(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184131
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】平面波発生機構
(51)【国際特許分類】
H01P 5/103 20060101AFI20221206BHJP
H01P 5/04 20060101ALI20221206BHJP
H01P 5/12 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01P5/103 A
H01P5/04 D
H01P5/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091798
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】尚 尓昊
(72)【発明者】
【氏名】板垣 賢二
(72)【発明者】
【氏名】野呂 崇徳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】短い伝送線路で平面波を発生させることが可能な平面波発生機構を提供する。
【解決手段】平面波発生機構2は、地導体板231と、地導体板231との間で平行平板線路を形成する平行平板233と、平行平板線路における電磁波の伝搬方向における一方の端寄りの位置に電磁波の伝搬方向と直交する方向に沿って1列に等間隔で並べられて配設されて平行平板線路へと電磁波を供給する複数のプローブ235と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地導体板と、
前記地導体板との間で平行平板線路を形成する平行平板と、
前記平行平板線路における電磁波の伝搬方向における一方の端寄りの位置に前記電磁波の伝搬方向と直交する方向に沿って1列に等間隔で並べられて配設されて前記平行平板線路へと電磁波を供給する複数のプローブと、を有する、
ことを特徴とする平面波発生機構。
【請求項2】
前記複数のプローブの各々に対応させて設けられる複数の移相器を有し、
前記複数のプローブのそれぞれへと供給される電磁波の位相を前記複数の移相器により制御することによって前記平行平板線路を伝搬する前記電磁波の波面を傾斜させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の平面波発生機構。
【請求項3】
アンテナポートと電気的に接続する頂点部から前記複数のプローブのそれぞれへと向けてマイクロストリップラインのパターニングにより配線を分岐させることによって形成される電力分配器を有し、
前記電力分配器を用いて前記複数のプローブのそれぞれへと電磁波を供給する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の平面波発生機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平面波発生機構に関し、例えば、種々の移動体に搭載される衛星通信用アンテナの給電部として用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の平面波発生機構として、ピルボックスを用いる仕組みが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ピルボックスを用いる仕組みでは、十分に長い伝送線路(例えば、自由空間波長をλとして、10λよりも長い伝送線路)が必要であり、伝送損失が増大したり装置が大きくなったりする、という問題がある。
【0005】
そこでこの発明は、短い伝送線路で平面波を発生させることが可能な、平面波発生機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明に係る平面波発生機構は、地導体板と、前記地導体板との間で平行平板線路を形成する平行平板と、前記平行平板線路における電磁波の伝搬方向における一方の端寄りの位置に前記電磁波の伝搬方向と直交する方向に沿って1列に等間隔で並べられて配設されて前記平行平板線路へと電磁波を供給する複数のプローブと、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る平面波発生機構は、前記複数のプローブの各々に対応させて設けられる複数の移相器を有し、前記複数のプローブのそれぞれへと供給される電磁波の位相を前記複数の移相器により制御することによって前記平行平板線路を伝搬する前記電磁波の波面を傾斜させる、ようにしてもよい。
【0008】
この発明に係る平面波発生機構は、アンテナポートと電気的に接続する頂点部から前記複数のプローブのそれぞれへと向けてマイクロストリップラインのパターニングにより配線を分岐させることによって形成される電力分配器を有し、前記電力分配器を用いて前記複数のプローブのそれぞれへと電磁波を供給する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る平面波発生機構によれば、複数のプローブを介して給電するようにしているので、短い伝送線路(具体的には、1λ程度(但し、λ:自由空間波長))で平面波を発生させることが可能となり、延いては伝送損失の増大を回避することが可能となるとともに例えばアンテナの給電部をコンパクトに構成することが可能となる。
