(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184144
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】粒状物射出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/04 20060101AFI20221206BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20221206BHJP
B65D 83/04 20060101ALI20221206BHJP
B65D 83/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D47/04 100
B65D47/20 210
B65D83/04 G
B65D83/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091817
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB07
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA01
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB06
3E084LA18
3E084LB02
3E084LD30
3E084LE07
(57)【要約】
【課題】例えば薬剤等の粒状物を、使用者が手などで触れることなく、目的の箇所に射出可能な粒状物射出キャップを提供する。
【解決手段】複数の粒状物Tが収容される容器の口部に装着される有頂筒状のキャップ本体2と、キャップ本体2の上側に配置される有頂筒状の蓋体と、を備え、キャップ本体2は、キャップ本体2の頂壁2bから上側に突出する有頂筒状の案内筒21と、案内筒21の周壁を貫通し、容器の内部と連通する通過孔22と、キャップ本体2の頂壁2bに位置し、通過孔22を通過した粒状物Tが待機する待機部23と、待機部23の粒状物Tに対して進退する打ち出し部24と、を有し、蓋体は、蓋体の周壁を貫通し、打ち出し部24の一部が挿通される窓孔と、蓋体の周壁を貫通し、待機部23と対向して配置され、粒状物Tが射出される射出孔と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状物が収容される容器の口部に装着される有頂筒状のキャップ本体と、
前記キャップ本体の上側に配置される有頂筒状の蓋体と、を備え、
前記キャップ本体は、
前記キャップ本体の頂壁から上側に突出する有頂筒状の案内筒と、
前記案内筒の周壁を貫通し、前記容器の内部と連通する通過孔と、
前記キャップ本体の頂壁に位置し、前記通過孔を通過した前記粒状物が待機する待機部と、
前記待機部の前記粒状物に対して進退する打ち出し部と、を有し、
前記蓋体は、
前記蓋体の周壁を貫通し、前記打ち出し部の一部が挿通される窓孔と、
前記蓋体の周壁を貫通し、前記待機部と対向して配置され、前記粒状物が射出される射出孔と、を有する、
粒状物射出キャップ。
【請求項2】
前記容器を倒立姿勢とし、正立姿勢に戻すことにより、前記案内筒の内部および前記通過孔を通して、一定量の前記粒状物が前記待機部に配置される、
請求項1に記載の粒状物射出キャップ。
【請求項3】
前記キャップ本体または前記蓋体は、前記待機部に待機する前記粒状物を前記射出孔に向けてガイドするガイド壁部を有する、
請求項1または2に記載の粒状物射出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物射出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤などの粒状物を一定量ずつ取り出すことが可能な容器として、例えば、特許文献1の粒状物収納容器が知られている。特許文献1では、操作レバーを操作することにより、粒状物を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の容器では、例えば、除草剤や園芸用の栄養剤、忌避剤などの粒状物を、使用者の手などに触れることなく、茂った植物の根元等の目的箇所に届くように勢いよく吐出することが難しかった。
