(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184153
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】判定装置および判定方法
(51)【国際特許分類】
G01L 13/00 20060101AFI20221206BHJP
G01M 3/00 20060101ALI20221206BHJP
A62B 27/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01L13/00 C
G01M3/00 F
A62B27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091837
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 貴世
【テーマコード(参考)】
2E185
2F055
2G067
【Fターム(参考)】
2E185BA04
2E185CC76
2E185DA02
2F055AA39
2F055BB05
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF49
2F055GG11
2F055HH05
2G067AA33
2G067BB02
2G067BB12
2G067BB26
2G067CC04
2G067DD02
(57)【要約】
【課題】マスクの内外の圧力計測および持ち運びを容易に行うことができ、且つ、マスクの装着状態を判定可能な判定装置を提供できるようにすること。
【解決手段】判定装置は、ケースと、ケースの内部に第1の気体を導入する第1導入部と、ケースの内部に第2の気体を導入する第2導入部と、ケースの内部に設けられ、第1導入部から導入された第1の気体と、第2導入部から導入された第2の気体との圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定する判定部とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの内部に第1の気体を導入する第1導入部と、
前記ケースの内部に第2の気体を導入する第2導入部と、
前記ケースの内部に設けられ、前記第1導入部から導入された前記第1の気体と、前記第2導入部から導入された前記第2の気体との圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定する判定部と
を備えることを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記ケースの内部に設けられ、前記圧力差を計測する差圧センサを備え、
前記判定部は、
前記差圧センサによって計測された前記圧力差に基づいて判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定部による判定結果を出力する出力部を備え、
前記出力部は、前記判定結果に応じて点灯するLED及び/または前記判定結果に応じて所定の通知音を出力するブザーを制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記ケースは、前記ケースの内側に向かって凹んだ溝部を、外周側面の全周に亘って有することを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項5】
ケースと、前記ケースの内部に第1の気体を導入する第1導入部と、前記ケースの内部に第2の気体を導入する第2導入部と、前記ケースの内部において、前記第1導入部から導入された前記第1の気体と、前記第2導入部から導入された前記第2の気体との圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定する判定部と、を備えた判定装置と、
気体を取り込むためのパッドと、
前記パッドと前記第1導入部との間に接続され、前記パッドによって取り込まれた前記気体を前記第1の気体として前記第1導入部に導くチューブと、を用い、
前記パッドをマスク装着者の顔面とマスクとの間に差し込み、前記パッドによって取り込まれた前記マスクの内側の気体を前記第1の気体として前記第1導入部に導き、