【0010】
この発明に係る平面波発生機構によれば、また、複数のプローブを介して給電するようにしているので、幅広い周波数帯域にわたって平面波を発生させることが可能となる。
【0011】
この発明に係る平面波発生機構は、複数のプローブのそれぞれへと供給される電磁波の位相を複数の移相器によって制御するようにした場合には、平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させることができ、波面を任意に傾斜させた電磁波を出力することが可能となる。
【0012】
この発明に係る平面波発生機構は、電力分配器の頂点部から各プローブへと向けてマイクロストリップラインのパターニングにより配線を分岐させることによって形成される電力分配器としての分配回路を用いて、各プローブへと電磁波を供給するようにした場合には、移相器の組み込みを、回路構成を複雑にすることなく、簡易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の実施の形態に係る平面波発生機構を含む実施の形態1におけるフェーズドアレイアンテナの概略構成を示す回路構成図である。
【
図2】実施の形態に係る平面波発生機構(即ち、
図1のフェーズドアレイアンテナの平面波発生機構)の概略構成を示す図である。(A)は斜視図である。(B)は分解斜視図である。
【
図3】
図2の平面波発生機構の概略構成を示す図である。(A)は平行平板を透過した状態の平面図である。(B)は底面図である。
【
図4】
図2の平面波発生機構によって生成される平面波(電界分布)の例を示す図である。
【
図5】
図2の平面波発生機構におけるSパラメータS11(リターンロス)を示すグラフである。
【
図6】
図1のフェーズドアレイアンテナのフィードアレイの概略構成を示す斜視図である。
【
図7】
図2の平面波発生機構における電界分布の例を示す図である。(A)は同位相励振の場合の電界分布である。(B)は位相差励振の場合の電界分布である。
【
図8】
図1のフェーズドアレイアンテナのxy面内の指向性を説明する図である。(A)は放射スタブが同位相で励振される場合の図である。(B)は放射スタブが位相差を付けて励振される場合の図である。
【
図9】
図6のフィードアレイの指向性の例を示す図である。
【
図10】この発明の実施の形態に係る平面波発生機構を含む実施の形態2におけるフェーズドアレイアンテナの概略構成を示す回路構成図である。
【
図11】
図10のフェーズドアレイアンテナにおけるフィードアレイの放射スタブの概略構成を示す部分拡大斜視図である。
【
図12】
図11のフィードアレイにおけるSパラメータS11(リターンロス)を示すグラフである。
【
図13】
図10のフェーズドアレイアンテナのxz面内の指向性を説明する図である。(A)は複数の放射スタブが同位相で励振される場合の図である。(B)は複数の放射スタブが位相差を付けて励振される場合の図である。
【
図14】伝送線路の等価回路モデルを示す図である。
【
図15】電圧可変型の誘電体の特性の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0015】
<実施の形態1>
図1は、この発明の実施の形態に係る平面波発生機構2を含む実施の形態1におけるフェーズドアレイアンテナ11の概略構成を示す回路構成図である。実施の形態1におけるフェーズドアレイアンテナ11は、平面波発生機構2と、アンテナ部3と、回動部4と、制御部5と、を有する。
【0016】
実施の形態に係る平面波発生機構2は、地導体板231と、地導体板231との間で平行平板線路を形成する平行平板233と、平行平板線路における電磁波の伝搬方向における一方の端寄りの位置に前記電磁波の伝搬方向と直交する方向に沿って1列に等間隔で並べられて配設されて平行平板線路へと電磁波を供給する複数のプローブ235と、複数のプローブ235の各々に対応させて設けられる複数の移相器22と、を有し、複数のプローブ235のそれぞれへと供給される電磁波の位相を複数の移相器22により制御することによって平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させる、ようにしている。
【0017】
また、この実施の形態におけるフェーズドアレイアンテナ11は、アンテナ部3が、板状の基部311と、基部311の一方の板面から列状に連なって突出する凸部として形成されて平面波発生機構2から出力されて基部311へと入射される電磁波が伝搬する方向において等間隔で相互に離間しつつ前記電磁波が伝搬する前記方向と直交する方向に沿って相互に平行に配設される複数の放射スタブ312と、を備えるフィードアレイ31を有し、回動部4によりフィードアレイ31を回転させることによって方位角方向のビーム走査を行うとともに、平面波発生機構2の平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させることにより平面波発生機構2から出力されてアンテナ部3の基部311へと入射される電磁波の波面を傾斜させることによって高度角方向のビーム走査を行う、ようにしている。
