(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184089
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】蓄電システム、無停電電源システム、充放電制御方法、及び充放電制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20221206BHJP
H02J 11/00 20060101ALI20221206BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221206BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J11/00
H02J7/00 A
H02J7/35 K
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091731
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】土橋 健一
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA08
5G015GB06
5G015HA18
5G015JA05
5G015JA06
5G015JA08
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503CC02
5G503DA04
(57)【要約】
【課題】バッテリを効率的に利用して電力の供給を行うことができる蓄電システム、無停電電源システム、充放電制御方法、及び充放電制御プログラムを提供すること。
【解決手段】蓄電システムは、互いに並列に接続される複数の電力ユニットと、入力ポートと、出力ポートと、制御ユニットと、を有する。さらに、複数の電力ユニットのそれぞれは、バッテリと、充電スイッチと、放電スイッチと、を有する。また、制御ユニットは、複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に接続される複数の電力ユニットと、
前記複数の電力ユニットに電力を入力する入力ポートと、
前記複数の電力ユニットに充電された電力を外部に出力する出力ポートと、
前記複数の電力ユニットの充放電を制御する制御ユニットと、を有し、
前記複数の電力ユニットのそれぞれは、
バッテリと、
前記バッテリと前記入力ポートとの間に設けられる充電スイッチと、
前記バッテリと前記出力ポートとの間に設けられる放電スイッチと、
を有し、
前記制御ユニットは、
前記複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとし、
前記放電モードにする前記電力ユニットを切り替える際には、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオフからオンに切り替え、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオフからオンに切り替える蓄電システム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、
前記バッテリの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部が検出した電圧に基づき、前記放電モードである前記電力ユニットに含まれる前記バッテリの前記電圧が閾値に達した場合に、前記放電モードにする前記電力ユニットを切り替えるスイッチ制御部と、
を有する請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、プログラムを実行可能な演算部であって、内蔵される充放電制御プログラムを実行することにより前記複数の電力ユニットのそれぞれを前記放電モードと前記充電モードとのいずれに設定するかを切り替える請求項1又は2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記放電スイッチは、
前記バッテリに一端が接続される第1の放電スイッチと、
前記第1の放電スイッチの他端と前記出力ポートとの間に設けられる第2の放電スイッチと、を有し、
前記第1の放電スイッチには、ダイオードが接続され、
前記ダイオードは、
前記第1の放電スイッチの前記バッテリ側にアノードが接続され、
前記第1の放電スイッチの前記出力ポート側にカソードが接続され、
前記制御ユニットは、
前記放電スイッチを切り替える際には、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記第1の放電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記第2の放電スイッチをオフからオンに切り替え、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記第2の放電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記第1の放電スイッチをオフからオンに切り替える請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電システムと、
前記蓄電システムに電力を供給する外部電源と、
前記蓄電システムから出力された電力を消費する外部装置と、を有し、
前記外部電源は、
電力供給網と発電装置との少なくとも一方を含む無停電電源システム。
【請求項6】
前記発電装置は、太陽光を受けることにより電力を発電するソーラーパネルである請求項5に記載の無停電電源システム。
【請求項7】
互いに並列に接続される複数の電力ユニットの充放電を制御する制御ステップを有し、
前記複数の電力ユニットのそれぞれは、
バッテリと、
前記バッテリと前記複数の電力ユニットに電力を入力する入力ポートとの間に設けられる充電スイッチと、
前記バッテリと前記複数の電力ユニットに充電された電力を外部に出力する出力ポートとの間に設けられる放電スイッチと、
を有し、
前記制御ステップでは、
前記複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとし、
前記放電モードにする前記電力ユニットを切り替える際には、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオフからオンに切り替え、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオフからオンに切り替える充放電制御方法。
【請求項8】
互いに並列に接続される複数の電力ユニットの充放電を制御する制御ステップを有し、
前記複数の電力ユニットのそれぞれは、
バッテリと、
