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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184050
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】発光装置および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20221206BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091671
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】森川 武
(72)【発明者】
【氏名】澤邊 辰一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 知敬
(72)【発明者】
【氏名】小川 祐貴
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA04
5F142BA03
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB12
5F142CB13
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD34
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE04
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG24
5F142DA14
5F142DB16
5F142DB38
5F142GA11
5F142GA21
5F142GA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光装置と導光板との間の光結合効率を向上させる。
【解決手段】発光装置101はX方向に沿って配置された第1発光素子10および第2発光素子20と第1発光素子および第2発光素子を覆う第1透光性部材80および第2透光性部材90と、光反射性部材60とを備え、第1透光性部材および第2透光性部材は第1発光素子の上面10aおよび第2発光素子20の上面20aにそれぞれ位置し、光反射性部材は、第1発光素子、第2発光素子、第1透光性部材および第2透光性部材の側面を覆い、第1発光素子、第2発光素子、第1透光性部材および第2透光性部材の第1側面を覆う第1部分と、第2側面を覆う第2部分とを含み、第1部分は、第1透光性部材の上面80aおよび第2透光性部材の上面90aに隣接し、X方向に沿って伸びる凸部61Tを有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手を有する出射面をそれぞれ備えた複数の発光素子であって、前記長手が第1方向に沿うように、前記第1方向および前記第1方向に垂直な第2方向に、隙間をあけて2次元に配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の前記出射面に配置された複数の透光性部材と、少なくとも前記複数の発光素子の側面と、前記複数の透光性部材の側面を覆うように、前記複数の発光素子および前記複数の透光性部材の間に配置された光反射性部材とを有する複合基板であって、前記光反射性部材は、前記第2方向において互いに隣接した2つの発光素子および2つの透光性部材の前記第2方向における外側に位置する一対の第1部分と、前記2つの発光素子および2つの透光性部材間に位置する第2部分とを含み、前記一対の第1部分はそれぞれ第1上面を有し、前記第2部分は第2上面を有し、前記透光性部材は第3上面を有し、前記複合基板の主面において、前記第1上面、前記第2上面および前記第3上面が露出している複合基板を用意する工程(A)と、
前記光反射性部材の前記一対の第1部分の少なくとも一部および前記第2部分と、前記2つの発光素子の透光性部材とを、前記露出した第1上面、前記第2上面および前記第3上面から研削し、前記第1部分において、前記第1上面を有し、前記第1方向に沿って伸びる凸部を形成し、前記第2部分において、前記第1上面よりも低い位置にある第4上面を形成し、前記2つの発光素子の前記透光性部材において、前記第1上面よりも下方に位置し、前記第4上面と同じ高さ、または、前記第4上面よりも低い位置にある第5上面をそれぞれ形成する工程(B)と、
を含む、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1上面、前記第2上面および前記第3上面は、互いに同じ高さに位置している、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(A)は、
複数の発光素子を、前記第1方向および前記第2方向に隙間をあけて2次元に配置する工程(A1)と、
前記複数の発光素子の出射面上に前記複数の透光性部材を配置する工程(A2)と、
前記複数の発光素子の側面と、前記複数の透光性部材の側面および上面を覆う光反射性部材を配置する工程(A3)と、
前記光反射性部材を上面から研削して、前記光反射性部材の前記一対の第1部分の前記第1上面、前記第2部分の前記第2上面および前記透光性部材の前記第3上面を露出させる工程(A4)と
を含む、請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(B)において、
前記第4上面は平面であり、
前記第5上面は、前記第4上面とは同じ高さに位置する平面である、請求項1から3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(B)において、
前記2つの第5上面のそれぞれは、前記第1方向と垂直な断面において前記2つの発光素子側に凸状の曲線を有する曲面を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第4上面の少なくとも一部は前記第5上面が有する曲面と連続する曲面を含む請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(B)において、前記2つの第5上面のそれぞれは、前記第1部分に隣接する第1辺と、前記第2部分に隣接し、前記第1辺よりも低い位置にある第2辺を有し、前記第1方向と垂直な断面において前記2つの発光素子側に凹状の曲線を有する曲面であり、
前記第4上面は、前記第5上面が有する曲面と連続する曲面を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記複合基板は、上面および前記上面と反対側に位置する下面を有する基板であって、前記複数の発光素子および前記光反射性部材が前記上面に配置された基板をさらに備え、
前記基板は、前記第2部分の下方において、前記下面に開口を有し、前記第2方向に沿って配列された複数の窪みを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記工程(B)において、前記露出した第1上面、前記第2上面および前記第3上面からの研削は、研削刃を前記第1方向に沿って移動させる請求項1から8のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記工程(B)において、前記研削刃は、前記第2方向における前記2つの発光素子の中心間隔よりも大きい幅を有する、請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(B)の後に、
前記一対の第1部分および前記第2部分で、前記光反射性部材を前記第1方向に沿って切断し、
前記第1方向において1または複数の発光素子を含むように、少なくとも前記複数の発光素子の間に位置する前記光反射性部材を前記第2方向に沿って切断する工程(C)をさらに含む、請求項9または10に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
第1方向に沿って長手を有する上面と、前記第1方向に平行な第1側面と、前記第1側面と反対側に位置する第2側面とを有する発光素子と、
