(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184141
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ヒンジ式開閉部材
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091813
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FA03
3E084FB01
3E084FC01
3E084GA06
3E084GB06
3E084HA07
3E084HB03
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】弾性帯の損傷を抑えるとともに外観性を確保する。
【解決手段】ヒンジ式開閉部材20は、第1部材21および第2部材22と、第1部材21および第2部材22それぞれの後端部同士を連結するヒンジ機構23と、を備えるヒンジ式開閉部材20であって、第1部材21および第2部材22それぞれの後端部には、前方に向けて窪む凹部24が設けられ、ヒンジ機構23は、凹部24を左右方向に挟んで一対配置され、第1部材21および第2部材22を、左右方向に延びるヒンジ軸O2回りに回転可能に連結する蝶番帯71と、凹部24に配置され、第1部材21および第2部材22が開位置と閉位置との間の位置に位置するときに、第1部材21および第2部材22を開位置または閉位置に向けて付勢するように、第1部材21および第2部材22を連結する弾性帯72と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材および第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材それぞれの後端部同士を連結するヒンジ機構と、を備えるヒンジ式開閉部材であって、
前記第1部材および前記第2部材それぞれの後端部には、前方に向けて窪む凹部が設けられ、
前記ヒンジ機構は、
前記凹部を左右方向に挟んで一対配置され、前記第1部材および前記第2部材を、左右方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結する蝶番帯と、
前記凹部に配置され、前記第1部材および前記第2部材が開位置と閉位置との間の位置に位置するときに、前記第1部材および前記第2部材を前記開位置または前記閉位置に向けて付勢するように、前記第1部材および前記第2部材を連結する弾性帯と、を備えている、ヒンジ式開閉部材。
【請求項2】
前記弾性帯は、左右一対の前記蝶番帯それぞれに対して左右方向の内側に隣接するように、左右一対設けられている、請求項1に記載のヒンジ式開閉部材。
【請求項3】
前記第1部材は、ステムを介してピストンがシリンダ内に押し込まれることにより、前記シリンダ内の内容物が前記ステムに供給されるポンプの前記ステムに取り付けられ、
前記第2部材には、前記第1部材および前記第2部材が前記閉位置に位置するときに、前記ステムに供給された内容物を吐出する吐出孔が設けられている、請求項1または2に記載のヒンジ式開閉部材。
【請求項4】
前記第1部材には、前記第1部材および前記第2部材が前記閉位置に位置するときに、前記ステム内と前記吐出孔とを連通する連通孔が設けられ、
前記連通孔は、前記第1部材および前記第2部材が前記開位置に位置するときに、外部に開口する、請求項3に記載のヒンジ式開閉部材。
【請求項5】
前記第1部材および前記第2部材が前記閉位置に位置するときに、前記第1部材と前記第2部材との間に収容空間が画成される、請求項1または2に記載のヒンジ式開閉部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ式開閉部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるようなヒンジ式開閉部材が知られている。ヒンジ式開閉部材は、第1部材および第2部材と、第1部材および第2部材それぞれの後端部同士を連結するヒンジ機構と、を備えている。ヒンジ機構は、蝶番帯と、弾性帯と、を備えている。