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特開2022-184155差圧チェック方法及び差圧チェックプログラム
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  • 特開-差圧チェック方法及び差圧チェックプログラム 図1
  • 特開-差圧チェック方法及び差圧チェックプログラム 図2
  • 特開-差圧チェック方法及び差圧チェックプログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184155
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】差圧チェック方法及び差圧チェックプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01L 13/00 20060101AFI20221206BHJP
   G01L 19/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01L13/00 Z
G01L19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091842
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】593012310
【氏名又は名称】菱熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】杉本 拓郎
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB06
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF02
2F055FF49
(57)【要約】
【課題】 本発明は、フロアの異なるチェック対象室が存在する場合に容易に且つ適切に対応することができる差圧チェック方法及び当該差圧チェック方法を実現するプログラムを提供する。
【解決手段】 本発明に係る差圧チェック方法は、携帯可能な測定装置でチェック対象室の室外の基準点と室内の気圧を別々に測定し差圧をチェックする方法であって、上記基準点の気圧データ(基準気圧データ)を把握し、上記基準点の気温データ(基準気温データ)を把握すると共に、上記室内の気圧データ(室内気圧データ)を把握し、上記基準点と上記チェック対象室の測定点との高低差データを把握し、上記基準気圧データを上記基準気温データ及び上記高低差データに基づいて上記測定点と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握して、上記更正基準気圧データと上記室内気圧データとを比較し差圧をチェックする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な測定装置でチェック対象室の室外の基準点と室内の気圧を別々に測定し差圧をチェックする方法であって、以下のA乃至Fのステップを有することを特徴とする差圧チェック方法であり、
A:上記基準点の気圧データ(基準気圧データ)を把握する、
B:上記基準点の気温データ(基準気温データ)を把握する、
C:上記室内の気圧データ(室内気圧データ)を把握する、
D:上記基準点と上記チェック対象室の測定点との高低差データを把握する、
E:上記基準気圧データを上記基準気温データ及び上記高低差データに基づいて上記測定点と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する、
F:上記更正基準気圧データと上記室内気圧データとを比較し差圧をチェックする。
【請求項2】
上記測定装置として気圧測定手段及び気温測定手段を備える携帯端末を用いることを特徴とする請求項1記載の差圧チェック方法。
【請求項3】
携帯可能な測定装置で別々に測定したチェック対象室の室外の基準点と室内の気圧に関するデータに基づいて差圧をチェックするプログラムであって、以下のA乃至Fのステップを有することを特徴とする差圧チェックプログラムであり、
A:上記基準点の気圧データ(基準気圧データ)を把握する、
B:上記基準点の気温データ(基準気温データ)を把握する、
C:上記室内の気圧データ(室内気圧データ)を把握する、
D:上記基準点と上記チェック対象室の測定点との高低差データを把握する、
E:上記基準気圧データを上記基準気温データ及び上記高低差データに基づいて上記測定点と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する、
F:上記更正基準気圧データと上記室内気圧データとを比較し差圧をチェックする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差圧チェックの対象室の基準気圧(室外気圧)と室内気圧との差圧をチェックする方法及び当該差圧チェック方法をコンピュータに実行させることができるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品工場や病院等、清潔に保つことや危険物が漏れ出るのを防止する目的で陽圧状態や陰圧状態の室内を必要とする施設においては、当該室内と室外の差圧チェックが必要であり、チェック対象室に差圧計を設置し、チューブ等を介して室外気圧(基準気圧)と室内気圧を同時に測定し差圧チェックしている。
【0003】
しかし、チェック対象室の全てに差圧計を設置するのは膨大な費用がかかる問題点があると共に、その膨大な費用を捻出できない場合には一部の対象室のみにしか差圧計を設置することができず、適切に差圧をチェックできない対象室が存在してしまう問題点があった。
【0004】
そこで、下記特許文献1に示すように、携帯可能な差圧計を用い、チェック対象室の室外と室内とを行き来して、基準気圧と室内気圧をそれぞれ測定する差圧チェック方法が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-58833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の差圧チェック方法によれば、各チェック対象室に差圧計を設置せずとも、それぞれのチェック対象室に差圧計を持ち運んで測定することにより、容易に差圧チェックを行うことができる。
