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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184070
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20221206BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20221206BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221206BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221206BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/00 Z
G06F3/12 335
G06F3/12 310
G06F3/12 378
G06F3/12 385
G06F3/12 336
G06F3/12 331
G03G21/00 396
G03G21/00 512
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091700
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】田村 光
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061CG02
2C061CG15
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061HK15
2C061HK23
2C061HV14
2C061HV32
2H270KA59
2H270KA62
2H270LA77
2H270LA80
2H270LA87
2H270ND10
2H270ND15
2H270ND22
2H270ND31
2H270ND36
2H270RC05
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC60
5C062AC68
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF06
5C062AF07
(57)【要約】
【課題】サーバとの通信が不可能となる場面においても、交換品の不足により印刷が実行できなくなることを抑制することで、適正に印刷を行うことが可能な印刷装置の提供を目的とする。
【解決手段】プリンタ30のコントローラ35は、第1印刷枚数N1と、使用量情報とに基づいて、印刷機構33により印刷可能な第2印刷枚数N2を設定する。サーバ50との通信が可能である場合に、第1印刷枚数N1の範囲内で印刷機構33を用いた印刷を実行する。サーバ50との通信が不可能である場合に、第2印刷枚数N2の範囲内で印刷機構33を用いた印刷を実行する。印刷処理の実行に伴い更新された使用量情報を、通信IF32を介してサーバ50に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換品を使ってシートに印刷を行う印刷機構と、
通信インタフェースと、
コントローラと、を備え、
印刷可能量の範囲内で印刷を実行可能な印刷装置であって、
前記コントローラは、
前記印刷可能量と、前記交換品の使用量を示す使用量情報とに基づいて、前記印刷機構により印刷可能な上限量を設定する上限設定処理と、
前記交換品を管理するサーバとの通信が可能である場合に、前記印刷可能量の範囲内で前記印刷機構に印刷を実行させる第1印刷処理と、
前記サーバとの通信が不可能である場合に、前記上限量の範囲内で前記印刷機構に印刷を実行させる第2印刷処理と、
前記第1印刷処理及び前記第2印刷処理の実行に伴い更新された前記使用量情報を、前記通信インタフェースを介して前記サーバに送信する送信処理と、を実行する印刷装置。
【請求項2】
メモリを備え、
前記送信処理では、前記第2印刷処理の実行に伴い更新された前記使用量情報を前記メモリに記憶し、その後、前記サーバとの通信が可能となった場合に、前記メモリに記憶された前記使用量情報を、前記通信インタフェースを介して前記サーバに送信する請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記上限量が所定値以下であり、かつ前記サーバとの通信が不可能な場合に、前記通信インタフェースを介した前記サーバとの接続を促すことを通知するための通知要求処理を実行する請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記上限設定処理では、前記印刷可能量又は前記使用量情報が更新されたことを契機に、前記上限量を設定する請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記使用量情報は複数あり、
前記上限設定処理では、
前記複数の使用量情報に応じて前記交換品の交換時期を判断し、
前記複数の使用量情報のうち前記交換時期が最も早く到達すると判断される前記使用量情報に基づいて、前記上限量を設定する請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記サーバから、前記第1印刷処理及び前記第2印刷処理を実行可能許可をしたことを条件に、前記上限量を設定する請求項1~5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記上限設定処理の実行中は、前記第1印刷処理及び前記第2印刷処理を実行しない請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記サーバは、前記送信処理により送信された前記使用量情報に基づき、前記交換品の交換時期に達したか否かを判断し、前記交換品の交換時期に達したことを判断したことを少なくとも1つの条件として、前記交換品を発送するための処理を実行する請求項1~7のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
印刷装置とサーバとを備える印刷システムであって、
前記印刷装置は、
交換品を使ってシートに印刷を行う印刷機構と、
通信インタフェースと、を備え、
印刷可能量の範囲内で印刷を実行可能であり、
更に、
前記印刷可能量と、前記交換品の使用量を示す使用量情報とに基づいて、前記印刷機構により印刷可能な上限量を設定する上限設定部と、
前記交換品を管理するサーバとの通信が可能である場合に、前記印刷可能量の範囲内で前記印刷機構に印刷を実行させる第1印刷処理部と、
前記サーバとの通信が不可能である場合に、前記上限量の範囲内で前記印刷機構に印刷を実行させる第2印刷処理部と、