前記バッテリと前記複数の電力ユニットに電力を入力する入力ポートとの間に設けられる充電スイッチと、
前記バッテリと前記複数の電力ユニットに充電された電力を外部に出力する出力ポートとの間に設けられる放電スイッチと、
を有し、
前記制御ステップでは、
前記複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとし、
前記放電モードにする前記電力ユニットを切り替える際には、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオフからオンに切り替え、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオンからオフに切り替え、
前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオフからオンに切り替える処理をコンピュータに実行させる充放電制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電システム、無停電電源システム、充放電制御方法、及び充放電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電力を受けて動作する電気機器に対する電力供給の瞬断や停止を回避するために、無停電の電源システムが求められる。このような無停電電源システムでは、長時間のバックアップを可能とするために、電力の供給源として複数のバッテリを並列に接続した蓄電システムが含まれ、複数のバッテリの充放電を順番に行なう方法がとられる場合がある。
【0003】
特許文献1には、複数のセルアセンブリは、直接並列接続されず、それぞれスイッチ部を介して相互に並列接続されているバッテリパックが開示されている。特許文献1に記載のバッテリパックの制御部は、各スイッチ部をオンさせるためのオン指令信号をスイッチ部毎に個別に出力可能であり、何れか1つのスイッチ部に対して選択的にオン指令信号を出力するよう構成されている。何らかの要因で制御部から複数のスイッチ部へオン指令信号が出力された場合は、同時オン阻止部により、全てのスイッチ部へのオン指令信号が無効とされるか若しくはその複数のスイッチ部のうち何れか1つに対するオン指令信号のみが有効とされる。これにより、複数のスイッチ部が同時にオンすることが阻止されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、各セルアセンブリ(バッテリ)からの電力の損失を抑制しつつ、セルアセンブリ相互間の電流の回り込みを抑制できるようにするものである。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複数のバッテリを並列に接続して放電させた場合に、いずれかのバッテリの残容量が放電停止閾値に達すると、外部への電力供給が停止される。そのため、他のバッテリの残容量を放電停止閾値まで満足に使い切ることができず、非効率的であるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、バッテリを効率的に利用して電力の供給を行うことができる蓄電システム、無停電電源システム、充放電制御方法、及び充放電制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態にかかる蓄電システムは、互いに並列に接続される複数の電力ユニットと、複数の電力ユニットに電力を供給する入力ポートと、複数の電力ユニットに充電された電力を外部に出力する出力ポートと、複数の電力ユニットの充放電を制御する制御ユニットと、を有し、複数の電力ユニットのそれぞれは、バッテリと、バッテリと入力ポートとの間に設けられる充電スイッチと、バッテリと出力ポートとの間に設けられる放電スイッチと、を有し、制御ユニットは、複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとし、放電モードにする電力ユニットを切り替える際には、放電モードに切り替える電力ユニットの放電スイッチをオフからオンに切り替え、充電モードに切り替える電力ユニットの放電スイッチをオンからオフに切り替え、放電モードに切り替える電力ユニットの充電スイッチをオンからオフに切り替え、充電モードに切り替える電力ユニットの充電スイッチをオフからオンに切り替える。
【0008】
また、一実施の形態にかかる無停電電源システムは、互いに並列に接続される複数の電力ユニットと、複数の電力ユニットに電力を供給する入力ポートと、複数の電力ユニットに充電された電力を外部に出力する出力ポートと、複数の電力ユニットの充放電を制御する制御ユニットと、を有し、複数の電力ユニットのそれぞれは、バッテリと、バッテリと入力ポートとの間に設けられる充電スイッチと、バッテリと出力ポートとの間に設けられる放電スイッチと、を有し、制御ユニットは、複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとし、放電モードにする電力ユニットを切り替える際には、放電モードに切り替える電力ユニットの放電スイッチをオフからオンに切り替え、充電モードに切り替える電力ユニットの放電スイッチをオンからオフに切り替え、放電モードに切り替える電力ユニットの充電スイッチをオンからオフに切り替え、充電モードに切り替える電力ユニットの充電スイッチをオフからオンに切り替える蓄電システムと、蓄電システムに電力を供給する外部電源と、蓄電システムから出力された電力を消費する外部装置と、を有し、外部電源は、電力供給網と発電装置との少なくとも一方を含む。
【0009】
また、一実施の形態にかかる充放電制御方法は、互いに並列に接続される複数の電力ユニットの充放電を制御する制御ステップを有し、前記複数の電力ユニットのそれぞれは、バッテリと、前記バッテリと前記複数の電力ユニットに電力を入力する入力ポートとの間に設けられる充電スイッチと、前記バッテリと前記複数の電力ユニットに充電された電力を外部に出力する出力ポートとの間に設けられる放電スイッチと、を有し、前記制御ステップでは、前記複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとし、前記放電モードにする前記電力ユニットを切り替える際には、前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオフからオンに切り替え、前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオンからオフに切り替え、前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオンからオフに切り替え、前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオフからオンに切り替える。
【0010】
