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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184062
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/06 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F24C15/06 B
F24C15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091689
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 範明
(72)【発明者】
【氏名】藤原 剛
(72)【発明者】
【氏名】小牟田 孝博
(57)【要約】
【課題】並んで配置される第1および第2の意匠板を備える加熱調理器において、第1の意匠板の傾きを容易に調整する。
【解決手段】加熱調理器10は、筺体14と、筺体14の前側部分に並んで取り付けられた第1の意匠板47および第2の意匠板と、第1の意匠板47の外周縁の一部分と筺体14との間の距離を調整するスペーサ72A~72Dと、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、
前記筺体の前側部分に並んで取り付けられた第1および第2の意匠板と、
前記第1の意匠板の外周縁の一部分と前記筺体との間の距離を調整するスペーサと、を有する、加熱調理器。
【請求項2】
前記筺体の前側部分に取り付けられる開閉ユニットをさらに有し、
前記開閉ユニットが、前記筺体の前側部分に取り付けられるユニット本体と、前記ユニット本体に開閉可能に支持された開閉パネルとを含み、
前記第1の意匠板が前記開閉ユニットの開閉パネルに取り付けられ、
前記スペーサが、前記ユニット本体の外周縁の一部分と前記筺体との間の距離を調整する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記開閉パネルの下端部が、第1の回動中心線を中心にして回動可能に前記ユニット本体に支持されている、請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記開閉ユニットが、前記加熱調理器を操作するための操作ユニットであって、
前記操作ユニットが、ユーザインターフェース面を備え、前記開閉パネルの上端部に前記第1の回動中心線と平行な第2の回動中心線を中心にして回動可能に前端部が支持されている操作モジュールを含んでおり、
前記開閉パネルが回動しつつ前記操作モジュールが回動して前記ユーザインターフェース面が前記ユニット本体から外部に露出する、請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記スペーサが、前記筺体の取り付け面に接触する基準面と、前記接触面に対して傾斜する傾斜面であるカム面とを備え、
前記ユニット本体が、前記スペーサのカム面に対して平行であって且つ接触する従動面を備え、
前記スペーサが前記筺体の取り付け面に沿ってシフトすると、前記従動面が設けられた前記ユニット本体の部分が、前記筺体の取り付け面に対して直交する方向にシフトする、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記スペーサが、前記スペーサを前記筺体の取り付け面に沿ってシフトさせるための操作レバーを備える、請求項5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記スペーサのカム面が、階段状部を含み、
前記ユニット本体の従動面が、前記スペーサの傾斜面の階段状部と係合する凸部を含む、請求項5または6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記ユニット本体の貫通穴を通過して前記筺体の取り付け面のめねじ穴に係合する固定ねじを有し、