【0005】
本発明は、例えば薬剤等の粒状物を、使用者が手などで触れることなく、目的の箇所に射出可能な粒状物射出キャップを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粒状物射出キャップの一つの態様は、複数の粒状物が収容される容器の口部に装着される有頂筒状のキャップ本体と、前記キャップ本体の上側に配置される有頂筒状の蓋体と、を備え、前記キャップ本体は、前記キャップ本体の頂壁から上側に突出する有頂筒状の案内筒と、前記案内筒の周壁を貫通し、前記容器の内部と連通する通過孔と、前記キャップ本体の頂壁に位置し、前記通過孔を通過した前記粒状物が待機する待機部と、前記待機部の前記粒状物に対して進退する打ち出し部と、を有し、前記蓋体は、前記蓋体の周壁を貫通し、前記打ち出し部の一部が挿通される窓孔と、前記蓋体の周壁を貫通し、前記待機部と対向して配置され、前記粒状物が射出される射出孔と、を有する。
【0007】
本発明の粒状物射出キャップでは、例えば、使用者が容器を倒立姿勢とし、その後正立姿勢に戻すなどにより、容器内部の粒状物が、案内筒の内部および通過孔を通って、待機部に供給される。次いで、使用者は、窓孔から蓋体の外部に露出する打ち出し部の一部(操作部)を操作することにより、打ち出し部によって、待機部に待機する粒状物を打ち出す。打ち出された粒状物は、待機部と対向する射出孔から、キャップ外部に勢いよく射出される。
【0008】
本発明によれば、粒状物をキャップ外部に射出することができるため、例えば、除草剤や園芸用の栄養剤、忌避剤などの粒状物を、使用者の手などに触れることなく、茂った植物の根元等の目的箇所に容易に到達させることができる。
【0009】
上記粒状物射出キャップは、前記容器を倒立姿勢とし、正立姿勢に戻すことにより、前記案内筒の内部および前記通過孔を通して、一定量の前記粒状物が前記待機部に配置されることが好ましい。
【0010】
この場合、簡単な操作により、待機部に一定量の粒状物を待機させることができる。そして、打ち出し部によって一定量の粒状物をキャップ外部へ打ち出すことができる。
【0011】
上記粒状物射出キャップにおいて、前記キャップ本体または前記蓋体は、前記待機部に待機する前記粒状物を前記射出孔に向けてガイドするガイド壁部を有することが好ましい。
【0012】
この場合、待機部の粒状物が、打ち出し部によって打ち出されたときに、ガイド壁部によって安定して射出孔に案内される。また粒状物が、待機部からガイド壁部に沿って射出孔まで移動することで、粒状物を打ち出す方向を安定させることができ、粒状物が狙った箇所へ真っ直ぐに飛ぶ。このため、本発明による上述の作用効果がより安定して得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様の粒状物射出キャップによれば、例えば薬剤等の粒状物を、使用者が手などで触れることなく、目的の箇所に射出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態の粒状物射出キャップ、および粒状物射出容器の一部を示す縦断面図であり、容器の正立姿勢を表す。
【
図2】
図2は、粒状物射出キャップのキャップ本体を示す上面図であり、蓋体の図示は省略している。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III断面を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、粒状物射出キャップを示す上面図である。
【
図5】
図5は、粒状物射出キャップ、および粒状物射出容器の一部を示す縦断面図であり、容器の倒立姿勢を表す。
【
図6】
図6は、粒状物射出キャップの使用方法を説明する図であり、キャップ本体を示す上面図であって、蓋体の図示は省略している。