前記第1方向に沿って長手を有する上面と、前記第1方向に平行な第1側面と、前記第1側面と反対側に位置する第2側面とを有し、前記発光素子の上面に配置された透光性部材と、
前記発光素子の前記第1側面および前記透光性部材の第1側面を覆う第1部分と、前記発光素子の前記第2側面および前記透光性部材の前記第2側面を覆う第2部分とを含む光反射性部材と
を備え、
前記光反射性部材の第1部分は、前記透光性部材の上面よりも高い位置にある上面を備え、前記第1方向に沿って伸びる凸部を有し、
前記光反射性部材の第2部分の上面は、前記凸部の前記上面よりも低い位置にある、発光装置。
【請求項13】
前記透光性部材の前記上面は平面であり、前記光反射性部材の前記第2部分の上面は、前記透光性部材の前記上面と同じ高さに位置する平面である、請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記透光性部材の前記上面は、前記第1方向と垂直な断面において前記発光素子側に凹状の曲線を有する曲面を含む、請求項12に記載の発光装置。
【請求項15】
前記第2部分における前記光反射性部材の上面は、前記透光性部材の前記上面が有する曲面と連続する曲面を含む請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記透光性部材の上面は、前記第1部分に隣接する第1辺と、前記第2部分に隣接し、前記第1辺よりも低い位置にある第2辺とを有しており、前記第1方向と垂直な断面において前記発光素子側に凸状の曲線を有する曲面であり、
前記第2部分における前記光反射性部材の上面は、前記透光性部材の前記上面が有する曲面と連続する曲面または平面を含む請求項12に記載の発光装置。
【請求項17】
上面および前記上面と反対側に位置する下面とを有し、前記発光素子および前記光反射性部材が前記上面に配置された基板をさらに備え、
前記基板は、前記第2部分の下方において、前記下面に開口を有し、前記第1方向に垂直な方向に沿って配列された複数の窪みを有する、請求項12から16のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項18】
前記発光素子および前記透光性部材をそれぞれ複数備え、
前記複数の発光素子および複数の透光性部材は、前記第1方向に配置されており、
前記光反射性部材の前記第1部分は、前記複数の発光素子の前記第1側面および前記複数の透光性部材の第1側面を覆っており、
前記光反射性部材の前記第2部分は、前記複数の発光素子の前記第2側面および前記複数の透光性部材の第2側面を覆っている、請求項12から17のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、バックライトなどの光源を利用して画像を表示する。バックライトは、LEDを含む発光装置と導光板とを含み、発光装置から出射する光を導光板の側面から入射させ、導光板の主面から面状に出射させる。例えば、特許文献1は、バックライト発光装置として用いられるLEDパッケージを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-167396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より高輝度のバックライトを実現するために、発光装置と導光板との間の光結合効率をより高めることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある実施形態による発光装置の製造方法は、長手を有する出射面をそれぞれ備えた複数の発光素子であって、前記長手が第1方向に沿うように、前記第1方向および前記第1方向に垂直な第2方向に、隙間をあけて2次元に配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の前記出射面に配置された複数の透光性部材と、少なくとも前記複数の発光素子の側面と、前記複数の透光性部材の側面を覆うように、前記複数の発光素子および前記複数の透光性部材の間に配置された光反射性部材とを有する複合基板であって、前記光反射性部材は、前記第2方向において互いに隣接した2つの発光素子および2つの透光性部材の前記第2方向における外側に位置する一対の第1部分と、前記2つの発光素子および2つの透光性部材間に位置する第2部分とを含み、前記一対の第1部分はそれぞれ第1上面を有し、前記第2部分は第2上面を有し、前記透光性部材は第3上面を有し、前記複合基板の主面において、前記第1上面、前記第2上面および前記第3上面が露出している複合基板を用意する工程(A)と、前記光反射性部材の前記一対の第1部分の少なくとも一部および前記第2部分と、前記2つの発光素子の透光性部材とを、前記露出した第1上面、前記第2上面および前記第3上面から研削し、前記第1部分において、前記第1上面を有し、前記第1方向に沿って伸びる凸部を形成し、前記第2部分において、前記第1上面よりも低い位置にある第4上面を形成し、前記2つの発光素子の前記透光性部材において、前記第1上面よりも下方に位置し、前記第4上面と同じ高さ、または、前記第4上面よりも低い位置にある第5上面をそれぞれ形成する工程(B)と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の実施形態によれば、導光板に対する光結合効率が向上された発光装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態による発光装置を上方からみた斜視図である。
図2図2は、図1に示す発光装置を下方からみた斜視図である。
図3図3は、図1に示す発光装置の正面図である。
図4図4は、図1に示す発光装置の背面図である。
図5図5は、図1に示す発光装置の底面図である。
図6図6は、図1に示す発光装置の右側面図である。
図7図7は、図3に示すVII-VII線における発光装置の断面図である。
図8図8は、図3に示すVIII-VIII線における発光装置の断面図である。
図9図9は、本実施形態の発光装置が組み込まれたバックライトの一部を示す模式的側面図である。
図10図10は、第1の実施形態による発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
図11図11は、集合基板の上面の一部を示す図である。
図12図12は、集合基板の下面の一部を示す図である。
図13図13は、発光装置の製造方法における1つの工程を示す平面図である。
図14図14は、発光装置の製造方法における1つの工程を示す断面図である。
図15図15は、発光装置の製造方法における1つの工程を示す断面図である。
図16図16は、発光装置の製造方法における1つの工程を示す断面図である。
図17A図17Aは、発光装置の製造方法における1つの工程を示す斜視図である。
図17B図17Bは、発光装置の製造方法における図17Aに示す工程における断面図である。
図18A図18Aは、発光装置の製造方法における1つの工程を示す斜視図である。
図18B図18Bは、発光装置の製造方法における図18Aに示す工程における断面図である。
図19A図19Aは、発光装置の製造方法における1つの工程を示す斜視図である。
図19B図19Bは、発光装置の製造方法における図19Aに示す工程における断面図である。
図20A図20Aは、発光装置の製造方法における1つの工程を示す斜視図である。
図20B図20Bは、発光装置の製造方法における図20Aに示す工程における断面図である。
図21図21は、第2の実施形態による発光装置を上方からみた斜視図である。
図22図22は、図21に示す発光装置の断面図である。
図23図23は、第2の実施形態の発光装置の製造方法における1つの工程を示す断面図である。
図24図24は、第2の実施形態による発光装置を上方からみた斜視図である。
図25図25は、図24に示す発光装置の断面図である。
図26図26は、第2の実施形態の発光装置の製造方法における1つの工程を示す断面図である。
図27図27は、他の形態による発光装置を上方からみた斜視図である。
