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特開2022-184098画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184098
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20221206BHJP
   G01N 21/892 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
G06T1/00 310Z
G01N21/892 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091747
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】落合 孝
(72)【発明者】
【氏名】渡部 宏樹
【テーマコード(参考)】
2G051
5B057
【Fターム(参考)】
2G051AA34
2G051AB11
2G051EB05
5B057AA11
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC02
5B057DA03
5B057DA07
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC17
(57)【要約】
【課題】 検査対象画像にセンサすじが含まれた場合に、適切なエラーを返すことができなかった。
【解決手段】 本発明に係る画像処理装置は印刷物を読み取った読み取り画像を取得する取得手段と、前記読み取り画像上の複数点それぞれから前記印刷物の輪郭の追跡を行うことで前記読み取り画像に含まれるすじの有無を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を読み取った読み取り画像を取得する取得手段と、
前記読み取り画像上の複数点それぞれから前記印刷物の輪郭の追跡を行うことで前記読み取り画像に含まれるすじの有無を判定する判定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記読み取り画像は、前記印刷物の用紙領域とその周辺領域とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数点は、前記読み取り画像の両端点であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数点は、前記読み取り画像を読み取る方向に直交する方向の両端点であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記追跡の結果得られる、前記印刷物の複数の輪郭点群の位置座標が複数の前記読み取り画像で一致するか否かを比較し、
前記判定手段は、前記位置座標が一致しない場合に、前記読み取り画像にすじが含まれていると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記読み取り画像において前記印刷物からはみ出した分の幅を算出する幅算出手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記比較の結果と、前記幅の大きさに基づき、前記すじの有無を判定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数点の数を算出する算出手段と、
前記複数点の数を複数の前記読み取り画像で比較する数比較手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記数比較手段による比較の結果に基づき、前記読み取り画像に部分的なすじが含まれると判定することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記複数点によって示される前記印刷物の形状を算出する形状算出手段と、
前記形状を複数の前記読み取り画像で比較する形状比較手段と、
をさらに備え、
前記判定手段は、前記形状比較手段による比較の結果に基づき、前記読み取り画像に部分的なすじが含まれると判定することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記複数点は、前記印刷物の頂点を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記判定手段の判定の結果に基づき、エラーを通知する通知手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記判定手段は、前記通知手段の結果に基づき、前記読み取り画像におけるすじの発生部分のその他部分の判定を継続する手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至請求項11の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
印刷物を読み取った読み取り画像を取得する取得工程と、
前記読み取り画像上の複数点それぞれから前記印刷物の輪郭の追跡を行うことで前記読み取り画像に含まれるすじの有無を判定する判定工程と
を有することを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物を検査するための画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物の品質を自動で検査する検品装置が知られている。印刷物を検品するためのリファレンス画像と印刷物をセンサでスキャンして得た検査対象画像とを比較することで、印刷物を検品する。
【0003】
