(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184157
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】発光時計
(51)【国際特許分類】
G04G 11/00 20060101AFI20221206BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20221206BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20221206BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20221206BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221206BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20221206BHJP
F21Y 105/16 20160101ALN20221206BHJP
【FI】
G04G11/00
F21V5/04 200
F21V5/04 350
F21L4/00 619
F21V5/00 320
F21Y115:10
F21Y113:13
F21Y105:16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091844
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】512138611
【氏名又は名称】ムーンムーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】竹田 浩一
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA00
2F002AA01
2F002AA02
2F002EH04
(57)【要約】
【課題】全体的にコンパクト化して設置性、操作の利便性を良好とし、就寝者の睡眠導入や覚醒導入を可能とする必要十分な睡眠・覚醒作用光を発生させることができる発光時計を提供する。
【解決手段】扁平状の筐体と、筐体内で格子点状に複数配設され正面側に配向させた光源と、複数の光源を覆う外側の発光カバー体と、筐体内で複数の光源と発光カバー体との間に介設され、光源に対応する位置にレンズ部を複数形成した板状の内側の透明プレートと、を備え、予め設定された起床時刻で発光カバー体全域を覚醒作用光で発光させる一方、予め設定された就寝時刻で発光カバー体全域を睡眠作用光で発光させてなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状の筐体と、
前記筐体内で格子点状に複数配設され、それぞれ光の照射方向を前記筐体の厚み方向一側の正面側に配向させた光源と、
光拡散性を有し、前記光源よりも正面側で前記光源に近接して配設され、複数の前記光源を覆うと共に前記筐体の正面側壁をなす外側の発光カバー体と、
前記筐体内で複数の前記光源と前記発光カバー体との間に介設され、前記光源に対応する位置にレンズ部を複数形成した板状の内側の透明プレートと、を備え、
予め設定された起床時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を寒色、白色の少なくとも1つから選択された色の覚醒作用光で発光させる一方、
予め設定された就寝時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を暖色、中性色の少なくとも1つから選択された色の睡眠作用光で発光させることを特徴とする発光時計。
【請求項2】
前記レンズ部は、前記透明プレートの正面側の板面部に形成された凹部又は/及び背面側の板面部に形成された凸部を有するレンズであることを特徴とする請求項1に記載の発光時計。
【請求項3】
前記光源は、前記覚醒作用光で発光する覚醒用発光素子と前記睡眠作用光で発光する睡眠用発光素子とを2つ隣接配置して構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光時計。
【請求項4】
前記透明プレートの面積は、前記発光カバー体の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の発光時計。
【請求項5】
前記発光カバー体は、
前記透明プレートに面対向し、前記光源からの光を前記透明プレートを介して直接的に受けて発光する直接受光部と、