図28図28は、図27に示す発光装置を下方からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、分かりやすさのために誇張されている場合があり、実際の面状光源における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略して模式的に示すこと、あるいは、切断面のみを示す端面図を断面図として示すことがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置を分かりやすさのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±1°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±1°程度の範囲にある場合を含む。
【0011】
(第1の実施形態)
【0012】
[発光装置101の構造]
本実施形態の発光装置および発光装置の製造方法を説明する。図1および図2は、本開示の第1の実施形態による発光装置101を上方および下方からみた斜視図である。図3図4図5および図6は、それぞれ発光装置101の正面図、背面図、底面図および右側面図である。図7および図8は、それぞれ発光装置101の図3に示すVII-VII線およびVIII-VIII線における断面図である。
【0013】
これらの図において、参照のため、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を合わせて示している。X方向およびY方向は、第1方向および第2方向とも呼ぶ。
【0014】
また、Z方向における相対的にプラス側を「上」または「高い」と、マイナス側を「下」または「低い」とみて、構成要素の形状や、構成要素間の位置関係を説明する場合がある。例えば、ある構成要素にZ方向に垂直な2つの面がある場合、相対的にプラス側に位置する面を上面と呼び、相対的にマイナス側に位置する面を下面と呼ぶ場合がある。
【0015】
発光装置101は1または複数の発光素子を備える。本実施形態では、図7および図8に示すように、発光装置101は第1発光素子10および第2発光素子20を備えている。第1発光素子10は上面10aを有し、第2発光素子20は上面20aを有している。上面10aおよび上面20aは光出射面である。上面10aおよび上面20aは長手を有しており、第1発光素子10および第2発光素子20は長手方向に配列されている。図示する例では、X方向が長手方向である。なお、図8は、第1発光素子10の位置における断面図であるが、第1発光素子10における断面の構造と第2発光素子20における断面の構造とは同じである。このため、分かりやすさのため、図8において、第2発光素子20における断面に表れる構造の参照符号も括弧をつけて示している。
【0016】
発光装置101は、さらに、第1透光性部材80と、第2透光性部材90と、光反射性部材60を備えている。第1透光性部材80および第2透光性部材90は第1発光素子10の上面10aおよび第2発光素子20の上面20aにそれぞれ位置している。光反射性部材60は、第1発光素子10、第2発光素子20、第1透光性部材80および第2透光性部材90の側面を覆っている。発光装置101は、これらの構成要素を支持するため、基板70をさらに備えていてもよい。
【0017】
図1および図2に示すように、発光装置101は、例えば、全体として直方体形状を有している。発光装置101は、正面100aと、正面100aと反対側に位置する背面100bと、天面100cと、底面100dと、側面100eと側面100fとを備える。底面100dは、実装基板など発光装置101に電力を供給する基板と対向する面である。
【0018】
図1および図2に示すように、正面100aは、X方向に沿って長手を有する長方形状を有し、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aが露出している。正面100aにおいて、第1透光性部材80および第2透光性部材90はそれぞれX方向に沿って長手を有しており、長手方向に第1透光性部材80および第2透光性部材90が配列されている。
【0019】
また、正面100aにおいて、第1透光性部材80および第2透光性部材90の周囲を光反射性部材60が囲んでいる。
【0020】
図1図2に示すように、光反射性部材60は、正面100aの天面100c側において、X方向に沿って伸びる凸部61Tを有する。図8に示すように、凸部61Tは、上面61Taを備え、上面61Taは、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aよりも高い位置にある。このため、発光装置101の第1透光性部材80および第2透光性部材90から出射し、Y方向のプラス側に広がる光は凸部61Tによって反射されY方向のマイナス側に進む。これにより、発光装置101から出射する光を高い光結合効率で導光板の側面に入射させることが可能となる。以下、発光装置101の構造を詳細に説明する。
【0021】
[基板70]
基板70は、第1発光素子10および第2発光素子20が実装される支持部材である。図1図2図7図8に示すように、基板70は、全体として概ね直方体状である。X方向に沿って第1発光素子10および第2発光素子20が実装されることに対応して、基板70の上面75aは、典型的には、図のY方向と比較してX方向に長い長方形状を有する。
【0022】
基板70は、上面75aおよび上面75aと反対側に位置する下面75bを有する基材75と、第1配線71と、第2配線72と、第3配線73と導電性部材76とを含む。基材75の上面75aは、基板70の上面であり、基材75の下面75bは、基板70の下面でもある。第1配線71および第2配線72は、それぞれ、基材75の上面75aおよび下面75bに位置する。基材はさらに、発光装置101の底面100dの一部となる側面75dを有する。
【0023】
基材75は、貫通孔75h(図7)と窪み75r(図8)とを有する。貫通孔75hは、基材75の上面75aおよび下面75bに開口を有し、基材75の内部に位置している。貫通孔75h内に導電性部材76が配置され、導電性部材76は、上面75aにおいて、第1配線71と、下面75bにおいて第2配線72と接続されている。これにより、第1配線71と第2配線72とが電気的に接続される。
【0024】
図4図5および図8に示すように、窪み75rは、本実施形態では、円柱と円柱の上面に位置する円錐とを組み合わせた立体を円柱および円錐の軸で二分した立体形状の空間である。なお円錐の頂点にあたる部分は尖っていないものも含む。
窪み75rは、側面75dと下面75bとに開口を有しており、下面75bにおいて、半円形状を有し、側面75dにおいて五角形形状を有する。図4に示すように、窪み75rは貫通孔75hとつながっておらず分離して配置されている。
【0025】
本実施形態では、基材75は3つの窪み75rを有している。3つの窪み75rは、側面75dのX方向における中心を通り、Z方向に垂直な直線に対して、線対称に配置されている。
【0026】
窪み75rの内壁に第3配線73が配置され、下面75bにおいて、第3配線73と、第2配線72とが接続されている。窪み75r内に半田が配置され、実装基板の配線パターンと接合されることによって、底面100dで発光装置101が実装基板に接合される。また、実装基板の配線パターンが、半田、第3配線73、第2配線72、導電性部材76を介して第1配線71と電気的に接続される。
【0027】
基材75は、例えば、樹脂、セラミックスまたはガラス等の絶縁体によって形成される。基材75は、繊維強化樹脂等の複合材料から形成されてもよく、例えばガラスエポキシ基板を基材75にもちいてもよい。基材75の母材には、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミド等を用いることができる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、または、これらの1種以上の混合物を適用できる。これらのセラミックスのうち、発光素子に近い線膨張係数を有する材料を基材75の材料に用いると有利である。
【0028】
基材75の強度の観点からは、基材75のZ方向における厚さが0.05mm以上、より好ましくは、0.2mm以上であることが好ましい。基材75のZ方向における厚さが0.6mm以下であると、発光装置の薄型化に有利である。基材75のZ方向における厚さは、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。