前記第1印刷処理部及び前記第2印刷処理部による印刷の実行に伴い更新された前記使用量情報を、前記通信インタフェースを介して前記サーバに送信させる送信処理部と、を備える印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷可能量の範囲内で印刷を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷可能量をサーバから事前に購入することで、購入された印刷可能量の範囲内で印刷をすることが可能な印刷装置が記載されている。また、印刷装置では、印刷を実行する毎に、実際に印刷した枚数やインク残量をサーバに送信する。これにより、サーバでは、印刷装置における現在のインク残量や、残りの印刷可能量を管理することが可能となる。また、印刷装置とサーバとの間で通信が不可能な場合、印刷装置は、一旦、端末に印刷枚数や、インク残量を送信する。端末は、印刷装置から受信した印刷枚数や、インク残量をサーバに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-018621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーバが、印刷装置及び端末のいずれとも通信が不可能となる場面では、サーバ側で印刷装置における印刷可能量や、カートリッジ等の交換品を管理できなくなることが懸念される。このような場合、例えば、交換品の不足により交換品を発送する場面において、発注が遅れることとなり、印刷装置の使用に悪影響が生じることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、サーバとの通信が不可能となる場面においても、適正に印刷を行うことが可能な印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、交換品を使ってシートに印刷を行う印刷機構と、通信インタフェースと、コントローラと、を備え、印刷可能量の範囲内で印刷を実行可能な印刷装置に関する発明である。印刷装置のコントローラは、印刷可能量と、交換品の使用量に応じた値を示す使用量情報とに基づいて、印刷機構により印刷可能な上限量を設定する上限設定処理と、交換品を管理するサーバとの通信が可能である場合に、印刷可能量の範囲内で印刷機構を用いた印刷を実行する第1印刷処理と、サーバとの通信が不可能である場合に、上限量の範囲内で印刷機構を用いた印刷を実行する第2印刷処理と、第1印刷処理及び第2印刷処理の実行に伴い更新された使用量情報を、通信インタフェースを介してサーバに送信する送信処理と、を実行する。
【0007】
上記構成では、印刷装置のコントローラは、印刷可能量と、交換品の使用量に応じた値を示す使用量情報とに基づいて、印刷機構により印刷可能な上限量を設定する。コントローラは、交換品を管理するサーバとの通信が可能である場合に、印刷可能量の範囲内で印刷機構を用いた第1印刷処理を実行する。一方、サーバとの通信が不可能である場合に、印刷機構により印刷可能な上限量の範囲内で印刷機構を用いた第2印刷処理を実行する。コントローラは、第1印刷処理及び第2印刷処理に伴い更新された使用量情報を、通信インタフェースを介して前記サーバに送信する。「交換品」は、交換されることを前提として印刷の実行に伴い使用される物であり、インクカートリッジ、廃液回収部、印刷ヘッド等の消耗品を含む。インクカートリッジ、廃液回収部、及び印刷ヘッドの交換が不可能であり、インクカートリッジ、廃液回収部、及び印刷ヘッドの少なくともいずれかの寿命により、印刷装置自体を交換する構成においては、「交換品」には印刷装置が含まれる。「印刷可能量」は、交換品の量を除き、印刷装置が印刷可能な枚数を定める情報であり、印刷機構によりシートにインクを打ち込み可能な回数を含む。これにより、サーバとの通信が不可能である場合は、交換品の使用量に応じて設定された上限量を超えない範囲で印刷が行われるため、交換品の不足等により印刷が実行できなくなるといった悪影響が抑制され、ひいては、印刷を適正に行うことができる。
【0008】
本発明は、種々の形態により実現することが可能であり、印刷装置の発明以外にも、印刷装置を含む印刷システムの発明としても実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サーバとの通信が不可能な場合でも、交換品の不足等により印刷が実行できなくなることが抑制され、適正な印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】印刷システムの構成図。
図2】プリンタのセットアップに係る処理を説明するタイミングチャート。
図3図2のS21で実行される処理を説明するフローチャート。
図4】印刷に係る処理を説明するタイミングチャート。
図5図4のS44の処理を説明するフローチャート。
図6】第2印刷枚数N2が所定数以下になったことを契機に実行される処理を説明するフローチャート。
図7】端末に表示される画面を説明する図。
図8】端末に表示される画面を説明する図。
図9】メンテナンス処理を説明するフローチャート。
図10】カートリッジの交換時に実行される処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態係に係る印刷システムを、図面を参照しつつ説明する。
図1に示す印刷システム100は、端末10と、印刷装置としてのプリンタ30と、サーバ50とを備えている。端末10と、プリンタ30と、サーバ50とはネットワーク200に接続されている。本実施形態では、ネットワーク200は、インターネットであってもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよいし、LANとインターネットとの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク200は、有線の他、無線でもよいし有線と無線の組み合わせにより構成されていてもよい。
【0012】
端末10の構成について説明する。端末10は、スマートフォンやタブレット端末である。端末10は、バス11と、端末側CPU12と、メモリ13と、ユーザIF14と、通信IF17とを備えている。これらの構成要素は、バス11を介して互いに通信可能に接続されている。IFは、Interfaceの略称である。
【0013】
ユーザIF14は、操作キー15や、タッチパネル16を備えている。タッチパネル16は、タッチセンサを有しており、タッチセンサによる検出結果に応じて、所定の信号の出力や表示された画面を遷移させることができる。通信IF17は、所定の通信プロトコルに準拠して、端末10をネットワーク200に接続する。通信IF17は、例えば、IEEEの802.11の規格およびそれに準ずる規格に基づいて、Wi-Fi(R)(登録商標)方式の無線通信を行うことが可能とされている。また、通信IF17は、プリンタ30との間でBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行うものであってもよい。なお、通信IF17は、基地局を介した移動通信システムを利用した無線通信を行うものであってもよい。
【0014】
メモリ13には、不図示のOS(Operating Systemの略称)や、アプリケーションプログラム20が記憶されている。端末側CPU12は、OSの実行下において、アプリケーションプログラム20を実行することにより、サーバ50による印刷サービスの提供を受けることができる。印刷サービスについては後述する。以下では、アプリケーションプログラムを、単に、「アプリケーション」とも記載する。また、プログラムを実行するCPUのことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「アプリケーション20が」という記載は、「アプリケーション20を実行する端末側CPU12が」ということを意味する場合がある。
【0015】
メモリ13には、第1印刷枚数N1や、第2印刷枚数N2が記憶されている。第1印刷枚数N1は、サーバ50との通信が可能である場合に、プリンタ30により印刷可能な枚数を示す情報である。第2印刷枚数N2は、サーバ50との通信が不可能である場合に、プリンタ30により印刷可能な枚数を示す情報である。更に、メモリ13には、端末10を特定するための情報であるユーザIDが記憶されている。
【0016】