前記直接受光部で受けた光を前記発光カバー体内を導光させて前記直接受光部から間接的に受けて発光する間接受光部と、を有し、
前記間接受光部は、前記直接受光部よりも肉薄に形成したことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の発光時計。
【請求項6】
前記筐体の背面には枢軸部を介して上下回動変位すると共に下方傾斜した状態で前記筐体を背面側から支持するスタンドを設けており、前記スタンドは上方回動変位して前記筐体の背面に当接した状態では前記筐体上面よりも上方に突出して壁かけハンガーを兼用するように構成したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の発光時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、睡眠の質を向上させ、人の生活リズムを整える発光時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活リズムの乱れは不眠症や浅い眠りなどの睡眠障害による睡眠サイクル異常、すなわち体内時計のズレに起因しており、この体内時計のズレは就寝者に睡眠作用や覚醒作用を示す光(以下、単に睡眠・覚醒作用光ともいう。)の刺激を付与することで解消できることが知られている。
【0003】
かかる理論を応用したものとして、時計本体部に接続して所定時刻に睡眠・覚醒作用光で発光する発光部を備えた光目覚まし時計が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記光目覚し時計によれば、起床時や就寝時に発光部から睡眠・覚醒作用光を就寝者へ照射することにより、同作用光で光浴した就寝者を睡眠或いは覚醒へと可及的速やかに導入させ、睡眠サイクルを正常化して体内時計のズレをリセットし、健康的な生活リズムに改善することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の光目覚し時計では、睡眠・覚醒作用光の光量や照度を十分に担保することができずに就寝者を照らして睡眠導入や覚醒導入ができない可能性があり、また、全体として大型化してしまい余分に設置スペースを要したり操作の利便性に欠けたりする虞があった。
【0007】
一般的に、目覚し時計は、就寝者の操作の利便性を考慮して手が届く範囲、例えば枕元、頭部近傍などの就寝者の寝床の限られた場所に設置されるために、コンパクト化が要求される。
【0008】
この点、上記従来の光目覚し時計によれば、時計機能を有した時計本体部と睡眠・覚醒作用光を発する発光部とが別体に構成されているため、結果、時計全体が大型化してしまい、設置場所が限られたり時刻設定や目覚ましアラームストップなどの時計操作が不便となったりする可能性があった。
【0009】
仮に設置や操作の利便性を保持すべく時計全体をコンパクト化しようとした場合には、時計本体部に発光部を内蔵させることとなるが、そのためには限られ時計本体部内において睡眠・覚醒作用光として十分に機能する光量や照度を保持して照射されるような発光部や他の機能部材等の配置構成に工夫を要する。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、全体的にコンパクト化して設置性、操作の利便性を良好とし、就寝者の睡眠導入や覚醒導入を可能とする必要十分な睡眠・覚醒作用光を発生させることができる発光時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、本発明では、(1)扁平状の筐体と、前記筐体内で格子点状に複数配設され、それぞれ光の照射方向を前記筐体の厚み方向一側の正面側に配向させた光源と、光拡散性を有し、前記光源よりも正面側で前記光源に近接して配設され、複数の前記光源を覆うと共に前記筐体の正面側壁をなす外側の発光カバー体と、前記筐体内で複数の前記光源と前記発光カバー体との間に介設され、前記光源に対応する位置にレンズ部を複数形成した内側の透明プレートと、を備え、予め設定された起床時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を寒色、白色の少なくとも1つから選択された色の覚醒作用光で発光させる一方、予め設定された就寝時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を暖色、中性色の少なくとも1つから選択された色の睡眠作用光で発光させることを特徴とする発光時計を提供する。
【0012】
また、本発明に係る発光時計は、以下(2)~(6)の点に特徴を有する。