【0029】
第1配線71、第2配線72および第3配線73の材料としては、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、白金、金、チタン、パラジウム、ロジウム、または、これらの1種以上を含有する合金を用いることができる。放熱性の観点からは、これらの配線の材料に銅または銅合金を用いることが好ましい。第1配線71、第2配線72および第3配線73は、単層膜の形で基材75に形成されてもよく、積層膜の形で基材75に形成されてもよい。これらの配線の最表面が、銀、白金、アルミニウム、ロジウムもしくは金、または、これらの1種以上を含有する合金から形成されていると、高い光反射性と、半田等に対する良好な濡れ性が得られる。
【0030】
導電性部材76は、第1配線71、第2配線72または第3配線73の材料と同様の材料を用いることができる。導電性部材76は、基材75に形成された貫通孔75h内部の全体を占めていてもよいし、貫通孔75h内部の一部、例えば貫通孔75hの表面上に配置された導電膜であってもよい。さらに、導電膜に囲まれた領域には、例えばエポキシ樹脂などの絶縁材料が充填されてもよい。
【0031】
基板70は、絶縁層77を有していてもよい。絶縁層77は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から形成され、基材75の下面75b上に位置する複数の第2配線72のそれぞれの一部を覆う。絶縁層77によって、第2配線72同士の短絡を防止する効果が得られる。
【0032】
[第1発光素子10および第2発光素子20]
第1発光素子10および第2発光素子20は、電流の供給により発光する半導体素子である。
【0033】
図7および図8に示すように、第1発光素子10は、例えば、X方向に沿って長手を有する直方体形状を有している。第1発光素子10は、第1方向に沿ってそれぞれ長手を有する上面10aと上面と反対側の下面10bを有する。上面10aは、第1発光素子10における光の主な出射面である。下面10bは電極面である。第1発光素子10は、さらに、X方向に平行な第1側面10cと、第1側面10cと反対側に位置する第2側面10dと、第1側面10cおよび第2側面10dに接続された第3側面10eおよび第3側面10eと反対側に位置する第4側面10fを有する。また、第1発光素子10は下面10bに位置する電極11を有する。
【0034】
同様に、第2発光素子20は、例えば、X方向に沿って長手を有する直方体形状を有している。第2発光素子20は、第1方向に沿ってそれぞれ長手を有する上面20aと上面と反対側の下面20bを有する。上面20aは、第2発光素子20における光の主な出射面である。下面20bは電極面である。第2発光素子20は、さらに、X方向に平行な第1側面20cと、第1側面20cと反対側に位置する第2側面20dと、第1側面20cおよび第2側面20dに接続された第3側面20eおよび第3側面20eと反対側に位置する第4側面20fを有する。また、第2発光素子20は下面20bに位置する電極21を有する。
【0035】
電極11、21は、正極および負極の組を含む。電極11、21の材料の例は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル、または、これらの1種以上を含む合金である。第1発光素子10は、半田等の接合部材によって電極11が基板70の第1配線71に接続および固定されることにより、基板70上に実装される。同様に、第2発光素子20は、半田等の接合部材によって電極21が基板70の第1配線71に接続および固定されることにより、基板70上に実装される。
【0036】
第1発光素子10および第2発光素子20はそれぞれ、さらに半導体積層体を有する。半導体積層体は、n型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた発光層とを含む。発光層は、ダブルヘテロ接合または単一量子井戸(SQW)等の構造を有していてもよいし、多重量子井戸(MQW)のようにひとかたまりの活性層群をもつ構造を有していてもよい。半導体積層体は、可視光または紫外光を発光可能に構成されている。このような発光層を含む半導体積層体は、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
【0037】
半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に1つ以上の発光層を含む構造を有していてもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造を有していてもよい。半導体積層体が複数の発光層を含む場合、発光ピーク波長が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、数nm程度のばらつきがある場合も含む。複数の発光層の間の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば半導体積層体が2つの発光層を含む場合、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光などの組み合わせで発光層を選択することができる。各発光層は、発光ピーク波長が異なる複数の活性層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ複数の活性層を含んでいてもよい。
【0038】
[第1透光性部材80、第2透光性部材90]
発光装置101は1または複数の透光性部材を備える。本実施形態では、第1透光性部材80および第2透光性部材90は、第1発光素子10の上方および第2発光素子20の上方にそれぞれ配置される概ね板状の部材である。第1透光性部材80および第2透光性部材90は、第1発光素子10および第2発光素子20の保護層として機能する。また、第1発光素子10および第2発光素子20から出射する光の波長を変換したり、出射する光を拡散させたりする。
【0039】
図7および図8に示すように、第1透光性部材80は、第1発光素子10と同様、X方向に沿って長手を有する直方体形状を有している。第1透光性部材80は、第1方向に沿ってそれぞれ長手を有する上面80aと上面と反対側の下面80bを有する。上面80aは、第1発光素子10から出射する光が発光装置101から外部へ出射する出射面である。下面80bは第1発光素子10の上面10a側に位置している。第1透光性部材80は、さらに、X方向に平行な第1側面80cと、第1側面80cと反対側に位置する第2側面80dと、第1側面80cおよび第2側面80dに接続された第3側面80eおよび第3側面80eと反対側に位置する第4側面80fを有する。
【0040】
同様に、第2透光性部材90は、第2発光素子20と同様、X方向に沿って長手を有する直方体形状を有している。第2透光性部材90は、第1方向に沿ってそれぞれ長手を有する上面90aと上面と反対側の下面90bを有する。上面90aは、第1発光素子10から出射する光が発光装置101から外部へ出射する出射面である。下面90bは第1発光素子10の上面10a側に位置している。第2透光性部材90は、さらに、X方向に平行な第1側面90cと、第1側面90cと反対側に位置する第2側面90dと、第1側面90cおよび第2側面90dに接続された第3側面90eおよび第3側面90eと反対側に位置する第4側面90fを有する。
【0041】
本実施形態では、第1透光性部材80は波長変換部41と透光性部51とを含む。波長変換部41は、第1発光素子10の上面10a側に位置しており、透光性部51は、波長変換部41の上に位置している。同様に、第2透光性部材90は波長変換部42と透光性部52とを含む。波長変換部42は、第2発光素子20の上面20a側に位置しており、透光性部52は、波長変換部42の上に位置している。第1透光性部材80および第2透光性部材90はそれぞれ波長変換部41および波長変換部42を含んでいるが、第1透光性部材80および第2透光性部材90は波長変換部41および波長変換部42を含んでおらず、透光性部51および透光性部52のみを含んでいてもよい。
【0042】
[波長変換部41、42]