また、一実施の形態にかかる充放電制御プログラムは、互いに並列に接続される複数の電力ユニットの充放電を制御する制御ステップを有し、前記複数の電力ユニットのそれぞれは、バッテリと、前記バッテリと前記複数の電力ユニットに電力を入力する入力ポートとの間に設けられる充電スイッチと、前記バッテリと前記複数の電力ユニットに充電された電力を外部に出力する出力ポートとの間に設けられる放電スイッチと、を有し、前記制御ステップでは、前記複数の電力ユニットのいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとし、前記放電モードにする前記電力ユニットを切り替える際には、前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオフからオンに切り替え、前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記放電スイッチをオンからオフに切り替え、前記放電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオンからオフに切り替え、前記充電モードに切り替える前記電力ユニットの前記充電スイッチをオフからオンに切り替える処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、バッテリを効率的に利用して電力の供給を行うことができる蓄電システム、無停電電源システム、充放電制御方法、及び充放電制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1にかかる無停電電源システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す無停電電源システムに含まれる蓄電システムの電気的構成を示す回路図である。
【
図3】
図2に示す蓄電システムにおけるバッテリの電圧を示すタイミングチャートである。
【
図4】
図2に示す蓄電システムにおいて、いずれか1つの電力ユニットが放電モードである場合の電流の流れを示す回路図である。
【
図5】
図2に示す蓄電システムにおいて、放電モードにする電力ユニットを切り替える時の電流の流れを示す回路図である。
【
図6】
図2に示す蓄電システムにおいて、放電モードを切り替えた後の電流の流れを示す回路図である。
【
図7】比較例の蓄電システムが放電モードである場合の電気的構成を示す回路図である。
【
図8】比較例の蓄電システムが充電モードである場合の電気的構成を示す回路図である。
【
図9】比較例の蓄電システムにおけるバッテリの電圧を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。図中に示したものは、全体の一部であり、図示しないその他の構成が実際には多く含まれる。なお、図面において、各機能ブロックを結ぶ実線は電力線を示し、矢印は信号を送受信するための信号線を示す。
【0014】
本実施形態にかかる蓄電システム1は、様々な負荷回路の電源として用いることができる。また、本実施形態にかかる蓄電システム1は、充電回路である外部電源200から蓄電システム1を介して外部装置300に対して無停電で電力を供給することができる無停電電源システム2に用いることができる。例えば、電源事情の悪い地域に基地局等の通信装置を設置する場合、通信装置に対する電力供給の瞬断や停止を回避するために、無停電の電源システムが求められる。
【0015】
まず、
図1を参照して、本実施形態にかかる無停電電源システム2の概要について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる無停電電源システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、無停電電源システム2は、外部電源200と、蓄電システム1と、外部装置300と、を有する。外部電源200及び外部装置300は、蓄電システム1を介して電力線で接続され、互いに直流電力の送受信を行うことができる。無停電電源システム2では、外部電源200で生成した電力を蓄電システム1に充電し、蓄電システム1に充電された電力を外部装置300が消費することにより外部装置300が動作する。
【0016】
外部電源200は、蓄電システム1に電力を供給するための電力供給源であり、本実施形態では、2系統の電力供給源を含んで構成される。2系統の電力供給源の一方は、電力供給網210を含むものである。電力供給網210は、商用電源等の交流電力をAC/DCコンバータにより変換した直流電力を供給する。電力供給網210には、電圧変換部211が接続される。電圧変換部211は、DC/DCコンバータであり、電力供給網210から入力された直流電力を蓄電システム1のバッテリB1~B3に対応する適切な電圧値に変換して出力する。電圧変換部211は、電源切替部230に接続されており、変換した直流電力を電源切替部230に供給する。
【0017】
2系統の電力供給源の他方は、発電装置220を含むものである。本実施形態では、発電装置220として、ソーラーパネルを例示している。ソーラーパネルは、太陽光を受けて得られる太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して直流電力を発電する。
【0018】
発電装置220には、電圧変換部221が接続される。電圧変換部221は、DC/DCコンバータであり、発電装置220から入力された直流電力を蓄電システム1のバッテリB1~B3に対応する適切な電圧値に変換して出力する。電圧変換部221は、電源切替部230に接続されており、変換した直流電力を電源切替部230に供給する。
【0019】
電源切替部230は、蓄電システム1に対する電力の供給源を電力供給網210と発電装置220とのいずれかに選択的に切り替える機能を有する。電源切替部230は、例えば、スイッチング素子を有し、スイッチング素子の動作が制御されることにより、電力の供給源を切り替えることができる。
【0020】
このような構成によれば、蓄電システム1は、通常時に電力供給網210から電力の供給を受け、停電等により電力供給網210から電力の供給が停止した異常時に発電装置220から電力の供給を受けることができる。これにより、蓄電システム1のバッテリB1~B3は、継続的に充電を行うことが可能である。外部電源200は、上記の構成に限らず、例えば、2系統の電力供給源のうち少なくとも一方を含む構成であれば良い。外部電源200が1系統の電力供給源で構成される場合、電源切替部230を省略しても良い。
【0021】
