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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184088
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20221206BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B05B11/00 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091730
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB02
3E084HD01
3E084HD04
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】閉塞栓による適切なシール性を維持すること。
【解決手段】容器体Aに装着される噴出器本体2と、噴出孔4が形成されたノズル部材3とを備え、噴出器本体は、供給筒部10と、開口部21を有する接続筒部20と、トリガー部81の後方への移動によって液体を供給筒部内から接続筒部内を通じて噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構80と、トリガー部の後方への移動によって供給筒部内及び接続筒部内を通過した液体が供給孔41を通じて内部に供給される貯留シリンダ40と、貯留シリンダ内に移動可能に配設された貯留プランジャ50とを備え、接続筒部には、開口部を塞ぐように装着された閉塞栓100が設けられ、閉塞栓は、開口部の内側に嵌合された栓本体101と、栓本体よりも接続筒部の径方向の外側に配置され、噴出器本体に係止される係止片105とを備えているトリガー式液体噴出器1を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸上げる供給筒部と、
前記供給筒部から延設されると共に、前記噴出器本体の外部に開口する開口部を有する接続筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記供給筒部内から前記接続筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、
前記接続筒部内に連通する供給孔が形成され、前記トリガー部の後方への移動によって、前記供給筒部内及び前記接続筒部内を通過した液体が、前記供給孔を通じて内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、
前記接続筒部には、前記開口部を塞ぐように装着された閉塞栓が設けられ、
前記閉塞栓は、
前記開口部の内側に嵌合された栓本体と、
前記栓本体に連設されると共に、前記栓本体よりも前記接続筒部の径方向の外側に配置され、前記噴出器本体に係止される係止片と、を備えていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
請求項1に記載のトリガー式液体噴出器において、
前記係止片は、
前記栓本体との連設部分から前記接続筒部に沿って延びる延伸部と、
前記延伸部から前記接続筒部の径方向に向けて突出するように形成され、前記噴出器本体に形成された被係止部に対して係止する係止部と、を備えている、トリガー式液体噴出器。
【請求項3】
請求項2に記載のトリガー式液体噴出器において、
前記栓本体は、
前記開口部を閉塞する閉塞壁と、
前記開口部の内側に嵌合すると共に、前記閉塞壁の外周縁部に連設された周壁と、
前記周壁から前記接続筒部の径方向の外側に向けて突出すると共に、前記接続筒部の開口縁に対して接触するフランジ部と、を備えている、トリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー部の操作によって容器体内から液体を吸い上げ、噴出孔を通じて液体を噴出するトリガー式液体噴出器が知られている。
この種のトリガー式液体噴出器として、例えば下記特許文献1に示されるように、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備えたトリガー式液体噴出器が知られている。
【0003】
噴出器本体は、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部から前方に向けて延びた接続筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設され、後方への移動によって縦供給筒部内及び接続筒部内を通じて液体を噴出孔側に射出させるトリガー部と、トリガー部の後方への移動によって縦供給筒部内及び接続筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、貯留シリンダ内に移動可能に配置され、貯留シリンダ内への液体の供給に伴って後方に向けて移動すると共に、付勢部材によって前方に向けて付勢される貯留プランジャと、を主に備えている。
【0004】
上述のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を操作することで、貯留シリンダ内に液体を貯留しながら、液体を噴出孔から外部に噴出させることが可能とされていると共に、トリガー部を操作しない場合であっても、貯留プランジャを利用して液体を噴出させることが可能とされている。これにより、液体の連続噴射を行うことが可能とされている。
なお、接続筒部は、例えば成形性を考慮して開口部を有するように形成されている場合が多い。この場合、開口部に閉塞栓を嵌合するように装着することで、開口部を閉塞(シール)している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-213497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
