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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184052
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20221206BHJP
   F21S 8/00 20060101ALI20221206BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20221206BHJP
   F21V 21/04 20060101ALI20221206BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221206BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20221206BHJP
【FI】
F21S8/02 420
F21S8/02 410
F21S8/00 100
F21V5/04 600
F21V21/04 100
F21Y115:10
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091673
(22)【出願日】2021-05-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】北井 悠一
(57)【要約】
【課題】設置面に造作を設けずに設置しても突出感が少なく、天井面あるいは壁面などを主に照らす照明器具を実現すること。
【解決手段】側面視において、前面、上面、底面またはその延長線が三角形となる形状の長尺状の筐体と、光軸方向を中心に発光する光源を備え、前記光源から発する光が前記前面に設けられた出射面より外部に出射光として出射する照明器具であって、前記上面と前記底面又はその延長線とのなす角が10°以上60°以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面視において、前面、上面、底面またはその延長線が三角形となる形状の長尺状の筐体と、光軸方向を中心に発光する光源を備え、前記光源から発する光が前記前面に設けられた出射面より外部に出射光として出射する照明器具であって、
前記上面と前記底面又はその延長線とのなす角が10°以上60°以下である、照明器具。
【請求項2】
前記光源と前記出射面の間に、側面視における断面形状が奥行方向に同一の凸レンズが設けられている、
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
側面視における前記出射光の1/2ビーム角が、前記上面と前記底面とのなす角の1.8倍以上2.9倍以下である、
請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記出射面の法線と前記上面とのなす角に対し、前記光軸方向と前記上面とのなす角が10°以上大きい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
側面視において、前記光軸方向が、前記底面の方向と平行である、
請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
側面視において、前記上面の長さと、前記底面の長さが等しい、
請求項1から5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
側面視において、前記上面と前記出射面のなす角が直角である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
側面視において前記底面は複数の直線あるいは曲線からなり、
前記筐体の後側における設置面と前記底面とのなす角と、前記上面と前記底面とのなす角の和が、180°よりも大きい、
請求項1から7のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、特に天井あるいは壁面を照らす間接照明に適した照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具として、例えば机面の照度を得るためには、天井面に設置し下側を照らす直接照明が効率的だが、室内の人から照明器具が直接見えるので、眩しい場合がある。そこで、天井面あるいは壁面の広い範囲を照らす、いわゆる間接照明も、安らぐための部屋の照明として多用されている。
【0003】
