(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184087
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】エキスパンションジョイントカバー及び補強金具
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091729
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】592131663
【氏名又は名称】井上商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 繁
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輝
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DH31
2E001EA06
2E001FA04
2E001FA71
2E001GA12
2E001LA01
2E001LA13
2E001LA18
2E001PA04
(57)【要約】
【課題】簡便な構造でありながらパネルの耐久性を高めるエキスパンションジョイントカバー及びエキスパンションジョイントカバーに用いられる補強金具を提供する。
【解決手段】躯体に支持され、隣り合うパネルP,Pの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバー100であって、躯体に固定され、パネルPの裏面Pc及び側面Pbに対向する補強アングル41と、補強アングル41に固定され、パネルPの表面Pa及び側面Pbに対向する補強金具42と、補強金具42に固定される受け材21と、受け材21に支持される外装カバー3と、を備え、補強金具42は、側面Pbから表面Paに向かって屈曲した屈曲板部42aと、屈曲板部42aから表面Paとは反対側に突出した螺子棒部42bと、を有しており、受け材21は、螺子棒部42bに螺合されるナット51により補強金具42に固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に支持され、隣り合うパネルの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバーであって、
前記躯体に固定され、前記パネルの裏面及び側面に対向する補強アングルと、
前記補強アングルに固定され、前記パネルの表面及び前記側面に対向する補強金具と、
前記補強金具に固定される受け材と、
前記受け材に支持される外装カバーと、を備え、
前記補強金具は、前記側面から前記表面に向かって屈曲した屈曲板部と、当該屈曲板部から前記表面とは反対側に突出した螺子棒部と、を有しており、
前記受け材は、前記螺子棒部に螺合されるナットにより前記補強金具に固定されているエキスパンションジョイントカバー。
【請求項2】
前記補強金具は、前記補強アングルの外表面に対して溶接されている請求項1に記載のエキスパンションジョイントカバー。
【請求項3】
前記補強アングルの外表面を覆うように係合される係合部材を更に備え、
前記補強金具は、前記係合部材に固定されている請求項1に記載のエキスパンションジョイントカバー。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のエキスパンションジョイントカバーに用いられる補強金具であって、
断面L字状の前記屈曲板部と、外周面に雄ねじを有する前記螺子棒部と、を備えた補強金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合うパネルの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバー及びエキスパンションジョイントカバーに用いられる補強金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震時の振動等による変位差を吸収するために構造物の間隙にエキスパンションジョイントを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このエキスパンションジョイントには、外壁などに露出するエキスパンションジョイントを覆うカバー部材が設けられており、このカバー部材も構造物の変位差に追従可能な構造となっている。
【0003】