貯留シリンダを具備するトリガー式液体噴出器では、貯留プランジャを後方移動させながら貯留シリンダ内に液体を貯留する必要があるうえ、付勢部材によって貯留プランジャを前方に移動させることで貯留プランジャ内の液体を押し出す構成とされている、そのため、貯留プランジャ内及び接続筒部内においては、圧力が高まり易い。従って、接続筒部の開口部を閉塞している閉塞栓に対して高い圧力が作用してしまい、開口部から外れるような応力が閉塞栓に作用してしまう。そのため、閉塞栓が意図せずに位置ずれしてしまう可能性があり、シール性の低下を招く等して、液漏れ等の不都合を招いてしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、閉塞栓による適切なシール性を維持することができるトリガー式液体噴出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体に装着され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、前記容器体内の液体を吸上げる供給筒部と、前記供給筒部から延設されると共に、前記噴出器本体の外部に開口する開口部を有する接続筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記供給筒部内から前記接続筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、前記接続筒部内に連通する供給孔が形成され、前記トリガー部の後方への移動によって、前記供給筒部内及び前記接続筒部内を通過した液体が、前記供給孔を通じて内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、前記接続筒部には、前記開口部を塞ぐように装着された閉塞栓が設けられ、前記閉塞栓は、前記開口部の内側に嵌合された栓本体と、前記栓本体に連設されると共に、前記栓本体よりも前記接続筒部の径方向の外側に配置され、前記噴出器本体に係止される係止片と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部を操作して後方に移動させることで、液体を供給筒部内から接続筒部内を通じて噴出孔側に向けて流通させることができる。これにより、ノズル部材の噴出孔を通じて液体を外部に向けて噴出させることができる。しかも、接続筒部内から供給孔を通じて貯留シリンダ内に液体を供給して、貯留シリンダ内を加圧することができる。従って、貯留プランジャを軸方向の他方側に向けた付勢力に抗して軸方向の一方側に向けて押圧することができ、液体を噴出しながら貯留プランジャを軸方向の一方側に向けて移動させることができる。そのため、トリガー部を引く操作を行う毎に、貯留プランジャを軸方向の一方側に移動させて、貯留シリンダ内に液体を溜めながら(充填しながら)、液体を噴出することができる。
なお、貯留シリンダ内への液体の充填後、トリガー部の操作を停止すると、供給筒部内及び接続筒部内を通じた貯留シリンダ内への液体の供給が停止するが、貯留プランジャが軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ内に充填した液体を、貯留シリンダ内から噴出孔側に向けて押し出すことができ、噴出孔から噴出させることができる。従って、液体の連続噴出を行うことが可能となる。
【0010】
ところで、供給筒部内と貯留シリンダ内とに連通する接続筒部の開口部は、閉塞栓によって閉塞(シール)されている。特に、閉塞栓は、開口部の内側に栓本体を嵌合させつつ、接続筒部の径方向の外側に配置された係止片を噴出器本体に対して係止させることで、開口部を閉塞している。従って、接続筒部の内圧が高く、それによって栓本体が開口部内から抜け落ちるような応力を受けたとしても、係止片による係止によって、閉塞栓全体が接続筒部に対して相対的に移動することを規制することができる。
これにより、閉塞栓が意図せずに位置ずれ等することを抑制することができ、開口部の適切なシール性を維持して、液漏れ等の発生を防止することができる。従って、連続噴射に適したトリガー式液体噴出器とすることができる。
【0011】
(2)前記係止片は、前記栓本体との連設部分から前記接続筒部に沿って延びる延伸部と、前記延伸部から前記接続筒部の径方向に向けて突出するように形成され、前記噴出器本体に形成された被係止部に対して係止する係止部と、を備えても良い。
【0012】
この場合には、延伸部に形成された係止部を、噴出器本体に形成された被係止部に係止させることで、閉塞栓の抜け等を防止することができ、接続筒部に対する閉塞栓の相対的な移動を適切に抑制することができる。特に、接続筒部に沿って延びる延伸部に係止部が形成されているので、例えば延伸部を径方向に適宜撓ませながら係止部を被係止部に係止させることが可能であり、開口部への閉塞栓の装着作業を容易に行うことが可能となる。
【0013】
(3)前記栓本体は、前記開口部を閉塞する閉塞壁と、前記開口部の内側に嵌合すると共に、前記閉塞壁の外周縁部に連設された周壁と、前記周壁から前記接続筒部の径方向の外側に向けて突出すると共に、前記接続筒部の開口縁に対して接触するフランジ部と、を備えても良い。
【0014】
この場合には、閉塞壁及び周壁を有する有底筒状に栓本体を形成することができるので、栓本体を軽量に形成することができるうえ、例えば栓本体を形成するのに必要な合成樹脂量を低減できるので、低コスト化を図り易い。さらに、接続筒部の開口縁に対してフランジ部が接触するように栓本体を開口部の内側に装着できるので、栓本体の装着位置を位置決めし易く、装着作業を行い易い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、閉塞栓による適切なシール性を維持することができるトリガー式液体噴出器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示す閉塞栓の周辺を拡大した拡大断面図である。