間接照明では、一般に造作を設けて照明器具を隠し、照明器具を直接見ることによる眩しさを低減している。例えば特許文献1では、造作内に設置し天井面を照らすコーブ照明、あるいは壁面を照らすコーニス照明として用いられる照明器具を開示している。
【0004】
特許文献2は、本発明に関連した、側方視で三角形状を有する長尺形照明器具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-152287号公報
【特許文献2】意匠1516357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
間接照明用の照明器具を設置するため、天井あるいは壁面に造作を作るのは大がかりな工事になり、工事の期間や費用を要するという問題がある。そこで、本願の課題は、設置面に造作を設けずに設置しても突出感が少なく、天井面あるいは壁面などを主に照らす照明器具を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、側面視において、前面、上面、底面またはその延長線が三角形となる形状の長尺状の筐体と、光軸方向を中心に発光する光源を備え、前記光源から発する光が前記前面に設けられた出射面より外部に出射光として出射する照明器具であって、前記上面と前記底面又はその延長線とのなす角が10°以上60°以下である。
【0008】
本発明は、さらに、前記光源と前記出射面の間に、側面視における断面形状が奥行方向に同一の凸レンズが設けられていてもよい。
【0009】
本発明は、さらに、側面視における前記出射光の1/2ビーム角が、前記上面と前記底面とのなす角の1.8倍以上2.9倍以下であってもよい。
【0010】
本発明は、さらに、前記出射面の法線と前記上面とのなす角に対し、前記光軸方向と前記上面とのなす角が10°以上大きくてもよい。
【0011】
本発明は、さらに、側面視において、前記光軸方向が、前記底面の方向と平行であってもよい。
【0012】
本発明は、さらに、側面視において、前記上面の長さと、前記底面の長さが等しくてもよい。
【0013】
本発明は、さらに、側面視において、前記上面と前記出射面のなす角が直角であってもよい。
【0014】
本発明は、さらに、側面視において前記底面は複数の直線あるいは曲線からなり、前記筐体の後側における設置面と前記底面とのなす角と、前記上面と前記底面とのなす角の和が、180°よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る照明器具を用いて、造作を作ることなく天井面や壁面を照らす照明を実現できるとともに、照明器具の設置面からの突出が目立たないため美観上優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1の照明器具の側面視における断面図
図2】実施形態1の照明器具の正面図
図3】実施形態1の照明器具の配光図
図4】実施形態1の照明器具による照度分布例
図5】実施形態2の照明器具の側面視における模式図
図6】実施形態3の照明器具の側面視における模式図
図7】実施形態4の照明器具の側面視における模式図
図8】実施形態5の照明器具の側面視における模式図
図9】実施形態6の照明器具の側面視における断面図
図10】実施形態6の照明器具による照度分布例
図11】実施形態6の照明器具による他の照度分布例
図12】光源の色度図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
<構成>
本実施形態の照明器具100の側面視における断面図を図1に示す。照明器具100は、設置面である天井面190に設けられた埋込孔191に設置されており、側面視において筐体110は、前面111、底面112、上面113からなる三角形状をしている。上面113の側面視長さはW、底面112の側面視長さはS、上面113から前面111の下端までの垂直距離はH(この例では35mm)、前(図の右)から見て上面113と底面112のなす角は角度Q(この例では30°)、後ろ(図の左)から見て天井面190と底面112の角が角度P(この例では150°、角度P+角度Q=180°)である。上面113の長さWと底面112の長さSがほぼ等しい二等辺三角形の形状としているが、前面の出射面を例えば真下から見えにくくし、まぶしさを低減するため、長さSを長さWより長くしてもよい。
【0018】