蝶番帯は、第1部材および第2部材を、左右方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結する。弾性帯は、第1部材および第2部材が開位置と閉位置との間の位置に位置するときに、第1部材および第2部材を開位置または閉位置に向けて付勢するように、第1部材および第2部材を連結する。弾性帯は、蝶番帯を左右方向に挟んで一対設けられている。一般に、弾性帯は、弾性帯と蝶番帯との機能の違いを理由として、蝶番帯よりも長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のヒンジ式開閉部材では、第1部材および第2部材が回転するときに、第1部材および第2部材がヒンジ機構をねじりながら回転することがある。この場合において、前述したように比較的長い弾性帯では、比較的短い蝶番帯に比べて、大きくねじられ易くなる。しかも、前記従来のヒンジ式開閉部材では、弾性帯が蝶番帯に対して左右方向の外側に設けられている。そのため、第1部材および第2部材がヒンジ機構をねじりながら回転するときに、弾性帯が蝶番帯よりもねじりの影響を受け易い。以上から、前記従来のヒンジ式開閉部材では、弾性帯が損傷し易いという問題がある。
また前述のように、弾性帯が蝶番帯よりも長くなると、このヒンジ式開閉部材を上下方向から見た平面視において、弾性帯は、蝶番帯に比べて外観的に大きな形状になり易い。その結果、弾性帯が、ヒンジ式開閉部材の平面視において、ヒンジ式開閉部材の基本形状(第1部材および第2部材の外形状)に影響を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、弾性帯の損傷を抑えるとともに外観性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係るヒンジ式開閉部材は、第1部材および第2部材と、前記第1部材および前記第2部材それぞれの後端部同士を連結するヒンジ機構と、を備えるヒンジ式開閉部材であって、前記第1部材および前記第2部材それぞれの後端部には、前方に向けて窪む凹部が設けられ、前記ヒンジ機構は、前記凹部を左右方向に挟んで一対配置され、前記第1部材および前記第2部材を、左右方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結する蝶番帯と、前記凹部に配置され、前記第1部材および前記第2部材が開位置と閉位置との間の位置に位置するときに、前記第1部材および前記第2部材を前記開位置または前記閉位置に向けて付勢するように、前記第1部材および前記第2部材を連結する弾性帯と、を備えている。
【0007】
蝶番帯が、凹部を左右方向に挟んで一対配置されている。弾性帯が、凹部に配置されている。以上から、弾性帯が、蝶番帯に対して左右方向の内側に配置されている。よって、前記従来のヒンジ式開閉部材とは異なり、第1部材および第2部材がヒンジ機構をねじりながら回転することに起因する弾性帯の損傷を抑制できる。
弾性帯が凹部に配置されている。よって、弾性帯が、弾性帯として第1部材および第2部材を付勢する機能が確保される上、弾性帯を設けることによるヒンジ式開閉部材の基本形状への影響を抑制できる。
【0008】
<2>上記<1>に係るヒンジ式開閉部材では、前記弾性帯は、左右一対の前記蝶番帯それぞれに対して左右方向の内側に隣接するように、左右一対設けられている構成を採用してもよい。
【0009】
弾性帯が、左右一対の蝶番帯それぞれに対して左右方向の内側に隣接するように、左右一対設けられている。よって、弾性帯によって第1部材および第2部材を確実に付勢することができる。
【0010】
<3>上記<1>または<2>に係るヒンジ式開閉部材では、前記第1部材は、ステムを介してピストンがシリンダ内に押し込まれることにより、前記シリンダ内の内容物が前記ステムに供給されるポンプの前記ステムに取り付けられ、前記第2部材には、前記第1部材および前記第2部材が前記閉位置に位置するときに、前記ステムに供給された内容物を吐出する吐出孔が設けられている構成を採用してもよい。
【0011】
第1部材がステムに取り付けられ、かつ、第1部材および第2部材が閉位置に位置するときに、使用者がヒンジ式開閉部材を介してステムおよびピストンを押下する。すると、シリンダ内の内容物がステムに供給された後、吐出孔から吐出される。よって、このヒンジ式開閉部材をポンプとして機能させることができる。