前記第2導入部から導入した第2の気体としての大気と前記マスクの内側の気体との圧力差に基づいて、マスクの装着状態を判定することを特徴とする判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置および判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マスクの内側に挿し込んだ検知部によりマスクの内側の圧力を測定し、次いで、検知部をマスクの外側に配置してマスクの外側の圧力を測定することにより、マスクの内側の圧力とマスクの外側の圧力との圧力差を測定する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、密閉ボックス内に配置された人頭模型および人工呼吸器を用いたマスク性能測定装置において、マスクの外側に設けられた圧力測定器によって測定されたマスクの外側の圧力と、マスクの内側に設けられた圧力測定器によって測定されたマスクの内側の圧力との差圧を測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-063938号公報
【特許文献2】特開2007-212312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、ユーザが検知部の配置を変えてマスクの内側の圧力とマスクの外側の圧力とを別々に測定する必要があるため、手間および時間がかかる。また、特許文献1の技術は、検知部に圧力センサを設けているため、衛生的な理由で使用する度に交換すべき検知部のコストが増加する虞がある。また、特許文献1の技術は、検知部に圧力センサを設けているため、環境温度の変化やノイズの影響を受けて圧力の検出精度が低下する虞がある。
【0006】
また、特許文献2のマスク性能測定装置は、大型で持ち運びすることができず、且つ、ユーザがマスクを装着した状態でマスク性能を判定できるものではない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するため、マスクの内外の圧力計測および持ち運びを容易に行うことができ、且つ、マスクの装着状態を判定可能な判定装置を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、一実施形態の判定装置は、ケースと、ケースの内部に第1の気体を導入する第1導入部と、ケースの内部に第2の気体を導入する第2導入部と、ケースの内部に設けられ、第1導入部から導入された第1の気体と、第2導入部から導入された第2の気体との圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態の判定装置によれば、マスクの内外の圧力差の計測および持ち運びを容易に行うことができ、且つ、マスクの装着状態を判定可能な判定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】一実施形態に係る判定装置本体が備えるマイコンの機能構成を示すブロック図
【
図6】一実施形態に係るマイコンによる処理の手順を示すフローチャート
【
図7A】一実施形態に係る差圧センサによって計測される圧力差の一例を示す図
【
図7B】一実施形態に係る差圧センサによって計測される圧力差の一例を示す図
【
図8】一実施形態に係る判定装置本体によるチューブの収納構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(判定装置10の構成)
図1は、一実施形態に係る判定装置10の構成を示す図である。
図1に示す判定装置10は、マスクの装着状態を判定する携帯可能な装置である。
図1に示すように、判定装置10は、判定装置本体(以下「本体」)100、チューブ12、およびパッド200を備える。
【0013】
パッド200は、一定の幅を有して直線状に延在する細長い薄板状の部材である。パッド200は、その先端部が、マスクの側部の隙間からマスクの内側に挿し込まれる。パッド200は、先端部に開口部201を有する薄い袋状を有しており、開口部201からマスクの内側の気体を取り込むことができる。パッド200は、後端部にチューブ12を接続可能なノズル202が設けられており、ノズル202から、パッド200内に取り込まれたマスクの内側の気体をチューブ12に送り出すことができる。
【0014】
チューブ12は、可撓性を有する管状の部材である。チューブ12は、例えば、ゴム、シリコン等の弾性素材により形成される。チューブ12は、一端が本体100の第1ノズル131に接続され、他端がパッド200のノズル202に接続される。チューブ12は、パッド200から取り込まれたマスクの内側の気体を第1ノズル131へ導く。
【0015】
チューブ12は、本体100およびパッド200の各々に対して着脱可能であるため、チューブ12およびパッド200の交換を容易に行うことができる。
【0016】
本体100は、マスクの装着状態を判定する携帯可能な装置である。本体100はケース100Aを有する。ケース100Aは、第1ノズル131および第2ノズル132から、マスクの内側の気体および大気のそれぞれを、ケース100Aの内部に導入できるようになっている。そして、本体100は、ケース100Aの内部に導入されたマスクの内側の気体と大気との圧力差に基づいてマスクの装着状態を判定し、その判定結果を音、光などによってユーザに通知することができる。