図3図2に示す閉塞栓を、トリガー式液体噴出器の左右方向に沿って切断した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、トリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられた噴出容器を例にして説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、噴出器本体2及びノズル部材3を覆うカバー体5と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0019】
(噴出器本体)
噴出器本体2は、縦供給筒部(本発明に係る供給筒部)10と、接続筒部20と、装着キャップ30と、貯留シリンダ40と、貯留プランジャ50と、付勢部材60と、射出筒部70と、トリガー機構80と、ボール弁90と、貯留弁91と、を主に備えている。
【0020】
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。また、上下方向から見た平面視において、軸線O1に交差する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0021】
さらに本実施形態では、貯留シリンダ40の中心軸線を軸線O2とする。本実施形態において軸線O2は、前後方向に延びている。従って、本実施形態において前後方向は、貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向に相当する。
なお、本実施形態において後方は、貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向のうちの一方側に相当し、前方は貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向のうちの他方側に相当する。ただし、軸線O2に沿う軸方向は、前後方向と一致していなくても良い。
【0022】
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A内の液体を吸い上げる機能を有する。縦供給筒部10は、装着キャップ30によって、容器体Aに装着されている。縦供給筒部10には、上下方向に延びると共に容器体Aから液体を吸い上げるパイプ11の上部が嵌合されている。
【0023】
図1に示すように、縦供給筒部10の上端部には、前方に向けて延びる接続筒部20が設けられている。
接続筒部20は、噴出器本体2の前方に開口した開口部21を有する筒状に形成され、縦供給筒部10内に連通している。接続筒部20の開口部21には、閉塞栓100が装着され、開口部21を閉塞(シール)している。なお、閉塞栓100については、後に詳細に説明する。
【0024】
接続筒部20の下方、且つ、装着キャップ30の上方には、シリンダ用筒部110が設けられている。シリンダ用筒部110は、縦供給筒部10から前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口している。シリンダ用筒部110内には、主シリンダ82が嵌合されている。主シリンダ82は、前方に開口すると共に後方が閉塞された有底筒状に形成されている。主シリンダ82内は、縦供給筒部10内に連通している。
【0025】
貯留シリンダ40は、縦供給筒部10及び接続筒部20の上方に配置されている。
なお本実施形態では、貯留シリンダ40の下端部は、縦供給筒部10の上端部及び接続筒部20の上端部と一体に形成されている。
貯留シリンダ40の内部(後述する貯留空間40a)には、トリガー部81の後方への揺動によって、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通過した液体が供給される。
具体的には、貯留シリンダ40における前端部の下側部分には、接続筒部20内に連通する供給孔41が形成されている。なお、供給孔41は、後述する閉塞栓100における栓本体101より後方に位置する部分に開口している。これにより、貯留シリンダ40内に、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通過した液体を、供給孔41を通じて供給することが可能とされている。
【0026】
貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内に軸線O2に沿う前後方向に移動可能に配置されている。これにより、貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内を前後方向に密に摺動する。
貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内への液体の供給に伴って後方に向けて移動する。貯留プランジャ50は、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断し、且つ後方に移動したときに、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を許容する。
つまり、貯留プランジャ50は、最前方位置において、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部70内)との連通を遮断し、最前方位置から後方に移動したときに、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部70内)との連通を許容する。なお、貯留シリンダ40において、貯留プランジャ50よりも前方に位置する空間は、貯留空間40aとして機能する。
【0027】