なお、本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったCPUの処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPUやコントローラの処理を表している。CPUによる処理は、OSを介したハードウェア制御も含む。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、各プログラムが要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能な形式で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0017】
次に、プリンタ30について説明する。プリンタ30は、バス31、通信IF32、印刷機構33、ユーザIF34、コントローラ35、メモリ36、カートリッジ38、残量検知部39、廃液回収部40、廃液検知部41を、不図示の筐体内に備えている。プリンタ30を構成する各部は、バス31を介して通信可能に接続されている。なお、通信IF32は、端末10における通信IF17と同様である。ユーザIF34は、端末10におけるユーザIF14と同様であり、タッチパネルや、物理キーとしての操作キーを備えている。
【0018】
印刷機構33は、インクジェット方式のユニットであり、記録媒体としてのインクを被記録媒体であるシートに吐出する印刷ヘッド37を含んでいる。印刷機構33には、印刷ヘッド37にインクを供給するカートリッジ38が接続されている。印刷ヘッド37は、4種類のインク(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)を吐出可能な構成であるため、カートリッジ38は、各色のインクを貯留する複数のカートリッジにより構成されている。
【0019】
プリンタ30の筐体には、開閉可能なカバーが設けられている。カバーは、筐体に対して、カートリッジ38を遮蔽する閉位置から、カートリッジ38を露出させる開位置に変化させることができる。カバーを筐体に対して開位置に変化させることにより、筐体内に備えられたカートリッジ38を取り換えることが可能となる。
【0020】
残量検知部39は、カートリッジ38に貯留されたインクの量をインク残量として検出する。本実施形態では、残量検知部39は、カートリッジ38に配置されており、カートリッジ38内のインクの液面の高さを検出することにより、インクの残量を検出する光学センサである。残量検知部39は各色のカートリッジ38それぞれに配置されており、各色のカートリッジ38それぞれのインク残量を検出する。
【0021】
廃液回収部40は、印刷ヘッド37から吐出されたインクのうち、シートに記録されなかったインク(即ち、廃液)を回収するものである。具体的には、廃液回収部40は、所定の上限廃液量まで廃液を回収可能である。廃液検知部41は、廃液回収部40に貯留されたインク量を廃液量として検出する。具体的には、廃液検知部41は、廃液回収部40に配置されており、廃液回収部40内のインクの液面の高さを検出することにより、廃液量を検出する光学センサである。
【0022】
コントローラ35は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略称)等により構成されており、印刷機構33、ユーザIF34の各動作を制御する。メモリ36は、各種のプログラムや、データが記憶されている。メモリ36は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリが組み合わされて構成されていてもよい。また、メモリ36は、コンピュータであるコントローラ35が読み取り可能なストレージ媒体を含んでいてもよい。ストレージ媒体とは、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。
【0023】
メモリ36には、ファームウェア42が記憶されている。コントローラ35は、ファームウェア42を実行することにより、印刷機構33を使用してシートに印刷を行う印刷処理を実行することができる。メモリ36には、第1印刷枚数N1と、第2印刷枚数N2と、履歴情報Hとが記憶されている。第1印刷枚数N1及び第2印刷枚数N2は、端末10のメモリ13に記憶されたものと同様の情報である。履歴情報Hは、プリンタ30の総使用回数や、印刷ヘッド37の総噴射回数が記録された情報である。更に、メモリ36には、プリンタ30を識別する情報であるデバイスIDが記憶されている。
【0024】
次に、サーバ50の構成について説明する。サーバ50は、バス51と、通信IF52と、サーバ側CPU53と、メモリ54とを備えている。サーバ50は、端末10に対して、各種のサービスの提供を行うことが可能なサーバである。本実施形態では、サーバ50は、端末10を操作するユーザに対して、印刷サービスを提供することができる。
【0025】
サーバ50のメモリ54には、管理テーブルKTが記憶されている。管理テーブルKTは、ユーザが印刷サービスを利用するのに必要な情報が記憶されたテーブルである。具体的には、管理テーブルKTには、印刷サービスを利用するユーザに関する情報として、ユーザIDと、第1印刷枚数N1と、第2印刷枚数N2とが対応付けて記憶されている。管理テーブルKTには、印刷サービスで利用されるデバイスに関する情報として、デバイスIDと、アクティベーション情報と、使用量情報とが記憶されている。使用量情報については後述する。
【0026】
アクティベーション情報は、プリンタ30に対する印刷サービスの実行を許可するか否かを示す情報である。アクティベーション情報が、オン状態「〇」に設定された場合にプリンタ30による印刷の実行が許容され、オフ状態「×」に設定された場合にプリンタ30による印刷の実行が規制されることを示すものである。これ以外にも、管理テーブルKTには、印刷サービスに用いられるデバイスが既に交換されたことを示すデバイス交換情報が記憶されていてもよい。
【0027】
ユーザは、上記構成の印刷システム100を利用して印刷サービスの提供を受けるために、まず、端末10を操作することで、ベンダに対して印刷サービスを申し込む。ベンダは、ユーザからの申し込みを受けると、ユーザに対してプリンタ30を送付する。ベンダからユーザに送付されるプリンタ30には、ユーザに対して付与された所定の第1印刷枚数N1(例えば2000枚+α枚)以上の印刷をするために必要な量のカートリッジ38が備えられている。このため、本印刷サービスでは、ユーザは、プリンタ30を入手した後、初期費用を支払うことにより付与された第1印刷枚数N1の印刷を行うまでの間に、カートリッジ38を交換したりする手間が不要となる。
【0028】
印刷システム100では、プリンタ30による印刷の都度、プリンタ30から実行印刷枚数N3と、使用量情報とがサーバ50に送信される。使用量情報は、プリンタ30における交換品の使用量を示す情報であり、本実施形態では、インク残量、廃液量、総噴射回数、総使用回数である。サーバ50は、第1印刷枚数N1から実行印刷枚数N3を減算することで、プリンタ30における現在の第1印刷枚数N1を判断することが可能となる。また、サーバ50は、管理テーブルKTに記憶された各使用量情報を、プリンタ30から受信した使用量情報を用いて更新することで、現在のカートリッジ38のインク残量を含む、各交換品の使用状態を判断し、判断された使用状態に応じて交換品をユーザの元に配送を指示することができる。本実施形態では、交換品は無料で配送される。また、ユーザが初期費用の支払うことにより付与された所定の第1印刷枚数N1を超えて印刷を行いたい場合は、サーバ50に対して課金を行うことで、新たに追加枚数を購入し、第1印刷枚数N1を増加させることができる。以下、新たに購入する追加枚数をチャージ枚数という。その後、例えば、プリンタ30のインク残量が少なくなった場合には、ユーザは、サーバ50に対して、カートリッジ38の交換を申請することもできる。本実施形態では、第1印刷枚数が、印刷許可量の一例である。