筐体110の内部には、光源取付部121に、光源基板122が取り付けられている。光源基板122には、ランバーシアン型の配光特性を有する表面実装型LEDよりなる光源123が奥行方向に複数配列されている。また、光源の光軸AX上に、レンズ124、出射面となるカバー部材125が設けられており、光源から発する光が出射面より外部に光軸AX方向を中心として広がる出射光として出射する。レンズ124は光軸AXに線対称であって側面視における奥行方向に同一断面の形状を有する凸レンズである。光軸AX方向に出射光が出射するが、光軸AX方向と上面113とのなす角度Aは30°であり、底面112と平行方向である。一方、前面111の法線(出射面125の法線)と上面113とのなす角である角度Bはここでは15°であり、角度Aと異なっている。
筐体110の上部に、電源131を収容する電源収容部130がある。天井面190に隠されているので設置状態では見えない。
【0019】
筐体110の空洞115には、電源収容部130内の電源131などを固定するためのネジの一部などを収容することができる。
【0020】
光源123としては、単色の光源だけを用いてもよいが、調光調色が可能なように2色または3色の光源を用いてもよい。2色の光源として、例えば昼光色LED(色温度6500K)と電球色LED(色温度2700K)を用いると、両光源の混色としてその間の色温度を再現できる。3色の光源として、例えば青白色LED、黄白色LED、赤色LED(詳細は後述)を用いると、その3色の混色としての各色が再現でき、特に黒体軌跡に沿った色や、黒体軌跡から一定の色差を有する微妙な色を出すことが可能になる。このような色を、一日のスケジュールに沿って変化させ、昼は人間の活動を促進する高色温度の照明とし、夜は人をリラックスさせる低色温度の照明とし、人間の有する一日のリズムに合わせることにより、人の健康促進に寄与する。また、青空の色や夕日の色を天井や壁に映すことができ、室内にいながら外にいるかのような光の環境を楽しむことができる。
【0021】
照明器具100の正面図を図2に示す。照明器具100は天井面190の埋込孔191に埋め込まれ、取付バネまたは吊ボルトなどで天井に固定されている。そのため電源収容部130は外部から視認できず、前面111の大部分を占めるカバー板125と底面112が見える。カバー板125はポリカーボネートまたはアクリルなどの素材よりなり、少し拡散性を有しているので、複数の光源が分離して点状に見えることをある程度防いでいる。なお、本照明器具は主に間接照明用であることから、被照射対象面である天井面190や壁面195が鏡面でなければ、光源が点状に見えることはあまりないので、例えばヘイズ値で90以下や80以下の拡散性のものを用いていてもよい。
【0022】
<配光角と照度分布>
照明器具100の側面視における配光角を図3に示す。照明器具100から外部に出射する出射光は、光軸AX方向である角度Aの方向、つまり設置面の法線に対して60°の方向を中心に、1/2ビーム角69°の広がりを有している。この値は、角度Aが30°の時にその2.3倍、片側を考えると1.15倍である34.5°の角度になっており、天井全体を比較的均一に照らすのに適した条件となっている。広い面積を比較的均一に照明するために、1/2ビーム角としては角度Aの1.8倍以上(角度54°以上)が好ましく、2.0倍以上(角度60°以上)がより好ましい。また角度Aの2.9倍以下(角度87°以下)が好ましく、2.6倍以下(角度78°以下)がより好ましい。
【0023】
このように、側面視における1/2ビーム角を光源123(ランバーシアン型の配光特性を有する表面実装型LED)の配光角より絞り、角度Aに応じた最適な配光とするために、レンズ124(光軸AXに線対称であって側面視における断面形状が奥行方向に同一の凸レンズ)が用いられる。
【0024】
<天井への設置例>
実施形態1の照明器具による照度分布例を計算した結果を図4に示す。条件は、奥行方向の長さ1200mm、全光束2500lmの照明器具100を2灯並べて用い、壁面195からの距離Lを900mmにした場合である。図4における枠は500mm角、1000、500、300、100といった数値は照度(単位:ルクス(lx))である。
【0025】
奥側の第2の壁面196において、明暗の境界線Uより壁面195側が明るくなっていることがわかる。つまり明暗の境界線Uより壁面195から離れた部分、例えば照明器具100の真下は直接光では照らされないことがわかる。
【0026】
筐体の上面113と底面112のなす角度Qを30°としたため、筐体後側の角度Pが150°と大きく、照明器具100が天井から突出した感じになりにくい。従って本照明器具を見上げる人にとって圧迫感が生じにくく、デザイン的に優れている。
【0027】
照明器具100は、壁面内に電源収容部130が入るスペースがある場合には、壁面にも設置できる。
【0028】
<実施形態2>