【
図7】
図7は、粒状物射出キャップの使用方法を説明する図であり、キャップ本体を示す上面図であって、蓋体の図示は省略している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態の粒状物射出キャップ1、およびこれを備えた粒状物射出容器20について、図面を参照して説明する。なお本実施形態では、粒状物射出キャップ1を単にキャップと呼ぶ場合がある。
【0016】
図1に示すように、粒状物射出容器20は、複数の粒状物Tが収容される有底筒状の容器10と、容器10の口部10aに装着される粒状物射出キャップ1と、を備える。粒状物Tは、例えば、除草剤や園芸用の栄養剤、忌避剤などの錠剤等であり、本実施形態では薬剤等と呼ぶ場合がある。また、本実施形態の粒状物Tは、球状である。
【0017】
粒状物射出キャップ1は、キャップ軸Oを中心とする有頂筒状のキャップ本体2と、有頂筒状の蓋体3と、ヒンジ4と、を備える。本実施形態では、キャップ本体2、蓋体3およびヒンジ4が、合成樹脂製などの単一の部材により、一体に形成される。キャップ本体2は、容器10の口部10aに着脱可能に装着される。キャップ本体2、蓋体3および容器10の口部10aは、キャップ軸Oを共通軸として互いに同軸に配置される。
【0018】
本実施形態では、キャップ軸Oが延びる方向、つまりキャップ軸Oと平行な方向を上下方向と呼ぶ。上下方向のうち、容器10の図示しない底部から蓋体3の頂壁3bへ向かう方向を上側と呼び、蓋体3の頂壁3bから容器10の底部へ向かう方向を下側と呼ぶ。
上下方向から見た平面視で、キャップ軸Oと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、キャップ軸Oに近づく方向を径方向内側と呼び、キャップ軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
また径方向のうち、粒状物Tが射出される方向を前方と呼び、前方とは反対方向を後方と呼ぶ。本実施形態において前方とは、
図7に符号Sで示す射出方向に相当し、後方とは、射出方向Sとは反対方向に相当する。また前方および後方を含む方向を、前後方向と呼ぶ。
また径方向のうち、前後方向と直交する方向を左右方向と呼ぶ。左右方向のうち、粒状物射出キャップ1を前方から見たときに、キャップ軸Oから左側へ向かう方向を左側と呼び、キャップ軸Oから右側へ向かう方向を右側と呼ぶ。
キャップ軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。周方向のうち、所定方向を周方向一方側と呼び、所定方向とは反対方向を周方向他方側と呼ぶ。
【0019】
図1に示すように、容器10の口部10aは、上下方向に延びる円筒状である。
キャップ本体2は、周壁2aと、頂壁2bと、を有する。周壁2aは、キャップ軸Oを中心とする円筒状である。周壁2aは、口部10aの径方向外側に配置される。周壁2aは、口部10aに対して螺着により取り付けられる。頂壁2bは、周壁2aの上端部に接続され、口部10aの上端開口部を上側から覆う。
【0020】
また
図1~
図3に示すように、キャップ本体2は、案内筒21と、通過孔22と、待機部23と、逆止部25と、打ち出し部24と、ガイド筒28と、ガイド壁部26と、シール筒27と、を有する。
【0021】
案内筒21は、有頂筒状である。案内筒21は、キャップ本体2の頂壁2bから上側に突出する。案内筒21は、キャップ軸O上に位置する部分を有する。本実施形態では、案内筒21の頂壁の一部が、キャップ軸O上に位置する。
【0022】
通過孔22は、案内筒21の周壁を貫通する。具体的に、本実施形態では通過孔22が、案内筒21の周壁のうち右側部分を、径方向に貫通する。通過孔22は、案内筒21の内部から右側に開口する。通過孔22は、案内筒21の内部を通して、容器10の内部と連通する。本実施形態では通過孔22が、四角形孔状である。通過孔22の開口寸法は、粒状物Tの外径寸法よりも大きい。容器10内の粒状物Tは、案内筒21の内部を通って、通過孔22を通過可能である。