検品の前準備として、リファレンス画像と検査対象画像との位置合わせを行う際に、用紙の輪郭や頂点を表す輪郭点群を基準点として利用する場合がある。用紙の輪郭点群を抽出する技術としては、特許文献1に、スキャン画像におけるサンプリング点を開始点として用紙の輪郭追跡を行い、用紙の頂点座標を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-336428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、センサで読み取った検査対象画像に、センサの故障や紙粉等のゴミの付着、汚れ等の各種ノイズ要因に起因するセンサすじが含まれる場合、エラーの直接的な原因を正しく返すことができないという課題があった。具体的には、一つの開始点から用紙領域の輪郭追跡を開始すると、用紙輪郭の抽出に失敗するが、センサすじとは無関係のエラーを出してしまう。
【0006】
例えば、センサすじが黒すじの場合は、用紙領域を分断するように黒すじが発生するため、輪郭追跡の結果、用紙領域を実際よりも小さく抽出してしまい、用紙サイズエラーのエラーメッセージを出していた。
【0007】
一方、センサすじが白すじの場合は、用紙領域が決壊するように白すじが発生するため、輪郭追跡時に追跡点がスキャン画像の端部にはみ出してしまい、はみ出しエラーのエラーメッセージを出していた。
【0008】
このような課題の結果、センサが原因の読み取りエラーであっても、それをユーザあるいは検品装置、印刷装置に知らせることができないため、センサのメンテナンス等の適切な処置を行うことができず、検査NGを頻発させる不具合を引き起こす可能性があった。あるいは、センサすじが原因と知ることができないため、センサすじの発生部分を除外した上での検査継続を行うことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像処理装置は印刷物を読み取った読み取り画像を取得する取得手段と、前記読み取り画像上の複数点それぞれから前記印刷物の輪郭の追跡を行うことで前記読み取り画像に含まれるすじの有無を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検査対象画像にセンサすじが含まれた場合に、適切なエラーを返すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】印刷検品装置の構成を示すブロック図。
図2】印刷検品装置の処理を示すフローチャート。
図3】用紙輪郭点群抽出の処理を示すフローチャート。
図4】第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致する場合の具体例。
図5】第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない場合の具体例。
図6】第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない場合の別な具体例。
図7】第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない場合の別な具体例。
図8】センサすじ発生部分を検査対象除外領域とし、検品処理を継続する場合の処理を示すフローチャート。
図9】実施例2における用紙輪郭点群抽出の処理を示すフローチャート。
図10】実施例2における検査対象画像の一例。
図11】実施例2の変形例における用紙輪郭点群抽出の処理を示すフローチャート。
図12】実施例2の変形例における検査対象画像の一例。
図13】実施例3における用紙輪郭点群抽出の処理を示すフローチャート。
図14】実施例3における検査対象画像の一例。
図15】実施例4における用紙輪郭点群抽出の詳細な処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態は、本発明を限定するものではなく、各実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれ、また、以下の各実施形態の一部を適宜組み合わせることもできる。
【実施例0013】
実施例1では、検査対象画像から用紙の輪郭追跡を行う際、センサすじが発生し得る方向に対して両外側から挟むように、輪郭抽出の開始点を2つ設定する。そして、それぞれの開始点から追跡したそれぞれの輪郭から算出したそれぞれの頂点の位置座標を比較する例を説明する。各開始点から追跡した輪郭から算出した頂点の位置座標が不一致の場合には、センサすじが用紙領域を分断または決壊させたとみなし、センサすじがある旨のエラーを通知する。
【0014】
(印刷検品装置の構成)
図1は、印刷検品装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
印刷検品装置1は、画像処理装置であり、検査対象画像を入力し、検査結果及びエラーメッセージを出力する。印刷検品装置1は、検査対象画像取得部11、用紙輪郭点群抽出部12、リファレンス画像作成部13、画像位置合わせ部14、画像検査部15、エラー通知部16を有する。各部の機能を以下説明する。
【0016】
検査対象画像取得部11は、印刷装置で印刷した印刷物をセンサで読み取ることで取得した読み取り画像である検査対象画像を取得する。このとき、例えば、600dpiのインラインセンサを用いて、検査対象画像に用紙領域とその周辺領域を含んだ状態で読み取る。周辺領域は、検査対象画像をセットする、例えば、搬送ベルトの表面部分に相当し、用紙とのコントラストが高くなる部材の色が望ましい。なお、検査対象画像の読み取り解像度は、縦と横で異なる解像度であってもよい。また、随時リアルタイムに行うような検査の高速性が求められる場合等においては、印刷検品処理を印刷装置の印刷部の直後に行うように検査対象画像取得部11を構成してもよい。
【0017】
用紙輪郭点群抽出部12は、検査対象画像から用紙の輪郭点群を抽出する。ここでの輪郭点群とは、用紙の輪郭が正しく抽出された場合における、用紙四隅の頂点を表す。このとき、用紙輪郭点群抽出部12は、以下を有する。すなわち、画像前処理部121、スキャン方向取得部122、第一輪郭追跡開始点決定部123、第二輪郭追跡開始点決定部124、第一輪郭点群算出部125、第二輪郭点群算出部126、輪郭点群比較部127、センサすじ判定部128である。