(2)前記レンズ部は、前記透明プレートの正面側の板面部に形成された凹部又は/及び背面側の板面部に形成された凸部を有するレンズであること。
(3)前記光源は、前記覚醒作用光で発光する覚醒用発光素子と前記睡眠作用光で発光する睡眠用発光素子とを2つ隣接配置して構成したこと。
(4)前記透明プレートの面積は、前記発光カバー体の面積よりも小さいこと。
(5)前記発光カバー体は、前記透明プレートに面対向し、前記光源からの光を前記透明プレートを介して直接的に受けて発光する直接受光部と、前記直接受光部で受けた光を前記発光カバー体内を導光させて前記直接受光部から間接的に受けて発光する間接受光部と、を有し、前記間接受光部は、前記直接受光部よりも肉薄に形成したこと。
(6)前記筐体の背面には枢軸部を介して上下回動変位すると共に下方傾斜した状態で前記筐体を背面側から支持するスタンドを設けており、前記スタンドは上方回動変位して前記筐体の背面に当接した状態では前記筐体上面よりも上方に突出して壁かけハンガーを兼用するように構成したこと。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、扁平状の筐体と、前記筐体内で格子点状に複数配設され、それぞれ光の照射方向を前記筐体の厚み方向一側の正面側に配向させた光源と、前記光源よりも正面側で前記光源に近接して配設され、光拡散性を有し、複数の前記光源を覆うと共に前記筐体の正面側壁をなす外側の発光カバー体と、前記筐体内で複数の前記光源と前記発光カバー体との間に介設され、前記光源に対応する位置にレンズ部を複数形成した板状の内側の透明プレートと、を備えたため、全体的にコンパクト化でき設置性や操作の利便性を良好とし、就寝者の睡眠導入や覚醒導入を可能とする睡眠・覚醒作用光を発生させることができる。
【0014】
すなわち、扁平状の筐体内で、照射方向を厚み方向に沿うように配置した光源からの照射光を、面積が比較的広い厚み方向一側の正面壁を発光カバー体全域で受けて、同発光カバー体全域を睡眠・覚醒作用光で強力に発光させる。
【0015】
具体的には、複数の光源からの光を、透明プレートに形成した各レンズ部を介して外側に向けて拡散屈折させ、発光カバー体の背面全域に均一照射する。発光カバー体の背面に照射された光は、発光カバー体内部を通過する際に散乱しながら発光カバー体全体を均一発光させる。そして、全体を発光させた発光カバー体が、正面から外側に向けて強力な睡眠・覚醒作用光を照射する。
【0016】
このように本発明の発光時計は、筐体内の限られた扁平状スペースを有効利用して、各光源から対応する各レンズ部で一旦集光した光を発光カバー体全域に均一拡散照射することにより、同発光カバー体全体を睡眠・覚醒作用光で間接的且つ強力に発光させることができる。
【0017】
すなわち、予め設定された起床時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を寒色、白色の少なくとも1つから選択された色の覚醒作用光で発光させて、同覚醒作用光を睡眠状態にある就寝者に対して発光時計を中心に放射状に高照度で照射することができ、就寝者の覚醒を効果的に促すことができる効果がある。
【0018】
一方で、予め設定された就寝時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を暖色、中性色の少なくとも1つから選択された色の睡眠作用光で発光させて、同睡眠作用光を覚醒状態にある就寝者に対して発光時計を中心に放射状に高照度で照射することができ、就寝者の睡眠を効果的に促すことができる効果がある。
【0019】
したがって、本発明の発光時計から発せられた睡眠・覚醒作用光で光浴した就寝者は、体内時計のズレをリセットして睡眠サイクルを正常化することができ、通常の健康的な生活リズムへ改善することができる効果がある。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、前記レンズ部は、前記透明プレートの正面側の板面部に形成された凹部又は/及び背面側の板面部に形成された凸部を有するレンズであることとしたため、光源から発せられて透明プレートのレンズ部を通過した光がそれぞれ発光カバー体の背面に可及的広い範囲で拡散され、複合的に発光カバー体全域に照射されることとなり、発光カバー体の照度をさらに効果的に向上させることができる効果がある。