(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184101
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】複数の通信規格の通信を共存させる基地局装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/18 20090101AFI20221206BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20221206BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20221206BHJP
【FI】
H04W28/18 110
H04W24/10
H04W16/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091751
(22)【出願日】2021-05-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴山 昌也
(72)【発明者】
【氏名】梅原 雅人
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067DD45
5K067EE02
5K067EE04
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】周波数リソースを共有するシステム間の干渉の影響を考慮した通信を可能とすること。
【解決手段】第1の通信規格と第2の通信規格とを用いて、共通の周波数帯域を共用する通信システムにおいて前記第1の通信規格を用いて端末装置と通信する基地局装置は、その周波数帯域において第2の通信規格の信号が送信されていない間に第1の通信規格の第1の所定の信号が基地局装置から送信された際の、端末装置における第1の所定の信号の第1の無線品質を取得し、第2の通信規格の第2の所定の信号の第2の無線品質を測定するように端末装置に指示し、第2の無線品質の測定の結果を受信し、第1の無線品質第2の無線品質とに基づいて、端末装置へ第1の通信規格を用いてユーザデータを送信する際の変調および符号化方式(MCS)を決定し、そのMCSを用いて、端末装置へユーザデータを送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信規格と第2の通信規格とを用いて、共通の周波数帯域を共用する通信システムにおいて前記第1の通信規格を用いて端末装置と通信する基地局装置であって、
前記周波数帯域において前記第2の通信規格の信号が送信されていない間に前記第1の通信規格の第1の所定の信号が前記基地局装置から送信された際の、前記端末装置における当該第1の所定の信号の第1の無線品質を取得する取得手段と、
前記第2の通信規格の第2の所定の信号の第2の無線品質を測定するように前記端末装置に指示する指示手段と、
前記第2の無線品質の測定の結果を受信する受信手段と、
前記第1の無線品質と前記第2の無線品質とに基づいて、前記端末装置へ前記第1の通信規格を用いてユーザデータを送信する際の変調および符号化方式(MCS)を決定する決定手段と、
前記MCSを用いて、前記端末装置へユーザデータを送信する送信手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記第1の無線品質と前記第2の無線品質とに基づいて、前記端末装置へ前記第1の通信規格に従ってユーザデータを送信した場合の信号対干渉および雑音比(SINR)を推定し、当該SINRに基づいて前記MCSを決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第1の無線品質と前記第2の無線品質との差に、前記ユーザデータが送信される周波数および時間のリソースの量に対する、前記第2の所定の信号が送信される周波数および時間のリソースの量に基づくオフセット値を加えることにより前記SINRを推定する、ことを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記指示手段は、前記第2の通信規格に従って通信する他の基地局装置からの前記第2の所定の信号を測定するように指示する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項5】
前記指示手段は、前記基地局装置から送出される前記第2の所定の信号、又は、前記基地局装置に関連付けられると共に前記第2の通信規格に従って通信する所定の基地局装置から送出される前記第2の所定の信号を、測定の対象としないように指示する、ことを特徴とする請求項4に記載の基地局装置。
【請求項6】
前記指示手段は、前記第2の無線品質が所定値を超えた場合に前記基地局装置へ前記測定の結果を報告させる指示を前記端末装置へ送信する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項7】
前記第1の通信規格は第5世代(5G)規格であり、前記第2の通信規格はロングタームエボリューション(LTE)規格である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項8】
第1の通信規格と第2の通信規格とを用いて、共通の周波数帯域を共用する通信システムにおいて前記第1の通信規格を用いて端末装置と通信する基地局装置によって実行される通信方法であって、