【0018】
画像前処理部121は、検査対象画像の前処理を行う。ここでは、用紙輪郭点群抽出部12において輪郭追跡を行うため、検査対象画像をモノクロ二値画像に変換する二値化処理を行う。輪郭追跡をモノクロ二値画像以外、例えばモノクロ多値画像等で行ってもよく、その場合は、検査対象画像を、輪郭追跡を行うことのできる画像形式に変換するとよい。なお、前処理せずに輪郭追跡が可能であれば、特に前処理は必須ではなくスキップしてもよい。また、リファレンス画像と検査対象画像との解像度が異なる場合には、解像度変換を行い、解像度を合わせる。
【0019】
スキャン方向取得部122は、検査対象画像をセンサで読み取る際のスキャン方向を取得する。スキャン方向は、検査対象画像とセンサが相対走査する方向を表し、検査対象画像に対する上下方向(垂直方向)、左右方向(水平方向)のいずれかとなる。以降の説明及び図面では、スキャン方向は全て上下方向として説明する。ここでのスキャン方向は、上から下、下から上のどちらでも構わない。なお、スキャン方向は通常、一定の方向となる場合が多いため、検査対象画像を取得する度に取得する必要はなく、スキャン方向が事前に分かっている場合は、その情報を保持しておき、スキャン方向取得部をスキップするような構成であってもよい。
【0020】
第一輪郭追跡開始点決定部123は、検査対象画像において輪郭追跡を行う際の第一の開始点を決定する。第一の開始点は、センサすじが発生する可能性のあるスキャン方向に対してその片側から挟むように、第一の開始点を決定する。
【0021】
第二輪郭追跡開始点決定部124は、検査対象画像において輪郭追跡を行う際の第二の開始点を決定する。第二の開始点は、センサすじが発生する可能性のあるスキャン方向に対して第一の開始点とは反対の片側から挟むように、第二の開始点を決定する。
【0022】
第一輪郭点群算出部125は、第一の開始点から輪郭追跡を行うことで得られる第一の輪郭点群を算出する。
【0023】
第二輪郭点群算出部126は、第二の開始点から輪郭追跡を行うことで得られる第二の輪郭点群を算出する。
【0024】
輪郭点群比較部127は、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群の位置座標を比較する。
【0025】
センサすじ判定部128は、輪郭点群比較部127の比較結果に基づき、センサすじの有無を判定する。
【0026】
リファレンス画像作成部13は、リファレンス画像を作成する。リファレンス画像は、検査時の基準として見本に相当する基準画像で、印刷時に作成されるRIPデータや、RIPデータが印刷画像に近づくように各種画像処理フィルタや色変換処理等によってRIPデータを加工したデータである。あるいは、複数の印刷物のスキャン及び合成により作成する画像データである。同一の画像を連続で検査する場合には、リファレンス画像をその都度作成する必要はなく、リファレンス画像作成部13における作成をスキップし、別途、メモリ等に確保したリファレンス画像を参照してもよい。
【0027】
画像位置合わせ部14は、用紙の輪郭点群に基づき、リファレンス画像と検査対象画像との位置合わせを行う。
【0028】
画像検査部15は、位置合わせ済みのリファレンス画像と検査対象画像を比較し、検査対象画像に欠陥が含まれるか否かを検査する。ここでの比較は、差分画像を算出することで行われる。
【0029】
エラー通知部16は、センサすじが発生した場合のエラー通知を行う。
【0030】
なお、印刷検品装置1は、単体の装置であっても、印刷装置の一ユニットとして組み込まれた形態でもよい。印刷検品装置1、及び以降説明する処理フロー、アルゴリズムは、PC(パーソナルコンピュータ)または専用の計算機、あるいは、プリンタ内部の組み込み回路等で動作する。各部の手段、方法、アルゴリズムはソフトウェアあるいはハードウェアとして実現される。各部の演算はCPUやGPU等の演算装置で実施され、使用するデータはPCに接続されたRAM、ROM等のメモリや大容量ストレージHDDを用いて読み書きが行われる。また、検査対象とする印刷物の読み込み(スキャン)は、印刷検品装置1または印刷装置が備えたラインセンサ、スキャナ、カメラ等の読み取り装置を用いて行われる。データの入出力については、キーボードやマウス等の入力装置やモニター等の表示装置を用いて行われる。
【0031】
(印刷検品の処理フロー)
図2は、印刷検品装置の処理手順を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに従って説明する。各ステップ(工程)は符号の前にSを付けて表す。
【0032】
印刷検品処理開始後、S1において、印刷装置で印刷した印刷物をセンサで読み取られた検査対象画像を取得する。検査対象画像は用紙領域とその周辺領域を含むように取得する。
【0033】
次に、S2において、用紙輪郭点群の抽出を行う。詳細な処理手順は後述する。
【0034】
次に、S3において、リファレンス画像作成部13で作成したリファレンス画像を取得する。リファレンス画像は、検査対象画像分、検査前に作成され、検査対象画像との画像位置合わせ及び画像検査時に参照する。なお、リファレンス画像は、一つのみ用意し、次ステップにおける各検査対象画像との位置合わせを行ってもよい。リファレンス画像の取得時に、リファレンス画像における用紙輪郭点群も同時に取得し、位置合わせ時に利用する。
【0035】
次に、S4において、S2で求めた検査対象画像の用紙輪郭点群とS3で取得したリファレンス画像の用紙輪郭点群とに基づき、検査対象画像とリファレンス画像との画像位置合わせを行う。ここでは、用紙輪郭点群として、用紙頂点を用いる。画像位置合わせはアフィン変換等の公知の各種位置合わせ技術を利用する。
【0036】
次に、S5において、画像検査処理を行う。画像検査処理は、位置合わせ済みのリファレンス画像と検査対象画像との差分を算出することで、欠陥の有無を検査する。