ここで、発電装置220は、ソーラーパネルに限定されず、例えば、ガス、風力、水力等の自然エネルギー、又は石炭、石油、天然ガス等の化石燃料を用いて発電を行う装置であってもよい。さらに、外部電源200は上記構成に限られるものではなく、電力供給源の系統の増減や組み合わせ等は適宜設計されるものである。例えば、電力供給網210及び自然エネルギーを用いた発電装置220の2系統の電力供給源とは別に、化石燃料を用いた発電装置220を電圧変換部221を介して電源切替部230に接続することにより、3系統の電力供給源を含む構成としてもよい。なお、以下の説明において、蓄電システム1に供給される電力は、直流電力を指すものとする。
【0022】
外部装置300は、蓄電システム1から出力された電力を受けて動作する電気機器であって、本実施形態では、通信装置である。外部装置300が通信装置である場合、例えば、移動体通信網に用いられる無線基地局を含む通信装置である。このような外部装置300は、通信装置に限定されるものではなく、直流電力を消費する負荷回路を備えた電気機器であれば良い。
【0023】
蓄電システム1は、外部電源200と外部装置300との間に接続される。蓄電システム1は、電力ユニット10、20、30と、制御ユニット40と、入力ポート50と、出力ポート60と、を有する。
【0024】
そこで、蓄電システム1の詳細な構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、
図1に示す無停電電源システムに含まれる蓄電システムの電気的構成を示す回路図である。
図2には、電力ユニット10を放電モードとし、電力ユニット20、30を充電モードとした回路図を例示している。
【0025】
入力ポート50は、外部電源200に接続され、外部電源200から供給される電力を電力ユニット10~30に入力するための端子である。出力ポート60は、外部装置300に接続され、電力ユニット10~30に充電された電力を外部装置300に出力するための端子である。
【0026】
電力ユニット10~30は、いずれも同じ構成である。電力ユニット10、20、30は、それぞれバッテリB1、B2、又はB3を含み、バッテリB1~B3は互いに並列に接続されている。
【0027】
電力ユニット10は、バッテリB1と、充電経路CP1と、放電経路DP1と、ダイオードD1と、を有する。また、充電経路CP1及び放電経路DP1に分かれる第1分岐点と、充電経路CP1、CP2が合流する第1合流点と、の間の充電経路CP1には、充電スイッチSW1が設けられる。第1分岐点と、放電経路DP1~DP3が合流する第4合流点と、の間の放電経路DP1には、放電スイッチSW11、SW12が設けられる。
【0028】
放電スイッチSW11は、一端がバッテリB1に接続され、他端が放電スイッチSW12に接続される。放電スイッチSW12は、一端が放電スイッチSW11に接続され、他端が出力ポート60に接続される。
【0029】
ダイオードD1は、放電スイッチSW11のバッテリB1側にアノードが接続され、放電スイッチSW11の出力ポート60側にカソードが接続される。
【0030】
バッテリB1は、電力供給網210及び発電装置220から充電経路CP1を通じて電力の供給を受けて充電することができる。一方、バッテリB1は、放電経路DP1を通じて充電した電力を放電することで外部装置300に電力を供給することができる。
【0031】
電力ユニット20は、バッテリB2と、充電経路CP2と、放電経路DP2と、ダイオードD2と、を有する。また、充電経路CP2及び放電経路DP2に分かれる第2分岐点と、第1合流点と、の間の充電経路CP2には、充電スイッチSW2が設けられる。第2分岐点と、放電経路DP2、DP3が合流する第3合流点と、の間の放電経路DP2には、放電スイッチSW21、SW22が設けられる。
【0032】
放電スイッチSW21は、一端がバッテリB2に接続され、他端が放電スイッチSW22に接続される。放電スイッチSW22は、一端が放電スイッチSW21に接続され、他端が出力ポート60に接続される。
【0033】
ダイオードD2は、放電スイッチSW21のバッテリB2側にアノードが接続され、放電スイッチSW2の出力ポート60側にカソードが接続される。
【0034】
バッテリB2は、電力供給網210及び発電装置220から充電経路CP2を通じて電力の供給を受けて充電することができる。一方、バッテリB2は、放電経路DP2を通じて充電した電力を放電することで外部装置300に電力を供給することができる。
【0035】
電力ユニット30は、バッテリB3と、充電経路CP3と、放電経路DP3と、ダイオードD3と、を有する。また、充電経路CP3及び放電経路DP3に分かれる第3分岐点と、充電経路CP1~CP3が合流する第2合流点と、の間の充電経路CP3には、充電スイッチSW3が設けられる。第3分岐点と、第3合流点と、の間の放電経路DP3には、放電スイッチSW31、SW32が設けられる。
【0036】
放電スイッチSW31は、一端がバッテリB3に接続され、他端が放電スイッチSW32に接続される。放電スイッチSW32は、一端が放電スイッチSW31に接続され、他端が出力ポート60に接続される。
【0037】
ダイオードD3は、放電スイッチSW31のバッテリB3側にアノードが接続され、放電スイッチSW3の出力ポート60側にカソードが接続される。
【0038】
バッテリB3は、電力供給網210及び発電装置220から充電経路CP3を通じて電力の供給を受けて充電することができる。一方、バッテリB3は、放電経路DP3を通じて充電した電力を放電することで外部装置300に電力を供給することができる。
【0039】
バッテリB1~B3は、充放電が可能な電池であり、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池を用いることができる。また、バッテリB1~B3は、蓄電システム1に対して着脱可能に構成される。本実施形態では、バッテリB1~B3がそれぞれ単一のセルで構成される例を示して説明するが、バッテリB1~B3のそれぞれは、複数のセルが互いに直列、並列、又は直並列に接続された組電池により構成されても良い。
【0040】
充電スイッチSW1~SW3、及び放電スイッチSW11~SW32としては、MOSFET等を用いることができる。放電スイッチSW11~SW32は、各電力ユニット10~30のそれぞれに少なくとも1つが設けられれば良い。以下の説明では、充電スイッチSW1~SW3を区別する必要がない場合に、単に「充電スイッチ」という場合がある。放電スイッチSW11~SW32についても、区別する必要がない場合に、単に「放電スイッチ」という場合がある。
【0041】
ダイオードD1~D3は、電流の流れる方向を制限することにより、並列に接続されたバッテリB1~B3間で流れる循環電流を防止する。循環電流は、接続されたバッテリB1~B3同士の電圧の差や内部抵抗の差によって発生する。
【0042】
バッテリは、電圧や内部抵抗に差があるため、複数のバッテリが並列に接続された状態では、無負荷であっても循環電流が流れる。これにより、バッテリの電力が消費され続けるため、バッテリの容量が低下し、バッテリの寿命が短くなる要因となる。