【0029】
ここで、印刷システム100では、サーバ50が、プリンタ30及び端末10のいずれとも通信ができない状態となることも想定される。サーバ50との通信ができない状態は、サーバ50との間の常時接続が解除されている場合や、一時的な通信不良によって生じる。このような場面では、管理テーブルKTに記憶された第1印刷枚数N1や、使用量情報が更新されないため、サーバ50が第1印刷枚数N1や、交換品の交換タイミングを判断できず、プリンタ30による印刷の継続が難しくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、プリンタ30とサーバ50との通信が不可能な場合に、第2印刷枚数N2を用いて、プリンタ30で印刷可能な枚数の上限量を管理する。
【0030】
次に、ユーザが印刷サービスの提供を受けるに先立って、プリンタ30をセットアップする際の処理について、図2を用いて説明する。図2に示す処理は、例えば、ベンダからプリンタ30が最初に送付され、プリンタ30の電源が投入されたタイミングで実行される。プリンタ30のセットアップでは、端末10に対するユーザの登録操作に応じて、サーバ50に対して管理テーブルKTの各項目が登録される。
【0031】
ステップ10(以下、ステップをSとも記載する。)では、プリンタ30と端末10との間の通信設定処理を行う。通信設定処理は、プリンタ30と端末10とを通信可能に接続するために行われる処理である。本実施形態では、プリンタ30と端末10とは無線接続されるため、ユーザによるプリンタ30及び端末10に対する操作に応じて、プリンタ30と端末10との無線接続を確立する。
【0032】
S11では、プリンタ30のファームウェア42は、端末10に対して自装置を識別するためのデバイスIDを送信する。端末10のアプリケーション20は、デバイスIDを受信すると、S12で、受信されたデバイスIDをサーバ50に送信する。
【0033】
S13では、端末10のアプリケーション20は、ユーザIF14を介して受付けた操作に応じて、プリンタ30の管理者であるユーザを認識するユーザ情報を受付ける。ユーザ情報は、印刷サービスの提供を受けるユーザを識別するための情報であり、本実施形態では、ユーザIDを含んでいる。S14では、アプリケーション20は、S13で受付けられたユーザ情報を、サーバ50に送信する。この時、ベンダからユーザに対して付与済みの第1印刷枚数N1を、ユーザ情報と共にサーバ50に送信するものであってもよい。
【0034】
サーバ50は、ユーザ情報や、第1印刷枚数N1を受信すると、デバイスID、ユーザ情報、第1印刷枚数N1を、管理テーブルKTに登録する登録処理を行う。S16では、サーバ50は、管理テーブルKTへの登録が完了したことを示す登録完了通知を端末10に送信する。
【0035】
S17では、サーバ50は、プリンタ30に対して印刷サービスの提供を許可するか否かの判断であるアクティベーション処理を実行する。サーバ50は、プリンタ30による印刷サービスの利用を許可する場合、S18では、端末10に対してアクティベーション通知を行う。なお、S17において、サーバ50は、プリンタ30による印刷サービスの利用を許可しないことを判断した場合、端末10に対してアクティベーション通知を行わない。
【0036】
S19では、端末10のアプリケーション20は、受信されたアクティベーション通知をプリンタ30に送信する。プリンタ30のファームウェア42は、アクティベーション通知を受信すると、S20で初期導入を行う。初期導入では、カートリッジ38から印刷ヘッド37にインクが供給され、テストパターンの印字等が行われる。
【0037】
S21では、第2印刷枚数N2の算出を行う。本実施形態では、ファームウェア42は、まず、プリンタ30をセットアップするタイミングで、第2印刷枚数N2を算出する。これは、プリンタ30がセットアップされるタイミングで、S20の初期導入により印刷が行われ、カートリッジ38内のインクが使用されるためである。図3は、S21で、ファームウェア42により実行される第2印刷枚数N2の算出を説明するフローチャートである。コントローラ35が、S21で実行する処理は、上限設定処理、及び上限設定部の一例である。
【0038】
S30では、判定値Pr1を、インク残量に応じて算出する。判定値Pr1は、カートリッジ38の交換時期を示す値であり、具体的には、現在のインク残量を用いてプリンタ30が印刷可能な枚数を推定した値である。本実施形態では、ファームウェア42は、S31において、残量検知部39にカートリッジ38に充填されている現在のインク残量を検出させる。そして、ファームウェア42は、検出された各色のインク残量の平均値から判定値Pr1を算出する。インク残量の平均値から判定値Pr1を算出する方法として、例えば、プリンタ30は、インク残量の平均値と判定値Pr1との関係を規定するテーブルをメモリ36に記憶しておき、このテーブルを用いて判定値Pr1を算出してもよい。ファームウェア42は、各色のインク残量のうち、最も少ない量を用いて判定値Pr1を算出するものであってもよい。S20の初期導入で使用されるインク使用量を取得できる場合は、初期導入前のカートリッジ38内のインク残量から予測されたインク使用量を減算することで、インク残量を算出してもよい。インク残量は、使用量情報の一例であり、カートリッジ38は、交換品の一例である。
【0039】
S31では、判定値Pr2を、廃液量に応じて算出する。判定値Pr2は、廃液回収部40の寿命により、廃液回収部40の交換時期を示す値であり、具体的には、廃液回収部40内の廃液量が廃液上限量に達するまでに、プリンタ30が印刷可能なシートの枚数を推定した値である。廃液回収部40が廃液を回収できなくなると、廃液回収部40を交換する必要があるため、印刷の継続が不可能となる。本実施形態では、ファームウェア42は、S31において、廃液検知部41に廃液回収部40により回収された廃液量を検出させる。そして、ファームウェア42は、廃液上限量から検出された廃液量を減算することにより、廃液回収部40が回収可能な残りの廃液量を算出し、算出された残りの廃液量を用いて判定値Pr2を算出する。S20の初期導入で使用されるインク使用量を取得できる場合は、初期導入前の廃液回収部40の廃液量にインク使用量を加算することで、廃液量を算出してもよい。廃液量は、使用量情報の一例であり、廃液回収部40は、交換品の一例である。
【0040】
S32では、判定値Pr3を、印刷ヘッド37の総噴射回数に応じて算出する。判定値Pr3は、印刷ヘッド37の寿命による、印刷ヘッド37の交換時期を示す値であり、具体的には、プリンタ30が、印刷ヘッド37の耐用噴射回数が経過するまでに印刷可能な枚数を推定した値である。印刷ヘッド37の耐用噴射回数が経過すると、印刷ヘッド37を交換する必要があるため、印刷の継続が不可能となる。ファームウェア42は、履歴情報Hに記憶された印刷ヘッド37の総噴射回数を参照し、所定の耐用噴射回数から総噴射回数を減算した値を、耐用噴射回数の残数として算出する。ファームウェア42は、算出された耐用噴射回数の残数を用いて、判定値Pr3を算出する。印刷ヘッド37の総噴射回数は、使用量情報の一例であり、印刷ヘッド37は交換品の一例である。
【0041】
S33では、判定値Pr4を、プリンタ30の総使用回数に応じて算出する。判定値Pr4は、プリンタ30の交換時期を示す値であり、具体的には、プリンタ30が、自装置の耐用回数が経過するまでに印刷可能な枚数を推定した値である。耐用回数及び総使用回数は、例えば、プリンタ30が印刷を行った回数である。これ以外にも、印刷ヘッド37の総噴射回数であってもよい。これは、プリンタ30の耐用回数が経過すると、プリンタ30による印刷の継続が不可能となるためである。ファームウェア42は、履歴情報Hに記憶されたプリンタ30の総使用回数を参照し、所定の耐用回数から総使用回数を減算した値を、耐用回数の残数として算出する。ファームウェア42は、算出された耐用回数の残数を用いて、判定値Pr4を算出する。プリンタ30の総使用回数は、使用量情報の一例であり、プリンタ30は交換品の一例である。