波長変換部41、42は、それぞれ概ね板状の部材であり、第1発光素子10および第2発光素子20から出射する光の一部の波長を変換する。波長変換部41、42は、母材と、母材中に分散された、蛍光体の粒子等を含有する。波長変換部41、42の母材の例は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの2種以上を含む樹脂である。波長変換部41、42の母材として、ガラスを選択することも可能である。
【0043】
波長変換部41、42中に分散させる蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)、αサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K(Si,Al)F:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS又はAgInSe)等を用いることができる。
【0044】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
[SiAlMn] (I)
【0045】
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K[Si0.946Al0.005Mn0.0495.995]、K[Si0.942Al0.008Mn0.0505.992]、K[Si0.939Al0.014Mn0.0475.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピーク波長の半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。
【0046】
波長変換部41と波長変換部42とは、互いに異なる蛍光体を含んでいてもよい。また、波長変換部41、42は後述する光拡散材を含んでいてもよい。
【0047】
[透光性部51、52]
透光性部51、52は、それぞれ、例えば、シリコーン樹脂等を母材とする樹脂材料から形成される。典型的には、透光性部51、52は、第1発光素子10および第2発光素子20の発光ピーク波長を有する光に対して、60%以上の透過率を有する。光を有効に利用する観点から、第1発光素子10および第2発光素子20の発光ピーク波長における透光性部51、52の透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0048】
透光性部51、52の母材には、シリコーン樹脂のほか、例えば、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂もしくはポリノルボルネン樹脂、または、これらの2種以上を含む材料を用いることができる。透光性部51、52の材料として、ガラスを選択してもよい。
【0049】
母材とは異なる屈折率を有する光拡散材を母材中に分散させることにより、透光性部51、52に光拡散機能を与えてもよい。光拡散材としては、例えば、母材と屈折率の異なる樹脂の粒子、または、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムもしくは酸化亜鉛の粒子等を用いることができる。母材中に分散させる光拡散材として、D50で定義される粒径が1nm以上100nm以下であるようなナノ粒子を用いることにより、透光性部材中の散乱を増大させることができる。
【0050】
透光性部51、52がそれぞれ波長変換部41、42の上面を覆っていることによって、波長変換部41、42が外部環境に晒され、蛍光体が劣化するのを抑制することができる。また、第1発光素子10および第2発光素子20から波長変換部41、42で波長変換された光と、波長変換部41、42で変換されなかった光とが、透光性部51、52に入射することによって、透光性部51、52内でこれら2つの光が混合、拡散されるため、輝度および色度のむらが抑制され、混色された光を外部に向けて出射させることができる。
【0051】
[接合部材30]
接合部材30は、第1発光素子10と第1透光性部材80との間、および、第2発光素子20と第2透光性部材90との間に位置し、第1透光性部材80および第2透光性部材90を第1発光素子10および第2発光素子20にそれぞれ接合する。接合部材30は、第1発光素子10の側面の一部および第2発光素子20の側面の一部を覆っていてもよい。
【0052】
接合部材30の材料としては、透明な樹脂を母材として含む樹脂材料を用いることができる。母材としては、例えば透光性部51、52母材と同様の材料を用いることができる。母材とは異なる屈折率を有する光拡散材が分散させられることにより、接合部材30が光拡散機能を有していてもよい。
【0053】
[光反射性部材60]
光反射性部材60は、第1発光素子10および第2発光素子20の側面と、第1透光性部材80および第2透光性部材90の側面とを覆うことによって、これらの部材の側面から光が漏れるのを抑制し、発光装置101の正面からの出射効率を高める。
【0054】
光反射性部材60は、第1部分61と第2部分62とを含む。具体的には、第1部分61は、第1発光素子10の第1側面10cの少なくとも一部と、第1透光性部材80の第1側面80cと、第2発光素子20の第1側面20cの少なくとも一部と、第2透光性部材90の第1側面90cとを覆っている。また、第2部分62は、第1発光素子10の第2側面10dの少なくとも一部と、第1透光性部材80の第2側面80dと、第2発光素子20の第2側面20dの少なくとも一部と、第2透光性部材90の第2側面90dとを覆っている。第1発光素子10と第1透光性部材80との間、および、第2発光素子20と第2透光性部材90との間に接合部材30が配置されている場合には、第1部分61および第2部分62は、接合部材30もさらに覆っている。
【0055】
光反射性部材60は、さらに、第3部分63と、第4部分64と第5部分65とを含む。第3部分63は、第1発光素子10の第3側面10eの少なくとも一部と、第1透光性部材80の第3側面80eと、接合部材30とを覆っている。第4部分64は、平面視のX方向において、第1発光素子10と第2発光素子20との間に位置している。第4部分64は、第1発光素子10の第4側面10fの少なくとも一部と、第1透光性部材80の第4側面80fと、第2発光素子20の第3側面20eの少なくとも一部と、第2透光性部材90の第3側面90eと、接合部材30とを覆っている。第5部分65は、第2発光素子20の第4側面10fの少なくとも一部と、第2透光性部材90の第4側面80fと、接合部材30とを覆っている。光反射性部材60は、さらに、第1発光素子10の下面10bおよび第2発光素子20の下面20bを覆う第6部分66を備えていてもよい。第1部分61および第2部分62は、第3部分63、第4部分64および第5部分65にも隣接して配置されている。
【0056】
光反射性部材60において、第1部分61は、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aに隣接し、X方向に沿って伸びる凸部61Tを有する。本実施形態では、凸部61Tは、第3部分63、第4部分64および第5部分65にも隣接して配置されている。凸部61Tは上面61Taを有しており、上面61Taは、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aよりも高い位置にある。上面61Taの上面90aに対する高さは、例えば0.01mmから0.06mmである。また、第2部分62は、凸部61Tの上面61Taよりも低い位置にある上面62aを有する。本実施形態では、上面62aは平面であり、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aと同じ高さに位置している。
【0057】
第3部分63、第4部分64および第5部分65もそれぞれ、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aと同じ高さに位置している上面を有する。このため、凸部61Tを除き、発光装置101の正面100aにおいて、光反射性部材60の上面と、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aは、一体的な平面を構成している。