前記周波数帯域において前記第2の通信規格の信号が送信されていない間に前記第1の通信規格の第1の所定の信号が前記基地局装置から送信された際の、前記端末装置における当該第1の所定の信号の第1の無線品質を取得することと、
前記第2の通信規格の第2の所定の信号の第2の無線品質を測定するように前記端末装置に指示することと、
前記第2の無線品質の測定の結果を受信することと、
前記第1の無線品質と前記第2の無線品質とに基づいて、前記端末装置へ前記第1の通信規格を用いてユーザデータを送信する際の変調および符号化方式(MCS)を決定することと、
前記MCSを用いて、前記端末装置へユーザデータを送信することと、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項9】
第1の通信規格と第2の通信規格とを用いて、共通の周波数帯域を共用する通信システムにおいて前記第1の通信規格を用いて端末装置と通信する基地局装置に備えられたコンピュータに、
前記周波数帯域において前記第2の通信規格の信号が送信されていない間に前記第1の通信規格の第1の所定の信号が前記基地局装置から送信された際の、前記端末装置における当該第1の所定の信号の第1の無線品質を取得させ、
前記第2の通信規格の第2の所定の信号の第2の無線品質を測定するように前記端末装置に指示させ、
前記第2の無線品質の測定の結果を受信させ、
前記第1の無線品質と前記第2の無線品質とに基づいて、前記端末装置へ前記第1の通信規格を用いてユーザデータを送信する際の変調および符号化方式(MCS)を決定させ、
前記MCSを用いて、前記端末装置へユーザデータを送信させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム間における干渉を考慮した通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)による第5世代(5G)の無線通信規格に従う無線通信システムが展開されている。この5Gの無線通信システムは、発展の途上であり、第4世代(4G)の無線通信規格(例えばロングタームエボリューション(LTE)規格)の無線通信システムと共に利用されている。このような環境において、5Gの無線通信システムで使用可能な周波数リソースを増やすために、4Gの無線通信システムにおいて使用されている周波数リソースを使用することが想定されている(特許文献1参照)。
【0003】
LTE規格では、直交周波数分割多元接続をベースとして、周波数キャリアと1つのOFDMシンボルとからなるリソースエレメントを最小の無線リソースの単位としている。そして、複数のリソースエレメントを1つのリソースブロックとして、そのリソースブロックを通信に割り当てる最小の単位として、基地局装置と端末装置との間での通信が行われる。LTE規格では、参照信号が配置されるリソースエレメントがシステム帯域の全体に分散しており、基地局装置は、ユーザデータを送信しないリソースブロックにおいても参照信号を送信することになっている。したがって、LTE規格においてユーザデータの通信のために割り当てられていないリソースブロックを5Gの通信のために割り当てる場合、LTE規格の参照信号が5Gの通信へ干渉することとなる。
【0004】
セルラ通信システムにおいては、端末装置が実際にユーザデータの通信を行う前に、接続の確立制御などのために、システム情報や同期信号が送出される。LTEと5Gの通信が共存する環境では、特許文献1のように、LTEの参照信号等が送信されないサブフレームを設定して5Gのシステム情報等が送信されることが想定される。これにより、端末装置は、干渉のない状況でシステム情報等を受信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
5Gでは、端末装置において基地局装置からの信号が測定され、その信号の無線品質に基づいて変調および符号化方式(MCS)が決定され、そのMCSを用いて基地局装置と端末装置との間の通信が行われる。このとき、上述のように、5Gのシステム情報や同期信号などの所定の信号は、LTEの参照信号等が送信されない環境において送信される。このため、この所定の信号が測定される場合、LTEの信号からの干渉のない環境で測定が行われることになる。一方で、5Gのユーザデータの通信は、LTEの信号からの干渉のある状況で行われることが想定される。したがって、ユーザデータの通信の際に、所定の信号の測定に基づいて決定されたMCSを用いると、実際にはLTEの信号による干渉で無線品質が劣化する(信号対干渉および雑音比(SINR)が低下する)ため、通信エラーが発生してしまいうる。
【0007】
なお、1つの基地局装置がLTEの通信と5Gの通信とを実行可能な場合、その基地局装置が、LTEの参照信号が送信されない時間・周波数リソースにおいて5Gの信号を送信することによって、その干渉を防ぐことができる。しかしながら、この場合であっても、例えば隣接する他の基地局装置から送信された参照信号からの干渉は発生してしまう。
【0008】