貯留空間40aは、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通過すると共に、供給孔41を通過した液体が貯留される。貯留空間40aは、液体の供給によって貯留プランジャ50が後方に向けて移動することで拡張する。なお、貯留空間40aは、後述する射出筒部70内にも連通可能とされている。
【0028】
付勢部材60は、貯留プランジャ50を前方に向けて付勢している。付勢部材60は、貯留シリンダ40内において貯留プランジャ50よりも後方に配置されている。付勢部材60は、トリガー部81を操作する前の初期状態において、貯留プランジャ50を前方に向けて付勢している。これにより、貯留プランジャ50は、最前方位置に位置している。
なお、付勢部材60は、軸線O2と同軸に配設された金属製のコイルばねとされている。ただし、例えば付勢部材60として樹脂製のばねを用いても良いし、その他の弾性を有する部材を用いても構わない。
【0029】
上述のように構成された貯留シリンダ40及び貯留プランジャ50において、貯留プランジャ50が後方に移動するまでの間、貯留空間40a内で液体を加圧することが可能となる。その後、貯留空間40aの液圧が所定値に達すると、貯留プランジャ50が付勢部材60に抗して後方に移動する。これにより、貯留空間40aの液体を、噴出孔4側に供給することが可能とされている。
従って、貯留プランジャ50を蓄圧弁として機能させることができる。
【0030】
射出筒部70は、貯留シリンダ40から前方に向けて延びている。射出筒部70は、貯留シリンダ40内(貯留空間40a)及び接続筒部20内を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。これにより、射出筒部70は、縦供給筒部10内、接続筒部20内及び貯留シリンダ40内(貯留空間40a)を通過した液体を噴出孔4に導くことが可能とされている。
【0031】
トリガー機構80は、トリガー部81と、主シリンダ82と、主ピストン83と、コイルばね84とを備えている。トリガー機構80は、トリガー部81の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から接続筒部20内を通じて噴出孔4側に向けて流通させることが可能とされている。
【0032】
トリガー部81は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されている。トリガー部81は、上下方向に延びるように形成されていると共に、射出筒部70の下方に配置されている。トリガー部81は、上端部がノズル部材3に前後方向に揺動可能に軸支され、下端部が主シリンダ82の前方に配置される。
【0033】
なお図示の例では、トリガー部81と、主シリンダ82との間の前後方向の隙間には、ストッパTが着脱可能に設けられている。ストッパTは、トリガー部81及び主シリンダ82のそれぞれに当接することで、トリガー部81の後方への揺動を規制する。ただし、ストッパTは必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0034】
主ピストン83は、主シリンダ82の内部に前後方向に移動可能に配置されている。主ピストン83は、トリガー部81の揺動に連動して前後方向に移動可能とされている。これにより、主シリンダ82の内部は、主ピストン83の前後方向の移動に伴って加圧及び減圧される。なお、主ピストン83は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
【0035】
主ピストン83は、トリガー部81と共にコイルばね84の付勢力によって前方に付勢されている。主ピストン83は、トリガー部81の後方への揺動に伴って後方に移動して主シリンダ82内に押し込まれる。なお、主ピストン83は、トリガー部81が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。
【0036】
コイルばね84は、例えば金属製とされている。コイルばね84は、主ピストン83及び主シリンダ82と同軸に配設され、主ピストン83を介してトリガー部81を前方に付勢している。コイルばね84は、主ピストン83の底壁と主シリンダ82の頂壁との間に配置されている。
ただし、コイルばね84の材質は金属製に限定されるものではなく、例えば樹脂ばね等を採用してもよい。
【0037】
ボール弁90及び貯留弁91は、縦供給筒部10内に設けられている。
ボール弁90は、主シリンダ82内の加圧時に、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ82内との連通を遮断すると共に、主シリンダ82内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ82内との連通を許容する逆止弁とされている。
【0038】
ボール弁90の上方には、貯留弁91が配置されている。貯留弁91は、縦供給筒部10内から接続筒部20内を通じた貯留シリンダ40内への液体の供給を許容すると共に、貯留シリンダ40内から接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。
【0039】
カバー体5は、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体、射出筒部70の全体、及び貯留シリンダ40の全体を、少なくとも左右方向の両側及び上方から覆うように形成されている。
【0040】
(ノズル部材)
ノズル部材3は、主に射出筒部70を利用して噴出器本体2に組付けられている。
ノズル部材3は、射出筒部70に前方から外嵌された装着筒部120と、装着筒部120における前端部の内側に位置するノズル軸部121と、ノズル軸部121に装着されたノズルキャップ122と、を備えている。ノズルキャップ122には、前方に開口し、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されている。
【0041】