特許文献1に記載のエキスパンションジョイントカバーは、一方の構造物にタッピンねじで固定された支持フレームと、支持フレームに固定された化粧カバーと、他方の構造物にタッピンねじで固定された受けフレームと、スライド移動可能に受けフレームに支持された保持部材と、保持部材に係止されたカバー部材とを備えている。これにより、構造物同士の相対的に変位するとき、保持部材が受けフレームに対して相対移動して変位差に追従する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建築物の外壁にALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete、軽量気泡コンクリート)パネルが用いられることがある。このALCパネルは板厚が薄いため、支持フレームや受けフレームとパネルとの間に補強金具を設け、この補強金具をパネル内側の躯体(例えば鉄骨)に固定して用いられる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のエキスパンションジョイントカバーの場合、地震等が発生したとき、構造物としてのALCパネルにおける回転運動等の挙動特性と、鉄骨における回転運動等の挙動特性とが若干異なるため、ALCパネルのタッピンねじ固定部位に亀裂等が入り、耐久性の低下を招くおそれがある。
【0007】
そこで、簡便な構造でありながらパネルの耐久性を高めるエキスパンションジョイントカバー及びエキスパンションジョイントカバーに用いられる補強金具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエキスパンションジョイントカバーの特徴構成は、躯体に支持され、隣り合うパネルの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバーであって、前記躯体に固定され、前記パネルの裏面及び側面に対向する補強アングルと、前記補強アングルに固定され、前記パネルの表面及び前記側面に対向する補強金具と、前記補強金具に固定される受け材と、前記受け材に支持される外装カバーと、を備え、前記補強金具は、前記側面から前記表面に向かって屈曲した屈曲板部と、当該屈曲板部から前記表面とは反対側に突出した螺子棒部と、を有しており、前記受け材は、前記螺子棒部に螺合されるナットにより前記補強金具に固定されている点にある。
【0009】
本構成では、躯体に固定される補強アングルに補強金具を固定し、補強金具に受け材を固定し、受け材で外装カバーを支持している。本構成における補強金具は、パネルの側面から表面に向かって屈曲した屈曲板部と、屈曲板部からパネル表面とは反対側に突出した螺子棒部を有しており、受け材が螺子棒部に螺合されるナットにより補強金具に固定されている。
【0010】
つまり、受け材をパネルにねじ固定する構成ではなく、補強金具の螺子棒部に螺合されるナットにより受け材を固定しているため、躯体に支持される補強金具,受け材及び外装カバーとパネルとを切り離している。その結果、地震等が発生したときにパネルにおける回転運動等の挙動特性と躯体における回転運動等の挙動特性とが異なるが、補強金具,受け材及び外装カバーは、パネルの変位とは独立して躯体の変位に追従するため、パネルに損傷を与えることが無い。
【0011】
したがって、隣り合うパネルの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバーがパネルを長期間に亘って保護することができる。しかも、エキスパンションジョイントカバーの補強金具に加工を施すだけで良いため、簡便な構造でありながらパネルの耐久性を高めるエキスパンションジョイントカバーとなっている。
【0012】
他の特徴構成は、前記補強金具は、前記補強アングルの外表面に対して溶接されている点にある。
【0013】
本構成のように、補強金具を補強アングルの外表面に溶接固定すれば、補強金具の施工が容易である。
【0014】
他の特徴構成は、前記補強アングルの外表面を覆うように係合される係合部材を更に備え、前記補強金具は、前記係合部材に固定されている点にある。
【0015】
本構成のように、補強アングルに係合する係合部材に補強金具を固定することにより、補強金具を躯体に支持させれば、溶接できない現場条件であっても、施工が容易である。
【0016】
本発明に係る補強金具の特徴構成は、上記何れかのエキスパンションジョイントカバーに用いられる補強金具であって、断面L字状の前記屈曲板部と、外周面に雄ねじを有する前記螺子棒部と、を備えた点にある。
【0017】
本構成における補強金具により、簡便な構造でありながらパネルの耐久性を高めるエキスパンションジョイントカバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】パネルに補強金具を装着した状態を示す拡大斜視図である。