図5は実施形態2の照明器具の側面視における模式図であり、それぞれ側面が二等辺三角形の筐体を有し、角度P、角度Qなどのバリエーションを有する複数の実施形態の総称である。図5(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は角度Pがそれぞれ170°、160°、150°、140°、130°、120°(角度Qがそれぞれ10°、20°、30°、40°、50°、60°)の場合である。図1に示した構造は図5(c)であり、前面111、底面112、上面113からなる筐体を天井面190に設置し、角度Pが150°(角度Qが30°)の場合である。
【0029】
図5(f)において、筐体後側の角度Pは120°であり、一般的な照明器具の角度90°より大きく、突出感が抑えられている。これでもいいのだが、本発明においては、さらに角度Pを大きくしてより突出感を抑えることを検討した。しかし、上面113と底面112の長さが等しい二等辺三角形の筐体の場合、前面の法線方向の角度Bと照射方向の角度Aとが同じとすると、角度Pを大きくすることにより角度Aが変わってしまう。
【0030】
そこで、本発明においては、角度Aを同じにしたまま角度Bを変えることを検討した。その結果、角度Aと角度Bの差が10°以上であれば、角度Pを小さくできる効果があり、角度Aと角度Bの差が25°以下であれば光のケラレ(光の一部が出射面以外に当たり外部に取り出せないこと)がなく好適であることがわかった(後述)。
【0031】
以上より、突出感を低減する観点からは角度Pが180°に近づくほど好ましいため、角度Pが120°以上がよく、130°以上が望ましく、140°以上がさらに望ましく、150°以上がもっと望ましい。筐体の三角形の角度Qに関しては、角度Qが60°以下がよく、50°以下が望ましく、40°以下がさらに望ましく、30°以下がもっと望ましい。一方角度Pが大きいと筐体の上面113の長さが大きくなり、全体として重量が増すなどの問題もあるので、この観点からは角度Pは160°以下(角度Qが20°以上)が好ましく、150°以下(角度Qが30°以上)がさらに望ましい。
【0032】
<実施形態3>
図6は実施形態3の照明器具の側面視における模式図であり、それぞれ角度Aと角度Bが同じ場合に、角度Pと角度Qを変えた複数の実施形態の総称である。
【0033】
図6(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は角度Pがそれぞれ170°、160°、150°、140°、130°(角度Qがそれぞれ10°、20°、30°、40°、50°)の場合である。代表例として、図(c)に示す照明器具100Bを見ると、前面111B、底面112B、上面113からなる筐体を天井面190に設置し、角度Pを150°とし、前面111Bの法線Bの方向を光軸AXの方向と同じにしている。なお、角度Pが120°の場合は、図5(f)のものと同じなので図示していない。
【0034】
照明器具100Bでは、前面111Bと底面112Bのなす角が90°になり、製造が容易になる。照明器具100Bは、照明器具100と比べて、出射面の角度Bが30°と、実施形態1における照明器具100の角度Bが15°であったのに比べてわずかに開いている。そのため、照明器具の下において出射面が見える位置が増え、照明器具の下の人が見上げて眩しいと感じる場合がある。そのことを防ぐため、例えば底面112Bを延長する位置にフード126を設けてもよい。フードをつける技術は、他の角度Pの場合に適用してもよく、他の実施形態に適用してもよい。
【0035】
以上より、角度Aと角度Bを同じにした場合において、突出感を低減する観点からは角度Pが120°以上がよく、130°以上が望ましく、140°以上がさらに望ましく、150°以上がもっと望ましい。筐体の三角形の角度Qに関しては、角度Qが60°以下がよく、50°以下が望ましく、40°以下がさらに望ましく、30°以下がもっと望ましい。一方角度Pが大きいと筐体の上面113の長さが大きくなり、全体として重量が増すなどの問題もあるので、この観点からは角度Pは160°以下(角度Qが10°以上)が好ましく、150°以下(角度Qが20°以上)がさらに望ましい。
【0036】
<実施形態4>
図7は実施形態4の照明器具100Cの側面視における模式図である。
【0037】
底面112Cが前面側(図の右側)の底面112CFと後方(図の左側)の底面112CRに分かれており、前面側の底面112CRの延長線と上面113Cとの角度を角度Q(20°)とする。一方、天井面190と後方の底面112CRとの角度を角度P(170°)とする。この場合角度P+角度Qが180°を越えた値になる。
【0038】