【0017】
本体100は、小型且つ軽量である。一例として、本体100のサイズは縦60mm×横40mm×厚さ30mmであり、本体100の重量は75グラムである。このため、本体100を携帯することができ、場所および時間を問わず、ユーザが任意のタイミングでマスクの装着状態を判定することができる。
【0018】
(本体100の構成)
図2は、一実施形態に係る本体100の外観斜視図である。
図3は、本体100の分解斜視図である。
図4は、本体100の断面斜視図である。
【0019】
なお、本実施形態では、便宜上、本体100のX軸方向を前後方向とし、本体100のY軸方向を左右方向とし、本体100のZ軸方向を上下方向とする。
【0020】
図2~
図4に示すように、本体100は、ケース100A、基板110、バッテリ120、第1ノズル131、および第2ノズル132を備える。
【0021】
ケース100Aは、中空構造を有する樹脂製且つ箱状の部材である。ケース100Aは、上側ケース101および下側ケース102を有しており、上側ケース101と下側ケース102とは互いに結合および分離可能に構成されている。
図2に示す例では、ケース100Aは、前後方向を長手方向とする直方体形状を有する。
【0022】
上側ケース101の上面には、レバー101Aおよび表示部101Bが設けられている。レバー101Aは、ユーザの操作によって前後方向にスライドすることによりケース100Aに設けられているスイッチ113のレバーを操作し、電源をオン状態とオフ状態との間で切り替える。表示部101Bは、マスクの装着状態の判定結果等を表示する。
【0023】
下側ケース102は、直方体形状を有する収容部102Aを有する。収容部102Aの内部は、下側ケース102の底面に形成されている開口部102B(
図4参照)に通じている。収容部102Aの内部には2個のバッテリ120が収容される。開口部102Bは、平板状のカバー102Cによって覆われる。ユーザは、カバー102Cを取り外すことにより、バッテリ120を交換することができる。
【0024】
基板110は、ケース100Aの内部に配置される樹脂製の平板状部材である。基板110の上面および下面には、各種電子部品が実装される。例えば、基板110の上面には、マイコン111、スイッチ113、第1LED114、第2LED115、およびブザー116が実装されている。また、基板110の下面には、差圧センサ112が実装されている。
図3ではブザー116が基板110に実装されているが、ブザー116は基板110に実装せず、基板110とはケーブル等で接続してもよい。
【0025】
マイコン111は、本体100の全体を制御する。マイコン111は、差圧センサ112によって計測された圧力差に基づいてマスクの装着状態を判定する。また、マイコン111は、マスクの装着状態の判定結果を、第1LED114、第2LED115、およびブザー116を用いてユーザに通知する。
【0026】
差圧センサ112は、第1ノズル131から導かれたマスクの内側の気体と、第2ノズル132から導かれた大気との圧力差を計測する。そして、差圧センサ112は、計測された圧力差を示すデジタル信号(圧力差信号)を、マイコン111へ出力する。なお、差圧センサ112は、所定のサンプリング周期(例えば0.5秒)毎に、圧力差の計測および圧力差信号の出力を行う。なお、差圧センサ112によって計測される圧力差は、マスクの装着者の呼吸に伴って変動する。例えば、マスクの装着者が息を吐き出したとき、マスクの内側の圧力が上昇するため、大気との圧力差が正側に大きくなる。また、マスクの装着者が息を吸い込んだとき、マスクの内側の圧力が降下するため、大気との圧力差が負側に大きくなる。なお、本体100は、差圧センサ112の代わりに、第1ノズル131から導かれたマスクの内側の気体の圧力を計測する第1の圧力センサと、第2ノズル132から導かれた大気の圧力を計測する第2の圧力センサとを有してもよい。この場合も、大気とマスクの内側と圧力差は、マイコン111が算出する。
【0027】
スイッチ113は、レバー101Aがスライド操作されたときに、レバー101Aとともに前後方向にスイッチ113のレバーがスライドすることにより、本体100をオン状態とオフ状態との間で切り替える。
【0028】
第1LED114は、マイコン111の制御によって発光することにより、マスクの装着状態等をユーザに通知する。第1LED114は表示部101Bの裏側に設けられており、例えばマイコン111の制御によって青色光を点灯することにより、青色光を表示部101Bに表示させて、マスクの装着状態が良好であることをユーザに通知する。