【0007】
加えて、上記特許文献1の差圧チェック方法は、チェック対象室内と室外の気温に関するデータを把握することにより、気温による気圧変化も考慮して差圧チェックを行うことができる。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の差圧チェック方法にあっては、全てのチェック対象室が同一の階高(同一レベル)ではない場合、たとえば、フロアの異なるチェック対象室が存在する場合に、適切に対応することができないか、フロア毎に基準点を設けて基準気圧を測定する煩雑なステップを経なければならない問題点を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した従来の差圧チェック方法が抱える問題点を有効に解消した差圧チェック方法及び当該差圧チェック方法を実現するプログラムを提供する。
【0010】
要述すると、本発明に係る差圧チェック方法は、携帯可能な測定装置でチェック対象室の室外の基準点と室内の気圧を別々に測定し差圧をチェックする方法であって、以下のA乃至Fのステップを有することを特徴とする差圧チェック方法である。
【0011】
A:上記基準点の気圧データ(基準気圧データ)を把握する、
B:上記基準点の気温データ(基準気温データ)を把握する、
C:上記室内の気圧データ(室内気圧データ)を把握する、
D:上記基準点と上記チェック対象室の測定点との高低差データを把握する、
E:上記基準気圧データを上記基準気温データ及び上記高低差データに基づいて上記測定点と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する、
F:上記更正基準気圧データと上記室内気圧データとを比較し差圧をチェックする。
【0012】
好ましくは、上記測定装置として気圧測定手段及び気温測定手段を備える携帯端末を用いることにより、各ステップをスムーズに行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る差圧チェックプログラムは、携帯可能な測定装置で別々に測定したチェック対象室の室外の基準点と室内の気圧に関するデータに基づいて差圧をチェックするプログラムであって、以下のA乃至Fのステップを有することを特徴とする差圧チェックプログラムである。
【0014】
A:上記基準点の気圧データ(基準気圧データ)を把握する、
B:上記基準点の気温データ(基準気温データ)を把握する、
C:上記室内の気圧データ(室内気圧データ)を把握する、
D:上記基準点と上記チェック対象室の測定点との高低差データを把握する、
E:上記基準気圧データを上記基準気温データ及び上記高低差データに基づいて上記測定点と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する、
F:上記更正基準気圧データと上記室内気圧データとを比較し差圧をチェックする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る差圧チェック方法によれば、チェック対象室が複数存在し且つ異なる高さに存するチェック対象室が存在する場合であっても、一つの基準点の気圧及び気温と当該基準点と測定点との高低差のデータさえ把握できれば、容易に且つ適切に各チェック対象室の差圧チェックを行うことができる。よって、たとえば、複数階建ての施設において、フロアの異なるチェック対象室が存する場合であっても、容易に且つ適切に各チェック対象室の差圧チェックを行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る差圧チェックプログラムによれば、上述した本発明に係る差圧チェック方法をコンピュータに適切に実施させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】施設内のチェック対象室と基準点を示す俯瞰図である。
図2】本発明に係る差圧チェック方法の流れを示すフローチャート図である。
図3】測定装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る差圧チェック方法及び差圧チェックプログラムの最良の実施例について、図1乃至図3に基づき説明する。
【0019】
本発明に係る携帯可能な測定装置、つまりユーザと共にチェック対象室の室内と室外を行き来することができる測定装置でチェック対象室の室外の基準点と室内の気圧を別々に測定し差圧をチェックする方法である。
【0020】
たとえば、図1に示すように、複数のフロア(階)を有する施設Fにおいて、差圧のチェック対象室R1、R2及びR3が存在している場合に、基準点P0、チェック対象室R1の測定点P1、チェック対象室R2の測定点P2及びチェック対象室R3の測定点P3へ測定装置を移動させながら気圧を測定し、各チェック対象室R1、R2又はR3の差圧をチェックする。
【0021】
具体的な流れとしては、図2に示すように、まず、ユーザが測定装置と一緒に基準点P0に移動し、気圧を測定して基準点P0の気圧データ(基準気圧データ)を把握し(ステップA)、気温を測定して基準点P0の気温データ(基準気温データ)を把握する(ステップB)。なお、後述するように、基準点において、当該点の標高データを把握することも実施に応じ任意である。
【0022】
次いで、図2に示すように、ユーザが測定装置と一緒にチェック対象室R1の測定点P1に移動し、気圧を測定してチェック対象室R1内の気圧データ(室内気圧データ)を把握する(ステップC)。
【0023】
そして、基準点P0とチェック対象室R1の測定点P1との高低差データを予め確認しておくか又は測定した基準点P0の標高データと測定点P1の標高データとから演算して把握し(ステップD)、ステップAで得た基準気圧データを基準気温データ及び高低差データに基づいて測定点P1と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する(ステップE)。換言すると、既知の海面更正気圧の計算式を利用して、基準気圧データを測定点P1と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを得る。なお、高低差データについては激しく増減するものではないので、測定点P1を定めた際に予め確認していても良いし、基準点P0及び測定点P1の標高データをそれぞれ把握し演算して求めても良い。後述する各測定点P2,P3における基準点P0との高低差データについても同様である。