【0012】
<4>上記<3>に係るヒンジ式開閉部材では、前記第1部材には、前記第1部材および前記第2部材が前記閉位置に位置するときに、前記ステム内と前記吐出孔とを連通する連通孔が設けられ、前記連通孔は、前記第1部材および前記第2部材が前記開位置に位置するときに、外部に開口する構成を採用してもよい。
【0013】
第1部材がステムに取り付けられ、かつ、第1部材および第2部材が開位置に位置するときに、使用者が、連通孔を覆いながら第1部材を介してステムおよびピストンを押下する。すると、シリンダ内の内容物がステムに供給された後、連通孔から吐出される。よって、このヒンジ式開閉部材を、いわゆるハンドラップ型のポンプとして機能させることができる。しかも、第1部材および第2部材が閉位置に位置する場合と、第1部材および第2部材が開位置に位置する場合と、で、吐出の態様を切り替えることができる。
【0014】
<5>上記<1>または<2>に係るヒンジ式開閉部材では、前記第1部材および前記第2部材が前記閉位置に位置するときに、前記第1部材と前記第2部材との間に収容空間が画成される構成を採用してもよい。
【0015】
第1部材および第2部材が閉位置に位置するときに、第1部材と第2部材との間に収容空間が画成される。よって、このヒンジ式開閉部材を、内部に物品が収容可能なケースとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、弾性帯の損傷を抑えるとともに外観性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るヒンジ式開閉部材を含むポンプの縦断面図(半断面図)である。
【
図2】
図1に示すヒンジ式開閉部材の側面図である。
【
図3】
図1に示すヒンジ式開閉部材の上面図である。
【
図4】
図1に示すヒンジ式開閉部材の正面図である。
【
図5】
図1に示すヒンジ式開閉部材の背面図である。
【
図7】
図1に示すヒンジ式開閉部材の上面図であって、第1部材および第2部材が開位置に位置する状態を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るヒンジ式開閉部材の側面図である。
【
図9】
図8に示すヒンジ式開閉部材の上面図である。
【
図10】
図8に示すヒンジ式開閉部材の正面図である。
【
図11】
図8に示すヒンジ式開閉部材の背面図である。
【
図12】
図9に示すXII-XII断面矢視図である。
【
図13】
図8に示すヒンジ式開閉部材の上面図であって、第1部材および第2部材が開位置に位置する状態を示す図である。
【
図14】本発明の第2実施形態の第1変形例に係るヒンジ式開閉部材の上面図(紙面左側)および背面図(紙面右側)を一点鎖線で接続した図面である。
【
図15】
図14に示すヒンジ式開閉部材の要部の上面図であって、第1部材および第2部材が開位置に位置する状態を示す図である。
【
図16】本発明の第2実施形態の第2変形例に係るヒンジ式開閉部材の上面図(紙面左側)および背面図(紙面右側)を一点鎖線で接続した図面である。
【
図17】
図16に示すヒンジ式開閉部材の要部の上面図であって、第1部材および第2部材が開位置に位置する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、
図1から
図7を参照し、本発明の第1実施形態に係るヒンジ式開閉部材20について説明する。本実施形態では、ヒンジ式開閉部材20は、吐出容器10の一部として機能する。
【0019】
(吐出容器10)
図1に示すように、吐出容器10は、容器本体11と、ポンプ12と、を備えている。ポンプ12は、シリンダ13と、ピストン14と、ステム15と、キャップ16と、ヒンジ式開閉部材20と、を備えている。
【0020】