【0018】
(平面波発生機構)
平面波発生機構2は、アンテナの給電部として機能する機序であり、主に、電力分配器21,複数の移相器22,および平面波発生部23を有する。ここでの説明では、平面波発生機構2の構造に対して、相互に直交するx軸,y軸,およびz軸によって規定される3次元直交座標系のx軸方向,y軸方向,およびz軸方向を
図2などに示すように対応させる。
【0019】
平面波発生部23は、地導体板231,誘電体基板232,平行平板233,給電用誘電体基板234,および複数(具体的には、移相器22と同数)のプローブ235を有する(
図2参照)。
【0020】
地導体板231と平行平板233とは、相互に平行に配置されて、これらの間で電磁波を伝搬させるための平行平板線路を形成する。
【0021】
地導体板231と平行平板233との間に介在するように誘電体基板232が配設され、誘電体基板232内で当該誘電体基板232の厚さ方向(図において、x軸方向)と直交する方向(図において、z軸方向)に電磁波を伝搬させる誘電体イメージ線路(ここでは、平行平板線路)が形成される。
【0022】
地導体板231と平行平板233との間に形成される平行平板線路への電磁波の給電は複数のプローブ235を介して行われ、複数のプローブ235のそれぞれから電磁波が給電されることによって地導体板231と平行平板233との間でz軸方向に沿って電磁波が伝搬する。
【0023】
地導体板231の、誘電体基板232の側と反対側に給電用誘電体基板234が配設され、この給電用誘電体基板234の、z軸方向における一方の端(図において、z軸の矢印の向きの側と反対側の端)寄りの位置に、複数のプローブ235がy軸方向に沿って1列に等間隔で並べられて配設される。
【0024】
プローブ235同士のy軸方向における相互の間隔dは(
図3(A)参照)、電磁波(別言すると、RF(Radio Frequency の略)信号)の自由空間波長をλとすると、λ/2≦d<λを満たすように調節される。
【0025】
給電用誘電体基板234の、地導体板231の側と反対側の面に、電力分配器21が配設される(
図2,
図3参照)。
【0026】
電力分配器21は、給電用誘電体基板234の平面視における中央位置(若しくは、中央付近の位置)の頂点部211から各プローブ235へと向けてマイクロストリップラインのパターニングにより配線を分岐させることによって形成される分配回路によって実現される。頂点部211からの電力分配器21への入力の大きさと分岐の段数および各段での分割数とによって電磁波(RF信号)の振幅が制御される。
【0027】
電力分配器21の頂点部211は、アンテナポート(別言すると、入出力ポート)として機能する例えば同軸コネクタ(図示省略)と電気的に接続される。
【0028】
同軸コネクタに纏わる構造/構成はこの発明では特定の構造/構成には限定されないので詳細の説明は省略するが、同軸コネクタは、例えば、電力分配器21を介して各プローブ235に電気的に接続されるとともに同軸ケーブル(図示省略)の内導体から信号(SIG)が入力される内導体と、地導体板231に電気的に接続されるとともに同軸ケーブルの外導体から信号(例えば、GND)が入力される外導体とを有し、電力分配器21に対して、延いては各プローブ235に対してRF信号(別言すると、無線通信波)を供給する構造/構成とされ得る。
【0029】
移相器22は、具体的にはデジタル移相器によって構成され、電力分配器21によって分配されるRF信号の位相を制御し、位相制御後のRF信号をプローブ235へと供給する。
【0030】
移相器22は、電力分配器21としての分配回路における分岐した線路のそれぞれに対して配設され、つまり複数のプローブ235の各々に対応させて設けられる。
【0031】
各移相器22(具体的には、デジタル移相器)は、制御部5によって制御される。
【0032】
電力分配器21の頂点部211へと供給される電磁波(RF信号)は、電力分配器21によって所定量ずつ分配される(言い換えると、振幅が制御される)とともに移相器22によって位相が制御されたうえで、各プローブ235を介して地導体板231と平行平板233との間へと給電される。
【0033】
上記の構成を備える平面波発生機構2によると、地導体板231と平行平板233との間に形成される平行平板線路に平面波が生成される。平面波発生機構2によって生成される平面波の例として、地導体板231と平行平板233との間における電界分布の例を
図4に示す(尚、
図4は、5個のプローブ235に対応する範囲を示している)。
【0034】
また、平面波発生機構2におけるSパラメータS11(即ち、リターンロス)を
図5に示す。
図5から、幅広い周波数帯域にわたってリターンロスが良好なレベルに維持されて良好な反射特性を備え得ることが確認される。
【0035】
(アンテナ部)
アンテナ部3は、主な構成としてフィードアレイ31を有する。ここでの説明では、フィードアレイ31の構造に対して、相互に直交するx軸,y軸,およびz軸によって規定される3次元直交座標系のx軸方向,y軸方向,およびz軸方向を