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、前記光源は、前記覚醒作用光で発光する覚醒用発光素子と前記睡眠作用光で発光する睡眠用発光素子とを2つ隣接配置して構成したため、覚醒用と睡眠用とを切り替え可能とした1つの発光素子のみを光源とした場合に比べて、就寝者に対して睡眠・覚醒作用を生起するのに必要十分な発光カバー体の照度を確保することができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、前記透明プレートの面積は、前記発光カバー体の面積よりも小さいこととしたため、少ない光源であっても透明プレートを介して発光カバー体全域を睡眠・覚醒作用光で発光させることができ、発光に要する消費エネルギーを可及的抑制することができる。また、発光カバー体には、透明プレートに重合しない領域が形成されることから、同領域に例えば時計表示部などの機能表示部を形成することができる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、前記発光カバー体は、前記透明プレートに面対向し、前記光源からの光を前記透明プレートを介して直接的に受けて発光する直接受光部と、前記直接受光部で受けた光を前記発光カバー体内を導光させて前記直接受光部から間接的に受けて発光する間接受光部と、を有し、前記間接受光部は、前記直接受光部よりも肉薄に形成したため、光源から発せられた光が発光カバー体の直接受光部を導光しつつ間接受光部へ導光され、結果、発光カバー体全体が均一発光することができる。したがって、光源の数を必要最低限にすることができる効果がある。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、前記筐体の背面には枢軸部を介して上下回動変位すると共に下方傾斜した状態で前記筐体を背面側から支持するスタンドを設けており、前記スタンドは上方回動変位して前記筐体の背面に当接した状態では前記筐体上面よりも上方に突出して壁かけハンガーを兼用するように構成したため、例えば、寝床近傍の壁や載置台や床面など、就寝者の顔面を照らすことができる範囲にある就寝環境に適宜適応した発光時計の設置形態を実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】実施例に係る発光時計の発光カバーを取り外した状態を示す外観斜視図である。
【
図3】実施例に係る発光時計の使用状態を示す模式的説明図である。
【
図4】実施例に係る発光時計の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】実施例に係る発光時計の構成を示す中央縦断面図である。
【
図6】実施例に係る発光時計のスタンドの構成を示す模式的説明図である。
【
図7】実施例に係る発光時計のスタンドの使用形態を示す模式的説明図である。
【
図8】実施例に係る発光時計の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の要旨は、扁平状の筐体と、前記筐体内で格子点状に複数配設され、それぞれ光の照射方向を前記筐体の厚み方向一側の正面側に配向させた光源と、前記光源よりも正面側で前記光源に近接して配設され、複数の前記光源を覆うと共に前記筐体の正面側壁をなす外側の発光カバー体と、前記筐体内で複数の前記光源と前記発光カバー体との間に介設され、前記光源に対応する位置にレンズ部を複数形成した板状の内側の透明プレートと、を備え、予め設定された起床時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を中性色、寒色、無彩色の少なくとも1つから選択された色彩の覚醒作用光で発光させる一方、予め設定された就寝時刻で前記光源を発光させることにより前記透明プレートを介して前記発光カバー体全域を暖色の睡眠作用光で発光させることを特徴とする発光時計を提供することにある。
【0027】
また、前記レンズ部は、前記透明プレートの正面側の板面部に形成された凹部又は/及び背面側の板面部に凸部を有するレンズであることに特徴を有する。
【0028】
また、前記光源は、前記覚醒作用光で発光する覚醒用発光素子と前記睡眠作用光で発光する睡眠用発光素子とを2つ隣接配置して構成したことに特徴を有する。
【0029】
また、前記透明プレートの面積は、前記発光カバー体の面積よりも小さいことに特徴を有する。
【0030】
また、前記発光カバー体は、前記透明プレートに面対向し、前記光源からの光を前記透明プレートを介して直接的に受けて発光する直接受光部と、前記直接受光部で受けた光を前記発光カバー体内を導光させて前記直接受光部から間接的に受けて発光する間接受光部と、を有し、前記間接受光部は、前記直接受光部よりも肉薄に形成したことに特徴を有する。
【0031】
また、前記筐体の背面には枢軸部を介して上下回動変位すると共に下方傾斜した状態で前記筐体を背面側から支持するスタンドを設けており、前記スタンドは上方回動変位して前記筐体の背面に当接した状態では前記筐体上面よりも上方に突出して壁かけハンガーを兼用することに特徴を有する。