本発明は、周波数リソースを共有するシステム間の干渉の影響を考慮した通信を可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による基地局装置は、第1の通信規格と第2の通信規格とを用いて、共通の周波数帯域を共用する通信システムにおいて前記第1の通信規格を用いて端末装置と通信する基地局装置であって、前記周波数帯域において前記第2の通信規格の信号が送信されていない間に前記第1の通信規格の第1の所定の信号が前記基地局装置から送信された際の、前記端末装置における当該第1の所定の信号の第1の無線品質を取得する取得手段と、前記第2の通信規格の第2の所定の信号の第2の無線品質を測定するように前記端末装置に指示する指示手段と、前記第2の無線品質の測定の結果を受信する受信手段と、前記第1の無線品質と前記第2の無線品質とに基づいて、前記端末装置へ前記第1の通信規格を用いてユーザデータを送信する際の変調および符号化方式(MCS)を決定する決定手段と、前記MCSを用いて、前記端末装置へユーザデータを送信する送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周波数リソースを共有するシステム間の干渉の影響を考慮した通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】基地局装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】第1の基地局装置の機能構成例を示す図である。
【
図4】第2の基地局装置の機能構成例を示す図である。
【
図5】無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【
図6】無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
(通信システムの構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、複数の無線通信規格による周波数および時間、空間などの無線リソースの共用が行われる無線通信システムである。一例において、無線通信システムは第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従うセルラ通信システムである。以下では、複数の無線通信規格として、第1の通信規格として第5世代(5G)規格(New Radio(NR)規格)が用いられ、第2の通信規格としてロングタームエボリューション(LTE)規格が用いられるものとする。本無線通信システムは、例えば、LTEと5Gとの両方での通信が可能な第1の基地局装置101および第2の基地局装置102とを含んで構成される。
【0014】
第1の基地局装置101および第2の基地局装置102は、例えば、LTE用の通信回路と5G用の通信回路を有し、それらを協調させて、共通のアンテナからLTEの信号と5Gの信号とを送信しうる。また、第1の基地局装置101および第2の基地局装置102は、共通のアンテナによってLTEの信号と5Gの信号とが混在する信号を受信し、その受信信号から、LTEの信号と5Gの信号とを分離することができるように構成されうる。これにより、第1の基地局装置101および第2の基地局装置102は、LTE規格に準拠した端末装置および5G規格に準拠した端末装置と並行して通信することができる。なお、これは一例であり、第1の基地局装置101および第2の基地局装置102は、1つ以上のLTE用の基地局装置と1つ以上の5G用の基地局装置とを含む基地局装置の集合体として構成されてもよい。この場合、LTE用の基地局装置と5G用の基地局装置は、例えば相互に物理的に接続されると共に論理的に相互に関連付けられ、協調して通信を行うことが可能に構成される。一例において、LTE用の基地局装置が、5Gの制御のために他の(5G用の基地局装置と関連付けられていても関連付けられていなくてもよい)LTEの基地局装置と、例えばX2インタフェースやS1インタフェースを介して通信することができる。例えば、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102は、LTEの通信機能を用いてX2インタフェースやS1インタフェースを介して相互に通信しうる。なお、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102は、5Gの通信機能を用いて相互に通信してもよい。
【0015】
端末装置103は、例えば第1の基地局装置101との間で、5G規格に従って通信可能なユーザ端末(UE)でありうる。なお、端末装置103は、一例において、LTE規格での通信も可能に構成され、5Gでの通信ができない場合などにLTEでの通信を行うように構成されうる。端末装置103は、例えば、第1の基地局装置101の5G通信機能による制御の下で5Gネットワークに接続し、5G規格に従う通信しうる。また、端末装置103は、例えば、第1の基地局装置101の5G通信機能による指示を受けて、LTE規格の信号を測定することも可能に構成される。
【0016】
LTEの基地局装置は、ユーザデータを送信しない間もシステム周波数帯域の全域にわたって、特定のリソースエレメントにおいて参照信号(セル固有参照信号)を送信することになっている。このため、5Gの通信が同じシステム周波数帯域を共用する場合であっても、5Gのユーザデータの通信中にLTEの参照信号が送信されることとなる。
【0017】