【0029】
第2LED115は、マイコン111の制御によって発光することにより、マスクの装着状態等をユーザに通知する。第2LED115は表示部101Bの裏側に設けられており、例えばマイコン111の制御によって赤色光を点灯することにより、赤色光を表示部101Bに表示させて、マスクの装着状態が良好ではないことをユーザに通知する。
【0030】
ブザー116は、マイコン111の制御によって通知音を出力し、マスクの装着状態等を、第1LED114及び第2LED115の点灯と併せてユーザに通知する。
【0031】
バッテリ120は、基板110に実装されている各種電子部品に電力を供給する。バッテリ120は収容部102Aに収容される。バッテリ120としては、各種一次電池またはリチウムイオン電池などの各種二次電池が用いられる。本実施形態では、バッテリ120として2個の単四電池を用いているが、バッテリ120の形状、サイズ、および個数はこれに限らない。
【0032】
ケース100Aの後側(X軸負側)の側面には、ケースの内側に向かって凹んだ凹部103が形成されている。凹部103の奥底面からは、第1ノズル131および第2ノズル132が突出して設けられている。また、第1ノズル131および第2ノズル132は、凹部103内において、左右方向に並べて設けられている。
【0033】
第1ノズル131および第2ノズル132は、凹部103の奥底面を貫通して、基板110に実装されている差圧センサに接続されている。第1ノズル131および第2ノズル132は、細長い筒状を有しており、外部の気体を導入して差圧センサ112に導く。
【0034】
第1ノズル131は、「第1導入部」の一例である。第1ノズル131は、パッド200およびチューブ12を介して導入されたマスクの内側の気体を、差圧センサ112に導く。
【0035】
第2ノズル132は、「第2導入部」の一例である。第2ノズル132は大気に解放され、大気を差圧センサ112に導く。
【0036】
なお、本体100は、第1ノズル131および第2ノズル132のいずれにもチューブ12を接続可能である。そして、本体100は、第2ノズル132にチューブ12を接続し、第1ノズル131を大気に解放した場合であっても、差圧センサ112による圧力差の計測が可能である。
【0037】
また、本体100は、第1ノズル131および第2ノズル132の各々の先端部分が凹部103よりも外側に突出してないため、持ち運び時、収納時等において、第1ノズル131および第2ノズル132の引っ掛かり、損傷等を抑制することができる。
【0038】
(マイコン111の機能構成)
図5は、一実施形態に係る本体100が備えるマイコン111の機能構成を示すブロック図である。
図5に示すように、マイコン111は、取得部301、判定部302、および出力部303を備える。
【0039】
取得部301は、マスクの内側の気体と大気との圧力差を示す圧力差信号を差圧センサ112から取得する。差圧センサ112は、所定のサンプリング周期毎に、圧力差信号を出力する。これに応じて、取得部301は、所定のサンプリング周期毎に圧力差信号を取得する。
【0040】
判定部302は、第1ノズル131から導入されたマスクの内側の気体と、第2ノズル132から導入された大気との圧力差に基づいて、マスクの装着状態を判定する。具体的には、判定部302は、取得部301が取得した圧力差信号が示す圧力差に基づいて、マスクの装着状態を判定する。
【0041】
より具体的には、判定部302は、圧力差信号の示す圧力差が所定の閾値を超えた場合、マスクの装着状態が良好であると判定する。一方、判定部302は、圧力差信号が示す圧力差が閾値未満の場合、マスクの装着状態が良好ではないと判定する。
【0042】
出力部303は、判定部302によるマスクの装着状態の判定結果を出力する。例えば、出力部303は、装着状態が良好であると判定部302が判定した場合、第1LED114を青色に点灯させるとともに、ブザー116から第1の通知音を出力させる。これにより、出力部303は装着状態が良好であることをユーザに通知できる。また、例えば、出力部303は、装着状態が良好ではないと判定部302が判定した場合、第2LED115を赤色に点灯させるとともに、ブザー116から第2の通知音を出力させる。これにより、出力部303は装着状態が良好ではないことをユーザに通知できる。
【0043】
なお、マイコン111は、プログラムを実行するプロセッサ、プログラムや各種データを記憶するメモリ等を備えて構成されている。マイコン111は、プロセッサがプログラムを実行することにより、マイコン111が備える各機能を実現する。
【0044】
(マイコン111による処理の手順)
