biorad社)を用いて、当該キットの使用方法に準じて行った。
【0053】
消化酵素(トリプシン(try)、キモトリプシン(ctrb)、ペプシン(pep)、膵リパーゼ(pl)、アミラーゼ(amy))、エネルギー代謝の関連遺伝子(Cytochrome-C-Oxidase(cox)、ATPase-pk(atp))、コレシストキニン(cck)、成長因子(インスリン成長因子(igf)、抗酸化剤関連遺伝子(SOD、CAT))、免疫関連遺伝子(腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキンIL-10、IL-1β、P2Y6))のそれぞれ発現レベルを決定するために、定量的リアルタイムPCRを実施した。
【0054】
[消化酵素の測定]
消化酵素の評価においては、サンプルとして採取した仔稚魚から特定の消化管を抽出することが困難であるため、仔稚魚の全身から抽出した。5匹の仔稚魚をサンプルとして100μLの培養液(20mM Tris-HCl、1mM EDTA、10mM CaCl2、pH7.5)でホモジナイズし、ペレットを使用して粗酵素を抽出した。粗酵素を遠心分離後、上清を抽出してタンパク質含有の粗酵素抽出物を酵素評価に使用した。なお、各酵素の活性、及び測定方法は公知の方法を使用した。
【0055】
3.結果
[飼料組成物の栄養評価]
栄養強化剤により栄養強化されたワムシの栄養成分を表1に示す。まず、タンパク質含有量は49.6~62.1%、及び脂質は15.3~17.2%の範囲となり、それぞれControl~S10の各実施例においてワムシのタンパク質、及び脂質含有量に有意差は確認できなかった。一方で、炭水化物量については、焼酎粕の添加の有無による有意差が確認された。特にS5、及びS10の実施例では、Contorolに対して多くの炭水化物量が含有されており、すじこ乳化油に焼酎粕を添加することで、ワムシの体内での炭水化物量の消化吸収を高めることが確認できる。
【0056】
表2はワムシの脂肪酸組成の一覧を示す。焼酎粕を添加したすじこ乳化油を多く含む栄養強化剤で栄養強化されたワムシは、DHAの含有量が多くなる。また、DHAとEPAの比率は、Control(0.77mg/gDW)やS1(0.95mg/gDW)と比較して、S5、S10(1.13~1.24mg/gDW)においてより有意に高くなる。以上の結果により、焼酎粕を添加することで、すじこ乳化油に含まれる高度不飽和脂肪酸のワムシにおける吸収率が高まることが示される。
【0057】
<表1>
【0058】
<表2>
【0059】
[仔稚魚の生存率と成長の評価]
図1には、孵化後の仔稚魚の生存率を示す。図1に示す通り、孵化から約10日間においては各実施例において生存率の有意差は確認できない。一方で、Controlの生存率は孵化から10日を過ぎると低下する傾向があり、孵化から15日目以降においては他の実施例に比べて有意差が確認された。
【0060】
生存率が大きく変化するのは、孵化から20日目~25日目であるが、この間、Control、及びS1においては生存率が40%を下回り、S10やS5に比べると生存率は著しく低いことが確認できる。孵化から40日目における仔稚魚の生存率は、S10が略38%、S5が約36%となり、Control(約24%)やS1(約25%)に比べるとその差は明らかである。
【0061】
図2には、孵化から40日目までにおける仔稚魚の成長記録を示す。孵化後40日目の全長は各実施例において11.3mm~11.7mmの範囲であった。したがって、仔稚魚の成長に対する焼酎粕の効果については有意な効果が確認できなかった。
【0062】
[消化酵素の発現と活性]
<トリプシンの発現と活性>