【0058】
光反射性部材60は、上述した第1部分61、第2部分62、第3部分63、第4部分64、第5部分65、第6部分66、凸部61Tからなる一体成型体であり、基板70の上面75aを覆っている。ただし凸部61Tは一体成型体でなくてもよく、第1部分61の上に別体として設けられていてもよい。光反射性部材60は、例えば、光拡散材が分散された樹脂材料から形成される。光反射性部材60の母材としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂もしくはこれらの変性樹脂、または、これらの2種以上を含む樹脂を用いることができる。光拡散材としては、母材よりも高い屈折率を有する、無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光拡散材の例は、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、酸化ケイ素、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)等の粒子である。光反射性部材60は例えば、白色を呈している。
【0059】
本明細書において、「光反射性」とは、発光素子(第1発光素子10または第2発光素子20)の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射性部材60の反射率は、発光素子の発光ピーク波長において70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
【0060】
[発光装置101の効果]
以上のように構成される発光装置101の効果を説明する。図9は、発光装置101が組み込まれたバックライト301の一部を示す模式的側面図である。バックライト301は、筐体311と、導光板312と、実装基板313と、支持体314と、発光装置101とを備える。発光装置101は、底面100dで実装基板313に実装されており、実装基板313から電流の供給を受ける。
【0061】
筐体311は、発光装置101および導光板312を支持する。発光装置101の出射面である正面100aが導光板312の側面312cと対向するように、高さ位置の調節のため、導光板312は支持体314を介して筐体311に支持されている。図9に示すように凸部61Tの上面61Taが導光板312の側面312cと接している。このため、導光板312の側面312cと第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aとの間にはギャップGが形成されている。
【0062】
発光装置101の正面100aに位置する第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aから出射する光は、側面312cから導光板312へ入射する。側面312cと第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aとが接しておらず、空気層を介しているため、導光板312の側面312cへ入射する光に対して全反射が生じにくく、また、導光板312の側面312cから発光装置101へ戻る光に対して全反射が生じやすくなる。このため、発光装置101から出射する光を高い光結合効率で導光板312に入射させることが可能となる。また、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aからY方向のプラス側に広がる光は凸部61Tによって反射され、Y方向のマイナス側に進む。これにより、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aから斜めに出射し、ギャップGを進む間に側面312cの外側に向かう光を側面312cに戻すことができる。よって発光装置101から出射する光を高い光結合効率で導光板の側面に入射させることが可能となる。また、凸部61Tを導光板312の側面312cを接触させて発光装置101と導光板312とを配置することによって、ギャップGの間隔を一定に設定しやすくなる。
【0063】
(発光装置の製造方法)
次に、図面を参照しながら、本実施形態による発光装置の製造方法を説明する。図10は本実施形態の発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0064】
本実施形態による発光装置の製造方法は複合基板を用意する工程(A)と、光反射性部材の凸部および透光性部材の上面を形成する工程(B)とを含む。本実施形態による発光装置の製造方法は個片化する工程(C)をさらに含んでいてもよい。以下、各工程を詳細に説明する。
【0065】
[複合基板を用意する工程(A)]
まず、複数の発光素子と、複数の透光性部材と、光反射性部材が配置された複合基板を用意する。この工程は、さらに、複数の発光素子を配置する工程(A1)と、複数の透光性部材を配置する工程(A2)と、光反射性部材を配置する工程(A3)と、透光性部材を露出させる工程(A4)とを含む。
【0066】
(1)複数の発光素子を配置する工程(A1)
集合基板を用意し、集合基板上において、複数の発光素子を第1方向および第2方向に隙間をあけて2次元に配置する。本実施形態では、図1図3等に示す基板70がX方向およびY方向に2次元に配列されかつ、互いに接続された集合基板上に複数の発光素子を配置する。
【0067】
図11および図12は、このような集合基板70’の上面75’aおよび下面75’bの一部をそれぞれ示す。集合基板70’は、基板70の基材75がX方向およびY方向の2次元に配置され、互いに接続された基材75’を含む。図11に示すように上面75’aには、第1配線71'が配置されている。また、下面75’bには、複数の窪み75’rが形成されており、窪み75’r内に第3配線73’が配置されている。また、窪み75’rの周囲を覆うように第2配線72’が下面75’bに配置されている。第2配線72’は接続部72’cによって、Y方向に互いに接続されている。また、上面75’aおよび下面75’bに開口を有する貫通孔75hが基材75’に設けられており、貫通孔75h内に第1配線71'と第2配線72’を接続する導電性部材76が配置されている。窪み75’rは、下面75’bにおいて円形状の開口を有する。下面75’bには、第2配線72’の一部を覆う絶縁層77’がさらに設けられている。
【0068】
集合基板70’は、窪み75’rおよび導電性部材76が形成された基材75’は、板状の絶縁基材の両面に、めっき等によって導電膜を形成し、その後、導電膜をパターニングすることにより得ることができる。
【0069】
次に、複数の発光素子として第1発光素子10および第2発光素子20を準備する。ここでは、第1発光素子10および第2発光素子20の組を複数準備し、図13および図14に示すように、第1発光素子10および第2発光素子20をX方向およびY方向に隙間をあけて2次元に配置する。具体的には、半田等の導電性接合部材を用いて、第1発光素子10および第2発光素子20の電極11、21を第1配線71'に接続する。
【0070】
(2)複数の透光性部材を配置する工程(A2)
複数の発光素子の出射面上に複数の透光性部材を配置する。具体的には、図15に示すように、未硬化の接合部材を第1発光素子10の上面10aおよび第2発光素子20の上面20aに配置し、第1透光性部材80’および第2透光性部材90’を上面10aおよび上面20aに配置する。未硬化の接合部材を硬化させることによって、接合部材30を介して第1発光素子10と第1透光性部材80’とが接合され、第2発光素子20と第2透光性部材90’とが接合される。
【0071】
(3)光反射性部材を配置する工程(A3)
複数の発光素子の側面と、複数の透光性部材の側面および上面を覆う光反射性部材を配置する。具体的には、図16に示すように、未硬化の光反射性部材を第1発光素子10の側面、第1透光性部材80’の側面と上面80’a、第2発光素子20の側面、第2透光性部材90’の側面と上面90’a、および、接合部材30を覆うように集合基板70’の上面75’aに配置する。その後、未硬化の光反射性部材を硬化させることによって、第1発光素子10の側面、第1透光性部材80’の側面と上面80’a、第2発光素子20の側面、第2透光性部材90’の側面と上面90’a、および、接合部材30を覆う光反射性部材60’が得られる。図17Aはこのようにして得られた複合基板201’の一部を示す斜視図であり、図17Bは複合基板201’の第1発光素子10を横切る位置におけるYZ断面図である。第2発光素子20を横切る断面も同じ構造であるため、図17Bには第2発光素子20の構成要素も括弧を付けて示している。