前記スペーサが、前記固定ねじが通過し、前記スペーサのシフト方向に延在する切り欠き部または長穴を備える、請求項5から7のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記ユニット本体が、前記スペーサのシフト範囲の中心を示すマーカーを備える、請求項5から8のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記スペーサが、前記第1の意匠板の外周縁の複数の異なる部分それぞれと前記筺体との間の距離を調整する複数のスペーサを含んでいる、請求項1から9のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記複数のスペーサの少なくとも2つが同一形状を備える、請求項10に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に記載するように、ユーザが操作するためのボタンなどが設けられたユーザインターフェース面を備える操作部(操作モジュール)が格納可能な加熱調理器が知られている。特許文献1に記載された加熱調理器は、操作部ケース(ユニット本体)と、下端部が回動可能にユニット本体に支持されて上端部がユニット本体から離間可能な前面板(開閉パネル)と、開閉パネルの上端部に回動可能に前端部が支持されている操作モジュールとを備える操作ユニットを有する。この操作ユニットは、加熱調理器の筺体の前側部分に組み込まれている。開閉パネルの上端部が前方に移動すると、操作モジュールがユニット本体から露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4992864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された加熱調理器の場合、操作ユニットの左側に、食材を収容して加熱するグリル庫が組み込まれている。グリル庫を開閉するグリル扉と全閉状態の操作ユニットの開閉パネルは、左右に並んで加熱調理器の一つの意匠面を構成する。すなわち、グリル扉と開閉パネルは意匠板としても機能する。
【0005】
しかしながら、操作ユニットの組み立て誤差や操作ユニットの筺体への取り付け誤差により、グリル扉と開閉パネルとが適切に並ばずにその間に段差が発生することがある。このような段差が発生すると、加熱調理器の前面の意匠性が低下する。段差が発生すると、その段差を解消するために、操作ユニットを部分的に分解して操作ユニットの開閉パネルの傾きを調整する必要があり、その調整に時間がかかる。
【0006】
そこで、本開示は、並んで配置される第1および第2の意匠板を備える加熱調理器において、第1の意匠板の傾きを容易に調整することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
筺体と、
前記筺体の前側部分に並んで取り付けられた第1および第2の意匠板と、
前記第1の意匠板の外周縁の一部分と前記筺体との間の距離を調整するスペーサと、を有する、加熱調理器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、並んで配置される第1および第2の意匠板を備える加熱調理器において、第1の意匠板の傾きを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る加熱調理器の前方斜視図
図2】操作ユニットを取り外した状態の加熱調理器の部分的な前方斜視図
図3】全開状態の操作ユニットの斜視図
図4A】全閉状態の操作ユニットの分解斜視図
図4B】全開状態の操作ユニットの分解斜視図
図5A】全閉状態の操作ユニットの右側面図
図5B】全開状態の操作ユニットの右側面図
図6A】全閉状態の操作ユニットの左側面図
図6B】全開状態の操作ユニットの左側面図
図7】操作ユニットのユニット本体の正面図
図8A】全閉状態の操作ユニットの図7に示すA-A線に沿った部分断面図
図8B】全開状態の操作ユニットの図7に示すA-A線に沿った部分断面図
図9】操作ユニットが筺体に取り付けられた状態の加熱調理器の部分的な右側面図
図10】複数のスペーサの斜視図
図11】複数のスペーサが配置された状態のユニット本体の後面図
図12】スペーサによって筺体との距離が調整されるユニット本体の調整箇所を示す部分的な後方斜視図
図13A】複数のスペーサが配置された状態のユニット本体の部分的な後方斜視図
図13B】複数のスペーサが配置された状態のユニット本体の部分的な前方斜視図
図14】スペーサによる操作ユニットと筺体との間の距離の調整方法を説明するための図である。
図15】本開示の別の実施の形態に係る加熱調理器のスペーサを概略的に示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様の加熱調理器は、筺体と、前記筺体の前側部分に並んで取り付けられた第1および第2の意匠板と、前記第1の意匠板の外周縁の一部分と前記筺体との間の距離を調整するスペーサと、を有する。
【0011】
本開示の一態様によれば、並んで配置される第1および第2の意匠板を備える加熱調理器において、第1の意匠板の傾きを容易に調整することができる。
【0012】