【0037】
次に、S6において、印刷物に欠陥があるか否かを判断する。S5で求めた差分が所定の閾値以上となる画素を欠陥ありと判定し、差分が所定の閾値よりも小さい画素を欠陥なしと判定する。欠陥なしと判定された場合(No)には、S7に移り、S7において、検査合格品用トレイに排紙し、S9に移る。一方、S5の画像検査処理の結果を参照し、欠陥ありと判定された場合(Yes)には、S8に移り、検査不合格品用トレイに排紙し、S9に移る。
【0038】
最後に、S9において、全印刷物の検品が完了したか否かを判断する。全印刷物の検品が完了していない場合(No)は、S2に戻り、次の印刷物の検査を継続する。全印刷物の検品が完了した場合(Yes)の場合は、印刷検品処理を終了する。
【0039】
以上で、本フローチャートの説明を終了する。
【0040】
(用紙輪郭点群抽出の処理フロー)
図3は、S2で示した用紙輪郭点群抽出の詳細な処理手順を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに従って説明する。
【0041】
まず、S101において、検査対象画像の前処理を行う。ここでは、以降のステップで輪郭追跡を行うため、検査対象画像をモノクロ二値画像に変換する。リファレンス画像と解像度が異なる場合は、解像度変換を行い、解像度を合わせる。
【0042】
次に、S102において、スキャン方向取得部122で取得したスキャン方向に基づき、第一の開始点及び第二の開始点を決定する。
【0043】
次に、S103において、第一の開始点から輪郭追跡を実行する。輪郭追跡は八連結法、四連結法等の方法を用いる。
【0044】
次に、S104において、第一の輪郭点群から第一の頂点群を算出する。ここでは、輪郭点群として、輪郭の頂点を算出する。
【0045】
次に、S105において、第二の開始点から輪郭追跡を実行する。S103と同じく、八連結法、四連結法等の方法を用いる。
【0046】
次に、S106において、第二の輪郭点群から第二の頂点群を算出する。S104と同じく、輪郭点群として、輪郭の頂点を算出する。
【0047】
次に、S107において、第一の頂点群と第二の頂点群とを比較する。
【0048】
次に、S108において、S107での比較結果に基づき、頂点群の座標(四隅)が一致するか否かを判断する。頂点群の座標が一致する場合には、S109において、以降の処理で利用する用紙頂点として決定し、用紙輪郭点群の抽出処理を終了する。一方、頂点群の座標が一致しない場合には、S110において、センサすじ発生エラーを通知し、印刷検品処理を強制終了する。
【0049】
以上で、本フローチャートの説明を終了する。
【0050】
(検査対象画像における用紙輪郭点群抽出の具体例)
ここで、検査対象画像における用紙輪郭点群抽出過程の具体例を以下の図4から図7を用いて説明する。
【0051】
図4は、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致する場合の具体例を示す説明図である。この例は、検査対象画像にセンサすじが含まれない場合である。
【0052】
図4(a)は、検査対象画像101において、第一の開始点102、第二の開始点103を示している。第一の開始点102、第二の開始点103は、センサすじが発生し得るスキャン方向(図中上下方向)に対して両外側(左右方向)から挟むように、輪郭抽出の開始点として、検査対象画像の左右端部にそれぞれセットされる。すなわち、読み取り画像の両端点であり、スキャン方向に直交する方向の両端点であるとなおよい。
【0053】
図4(b)は、第一の開始点102を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(右方向)に対して用紙輪郭を探索し、点104に達した状態を示している。
【0054】
図4(c)は、第二の開始点103を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(左方向)に対して用紙輪郭を探索し、点105に達した状態を示している。
【0055】
図4(d)は、点104から輪郭追跡を開始し、輪郭点群106、107、108、109を抽出した状態を示している。
【0056】
図4(e)は、点105から輪郭追跡を開始し、輪郭点群110、111、112、113を抽出した状態を示している。
【0057】
図4(d)と図4(e)を比較すると、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群とで対応する位置座標がそれぞれ一致していることが分かる。これらの輪郭点群は用紙四隅の頂点に対応する。このように、検査対象画像にセンサすじが含まれない場合、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致する。
【0058】
図5は、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない場合の具体例を示す説明図である。この例は、検査対象画像にセンサ黒すじ117が発生する場合である。
【0059】
図5(a)は、検査対象画像114において、第一の開始点115、第二の開始点116を示している。第一の開始点115、第二の開始点116は、センサすじが発生し得るスキャン方向(図中上下方向)に対して両外側(左右方向)から挟むように、輪郭抽出の開始点として、検査対象画像の左右端部にそれぞれセットされる。
【0060】
図5(b)は、第一の開始点115を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(右方向)に対して用紙輪郭を探索し、点118に達した状態を示している。
【0061】
図5(c)は、第二の開始点116を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(左方向)に対して用紙輪郭を探索し、点119に達した状態を示している。
【0062】