【0042】
S34では、算出された各判定値Pr1~Pr4を用いて、交換品(本実施形態では、カートリッジ38、廃液回収部40、印刷ヘッド37、プリンタ30)の交換時期を判断し、判定値Pr1~Pr4のうち、交換時期が最も早く到達すると判断される判定値Prを、最小値Min_Prとして算出する。これは、交換時期が最も早く到達すると判断される使用量情報(インク残量、廃液量、総噴射回数、総使用回数)が、第2印刷枚数N2の算出に最も適しているためである。
【0043】
S35では、S34で算出された最小値Min_Prを用いて、第2印刷枚数N2を算出する。具体的には、ファームウェア42は、現在の第1印刷枚数N1と、最小値Min_Prと、下記(式1),(式2)とを用いて、第2印刷枚数N2を算出する。なお、下記(式1)は、第1印刷枚数N1が最小値Min_Prよりも大きい場合に、第2印刷枚数N2を算出するために用いられる式である。下記(式2)は、第1印刷枚数N1が最小値Min_Prよりも小さい場合、第2印刷枚数N2を算出するために用いられる式である。
N2=N1-Min_Pr
(ただし、N1>Min_Pr) … (式1)
N2=N1
(ただし、N1≦Min_Pr) … (式2)
【0044】
図2に戻り、S22では、ファームウェア42は、S21で算出された第2印刷枚数N2、及び使用量情報を、端末10に通知する。上述のように、使用量情報は、インク残量、廃液量、総噴射回数、総使用回数である。端末10のアプリケーション20は、S23で、通知された第2印刷枚数N2をメモリ13に上書きすることで、第2印刷枚数N2を更新する。S24では、アプリケーション20は、更新後の第2印刷枚数N2、及び使用量情報をサーバ50に通知する。
【0045】
サーバ50は、第2印刷枚数N2の通知を受けると、S25で、通知された第2印刷枚数N2を管理テーブルKTに記憶されている第2印刷枚数N2に上書きすることで、第2印刷枚数N2を更新する。更に、サーバ50は、端末10から受信した使用量情報を用いて、管理テーブルKTに記憶されている使用量情報を上書きすることで、使用量情報を更新する。S26では、サーバ50は、印刷サービスの提供が可能となったことを通知する完了通知を端末10に送信する。端末10のアプリケーション20は、S27で、受付けた完了通知をプリンタ30に送信する。図2のプリンタ30のセットアップが完了すると、プリンタ30とサーバ50は、常時接続状を確立する。
【0046】
次に、図4を用いて、ユーザが印刷サービスの提供を受ける場合の各装置の処理を説明する。ユーザは、端末10のアプリケーション20を起動させて、タッチパネル16に、不図示のトップ画面を表示させる。トップ画面には印刷サービスにおいて、プリンタ30に印刷を実行させる場合に、ユーザによる操作を受付けるプリントアイコンが表示されている。
【0047】
アプリケーション20は、トップ画面上で、プリントアイコンが操作されたことを検出すると、印刷実行画面をタッチパネル16に表示させる。アプリケーション20は、印刷実行画面において、実行印刷枚数N3や、印刷設定の入力操作を受付けることができる。アプリケーション20は、印刷実行画面において、印刷の実行操作が行われたことを検出すると、S40で、印刷指示情報をプリンタ30に送信する。印刷指示情報は、端末10により設定された実行印刷枚数N3、印刷設定、更には印刷ファイルを含む情報である。
【0048】
プリンタ30のファームウェア42は、印刷指示情報を受信すると、S41で、第2印刷枚数N2の算出中であるか否かを判断する。S41を肯定判定すると、S42に進み、端末10に対して印刷処理の不許可を示すキャンセル指示を送信する。これは、第2印刷枚数N2の算出中に、インク残量や、廃液量等が変化すると、第2印刷枚数N2の算出が正確にできなくなるためである。
【0049】
端末10のアプリケーション20は、キャンセル指示を受信すると、S43で、ユーザIF14のタッチパネル16に印刷がキャンセルされたことを通知させる。S43の処理を終了すると、図4の処理を終了する。これ以外にも、S43において、印刷がキャンセルされたことを通知する代わりに、所定期間の経過後に、S41に戻って、第2印刷枚数N2の算出中であるか否かを判断してもよい。この場合において、S41を否定判定すると、S44に進めばよい。
【0050】
プリンタ30のファームウェア42は、S41を否定判定する場合、S44に進む。ファームウェア42は、S44で、印刷ファイルにより指示された印刷画像をシートに印刷する印刷処理を行う。本実施形態では、ファームウェア42は、印刷処理の実行中に、メモリ36に記憶された第2印刷枚数N2を更新する。図5は、図4のS44で、ファームウェア42が実行する処理を説明するフローチャートであり、主体は、ファームウェア42である。
【0051】
S60では、プリンタ30とサーバ50との常時接続が確立しているか、即ち、サーバ50との通信がオンラインであるか否かを判断する。例えば、プリンタ30は、サーバ50との間の常時接続の状態を監視しており、サーバとの通信がオンラインである場合に、状態フラグをオンラインに設定する。まずは、サーバ50との通信がオンラインである場合の処理について説明する。S60を肯定判定すると、S61に進み、現在の第1印刷枚数N1を取得する。
【0052】
S62では、印刷指示情報で指示された実行印刷枚数N3は、S61で取得された第1印刷枚数N1以下であるか否かを判断する。即ち、実行印刷枚数N3がプリンタ30で印刷可能な枚数以下であるか否かを判断する。実行印刷枚数N3が第1印刷枚数N1以下であれば、S62を肯定判定して、S66に進む。
【0053】
S66では、印刷前のフラッシングを実行する。S67では、印刷指示情報に含まれる印刷設定に従って、印刷ファイルにより指示される印刷画像をシートに印刷する。即ち、S67では、第1印刷枚数N1の範囲内において、印刷が行われる。本実施形態では、ファームウェア42がS67で実行する処理が第1印刷処理及び第1印刷処理部の一例である。
【0054】
S69では、インク残量から判定値Pr1を算出する。判定値Pr1は、図3のS30で算出されたものと同様の手法により算出される。これ以外にも、印刷ファイルを印刷する際のインク使用量や、S66で実行するフラッシングでのインク使用量を取得できる場合、取得されたインク使用量からインク残量を推定し、推定されたインク残量を用いて判定値Pr1を算出してもよい。印刷ファイルからインク使用量を算出する手法として、印刷ファイルから印刷画像の総ドット数を解析し、解析された総ドット数を用いてインク使用量の推定値を算出すればよい。
【0055】
S70では、判定値Pr2を、廃液量に応じて算出する。判定値Pr2は、図3のS31で算出されたものと同様の手法により算出される。S71では、判定値Pr3を、印刷ヘッド37の総噴射回数に応じて算出する。判定値Pr3は、図4のS32で算出されたものと同様の手法により算出される。S72では、判定値Pr4を、プリンタ30の総使用回数に応じて算出する。判定値Pr4は、図3のS33で算出されたものと同様の手法により算出される。
【0056】