図6は、マイコン111による一実施形態に係る処理の手順を示すフローチャートである。
【0045】
本体100によってマスクの装着状態を判定するために、ユーザは、第1ノズル131にチューブ12の一端を接続し、チューブ12の他端にノズル202を接続する。そして、ユーザは、マスクの側部の隙間からパッド200の先端部をマスクの内側に挿し込む。さらに、ユーザが、レバー101Aを操作してスイッチ113をオン側に切り替えると、本体100の電源がオン状態に切り替えられる。
【0046】
本体100の電源がオン状態に切り替えられると、マイコン111が起動する(S201)。そして、出力部303は、第1LED114に青色光を点灯させ、第2LED115に赤色光を点灯させ、且つ、ブザー116から所定の通知音を出力させることにより、マイコン111が起動したことをユーザに通知する(S202)。
【0047】
次に、出力部303が、第1LED114に青色光を点滅させ、且つ、第2LED115に赤色光を点滅させることにより、本体100が計測可能な状態になったことをユーザに通知する(S203)。
【0048】
そして、ユーザが数回(例えば2~3回程度)呼吸を行うと、取得部301が、差圧センサ112によって計測された一定期間の圧力差を取得する(S204)。なお、圧力差は、ユーザの呼吸に伴って変動する。
【0049】
次に、判定部302が、S204で取得された圧力差が所定の閾値を超えたか否かを判断する(S205)。
【0050】
S205において、圧力差が閾値を超えていないと判断された場合(S205:No)、判定部302は、マスクの装着状態が不良であると判断する(S206)。そして、出力部303は、第2LED115に赤色光を点灯させ、且つ、ブザー116から所定の通知音(例えば1回の長いブザー音)を出力させることにより装着状態が不良であることをユーザに通知する(S207)。その後、マイコン111は、S203へ処理を戻し、一定期間圧力差を再計測する。これにより、マイコン111は、マスクの装着状態が良好と判定されるまで、圧力差の計測および装着状態の判定を繰り返し実行する。
【0051】
一方、S205において、圧力差が閾値を超えたと判断された場合(S205:Yes)、判定部302は、マスクの装着状態が良好であると判断する(S208)。そして、出力部303は、第1LED114に青色光を点灯させ、且つ、ブザー116から所定の通知音(例えば2回の短いブザー音)を出力させることにより、装着状態が良好であることをユーザに通知する(S209)。
【0052】
その後、ユーザによるレバー101Aの操作によってスイッチ113がオフ側に切り替えられた場合には、本体100の電源がオフ状態に切り替えられて、マイコン111は停止する。
【0053】
なお、スイッチ113がオフ側に切り替えられない場合、マイコン111は、スイッチオン状態が一定時間継続したか否かを判断する(S210)。
【0054】
S210において、スイッチオン状態が一定時間継続していないと判断された場合(S210:No)、マイコン111は、S210を再度実行する。
【0055】
一方、S210において、スイッチオン状態が一定時間継続したと判断された場合(S210:Yes)、出力部303が、ブザー116から所定の通知音(例えば連続したブザー音)を出力させることにより、スイッチの切り忘れをユーザに通知する(S209)。そして、マイコン111は、
図6に示す一連の処理を終了する。
【0056】
なお、S210においてスイッチオン状態が一定時間継続したと判断された場合、マイコン111は、本体100の電源を自動的にシャットダウンしてもよい。
【0057】
(圧力差の一例)
図7は、一実施形態に係る差圧センサ112によって計測される圧力差の一例を示す図である。
図7に示すように、差圧センサ112が計測する圧力差は、マスクの装着者の呼吸に伴って変動する。
【0058】
差圧センサ112は、呼吸に伴って変動する圧力差を、所定のサンプリング周期(例えば、0.5秒周期)で連続的に計測し、マスクの内側の圧力と大気との圧力差をリアルタイムに計測することができる。
【0059】
例えば、マスクの装着者が息を吐き出したときはマスクの内側の圧力が上昇するため、差圧センサ112によって計測される圧力差は、正側に変動する。この際、マスクの装着状態が良好な場合には、マスクの密閉度が高くなり、差圧センサ112によって計測される圧力差は大きくなる。反対に、マスクの装着状態が良好ではない場合には、マスクの密閉度が低くなり、差圧センサ112によって計測される圧力差は小さくなる。
【0060】