(閉塞栓)
以上のように構成されたトリガー式液体噴出器1において、先に述べたように接続筒部20の開口部21には閉塞栓100が装着されている。
接続筒部20と閉塞栓100との関係について詳細に説明する。
【0042】
図1及び図2に示すように、接続筒部20は、貯留シリンダ40の前端部側に位置する下端部に対して一体に形成されている。図示の例では、接続筒部20は、貯留シリンダ40を構成する前壁部42に対して一体に形成されると共に、前壁部42よりも前方に突出するように形成されている。接続筒部20のうち前壁部42よりも前方に突出した部分の内側が、開口部21とされている。
【0043】
なお、本実施形態では、前後方向に沿って延びる開口部21の中心軸線を軸線O3とする。さらに軸線O3方向から見た平面視において、軸線O3に交差する方向を径方向といい、軸線O3回りに周回する方向を周方向という。
【0044】
図2及び図3に示すように、閉塞栓100は、開口部21の内側に嵌合された栓本体101と、栓本体101に連設されると共に、栓本体101よりも接続筒部20の径方向の外側に配置され、噴出器本体2を構成する前壁部42に係止される係止片105と、を備え、軸線O3と同軸に配置さえている。
【0045】
栓本体101は、開口部21を閉塞する閉塞壁102と、開口部21の内側に密に嵌合すると共に、閉塞壁102の外周縁部に連設された周壁103と、を有する有底筒状に形成されている。これにより、栓本体101は、前方に向けて開口し、且つ後方が閉塞された有底筒状に形成されている。栓本体101は、接続筒部20の開口部21の内側に前方から入り込んで、開口部21を閉塞している。
【0046】
さらに栓本体101は、周壁103の前端部から径方向の外側に向けて突出すると共に、接続筒部20の前端開口縁に対して前方から接触するフランジ部104を有している。図示の例では、フランジ部104は、周壁103の前端部の全周に亘って延びる環状に形成されている。
【0047】
係止片105は、フランジ部104の外周縁部(すなわち栓本体101との連設部分)から、軸線O3に沿って後方に向けて延びる延伸部106と、延伸部106の後端部から径方向の外側に向けて突出すると共に、前壁部42に形成された係止孔(本発明に係る被係止部)43に対して係止する係止突起(本発明に係る係止部)107とを備えている。
【0048】
係止片105は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、係止片105は、軸線O3を挟んで径方向に向かい合うように一対形成されている。
一対の係止片105の延伸部106は、周方向に沿って延び、且つ栓本体101よりも後方に向けて延びるように形成されている。この際、延伸部106は、前壁部42に形成された係止孔43内に前方から差し込まれている。これにより、延伸部106の後端部は、係止孔43よりも後方に位置している。
なお、係止孔43は、前壁部42を前後方向に貫通するように形成されていると共に、延伸部106の形状に対応して周方向に延びる平面視円弧状に形成されている。
【0049】
係止突起107は、先に述べたように延伸部106の後端部から径方向の外側に向けて突出しており、係止孔43の開口周縁に対して後方から係止している。これにより、閉塞栓100の全体は、係止突起107による係止によって前方に向けた抜け止めがされており、接続筒部20に対して前方への相対移動が規制されている。
特に本実施形態の係止突起107は、軸線O3の前方を向いた前端面107aが、係止孔43の開口周縁に対向するような平坦面に形成されていると共に、径方向の外側を向いた外面が、後方に向かうにしたがって、径方向の外側への突出量が小さくなる傾斜面とされている。これにより、係止突起107を含む延伸部106は、係止孔43内に前方側から差し込み易い形状であると共に、係止孔43内から前方に向けて抜け難い形状とされている。
【0050】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、図1に示すトリガー部81の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0051】
ストッパTを取り外した後、トリガー部81をコイルばね84の付勢力に抗して、後方に引くように操作すると、主ピストン83が最前方位置から後方に移動し、主シリンダ82内が加圧される。これにより、主シリンダ82内の液体が、縦供給筒部10に供給される。縦供給筒部10に供給された液体は、ボール弁90を下方に押し付けると共に、貯留弁91を押し上げる。
【0052】
これにより、縦供給筒部10内の液体を、接続筒部20内及び供給孔41を通じて貯留シリンダ40の貯留空間40aに供給することができ、貯留空間40aを加圧することができる。そのため、貯留空間40aの加圧に伴って、貯留プランジャ50を付勢部材60の付勢力に抗して最前進位置から後方に向けて移動させることができ、液体を貯留空間40aに溜める(充填する)ことができる。貯留プランジャ50が後方に移動することで、圧力が高まった貯留空間40aの液体を、射出筒部70内を通じて噴出孔4に導くことができる。これにより、噴出孔4から前方に向けて液体を噴出させることができる。
【0053】
上述のように、トリガー部81を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴出させることができると共に、貯留プランジャ50を後方に移動させて、貯留空間40a内に液体を溜めることができる。
【0054】
その後、トリガー部81を解放すると、コイルばね84の弾性復元力(付勢力)によって主ピストン83が主シリンダ82内を前方に向けて復元移動するので、これに伴ってトリガー部81も前方に復元移動する。そのため、主シリンダ82内を減圧させて、容器体A内の圧力よりも低い圧力にすることができるので、貯留弁91が閉弁したままの状態で、ボール弁90を上昇させることができる。従って、容器体A内の液体を、縦供給筒部10内に吸い上げ、主シリンダ82内に導入することができる。