例えば、加熱調理器は、前記筺体の前側部分に取り付けられる開閉ユニットをさらに有し、前記開閉ユニットが、前記筺体の前側部分に取り付けられるユニット本体と、前記ユニット本体に開閉可能に支持された開閉パネルとを含み、前記第1の意匠板が前記開閉ユニットの開閉パネルに取り付けられてもよい。この場合、前記スペーサが、前記ユニット本体の外周縁の一部分と前記筺体との間の距離を調整する。
【0013】
例えば、前記開閉パネルの下端部が、第1の回動中心線を中心にして回動可能に前記ユニット本体に支持されてもよい。
【0014】
例えば、前記開閉ユニットが、前記加熱調理器を操作するための操作ユニットであってもよい。この場合、前記操作ユニットが、ユーザインターフェース面を備え、前記開閉パネルの上端部に前記第1の回動中心線と平行な第2の回動中心線を中心にして回動可能に前端部が支持されている操作モジュールを含んでおり、前記開閉パネルが回動しつつ前記操作モジュールが回動して前記ユーザインターフェース面が前記ユニット本体から外部に露出する。
【0015】
例えば、前記スペーサが、前記筺体の取り付け面に接触する基準面と、前記接触面に対して傾斜する傾斜面であるカム面とを備え、前記ユニット本体が、前記スペーサのカム面に対して平行であって且つ接触する従動面を備えてもよい。この場合、前記スペーサが前記筺体の取り付け面に沿ってシフトすると、前記従動面が設けられた前記ユニット本体の部分が、前記筺体の取り付け面に対して直交する方向にシフトする。
【0016】
例えば、前記スペーサが、前記スペーサを前記筺体の取り付け面に沿ってシフトさせるための操作レバーを備えてもよい。
【0017】
例えば、前記スペーサのカム面が、階段状部を含み、前記ユニット本体の従動面が、前記スペーサの傾斜面の階段状部と係合する凸部を含んでもよい。
【0018】
例えば、加熱調理器が、前記ユニット本体の貫通穴を通過して前記筺体の取り付け面のめねじ穴に係合する固定ねじを有してもよい。この場合、前記スペーサが、前記固定ねじが通過し、前記スペーサのシフト方向に延在する切り欠き部または長穴を備える。
【0019】
例えば、前記ユニット本体が、前記スペーサのシフト範囲の中心を示すマーカーを備えてもよい。
【0020】
例えば、前記スペーサが、前記第1の意匠板の外周縁の複数の異なる部分それぞれと前記筺体との間の距離を調整する複数のスペーサを含んでもよい。
【0021】
例えば、前記複数のスペーサの少なくとも2つが同一形状を備えてもよい。
【0022】
以下、本開示の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は本開示の一実施の形態に係る加熱調理器の前方斜視図である。また、図2は、操作ユニットを取り外した状態の加熱調理器の部分的な前方斜視図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態の場合、加熱調理器10は、加熱対象(例えば食材)を収容した調理容器(図示せず)が載置されるトッププレート12と、トッププレート12の下側に位置する筐体14とを有する。この筐体14内に、トッププレート12上に載置された調理容器を誘導加熱する誘導加熱コイル(図示せず)が収納されている。図1に示すように、誘導加熱コイルをユーザが操作するための操作ユニット20が、筐体14の前側部分に組み込まれている。
【0025】
また、図1および図2に示すように、本実施の形態の場合、加熱調理器10は、加熱対象(例えば食材)を収容して加熱するグリル空間30aを備えるグリル庫30を有する。グリル庫30は、操作ユニット20に対して左側に配置されている。また、グリル庫30は、そのグリル空間30aを開閉するグリル扉32を備える。なお、図2では、グリル扉32は省略されている。グリル扉32は、矩形板状であって、加熱調理器10の前後方向に移動することにより、グリル空間30aを開閉する。また、グリル扉32には、ユーザが把持するグリップ34が設けられている。
【0026】
図3は、全開状態の操作ユニットの斜視図である。また、図4Aおよび図4Bは、操作ユニットの分解斜視図である。さらに、図5Aおよび図5Bは、操作ユニットの右側面図である。そして、図6Aおよび図6Bは操作ユニットの左側面図である。なお、図4A図5A、および図6Aは全閉状態の操作ユニットを示し、図4B図5B、および図6Bは全開状態の操作ユニットを示している。
【0027】
図2図3図4A、および図4Bに示すように、操作ユニット20は、筺体14に取り付けられるユニット本体42と、ユニット本体42に支持された開閉パネル44と、開閉パネル44に支持された操作モジュール46とを備える。また、図2に示すように、本実施の形態の場合、開閉パネル44には、着脱可能な意匠板47が取り付けられる。