図5(d)は、点118から輪郭追跡を開始し、輪郭点群120、121、122、123を抽出した状態を示している。
【0063】
図5(e)は、点105から輪郭追跡を開始し、輪郭点群124、125、126、127を抽出した状態を示している。
【0064】
図5(d)と図5(e)を比較すると、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群とで対応する位置隅座標がそれぞれ一致していないことが分かる。このように、検査対象画像にセンサ黒すじを含む場合、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない。
【0065】
図6は、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない場合の図5とは別な具体例を示す説明図である。この例は、検査対象画像にセンサ白すじ131が発生する場合である。
【0066】
図6(a)は、検査対象画像128において、第一の開始点129、第二の開始点130を示している。第一の開始点129、第二の開始点130は、センサすじが発生し得るスキャン方向(図中上下方向)に対して両外側(左右方向)から挟むように、輪郭抽出の開始点として、検査対象画像の左右端部にそれぞれセットされる。
【0067】
図6(b)は、第一の開始点129を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(右方向)に対して用紙輪郭を探索し、検査対象画像の端部に相当する点132に達した状態を示している。
【0068】
図6(c)は、第二の開始点130を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(左方向)に対して用紙輪郭を探索し、検査対象画像の端部に相当する点133に達した状態を示している。
【0069】
図6(d)は、点132から輪郭追跡を開始し、輪郭点群134、135、136を抽出した状態を示している。この例では、検査対象画像の端部である点136に達した時点で、輪郭追跡を終了している。
【0070】
図6(e)は、点133から輪郭追跡を開始し、輪郭点群137、138、139を抽出した状態を示している。この例でも、検査対象画像の端部である点139に達した時点で、輪郭追跡を終了している。
【0071】
図6(d)と図6(e)を比較すると、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群とで対応する位置座標がそれぞれ一致していないことが分かる。このように、検査対象画像の端部に達した時点で、輪郭追跡を終了する場合において、検査対象画像にセンサ白すじを含む場合、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない。
【0072】
図7は、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない場合の図5図6とは別な具体例を示す説明図である。この例は、図6と同様、検査対象画像にセンサ白すじ131が発生する場合である。図6との違いは、輪郭追跡時に、検査対象画像の端部に相当する点に達したとしても、輪郭追跡を中断せずに、輪郭追跡の開始点に達するまで、輪郭追跡を継続する点である。
【0073】
図7(a)は、検査対象画像128において、第一の開始点129、第二の開始点130を示している。第一の開始点129、第二の開始点130は、センサすじが発生し得るスキャン方向(図中上下方向)に対して両外側(左右方向)から挟むように、輪郭抽出の開始点として、検査対象画像の左右端部にそれぞれセットされる。
【0074】
図7(b)は、第一の開始点129を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(右方向)に対して用紙輪郭を探索し、点132に達した状態を示している。
【0075】
図7(c)は、第二の開始点130を開始点として、スキャン方向と直交する検査対象画像の内側方向(左方向)に対して用紙輪郭を探索し、点133に達した状態を示している。
【0076】
図7(d)は、点132から輪郭追跡を開始し、輪郭点群134から141の8点を抽出した状態を示している。このように、検査対象画像の端部に達しても輪郭追跡を継続している。
【0077】
図7(e)は、点133から輪郭追跡を開始し、輪郭点群142から149の8点を抽出した状態を示している。この例でも、検査対象画像の端部に達しても輪郭追跡を継続している。
【0078】
図7(d)と図7(e)を比較すると、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群とで対応する位置座標がそれぞれ一致していないことが分かる。このように、検査対象画像の端部に達しても輪郭追跡を継続する場合において、検査対象画像にセンサ白すじを含む場合、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致しない。
【0079】
以上、複数の具体例を用いて説明したように、センサすじの発生有無によって、検査対象画像における輪郭点群の抽出の行われ方が異なり、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群との位置座標が一致するか否かでセンサすじの発生有無を見分けることができる。
【0080】
(変形例)
ここで、各種変形例について説明する。
【0081】
以上では、開始点の数が2つの場合を例に説明したが、開始点を2よりも多い複数の数分設定して、それぞれを開始点として輪郭追跡を行い、抽出した輪郭点群を比較してもよい。複数の輪郭点群の対応する点同士が全て一致しない場合に、センサすじ発生エラーを通知する形態とすることができる。
【0082】