【0024】
さらに、チェック対象室R2やR3の差圧もチェックする場合には、各チェック対象室R2又はR3において、上述したステップC~ステップEを実施する。
【0025】
つまり、ユーザが測定装置と一緒にチェック対象室R2の測定点P2に移動し、気圧を測定してチェック対象室R2の室内気圧データを把握し(ステップC)、予め確認するか又は基準点P0と測定点P2の標高データから演算した、基準点P0と測定点P2との高低差データを把握する(ステップD)と共に、基準気圧データを基準気温データ及び高低差データに基づいて測定点P2と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する(ステップE)。
【0026】
同様に、ユーザが測定装置と一緒にチェック対象室R3の測定点P3に移動し、気圧を測定してチェック対象室R3の室内気圧データを把握し(ステップC)、予め確認するか又は基準点P0と測定点P3の標高データから演算した、基準点P0と測定点P3との高低差データを把握する(ステップD)と共に、基準気圧データを基準気温データ及び高低差データに基づいて測定点P3と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する(ステップE)。
【0027】
最後に、ステップEで得たそれぞれの更正基準気圧データと、ステップCで得たそれぞれの室内気圧データとを比較して、各チェック対象室R1、R2又はR3における差圧状態をチェックする(ステップF)。
【0028】
したがって、本発明に係る差圧チェック方法によれば、チェック対象室が複数存在し且つ異なる階高(レベル)のチェック対象室が存在する場合であっても、一つの基準点の気圧、気温及び標高のデータさえ把握できれば、容易に且つ適切に各チェック対象室の差圧チェックを行うことができる。よって、たとえば、図1に示すように、複数階建ての施設Fにおいて、フロアの異なるチェック対象室R1、R2及びR3が存する場合であっても、容易に且つ適切に各チェック対象室の差圧チェックを行うことができる。
【0029】
上述した本発明に係る差圧チェック方法において、測定装置として、好ましくは気圧測定手段及び気温測定手段を備える携帯端末を用いることにより、各ステップをスムーズに行うことができる。携帯端末としては、スマートフォンの他、タブレット型の携帯端末等、ある程度小型で持ち運びすることができる通信機能付きコンピュータを用いることができる。
【0030】
測定装置について詳述すると、図3に示すように、まず、測定装置1は、各種測定手段として気圧センサー部2(気圧測定手段)、気温センサー部3(気温測定手段)及び標高センサー部4(標高測定手段)を備える。この内、標高センサー部4については省略しても良い。基準点や各チェック対象室の測定点の標高及び基準点と各測定点との高低差は予め把握しておくことができるからである。
【0031】
また、図3に示すように、測定装置1は制御部5と、該制御部5で得られた差圧判断結果等を表示するモニター部6と、標高データ等を入力する入力部7を備え、該制御部5は各種データや演算式等を保管する記憶部5aと該記憶部5aから呼び出したデータを用いて演算を行う演算部5bを有する。
【0032】
本発明に係る差圧チェックプログラムは、測定装置1の各構成を利用しつつ制御部5で実行して、本発明に係る差圧チェック方法を実現する。
【0033】
すなわち、図1図2に示すように、基準点P0において、制御部5は気圧センサー部2から基準気圧データを把握し(ステップA)、気温センサー部3から基準気温データを把握し(ステップB)、必要に応じて標高センサー部4又は入力部7から基準点の標高データを把握する。なお、各種データは必要に応じてモニター部6に表示され、記憶部5aに保管される。
【0034】
次いで、チェック対象室R1の測定点P1において、制御部5は気圧センサー部2から室内気圧データを把握し(ステップC)、必要に応じて標高センサー部4又は入力部7から標高データを把握する。また、基準点P0と測定点P1との高低差データを予め確認しておくか又は測定した基準点P0の標高データと測定点P1の標高データとから演算して把握する(ステップD)と共に、基準気圧データを基準気温データ及び高低差データに基づいて測定点P1と同一高さにおける気圧に更正し更正基準気圧データを把握する(ステップE)。チェック対象室R2の測定点P2及びチェック対象室R3の測定点P3においても、同様に、ステップC~ステップEを実施して、測定点P2、P3に対する更正基準気圧データを把握する。なお、これらの場合も各種データは必要に応じてモニター部6に表示され、記憶部5aに保管される。
【0035】
制御部5の演算部5bは記憶部5aから更正基準気圧データと各チェック対象室R1、R2、R3の室内気圧データを呼出し、比較して、差圧状態をチェックする(ステップF)。
【0036】
以上のとおり、本発明に係る差圧チェック方法によれば、チェック対象室が複数存在し且つ異なる階高(レベル)の対象室が存在する場合であっても、一つの基準点の気圧、気温及び基準点と測定点との高低差データさえ把握できれば、容易に且つ適切に各チェック対象室の差圧チェックを行うことができる。
【0037】
また、本発明に係る差圧チェックプログラムによれば、上述した本発明に係る差圧チェック方法をコンピュータに適切に実施させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…測定装置、2…気圧センサー部(気圧測定手段)、3…気温センサー部(気温測定手段)、4…標高センサー部(標高測定手段)、5…制御部、5a…記憶部、5b…演算部、6…モニター部、7…入力部、F…施設、R1、R2、R3…チェック対象室、P0…基準点、P1、P2、P3…チェック対象室内の測定点。
図1
図2
図3