【0043】
制御ユニット40は、電力ユニット10、20、30のいずれか1つの電力ユニットを放電モードとし、他の電力ユニットを充電モードとすることにより、電力ユニット10~30の充放電を制御する機能を有する。放電モードの電力ユニット10~30は外部装置300と接続され、充電モードの電力ユニット10~30は外部電源200と接続される。制御ユニット40は、電圧検出部41と、スイッチ制御部と、を有する。さらに、スイッチ制御部は、充電スイッチ制御部42及び放電スイッチ制御部43により構成される。
【0044】
電圧検出部41は、バッテリB1~B3に接続され、バッテリB1~B3の電圧を検出する電圧センサを有する。電圧検出部41により検出される電圧の検出値は、バッテリB1~B3の容量(SOC、State Of Charge)の算出に用いられるものである。好ましくは、電圧とともに電流及び温度を併せて測定することにより、バッテリB1~B3の容量をより正確に求めることができる。
【0045】
また、電圧検出部41には、残容量の下限である閾値(放電停止閾値)が設定されている。電圧検出部41は、電圧センサからの電圧を予め設定された閾値と比較する電圧比較器を有する。電圧比較器は、例えば、電圧が閾値以下となったバッテリが含まれる電力ユニットを充電モードに切り替え、放電モードにする電力ユニットを切り替えるように要求する検出信号を出力する。すなわち、電圧検出部41は、検出された電圧と閾値とを比較した結果に応じて、充電スイッチ制御部42及び放電スイッチ制御部43に対して、検出信号を出力する。
【0046】
充電スイッチ制御部42は、電圧検出部41からの検出信号により充電スイッチSW1~SW3に対して個別にオン信号又はオフ信号を出力する。放電スイッチ制御部43は、電圧検出部41からの検出信号により放電スイッチSW11~SW32に対して個別にオン信号又はオフ信号を出力する。スイッチ制御部は、電圧検出部41における電圧と閾値との比較結果に基づき、バッテリの電圧が低下して閾値に達した場合に、放電モードにする電力ユニットを切り替える各スイッチの制御を行う。
【0047】
上記構成を有する蓄電システム1は、以下の充放電制御方法の処理フローにしたがって、放電モードにする電力ユニット10~30を切り替える。
【0048】
蓄電システム1は、制御ユニット40により、放電モードに切り替える電力ユニット10~30の放電スイッチをオフからオンに切り替える。また、充電モードに切り替える電力ユニット10~30の放電スイッチをオンからオフに切り替える。また、放電モードに切り替える電力ユニット10~30の充電スイッチをオンからオフに切り替える。また、充電モードに切り替える電力ユニット10~30の充電スイッチをオフからオンに切り替える。
【0049】
ここで、放電スイッチを切り替える際には、充電モードに切り替える電力ユニット10~30の第1の放電スイッチをオンからオフに切り替える。また、制御ユニット40は、放電モードに切り替える電力ユニット10~30の第2の放電スイッチをオフからオンに切り替える。続いて、充電モードに切り替える電力ユニット10~30の第2の放電スイッチをオンからオフに切り替える。また、制御ユニット40は、放電モードに切り替える電力ユニット10~30の第1の放電スイッチをオフからオンに切り替える。
【0050】
本実施形態において、放電スイッチSW12、SW22、SW32は、それぞれ上記第1の放電スイッチに相当する。また、放電スイッチSW11、SW21、SW31は、それぞれ上記第2の放電スイッチに相当する。また、充電スイッチSW1、SW2、SW3は、それぞれ上記充電スイッチに相当する。
【0051】
そこで、
図3~6を参照して、制御ユニット40における充放電制御を含む蓄電システム1の動作例を説明する。
図3は、
図2に示す蓄電システムにおけるバッテリの電圧を示すタイミングチャートである。なお、
図3に示すタイミングチャートの横軸は時間を示し、縦軸はバッテリの電圧を示している。
【0052】
図4は、
図2に示す蓄電システムにおいて、いずれか1つの電力ユニットが放電モードである場合の電流の流れを示す回路図である。なお、
図4は、
図2に対応する図である。
図5は、
図2に示す蓄電システムにおいて、放電モードにする電力ユニットを切り替える時の電流の流れを示す回路図である。
図6は、
図2に示す蓄電システムにおいて、放電モードを切り替えた後の電流の流れを示す回路図である。
図4~
図6において、白抜き矢印は、電流が流れる方向Fを示している。
【0053】
図3のタイミングチャートにより示される動作は、バッテリB1、バッテリB2、バッテリB3をこの順に放電モードとする場合を例示している。また、時間軸に沿う時間T1、時間T2、時間T3、時間T4、及び時間T5は、各電力ユニット10~30の放電モードと充電モードとが切り替わるポイントである。
【0054】
図3に示すように、時間T1は、電力ユニット10が充電モードから放電モードに切り替わるポイントである。時間T1より前は、放電スイッチSW11~SW32がオフであり、充電スイッチSW1~SW3がオンである。すなわち、電力ユニット10~30は充電モードである。
【0055】
(T1~T2の期間)
まず、時間T1において、電圧検出部41によって少なくともバッテリB1の電圧の検出が行われる。電圧検出部41は、バッテリB1の電圧に基づいて生成した検出信号を放電スイッチ制御部43及び充電スイッチ制御部42に伝達する。
【0056】
図4に示すように、検出信号を受けた放電スイッチ制御部43は、放電スイッチSW11、SW12に対してオン信号を出力するとともに、放電スイッチSW21、SW22、SW31、SW32に対してオフ信号を出力する。これにより、電力ユニット10は放電モードに切り替わり、バッテリB1から外部装置300に電力の供給が開始される。電力ユニット10において、オン状態の放電スイッチSW12によりダイオードD1の両端をバイパスすることで、放電時の電力損失が抑制される。
【0057】
放電スイッチ制御部43による制御と同時に、検出信号を受けた充電スイッチ制御部42は、充電スイッチSW2、SW3に対してオン信号を出力するとともに、充電スイッチSW1に対してオフ信号を出力する。これにより、外部電源200からバッテリB2、B3に電力の充電が継続される。したがって、T1~T2の期間は、バッテリB1から外部装置300へ電力が供給される期間である。
【0058】
(T2~T3の期間)
図3に示すように、時間T2は、電力ユニット10が放電モードから充電モードに切り替わるとともに、電力ユニット20が充電モードから放電モードに切り替わるポイントである。T1~T2の期間において、バッテリB1から外部装置300へ電力が供給されることにより、バッテリB1の電圧が次第に低下する。そして、時間T2において、バッテリB1の電圧が閾値に達すると、電圧検出部41から放電スイッチ制御部43及び充電スイッチ制御部42に検出信号が伝達される。