また、第一の輪郭点群及び第二の輪郭点群として、それぞれで抽出した輪郭点群の頂点を用いる例を示したが、輪郭点群の頂点のみならず、輪郭を構成する輪郭点群の全てまたは一部を用いてもよい。より詳細には、第一の輪郭点群及び第二の輪郭点群とが一致するか否かを比較してもよい。全ての輪郭点群同士を比較するということは、輪郭追跡時の全過程を比較することと等しく、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群のそれぞれの追跡過程が同一の輪郭をそれぞれ辿り途中で出会うかどうかという観点で比較することに相当する。
【0083】
また、図3におけるS103、S105の輪郭追跡時に、輪郭追跡先の座標が検査対象画像の端部に達したか否かを都度判定し、検査対象画像の端部に達することなく輪郭点群を最後まで検出できた場合は、センサすじが白すじである可能性は低くなる。そのため、S110で、センサすじではなく、センサ黒すじであると特定した上でエラーを通知してもよい。
【0084】
また、開始点1と開始点2は、検査対象画像において、印刷物が存在し得る可能性が高い領域の両外側から探索を開始するとよく、検査対象画像の用紙サイズが予め分かっている場合は、それに応じて探索開始位置を適宜調整してもよい。
【0085】
また、S110でセンサすじエラーを通知して検品処理を強制終了するのではなく、センサすじ発生部分を検査対象除外領域とし、その他センサすじが発生していない領域の検品処理を継続するような形態であってもよい。この場合、センサすじのエラー通知により強制終了するのではなく、センサすじ発生の旨の通知に留め、検品処理を最後まで継続する。
【0086】
図8は、センサすじ発生部分を検査対象除外領域と設定し、その他センサすじが発生していない領域の検品処理を継続する場合の処理手順を示すフローチャートである。図8では、図3の処理フローにおいて、S110の後に印刷検品処理を強制終了するのではなく、S111、S112のステップが追加されている。S111では、センサすじ発生部分を回避または修復した上で輪郭追跡を継続し、用紙頂点を決定する。次に、S112では、センサすじ発生部分を検査対象除外領域として設定する。
【0087】
以上説明したように、実施例1では、検査対象画像から用紙の輪郭追跡を行う際、センサすじが発生し得る方向に対して両外側から挟むように、輪郭抽出の開始点を複数設定し、それぞれの開始点から追跡したそれぞれの輪郭から算出したそれぞれの頂点の位置座標を比較する例を説明する。各開始点から追跡した輪郭から算出した頂点の位置座標が不一致の場合には、センサすじが用紙領域を分断または決壊させたとみなし、センサすじがある旨のエラーを通知する。実施例1によれば、検査対象画像にセンサすじが含まれた場合に、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができる。それにより、センサのメンテナンス等の適切な処置や、センサすじの発生部分を回避した上での検査継続を行うことができる。
【実施例0088】
実施例1では、検査対象画像にセンサすじが含まれた場合に、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができるが、センサすじが黒すじか白すじかの種別までは見分けられなかった。そこで、実施例2では、実施例1に加え、輪郭点群が不一致となった後に、輪郭追跡先が検査対象画像の端部にはみ出しているかを判定し、はみ出しなしの場合はセンサ黒すじがあるとのエラーを通知する。はみ出しがあり、はみ出し幅が小さいときはセンサ白すじがあるとのエラーを通知するという例を説明する。これにより、センサすじが黒すじか白すじかの種別を見分けた上で、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができる。以降、実施例1と共通の内容は説明を省略し、実施例2で特徴的な内容のみ説明する。
【0089】
(用紙輪郭点群抽出の処理フロー)
図9は、実施例2における用紙輪郭点群抽出の詳細な処理手順を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに従って説明する。S101からS109までは、実施例1と共通のため、説明を省略し、実施例2で追加したステップを以下説明する。
【0090】
S201は、S108で頂点群の座標が一致しない場合に、処理が行われる。S201において、検査対象画像の画像端部へのはみ出しがあるか否かを判断する。画像端部へのはみ出しは、輪郭追跡の追跡点が画像端部に達したか否かで判断する。
【0091】
S201において、画像端部へのはみ出しがない場合は、S202に移り、センサ黒すじエラーを通知し、印刷検品処理を強制終了する。このときの検査対象画像は、例えば、図10(a)に示すように、検査対象画像の中心部にセンサ黒すじが発生しており、201、202で示す画像端部でははみ出しがない状態である。
【0092】
一方、S201において、画像端部へのはみ出しがある場合は、S203に移る。S203では、はみ出し幅を算出する。はみ出し幅は、画像端部における白画素が連続する画素数を算出する。例えば、3画素のように算出する。
【0093】
次に、S204において、はみ出し幅が所定の閾値よりも小さい場合には、S205において、センサ白すじエラーを通知し、印刷検品処理を強制終了する。所定の閾値は、例えば、10画素とする。このときの検査対象画像は、例えば、図10(b)で示すように、検査対象画像の中心部にセンサ白すじが発生しており、203、204で示す画像端部で閾値よりも小さな幅で、はみ出しが発生した状態になっている。
【0094】
一方、はみ出し幅が閾値よりも小さくない場合には、S206において、用紙はみ出しエラーを通知し、印刷検品処理を強制終了する。このときの検査対象画像は、例えば、図10(c)のように、用紙の傾きが発生しており、205、206で示す画像端部で閾値よりも大きな幅で、はみ出しが発生した状態になっている。
【0095】
以上で、本フローチャートの説明を終了する。
【0096】
(変形例)