ここで、容器本体11、シリンダ13、シリンダ13と、ピストン14と、ステム15と、キャップ16と、ヒンジ式開閉部材20は、いずれも同軸に配置されている。以下では、この共通軸を中心軸線O1という。中心軸線方向を上下方向という。上下方向に沿って容器本体11の底部側を下側という。上下方向に沿って容器本体11の口部側を上側という。上下方向から見た平面視において、中心軸線O1に直交する方向を径方向という。上下方向から見た平面視において、中心軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
容器本体11は、内容物を収容する。内容物としては、例えば消毒液などが挙げられる。
ポンプ12では、ステム15を介してピストン14がシリンダ13内に押し込まれることにより、シリンダ13内の内容物がステム15に供給される。ステム15は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられている。ピストン14は、ステム15の上下動に伴って上下動する。シリンダ13の上端部には、径方向の外側に向けて突出し周方向の全長にわたって連続して延びる取付フランジ部が形成されている。キャップ16を容器本体11の口部に装着することで、キャップ16と口部の上端開口縁とにより、取付フランジ部が上下に挟まれて、ポンプ12が口部に固定される。
【0022】
(ヒンジ式開閉部材20)
ヒンジ式開閉部材20は、ポンプ12における押下ヘッドとして機能する。ヒンジ式開閉部材20は、ステム15の上端部に装着されている。ヒンジ式開閉部材20は、合成樹脂製である。ヒンジ式開閉部材20は、例えば、射出成形などにより一体成形される。
【0023】
図2から
図7に示すように、ヒンジ式開閉部材20は、第1部材21と、第2部材22と、ヒンジ機構23と、を備えている。ヒンジ機構23は、第1部材21および第2部材22それぞれの後端部同士を連結する。ヒンジ機構23は、第1部材21および第2部材22をヒンジ軸O2回りに回転可能に連結する。
【0024】
以下では、ヒンジ軸O2方向を左右方向という。中心軸線O1およびヒンジ軸O2の両方向に直交する方向を前後方向という。前後方向に沿って中心軸線O1に対するヒンジ機構23側を後側という。前後方向に沿って中心軸線O1に対する反ヒンジ機構側を前側という。
【0025】
ここでヒンジ機構23は、第1部材21と第2部材22とを、
図1から
図6に示すような閉位置と、
図7に示すような開位置と、の間で回転させる。閉位置では、第1部材21と第2部材22とが上下方向に重ね合わされている。開位置では、第1部材21と第2部材22とが展開されている。閉位置では、第1部材21と第2部材22とが前後方向に並ぶ。開位置の第2部材22は、閉位置の第2部材22に対して、ヒンジ軸O2回りに概ね180°回転されている。
【0026】
以下では、特に断りがない限り、ヒンジ式開閉部材20の各部材の位置や姿勢は、第1部材21および第2部材22が閉位置に位置することを前提として説明する。なお、第1部材21および第2部材22が閉位置に位置するとき、ポンプ12は、内容物を前方に吐出する通常のポンプ12として機能する。一方、第1部材21および第2部材22が開位置に位置するとき、ポンプ12は、ハンドラップ用のポンプ12として機能する。
【0027】
図2から
図7に示すように、第1部材21は、底壁31と、第1フランジ32と、装着筒33と、を備えている。
底壁31は、下方に向けて突となる球面状に形成されている。
図3および
図7に示すように、ヒンジ式開閉部材20を上方から見た上面視において、底壁31の基本形状は、真円形状である。底壁31は、中心軸線O1と同軸に配置されている。
【0028】
底壁31の後端部には、第1凹部34(凹部24)が設けられている。第1凹部34は、前方に向けて窪む。前記上面視において、第1凹部34は、前方に向けて突となる円形状である。底壁31における第1凹部34の縁部は、前方に向けて突となる第1円弧部35である。底壁31において、第1凹部34を左右方向の挟んだ両側には、一対の第1直線部36が設けられている。前記上面視において、各第1直線部36は、左右方向に延びる。
図5および
図6に示すように、底壁31の後端部には、起立壁37が設けられている。起立壁37は、上方に向けて起立している。起立壁37は、第1円弧部35および第1直線部36を形成している。
【0029】
図2から