図6などに示すように対応させる。
【0036】
フィードアレイ31は、板状の基部311と、複数の放射スタブ312と、内部を埋める(言い換えると、内部に充填される)誘電体313とを含む(
図6参照)。
【0037】
複数の放射スタブ312は、各々、基部311の一方の板面(図において、x軸の矢印の向きの側の面)から列状に連なって突出する凸部として形成される。複数の放射スタブ312は、平面波発生機構2から出力されてフィードアレイ31(具体的には、基部311)へと入射される平面波/電磁波(RF信号)が伝搬する方向(図において、z軸方向)において等しい間隔Dで相互に離間して、z軸方向と直交する方向(図において、y軸方向)に自身の長手方向が沿って相互に平行に配設される。
【0038】
z軸方向において連続して設けられる放射スタブ312同士のz軸方向における相互の間隔Dは(
図6参照)、電磁波(RF信号)の自由空間波長をλとすると、λ/2≦D<λを満たすように調節される。なお、プローブ235同士のy軸方向における相互の間隔dと放射スタブ312同士のz軸方向における相互の間隔Dとは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0039】
フィードアレイ31は、基部311の他方の板面(図において、x軸の矢印の向きの側と反対側の面)を構成する、導電性を備える裏面プレート314と、裏面プレート314と離間して配置されて放射スタブ312を構成するようにy軸方向に沿って屈曲している、導電性を備える表面プレート315(尚、複数の部材から成る)とを備え、これら裏面プレート314と表面プレート315との間(尚、放射スタブ312それぞれの内部を含む)を誘電体313が埋めるようにして形成される。
【0040】
なお、各放射スタブ312の側面(図において、xy面に沿う面)は、屈曲して形成される、導電性を備える表面プレート315によって覆われる。一方、突出構造を備える各放射スタブ312の凸構造の先端面(図において、x軸の矢印の向きの側の面)は、導電性の遮蔽をもたず、放射スタブ312の先端面を通る電磁エネルギの伝搬を可能とし、アンテナ放射パターンが規定される。
【0041】
フィードアレイ31(具体的には、基部311)には平面波発生機構2によって生成される平面波/電磁波(RF信号)が入射され、前記平面波/電磁波(RF信号)が、当該平面波/電磁波(RF信号)が伝搬する方向であるz軸方向変位電流を励起する。そして、前記z軸方向変位電流が、基部311において放射スタブ312に向かってx軸方向に進行して自由空間へと放射される等価な電磁波を励起する。そして、フィードアレイ31の放射スタブ312を通って、RF信号が平面波の形態で放射される。
【0042】
上記の構成を備えるフィードアレイ31は連続トランスバーススタブ(CTS:Continuous Transvers Stub の略)アンテナとも呼ばれる構造の一部に相当し、フィードアレイ31の機能については例えば「The Continuous Transverse (CTS) Array: Basic Theory, Experiment, and Application」(Milroy,W.W. 「Proceedings of the Antenna Applications Symposium Held on 25-27 September 1991. Volume 1」 AD-A253 682,p253-283)並びに特表2006-522561号公報,米国特許第6,281,838号明細書,米国特許第5,757,379号明細書,米国特許5,483,248号明細書,米国特許第5,379,007号明細書,および米国特許第5,266,961号明細書に説明されている。
【0043】
(回動部)
回動部4は、平面波発生機構2およびアンテナ部3を回転駆動させる。回動部4は、具体的には例えばロータリージョイントやモータを含む仕組みとして構成され、フィードアレイ31を(
図6に示す座標系における)yz平面に沿って回転駆動させる。
【0044】
回動部4のモータの駆動は制御部5によって制御され、すなわち、フィードアレイ31の回転の程度は制御部5によって制御される。
【0045】
(ビーム走査)
フェーズドアレイアンテナ11は、方位角(AZ:Azimuth)方向のビーム走査を行うとともに、高度角(EL:Elevation)方向のビーム走査を行う。なお、方位角(AZ)は、北方向または南方向を0°とし、時計回りを正として定めた角度である。また、高度角(EL)は、地平線を0°とし、天頂方向へと向かって定めた角度である。
【0046】
フェーズドアレイアンテナ11は、回動部4によってフィードアレイ31を回転させることにより、機械的に、方位角(AZ)方向のビーム走査を行う。
【0047】
フェーズドアレイアンテナ11は、また、平面波発生機構2の各移相器22によって電磁波(RF信号)の位相を制御することにより、電子的に、高度角(EL)方向のビーム走査を行う。
【0048】