【0028】
ユニット本体42は、図2に示すように、筺体14の前側に設けられた取り付け面14aに取り付けられる部材である。なお、その取り付けの詳細については後述する。また、ユニット本体42は、概略、前側部分に開口を備えるボックス状であって、操作ユニット20が全閉状態のときに操作モジュール46を格納する格納空間42aを備える。格納空間42aは、ユニット本体42の右壁部42bと左壁部42cとの間に画定されている。右壁部42bと左壁部42cは後壁部42dによって接続されている。
【0029】
開閉パネル44は、意匠板47を着脱可能に支持する本体部44aと、本体部44aの左右両端から後方に向かって突出する右壁部44bと左壁部44cとを備える。
【0030】
開閉パネル44における右壁部44bと左壁部44cの下側部分には、支持ピン48が通過する貫通穴44d、44eが形成されている。貫通穴44d、44eをそれぞれ通過した支持ピン48は、ユニット本体42の下側部分から前方に向かって突出する支持アーム部42e、42fに設けられた係合穴42gに係合する。これにより、開閉パネル44の下端部が、左右方向に延在する回動中心線C1を中心にして回動可能にユニット本体42に支持されている。
【0031】
操作モジュール46は、図3に示すように、ユーザが加熱調理器10を操作するためのインターフェース面46aを備える。インターフェース面46aには、複数の操作ボタン46bと、液晶ディスプレイなどの表示部46cとが設けられている。
【0032】
操作モジュール46の前端部は、回動中心線C1に対して平行な回動中心線C2を中心にして回動可能に開閉パネル44の上端部に支持されている。具体的には、開閉パネル44における右壁部44bと左壁部44cの上側部分には、支持ピン50が通過する貫通穴44f、44gが形成されている。貫通穴44f、44gを通過した支持ピン50は、操作モジュール46の前端部における左右両面に設けられた係合穴(図示せず)に係合する。これにより、操作モジュール46の前端部が、回動中心線C2を中心にして回動可能に開閉パネル44に支持されている。
【0033】
図2図4A図5A、および図6Aに示すように、操作ユニット20が全閉状態のとき、操作モジュール46は回動中心線C2を中心に回動して開閉パネル44の本体部44aに接近している。この全閉状態のとき、操作モジュール46は、ユニット本体42の格納空間42aに格納され、そのインターフェース面46aは、ユニット本体42の後壁部42dに向いている。
【0034】
一方、図3図4B図5B、および図6Bに示すように、操作ユニット20が全開状態のとき、操作モジュール46は回動中心線C2を中心に回動して開閉パネル44の本体部44aから離れている。このとき、操作モジュール46は、ユニット本体42の格納空間42aの外部に位置し、そのインターフェース面46aが上方に向いている。
【0035】
このような操作モジュール46の挙動は、開閉パネル44の回転中心線C1を中心とする回動動作にリンクして起こる。
【0036】
具体的には、図4Bに示すように、操作モジュール46の後端部には、第2の回動中心線C2の延在方向(左右方向)の一方側および他方側に向かってそれぞれ突出するピン52、54が設けられている。このピン52、54は、ユニット本体42の右壁部42bと左壁部42cそれぞれに形成された溝42h、42i内を移動する。図5A図5B図6A、および図6Bに示すように、溝42h、42iは、上方に向かって延在しながら前方に徐々に延在する形状を備える。
【0037】
また、操作モジュール46の後端部には、第2の回動中心線C2の延在方向(左右方向)に延在する回転中心線を中心にして回転するローラ55が設けられている。ローラ55は、ユニット本体42の後壁部42dに設けられたガイドリブ42q上を転動する。
【0038】
このようなピン52、54と溝42h、42iおよびローラ55とガイドリブ42qによれば、図5Aおよび図6Aに示す全閉状態から開閉パネル44が回動中心線C1を中心にして回動し始めると、ローラ55がガイドリブ42q上を転動し、ピン52、54が溝42h、42i内を上方に移動し始める。それと同期して、操作モジュール46が回動中心線C2を中心にして回動し始め、開閉パネル44の本体部44aから離れ始める。
【0039】
さらに開閉パネル44が回動すると、ピン52、54が溝42h、42i内を上方に移動しつつ前方にも移動する。これにより、操作モジュール46がユニット本体42の外部に向かって移動する。最終的には、図5Bおよび図6Bに示すように開閉パネル44は全開状態になり、図3に示すように、操作モジュール46のインターフェース面46aがユニット本体42から外部に露出する。