図7に示すように、第1フランジ32は、底壁31の外周縁に設けられている。第1フランジ32は、底壁31から径方向の外側に向けて延びている。第1フランジ32は、底壁31のうち、後端部を除く全周に連続して設けられている。
装着筒33は、底壁31から下方に延びている。装着筒33は、底壁31と同軸に配置されている。
図1に示すように、装着筒33は、ステム15に着脱自在に装着されている。ステム15は、装着筒33の内部に嵌め込まれている。図示の例では、装着筒33の外周面に、上下方向の全長にわたって延びる縦リブが設けられているが、縦リブはなくてもよい。
【0030】
図6および
図7に示すように、第1部材21には、ハンドラップ用の吐出部材40が設けられている。吐出部材40の下端部は、装着筒33内に配置されている。吐出部材40の上端部は、装着筒33から上方に突出している。吐出部材40の上端部は、底壁31内に配置されている。
【0031】
吐出部材40の上端部には、邪魔板41と、ブリッジ42と、が設けられている。邪魔板41は、吐出部材40の上端開口に対して上方から対向している。邪魔板41は、底壁31の外周縁(第1フランジ32)よりも下方に位置している。ブリッジ42は、邪魔板41と、吐出部材40の上端と、を連結する。ブリッジ42は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0032】
周方向に隣り合うブリッジ42の間は、連通孔43である。連通孔43は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。連通孔43は、ステム15内に連通する。
図7に示すように、連通孔43は、第1部材21および第2部材22が開位置に位置するときに、外部に開口する。このとき、連通孔43は、ステム15に供給された内容物を吐出する。
【0033】
図2から
図7に示すように、第2部材22は、頂壁51と、第2フランジ52と、連通筒53と、吐出筒54と、を備えている。
頂壁51は、上方に向けて突となる球面状に形成されている。
図3に示すように、ヒンジ式開閉部材20を上方から見た上面視において、頂壁51の基本形状は、真円形状である。頂壁51は、中心軸線O1と同軸に配置されている。
【0034】
頂壁51の後端部には、第2凹部55(凹部24)が設けられている。第2凹部55は、前方に向けて窪む。前記上面視において、第2凹部55は、前方に向けて突となる円形状である。頂壁51における第2凹部55の縁部は、前方に向けて突となる第2円弧部56である。頂壁51において、第2凹部55を左右方向の挟んだ両側には、一対の第2直線部57が設けられている。前記上面視において、各第2直線部57は、左右方向に延びる。
図5および
図6に示すように、頂壁51の後端部には、垂下壁58が設けられている。垂下壁58は、下方に向けて垂下している。垂下壁58は、第2円弧部56および第2直線部57を形成している。
【0035】
図3、
図5および
図6に示すように、頂壁51の上面には、指当て部59が設けられている。指当て部59は、頂壁51の左右方向の中央に配置されている。指当て部59は、頂壁51の上面から下方に向けて窪む。指当て部59は、後方に向けて開口している。
図1に示すように、指当て部59には、使用者Hの指が配置される。吐出容器10の容器本体11を後方からつかんだ使用者Hがヒンジ式開閉部材20を下方に押し込むときに、指当て部59に使用者Hの指(例えば、人差し指)が押し当てられる。
【0036】
ここで
図3に示すように、前記上面視において、底壁31の基本形状と、頂壁51の基本形状と、は同等の形状で、かつ、同等の大きさである。さらに、前記上面視において、第1凹部34と、第2凹部55と、は同等の形状で、かつ、同等の大きさである。以下、第1凹部34および第2凹部55の総称を、単に凹部24とする。
【0037】
第2フランジ52は、頂壁51の外周縁に設けられている。第2フランジ52は、頂壁51から径方向の外側に向けて延びている。第2フランジ52は、頂壁51のうち、後端部を除く全周に連続して設けられている。
図6に示すように、連通筒53は、頂壁51から下方に延びている。連通筒53は、頂壁51と同軸に配置されている。連通筒53は、吐出部材40の上端部に着脱自在に嵌合されている。
【0038】