【
図2】エキスパンションジョイントカバーの側面図である。
【
図3】エキスパンションジョイントカバーの断面図である。
【
図6】他の実施形態(1)に係る支持機構の断面図である。
【
図7】他の実施形態(2)に係るエキスパンションジョイントカバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るエキスパンションジョイントカバー及び補強金具の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、隣り合うALCパネルP,Pの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバー100を一例として説明する(
図3参照)。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0020】
図1に示すように、建築物の外壁には、重力方向(図面の上下方向)に沿って複数のALCパネルPが積層されて設けられ、
図3に示すように、左右方向に沿って複数のALCパネルPが並列配置されている。
図1に示すように、建築物の躯体は、H鋼から成る複数の鉄骨R(躯体の一例)で構成されており、これら鉄骨Rに支持されるコンクリートスラブSにより床面等を形成している。コンクリートスラブSとALCパネルPとの間には、モルタルMや絶縁材Iが充填されており、気密性を確保している。
【0021】
図2に示すように、重力方向に沿う一対のALCパネルP,Pのうち上側のALCパネルPは、長尺L字状の定規アングル11に溶接固定された受けプレート12により支持されている。定規アングル11は、鉄骨Rの上面に溶接固定されている。また、重力方向に沿う一対のALCパネルP,Pの間には、外部からの水の浸入を防ぐシーリング13及び目地材14が充填されている。
【0022】
図3に示すように、左右方向に沿って並列した一対のALCパネルP,Pの間隙は、エキスパンションジョイントカバー100で覆われており、外部からの水の浸入を防止している。このエキスパンションジョイントカバー100は、エキスパンションジョイント部2と、外装カバー3と、エキスパンションジョイント部2を支持する支持機構4とを備えており、外装カバー3が複数のビス31aでエキスパンションジョイント部2(回動部材22)に固定されている。
【0023】
エキスパンションジョイント部2は、受け材21と回動部材22とトーションスプリング23と防水シート24とを有している。受け材21は、後述する補強金具42に固定される固定部21aと、固定部21aから外側に屈曲して延在する屈曲延在部21bと、が一体形成されている。固定部21aには、貫通孔となる長孔21a1が形成されており、屈曲延在部21bの端部には、トーションスプリング23の一端を保持する保持凹部21b1と回動部材22の支点となる支点凹部21b2とが形成されている。固定部21aに長孔21a1を形成することにより、受け材21と補強金具42との施工誤差を吸収することができる。
【0024】
回動部材22は板状本体22aを有しており、板状本体22aの一端には支点凹部21b2と係合する支点凸部22bが突出形成されており、板状本体22aの他端には自由端となる脚部22cが屈曲形成されている。支点凹部21b2と支点凸部22bとの接触面は、曲面形状で構成されている。トーションスプリング23の一端は保持凹部21b1に支持されており、トーションスプリング23の他端は板状本体22aの中央部位に支持されており、外装カバー3及び回動部材22をALCパネルPに向かって押圧している。この構成から、受け材21は、回動部材22を介して外装カバー3を支持している。
【0025】
防水シート24は、樹脂等で構成される柔軟性を有するシート材であり、一端が受け材21と補強金具42との間に挟まれて固定されており、他端がALCパネルPにビス24aで固定されている。外装カバー3は、両端がALCパネルPに向けて屈曲した断面コの字状のカバー本体31と、カバー本体31の両端に固定されたシール材であるガスケット32とを有している。
【0026】
図2~
図3に示すように、支持機構4は、鉄骨Rに固定され、ALCパネルPの裏面Pc(内側の面)及び側面Pbに対向する長尺L字状の補強アングル41と、補強アングル41に固定され、ALCパネルPの表面Pa(外側の面)及び側面Pbに対向する断面L字状の補強金具42と、を備えている。本実施形態における補強金具42は、補強アングル41の外表面に対して溶接固定されている。
【0027】
図1~