具体的には、平面波発生機構2の各移相器22が制御されることにより、平面波発生機構2の地導体板231と平行平板233との間に形成される平行平板線路を伝搬する電磁波の波面に傾斜が与えられ、平面波発生機構2から出力されてアンテナ部3のフィードアレイ31(具体的には、基部311)へと入射される電磁波の波面に傾斜が与えられて、高度角(EL)方向のビーム走査が行われる。
【0049】
すなわち、フィードアレイ31へと伝搬する導波モードの傾斜入射を用いて、放射スタブ312へと入ってくる電磁波の位相面を放射スタブ312の長手方向(
図6に示す座標系において、y軸方向)において変化させることにより、横断方向(同、y軸方向)のH平面においてビーム走査が行われる。
【0050】
平面波発生機構2における電界分布の例を
図7に示す。同図(A)は、複数のプローブ235による同位相励振の場合の電界分布である。電力分配器21によって各移相器22へと(延いては、各プローブ235へと)分配されるRF信号の位相が、隣り合う移相器22についての位相のシフト量の差Δφが0(ゼロ)であるように各移相器22によって制御されて、位相制御後のRF信号が各プローブ235へと供給されることにより、同図(A)に示すような電界分布が実現される。
【0051】
同図(B)は、複数のプローブ235による位相差励振の場合の電界分布である。電力分配器21によって各移相器22へと(延いては、各プローブ235へと)分配されるRF信号の位相が、隣り合う移相器22についての位相のシフト量の差Δφが或る値(但し、0ではない)で一定であるように各移相器22によって制御されて、位相制御後のRF信号が各プローブ235へと供給されることにより、同図(B)に示すような電界分布が実現される。
【0052】
ここで、アンテナ部3は、フィードアレイ31へと伝搬する導波モードの傾斜入射を用いて、放射スタブ312へと入ってくる電磁波の位相面を放射スタブ312の長手方向において変化させることにより、放射スタブ312を、当該放射スタブ312の長手方向に沿って複数の素子アンテナが相互の間隔dで1列に連なって並んでいる機序として機能させる(但し、d:プローブ235同士の相互の間隔)。放射スタブ312を構成していると看做される(想定上の)素子アンテナのことを「仮想素子アンテナ312a」と呼ぶ。
【0053】
図8(A)に、放射スタブ312が同位相で励振される場合の、すなわち、放射スタブ312を構成していると看做される複数の仮想素子アンテナ312aのそれぞれが同位相で励振される場合の、複数の仮想素子アンテナ312aの配列と指向性との関係を示す。この場合は、隣り合う仮想素子アンテナ312aが同位相で励振される場合、言い換えると、隣り合う移相器22についての位相のシフト量の差Δφが0(ゼロ)であるように各移相器22が制御されて励振される場合と捉え得る。
【0054】
放射スタブ312が同位相で励振される場合は、複数の仮想素子アンテナ312aの配列(図において、y軸方向)と平行に電磁波の波面が形成され、複数の仮想素子アンテナ312aの配列と直交する方向(図において、x軸方向)にメインローブが形成される。
【0055】
図8(B)に、放射スタブ312が位相差を付けて励振される場合の、すなわち、放射スタブ312を構成していると看做される複数の仮想素子アンテナ312aのそれぞれが位相差を付けて励振される場合の、複数の仮想素子アンテナ312aの配列と指向性との関係を示す。この場合は、隣り合う仮想素子アンテナ312aごとにΔφ(≠0)の位相差を付けて励振される場合、言い換えると、隣り合う移相器22についての位相のシフト量の差Δφが或る値(但し、0ではない)で一定であるように各移相器22が制御されて励振される場合と捉え得る。
【0056】
放射スタブ312が位相差を付けて励振される場合は、複数の仮想素子アンテナ312aの配列(図において、y軸方向)に対して電磁波の波面が傾斜し、その結果としてメインローブの方向が複数の仮想素子アンテナ312aの配列と直交する方向(図において、x軸方向)に対してΔθだけ回転する。なお、Δθ=d・sin(Δφ) である(但し、d:プローブ235同士の相互の間隔)。
【0057】
上記したような、放射スタブ312を構成していると看做される複数の仮想素子アンテナ312aの配列と指向性との関係を実現する位相シフト制御を平面波発生機構2の各移相器22へと適用することにより、(
図6に示す座標系における)xy面内の指向性をスキャンすることができる。
【0058】
フィードアレイ31の指向性の例を
図9に示す。平面波発生機構2の各移相器22によって電磁波(RF信号)の位相を制御することによって放射スタブ312を励振する位相を制御することにより、
図9に示すように、フィードアレイ31の指向を制御することができ、延いては電子的に高度角(EL)方向のビーム走査を行うことが可能である。
【0059】
実施の形態1に係る平面波発生機構2によれば、複数のプローブ235を介して給電するようにしているので、短い伝送線路(具体的には、1λ程度(但し、λ:自由空間波長))で平面波を発生させることが可能となり、延いては伝送損失の増大を回避することが可能となるとともにアンテナの給電部をコンパクトに構成することが可能となり、また、幅広い周波数帯域にわたって平面波を発生させることが可能となる。
【0060】