一方で、5Gの基地局装置が、同期信号やシステム情報などの、システムにとって重要な所定の信号を送信する際には、例えばMBSFN(Multicast-broadcast single-frequency network)の仕組みを用いて、LTEの参照信号が送信されない環境が形成されうる。この場合、端末装置103は、LTEの参照信号による干渉の影響がない状態で、その5Gの所定の信号を受信することができる。本実施形態では、端末装置103は、この所定の信号に基づいて、第1の基地局装置101に接続するものとする。一例において、端末装置103は、同期信号や参照信号等の5Gの所定の信号を測定することによって、初期アクセスのための無線品質(例えば受信電力)を特定し、第1の基地局装置101へ通知することができる。第1の基地局装置101は、接続状態の端末装置103から、無線品質の測定結果の報告を受信し、端末装置103へ信号を送信する際の変調および符号化方式(MCS)を決定する。このとき、端末装置103が、上述のようにLTEの参照信号が送信されない環境において無線信号の測定を行うと、ユーザデータの通信環境においてはLTEの参照信号によって干渉を受けるため、決定したMCSを用いると、実際の通信環境では干渉の影響により通信エラーが発生してしまいうる。
【0018】
本実施形態では、このような事情に鑑み、第1の基地局装置101の5G用の構成部分は、初期接続の際に、LTEの参照信号が送信されていない間に端末装置103によって測定された第1の無線品質を取得した場合に、その端末装置103に対して、LTEの無線品質を測定するように指示する。そして、端末装置103は、例えばLTEの参照信号(セル固有参照信号)の第2の無線品質(RSRP(参照信号受信電力)など)を測定し、その測定の結果を第1の基地局装置101へ通知する。そして、第1の基地局装置101は、取得した第1の無線品質と第2の無線品質とに基づいて、LTEの参照信号による干渉を受ける場合の変調および符号化方式(MCS)を決定しうる。
【0019】
一例において、第1の基地局装置101は、信号対干渉および雑音比(SINR)を推定し、そのSINRに基づいてMCSを決定しうる。ここで、SINRは、以下の式に基づいて算出されうる:
SINR=第1の無線品質(dB)-第2の無線品質(dB)
【0020】
なお、「(dB)」は、対数を用いて受信電力等の値を表現していることを示している。すなわち、対数を用いずに記述する場合には、SINR=第1の無線品質/第2の無線品質のように表現可能である。なお、無線品質は、一例において受信電力であるが、信号対雑音比(SNR)や、SINR等であってもよい。また、第1の無線品質及び第2の無線品質の測定を行う際の、測定対象の信号は、任意の信号でありうる。すなわち、同期信号や参照信号などが測定対象になりうるが、これらに限られず、システム情報が送信される信号や、場合によってはユーザデータなどの、他の信号が測定対象とされてもよい。なお、第1の基地局装置101は、端末装置103からの報告に基づいて第1の無線品質を取得しうるが、例えば、端末装置103から送信された信号の無線品質を測定することにより、第1の無線品質を推定するようにしてもよい。すなわち、端末装置103からの報告によらずに、第1の無線品質が取得されてもよい。
【0021】
なお、第2の無線品質は、例えば、LTEの参照信号などに基づいて特定されるが、LTEの参照信号は一部の周波数および時間リソース(リソースエレメント)においてのみ送信される。このため、LTEのユーザデータが送信されないリソースを用いて端末装置103に対して送信される信号は、一部の周波数および時間リソースのみにおいて干渉を受け、その他の周波数および時間リソースでは干渉を受けないことが想定される。このため、上述のようにして推定したSINRは、実際のユーザデータの通信環境と比して干渉が多く見積もられている可能性がある。このため、第1の基地局装置101は、5Gのユーザデータが送信される周波数および時間リソースの量に対する、LTEの参照信号が送信される周波数および時間のリソースの量に基づくオフセット値を用いて、SINR値を推定してもよい。この場合、例えば推定SINR値は、以下のように算出されうる:
SINR=第1の無線品質(dB)-第2の無線品質(dB)+オフセット値(dB)
【0022】
なお、オフセット値は、例えば、以下のように算出される:
オフセット値=(5Gのユーザデータの送信用の第1のリソースの量)/(第1のリソースのうちでLTEの参照信号が送信される第2のリソースの量)
【0023】
例えば、5Gのユーザデータが送信されるリソースの1/5のリソースにおいて、LTEの参照信号が送信される場合、対数を用いずに、SINR=(第1の無線品質×5)/第2の無線品質のように、SINRを算出することができる。これによれば、測定によって得られた第2の無線品質と、実際のユーザデータの通信の際に受ける干渉の量との関係をオフセット値により補正することにより、実際の通信環境におけるSINRをより正確に推定することができる。
【0024】
第1の基地局装置101は、上述のようにしてSINRを推定すると、そのSINRに対応するMCSを選択する。例えば、第1の基地局装置101は、SINRの推定値とMCSとを関連付けたルックアップテーブルを用意しておき、そのテーブルを参照して、推定したSINR値に対応するMCSを特定することにより、端末装置103へのユーザデータの送信に用いるMCSを決定しうる。なお、上述のようなSINRを推定する処理は省略されてもよく、例えば、第1の基地局装置101は、第1の無線品質と第2の無線品質との組み合わせに対応するルックアップテーブルを用いて、対応するMCSを選択してもよい。また、第1の基地局装置101は、第1の無線品質と第2の無線品質とを用いて、他の方法でMCSを決定してもよい。以上のような処理によれば、第1の基地局装置101は、端末装置103との接続を確立した直後から、適切なMCSを使用することができるようになる。