【0059】
図5に示すように、検出信号を受けた放電スイッチ制御部43は、まず、放電スイッチSW12に対してオフ信号を出力するとともに、放電スイッチSW21に対してオン信号を出力する。この時、放電スイッチSW11はオンであり、放電スイッチSW22はオフである。これにより、モードが切り替わる時間T2は、瞬間的にバッテリB1、B2の両方から外部装置300に電力が供給される。
【0060】
このように、放電スイッチSW21のオンに伴って放電スイッチSW12がオフになると、バッテリB2からバッテリB1に向かう電流がダイオードD1により阻止される。一方、放電スイッチSW22はオフのままであるため、バッテリB1からバッテリB2に向かう電流がダイオードD2により阻止される。
【0061】
ダイオードD1が設けられることにより、バッテリB1、B2の両方が外部装置300と接続状態になる場合でも、循環電流を防止することができる。また、放電スイッチSW11、SW21が同時にオンになると、放電モードと充電モードとが切り替わるタイミングにおいても外部装置300に電力を途切れることなく連続的に供給することができる。
【0062】
その後、
図6に示すように、放電スイッチ制御部43は、放電スイッチSW11に対してオフ信号を出力するとともに、放電スイッチSW22に対してオン信号を出力する。これにより、バッテリB1から外部装置300に対する電力の出力が断たれる。同時に、電力ユニット20は放電モードに切り替わり、バッテリB2から外部装置300に電力の供給が開始される。電力ユニット20において、オン状態の放電スイッチSW22によりダイオードD2の両端をバイパスすることで、放電時の電力損失が抑制される。
【0063】
また、図示は省略するが、充電スイッチ制御部42は、充電スイッチSW1に対してオン信号を出力するとともに、充電スイッチSW2、SW3に対してオフ信号を出力する。これにより、電力ユニット10は充電モードに切り替わり、バッテリB1に対する電力の充電が開始される。また、バッテリB2、B3に対する電力の入力は絶たれるため、充電経路CP1~CP3を通じてバッテリB2、B3から電圧の低いバッテリB1に向かって流れる電流を防止することができる。このように、制御ユニット40は、電圧が低下したバッテリB1に対して優先的に充電を行うことができるように各スイッチを制御する。つまり、制御ユニット40は、電圧が低下したバッテリB1を含む電力ユニット10の充電スイッチSW1をオンにし、他の電力ユニット20、30の充電スイッチSW2、SW3をオフにする制御を行う。したがって、T2~T3の期間は、バッテリB2から外部装置300へ電力が供給される期間である。
【0064】
(T3~T4の期間)
時間T4は、電力ユニット20が放電モードから充電モードに切り替わるとともに、電力ユニット30が充電モードから放電モードに切り替わるポイントである。T3~T4の期間における動作は、上記で説明したT2~T3の期間における動作と同様のフローで行われる。
【0065】
ただし、T2~T3の期間における動作の説明について、時間T2は時間T3に、時間T3は時間T4に読み替える。また、電力ユニット10は電力ユニット20に、電力ユニット10の各構成要素はそれぞれ電力ユニット20の対応する構成要素に読み替える。さらに、電力ユニット20は電力ユニット30に、電力ユニット20の各構成要素はそれぞれ電力ユニット20の対応する構成要素に読み替える。したがって、T3~T4の期間は、バッテリB3から外部装置300へ電力が供給される期間である。
【0066】
(T4~T5の期間)
時間T4は、電力ユニット30が放電モードから充電モードに切り替わるとともに、電力ユニット10が充電モードから放電モードに切り替わるポイントである。T4~T5の期間における動作は、上記で説明したT2~T3の期間における動作と同様のフローで行われる。
【0067】
ただし、T2~T3の期間における動作の説明について、時間T2は時間T4に、時間T3は時間T5に読み替える。また、電力ユニット10は電力ユニット30に、電力ユニット10の各構成要素はそれぞれ電力ユニット30の対応する構成要素に読み替える。さらに、電力ユニット20は電力ユニット10に、電力ユニット20の各構成要素はそれぞれ電力ユニット10の対応する構成要素に読み替える。したがって、T4~T5の期間は、T1~T2の期間と同様に、バッテリB1から外部装置300へ電力が供給される期間である。
【0068】
以上の動作を繰り返すことで、蓄電システム1は、外部装置300に対する電力の出力とバッテリB1~B3への電力の充電とを継続的に行うことができる。
【0069】
例えば、蓄電システム1の放電時における各条件を下記の通りとした場合、バッテリB1~B3の全てが閾値に達する放電時間は、10C/40である。
[蓄電システム1の条件]
放電電流:120A
バッテリB1~B3の配線抵抗又は直列等価抵抗
バッテリB1:55mΩ
バッテリB2:50mΩ
バッテリB3:45mΩ
バッテリB1~B3の各電圧:全て同じ10V
バッテリB1~B3の各容量:全て同じ容量C
【0070】
次に、
図7及び
図8を参照して、比較例の蓄電システム100について蓄電システム1との相違点を中心に説明する。
図7は、比較例の蓄電システムが放電モードである場合の電気的構成を示す回路図である。
図8は、比較例の蓄電システムが充電モードである場合の電気的構成を示す回路図である。
【0071】
図7及び
図8に示すように、蓄電システム100は、いずれも同じ構成である3つの電力ユニットを含む。3つの電力ユニットは、それぞれバッテリB1、B2、又はB3を含み、バッテリB1~B3は互いに並列に接続されている。
【0072】
バッテリB1を含む電力ユニットは、充電経路CP1と、放電経路DP1と、ダイオードD11、D12と、を有する。また、
図7では、バッテリB1の正極端子に接続される配線抵抗又はバッテリB1の直列等価抵抗として抵抗R1を示した。さらに、第1分岐点と、充電経路CP1、CP2が合流する第1合流点と、の間の充電経路CP1には、ダイオードD12が設けられる。第1分岐点と、放電経路DP1~DP3が合流する第4合流点と、の間の放電経路DP1には、ダイオードD11が設けられる。
【0073】
ダイオードD11は、バッテリB1にアノードが接続され、放電スイッチSW41のバッテリB1側にカソードが接続される。ダイオードD12は、充電スイッチSW4のバッテリB1側にアノードが接続され、バッテリB1にカソードが接続される。
【0074】
バッテリB2を含む電力ユニットは、充電経路CP2と、放電経路DP2と、ダイオードD21、D22と、を有する。また、