トリプシンの発現と活性を図3(a)、図3(b)にそれぞれ示す。各実施例において、トリプシンの発現と活性は孵化後10日目において確認ができた。また、トリプシンの活性については、図3(b)に示すように、S1、S5、S10の各実施例では孵化から10日目を過ぎた段階でトリプシンが急激に増加し、孵化後15日目でそのピークが確認できた。トリプシンの増加量は焼酎粕の添加量に比例し、添加した焼酎粕が多いほどトリプシンの増加量も多くなる傾向となる。一方で、Controlは、トリプシンの急激な増加は確認できない。
【0063】
また、トリプシンの発現については、図3(a)に示すように、S5、及びS10において孵化後20日目においてピークが確認され、その後25日目にかけて大きく低下した。孵化後40日目においては、Controlと他の実施例において、発現量に有意差が確認できた。なお、トリプシンの発現と活性のピークは各実施例において5日程度の誤差が生じた。
【0064】
<キモトリプシンの発現と活性>
キモトリプシンの発現と活性を図4(a)、図4(b)にそれぞれ示す。まず、図4(b)に示すように、キモトリプシンの活性は孵化後1日目から検出され、孵化後20日目までは各実施例において有意差は確認できない。孵化後25日目においてControl、S5、及びS10の各実施例において活性量が急激に増大した一方で、S1については全期間を通じて活性量は一定であった。
【0065】
また、図4(a)に示すように、キモトリプシンの発現については、各実施例において孵化後25日目においてピークが確認され、S5、及びS10の各実施例においてはその後急激に発現量が減少した。なお、キモトリプシンの発現と活性のピークは各実施例において孵化後25日目でピークを迎えており、相関関係が確認できた。
【0066】
<ペプシンの発現と活性>
ペプシンの発現と活性を図5(a)、図5(b)にそれぞれ示す。ペプシンの発現と活性は、各実施例において孵化後25日目までは非常に低いレベルで検出され、その後徐々に増加し、孵化後35日目から40日目にかけて発現と活性の両方において急激な増加が観察された。図5(b)に示す通り、ペプシンの活性の最高値はS10の実施例において約62mU/mg、続いてS5の実施例において約44mU/mg、S1の実施例において約32mU/mg、Controlの実施例において約31U/mgとなり、S10において有意に高い値であることが確認された。なお、ペプシンの発現と活性についても孵化後40日目でともにピークを迎えており、相関関係が確認できた。
【0067】
<リパーゼの発現と活性>
リパーゼの発現と活性を図6(a)、図6(b)にそれぞれ示す。リパーゼの活性と発現については、各実施例において孵化後10日以内の有意差は観察されなかった。S5とS10の各実施例では、孵化後10日目から25日目の期間内において、リパーゼの活性と発現の急激な活性が確認でき、それぞれ孵化後25日目でピーク値を示した。焼酎粕を添加した場合でも、S10、S5とS1との間においてはそのピーク値に大きな差が生じた。
【0068】
<アミラーゼの発現と活性>
アミラーゼの発現と活性を図7(a)、図7(b)にそれぞれ示す。図7(b)に示すように、アミラーゼの活性は、孵化後10日目までは各実施例において有意差は確認できない。孵化後10日目から25日目にかけてS5、及びS10の各実施例においてアミラーゼの活性が顕著となり、20日目から25日目にかけてピーク値を示した。孵化後25日目以降はアミラーゼの活性は低下し、全ての実施例において孵化後40日目において略同一の値となった。
【0069】
なお、アミラーゼの発現は図7(a)に示すように各実施例において大きく変動し、活性との関係において相関関係は確認できない。そしてアミラーゼの発現においては、各実施例の傾向として、孵化後5日目、15日目、25日目、及び35日目においてピーク値を示し、孵化後40日目においてそのレベルが非常に低いものとなった。
【0070】
[エネルギー代謝に関連する遺伝子の発現]
図8はアデノシン三リン酸(ATP)の発現を示す。ATPの発現レベルは孵化後20日目まで徐々に増加するが、その間における各実施例の有意差は確認できない。S10の実施例においては、孵化後25日目において他の実施例よりもATPの発現が顕著となり、さらに各実施例においては孵化後30日目においてピーク値を示した。