【0032】
[1.発光時計の概略的説明]
以下、本発光時計の実施例について説明する。
図1(a)及び
図1(b)はそれぞれ発光時計の外観斜視図、
図2は発光時計の発光カバーを取り外した状態を示す外観斜視図、
図3(a)及び
図3(b)はそれぞれ発光時計の使用状態を示す模式的説明図である。
【0033】
発光時計Aは、概略的には、
図1(a)~
図2に示すように、全体薄型方形状であって、時計機能や目覚まし機能、発光機能に必要な各種機能部材を内蔵した扁平状の筐体10の正面側で睡眠・覚醒作用光SL・ALで発光する発光カバー体30を備えて構成している。
【0034】
かかる発光時計Aは、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、就寝者Pの顔面を照射可能な範囲(以下、単に照射可能範囲と言う。)に設置され、予め設定した就寝時刻や起床時刻で発光カバー体30を睡眠作用光SLや覚醒作用光ALで発光させ、同睡眠・覚醒作用光SL・ALで就寝者Pを照らして就寝者Pの自然な睡眠や覚醒を促すものである。
【0035】
照射可能範囲は、発光時計Aから発せされ就寝者Pの顔面に到達した睡眠・覚醒作用光SL・ALにより就寝者Pに睡眠・覚醒作用を生起させるために必要十分な発光時計Aと就寝者Pとの間の距離のことであり、例えば15cm~100cm、より好ましくは20cm~50cmである。
【0036】
照射可能範囲が、15cm未満の至近距離となると睡眠・覚醒作用光SL・ALによる就寝者Pの目や肌への刺激が過度となり負担となる一方、200cm超過の遠方距離となると睡眠・覚醒作用光SL・ALが就寝者Pに正しく睡眠・覚醒作用が生起しない虞がある。
【0037】
睡眠作用光SLは、人の目を介して就寝者Pを休眠状態へ導く光であって、例えば、暖色や中性色の光である。具体的には、睡眠作用光SLは、赤色、ピンク色、オレンジ色、黄色、緑色の光であり、疑似的な夕日色の光である。
【0038】
また、覚醒作用光ALは、人の目を介して就寝者Pを覚醒状態へ導く光であって、例えば、寒色や無彩色の光である。具体的には、覚醒作用光ALは、白色、青色の光であり、疑似的な朝日色の光である。なお、就寝者Pの瞑目状態で各作用光SL・ALによる光刺激は、瞼を介して眼球組織に感知されて脳へ伝達される。
【0039】
これら睡眠・覚醒作用光SL・ALの照度は、日没時や日出時の陽光と同等以上のルクスであり、10Lux~2500Luxである。より具体的には、覚醒作用光ALの照度は日出時の陽光を想定して1500~2500Lux、睡眠作用光SLの照度は、日没時の陽光を想定して10Lux~150Luxである。
【0040】
また、詳細については後述するが、発光時計Aは、内蔵した制御部50により就寝者Pの睡眠タイミングに応じて睡眠作用光SLの照度を徐々に減弱して落陽の光を呈する一方、就寝者Pの覚醒タイミングに応じて覚醒作用光ALの照度を徐々に増強して昇陽の光を呈するように制御可能に構成している。
【0041】
すなわち、本発光時計Aは、所定の設定時刻で疑似的な夕日の光を呈する睡眠作用光SLや疑似的な朝日の光を呈する覚醒作用光ALを切り替え発光可能に構成しており、各作用光SL・ALで光浴した就寝者Pに睡眠作用や覚醒作用を生起させ、本来的な体内時計における睡眠サイクルに則して睡眠と覚醒のタイミングを調整して良質な睡眠を確保し、日々の生活リズムを整えるものである。
【0042】
[2.発光時計の具体的構造]
次に、本発明の実施例に係る発光時計Aの具体的構造について、図面を参照しながら詳説する。
図4は発光時計Aの構成を示す分解斜視図、
図5は発光時計Aの構成を示す中央縦断面図、
図6(a)~
図6(c)は発光時計のスタンドの構成を示す模式的説明図、
図7(a)及び
図7(b)はスタンドの使用形態を示す模式的説明図である。
【0043】
発光時計Aは、
図3及び
図4に示すように、扁平状の筐体10と、筐体10内で正面側に向けて格子点状に複数配設され、それぞれ光の照射方向を筐体10の厚み方向一側の正面側へ配向させた光源20と、光散乱性を有し、光源20よりも正面側で光源20に近接して配設され、複数の光源20を覆うと共に筐体10の正面側壁をなす外側の発光カバー体30と、を備える。
【0044】
ここで複数の光源20の配置形態である「格子点状」とは、筐体10の正面を平面とした場合における「平面格子形態」を意図しており、斜方格子形態、菱形格子形態、中心矩形格子形態、二等辺三角格子形態、六角格子形態、正三角格子形態、正方格子形態、矩形格子形態、原始矩形格子形態、平行体格子形態、歪斜格子形態をも含む。本実施例では、矩形格子としている。