【0040】
なお、開閉パネル44が自動的に開くように、図4Aおよび図4Bに示すように、ユニット本体42には、開閉パネル44(その回動部材48)を前方に向かって付勢する板バネ56が設けられている。
【0041】
また、図5Aおよび図6Aに示すように開閉パネル44を全閉した状態で維持するために、操作ユニット20にはプッシュラッチ機構58が設けられている。
【0042】
図7は、操作ユニットのユニット本体の正面図である。また、図8Aは、全閉状態の操作ユニットの図7のA-A線に沿った部分断面図である。そして、図8Bは、全開状態の操作ユニットの図7のA-A線に沿った部分断面図である。
【0043】
図8Aおよび図8Bに示すように、プッシュラッチ機構58は、ストライカ60と、ストライカ60を着脱可能にクランプするラッチ62とから構成されている。ストライカ60がラッチ62に挿入されると、ラッチ62がストライカ60をクランプする。その状態からストライカ60をさらにラッチ62の奥に押し込むと、ラッチ62がストライカ60をアンクランプし、ストライカ60はラッチ62から離れることが可能になる。
【0044】
本実施の形態の場合、図8Aおよび図8Bに示すように、プッシュラッチ機構58のストライカ60は開閉パネル44に設けられ、ラッチ62はユニット本体42に設けられている。これにより、プッシュラッチ機構58は、操作ユニット20が全閉状態のときに開閉パネル44とユニット本体42とを着脱可能に連結する。
【0045】
また、本実施の形態の場合、プッシュラッチ機構58は、操作ユニット20の第1の回転中心線C1の延在方向(左右方向)の中央ではなく、一方側(右側)に配置されている。具体的には、図1に示すグリル庫30から遠い側に、プッシュラッチ機構58は設けられている。
【0046】
具体的には、本実施の形態の場合、ストライカ60は、開閉パネル44に直接的に設けられておらず、サイドカバー64、66の一方に設けられている。サイドカバー64、66それぞれは、図4A図4B図5B、および図6Bに示すように、開閉パネル44の右壁部44b、左壁部44cに設けられている。操作モジュール46は、2つのサイドカバー64、66の間で第2の回動中心線C2を中心にして回動する。なお、サイドカバー64、66は、図5Bおよび図6Bに示すように、操作ユニット20が全開状態であるとき、操作モジュール46の下方への異物の侵入を抑制する。また、サイドカバー64、66は、操作ユニット20が全閉状態のとき、図7に示すように、ユニット本体42の後壁部42dに形成された貫通穴42j、42kを介して、ユニット本体42の後方に突出する。
【0047】
本実施の形態の場合、プッシュラッチ機構58のストライカ60は、グリル庫30から遠い右側のサイドカバー64に一体的に設けられている。このストライカ60と係合するために、図7に示すように、プッシュラッチ機構58のラッチ62は、ユニット本体42の格納空間42aの右側に配置されている。このようにプッシュラッチ機構58がグリル庫30から遠い操作ユニット20の上の位置に設けられることにより、プッシュラッチ機構58は、グリル庫30から発生する熱を原因とする熱変形などの損傷が抑制されている。
【0048】
なお、本実施の形態の場合、プッシュ機構58のストライカ60における爪部60a(ラッチ62に引っ掛かる爪部)は、外側に向いている。しかしながら、加熱調理器10が使用される環境によっては、爪部60aは内側に向いているのが好ましい。
【0049】
説明すると、本実施の形態の場合、加熱調理器10の筺体14内に外気を取り込むために、操作ユニット20のユニット本体42の右壁部42bには、筺体14の内部と外部とを連通する複数の通気穴42mが形成されている。外気は右側のサイドカバー64に沿ってユニット本体42の格納空間42a内に進入し、その後通気穴42mを介して筺体14内に進入する。このとき、ストライカ60の爪部60aが外側に向いていると、外気に含まれるほこり等が爪部60aに堆積する可能性がある。そこで、ほこりなどが多い環境下で加熱調理器10が使用される場合には、プッシュ機構58のストライカ60の爪部60aは内側に向いているのが好ましい。
【0050】
図8Bに示すように、第1の回動中心線C1の延在方向(左右方向)視で、プッシュラッチ機構58(そのストライカ60とラッチ62)は、第1の回動中心線C1と開閉パネル44の上端44hとの間の中心点を通過して第1の回動中心線C1を中心とする円形領域CRの外側に配置されている。
【0051】