【0072】
(4)透光性部材を露出させる工程(A4)
複合基板201’において、第1透光性部材80’の上面80’aおよび第2透光性部材90’の上面90’aが露出するように、光反射性部材60’を上面60’aから研削する。具体的には、光反射性部材60’の上面60’a全体をラッピング装置などの研削装置によって研削する。これにより、図18Aおよび図18Bに示すように、複合基板201’の主面201’aにおいて、第1透光性部材80’の上面80’aおよび第2透光性部材90’の上面90’aが露出した、複合基板201が得られる。
【0073】
複合基板201’において、複数の発光素子である第1発光素子10と第2発光素子20は、長手がX方向に沿って配置され、上述したように、X方向およびY方向に間隙をあけて2次元に配置されている。
【0074】
光反射性部材60’は、第1発光素子10の側面、第1透光性部材80’の側面、第2発光素子20の側面および第2透光性部材90’の側面を覆うように、第1発光素子10、第1透光性部材80’、第2発光素子20および第2透光性部材90’の間に配置されている。
【0075】
図18Bに示すように、光反射性部材60’は、Y方向において互いに隣接した2つの第1発光素子10および2つの第1透光性部材80’の外側に位置する一対の第1部分61’と、これら2つの第1発光素子10および2つの第1透光性部材80’間に位置する第2部分62’とを含む。一対の第1部分61’はそれぞれ上面(第1上面)61’aを有し、第2部分62’は上面(第2上面)62’aを有する。また、第1透光性部材80’は上面(第3上面)80’aを有する。同様に、Y方向において互いに隣接した2つの第2発光素子20および2つの第2透光性部材90’の外側に位置する一対の第1部分61’と、これら2つの第2発光素子20および2つの第2透光性部材90’間に位置する第2部分62’とを含む。一対の第1部分61’はそれぞれ上面(第1上面)61’aを有し、第2部分62’は上面(第2上面)62’aを有する。また、第2透光性部材は上面(第3上面)90’aを有する。つまり、光反射性部材60’の研削によって、第1部分61の上面(第1上面)61’a、第2部分62の上面(第2上面)62’a、第1透光性部材80’の上面(第3上面)80’aおよび第2透光性部材90’の上面(第3上面)90’aが露出する。上面(第1上面)61’a、上面(第2上面)62’aおよび上面(第3上面)80’a、90’aはいずれも平面であり、互いに同じ高さに位置している。また、上面(第1上面)61’a、上面(第2上面)62’aおよび上面(第3上面)80’a、90’aは連続した1つの平面を構成している。
【0076】
[光反射性部材の凸部および透光性部材の上面を形成する工程(B)]
次に、光反射性部材60’の一対の第1部分61’の少なくとも一部および第2部分62’と、2つの第1発光素子10上の第1透光性部材80’および2つの第2発光素子20上の第2透光性部材90’を露出した上面(第1上面)61’a、上面(第2上面)62’aおよび上面(第3上面)80’a、90’aから研削する。
【0077】
図19Aおよび図19Bに示すように、複合基板201’に対して、回転研削刃(回転といし)250をX方向に沿って移動させることによって、図18Aおよび図18Bに示す上面(第1上面)61’a、上面(第2上面)62’aおよび上面(第3上面)80’a、90’aから第1部分61’、第2部分62’、第1透光性部材80’および第2透光性部材90’を研削する。これによって、図20Aおよび図20Bに示す複合基板201’’が得られる。
【0078】
図20Aおよび図20Bに示すように、この工程により、光反射性部材60’の第1部分61’において、X方向に伸びる凸部61’Tが形成される。第1部分61’は、上面(第1上面)61’Taを有している。また、第2部分62’は、新たな上面(第4上面)62aを有している。さらに、新たな上面(第5上面)80aおよび90aをそれぞれ有する第1透光性部材80および第2透光性部材90が形成される。
【0079】
上面(第4上面)62aは、上面(第1上面)61’Taよりも低い位置にあり、上面(第5上面)80aおよび90aは、上面(第4上面)62と同じ高さ、または、上面(第4上面)62aよりも低い位置にある。本実施形態では、上面(第5上面)80aおよび90aは、上面(第4上面)62aと同じ高さにあり、それぞれ平面である。つまり上面(第5上面)80aおよび90aと上面(第4上面)62aとは連続した平面を構成している。
【0080】
回転研削刃250の厚さT(幅)(図19B)は、一対の凸部61’Tの間隔Wと同じであってもよいし、狭くてもよい。T=Wであれば、回転研削刃250を1度X方向に移動させるだけで、上述した構造を形成することができる。一方、T<Wである場合、回転研削刃250のY方向の位置を変え、2度以上、X方向に移動させる。Y方向において、2つの第1発光素子10または第2発光素子20にまたがって研削してよい。つまり、回転研削刃250の厚さTは、Y方向において隣接する2つの第1発光素子10の中心間隔よりも大きくてよい。このため、回転研削刃250の移動回数を少なくすることができる。
【0081】
本実施形態では、回転研削刃250の研削面250sは回転研削刃250の回転軸の一端から他端までを含む断面において、直線形状を有する。このため研削によって形成される面は平面になる。
【0082】
なお、透光性部材の上面と光反射性部材の上面とが1つの平面となるようにしなくてもよい。つまり光反射性部材を配置する工程(A3)のあと、凸部61Tとなる部分が残るような高さで光反射性部材を研削し、続けて凸部61Tとなる部分を除いて光反射性部材と透光性部材とを研削してもよい。また、光反射性部材を配置する工程(A3)のあと、凸部61Tとなる部分を研削しないで、透光性部材の上面が露出するまで光反射性部材と透光性部材とを研削し、そのあと研削していない凸部61Tとなる部分を研削してもよい。いずれの方法でも、光反射性部材の第1部分に、透光性部材の上面よりも高い位置にある上面を備え、第1方向に沿って伸びる凸部を有する発光装置を得ることができる。
【0083】
さらに、別の製造方法として、光反射性部材を配置する工程(A3)において、光反射性部材を、複数の発光素子の側面と、複数の透光性部材の側面を覆うように配置してもよい。言い換えれば、光反射性部材を配置する工程(A3)において、光反射性部材を、複数の透光性部材の上面は覆わないように配置してもよい。次に、凸部61Tとなる部分に光反射性部材を設けてもよい。また最後に凸部上面61Taを形成するために、凸部61Tの研削などをしてもよい。
【0084】
[個片化する工程(C)]
その後、図20Aおよび図20Bにおいて破線CX1,CX2,CYで示すように、得られた複合基板201’’を、回転刃などを用いて、第1透光性部材80および第2透光性部材90を含むように、X方向およびY方向に切断することによって、図1から図8に示す発光装置101が製造される。複合基板201’’のX方向における切断には、第1部分61’の切断CX1と、第2部分62’における切断CX2がある。第2部分62切断することによって、図12に示す円形の窪み75’rが分割され、図4に示すように背面100bにおいて半円形状の窪み75rが形成される。
【0085】
[発光装置の製造方法の効果]
本実施形態の発光装置の製造方法によれば、Y方向において、2つの発光素子を跨いで透光性部材を研削するため、幅の広い研削刃を用いることができ、効率よく発光装置を製造することができる。また、研削刃のY方向の位置を変えて2回以上の任意の回数でX方向に研削刃を移動させてもよい。Y方向は、製造される発光装置の高さ方向に対応するので、同じ製造装置を用いて、高さの異なる発光装置101を製造することが可能である。
【0086】
(第2の実施形態)