S73では、図3のS34同様、算出された判定値Pr1~Pr4のうち、最も少ない値を最小値Min_Prとして算出する。S74では、図3のS35同様、S73で算出された最小値Min_Prを用いて、第2印刷枚数N2を算出し、メモリ36に記憶された第2印刷枚数N2を更新する。これにより、使用量情報(インク残量、廃液量、総噴射回数、総使用回数)が更新される印刷処理の実行中においても、第2印刷枚数N2が更新される。本実施形態では、算出された第2印刷枚数N2をサーバ50に送信することで、管理テーブルKTに記憶された第2印刷枚数を更新させる。即ち、コントローラ35が、S69~S74で実行する処理が、上限設定処理及び上限設定処理部の一例である。
【0057】
一方、S62において、実行印刷枚数N3が第1印刷枚数N1よりも多い場合、S62を否定判定して、S68に進む。S68では、端末10に対して印刷の不許可を通知することを要求する。これは、印刷指示情報により指示された実行印刷枚数N3が、現在、プリンタ30で許可されている第1印刷枚数N1を超えていることを、端末10を介してユーザに通知するためである。これにより、端末10のユーザIF14には、第1印刷枚数N1が不足しており印刷ができないことや、チャージ枚数の購入を促す画面が表示される。
【0058】
次に、サーバ50との通信がオフラインである場合の処理を説明する。S60を否定判定すると、S63に進み、印刷指示情報で指示された実行印刷枚数N3は、メモリ36に記憶されている第2印刷枚数N2以下であるか否かを判断する。即ち、オフライン中は、メモリ36に記憶された第2印刷枚数N2を上限量として用いることで、印刷処理の可否が判断される。
【0059】
実行印刷枚数N3が第2印刷枚数N2以下であれば、S63を肯定判定して、S64に進み、フラッシングを実行する。S65では、印刷指示情報に含まれる印刷設定に従って、印刷ファイルで指示される画像をシートに印刷する。即ち、S65では、第2印刷枚数N2の範囲内において、印刷がおこなわれる。本実施形態では、ファームウェア42がS65で実行する処理が第2印刷処理及び第2印刷処理部の一例である。
【0060】
S65の処理を実行した後、S69~S74までの一連の処理を実行する。これにより、メモリ36に記憶された第2印刷枚数N2が、今回の印刷処理に応じて、新たな値に更新される。一方、S63において、実行印刷枚数N3が第2印刷枚数N2よりも多い場合、S63を否定判定して、S68に進む。S68では、端末10に対して印刷の不許可を通知することを要求する。これにより、端末10のユーザIF14には、実行印刷枚数N3が上限枚数(第2印刷枚数N2)を超えていることや、チャージ枚数の購入を促す画面が表示される。
【0061】
図4に戻り、S45では、ファームウェア42は、端末10に対して印刷が完了したことを示す印刷完了信号を送信する。これにより、端末10のアプリケーション20は、プリンタ30に指示した印刷処理が完了したことを判断することができる。
【0062】
S46では、ファームウェア42は、現在、サーバ50との通信がオンラインであるか否かを判断する。ファームウェア42は、S46を肯定判定すると、S47に進み、第2印刷枚数N2と印刷指示情報により指示された実行印刷枚数N3とをサーバ50に送信する。S48では、S44で検出された使用量情報をサーバ50に送信する。なお、S44において、印刷が不許可となった場合は、ファームウェア42は、第2印刷枚数N2、実行印刷枚数N3及び使用量情報をサーバ50に送信しない。サーバ50は、S49で、受信した第2印刷枚数N2と、実行印刷枚数N3と、使用量情報とを用いて、管理テーブルKTの各値を更新する。具体的には、サーバ50は、管理テーブルKTに記憶されている第1印刷枚数N1から実行印刷枚数N3を減算することで、第1印刷枚数N1を更新する。また、例えば、サーバ50は、受信したインク残量を、管理テーブルKT2に記憶されているインク残量に上書きすることで、インク残量を更新する。なお、インク残量以外の使用量情報の更新についても同様である。ファームウェア42がS47,S48で実行する処理が、サーバ50との通信がオンラインである場合の送信処理及び送信処理部の一例である。
【0063】
S50では、サーバ50は更新した第1印刷枚数N1をプリンタ30に送信する。ファームウェア42は、S51で、サーバ50から受信した第1印刷枚数N1を用いて、メモリ36に記憶されたN1を上書きする。
【0064】
S46において、ファームウェア42は、サーバ50との通信がオフラインであることを判断すると、S52では、累積の実行印刷枚数N3に、今回のS44での印刷処理での実行印刷枚数N3を加算してメモリ36に記憶する。S53では、ファームウェア42は、使用量情報をメモリ36に記憶する。
【0065】
次に、図6を用いて、S21,S44の処理において、算出された第2印刷枚数N2が所定枚数TH1以下となったことを契機に、ファームウェア42が実行する処理を説明する。所定枚数TH1は、例えば、「0枚」である。
【0066】
S80では、端末10及びプリンタ30の少なくとも一方がサーバ50との通信がオフラインであり、通信が不可能であるか否かを判断する。サーバ50との通信が不可能であり、S80を肯定判定すると、S81に進み、通知要求処理を実行する。通知要求処理は、端末10に、サーバ50との常時接続をユーザに促す通知を実行させるための処理である。通知要求処理を受けた端末10は、ユーザIF14に、サーバ50との通信がオフラインであることを示す画面を表示させることで、ユーザにサーバ50との通信をオフラインからオンラインに切換えさせることを促す。図7は、端末10のユーザIF14に表示される接続通知画面70を説明する図である。接続通知画面70には、印刷を実行できないこと、及び端末10及びプリンタ30をネットワーク200に接続することを示すテキスト71が表示される。これにより、サーバ50を管理するベンダからカートリッジ38の発送が遅れてしまうことを抑制することができる。なお、端末10及びプリンタ30の一方がオフラインの場合、テキスト71はオフラインの装置とサーバ50との接続を促すようなメッセージにしてもよい。
【0067】
S82では、端末10及びプリンタ30がサーバ50との通信がオフラインからオンラインに復帰したか否かを判断する。例えば、ユーザが、端末10に表示された接続通知画面70を確認し、サーバ50との常時接続に再度切換えることで、オフラインがオンラインに切換えられる。S82を肯定判定すると、S83に進む。一方、S82を否定判定すると、S81に戻る。
【0068】
S83では、オフライン時でのプリンタ30の各情報(累積の実行印刷枚数N3、使用量情報)を、サーバ50に送信する。即ち、S83では、図4のS50でメモリ36に記憶された累積の実行印刷枚数N3や、S51でメモリ36に記憶された使用量情報が、サーバ50に送信される。送信が完了すると、累積の実行印刷枚数はリセットされる。ファームウェア42がS83で実行する処理が、第2印刷処理を実行した後の送信処理及び送信処理部の一例である。サーバ50では、第1印刷枚数N1から累積の実行枚数N3を減算することにより、第1印刷枚数N1を更新し、更新した第1印刷枚数N1をプリンタ30に送信する。ファームウェア42は、サーバ50から受信した第1印刷枚数N1をメモリ36に記憶する。例えば、サーバ50は、プリンタ30から受信したインク残量が閾値Th3以下か否かを判断する。閾値未満であれば、カートリッジの配送が必要な旨をプリンタに送信する。ファームは、サーバからカートリッジの配送が必要である通知を受信した場合、メモリ36に記憶する。
【0069】
S83の処理を終了した場合、又はS80でサーバ50との通信がオンラインである場合、S84に進む。S84では、チャージ枚数の配送が必要であるか否かを判断する。具体的には、メモリ36から取得された第1印刷枚数N1が判定閾値TH2以下である場合、チャージ枚数の配送が必要であると判断し、S84を肯定判定する。ここで、判定閾値TH2は、次回、印刷処理を実行する場合に、第1印刷枚数N1を追加することが必要であると判定される値であり、例えば、「0枚」とすることができる。