これにより、プッシュラッチ機構58が、円形領域CR内に配置されている場合に比べて、操作ユニット20が全閉状態であるときの開閉パネル44の上端部のユニット本体42に対する位置決め精度が向上する。
【0052】
具体的に説明すると、開閉パネル44の下端部は、ユニット本体42の支持アーム部42e、42fに支持されているので、ユニット本体42に対する位置決め精度が相対的に高い。一方、開閉パネル44の上端部は、ユニット本体42に支持されておらず、ユニット本体42から離間するようにまたは接近するように移動するので、ユニット本体42に対する位置決め精度が相対的に低い。その結果、ユニット本体42に対する開閉パネル44の位置決め精度が部分的に異なる。上端44hに近づくほど、位置決め精度が低下する。すなわち、開閉パネル44は、上端44hに近づくほどぐらつきやすくなる。
【0053】
このように、ユニット本体42に対する開閉パネル44の位置決め精度が部分的に異なると、加熱調理器10の意匠性が低下する可能性がある。
【0054】
本実施の形態の場合、図1に示すように、全閉状態の操作ユニット20の開閉パネル44に取り付けられる意匠板47は、グリル庫30のグリル扉32と左右方向に並んで、加熱調理器10の1つの意匠面(前面)を構成する。すなわち、グリル扉32は、意匠板としても機能している。
【0055】
この場合、開閉パネル44の上端部のユニット本体42に対する低い位置決め精度を原因として、開閉パネル44に取り付けられた意匠板47の上側部分とグリル扉34との間に段差が発生する可能性がある。このような段差が発生すると、加熱調理器10の前面の意匠性が低下する。
【0056】
そこで、図8Aに示すように、操作ユニット20が全閉状態のとき、開閉パネル44の上端部とユニット本体42とをプッシュラッチ機構58が連結することにより、開閉パネル44の上端部のユニット本体42に対する位置決め精度を向上させている(プッシュラッチ機構58がない場合、またはプッシュラッチ機構58が図8Bに示す円形領域CR内に存在する場合に比べて)。
【0057】
図8Aに示すように、プッシュラッチ機構58が開閉パネル44の上端部とユニット本体42とを連結する利点は、他にも存在する。プッシュラッチ機構58が、図8Bに示す円形領域CRの外側に位置するため、その内側に位置する場合に比べて、ストライカ60とラッチ62とを係合させるまたは係合を解除させるために必要なストロークが小さくなる。その結果、ユーザは、意匠板47を小さいストロークで押し込んで開閉パネル44を簡単に開閉することができる。
【0058】
なお、上述したように、本実施の形態の場合、プッシュラッチ機構58は、操作ユニット20における第1の回動中心線C1の延在方向(左右方向)の一方側(右側)に配置されている。そのため、操作ユニット20が全閉状態のとき、操作ユニット20の上下方向視で、プッシュラッチ機構58によって連結される開閉パネル44の右側部分に比べて、左側部分が前方に位置する。これは、開閉パネル44が板バネ56に付勢されていることによって生じている。その結果、第1および第2の回動中心線C1、C2がねじれの位置関係になるように、開閉パネル44(それに取り付けられている意匠板47)がわずかにねじれている。
【0059】
この対処として、図6Aに示すように、操作モジュール46の左側のガイドピン54が、ユニット本体42のガイド溝42iによって後方にシフトされている。なお、図6Aでは、ガイド溝42iが存在しない場合のガイドピン54’を二点鎖線で示している。このガイドピン54とガイド溝42iにより、第1および第2の回動中心線C1、C2が互いに平行になるように、操作ユニット20が全閉状態であるときの開閉パネル44のねじれが解消される。
【0060】
ここからは、操作ユニット20の筺体14への取り付けについて説明する。
【0061】
図2に示すように、操作ユニット20は、複数の固定ねじ70を介して、筺体14の前側部分に固定される。
【0062】
図9は、操作ユニットが筺体に取り付けられた状態の加熱調理器の部分的な右側面図である。
【0063】
図9に示すように、操作ユニット20は、複数の固定ねじ70を介して、筺体14の前側部分に設けられた取り付け面14aに固定される。本実施の形態の場合、操作ユニット20は、複数のスペーサ72A~72Dを介して、筺体14の取り付け面14aに固定される。
【0064】
図10は、複数のスペーサの斜視図である。また、図11は、複数のスペーサが配置された状態のユニット本体の後面図である。さらに、図12は、スペーサによって筺体との距離が調整されるユニット本体の調整箇所を示す部分的な後方斜視図である。さらにまた、図13Aは、複数のスペーサが配置された状態のユニット本体の部分的な後方斜視図である。そして、図13Bは、複数のスペーサが配置された状態のユニット本体の部分的な前方斜視図である。