実施の形態1に係る平面波発生機構2によれば、また、複数のプローブ235のそれぞれへと供給される電磁波の位相を複数の移相器22によって制御するようにしているので、平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させることができ、波面を任意に傾斜させた電磁波を出力することが可能となる。
【0061】
実施の形態1に係る平面波発生機構2によれば、また、電力分配器21の頂点部211から各プローブ235へと向けてマイクロストリップラインのパターニングにより配線を分岐させることによって形成される電力分配器21としての分配回路を用いて、各プローブ235へと電磁波(RF信号,無線通信波)を供給するようにしているので、移相器22(具体的には、デジタル移相器)の組み込みを、回路構成を複雑にすることなく、簡易に行うことが可能となる。
【0062】
また、実施の形態1におけるフェーズドアレイアンテナ11によれば、平面波発生機構2の平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させることにより平面波発生機構2から出力されてアンテナ部3の基部311へと入射される電磁波の波面を傾斜させることによって高度角方向のビーム走査を行うようにしているので、ビーム走査の走査速度を向上させることが可能となり、また、高い開口効率を実現することが可能となるとともに、低姿勢なアンテナを実現することが可能となる。
【0063】
<実施の形態2>
図10は、この発明の実施の形態に係る平面波発生機構2を含む実施の形態2におけるフェーズドアレイアンテナ12の概略構成を示す回路構成図である。実施の形態2におけるフェーズドアレイアンテナ12は、平面波発生機構2と、アンテナ部3と、制御部5と、を有する。
【0064】
この実施の形態におけるフェーズドアレイアンテナ12は、アンテナ部3が、板状の基部311と、基部311の一方の板面から列状に連なって突出する凸部として形成されて平面波発生機構2から出力されて基部311へと入射される電磁波が伝搬する方向において等間隔で相互に離間しつつ前記電磁波が伝搬する前記方向と直交する方向に沿って相互に平行に配設される複数の放射スタブ312、複数の放射スタブ312の各々の先端部分に放射スタブ312の長手方向に沿って配設されるVVD移相器32と、を備えるフィードアレイ31を有し、複数の放射スタブ312の各々のVVD移相器32それぞれへと印加される電圧を変化させて複数の放射スタブ312の各々のVVD移相器32の比誘電率を変化させることにより複数の放射スタブ312の各々を通過する電磁波の波面を傾斜させることによって方位角方向のビーム走査を行うとともに、平面波発生機構2の平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させることにより平面波発生機構2から出力されてアンテナ部3の基部311へと入射される電磁波の波面を傾斜させることによって高度角方向のビーム走査を行う、ようにしている。
【0065】
この実施の形態は回動部4を有しない一方でVVD移相器32および移相器用電源36を有する点において上記の実施の形態1と構成が異なるものの、その他の構成は上記の実施の形態1と同等であるので、実施の形態1と同等の構成については同一符号を付することでその説明を省略する。
【0066】
VVD(Voltage Variable Dielectric の略)移相器32は、具体的には印加する電圧で比誘電率を可変的に制御することができる誘電体によって構成され、フィードアレイ31の放射スタブ312に向かってx軸方向に進行して自由空間へと放射される電磁波の位相を制御する。
【0067】
VVD移相器32は、
図11に示すように、フィードアレイ31の、突出構造を備える各放射スタブ312の凸構造の先端部分(図において、x軸の矢印の向きの側の端部)に放射スタブ312の長手方向(図において、y軸方向)に沿って配設される。
【0068】
図11に示す例では、図におけるx軸方向において離間するとともに絶縁部33を介在させて(別言すると、挟んで)対向する一対のVVD移相器32,32が配設される。
【0069】
VVD移相器32が単層構造の場合と多層構造(具体的には、
図11に示すように一対)の場合とでの、フィードアレイ31におけるSパラメータS11(即ち、リターンロス)の比較を
図12に示す。
図12から、VVD移相器32を多層構造とすることにより、幅広い周波数帯域にわたってリターンロスが良好なレベルに維持されて良好な反射特性を備えるアンテナが実現され得ることが確認される。
【0070】
ただし、VVD移相器32が多層構造に配設されることはこの発明において必須の構成ではなく、VVD移相器32が単層構造で配設されるようにしてもよい。なお、VVD移相器32が単層構造の場合には、具体的には、
図11においてx軸の矢印の向きの側のVVD移相器32のみが配設される。
【0071】
一対のVVD移相器32,32およびこれらの間に配設される絶縁部33と、突出構造を備える各放射スタブ312の凸構造を形成する表面プレート315と、の間に介在するように、xy面に沿って、一対のVVD移相器32,32および絶縁部33の側に電極34が配設されるとともに、表面プレート315の側に絶縁シート35が配設される。