吐出筒54は、連通筒53から前方に延びている。吐出筒54内は、連通筒53内に連通している。吐出筒54は、頂壁51を前方に向けて貫通している。吐出筒54の前端には、吐出孔60が設けられている。吐出孔60は、吐出筒54内、連通筒53内、連通孔43および装着筒33内を通して、ステム15内に連通している。吐出孔60は、第1部材21および第2部材22が閉位置に位置するときに、ステム15に供給された内容物を吐出する。
【0039】
図2から
図7に示すように、ヒンジ機構23は、蝶番帯71(ヒンジ帯)と、弾性帯72(ベンド帯)と、を備えている。
図3、
図5および
図7に示すように、蝶番帯71は、凹部24を左右方向に挟んで一対配置されている。蝶番帯71は、第1直線部36と第2直線部57とを連結している。
図5に示すように、蝶番帯71は、後方から見た正面視において、左右方向に長い矩形状である。蝶番帯71は、第1部材21および第2部材22をヒンジ軸O2回りに回転可能に連結する。
【0040】
図3、
図5および
図7に示すように、弾性帯72は、凹部24に配置されている。弾性帯72は、左右一対の蝶番帯71それぞれに対して左右方向の内側に隣接するように、左右一対設けられている。弾性帯72は、凹部24における左右方向の端部に配置されている。弾性帯72は、第1円弧部35と第2円弧部56とを連結している。
【0041】
図5に示すように、弾性帯72は、後方から見た正面視において、三角形状である。弾性帯72は、前記正面視において、左右方向の外側に向けて突となる三角形状である。弾性帯72は、前記正面視において、上下方向に対称な二等辺三角形状である。弾性帯72は、左右方向の外側から内側に向かうに従い上下方向に大きくなる。
【0042】
弾性帯72は、第1部材21および第2部材22が開位置と閉位置との間の位置に位置するときに、第1部材21および第2部材22を開位置または閉位置に向けて付勢するように、第1部材21および第2部材22を連結する。
【0043】
例えば、第2部材22が第1部材21に対して閉位置から開位置に回転する過程で、第2部材22が回転し始めてから所定位置(以下、思案点という)に達するまでは、弾性帯72は徐々に伸長する。よって、第2部材22が思案点に移動するまでは、弾性帯72が第2部材22を閉位置に向けて付勢し、使用者Hは抵抗を感じる。一方、第2部材22が思案点を越えると、弾性帯72が反転変形する。その結果、弾性帯72が第2部材22を開位置に向けて付勢する。また、第2部材22が思案点を越えるとき、使用者Hは、抵抗力の変化に基づくクリック感を得る。
【0044】
例えば、第2部材22が第1部材21に対して開位置から閉位置に回転する過程でも同様に、第2部材22が回転し始めてから思案点に移動するまでは、弾性帯72が第2部材22を開位置に向けて付勢し、使用者Hが抵抗を感じる。第2部材22が思案点を超えると、弾性帯72が反転変形して使用者Hがクリック感を得る。その後、弾性帯72が第2部材22を閉位置に向けて付勢する。
【0045】
(内容物の吐出)
本実施形態に係る吐出容器10では、第1部材21および第2部材22が閉位置に位置する場合と、第1部材21および第2部材22が開位置に位置する場合と、で、吐出の態様を切り替えることができる。
【0046】
第2部材22が閉位置に位置する場合には、
図1に示すように、使用者Hがヒンジ式開閉部材20を介してステム15およびピストン14を押下する。すると、シリンダ13内の内容物がステム15に供給された後、
図6に示すように、内容物が、連通孔43、連通筒53内および吐出筒54内を通過し、吐出孔60から吐出される。
【0047】
第2部材22が開位置に位置する場合には、使用者Hが、連通孔43を手で覆いながら第1部材21を介してステム15およびピストン14を押下する。すると、シリンダ13内の内容物がステム15に供給された後、連通孔43から吐出される。このとき例えば、使用者Hが、ペーパータオルや布などを連通孔43(吐出部材40や邪魔板41)に押し付けながら第1部材21を押下すると、内容物がペーパータオルや布などに吐出される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るヒンジ式開閉部材20によれば、蝶番帯71が、凹部24を左右方向に挟んで一対配置されている。弾性帯72が、凹部24に配置されている。以上から、弾性帯72が、蝶番帯71に対して左右方向の内側に配置されている。よって、前記従来のヒンジ式開閉部材とは異なり、第1部材21および第2部材22がヒンジ機構23をねじりながら回転することに起因する弾性帯72の損傷を抑制できる。