図2に示すように、補強アングル41は、定規アングル11と、鉄骨Rの下面に溶接固定された断面L字状の固定部材15とに溶接固定されている。固定部材15は、補強アングル41と対向する部位に点在して鉄骨Rに固定されている。補強アングル41は、ALCパネルPの裏面Pc及び側面Pbに沿う複数の長尺状鋼材であり、夫々の鋼材が1つの定規アングル11及び1つの固定部材15により2点支持されている。また、補強アングル41とALCパネルPの裏面Pc及び側面Pbとは、施工誤差を考慮した隙間が形成されている(
図3参照)。なお、補強アングル41とALCパネルPの裏面Pc及び側面Pbとの隙間を設けなくても良い。
【0028】
図3~
図5に示すように、補強金具42は、ALCパネルPの側面Pbから表面Paに向かって屈曲した断面L字状の屈曲板部42aと、屈曲板部42aからALCパネルPの表面Paとは反対側に突出し、外周面に雄ねじを有する螺子棒部42bと、を有している。
【0029】
屈曲板部42aは、補強アングル41の外表面に点在して溶接固定された複数の鋼板である(
図1も参照)。屈曲板部42aは、ALCパネルPの側面Pbに対向した状態で補強アングル41の外表面に溶接される矩形板42a1と、矩形板42a1からALCパネルPの表面Paに対向する方向に屈曲した屈曲板42a2とが一体形成されている。屈曲板42a2には、タップ加工された螺子孔42a3が貫通形成されており、この螺子孔42a3にスタッドボルトを螺合した後、屈曲板42a2表面のうち螺子孔42a3の周縁部分を溶接して、螺子棒部42bが形成されている。なお、螺子棒部42bは、螺子孔42a3にスタッドボルトを螺合及び溶接して形成する形態に限定されず、螺子孔42a3にスタッドボルトを螺合又は屈曲板42a2にスタッドボルトを溶接の何れかで形成しても良い。また、螺子棒部42bはナット51が螺合されるねじ部材であれば良く、スタッドボルトに限定されない。
【0030】
螺子棒部42bは、屈曲板42a2の表面から突出しており、屈曲板42a2の裏面には突出していない。この構成から、補強金具42を補強アングル41に溶接固定したとき、屈曲板42a2の裏面がALCパネルPの表面Paに近接した状態となる。
図3に示すように、螺子棒部42bは、受け材21の長孔21a1が挿入された状態でワッシャ52を介してナット51が螺合され、受け材21が補強金具42に固定される。
【0031】
図5の右側面図、左側面図及び平面図に示すように、螺子棒部42bは、屈曲板42a2の裏面から突出しておらず、屈曲板42a2の表面から突出している。また、屈曲板42a2が矩形板42a1から直角に屈曲していることから、
図5の底面図では屈曲板42a2が視認できないが、
図5の正面図及び背面図では屈曲板42a2が視認できる。
【0032】
このように、本実施形態におけるエキスパンションジョイントカバー100は、鉄骨Rに定規アングル11及び固定部材15を介して固定される補強アングル41に補強金具42を固定し、補強金具42に受け材21を固定し、受け材21で外装カバー3を支持している。この補強金具42は、ALCパネルPの側面Pbから表面Paに向かって屈曲した屈曲板部42aと、屈曲板部42aからALCパネルPの表面Paとは反対側に突出した螺子棒部42bを有しており、受け材21が螺子棒部42bに螺合されるナット51により補強金具42に固定されている。
【0033】
つまり、受け材21をALCパネルPにねじ固定する構成ではなく、補強金具42の螺子棒部42bに螺合されるナット51により受け材21を固定しているため、鉄骨Rに支持される補強金具42,受け材21及び外装カバー3とALCパネルPとは切り離されている(別々の振動系となっている)。その結果、地震等が発生したときにALCパネルPにおける回転運動等の挙動特性と鉄骨Rにおける回転運動等の挙動特性とが異なるが、補強金具42,受け材21及び外装カバー3は、ALCパネルPの変位とは独立して鉄骨Rの変位に追従するため、ALCパネルPに損傷を与えることが無い。
【0034】
また、地震等が発生したときに鉄骨R及びALCパネルPが回転運動した際、エキスパンションジョイント部2は、回動部材22の支点凸部22bが支点凹部21b2を支点として鉄骨Rの回転運動に追従する。このとき、トーションスプリング23により回動部材22及び外装カバー3をALCパネルPに向かって押圧していることから、ガスケット32による封止機能を損なうことが無い。しかも、防水シート24の他端がALCパネルPにビス24aで固定されているが、この防水シート24は樹脂製の柔軟性を有するシート材であるため、ALCパネルPの回転運動に追従して変形し、ALCパネルPに損傷を与えることが無い。