【0072】
移相器用電源36は、フィードアレイ31の電極34に対して電力を供給する。これにより、VVD移相器32は、電力の供給を受け、当該VVD移相器32に印加される電圧が制御されて動作する。なお、移相器22(具体的には、デジタル移相器)の電源(例えば、12~24V程度の低圧電源;図示していない)とVVD移相器32の移相器用電源36(例えば、数百~数千V程度の高圧電源)とは別系統の電源として構成される。また、裏面プレート314は、移相器22の電源(低圧電源)および移相器用電源36(高圧電源)の共通グランドとして機能する。
【0073】
移相器用電源36は、複数の放射スタブ312のそれぞれに対応させて設けられる。
【0074】
(ビーム走査)
フェーズドアレイアンテナ12は、方位角(AZ)方向のビーム走査を行うとともに、高度角(EL)方向のビーム走査を行う。
【0075】
フェーズドアレイアンテナ12は、平面波発生機構2の各移相器22によって電磁波(RF信号)の位相を制御することにより、電子的に、高度角(EL)方向のビーム走査を行う。高度角(EL)方向の電子的なビーム走査は、上記の実施の形態1と同様である。
【0076】
フェーズドアレイアンテナ12は、また、平面波発生機構2の各移相器22とアンテナ部3の各VVD移相器32との組み合わせによって電磁波(RF信号)の位相を制御することにより、電子的に、方位角(AZ)方向のビーム走査を行う。
【0077】
フェーズドアレイアンテナ12は、上記の実施の形態1に関連して
図7および
図8も用いて説明した複数の仮想素子アンテナ312aの配列と指向性との関係を、複数の放射スタブ312の配列へと適用することにより、(
図6に示す座標系における)xz面内の指向性をスキャンする。
【0078】
具体的には、アンテナ部3のフィードアレイ31の各放射スタブ312に配設されるVVD移相器32が制御されることにより、放射スタブ312を通過する電磁波の波面に傾斜が与えられて、方位角(AZ)方向のビーム走査が行われる。
【0079】
すなわち、各放射スタブ312のVVD移相器32に印加される電圧の制御による各VVD移相器32の比誘電率εr(延いては、各放射スタブ312における比誘電率εr)の制御により、放射スタブ312から放射される電磁波の位相面を複数の放射スタブ312の並びの方向(
図6に示す座標系において、z軸方向)において変化させることにより、縦断方向(同、z軸方向)においてビーム走査が行われる。
【0080】
図13(A)に、複数の放射スタブ312が同位相で励振される場合の、言い換えると、複数のVVD移相器32のそれぞれへと同じ電圧が印加される場合の、すなわち、各放射スタブ312のVVD移相器32の比誘電率がεr
0で同じ場合の、複数の放射スタブ312の配列と指向性との関係を示す。この場合は、隣り合う放射スタブ312が同位相で励振される場合、言い換えると、隣り合う放射スタブ312についての位相のシフト量の差Δφが0(ゼロ)であるように各VVD移相器32が制御されて励振される場合と捉え得る。
【0081】
複数のVVD移相器32のそれぞれへと同じ電圧が印加される場合は、複数の放射スタブ312の配列(図において、z軸方向)と平行に電磁波の波面が形成され、複数の放射スタブ312の配列と直交する方向(図において、x軸方向)にメインローブが形成される。
【0082】
図13(B)に、複数の放射スタブ312が位相差を付けて励振される場合の、言い換えると、複数のVVD移相器32のそれぞれへと差を付けた電圧が印加される場合の、すなわち、各放射スタブ312のVVD移相器32の比誘電率がεr
0,εr
1,εr
2,・・・で異なる場合の、複数の放射スタブ312の配列と指向性との関係を示す。この場合は、隣り合う放射スタブ312ごとにΔφ(≠0)の位相差を付けて励振される場合、言い換えると、隣り合うVVD移相器32についての位相のシフト量の差Δφが或る値(但し、0ではない)で一定であるように各VVD移相器32が制御されて励振される場合と捉え得る。
【0083】
ここで、比誘電率εrの誘電体を使用した一般的な伝送線路の等価回路モデルを
図14に示す。この伝送線路の通過位相φは、下記の数式1のようになる。したがって、伝送線路の媒質として電圧可変型の誘電体が用いられることで、移相器として動作する。
(数1) φ = 2πL√(εr)/λ
0
ここに、φ :伝送線路の通過位相
L :誘電体の厚み
εr:比誘電率
λ
0:自由空間中の波長
【0084】
なお、電圧可変型の誘電体の材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの強誘電体が用いられ、バルクセラミックや半導体基板上に生成した薄膜として製作される。電圧可変型の誘電体の特性としての、印加される電圧と実効誘電率との間の関係の例を
図15に示す。
【0085】
上記の数式1に従って、隣り合う放射スタブ312ごとにΔφ(≠0)の位相差が生じる各放射スタブ312のVVD移相器32の比誘電率εr
0,εr
1,εr
2,・・・が実現されるように(