このように底面を2つの直線に分けることにより、角度Qをある程度の値に保ちながら、後ろから見たときの突出感に寄与する角度Pを大きくする(水平に近づける)ことができ、好都合である。
【0039】
角度Aは20°である。この時、光源の1/2ビーム角を上述の角度A=30°の場合に比べて小さくし(例えば45°)、照明器具の近傍の天井面だけ明るくならないようにしている。
【0040】
角度Bは0°である。角度Aと角度Bとの差が20°のため、光のケラレがない光学系としつつ、下から見上げた時に前面111Cが光って見えてしまう場所があまりないため、眩しさの少ない良好な間接照明用光源とすることができる。
【0041】
なお、突出感のない三角形状の照明器具においては、光のケラレをなくすという観点から、角度Aマイナス角度Bの範囲を、プラス25°以下マイナス25°以上とすることが好適である。この範囲を越えてもケラレのない光学系を実現することはできるが、器具が大きくなってしまうことがある。
【0042】
上面113Cと前面111Cのなす角は直角である。複雑な角度でないため製造が容易である。
【0043】
<実施形態5>
図8は実施形態5の照明器具100Dの側面視における模式図である。
【0044】
底面112Dは、前方(図の右側)において底面112DF、後方(図の左側)において底面112DRとなっており、その間が曲線でつながった形状になっている。前方の底面112DRの延長線と上面113Dとの角度を角度Q(60°)とする。一方、天井面190と後方の直線112DRとの角度を角度P(170°)とする。この場合角度P+角度Qが180°を越える値となる。
【0045】
このように底面112Dを曲線にすることにより、角度Qをある程度の値に保ちながら、後ろから見たときの突出感に寄与する角度Pを大きくすることができ、好都合である。
【0046】
角度Aは45°、角度Bは30°である。実施形態1に比べ角度Aが大きく、下方向を照明するので天井面190を照らすことはあまりなく、対向する壁面を照らすウォールウォッシャーや黒板灯などの用途に好適である。
【0047】
なお、実施形態4では底面は側面視において複数の直線、実施形態5では底面は側面視において曲線であったが、底面がこれらの組み合わせ(例えば曲線と直線)からなってもよい。
【0048】
<実施形態6>
実施形態6の照明器具200の側面視における断面図を図9に示す。照明器具200は天井裏などに収容される電源収容部130がないため、天井面・壁面などの設置面290への直付けが可能である。筐体210の側面は、前面211、底面212、上面213からなる三角形状をしており、筐体の空洞215に電源231が設置されている。底面212を構成する板の全部または一部を取り外して空洞215が外部に露出可能になっており、ここより取付ネジ281を壁面295に取り付けたり、壁面の奥から電灯線を引き出して照明器具200と接続することができる。
【0049】
照明器具200の光源系構成要素(121、122、123、124、125)、角度Q、角度P、角度A、角度B、光軸AX、高さHの定義は実施形態1の照明器具100と同じである。
【0050】
<壁面への設置例(アッパーライト)>
照明器具200は、照明器具100と同様に天井に設置できるほか、壁面の裏側にスペースのない場合であっても壁面に設置できる。照明器具200を壁面295に設置し、天井面290方向を照明した場合の照度分布例を図10に示す。条件は、奥行方向の長さ1200mm、全光束2500lmの照明器具100を2灯並べて用い、壁面195からの距離Lを900mmにした場合である。図10における枠は500mm角、1000、500、300、100といった数値はルクス(lx)である。
【0051】
奥側の第2の壁面296において、明暗の境界線Uより上側が明るくなっており、下側はほとんど照らされていないことがわかる。
【0052】
壁面295と照明器具200の後側との角度Pが150°と大きいため、照明器具200が壁面から突出した感じになりにくい。従って圧迫感が生じにくく、デザイン的に優れている。突出感を低減する観点からは角度Pが180°に近づくほど好ましいが、120°以上がよく、130°以上が望ましく、140°以上がさらに望ましく、150°以上がもっと望ましい。
【0053】
<壁面への設置例2>
逆に、照明器具200を下側に向けて、足元を照らすことができる。人の目の高さより下に設置することにより眩しさが低減される。例えば高さ140cmより下に、下向きに設置するとよく、手すりのある壁面であれば手すりのすぐ上に設置するとよい。
【0054】
<壁面への設置例3>