S201の画像端部へのはみ出しがあるか否かの判断は、S103及びS105の輪郭追跡の実行の時に随時行ってもよい。その場合、輪郭追跡先の画素が検査対象画像の画像端部に達した時点で、S103及びS105の処理を中断し、はみ出し幅を算出するステップであるS203に移動する処理フローであってもよい。
【0097】
また、はみ出し幅が小さくても、センサすじではなく、用紙が大きく傾くことで、用紙の一つの角が、わずかにはみ出た状態となる場合も起こり得る。その状態か否かを見分けるために、図11で示すように、図9の処理フローにS207を追加してもよい。S207では、はみ出し位置がスキャン方向の直交方向において略同一となる場合、例えば、図12(a)のような場合に、S205に移り、センサ白すじエラーを通知する。そうではない場合、例えば、図12(b)のような場合に、S206に移り、用紙はみ出しエラーを通知する。はみ出し位置が略同一か否かの判断は、所定の画素数を、例えば、20画素のような閾値で比較することで行う。このように、センサすじは、スキャン方向に対して、略一直線状に発生する特徴を利用して、センサすじか用紙傾きかを見分ける。
【0098】
また、例外的に、用紙と用紙外(黒枠)の相対的な大きさ、及び、用紙の傾き・ズレ量の関係によっては、用紙の上または下のいずれかのみが、わずかにはみ出る場合もあり得る。このような場合は、部分的なセンサすじが上端か下端のいずれかに発生したと判定される。ただし、部分的なセンサすじの発生の可能性が極端に少なく、用紙の搬送精度の方が顕著に発生するような場合には、はみ出し幅が短い場合であっても、用紙のはみ出しと判定してしまう構成であってもよい。
【0099】
以上説明したように、実施例2によれば、検査対象画像から用紙の輪郭追跡を行う際、輪郭点群が不一致となった後に、輪郭追跡先がスキャン画像の端部にはみ出しているかを判定する。そして、はみ出しなしの場合はセンサ黒すじがあるとのエラーを通知し、はみ出しがあり、はみ出し幅が小さいときはセンサ白すじがあるとのエラーを通知する。これにより、センサすじが黒すじか白すじかの種別を見分けた上で、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができる。
【実施例0100】
実施例1及び実施例2では、センサすじがスキャン方向に対して検査対象画像の全面に渡って発生している状態、特に、センサすじが画像の端部に2箇所かかっている場合を基本的には前提としていた。そのため、用紙輪郭の一部のみにかかるような部分的なセンサすじの場合は、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群とで対応する点の位置座標が一致してしまうため、センサすじと検出されなかった。
【0101】
実施例3では、実施例1に加え、第一の輪郭点群(頂点)の数と、第二の輪郭点群(頂点)の数とを算出し、輪郭点群の数が4以外の場合は、用紙領域の一部に部分的なセンサすじがある旨のエラーを通知する例を説明する。これにより、検査対象画像に用紙輪郭の一部のみにかかる部分的なセンサすじが含まれた場合であっても、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができる。以降、実施例1及び実施例2と共通の内容は説明を省略し、実施例3で特徴的な内容のみ説明する。
【0102】
(用紙輪郭点群抽出の処理フロー)
図13は、実施例3における用紙輪郭点群抽出の詳細な処理手順を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに従って説明する。S101からS110までは、実施例1と共通のため、説明を省略し、実施例3で追加したステップを以下説明する。
【0103】
追加したS301以降は、S108で輪郭点群の位置座標が一致した場合に、処理が行われる。
【0104】
まず、301において、第一の輪郭点群の数を算出する。ここでは、抽出した輪郭の頂点に相当する。
【0105】
次に、302において、第二の輪郭点群の数を算出する。ここでも、抽出した輪郭の頂点に相当する。
【0106】
次に、303において、輪郭点群の数が共に4個であるか否かを判断する。輪郭点群の数が共に4個である場合は、S109に移り、S109で用紙頂点を決定し、用紙輪郭点群の抽出処理を終了する。
【0107】
輪郭点群の数が共に4個でない場合は、S304に移り、部分的センサすじ発生エラーを通知し、印刷検品処理を強制終了する。このときの検査対象画像は、例えば、図14(a)及び(b)のように、用紙輪郭の一部にセンサ黒すじ216またはセンサ白すじ217が発生している。そのとき、図14(a)及び(b)に対応する、図14(c)及び図14(d)においてそれぞれ複数の白丸で示したように、第一の輪郭点群の数と第二の輪郭点群の数が8個ずつ存在する。
【0108】
このように、用紙輪郭の一部にセンサ黒すじまたはセンサ白すじが発生する場合は、紙面領域が閉じた平面であるため、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群の位置座標は一致する。ただし、輪郭点群の数はそれぞれ用紙輪郭抽出時に本来抽出されるべき4個ずつではなく、8個ずつとなる。このような特徴を利用して、部分的なセンサ黒すじか、部分的なセンサ白すじかを見分ける。
【0109】
以上で、本フローチャートの説明を終了する。
【0110】
以上説明したように、実施例3によれば、検査対象画像から用紙の輪郭追跡を行う際、第一の輪郭点群の数と、第二の輪郭点群の数とを算出し、輪郭点数の数が4以外の場合は、用紙領域の一部に部分的なセンサすじがある旨のエラーを通知する例を説明する。これにより、検査対象画像に用紙輪郭の一部のみにかかる部分的なセンサすじが含まれた場合であっても、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができる。
【実施例0111】
実施例3では、部分的なセンサすじがあることは見分けられたが、それが白すじか黒すじかまでは見分けられなかった。
【0112】