【0025】
なお、第1の基地局装置101は、端末装置103に対して、測定対象のLTEの基地局装置(セル)を指定して、そのLTEの基地局装置からの所定の信号の無線品質の測定を指示しうる。すなわち、第1の基地局装置101は、端末装置103に対して、測定対象外のLTEの基地局装置については測定しないように指示することができる。なお、第1の基地局装置101は、測定対象の基地局装置を指定せず、端末装置103に対して、検出可能な全てのLTEの所定の信号を測定させるようにしてもよい。
【0026】
また、第1の基地局装置101は、例えば、測定の結果が所定値を超えた場合に、その結果を報告するように端末装置103に指示してもよい。このとき、第1の基地局装置101は、例えば、測定の結果が所定値を超えた回数が所定回数に達した場合に測定結果を報告させるように指示してもよいし、所定期間にわたって測定の結果が所定値を超え続けた場合に測定結果を報告させるように指示してもよい。この指示は、例えば、5G規格において規定されている無線アクセス技術(RAT)間ハンドオーバのための測定指示でありうる。RAT間ハンドオーバのための測定指示に関するイベントとして、RATの異なる(すなわち無線通信規格の異なる)隣接セルにおける無線品質の測定結果が所定の閾値を超えた場合に基地局装置へ報告を送信することを規定するEventB1が存在する。このEventB1を利用することにより、端末装置103に、受信信号の電力が閾値を超えた周囲のLTEのセル(すなわち、基地局装置)を報告させることができる。第1の基地局装置101は、雑音レベルでない干渉を及ぼしうる電力などのレベルとなるようにこの閾値を定めることにより、端末装置103へ送信される信号が受ける干渉を正確に特定することができる。
【0027】
なお、第1の基地局装置101は、端末装置103に対して5Gの通信サービスを提供しているセルと共通のエリアを有する、第1の基地局装置101によって形成されたLTEのセルについては、測定対象から除くように、端末装置103へ指示しうる。第1の基地局装置101は、端末装置103に割り当てられるリソースを認識しており、また、セル111でのLTEの信号がどの程度のレベルで干渉するかを事前に認識できるため、端末装置103にその測定をさせる必要がないからである。さらに、第1の基地局装置101は、セル111でLTEの参照信号が送信されるリソースにおいて5Gのユーザデータを送信しないようにすることもできる。第1の基地局装置101は、例えば、端末装置103への測定指示によって、例えば隣接セルリストに含まれるセルなどの事前設定されたセルの測定を実行させうる。この場合、そのセルの中にセル111が含まれうるが、第1の基地局装置101は、セル111を測定対象から除くことを示す情報を測定指示に含めうる。また、端末装置103への測定指示において測定対象とするセルを都度指定してもよい。この場合、第1の基地局装置101は、測定対象のセルにセル111を含めないようにしてもよい。これにより、端末装置103に不要な測定を実行させないようにすることができる。
【0028】
なお、端末装置103は、第1の基地局装置101と接続中に、隣接する5Gの他の基地局装置(例えば第2の基地局装置102の5G機能部分)から送信される同期信号やシステム情報を受信して、その情報に基づいて隣接する5Gの他の基地局装置にハンドオーバしうる。このハンドオーバの際にも、5Gの無線品質が、LTEの参照信号が送信されない環境において測定されるため、上述のようにしてMCSを決定することができる。以下では、一例として、端末装置103が第2の基地局装置102へハンドオーバする場合について説明する。
【0029】
この場合、ハンドオーバ元の第1の基地局装置101は、端末装置103と5Gの通信中に、その端末装置103との通信に関する第1の無線品質を取得しておく。第1の基地局装置101は、例えば、通信中の端末装置103に、リソース割り当て等のために無線品質の測定の結果を報告させることにより、一定周期で第1の無線品質の情報を取得しうる。なお、第1の基地局装置101は、端末装置103から送信された上りリンクの信号を測定することにより、下りリンクに関する第1の無線品質を推定しうる。
【0030】
この第1の無線品質は、第1の基地局装置101から送信された信号が、端末装置103にどの程度の無線品質で到達するかを示す値である。このため、ハンドオーバ後には、第1の無線品質に相当する第2の無線品質のLTEの干渉が、第1の基地局装置101から端末装置103へ届くこととなる。したがって、第1の基地局装置101は、この第1の無線品質に基づいて、ハンドオーバ後に、第1の基地局装置101のLTE機能部分が送信する信号による干渉の量を推定する。例えば、第1の基地局装置101は、その第1の無線品質から、上述のオフセット値を減じることにより、ハンドオーバ後に与える干渉の量を推定することができる。そして、第1の基地局装置101は、推定した干渉の量を、ハンドオーバ先の第2の基地局装置102へ通知する。この通知は、例えば、ハンドオーバ要求メッセージ(HANDOVER REQUEST)メッセージ等のハンドオーバに関連するメッセージによって、第1の基地局装置101から第2の基地局装置102へ送信されうる。