図13(B)参照)、隣り合う放射スタブ312ごとにΔE(≠0)の差を付けた電圧が各VVD移相器32に印加される。
【0086】
Δφ(≠0)の位相差が生じる比誘電率εr0,εr1,εr2,・・・になるように調節された電圧の差ΔEが用いられて、複数のVVD移相器32のそれぞれへと前記差ΔEを付けた電圧が印加される場合は、複数の放射スタブ312の配列(図において、z軸方向)に対して電磁波の波面が傾斜し、その結果としてメインローブの方向が複数の放射スタブ312の配列と直交する方向(図において、x軸方向)に対してΔθだけ回転する。なお、Δθ=D・sin(Δφ) である(但し、D:放射スタブ312同士の相互の間隔)。
【0087】
なお、放射スタブ312を構成していると看做される複数の仮想素子アンテナ312aのそれぞれが位相差を付けて励振される場合の、隣り合う移相器22についての位相のシフト量の差Δφと、複数のVVD移相器32のそれぞれへと差を付けた電圧が印加される場合の、隣り合う放射スタブ312のVVD移相器32についての位相のシフト量の差Δφとは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0088】
実施の形態2に係る平面波発生機構2によれば、複数のプローブ235を介して給電するようにしているので、短い伝送線路(具体的には、1λ程度(但し、λ:自由空間波長))で平面波を発生させることが可能となり、延いては伝送損失の増大を回避することが可能となるとともにアンテナの給電部をコンパクトに構成することが可能となり、また、幅広い周波数帯域にわたって平面波を発生させることが可能となる。
【0089】
実施の形態2に係る平面波発生機構2によれば、また、複数のプローブ235のそれぞれへと供給される電磁波の位相を複数の移相器22によって制御するようにしているので、平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させることができ、波面を任意に傾斜させた電磁波を出力することが可能となる。
【0090】
実施の形態2に係る平面波発生機構2によれば、また、電力分配器21の頂点部211から各プローブ235へと向けてマイクロストリップラインのパターニングにより配線を分岐させることによって形成される電力分配器21としての分配回路を用いて、各プローブ235へと電磁波(RF信号,無線通信波)を供給するようにしているので、移相器22(具体的には、デジタル移相器)の組み込みを、回路構成を複雑にすることなく、簡易に行うことが可能となる。
【0091】
また、実施の形態2におけるフェーズドアレイアンテナ12によれば、複数の放射スタブ312の各々のVVD移相器32それぞれへと印加される電圧を変化させて複数の放射スタブ312の各々のVVD移相器32の比誘電率を変化させることにより複数の放射スタブ312の各々を通過する電磁波の波面を傾斜させることによって方位角方向のビーム走査を行うとともに、平面波発生機構2の平行平板線路を伝搬する電磁波の波面を傾斜させることにより平面波発生機構2から出力されてアンテナ部3の基部311へと入射される電磁波の波面を傾斜させることによって高度角方向のビーム走査を行うようにしているので、ビーム走査の走査速度を向上させることが可能となり、また、高い開口効率を実現することが可能となるとともに、低姿勢なアンテナを実現することが可能となる。
【0092】
実施の形態2におけるフェーズドアレイアンテナ12によれば、また、突出構造を備える各放射スタブ312の凸構造の先端部分にVVD移相器32が配設されるようにしているので、給電線路の損失を低減させることが可能となる。
【0093】
実施の形態2におけるフェーズドアレイアンテナ12によれば、また、各放射スタブ312に対して多層構造のVVD移相器32が配設されるようにしているので、幅広い周波数帯域にわたってリターンロスが良好なレベルに維持されて良好な反射特性を備えるアンテナを実現することが可能となる。
【0094】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【0095】
具体的には、上記の実施の形態では平面波発生機構2がアンテナの給電部として機能して平面波発生機構2によって生成される平面波がフェーズドアレイアンテナ11,12へと入射されるようにしているが、平面波発生機構2の使用方法はアンテナの給電部に限定されるものではなく、他の装置へと組み込まれたり他の装置と組み合わせて用いられたりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
11 フェーズドアレイアンテナ(実施の形態1)
12 フェーズドアレイアンテナ(実施の形態2)
2 平面波発生機構
21 電力分配器
211 頂点部
22 移相器
23 平面波発生部
231 地導体板
232 誘電体基板
233 平行平板
234 給電用誘電体基板
235 プローブ
3 アンテナ部
31 フィードアレイ
311 基部
312 放射スタブ
312a 仮想素子アンテナ
313 誘電体
314 裏面プレート
315 表面プレート
32 VVD移相器
33 絶縁部
34 電極
35 絶縁シート
36 移相器用電源
4 回動部
5 制御部