照明器具200は、壁面に縦に設置して横方向に向けて照明することもできる。図11は、2組の照明器具200をそれぞれ壁面295、第3の壁面297に縦に設置し、第2の壁面296を中心に照らした場合の照度分布例であり、照度分布を曲線で示している。
【0055】
このように壁面を均一に近い照度分布で照射する照明は、視線の正面が明るくなるので明るさ感を得るのに適している。特にこの照明器具の場合、照明器具の後側であれば直接光が目に入らず眩しくない。
【0056】
<好適な使用例>
図4図11のように壁面を照らす照明、図10のように天井を照らす照明は、照明器具の直接光が目に入らないため、特に人の目が床付近に来て天井を見ることのある部屋、例えば寝室、病室、病院の廊下、乳幼児の部屋、といった場所での使用に適している。一般商業施設の廊下などにおいて、小さい子供や車いすの人だけでなく、一般成人の来客にとっても、直接照明光によるまぶしさがなく、間接照明光によるおだやかな明るさが得られるため、快適な空間が得られる。
【0057】
この照明器具は、一般の間接照明のように光源を隠すための造作を行うことなく、費用をかけずに間接照明を行うことができるので、新築でない既存の建築物に後付けで設置するのに適している。突出感が低減されているので、照明器具が突出することによる空間への圧迫感が低減され、快適な空間と簡便な工事の両立が図れる。既存の造作があれば、それを流用して造作内に本照明器具を設置してもよい。
【0058】
<変形例・補足>
以上、本発明に係る照明器具の実施形態を説明したが、例示した照明器具を例えば以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明器具に限られないことは勿論である。
【0059】
(1)上、下、前、後、底などの文言は、一例として照明器具を天井に設置した場合における位置関係を元にした相対的な用語であり、照明器具を壁、床、傾斜面に設置した場合にも、同じ用語を用いることとする。
【0060】
(2)本発明の照明器具を、造作内に設置しても構わない。例えば天井のコーブ照明用の造作に設置して天井を照らすことにより、快適な間接照明が実現できる。
【0061】
(3)本発明の照明器具は、間接照明用でなく直接照明用として使うこともでき、どのように使うかは施主の自由である。そのような用途に応じて角度A,B,P,Qを変更することがある。
【0062】
(4)3色のLEDの例として挙げた青白色LED、黄白色LED、赤色LEDとしては、図12に示すCIE1931色度座標図に示した色を好適に用いることができる。なお点線は黒体軌跡である。赤色LEDは、図12の色度座標において、(0.66、0.23)、(0.423、0.355)、(0.5,0.5)と色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.60.0.38)である。黄白色LEDであるYwは、(0.423、0.355)、(0.342,0.312)、(0.352、0.44)、(0.37、0.63)及び色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.44、0.47)である。青白色LEDであるBwは、(0.336、0.24)、(0.352、0.44)、(0.15、0.2)、(0.2、0.1)で囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.23、0.26)である。
【0063】
(5)3色のLEDとして、原色である青、緑、赤の3色のLEDを用いてもよい。なお、原色とは色度座標上で色度境界線に近い色のことを指す。この場合、再現できる色の範囲が青白色、黄白色、赤色の組み合わせより広くなる。ただし、消費電力に対する全光束の効率(lm/W)は、青白色、黄白色、赤色の組み合わせの方が高い。
【0064】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0065】
100、100B、100C、100D、200 照明器具
110、210 筐体
111、111B、111C、111D、211 前面
112、112B、112C、112D、212 底面
113、113C、113D、213 上面
115、215 空洞
121 光源取付部
122 光源基板
123 LED
124 レンズ
125 カバー板
126 フード
130 電源収容部
131、231 電源
190、290 天井面
191 埋込孔
195、295 壁面
196、296 第2の壁面
297 第3の壁面
281 取付ネジ
図1
図2
図3
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図12