【0031】
第2の基地局装置102は、端末装置103のハンドオーバを受け付けると、自装置が送信した5Gの信号の、端末装置103において得られる無線品質を取得する。この無線品質は、端末装置103からの報告によって取得されてもよいし、第2の基地局装置102による端末装置103から送信された信号の測定によって取得されてもよい。そして、第2の基地局装置102は、第1の基地局装置101から通知された干渉の量の推定値を用いて、端末装置103へユーザデータを送信する際に用いるMCSを決定しうる。これによれば、第2の基地局装置102は、端末装置103のハンドオーバの完了直後から、適切なMCSを使用することができるようになる。なお、第2の基地局装置102は、自ら取得した5Gの無線品質と、第1の基地局装置102から受信した干渉の量とに基づいてSINRを推定して、そのSINRに基づいてMCSを決定してもよいし、無線品質及び干渉の量とMCSとの関係を示すルックアップテーブルを用いてMCSを決定してもよい。また、他の方法によってMCSが決定されてもよい。
【0032】
なお、上述の説明では、第1の基地局装置101が、第1の無線品質から干渉の量を推定する際に、オフセット値を適用する例を示したが、これに限られない。例えば、第1の基地局装置101は、第1の無線品質を示す情報を第2の基地局装置102へ通知し、第2の基地局装置102は、その通知された第1の無線品質にオフセット値を適用して干渉の量を推定するようにしてもよい。
【0033】
なお、第1の基地局装置101は、端末装置103と接続中に、LTEの基地局装置から送信された信号に関する第2の無線品質を測定するように端末装置103に指示しうる。この指示は、上述の初期接続の際の指示と同様でありうる。そして、第1の基地局装置101は、上述の第1の無線品質に加えて、その第2の無線品質を考慮して、ハンドオーバ後の干渉の量を推定するようにしうる。例えば、第1の基地局装置101は、第1の無線品質と第2の無線品質とを加算した結果を、干渉の量として推定しうる。また、第1の基地局装置101は、第2の無線品質に関して、LTEのセルの識別情報と干渉量との関係の情報を取得し、第2の基地局装置102(又は、ハンドオーバ先の第2の基地局装置102の5G機能部分と周波数共用制御を実行するLTE機能部分)から送出されているLTEの信号に関しては加算せず、それ以外のLTEの基地局装置からの信号に関する第2の無線品質と、第1の無線品質とを加算した結果を、干渉の量として推定しうる。これにより、端末装置103がハンドオーバ後に受ける干渉の量をより正確に推定することが可能となる。
【0034】
以下では、上述のような処理を実行する第1の基地局装置101および第2の基地局装置102の構成例と、実行される処理の流れの例について説明する。
【0035】
(装置構成)
図2を用いて、第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102のハードウェア構成例について説明する。第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、第1の基地局装置101や第2の基地局装置102が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、LTEや5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102は、複数の通信回路を有しうる。例えば、第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102は、LTE用および5G用の無線通信回路と共通のアンテナを有しうる。なお、第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102は、LTE用のアンテナと5G用のアンテナとを別個に有してもよい。また、第1の基地局装置101及び第2の基地局装置102は、さらに、他の基地局装置やコアネットワークのノードと通信する際に使用される有線通信回路を有しうる。なお、第1の基地局装置101および第2の基地局装置102は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。
【0036】
図3は、第1の基地局装置101の機能構成例を示す図である。第1の基地局装置101は、その機能として、例えば、5G品質取得部301、測定指示部302、LTE品質受信部303、MCS決定部304、および、通信部305を有する。また、第1の基地局装置101は、干渉量推定部306および推定値通知部307を有しうる。なお、
図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、第1の基地局装置101が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、第1の基地局装置101は、LTEおよび5Gの基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。なお、ここでの「第1の基地局装置101」は、端末装置103に対して5Gの通信を提供する基地局装置(例えば第1の基地局装置101のセル111を提供する機能部分)である。また、第1の基地局装置101は、後述の第2の基地局装置102の機能をも当然に有しうる。
【0037】