【0070】
S84を肯定判定した場合、S85に進み、端末10に対してチャージ画面の表示要求を行う。チャージ画面は、端末10を操作するユーザに、チャージ枚数の購入を促すための画面である。端末10は、ユーザIF14に表示されたチャージ画面上での操作に応じて、サーバ50に対してチャージ枚数の購入指示を送信することができる。サーバ50は、購入されたチャージ枚数に応じて、管理テーブルKTに記憶された第1印刷枚数N1を増加させる。このとき、サーバ50は、プリンタ30に対して、第1印刷枚数N1を、購入されたチャージ枚数に応じて増加させる指示をおこない、ファームウェア42は指示に応じて第1印刷枚数N1を更新する。
【0071】
S86では、チャージ枚数が購入されたか否かを判断する。本実施形態では、端末10のアプリケーション20は、ユーザIF14に表示されたチャージ画面上での操作に応じて、チャージ枚数の購入操作が行われた場合、プリンタ30に対して、チャージ枚数を購入したことを示す購入通知を送信する。ファームウェア42は、端末10からチャージ枚数の購入通知を受付けた場合、S86を肯定判定し、S87に進む。S87では、第2印刷枚数N2の算出と更新とを行う。この処理はS21と同様である。一方、ファームウェア42は、チャージ枚数の購入を否定する操作を受付けたことを通知された場合、又は所定時間の経過後も、端末10からチャージ枚数の購入通知を受付けない場合、S86を否定判定し、S90に進む。
【0072】
S90では、端末10に対して印刷不許可通知を要求する。印刷不許可通知は、端末10のユーザIF14に、第1印刷枚数N1の不足により印刷ができないことを表示させる処理である。S87の処理を終了すると、図6の処理を終了する。S92で表示される通知画面上で、端末10のアプリケーション20は、再度、チャージ枚数の購入指示を受付けるものであってもよい。
【0073】
S87での第2印刷枚数N2の算出及び更新を行った後、又はS84において、チャージ枚数の配送が不要であると判断した場合、S88に進む。S88では、交換品の配送が必要であるか否かを判断する。具体的には、メモリを読み出し、サーバ50から、交換品の配送の必要がある旨の通知が記憶されているか否かを判断する。
【0074】
S88を肯定判定すると、S89に進み、端末10に対して、発注画面の表示要求を行う。発注画面は、端末10を操作するユーザに、交換品であるカートリッジ38の配送を促すための画面である。端末10は、ユーザIF14に表示された発注画面上での操作に応じて、サーバ50に対してカートリッジ38の配送指示を送信することができる。図9は、インク残量の不足により判定値Pr1が判定閾値TH3以下である場合に、端末10に表示される配送指示画面75を示す。配送指示画面75には、YESボタン76と、NOボタン77とが含まれている。YESボタン76は、ユーザが、カートリッジ38を配送する場合に、ユーザによる操作を受付けるボタンである。NOボタン77は、ユーザが、カートリッジ38を配送しない場合に、ユーザによる操作を受付けるボタンである。
【0075】
S91では、端末10に表示された配送指示画面75上で、交換品が配送指示されたか否かを判断する。端末10のアプリケーション20は、配送指示画面75上でYESボタン76が操作された場合に、交換品が配送指示されたことをプリンタ30に通知する。一方、アプリケーション20は、配送指示画面75上でNOボタン77が操作された場合に、交換品が配送指示されなかったことをプリンタ30に通知する。S91を否定判定した場合、S92に進み、端末10に対して印刷不許可の通知を要求する。S92の処理を終了すると、図6の処理を終了する。また、端末10から交換品の配送指示が通知されたことにより、S91を肯定判定した場合、又はS88で、交換品の配送が不要である場合、図6の処理を終了する。
【0076】
図6のS88~S92の処理に代えて、又はS88~S92の処理と共に、サーバ50が、管理テーブルKTに記憶された使用量情報を用いて、交換品の交換時期を判断し、交換時期と判断した場合に応じて自動的に交換品をプリンタ30の管理者に配送してもよい。この場合において、サーバ50からプリンタ30に交換品を配送したことが通知される。
【0077】
次に、サーバ50との通信がオンラインである場合において、ユーザの指示又は定期的に実行されるメンテナンス処理のタイミングで実行される第2印刷枚数N2の更新を説明する。これは、メンテナンス処理では、ンクが使用される場合があり、第2印刷枚数N2が変化する可能性があるためである。図9は、メンテナンス処理が実行されることを契機に、ファームウェア42が実行する処理であり、主体はファームウェア42である。
【0078】
S100では、フラッシングの強度に応じたインク使用量を算出する。本実施形態では、フラッシング強度に応じて印刷ヘッド37から噴射されるインク使用量に応じて、3段階のフラッシング強度が設定されている。フラッシングの強度が高くなるほど、インク使用量が多くなる。なお、メンテナンス処理において、フラッシングに代えて、印刷ヘッド37のノズルに残ったインクを吸引する吸引動作が実行される場合がある。この場合、印刷ヘッド37から新たなインクは噴射されないため、インク使用量を「0」とすればよい。
【0079】
S101では、インク残量を用いて、判定値Pr1を算出する。具体的には、定期メンテナンスが実行されるよりも前にメモリ36に記憶されているインク残量からS100で算出されたフラッシング強度に応じたインク使用量を減算することにより、現在のインク残量を算出する。そして、算出されたインク残量を用いて、判定値Pr1を算出する。
【0080】
S102では、廃液量から判定値Pr2を算出する。なお、S102において、S100で算出されたフラッシング強度に応じたインク使用量をそのまま、廃液量の増加分として用いるものであってもよい。S103では、履歴情報Hに記憶された印刷ヘッド37の総噴射回数を用いて、判定値Pr3を算出する。S104では、履歴情報Hに記憶されたプリンタ30の総使用回数を用いて、判定値Pr4を算出する。
【0081】
S105では、S101~S104で算出された判定値Pr1~Pr4のうち、最も小さい値を最小値Min_Prとして算出する。S106では、S105で算出された最小値Min_Prを用いて、第2印刷枚数N2を算出し、メモリ36に記憶された第2印刷枚数N2を更新する。本実施形態では、算出された第2印刷枚数N2をサーバ50に送信することで、管理テーブルKTに記憶された第2印刷枚数を更新させる。コントローラ35が、S100~S106で実行する処理は、上限設定処理及び上限設定処理部の一例である。
【0082】
次に、図10を用いて、サーバ50との通信がオンラインである場合において、カートリッジ38が交換されるタイミングで実行される第2印刷枚数N2の更新を説明する。図10は、ファームウェア42が、プリンタ30のカバーが閉位置から開位置への変化を検知したことを契機に、実行する処理であり、主体はファームウェア42である。
【0083】
S110では、カバーが開位置から閉位置へ変化したことを検知したか否かを判断する。S110を否定判定すると、待機する。一方、S110を肯定判定すると、S111に進む。S111では、インク残量から判定値Pr1を算出する。これは、カートリッジ38の交換によりインク残量が変化したためである。
【0084】