これにより、次回の噴出に備えることができる。
【0055】
なお、トリガー部81の後方に向けた操作を停止すると、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通じた貯留空間40aへの液体の供給は停止するものの、付勢部材60の付勢力によって貯留プランジャ50が最前進位置に向けて前方移動しはじめる。
なお、この際、貯留空間40aから縦供給筒部10内への液体の流出は、貯留弁91によって規制される。
【0056】
これにより、貯留空間40aに溜まった液体を、射出筒部70内を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に向けて液体を引き続き噴出させることができる。
このように、トリガー部81を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部81を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部81を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部81を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
なお、トリガー部81は、上端部(支点)がノズル部材3に揺動可能に軸支され、トリガー部81の中間部(作用点)に主ピストン83が係止されているので、例えばトリガー部81の下端部(力点)を操作することで、いわゆるてこの原理を利用して、主ピストン83を効率良く移動させることができる。そのため、トリガー部81の操作性を向上することができる。
【0058】
さらに本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、図1図3に示すように、縦供給筒部10内と貯留シリンダ40内とに連通する接続筒部20の開口部21は、閉塞栓100によって閉塞(シール)されている。
特に閉塞栓100は、開口部21の内側に栓本体101を嵌合させつつ、接続筒部20の径方向の外側に配置された係止片105を、噴出器本体2を構成する前壁部42に形成された係止孔43に対して係止させることで、開口部21を閉塞している。従って、接続筒部20の内圧が高く、それによって栓本体101が開口部21内から抜け落ちるような応力(前方に向けた応力)を受けたとしても、係止片105による係止によって、閉塞栓100全体が接続筒部20に対して前方に移動することを規制することができる。
【0059】
これにより、閉塞栓100が意図せずに位置ずれ等することを抑制することができ、開口部21の適切なシール性を維持して、液漏れ等の発生を防止することができる。従って、連続噴射に適したトリガー式液体噴出器1とすることができる。
【0060】
しかも本実施形態では、延伸部106の後端部に形成された係止突起107を、前壁部42に形成された係止孔43の開口周縁に対して後方から係止させているので、閉塞栓100の前方への抜け等を防止することができる。従って、接続筒部20に対する閉塞栓100の前方への不意な移動を適切に抑制することができる。
特に、接続筒部20の軸方向に沿って延びる延伸部106に係止突起107が形成されているので、例えば延伸部106を径方向に適宜撓ませながら係止突起107を係止させることが可能であり、開口部21への閉塞栓100の装着作業を容易に行うことが可能となる。
【0061】
さらに、閉塞壁102及び周壁103を有する有底筒状に栓本体101を形成しているので、栓本体101を軽量に形成することができるうえ、例えば栓本体101を形成するのに必要な合成樹脂量を低減できるので、低コスト化を図り易い。さらに、接続筒部20の前端開口縁に対してフランジ部104が接触するように栓本体101を開口部21の内側に装着できるので、栓本体101の装着位置を位置決めし易く、装着作業を行い易い。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0063】
例えば上記実施形態では、閉塞栓100を構成する係止片105を、軸線O3を挟んで向かい合うように一対設けた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、係止片105を1つだけ形成しても構わないし、周方向に間隔をあけて3つ以上形成しても構わない。さらに係止片105を1つだけ形成する場合には、接続筒部20を径方向の外側から囲む筒状に係止片105を構成しても構わない。
【0064】
さらに、係止片105を噴出器本体2に係止する場合の例として、前壁部42に形成された係止孔43と、延伸部106に形成された係止突起107との係止を行う構成としたが、この場合に限定されるものではない。例えば係止片105を接続筒部20の外周面に対してねじ結合等することで係止させても構わない。
いずれにしても、接続筒部20の開口部21の内側に配置される栓本体101とは別個に設けた係止片105を、噴出器本体2に係止できれば、種々の係止手段を採用することができる。
【0065】
さらに上記実施形態では、栓本体101を有底筒状に形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば中実の円柱状に栓本体101を形成して、開口部21の内側に嵌合させても構わない。
【符号の説明】
【0066】
A…容器体
1…トリガー式液体噴出器
2…噴出器本体
3…ノズル部材
4…噴出孔
10…縦供給筒部(供給筒部)
20…接続筒部
21…接続筒部の開口部
40…貯留シリンダ
41…供給孔
43…係止孔(被係止部)
50…貯留プランジャ
80…トリガー機構
81…トリガー部
100…閉塞栓
101…栓本体
102…閉塞壁
103…周壁
104…フランジ部
105…係止片
106…延伸部
107…係止突起(係止部)
図1
図2
図3