5G品質取得部301は、端末装置103が5Gの信号を受信する際の第1の無線品質を取得する。5G品質取得部301は、例えば、5Gの同期信号や参照信号等の所定の信号を端末装置103に測定させ、その測定結果の通知を端末装置103から受信することにより、第1の無線品質を取得しうる。また、5G品質取得部301は、端末装置103から送信された信号の無線品質を測定することにより、第1の無線品質を推定しうる。測定指示部302は、端末装置103に対して、LTEの参照信号等の所定の信号を測定するように指示する。この指示は、例えば、RAT間ハンドオーバのための測定報告を設定する無線リソース制御(RRC)メッセージによって、端末装置103へ送信される。例えば、RRCReconfigurationメッセージによって、端末装置103にLTEの信号の測定を実行させうる。LTE品質受信部303は、測定指示部302による指示に従って端末装置103によって実行されたLTEの信号の測定結果を、端末装置103から受信して、その測定結果を第2の無線品質とする。MCS決定部304は、5G品質取得部301によって取得された第1の無線品質と、LTE品質受信部において受信された第2の無線品質とに基づいて、端末装置103へ信号を送信する際のMCSを決定する。MCS決定部304は、5Gのユーザデータの送信に使用される第1のリソースの量と、その第1のリソースのうちのLTEの参照信号が送信される第2のリソースの量との比に基づくオフセット値に基づいて、MCSを決定してもよい。通信部305は、MCS決定部304が決定したMCSを用いた端末装置103へのユーザデータの送信等の、端末装置103との通信を実行する。これらの機能により、第1の基地局装置101は、端末装置103との初期接続の直後に、LTEの参照信号の影響を考慮した適切なMCSを選択して使用することができるようになる。
【0038】
また、第1の基地局装置101と端末装置103との通信中に無線品質が劣化した場合などに、端末装置103が、第1の基地局装置101から第2の基地局装置102へハンドオーバしうる。この場合、干渉量推定部306が、5G品質取得部301によって取得された第1の無線品質に基づいて、ハンドオーバ後に、第1の基地局装置101のLTE機能部分によって端末装置103へ与える干渉の量を推定する。また、干渉量推定部306は、LTE品質受信部303によって推定された第2の無線品質にさらに基づいて、ハンドオーバ後の干渉の量を推定してもよい。そして、推定値通知部307は、ハンドオーバ先の第2の基地局装置へ、ハンドオーバ後のLTEの信号による干渉の量の推定値を通知する。なお、ここでの推定値は、上述のオフセット値が適用された値であってもよいし、オフセット値が適用されていない値であってもよい。なお、ここで通知される干渉の量は、干渉の無線品質の情報など、第2の基地局装置102においてMCSの特定に使用可能な任意の情報でありうる。これにより、第2の基地局装置102が、ハンドオーバの完了直後に端末装置103へ送信した信号がLTEの信号から受ける干渉の量を特定することが可能となる。
【0039】
図4は、端末装置103のハンドオーバを受け付ける第2の基地局装置102の機能構成例を示す図である。第2の基地局装置101は、その機能として、例えば、5G品質取得部401、干渉推定値受信部402、MCS決定部403、および、通信部404を有する。なお、
図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、第2の基地局装置102が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、第2の基地局装置102は、LTEおよび5Gの基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。なお、ここでの「第2の基地局装置102」は、端末装置103に対して5Gの通信を提供する基地局装置である。また、第2の基地局装置102は、上述の第1の基地局装置101の機能をも当然に有しうる。
【0040】
5G品質取得部401は、第1の基地局装置101の5G品質取得部301と同様である。すなわち、5G品質取得部401は、端末装置103がハンドオーバ後に5Gの信号を受信する際の第1の無線品質を取得する。例えば、5G品質取得部401は、端末装置103がハンドオーバ処理を実行中に測定した無線品質や、端末装置103がハンドオーバ処理を実行中に送信した信号の受信品質を測定して、第1の無線品質を取得する。干渉推定値受信部402は、第1の基地局装置101の推定値通知部307から、干渉量の推定値を受信する。一例において、推定値受信部402は、ハンドオーバ要求メッセージ等のハンドオーバに関する所定のメッセージによって、干渉量の推定値を受信する。MCS決定部403は、5G品質取得部401によって取得された第1の無線品質と、干渉推定値受信部402によって取得された干渉の量(第2の無線品質)とに基づいて、ハンドオーバ後の端末装置103へユーザデータを送信する際に使用するMCSを決定する。MCS決定部403は、第1の基地局装置101のMCS決定部304と同様である。通信部404は、MCS決定部403が決定したMCSを用いた端末装置103へのユーザデータの送信等の、端末装置103との通信を実行する。これらの機能により、第2の基地局装置102は、端末装置103のハンドオーバを受け付けてそのハンドオーバの処理が完了した直後に、LTEの参照信号の影響を考慮した適切なMCSを選択して使用することができるようになる。