S112では、廃液量から判定値Pr2を算出する。S113では、履歴情報Hに記憶された印刷ヘッド37の総噴射回数を用いて、判定値Pr3を算出する。S114では、履歴情報Hに記憶されたプリンタ30の総使用回数を用いて、判定値Pr4を算出する。S115では、S111~S114で算出された判定値Pr1~Pr4のうち、最も小さい値を最小値Min_Prとして算出する。S116では、S114で算出された最小値Min_Prを用いて、第2印刷枚数N2を算出し、メモリ36の第2印刷枚数N2を更新する。本実施形態においても、算出された第2印刷枚数N2をサーバ50に送信することで、管理テーブルKTに記憶された第2印刷枚数を更新させる。コントローラ35が、S110~S116で実行する処理は、上限設定処理及び上限設定処理部の一例である。
【0085】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
プリンタ30のファームウェア42は、第1印刷枚数N1と、交換品の交換時期を示す情報に基づいて第2印刷枚数N2を算出する。ファームウェア42は、サーバ50との通信が可能である場合に、第1印刷枚数N1の範囲内で印刷機構33に印刷を実行させる。一方、ファームウェア42は、サーバ50との通信が不可能である場合に、第2印刷枚数N2の範囲内で印刷機構33に印刷を実行させる。ファームウェア42は、印刷に伴い更新された使用量情報を、通信インタフェース32を介してサーバ50に送信する。これにより、サーバ50との通信が不可能である場面では、第2印刷枚数N2を超えない範囲で印刷が行われるため、交換品が交換されないことにより印刷が継続できなくなるといった悪影響が防止され、ひいては、印刷を適正に行うことができる。
【0086】
ファームウェア42は、印刷処理の実行に伴い更新された使用量情報をメモリ36に記憶し、その後、サーバとの通信が可能となった場合に、メモリ36に記憶された使用量情報を、通信IF32を介してサーバ50に送信する。これにより、使用量情報が確実にサーバ50に送信されるため、サーバ50による交換品の管理を適正に行うことができる。
【0087】
ファームウェア42は、第2印刷枚数N2が所定枚数TH1以下であり、かつサーバ50との通信が不可能な場合に、通知要求処理を実行する。これにより、サーバ50との通信がオフラインであり、かつ印刷を実行できない場面では、ユーザに対してサーバ50との接続を促す通知を行うことで、交換品の発送が遅れてしまうことを抑制することができる。
【0088】
ファームウェア42は、使用量情報のうち、交換品の交換時期が最も早いと判断される使用量情報を用いて、第2印刷枚数N2を算出する。これにより、過不足ない第2印刷枚数N2を算出することができるため、不要に印刷回数が制限されてしまうのを抑制することができる。
【0089】
プリンタ30は、サーバ50によりアクティベーション処理が実行されることにより、印刷処理を実行可能な状態となる。そのため、プリンタ30に対してアクティベーション処理が実行されたことを条件に、第2印刷枚数N2を設定することとした。これにより、印刷サービスの提供を受けることができるプリンタ30に対して、オフラインにおいても、印刷を適正に継続させることができる。
【0090】
印刷処理の実行により、第1印刷枚数N1及び使用量情報が更新されるため、ファームウェア42は、第2印刷枚数N2の設定の際は、印刷処理を実行しないこととした。これにより、第2印刷枚数N2の算出精度が低下するのを抑制することができる。
【0091】
(その他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上述した実施形態において、実行印刷枚数N3と第1,第2印刷枚数N1,N2との比較を、端末10により実行してもよい。この場合において、図5のS60~S63,及びS68の処理は、端末10のアプリケーション20により実行される。S64~S67,S69~S74の処理は、プリンタ30のファームウェア42により実行される。アプリケーション20は、サーバ50との通信がオンラインである場合に、S62を肯定判定すると、プリンタ30に対して印刷指示情報を送信する。一方、アプリケーション20は、サーバ50との通信がオフラインである場合に、S63を肯定判定すると、プリンタ30に対して印刷指示情報を送信する。なお、アプリケーション20は、S62又はS63を否定判定すると、S68で、ユーザIF14に画面を表示させることで、印刷不許可の通知を行う。
【0092】
上述した実施形態では、使用量情報である、インク残量、廃液量、印刷ヘッドの総噴射回数、及びプリンタの総使用回数から算出される判定値Prのうち、交換品の交換時期が最も早いと判断される判定値Prを用いて、第2印刷枚数N2を算出した。これに代えて、インク残量から判定値Pr1を算出し、算出した判定値Pr1を用いて第2印刷枚数N2を算出するものであってもよい。即ち、本実施形態では、廃液量と、印刷ヘッドの総噴射回数と、プリンタの総使用回数からは、判定値Prを算出しない。
【0093】
上述した実施形態では、印刷システム100は、印刷許可量として、第1印刷枚数N1を使用した。これに代えて、プリンタ30で、インク使用量や、インクの打ち込み回数、更には使用可能なシート長さを、印刷許可量として用いてもよい。
【0094】
上述の実施形態では、カートリッジ38は、交換可能であった。これに代えて、プリンタ30は、カートリッジ38を交換不可能な構成としてもよい。この場合において、ファームウェア42は、図6のS88で、インク残量が判定閾値TH3以下であることを判断した場合に、S89の処理におり、端末10のユーザIF14には、プリンタ30を交換する交換申請を促すための画面が表示される。即ち、本実施形態では、プリンタ30のみが交換品の一例となる。これ以外にも、プリンタ30、印刷ヘッド37、廃液回収部40の少なくとも1つを交換品としてもよい。この場合において、ファームウェア42は、交換品がプリンタ30であれば総使用回数を、交換品が印刷ヘッド37であれば総噴射回数を、交換品が廃液回収部40であれば廃液量をサーバ50に送信する。サーバ50は、受信した総使用回数、総噴射回数、廃液量と、総使用回数、総噴射回数、廃液量に対して各々設定された閾値とを比較し、閾値未満であれば交換が必要である通知をプリンタ30に行う。ファームウェア42は、サーバ50から受信した通知に基づき、S88でプリンタ30、印刷ヘッド37、廃液回収部40のいずれかが交換が必要であると判断すると、S89で端末に表示要求を行うことで、端末10のユーザIF14には、各交換品を交換する交換申請を促すための画面が表示される。
【0095】
上述の実施形態では、プリンタ30のファームウェア42が第2印刷枚数N2を算出した。これに代えて、端末10のアプリケーション20が第2印刷枚数N2を算出してもよい。この場合において、アプリケーション20は、プリンタ30の初期導入(図2のS20)が実行された場合に、S21の処理を実行する。また、アプリケーション20は、メンテナンス処理の実行時において図9の処理を実行し、カートリッジ38の交換時において、図10の処理を実行すればよい。
【0096】
上述の実施形態では、ユーザは、チャージ枚数を購入することで、第1印刷枚数N1を増加させた。これに代えて、サーバ50が、所定期間(例えば、1月)毎に、第1印刷枚数N1の上限を設定するものであってもよい。この場合において、チャージ枚数は購入できないため、ファームウェア42は、図6のS84~S87の処理を実行しない。
【0097】
印刷装置は、プリンタ以外にも、印刷の他に、画像を読取る機能を備える複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
10…端末、30…プリンタ、32…通信IF、33…印刷機構、35…コントローラ、50…サーバ
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