また、マスクの装着者が息を吸い込んだときはマスクの内側の圧力が降下するため、差圧センサ112によって計測される圧力差は、負側に変動する。この際、マスクの装着状態が良好な場合には、マスクの密閉度が高くなり、差圧センサ112によって計測される圧力差は大きくなる。反対に、マスクの装着状態が良好ではない場合には、マスクの密閉度が低くなり、差圧センサ112によって計測される圧力差は小さくなる。
【0061】
このため、予め正側および負側の一方または双方に好適な閾値を設定しておくことにより、判定部302は、マスクの装着状態の良否を判定することができる。
【0062】
例えば、判定部302は、差圧センサ112によって計測された圧力差が正側または負側の一方の閾値を超えた場合、マスクの装着状態が良好であると判定してもよい。
【0063】
また、例えば、判定部302は、差圧センサ112によって計測された圧力差が正側および負側の双方の閾値を超えた場合、マスクの装着状態が良好であると判定してもよい。
【0064】
また、例えば、差圧センサ112によって計測された圧力差の正側の極大値と、差圧センサ112によって計測された圧力差の負の極大値との差分を算出し、算出された差分が所定の閾値を超えているか否かによって、マスクの装着状態の良否を判定してもよい。
【0065】
図7Aは、マスクが正しく密着されている場合に差圧センサ112によって計測される圧力差の一例を示す。
図7Aに示す例では、圧力差の極大値と極小値との差分D1が「38Pa」であり、比較的大きい。この差分D1と所定の閾値THとを比較し、例えばD1が閾値TH以上である場合、判定部302は、マスクの装着状態が良好であると判定することができる。例えば、閾値THは24~30Paの範囲内に設定され、
図7Aの例では、閾値THを「30Pa」としている。
【0066】
図7Bは、マスクが正しく密着されていない場合に差圧センサ112によって計測される圧力差の一例を示す。
図7Cに示す例では、圧力差の極大値と極小値との差分D2が「18Pa」であり、比較的小さい。差分D2と所定の閾値THとを比較し、例えばD2が閾値TH未満である場合、判定部302は、マスクの装着状態が良好ではないと判定することができる。例えば、閾値THは24~30Paの範囲内に設定され、
図7Bの例では、閾値THを「30Pa」としている。
【0067】
(チューブ12の収納構造)
図8は、一実施形態に係る本体100によるチューブ12の収納構造を示す図である。
【0068】
図8に示すように、本体100は、圧力差の計測を行わないときには、ケース100Aの外周側面にチューブ12を巻き付けて収納することができる。これにより、ユーザは、チューブ12を本体100と一体的に容易に持ち運ぶことができ、チューブ12の紛失、持ち忘れ等を抑制することができる。
【0069】
特に、
図8に示すように、ケース100Aの外周側面にチューブ12を2周巻きつけた状態で、チューブ12の一端を第1ノズル131に接続して固定し、且つ、チューブ12の他端を第2ノズル132に接続して固定できるように、チューブ12がケース100Aのサイズに応じた適切な長さを有する。
【0070】
また、本体100には、上下方向に一定の幅を有し、且つ、ケース100Aの内側に向かって凹んだ溝部104が、ケース100Aの外周側面の全周に亘って形成されている。これにより、ケース100Aの外周側面に巻き付けるチューブ12を溝部104によってガイドすることができ、且つ、ケース100Aの外周側面に巻きつけられたチューブ12を、上下方向にずれ落ちたりしないように安定的に保持できる。
【0071】
本実施形態では、溝部104はチューブ12の太さの2本分に相当する上下幅を有する。これにより、ケース100Aは、チューブ12の1周目の部分と2周目の部分とを上下方向に並べて、溝部104内で整然と保持できるようになっている。
【0072】
以上説明したように、一実施形態に係る判定装置10は、ケース100Aと、ケース100Aの内部にマスクの内側の気体(第1の気体の一例)を導入する第1ノズル131と、ケース100Aの内部に大気(第2の気体の一例)を導入する第2ノズル132と、第1ノズル131から導入されたマスクの内側の気体と第2ノズル132から導入された大気との圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定する判定部302とを備える。
【0073】
ケース100Aが携帯可能であるため、判定装置10を容易に持ち運ぶことができる。また、判定装置10は、マスクの内側の気体と大気との双方をケース100Aの内部に導入できるため、ケース100Aの内部でマスクの内側の気体と大気との圧力差の計測を、容易且つ高精度に行うことができる。さらに、判定装置10は、計測された圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定することができる。また、判定装置10は、マスクの内側の圧力と大気の圧力とを別々に計測する必要が無いため、圧力の計測に係る手間および時間を抑制することができる。