【0035】
よって、本実施形態では、隣り合うALCパネルP,Pの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバー100がALCパネルPを長期間に亘って保護することができる。しかも、エキスパンションジョイントカバー100の補強金具42に加工を施すだけで良いため、簡便な構造でありながらALCパネルPの耐久性を高めるエキスパンションジョイントカバー100となっている。また、補強金具42を補強アングル41の外表面に溶接固定しているので、補強金具42の施工が容易である。
【0036】
[その他の実施形態]
(1)
図6に示すように、支持機構4は、補強アングル41の外表面を覆うように係合される係合部材43を更に有していても良い。本実施形態における補強金具42は、係合部材43に対して、ボルトB及び固定ナットNにより固定されている。このボルトBは、上述した螺子棒部42bと同様に、矩形板42a1をタップ加工して形成された孔に螺合されるスタッドボルトで構成されており、補強金具42に溶接固定されている。なお、ボルトBは、矩形板42a1をタップ加工して形成された孔にスタッドボルトを螺合及び溶接して形成する形態に限定されず、孔にスタッドボルトを螺合又は矩形板42a1にスタッドボルトを溶接の何れかで形成しても良い。また、ボルトBは固定ナットNを螺合可能なねじ部材であれば良く、スタッドボルトに限定されない。
【0037】
係合部材43は、断面L字状に構成されており、補強アングル41の一端を挟持するために一端を切り欠いて形成された切欠片43aと、他端にボルトBが挿入される長孔43bとを有している。この長孔43bにより、係合部材43と補強金具42との施工誤差を吸収することができる。補強金具42の屈曲板部42aには、矩形板42a1の端部を断面L字状に内側に折り曲げた折曲部42cが形成されており、この折曲部42cと係合部材43との間に補強アングル41の他端を挟持している。その他の構成は、上述した実施形態と同様であるため、説明を省略する。本実施形態のように、補強アングル41に係合する係合部材43の長孔43bにボルトBを挿入して、固定ナットNをボルトBに螺合することにより係合部材43及び補強アングル41を介して補強金具42を鉄骨Rに支持させれば、溶接できない現場条件であっても、施工が容易である。なお、固定ナットNを係合部材43に溶接固定し、固定ナットNに螺合されるボルトBの先端に先鋭爪部を形成し、この先鋭爪部を補強金具42の外表面に食い込ませることにより、係合部材43と補強金具42とを固定しても良い。
【0038】
(2)ALCパネルPは、ECP(Extruded Cement Panel、押出成形セメントパネル)等の他のパネルであっても良い。
図7に示すように、ECPの場合でも、隣り合うパネルP,Pの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバー100は、躯体に固定され、パネルPの裏面Pc及び側面Pbに対向する補強アングル41と、補強アングル41に固定され、パネルPの表面Pa及び側面Pbに対向する補強金具42と、補強金具42に固定される受け材21と、受け材21に支持される外装カバー3と、を備え、補強金具42は、側面Pbから表面Paに向かって屈曲した屈曲板部42aと、屈曲板部42aから表面Paとは反対側に突出した螺子棒部42bと、を有しており、受け材21は、螺子棒部42bに螺合されるナット51により補強金具42に固定されている。本実施形態の場合、ECPが中空のパネルPであるため、エキスパンションジョイントカバー100は、隣り合うパネルP,Pの両方に補強アングル41及び補強金具42を設け、防水シート24の他端を補強金具42とナットの間に挟み込むことが好ましい。また、ECPの風圧力に対する変形量を考慮して、補強金具42とパネルP(ECP)との間にクリアランスを設けることが好ましい。
(3)建築物の躯体は鉄骨Rに限定されず、コンクリートスラブS等の他の躯体であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、隣り合うパネルの間隙を覆うエキスパンションジョイントカバー及びエキスパンションジョイントカバーに用いられる補強金具に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
3 :外装カバー
21 :受け材
41 :補強アングル
42 :補強金具
42a :屈曲板部
42b :螺子棒部
51 :ナット
100 :エキスパンションジョイントカバー
P :ALCパネル(パネル)
R :鉄骨(躯体)