【0041】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態に係る無線通信システムにおいて実行される処理の流れの例について、
図5および
図6を用いて概説する。
図5は、第1の基地局装置101と端末装置103との間で初期接続が確立されて、第1の基地局装置101から下りリンクのユーザデータが送信される際の処理を示している。また、
図6は、端末装置103が、ハンドオーバにより第1の基地局装置101から第2の基地局装置102へ接続先を切り替え、第2の基地局装置102から下りリンクのユーザデータが送信される際の処理を示している。なお、各処理の詳細については上述の通りであるため、ここでは処理の概要を説明するにとどめ、その詳細については説明を省略する。
【0042】
図5において、端末装置103と第1の基地局装置101との間で接続処理が実行される(S501)。第1の基地局装置101は、例えば、この処理中に、端末装置103から、5Gの同期信号等の所定の信号の測定結果を示す第1の無線品質の情報を取得する(S502)。なお、第1の基地局装置101は、接続処理の完了後に第1の無線品質の情報を端末装置103から取得してもよいし、端末装置103から送信された信号を観測することによって得られた無線品質の推定値を第1の無線品質として取得してもよい。第1の基地局装置101は、例えば、接続処理中又は接続処理の完了後に、端末装置103に対して、LTEの参照信号等の所定の信号を測定させ、第2の無線品質を報告するように指示を送信する(S503)。第1の基地局装置101は、例えば、RRCメッセージによってRAT間ハンドオーバのための測定報告を行わせることによって、端末装置103に対して、第2の無線品質の測定報告指示を送信しうる。
【0043】
端末装置103は、S503の測定指示に応じて、周囲のLTEの基地局装置(例えば第2の基地局装置102のLTE機能部分や、第1の基地局装置101のセル112に関するLTE機能部分)から送信されるセル固有参照信号等の所定の信号を測定する(S504)。そして、端末装置103は、その測定結果を示す第2の無線品質の情報を第1の基地局装置101へ通知する(S505)。
【0044】
第1の基地局装置101は、S502で取得した第1の無線品質と、S505で受信した第2の無線品質とに基づいて、端末装置103へユーザデータを送信する際に使用すべきMCSを決定する(S506)。そして、第1の基地局装置101は、決定したMCSを用いて、端末装置103へユーザデータを送信する(S507)。このようにして、第1の基地局装置101は、初期接続の確立後すぐに、端末装置103へ適切なMCSを使用してユーザデータを送信することができるようになる。
【0045】
続いて、
図6を用いてハンドオーバの際の処理について説明する。例えば、第1の基地局装置101と端末装置103が通信中に(S601)、端末装置103が移動したことなどにより、第1の基地局装置101は、端末装置103を第2の基地局装置102へとハンドオーバさせることを決定しうる。第1の基地局装置101は、5Gの通信を端末装置103との間で行っている間に、例えば、無線品質の報告(例えばCQI(Channel Quality Indicator)の報告)を端末装置103から周期的に受信しうる。その結果、第1の基地局装置101は、端末装置103における5Gの下りリンク通信に関する第1の無線品質を継続的に取得しうる。第1の基地局装置101は、端末装置103をハンドオーバさせると決定した場合に、その第1の無線品質から、端末装置103のハンドオーバ後に第1の基地局装置101のLTE機能部分から送出されるセル固有参照信号がどの程度のレベルで干渉するかを示す干渉量を推定する(S602)。そして、第1の基地局装置101は、端末装置103のハンドオーバ先の(又はハンドオーバ先の候補の)第2の基地局装置102へ、推定した干渉量の情報を送信する(S603)。この干渉量の情報は、例えば、ハンドオーバ先の候補に送信するハンドオーバ要求メッセージに含められてもよいし、ハンドオーバ先の基地局装置と端末装置103との間の接続が確立された後に(ハンドオーバに成功した後に)、ユーザデータの転送等と共に送信されてもよい。一方で、第2の基地局装置102は、端末装置103との間でランダムアクセス手順等を実行して接続を確立する(S604)。そして、第2の基地局装置102は、その接続処理中又は接続処理の後に、第2の基地局装置102が送信した信号が端末装置103において受信される際の無線品質の情報を取得する(S605)。この処理は、
図5のS502において第1の基地局装置101によって実行された処理と同様である。第2の基地局装置102は、S605で取得した無線品質と、S603において受信した干渉量の推定値とに基づいて、端末装置103へユーザデータを送信する際に使用すべきMCSを決定する(S606)。そして、第2の基地局装置102は、決定したMCSを用いて、端末装置103へユーザデータを送信する(S607)。このようにして、第2の基地局装置102は、ハンドオーバの完了後すぐに、端末装置103へ適切なMCSを使用してユーザデータを送信することができるようになる。
【0046】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。