【0023】
待機部23は、キャップ本体2の頂壁2bに位置する。待機部23は、頂壁2bの上面から下側に窪む凹状である。待機部23は、案内筒21および通過孔22と隣り合って配置される。本実施形態では待機部23が、案内筒21および通過孔22の右側に隣接して配置される。
【0024】
待機部23には、通過孔22を通して粒状物Tが供給され、この粒状物Tは、キャップ外部に射出されるまでの間、待機部23に一時的に保持される。すなわち、待機部23には、通過孔22を通過した粒状物Tが待機する。待機部23には、一定量の粒状物Tが待機する。本実施形態では粒状物Tが、待機部23に1つのみ配置可能である。
【0025】
図1に示すように、前後方向と垂直な縦断面視(左右方向に沿う縦断面視)において、待機部23は、略V字状をなして下側に窪む。待機部23は、谷部23aと、傾斜部23bと、後壁23cと、を有する。
図1および
図2に示すように、谷部23aは、待機部23の最深部に位置し、前後方向に沿って延びる。谷部23aは、待機部23に待機する粒状物Tを、左右方向において位置決めした状態で保持する。
【0026】
図2に示すように、傾斜部23bは、谷部23aの前方に配置される。傾斜部23bは、待機部23の前端部に位置する。傾斜部23bの左右方向の寸法つまり幅寸法は、前方へ向かうに従い大きくなる。
図3に示すように、左右方向と垂直な縦断面視(前後方向に沿う縦断面視)において、傾斜部23bは、前方へ向かうに従い上側に向けて延びる。本実施形態では、傾斜部23bが傾斜した平面状である。傾斜部23bは、待機部23に待機する粒状物Tの前方への移動を抑え、かつ、粒状物Tが打ち出された際には粒状物Tの前方への移動を許容する。
【0027】
後壁23cは、谷部23aの後方に配置される。後壁23cは、待機部23の後端部に位置する。後壁23cは、前後方向と垂直な方向に広がる平面状であり、前方を向く。後壁23cは、待機部23に待機する粒状物Tが、待機部23から後方へ移動することを規制する。
【0028】
図1に示すように、逆止部25は、キャップ本体2の頂壁2bに配置され、待機部23に待機する粒状物Tが通過孔22に進入するのを抑える。すなわち、逆止部25は、待機部23に一時的に保持された粒状物Tが、通過孔22を通して容器10内部に戻されることを規制する。
【0029】
本実施形態では逆止部25が、待機部23の一部に配置される。具体的に、逆止部25は、待機部23のうち谷部23aと通過孔22との間に位置する部分に配置される。逆止部25は、通過孔22へ近づくように左側へ向かうに従い、上側に位置する傾斜壁状である。また
図2に示すように、逆止部25は、前後方向に延びる。
【0030】
打ち出し部24は、キャップ本体2の頂壁2bの上側に配置される。
図2、
図6および
図7に示すように、打ち出し部24は、待機部23の粒状物Tに対して進退する。打ち出し部24は、待機部23の粒状物Tを前方に打ち出し可能である。打ち出し部24は、打ち出し面24aと、弾性部24bと、操作部24cと、を有する。
【0031】
図2および
図3に示すように、打ち出し面24aは、待機部23の後方に配置され、前方を向く。本実施形態では打ち出し面24aが、凹曲面状である。打ち出し面24aは、前後方向に移動可能であり、待機部23に待機する粒状物Tに対して、後方から接触可能である。本実施形態では、
図2に示すように上側から見て、打ち出し面24aが、待機部23の谷部23aを後方に延ばした図示しない仮想延長線上に位置する。
【0032】
弾性部24bは、弾性変形可能であり、本実施形態では湾曲状に延びる。弾性部24bの両端部のうち、一端部24baは、キャップ本体2の頂壁2bに固定される。弾性部24bの一端部24baは、キャップ軸Oよりも左側に位置する。弾性部24bの両端部のうち、他端部24bbには、打ち出し面24aが配置される。弾性部24bの他端部24bbは、キャップ軸Oよりも右側に位置する。
【0033】
弾性部24bのうち、一端部24baを含む基端側部分は、周方向に沿って延びる。弾性部24bのうち、他端部24bbを含む先端側部分は、周方向に沿って一端部24baから他端部24bb側へ向かうに従い、すなわち周方向一方側(