【0049】
弾性帯72が凹部24に配置されている。よって、弾性帯72が、弾性帯72として第1部材21および第2部材22を付勢する機能が確保される上、弾性帯72を設けることによるヒンジ式開閉部材20の基本形状への影響を抑制できる。
弾性帯72が、左右一対の蝶番帯71それぞれに対して左右方向の内側に隣接するように、左右一対設けられている。よって、弾性帯72によって第1部材21および第2部材22を確実に付勢することができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るヒンジ式開閉部材20Aを、
図8から
図13を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0051】
図8から
図13に示すように、本実施形態に係るヒンジ式開閉部材20Aは、ポンプ12の一部を構成するのではない。ヒンジ式開閉部材20Aは、いわゆるケースである。
図12に示すように、第1部材21および第2部材22が閉位置に位置するときに、第1部材21と第2部材22との間に収容空間26が画成される。収容空間26には、物品が収容される。
【0052】
第1部材21は、底壁31と、第1フランジ32と、を備えているものの、装着筒33を備えていない。
第2部材22は、頂壁51と、第2フランジ52と、を備えているものの、連通筒53と、吐出筒54と、を備えていない。
【0053】
図9に示すように、第1部材21および第2部材22それぞれの前端部には、操作片25が設けられている。操作片25は、第1部材21や第2部材22から前方に突出している。第1部材21の操作片25と第2部材22の操作片25とは、周方向にずらされている。ただし、操作片25はなくてもよい。
【0054】
(変形例)
なお本実施形態に係るヒンジ式開閉部材20Aでは、ヒンジ式開閉部材20Aの基本形状が真円形状である。しかしながら、
図14および
図15に示す第1変形例に係るヒンジ式開閉部材20A1や、
図16および
図17に示す第2変形例に係るヒンジ式開閉部材20A2のように、ヒンジ式開閉部材20A1、20A2の基本形状が矩形状であってもよい。
【0055】
各変形例に係るヒンジ式開閉部材20A1、20A2は、いずれも前後方向よりも左右方向に長い矩形状である。各変形例に係るヒンジ式開閉部材20A1、20A2は、扁平な直方体状のケースである。
【0056】
図14および
図15に示すように、第1変形例に係るヒンジ式開閉部材20A1は、ヒンジ式開閉部材20A1の上面視において、凹部24が、前方に向けて突となる等脚台形状である。弾性帯72は、凹部24のうち、前記等脚台形の等辺となる部分に配置されている。左右一対の弾性帯72は、左右方向に離れている。
【0057】
図16および
図17に示すように、第2変形例に係るヒンジ式開閉部材20A2は、ヒンジ式開閉部材20A2の上面視において、凹部24が、前方に向けて突となる二等辺三角形状である。弾性帯72は、凹部24のうち、前記二等辺三角形の等辺となる部分に配置されている。左右一対の弾性帯72は、左右方向に当接または近接している。
【0058】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0059】
蝶番帯71と弾性帯72とが左右方向に離れていてもよい。例えば、弾性帯72が凹部24における左右方向の中央に配置されていてもよい。
弾性帯72は、凹部24に1つのみ配置されていてもよい。
【0060】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
12 ポンプ
13 シリンダ
14 ピストン
15 ステム
20、20A、20A1、20A2 ヒンジ式開閉部材
21 第1部材
22 第2部材
23 ヒンジ機構
24 凹部
26 収容空間
43 連通孔
60 吐出孔
71 蝶番帯
72 弾性帯
O2 ヒンジ軸