図21は、本実施形態の発光装置102を上方からみた斜視図であり、図22は、発光装置102のYZ断面図である。発光装置102は、透光性部材の上面が曲面である点で第1の実施形態の発光装置101と異なる。図21に示すように発光装置102において、第1透光性部材80および第2透光性部材90は、Y方向に曲率を有する曲面状の上面80aおよび上面90aを有する。上面80aおよび上面90aは、X方向と垂直なYZ断面において、第1発光素子10および第2発光素子20側に凹状の曲線を有する曲面形状を有している。図22に示すように、光反射性部材60の第2部分62の上面62aは、第1透光性部材80の上面80aが有する曲面および第2透光性部材90の上面90aが有する曲面およびと連続する曲面を含む。
【0087】
このような構造を有する発光装置102は、例えば、回転研削刃250の形状を第1の実施形態の回転研削刃250と異ならせることによって製造することができる。図23に示すように、本実施形態で用いる研削刃250の研削面250sは回転研削刃250の軸を通る断面において被研削物側に凸の曲線形状を有する。特に、Y方向の両端において、曲線形状を有している。このような形状を有する回転研削刃250を用いれば、上述した形状の上面80aおよび上面90aを有する第1透光性部材80および第2透光性部材90を形成することができる。
【0088】
図24は、本実施形態他の発光装置103を上方からみた斜視図であり、図25は、発光装置103のYZ断面図である。発光装置103も、透光性部材の上面が曲面である点で第1の実施形態の発光装置101と異なる。図25に示すように発光装置103において、第1透光性部材80の上面80aは、第1部分61に隣接する第1辺80aL1と、第2部分62に隣接し、第1辺80aL1よりも低い位置にある第2辺80aL2とを有する。また、上面80aは、X方向と垂直なYZ断面において第1発光素子10側に凸状の曲線を有する曲面形状を有する。同様に、第2透光性部材90の上面90aは、第1部分61に隣接する第1辺90aL1と、第2部分62に隣接し、第1辺90aL1より低い位置にある第2辺90aL2とを有する。また、上面90aは、X方向と垂直なYZ断面において第2発光素子20側に凸状の曲線を有する曲面形状を有する。
【0089】
また、光反射性部材60の第2部分62の上面62aは、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90が有する上面90aの曲面と連続する曲面または平面を含む。
【0090】
発光装置103も、回転研削刃250の形状を第1の実施形態の回転研削刃250と異ならせることによって製造することができる。図26に示すように、本実施形態で用いる研削刃250の研削面250sは回転研削刃250の軸を通る断面において被研削物側に凸の曲線形状を有する。特に、Y方向の両端において、曲線形状を有している。また、回転研削刃250の幅Tが、図に示すように、Y方向における第1発光素子10および第2発光素子20の中心間の間隔W2よりも大きい。このような形状を有する回転研削刃250を用いれば、上述した形状の上面80aおよび上面90aを有する第1透光性部材80および第2透光性部材90を形成することができる。
【0091】
発光装置102および発光装置103によれは、第1透光性部材80の上面80aおよび第2透光性部材90の上面90aが曲面であり、曲面にしたがってY方向における出射する光の広がりを調節し得る。例えば、発光装置102ではY方向における光の広がりを小さくして導光板に光を入射させることが可能である。
【0092】
(他の形態)
本実施形態の発光装置および発光装置の製造方法には種々の改変が可能である。例えば、第1の実施形態では、発光装置101は、光反射性部材60の第1部分61に凸部61Tを有している。これに対し、図27および図28に示す発光装置104は、光反射性部材60の第2部分62、つまり底面100d側にX方向に沿って伸びる凸部62Tを有している。このような構造を有する発光装置104は、第1の実施形態の発光装置の製造方法と同様の方法を用い、凸部62Tが形成されるように、回転研削刃250で研削する位置を設定することによって製造することができる。
【0093】
また、例えば、第2の実施形態では、透光性部材の上面が曲面である。これに対し、第1の実施形態で用いた研削刃、つまり回転研削刃250の研削面250sが、回転研削刃250の回転軸の一端から他端までを含む断面において、直線形状を有する研削刃を用い、研削刃をZ軸方向から傾けて研削を行う。これにより透光性部材の上面が平面でかつ、第1透光性部材80の上面80aが、第1部分61に隣接する第1辺80aL1と、第2部分62に隣接し、第1辺80aL1よりも低い位置にある第2辺80aL2とを有する発光装置を得ることができる。少なくとも光反射性部材の凸部61Tが、上面61Taを有していれば、研削によって形成される面は曲面であっても平面であってもよい。この例では、透光性部材の上面がXY平面から傾斜した傾斜面を有することになる。傾斜面のXY平面からの傾斜角度は、所望の角度を狙った研削で生じうる誤差の範囲を超える角度以上を有していればよく、例えば1°以上である。また、発光装置の上面は、全面が傾斜した傾斜面、具体的には第1部分側の端部から第2部分側の端部にかけて全面が傾斜した傾斜面を有していてもよい。この場合、凸部は、凸部の第1部分61に隣接する透光性部材の第1辺80aL1からZ方向に高い部分の全体となる。また凸部上面は透光性部材の上面と面一となる。発光装置がこのような傾斜面を有することにより、発光装置から取り出される光の進行方向を調整することができる。
【0094】
上記実施形態では、発光装置は2つの発光素子を含んでいたが、発光装置は、1つまたは3つ以上の発光素子を含んでていてもよい。また、上記実施形態では、発光素子上にそれぞれ独立した透光性部材が配置されているが、2または3以上の発光素子上に連続し設けられる1つの透光性部材を配置してもよい。また、第1部分の凸部は、少なくとも透光性部材に隣接して位置していればよく、第3部分、第4部分および第5部分に隣接して配置されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示の実施形態は、各種照明用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源等に有用である。特に、液晶表示装置に向けられたバックライトユニットに有利に適用できる。本開示の実施形態による発光装置は、厚さ低減の要求が厳しいモバイル機器の表示装置用のバックライトに有利に用いることができる。
【符号の説明】
【0096】
10 第1発光素子
10a、20a、61a、61’a、61Ta、62a、62’a、 上面
10b、20b 下面
10c、20c、80c、90c 第1側面
10d、20d、80d、90d 第2側面
10e、20e、80e、90e 第3側面
10f、20f、80f、90f 第4側面
11、21 電極
20 第2発光素子
30 接合部材
41、42 波長変換部
51、52 透光性部
60、60’ 光反射性部材
61,61’ 第1部分
61’a 第1上面
61T、61’T 凸部
62、62’ 第2部分
62T 凸部
63 第3部分
64 第4部分
65 第5部分
66 第6部分
70 基板
70’ 集合基板
70’a 上面
71,71’ 第1配線
72、72’ 第2配線
73,73’ 第3配線
75,75’ 基材
75r 窪み
75’r 窪み
75a 上面
75b 下面
75d 側面
75h 貫通孔
76 導電性部材
77、77’ 絶縁層
80、80’ 第1透光性部材
80aL1 第1辺
80aL2 第2辺
90、90’ 第2透光性部材
90aL1 第1辺
90aL2 第2辺
90b 下面
90f 第4側面
100a 正面
100b 背面
100c 天面
100d 底面
100e 側面
100f 側面
101~104 発光装置
201、201’、201’’ 複合基板
201’a 主面
250 回転研削刃
250s 研削面
301 バックライト
311 筐体
312 導光板
312c 側面
313 実装基板
314 支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28