図2においてはキャップ軸Oを中心とする時計回り)へ向かうに従い、径方向内側に向けて延びる。
【0034】
操作部24cは、弾性部24bのうち他端部24bbを含む先端側部分に接続される。操作部24cは、待機部23の後方に配置される。操作部24cは、摘み部24caと、接続部24cbと、を有する。
図2および
図3に示すように、摘み部24caは、板状であり、一対の板面が前後方向を向く。摘み部24caは、キャップ外部に露出される。
【0035】
接続部24cbは、板状であり、一対の板面が上下方向を向く。接続部24cbは、前後方向に延びる。接続部24cbの前端部は、弾性部24bの先端側部分に接続され、接続部24cbの後端部は、摘み部24caの下端部に接続される。
【0036】
図1および
図2に示すように、ガイド筒28は、有頂筒状である。ガイド筒28は、キャップ本体2の頂壁2bから上側に突出する。
図2に示すように、キャップ本体2を上側から見て、ガイド筒28は略半円形状である。ガイド筒28は、待機部23の右側に位置する。待機部23は、左右方向において、ガイド筒28の周壁と通過孔22との間に配置される。
【0037】
ガイド壁部26は、キャップ本体2の頂壁2bから上側に突出し、前後方向に延びる。ガイド壁部26は、少なくとも、待機部23よりも前方に位置する部分を有する。ガイド壁部26は、待機部23に待機する粒状物Tが打ち出し部24によって前方に打ち出されたときに、粒状物Tを前方に向けてガイドする。本実施形態ではガイド壁部26が、待機部23の右側と左側とに、左右方向に互いに間隔をあけて一対設けられる。
【0038】
一対のガイド壁部26は、待機部23の右側に位置する一方のガイド壁部26aと、待機部23の左側に位置する他方のガイド壁部26bと、を有する。
一方のガイド壁部26aは、ガイド筒28の周壁の一部に配置される。具体的に、一方のガイド壁部26aは、ガイド筒28の周壁のうち左側部分に配置される。一方のガイド壁部26aは、左側を向く平面状であり、待機部23の前方と後方とにわたって前後方向に延びる。通過孔22から待機部23に供給された粒状物Tは、ガイド筒28の一方のガイド壁部26aによって、待機部23から右側への移動が規制される。
【0039】
他方のガイド壁部26bは、案内筒21の周壁の一部に配置される。具体的に、他方のガイド壁部26bは、案内筒21の周壁の右側部分のうち、通過孔22よりも前方に位置する部分に配置される。他方のガイド壁部26bは、右側を向く平面状であり、待機部23の前方に配置される。
【0040】
図1に示すように、シール筒27は、キャップ本体2の頂壁2bから垂下設される。シール筒27は、キャップ軸Oを中心とする円筒状である。シール筒27は、容器10の口部10aの上端開口部内に嵌合する。
【0041】
蓋体3は、キャップ本体2の上側に配置される。蓋体3は、周壁3aと、頂壁3bと、を有する。周壁3aは、キャップ軸Oを中心とする円筒状である。周壁3aの下端開口部は、キャップ本体2の頂壁2bの外周部に対して、アンダーカット嵌合等により着脱可能に外嵌される。頂壁3bは、キャップ軸Oを中心とする円板状である。蓋体3の頂壁3bは、周壁3aの上端部に接続され、キャップ本体2の頂壁2bを上側から覆う。具体的に、蓋体3は、キャップ本体2の頂壁2b、案内筒21、通過孔22、待機部23、待機部23に待機する粒状物T、逆止部25、打ち出し部24、ガイド筒28、およびガイド壁部26を覆う。
【0042】
また
図3および
図4に示すように、蓋体3は、窓孔31と、射出孔32と、射出孔カバー33と、カバーヒンジ34と、カバー係止凹部35と、逃げ凹部36と、を有する。
窓孔31は、蓋体3の周壁3aを貫通する。具体的に、窓孔31は、蓋体3の周壁3aのうち後方部分を、前後方向に貫通する。窓孔31は、例えば、四角形状の切り欠き等である。窓孔31は、周壁3aの外周面、内周面および下端面に開口する。
【0043】