【0065】
本実施の形態の場合、図10および図11に示すように、複数のスペーサ72A~72Dは、くさび状のカム部材である。4つのスペーサの中、スペーサ72A~72Dの中、スペーサ72A、72Dが同一形状を備え、スペーサ72B、72Cが同一形状を備える。ただし、スペーサ72A、72Dの形状とスペーサ72B、72Cの形状は左右対称であるので、これらのスペーサ72A~72Dは、機能的には実質的に同一である。
【0066】
図11に示すように、4つのスペーサ72A~72Dそれぞれは、ユニット本体14の外周縁の一部分と筺体14の取り付け面14aとの間の距離を調整する。本実施の形態の場合、スペーサ72Aは、右壁部42bから左右方向の外側に向かって延在するフランジ部42nの上側部分(以下、「調整部分74A」と称する)に配置され、この部分と筺体14との間の距離を調整する。また、スペーサ72Bは、フランジ部42nの下側部分(以下、「調整部分74B」と称する)に配置され、この部分と筺体14との間の距離を調整する。さらに、スペーサ72Cは、左壁部42cから左右方向の外側に向かって延在するフランジ部42pの上側部分(以下、「調整部分74C」と称する)に配置され、この部分と筺体14との間の距離を調整する。そして、スペーサ72Dは、フランジ部42pの上側部分(以下、「調整部分74D」と称する)に配置され、この部分と筺体14との間の距離を調整する。なお、調整部分74A~74Dは実質的に同一の形状を備える。
【0067】
図9および図10に示すように、複数のスペーサ72A~72Dそれぞれは、筺体14の取り付け面14aに接触する基準面72aと、基準面72aに対して前後方向に傾斜する傾斜面であるカム面72bとを備える。図9および図12に示すように、ユニット本体42の複数の調整部分74A~74Dそれぞれは、対応するスペーサ72A~72Dのカム面72bに対して平行であって且つ接触する従動面74aを備える。
【0068】
また、本実施の形態の場合、複数のスペーサ72A~72Dそれぞれのカム面72bは、階段状部72cを含んでいる。一方、ユニット本体42の複数の調整部分74A~74Dそれぞれの従動面74aには、階段状部72cに係合する凸部74bが設けられている。これにより、カム面72bと従動面74aとの間でのスリップの発生が抑制されている。
【0069】
なお、ユニット本体42は、その従動面74aの摩耗を抑制するために、複数のスペーサ72A~72Dの材料に比べて硬い材料から作製されている。また、複数のスペーサ72A~72Dは、カム面72bの従動面74aに対する高い摺動性を確保するために、例えば、ポリアセタール(POM)樹脂から作製されている。
【0070】
さらに、本実施の形態の場合、複数のスペーサ72A~72Dそれぞれは、固定ねじ70が通過するU字状の切り欠き部72dを備える。切り欠き部72dは、スペーサ72A~72Dのシフト方向(本実施の形態の場合、上下方向)に延在する。固定ねじ70は、ユニット本体42の複数の調整部分74A~74Dそれぞれに形成された貫通穴74cを通過し、複数のスペーサ72A~72Dそれぞれの切り欠き部72dを通過し、そして、図2に示す筺体14の取り付け面14aに形成されためねじ穴14bに係合する。なお、切り欠き部72dに代わって、シフト方向に長い長穴がスペーサ72A~72Dに設けられてもよい。
【0071】
さらにまた、本実施の形態の場合、複数のスペーサ72A~72Dそれぞれは、それぞれを筺体14の取り付け面14aに沿ってシフトさせるための操作レバー72eを備える。図13Bに示すように、操作レバー72eは、ユニット本体42の複数の調整部分74A~74Dそれぞれに対して前方に位置する。また、操作レバー72eをシフト方向(上下方向)にガイドするためのガイドレール部74dが、図7に示すように、複数の調整部分74A~74Dそれぞれに設けられている。この操作レバー72eにより、スペーサ72A~72Dをシフトしやすくなる。
【0072】
加えて、本実施の形態の場合、ユニット本体42の複数の調整部分74A~74Dそれぞれには、スペーサ72A~72Dそれぞれのシフト範囲の中心を示す突起状のマーカー74dが設けられている。操作レバー72eがマーカー74eに隣接するとき、スペーサ72A~72Eがシフト範囲の中心に位置する。このマーカー74eにより、スペーサ72A~72Eの可能なシフト量を作業者は簡単に知ることができる。
【0073】
図14は、スペーサによる操作ユニットと筺体との間の距離の調整方法を説明するための図である。
【0074】