図7では、バッテリB2の正極端子に接続される配線抵抗又はバッテリB2の直列等価抵抗として抵抗R2を示した。さらに、第2分岐点と、第1合流点と、の間の充電経路CP2には、ダイオードD22が設けられる。第2分岐点と、放電経路DP2、3が合流する第3合流点と、の間の放電経路DP2には、ダイオードD21が設けられる。
【0075】
ダイオードD21は、バッテリB2にアノードが接続され、放電スイッチSW41のバッテリB2側にカソードが接続される。ダイオードD12は、充電スイッチSW4のバッテリB2側にアノードが接続され、バッテリB2にカソードが接続される。
【0076】
バッテリB3を含む電力ユニットは、充電経路CP3と、放電経路DP3と、ダイオードD31、D32と、を有する。また、
図7では、バッテリB3の正極端子に接続される配線抵抗又はバッテリB3の直列等価抵抗として抵抗R3を示した。さらに、第3分岐点と、充電経路CP1~CP3が合流する第2合流点と、の間の充電経路CP3には、ダイオードD32が設けられる。第3分岐点と、第4合流点と、の間の放電経路DP3には、ダイオードD31が設けられる。
【0077】
ダイオードD31は、バッテリB3にアノードが接続され、放電スイッチSW41のバッテリB3側にカソードが接続される。ダイオードD32は、充電スイッチSW4のバッテリB3側にアノードが接続され、バッテリB3にカソードが接続される。
【0078】
また、蓄電システム100の制御ユニットは、電圧検出部101と、充電スイッチ制御部102と、放電スイッチ制御部103と、を有する。電圧検出部101は、放電経路DP1~DP3に接続され、バッテリB1~B3の出力電圧を検出する。電圧検出部101には、残容量の下限である閾値が設定されている。
【0079】
充電スイッチ制御部102は、電圧検出部101からの検出信号により充電スイッチSW4に対してオン信号又はオフ信号を出力する。放電スイッチ制御部103は、電圧検出部101からの検出信号により放電スイッチSW41に対してオン信号又はオフ信号を出力する。
【0080】
そして、制御ユニットによりオンオフが制御される充電スイッチSW4は、入力ポート50と第2合流点との間に設けられる。また、制御ユニットによりオンオフが制御される放電スイッチSW41は、出力ポート60と第4合流点との間に設けられる。
【0081】
ここで、
図9を参照して、蓄電システム100の動作例を説明する。
図9は、比較例の蓄電システムにおけるバッテリの電圧を示すタイミングチャートである。なお、
図9に示すタイミングチャートの横軸は時間を示し、縦軸はバッテリB1~B3の電圧を示している。時間軸に沿う時間T10及び時間T20は、蓄電システム100における放電モードと充電モードとが切り替わるポイントである。蓄電システム100の動作を説明するにあたっては、
図7及び
図8を適宜参照する。
【0082】
図9に示すように、時間T10は、蓄電システム100が充電モードから放電モードに切り替わるポイントである。時間T10より前は、放電スイッチSW41がオフであり、充電スイッチSW4がオンである。すなわち、蓄電システム100は、充電モードである。
【0083】
(T10~T20の期間)
まず、時間T10において、電圧検出部101によって少なくともバッテリB3の電圧の検出が行われる。電圧検出部101は、バッテリB3の電圧に基づいて生成した検出信号を放電スイッチ制御部103及び充電スイッチ制御部102に伝達する。
【0084】
図7に示すように、検出信号を受けた放電スイッチ制御部103は、放電スイッチSW41に対してオン信号を出力する。これにより、蓄電システム100は放電モードに切り替わり、バッテリB1~B3から外部装置300に電力の供給が開始される。
【0085】
放電スイッチ制御部103による制御と同時に、検出信号を受けた充電スイッチ制御部102は、充電スイッチSW4に対してオフ信号を出力する。これにより、外部電源200からバッテリB1~B3に対する電力の入力が絶たれる。
【0086】
図9に示すように、T10~T20の期間において、蓄電システム100から外部装置300へ電力が供給されることにより、バッテリB1~B3の電圧が次第に低下する。そして、T2において、バッテリB3の電圧が閾値に達すると、電圧検出部101から放電スイッチ制御部103及び充電スイッチ制御部102に検出信号が伝達される。この時、バッテリB1、B2は閾値に達していない。
【0087】
図8に示すように、検出信号を受けた放電スイッチ制御部103は、放電スイッチSW41に対してオフ信号を出力する。放電スイッチ制御部103による制御と同時に、充電スイッチ制御部102は、充電スイッチSW4に対してオン信号を出力する。これにより、蓄電システム100は充電モードに切り替わり、バッテリB1~B3に対する電力の充電が開始される。
【0088】
例えば、蓄電システム100の放電時における各条件を蓄電システム1の条件と同じとした場合、最も放電時間が短いバッテリB3が閾値に達する放電時間は10C/45である。
【0089】
ここで、バッテリは、充放電を繰り返すと容量や直列等価抵抗(内部抵抗)等の特性にばらつきが生じるものである。バッテリB1~B3は、劣化に伴って容量が低下するとともに直列等価抵抗が上昇するため、より短い放電時間で電圧が低下するようになる。
【0090】
上記構成を有する蓄電システム100では、バッテリB1~B3の充放電は、個別に制御されず、一括で制御される。したがって、バッテリB1~B3の充放電制御を一括で行なう蓄電システム100では、並列に接続されたバッテリB1~B3が充放電を繰り返すことに伴って、充放電に利用可能なバッテリB1~B3毎の容量の差が徐々に拡がる。また、複数のバッテリを接続して使用する場合、同種のバッテリであっても、容量や直列等価抵抗にはそもそも固体差がある。
【0091】
蓄電システム100の場合、
図9に示したように、バッテリB1~B3のうちいずれかのバッテリの残容量が閾値に達した時点で、他のバッテリの残容量が閾値に達していなくても、蓄電システム100の放電動作を停止させなければならない。充電動作についても同様に、蓄電システム100の場合、いずれかのバッテリの容量が満充電となった時点で蓄電システム100充電動作を停止させなければならない。
【0092】
つまり、蓄電システム100では、実装された複数のバッテリのうちいずれかのバッテリの特性に依存して放電動作又は充電動作を停止する必要があるため、全てのバッテリB1~B3の残容量を閾値まで均等に使い切ることができない。蓄電システム100の構成によると、蓄電システム100全体として充放電に利用可能な容量が実質的に少なくなるため、非効率的であるという問題がある。実質的な容量が少ない場合、必要な容量を確保するためには、蓄電システム100を大型化する必要があるため、好ましくない。
【0093】
また、蓄電システム100を用いた場合、蓄電システム100に実装されたバッテリB1~B3を新しいものに交換する際には、蓄電システム100の動作を停止する必要がある。そのため、無停電の電源システムとして使用することは困難である。