【0071】
図9はシクロオキシゲナーゼ(COX)の発現を示す。COXの発現レベルは孵化後20日目までは各実施例において有意差はないが、S5、及びS10の各実施例では孵化後20日目以降に急激に増加し、25日目においてピーク値を示した後、35日目にかけて急激に低下する。Control、及びS1の各実施例については、孵化後20日目以降に緩やかに上昇して35日目を過ぎると緩やかに低下する。
【0072】
[コレシストキニンの発現]
図10はコレシストキニン(CCK)の発現を示す。各実施例において、孵化後20日までの期間内はCCKの発現レベルに有意差はなく安定している。孵化後20日目から各実施例において発現量が増加し、25日目においてピーク値となる。発現量のピーク値はS10が最も高く、S5、S1、Controlの順でピーク値が小さくなる。ピーク値を過ぎると発現量は低下し、孵化後40日目において各実施例の発現量に有意差は確認できなかった。
【0073】
[インスリン様成長因子1の発現]
図11はインスリン様成長因子1(IGF-1)の発現を示す。各実施例において、孵化後20日までの期間内はIGF-1の発現レベルに有意差はなく安定している。孵化後20日目から各実施例において発現量が増加し、S10の実施例においては孵化後25日目において他の実施例に比べて最も高いピーク値を示した。S10の発現量は孵化後30日目から低下し、孵化後40日目においては、その他の実施例との関係で大きな有意差は確認できない。
【0074】
[免疫関連遺伝子の発現]
図12は免疫関連遺伝子(IL-10、IL-1β、P2Y6、TNF-α)の発現を示す。IL-10遺伝子はS5の実施例が最も発現レベルが高い値を示し、次いでS10、S1となる。また、IL-1β遺伝子はS10で最も高いレベルを示す。なお、S5とS1においては統計的な有意差は認められなかった。P2Y6遺伝子、及びTNF-α遺伝子の発現量は、焼酎粕の添加量に応じた相関が認められ、S10の実施例が最も高い値を示し、次いでS5、S1、及びControlの順に発現量が低下することが確認できた。
【0075】
[抗酸化関連遺伝子の発現]
図13は抗酸化関連遺伝子(SOD、CAT)の発現を示す。SOD遺伝子、及びCAT遺伝子の発現量は、焼酎粕の添加量に応じた相関が認められ、S10の実施例が最も高い値を示し、次いでS5、S1、及びControlの順に発現量が低下することが確認できた。なお、SOD遺伝子の発現量において、S5とS1の実施例においては、統計的な優位性は認められなかった。
【0076】
4.考察
以上の実験結果より、飼料添加物であるすじこ乳化油に乳酸発酵させた焼酎粕を添加した栄養強化剤で栄養強化された飼料組成物(ワムシ、アルテミア)をヒラメに給餌させると、焼酎粕を添加しないすじこ乳化油だけで栄養強化した飼料組成物を給餌させた場合に比べて仔稚魚の生存率が高まる傾向が確認できた。また、すじこ乳化油に対する焼酎粕の添加量についてはS5、S10の各実施例において生存率に有意な効果が確認できた。以上の結果より、乳酸発酵後の焼酎粕の沈殿液に含まれる炭水化物(糖類)が飼料組成物の生理活性を上昇させ、すじこ乳化油に含有される高度不飽和脂肪酸の飼料組成物への吸収率を高めているものと推察される。そして、乳酸発酵させた焼酎粕で栄養強化した飼料組成物を給餌させることで、ヒラメ等の水産生物の生存率を高めることが示唆された。
【0077】
以上のように、本発明に係る動物プランクトン用の栄養強化剤、水産生物用の飼料組成物、動物プランクトン用の栄養強化剤の製造方法、水産生物用の飼料組成物の製造方法、及び水産生物の養殖方法は、水産生物の仔稚魚の成長を促進するとともに生存率を高めることができるものとなっている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13