実施例4では、実施例1に加え、第一の輪郭点群の形状と、第二の輪郭点群の形状とを判定し、形状に凹部を含む場合はセンサ黒すじ、形状に凸部を含む場合はセンサ白すじと判定し、それぞれのすじがある旨のエラーを通知する。これにより、検査対象画像に用紙輪郭の一部のみにかかる部分的なセンサすじが含まれた場合であっても、センサすじが黒すじか白すじかの種別を見分けた上で、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができる。以降、実施例1から実施例3と共通の内容は説明を省略し、実施例4で特徴的な内容のみ説明する。
【0113】
(用紙輪郭点群抽出の処理フロー)
図15は、実施例4における用紙輪郭点群抽出の詳細な処理手順を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに従って説明する。S101からS110までは、実施例1と共通のため、説明を省略し、実施例4で追加したステップを以下説明する。
【0114】
追加したS401以降は、S108で輪郭点群の位置座標が一致した場合に、処理が行われる。
【0115】
まず、401において、第一の輪郭点群の形状を算出する。形状は、輪郭点群が構成する閉空間領域での頂点数や各頂点の角度、各辺の長さ、方向等の幾何情報を解析することで、判別する。
【0116】
次に、402において、第二の輪郭点群の形状を算出する。ここでの算出は、第一の輪郭点群の形状の算出と同様に行う。
【0117】
次に、403において、形状が共に四角形であるか否かを判断する。輪郭点群の数が共に四角形である場合は、S109に移り、S109で用紙頂点を決定し、用紙輪郭点群の抽出処理を終了する。一方、輪郭点群の数が共に四角形でない場合は、S404に移る。
【0118】
S404では、形状に凹部を含むか否かを判断する。形状を解析し、形状に凹部を含む場合は、S406に移る。一方、形状を解析し、形状に凹部を含まない場合は、S405に移り、部分的黒センサすじ発生エラーを通知する。
【0119】
S406では、形状に凸部を含むか否かを判断する。形状に凸部を含む場合は、S407に移り、部分的白センサすじ発生エラーを通知する。形状に凸部を含まない場合は、S408に移り、用紙形状エラーを通知する。
【0120】
S405、S407、S408のそれぞれにおいて、処理が終了次第、印刷検品処理を強制終了する。
【0121】
このときの検査対象画像は、例えば、図14を流用して説明すると、図14(a)及び(b)のように、用紙輪郭の一部にセンサ黒すじ216またはセンサ白すじ217が発生している。図14(a)の場合、センサ黒すじ216の部分が存在するため、輪郭点群は凹部を含む形状となる。また、図14(b)の場合、センサ白すじ217の部分が存在するため、輪郭点群は凸部を含む形状となる。
【0122】
このように、用紙輪郭の一部にセンサ黒すじまたはセンサ白すじが発生する場合は、紙面領域が閉じた平面となる。そのため、第一の輪郭点群と第二の輪郭点群の位置座標は一致するが、輪郭点群の形状は、用紙輪郭抽出時に本来であれば四角形となるべきところが、凹部を含む形状、または凸部を含む形状のように四角形とは異なる形状となる。このような特徴を利用して、部分的なセンサ黒すじか、部分的なセンサ白すじかを見分ける。
【0123】
以上で、本フローチャートの説明を終了する。
【0124】
以上説明したように、実施例4によれば、検査対象画像から用紙の輪郭追跡を行う際、第一の輪郭点群の形状と、第二の輪郭点群の形状とを判定し、形状に凹部を含む場合はセンサ黒すじ、形状に凸部を含む場合はセンサ白すじと判定する。そして、それぞれのすじがある旨のエラーを通知する。これにより、検査対象画像に用紙輪郭の一部のみにかかる部分的なセンサすじが含まれた場合であっても、センサすじが黒すじか白すじかの種別を見分けた上で、センサすじ発生時のエラーの原因を正しく返すことができる。
【0125】
[その他の実施例]
以上の実施例では、センサすじが1本発生する場合を例に説明したが、センサすじが複数本発生しても、本発明を適用できる。第一の頂点群と第二の頂点群との位置関係を比較し、離間距離が大きい場合は、間に未抽出の用紙領域が含まれると判断し、2本以上のセンサすじが含まれる可能性がある旨のエラーを通知すればよい。あるいは、輪郭抽出の開始点を、未抽出の領域のスキャン方向と直交する辺の外側から追跡し、未抽出の領域の用紙輪郭を追跡することで、より詳細にセンサすじの有無を解析してもよい。未抽出の領域がなくなるまで、再帰的に輪郭追跡処理を繰り返すとよい。
【0126】
また、輪郭点群の内部の画素値の情報も利用して、それに基づき、輪郭点群が用紙領域か(画素値が1または255等(白))、用紙領域外か(画素値が0(黒))を判別し、それに応じて、より詳細にセンサすじの有無を解析してもよい。
【0127】
また、以上の実施例では、検査対象画像に用紙周辺の紙白部分が含まれることを前提にして説明した。一方で、用紙全面がフチなしで印刷された検査対象画像の場合には、用紙の位置を絵柄やセット位置から別途取得し、用紙周辺部分に輪郭追跡ができるように白画素領域を追加してもよい。
【0128】
また、用紙と用紙外(黒枠)の相対的な大きさ、及び、用紙の傾き・ズレ量の関係によっては、用紙の上または下のいずれかのみが、わずかにはみ出る場合もあり得る。このような場合は、部分的なセンサすじが上端か下端のいずれかに発生したと判定される。ただし、部分的なセンサすじの発生の可能性が極端に少なく、用紙の搬送精度の方が顕著に発生するような場合には、はみ出し幅が短い場合であっても、用紙のはみ出しと判定してしまう構成であってもよい。
【0129】
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 印刷検品装置
11 検査対象画像取得部
12 用紙輪郭点群(頂点)抽出部
13 リファレンス画像作成部
14 画像位置合わせ部
15 画像検査部
16 エラー通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15