本実施の形態の場合、図14に示すように、操作ユニット20(そのユニット本体42)が、筺体14の取り付け面14aに仮固定される。具体的には、複数のスペーサ72A~72Dが、白抜き矢印に示すように、上下方向にシフト可能に操作ユニット20が固定ねじ70を介して筺体14に仮固定される。
【0075】
次に、複数のスペーサ72A~72Dのいずれかを筺体14の取り付け面14aに沿ってシフト移動させることにより、それらのカム面72bに接触する従動面74aを備えるユニット本体42の複数の調整箇所74A~74Dのいずれかが、取り付け面14aに対して直交する方向(前後方向)にシフトする。それにより、ユニット本体42の複数の調整箇所74A~74Dと、筺体14の取り付け面14aとの間の距離が調整される。すなわち、操作ユニット20の取り付けられる意匠板47の外周縁における複数の部分と筺体14の取り付け面14aとの間の距離が調整される。その結果、操作ユニット20(すなわち意匠板47)の筺体14に対する傾きが調整される。
【0076】
操作ユニット20の筺体14に対する傾きが調整された後、固定ねじ70がさらに締められ、それにより調整された傾きで操作ユニット20が筺体14に本固定される。
【0077】
このような複数のスペーサ72A~72Dによれば、操作ユニット20に取り付けられた意匠板47とグリル庫30のグリル扉32との間に段差が発生している場合、その段差を簡単に解消することができる。
【0078】
以上、このような本実施の形態によれば、図1に示すように並んで配置されているグリル扉32と意匠板47とを備える加熱調理器10において、意匠板47の傾きを容易に調整することができる。それにより、グリル扉32と意匠板47との間に段差が発生している場合、その段差を解消することができる。
【0079】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されない。
【0080】
例えば、上述の実施の形態の場合、図10に示すように、スペーサ72A~72Dは、くさび状のカム部材であるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0081】
図15は、本開示の別の実施の形態に係る加熱調理器のスペーサを概略的に示す断面図である。
【0082】
図15に示すように、別の実施の形態に係る加熱調理器において、スペーサ172は、いわゆるセットねじである。スペーサ172は、操作ユニット120のユニット本体142に形成されためねじ穴142aに係合する。また、スペーサ172の先端面172aが、筺体114の取り付け面114aに接触する。スペーサ172のユニット本体142からの突出量を調整することにより、ユニット本体142と筺体114の取り付け面114aとの間の距離が調整され、その結果、筺体114に対する操作ユニット120(それに取り付けられた意匠板)の傾きが調整される。固定ねじ170は、スペーサ172の貫通穴172bを通過し、筺体114のめねじ穴114bに係合する。
【0083】
また、上述の実施の形態の場合、図2に示すように、意匠板47は、操作ユニット20の開閉パネル44に着脱可能に取り付けられる。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。意匠板が取り付けられるユニットは、例えば、筺体内の空間をアクセス可能に開閉するための開閉ユニットの開閉パネルに取り付けられてもよい。この場合、開閉ユニットは、加熱調理器の筺体の前側部分に取り付けられ、開閉パネルを開閉可能に支持するユニット本体を有する。
【0084】
さらに、上述の実施の形態の場合、図10に示すように、4つのスペーサ72A~72Dが使用されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。スペーサは少なくとも1つあればよい。
【0085】
すなわち、本開示の実施の形態に係る加熱調理器は、広義には、筺体と、前記筺体の前側部分に並んで取り付けられた第1および第2の意匠板と、前記第1の意匠板の外周縁の一部分と前記筺体との間の距離を調整するスペーサと、を有する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示は、前側に意匠面を備える加熱調理器であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 加熱調理器
14 筺体
47 第1の意匠板
72A スペーサ
72B スペーサ
72C スペーサ
72D スペーサ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15