窓孔31は、待機部23の後方に配置される。窓孔31には、打ち出し部24の一部が挿通される。詳しくは、打ち出し部24のうち、操作部24cの接続部24cbが、窓孔31に挿通される。操作部24cの摘み部24caは、接続部24cbとの接続部分から、窓孔31よりも上側に向けて延びる。
【0044】
射出孔32は、蓋体3の少なくとも周壁3aを貫通する。本実施形態では射出孔32が、蓋体3の周壁3aおよび頂壁3bを貫通する。具体的に、射出孔32は、蓋体3の周壁3aのうち前方部分を前後方向に貫通し、かつ、頂壁3bのうち前方部分を上下方向に貫通する。
図3に示すように左右方向と垂直な縦断面視において、射出孔32は、略L字状をなす切り欠き等であり、周壁3aの外周面、内周面、下端面、および、頂壁3bの上面、下面にわたって開口する。
【0045】
射出孔32は、待機部23の前方に配置される。射出孔32は、前後方向において、待機部23と対向して配置される。射出孔32のうち周壁3aを貫通する部分の開口寸法は、粒状物Tの外径寸法よりも大きい。射出孔32は、粒状物Tが射出される孔である。詳しくは、待機部23の粒状物Tが打ち出し部24によって打ち出されたときに、粒状物Tは、射出孔32を通して前方に向けてキャップ外部へ射出される。またこのとき、ガイド壁部26は、待機部23に待機する粒状物Tを射出孔32に向けてガイドする。
【0046】
射出孔カバー33は、射出孔32を開閉可能に塞ぐ。射出孔カバー33は、屈曲した板状であり、
図3に示すように左右方向と垂直な縦断面視において、略L字状または略Z字状をなす。本実施形態では、射出孔カバー33の下端部における内側面(径方向内側を向く面)と、キャップ本体2の頂壁2bの外周部とが、アンダーカット嵌合により着脱可能に係止される。
【0047】
カバーヒンジ34は、蓋体3の頂壁3bに配置され、頂壁3bと、射出孔カバー33の上端部とを、相対回動可能に接続する。
【0048】
カバー係止凹部35は、蓋体3の頂壁3bに配置される。カバー係止凹部35は、頂壁3bの上面から下側に窪む凹状である。カバー係止凹部35には、開状態とされた射出孔カバー33の一部が配置される。
【0049】
カバー係止凹部35は、係止突起35aを有する。
図4に示すように、本実施形態では係止突起35aが、カバー係止凹部35に一対設けられる。一対の係止突起35aのうち、一方の係止突起35aは、カバー係止凹部35の左側壁から右側に突出し、他方の係止突起35aは、カバー係止凹部35の右側壁から左側に突出する。射出孔カバー33が開状態とされたときに、射出孔カバー33の左右方向の両端部は、一対の係止突起35aに係止される。これにより射出孔カバー33は、カバー係止凹部35に着脱可能に係止される。
【0050】
図3および
図4に示すように、逃げ凹部36は、蓋体3の後方部分に配置される。逃げ凹部36は、蓋体3の頂壁3bと周壁3aとの接続部分に位置し、下側かつ径方向内側へ向けて凹状に窪む。逃げ凹部36は、摘み部24caの前方に隣接して配置される。逃げ凹部36が設けられることにより、使用者が摘み部24caを操作する際、逃げ凹部36に指先等を配置でき、摘み部24caを容易に摘むことができる。また、逃げ凹部36が設けられることにより、摘み部24caを蓋体3の周壁3aに接近して配置することができ、かつ、接続部24cbから上側へ向けた摘み部24caの突出量を小さく抑えることができて、キャップの小型化を図ることができる。
【0051】
また、
図2および
図3に示すように、粒状物射出キャップ1は、待機部23と射出孔32とを連通する射出通路5を備える。射出通路5は、粒状物Tの射出をガイドする通路であり、一対のガイド壁部26と、キャップ本体2の頂壁2bと、蓋体3の頂壁3bと、により画成される。
【0052】
図1に示すように、ヒンジ4は、キャップ本体2の周壁2aと、蓋体3の周壁3aとを、相対回動可能に接続する。
【0053】
次に、粒状物射出キャップ1の使用方法について説明する。
まず、蓋体3をキャップ本体2の上側に配置した状態、つまり蓋体3を閉状態とする。以下の操作はすべて、蓋体3を閉状態としたままで行う。
【0054】
図5に示すように、容器10を倒立姿勢とし、その後、