【0094】
また、蓄電システム100では、充電経路CP1~CP3及び放電経路DP1~DP3のそれぞれにダイオードD11~D32が設けられるため、蓄電システム100全体でのダイオードによる電力損失が大きい。
【0095】
また、蓄電システム100は、上記で示した動作の他に、例えば、放電スイッチSW41及び充電スイッチSW4を共にオンとして、放電しながら充電する動作を行なうこともできる。しかしながら、蓄電システム100は、放電時に、全てのバッテリB1~B3が外部装置300と接続されて放電状態となるため、バッテリB1~B3の特性によっては放電しながら充電することができない場合がある。
【0096】
これに対し、本実施形態にかかる蓄電システム1では、バッテリB1~B3の充放電は、個別に制御される。したがって、蓄電システム1では、並列に接続されたバッテリB1~B3が充放電を繰り返すことに伴って、充放電に利用可能なバッテリB1~B3毎の容量の差が徐々に拡がったとしても、バッテリB1~B3毎に容量を使い切ることができる。同様に、固体差のあるバッテリB1~B3であっても、バッテリB1~B3毎に容量を使い切ることができる。
【0097】
また、複数のバッテリを実装している蓄電システム1では、放電動作時に、放電状態のバッテリと充電状態のバッテリとが共存できるため、蓄電システム1全体としては、バッテリB1~B3の特性に依らず、放電しながら充電することができる。
【0098】
また、蓄電システム1の場合、充電経路CP1~CP3にダイオードを設ける必要がないため、蓄電システム1において外部電源200(充電)側の電力損失が発生しない。さらに、蓄電システム1の場合、外部装置300(放電)側においても。蓄電システム100の場合と比べると、ダイオードによる電力損失が低減される。このため、蓄電システム1を用いれば、より効率良く電力の供給を行なうことができる。
【0099】
さらに、蓄電システム1は、放電スイッチSW11~SW32をバッテリB1~B3毎に設け、制御ユニット40によりバッテリB1~B3の残容量に基づいて放電スイッチSW11~SW32のオンオフを個別に制御する。
【0100】
これにより、バッテリB1~B3を順番に放電させ、実装された全てのバッテリB1~B3毎にその容量を確認して、残容量が閾値に達するまで使い切ることができる。また、蓄電システム1を用いた場合は、蓄電システム100を用いた場合と比べて閾値に達するまでの放電時間が11%程度延長される。このように、蓄電システム1によれば、実装されたバッテリB1~B3を効率的に利用することができる。
【0101】
蓄電システム1によれば、バッテリB1~B3の容量を可能な限り有効に利用できるため、例えば、蓄電システム100のように実質的な容量低下が起きず、システムの小型化を図ることができる。
【0102】
また、蓄電システム1は、充電スイッチSW1~SW3をバッテリB1~B3毎に設け、制御ユニット40により充電スイッチSW1~SW3のオンオフを個別に制御するため、外部への電力供給を行なっていないバッテリB1~B3に対しては充電が行われる。これにより、バッテリB1~B3の特性に依らず、外部に対して無停電の電源供給を行なうことができる。
【0103】
また、このような構成によれば、バッテリB1~B3の故障や寿命等によってバッテリB1~B3の交換が必要となった場合でも、電力供給を停止することなくバッテリB1~B3の交換が可能である。そのため、外部装置300に対して無停電の電力供給を実現することができる。したがって、無停電の電源システムに好適に用いることができる。
【0104】
そして、蓄電システム1を備えた無停電電源システム2は、蓄電システム1への電力供給源として、電力供給網210と発電装置220との少なくとも一方を備えるため、蓄電システム1のバッテリB1~B3に電力を蓄えることができる。また、電力供給源として、電力供給網210と発電装置220とを共に備える場合、停電等の異常時においても、蓄電システム1のバッテリB1~B3は、継続的に充電を行うことが可能である。
【0105】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態では、負荷回路となる外部装置300の一例として通信装置を挙げて蓄電システム1、及び無停電電源システム2の詳細を説明したが、これに限定されない。このような蓄電システム1、及び無停電電源システム2は、一般住宅、店舗、ビル、工場、バックアップ電源、電気自動車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車等にも転用可能である。
【0106】
また、蓄電システム1の制御ユニット40は、図示しないプロセッサ、メモリ等を有し、プログラムを実行可能な演算部として機能する構成であってもよい。プロセッサは、例えば、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタ等を含むCPU(Central Processing Unit)で構成される。この場合、制御ユニット40は、CPUがメモリに記憶される各種プログラムを実行することにより、蓄電システム1の各種機能ブロックの機能を実現することができる。また、メモリは、例えば、充放電の制御に必要な充放電制御プログラム、閾値、各種信号等の情報を記憶する。例えば、蓄電システム1において、CPUがメモリから充放電制御プログラムを読み出して実行することにより、実施形態で説明された充放電制御方法の処理フローが進行する。
【0107】
そして、蓄電システム1において実行されるプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、Solid-State Drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、Digital Versatile Disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0108】
1、100 蓄電システム
2 無停電電源システム
10、20、30 電力ユニット
40 制御ユニット
41、101 電圧検出部
42、102 充電スイッチ制御部
43、103 放電スイッチ制御部
50 入力ポート
60 出力ポート
200 外部電源
210 電力供給網
211、221 電圧変換部
220 発電装置
230 電源切替部
300 外部装置
B1、B2、B3 バッテリ
CP1、CP2、CP3 充電経路
D1、D2、D3、D11、D12、D21、D22、D31、D32 ダイオード
DP1、DP2、DP3 放電経路
F 電流が流れる方向
SW1、SW2、SW3、SW4 充電スイッチ
SW11、SW12、SW21、SW22、SW31、SW32、SW41 放電スイッチ
T1、T2、T3、T4、T5、T10、T20 時間