【0074】
また、一実施形態に係る判定装置10は、ケース100Aの内部に設けられ、圧力差を計測する差圧センサ112を備え、判定部302は、差圧センサ112によって計測された圧力差に基づいて判定する。
【0075】
これにより、判定装置10は、差圧センサ112によってマスクの内側と大気との圧力差をリアルタイム且つ高精度に計測することができる。したがって、判定装置10は、圧力差が所定の閾値を超えているか否かを、瞬時且つ高精度に判定することができる。
【0076】
また、判定装置10は、マスクの内側に挿し込まれてマスクの内側の気体を取り込むパッド200と、パッド200と第1ノズル131との間に接続され、パッド200によって取り込まれたマスクの内側の気体を第1ノズル131に導くチューブ12とを備える。
【0077】
これにより、判定装置10は、マスクの内側の気体をより確実にケース100A内に導入することができる。また、パッド200に圧力センサを設ける必要がないため、衛生面の理由により使用するたびに交換すべきパッド200のコストを抑制することができる。また、パッド200に圧力センサを設ける必要がないため、環境温度の変化やノイズの影響を受けることなく、マスクの内側の気体の圧力を高精度に検出することができる。
【0078】
また、判定装置10において、判定部302は、圧力差と所定の閾値とに基づいて、マスクの装着状態を判定する。特に、判定部302は、圧力差が閾値を超えた場合マスクの装着状態が良好であると判定し、圧力差が閾値未満の場合マスクの装着状態が良好ではないと判定する。
【0079】
これにより、判定装置10は、比較的簡単なロジックによって、マスクの装着状態を判定することができる。
【0080】
また、一実施形態に係る判定装置10は、判定部302による判定結果を出力する出力部303を備え、出力部303は、判定結果に応じて点灯するLED114,115及び/または判定結果に応じて所定の通知音を出力するブザー116を制御する
る。
【0081】
これにより、一実施形態に係る判定装置10は、判定部302による判定結果を、直ちにユーザに把握させることができる。
【0082】
また、一実施形態に係る判定装置10において、ケース100Aは、ケース100Aの内側に向かって凹んだ溝部104を、外周側面の全周に亘って有する。
【0083】
これにより、一実施形態に係る判定装置10は、ケース100Aの外周側面に巻き付けるチューブ12を溝部104によってガイドすることができ、且つ、ケース100Aの外周側面に巻きつけられたチューブ12を安定的に保持できる。
【0084】
また、一実施形態に係る判定方法は、ケース100Aと、ケース100Aの内部にマスクの内側の気体(第1の気体の一例)を導入する第1ノズル131と、ケース100Aの内部に大気(第2の気体の一例)を導入する第2ノズル132と、第1ノズル131から導入されたマスクの内側の気体と第2ノズル132から導入された大気との圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定する判定部302と、を備えた判定装置10と、気体を取り込むためのパッド200と、パッド200と第1ノズル131との間に接続され、パッド200によって取り込まれた気体を第1の気体として第1ノズル131に導くチューブ12と、を用い、パッド200をマスク装着者の顔面とマスクとの間に差し込み、パッド200によって取り込まれたマスクの内側の気体を第1の気体として第1ノズル131に導き、第2ノズル132から導入した第2の気体としての大気とマスクの内側の気体との圧力差に基づいて、マスクの装着状態を判定する。
【0085】
本判定方法は、マスクの内側の気体と大気との双方をケース100Aの内部に導入するため、ケース100Aの内部でマスクの内側の気体と大気との圧力差の計測を、容易且つ高精度に行うことができる。また、本判定方法は、計測された圧力差が所定の閾値を超えているか否かを判定することができる。また、本判定方法は、マスクの内側の圧力と大気の圧力とを別々に計測する必要が無いため、圧力の計測に係る手間および時間を抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 判定装置、12 チューブ、100 判定装置本体、100A ケース、
101 上側ケース、101A レバー、101B 表示部、102 下側ケース、
104 溝部、112 差圧センサ、113 スイッチ、114 第1LED、
115 第2LED、131 第1ノズル、132 第2ノズル、200 パッド、
201 開口部、202 ノズル、301 取得部、302 判定部、303 出力部