図1に示すように正立姿勢に戻す。これにより、容器10の内部から案内筒21の内部および通過孔22を通して、一定量(本実施形態では1つ)の粒状物Tが、待機部23に配置される。
【0055】
次いで、
図3に2点鎖線で示すように、射出孔カバー33を開状態とし、射出孔32を開放する。
次いで、
図6に示すように、摘み部24caを後方へ引っ張り、弾性部24bを弾性変形させた状態から、摘み部24caを放す。これにより、
図7に示すように、弾性部24bが復元変形するとともに、打ち出し面24aが待機部23上の粒状物Tに後方から接触し、粒状物Tを前方つまり射出方向Sへ向けて弾き飛ばす。弾かれた粒状物Tは、射出通路5を射出方向Sへ移動し、射出孔32からキャップ外部へ射出される。
【0056】
以上説明した本実施形態の粒状物射出キャップ1および粒状物射出容器20では、使用者が、窓孔31から蓋体3の外部に露出する打ち出し部24の一部(操作部24c)を操作することにより、打ち出し部24によって、待機部23に待機する粒状物Tを打ち出す。打ち出された粒状物Tは、待機部23と対向する射出孔32から、キャップ外部に勢いよく射出される。
【0057】
本実施形態によれば、粒状物Tをキャップ外部に射出することができるため、例えば、除草剤や園芸用の栄養剤、忌避剤などの薬剤等の粒状物Tを、使用者の手などに触れることなく、茂った植物の根元等の目的箇所に容易に到達させることができる。
【0058】
また本実施形態では、容器10を倒立姿勢とし、正立姿勢に戻すことにより、案内筒21の内部および通過孔22を通して、一定量の粒状物Tが待機部23に配置される。
この場合、簡単な操作により、待機部23に一定量の粒状物Tを待機させることができる。そして、打ち出し部24によって一定量の粒状物Tをキャップ外部へ打ち出すことができる。
【0059】
また本実施形態では、待機部23の粒状物Tが、打ち出し部24によって打ち出されたときに、射出通路5およびそのガイド壁部26によって安定して射出孔32に案内される。また粒状物Tが、待機部23からガイド壁部26(射出通路5)に沿って射出孔32まで移動することで、粒状物Tを打ち出す方向を安定させることができ、粒状物Tが狙った箇所へ真っ直ぐに飛ぶ。このため、本実施形態による上述の作用効果がより安定して得られる。
【0060】
また本実施形態では、キャップ本体2が、待機部23に待機する粒状物Tが通過孔22に進入するのを抑える逆止部25を有する。
この場合、粒状物Tが、待機部23から通過孔22を通って容器10内部に意図せず戻されるようなことが、逆止部25によって抑制される。このため、粒状物Tの射出がより安定する。
【0061】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0062】
前述の実施形態では、キャップ本体2の周壁2aが、容器10の口部10aに螺着により装着される例を挙げたが、これに限らず、例えばアンダーカット嵌合などによって装着されてもよい。
【0063】
前述の実施形態では、通過孔22が、四角形孔状である例を挙げたが、これに限らず、例えば四角形孔状以外の多角形孔状や、円孔状、楕円孔状等であってもよい。
【0064】
前述の実施形態では、粒状物Tが、待機部23に1つのみ配置可能である例を挙げたが、これに限らない。待機部23に配置可能な粒状物Tの数、つまり本発明でいう「一定量」とは、1つのみに限らず、2つ以上であってもよい。
また、粒状物Tは球状に限らず、例えば円柱状や円板状等であってもよい。
【0065】
前述の実施形態では、キャップ本体2がガイド壁部26を有する例を挙げたが、これに限らず、蓋体3がガイド壁部を有していてもよい。
【0066】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…粒状物射出キャップ、2…キャップ本体、2b…キャップ本体の頂壁、3…蓋体、3a…蓋体の周壁、10…容器、10a…口部、21…案内筒、22…通過孔、23…待機部、24…打ち出し部、26,26a,26b…ガイド壁部、31…窓孔、32…射出孔、T…粒状物