【0045】
また、重要なことは、発光時計Aの構造において、筐体10内の扁平極小スペースに対し、可及的広い範囲で高照度の睡眠・覚醒作用光SL・ALを発光カバー体30から面照射すると共に同睡眠・覚醒作用光SL・ALを発生させる各種機能部材を効果的に筐体10の厚み方向に沿って順次整然と配設した構成にある。
【0046】
筐体10は、
図5に示すように、正面側を開放すると共に内部中空とした箱型部材であって、他の5側面よりも正面を最大面積となるように形成すると共に筐体厚みを最小となるように形成し、全体として扁平状にしている。
【0047】
具体的には、筐体10の寸法として、前後方向の長さ(厚み又は奥行)を上下長さ(縦)や左右長さ(横)よりも小さくしており、一例として、縦約10cm、横約10cm、奥行約3cmとし、正面の面積約100cm2、内容積約300cm3としている。
【0048】
筐体10は、縦断面視で縦長コ字状であって、狭幅帯板状の上下側壁11U、11Dと左右側壁12L、12Rとにより四方側を形成した前後短尺の四角筒と、同四角筒の後側で筒孔を閉塞するように設けた略正方形板状の背面側壁13と、で構成している。
【0049】
筐体10の各周壁のうち左右側壁12L、12Rや背面側壁13の所定位置には、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、内部空間に連通する横線状の連通孔14を複数並べて貫通形成しており、発光時に光源20から発生した発光熱を筐体10内から外部へ逃がすようにしている。
【0050】
複数の光源20は、
図4及び
図5に示すように、縦断面視において、筐体10の厚み方向の中央位置から正面側へ突出している。また、複数の光源20は、
図4に示すように筐体10の仮想正面、すなわち面対向する発光カバー体30の平坦状の平坦壁31の上下方向の上側略2/3方形領域面部に相当する位置で、それぞれ所定間隔を隔てて上下左右に点在して配設している
【0051】
具体的には、複数の光源20は、発光カバー体30の平坦壁31と面積を略同一とする板状の制御部50の正面側の基盤面50aにおいて、上下方向上側略2/3方形領域面部で格子点状に配設している。
【0052】
すなわち、光源20は、
図4及び
図5に示すように、後述する導光空間Sに頭部を臨ませて制御部50を筐体10内の厚み方向中央部でその板面50aを発光カバー体30の平坦壁31と面平行に配置することにより、光の照射方向を筐体10の正面側に配向している。なお、本実施例の複数の光源20は、1列に4個、5列の合計20個を配設している。
【0053】
また、詳細については後述するが、制御部50は、時刻設定、目覚まし設定、アラーム音のON/OFF設定、光源のON/OFF設定など、各種時計設定に応じて時計の稼働を制御実行する板状の制御基盤で構成している。
【0054】
また、光源20は、
図4及び
図5に示すように、覚醒作用光SLで発光する覚醒用発光素子21と睡眠作用光SLで発光する睡眠用発光素子22とを2つ上下に隣接配置して構成しており、就寝者Pに睡眠・覚醒作用を生起可能とする発光カバー体30から照射される睡眠・覚醒作用光SL・ALの照度を担保できるようにしている。
【0055】
すなわち、光源20として、覚醒用と睡眠用に別途発光する2つの発光素子を採用すれば、覚醒作用光ALと睡眠作用光SLとを切り替え発光可能とした1つの発光素子を採用した場合に比べて光の絶対量が増大し、発光カバー体30を各作用光SL・ALで強力に発光させることができる。
【0056】
光源20の発光色は、最終的に発光する発光カバー体30が各作用光SL・ALで発光色で発光できれば特に限定されることはなく、発光カバー体30の色と組み合わせて適宜選択することができる。なお、本実施例の光源20において、覚醒用発光素子には白色発光する白色LEDを、睡眠用発光素子には赤色発光する赤色LEDを採用している。
【0057】
発光カバー体30は、光拡散性を有し、
図2、
図4及び
図5に示すように、筐体10に取り付けられて発光時計Aの正面をなし、所定厚みを有する正面視略正方形の平坦壁31で構成しており、各作用光SL・ALが外側へ向けて可及的広い範囲へ拡散して面照射される発光機能面として機能する。
【0058】
発光カバー体30は、内部を通過する際に光を拡散して光源20の発光色に応じて睡眠・覚醒作用光SL・ALで発光できるものであればよく、例えば、樹脂製、ガラス製のものを採用することができる。本実施例の発光カバー体30は、乳白色の樹脂製である。
【0059】
また、平坦壁31の四側縁部には、
図2及び
図4に示すように、筐体10の上下側壁11U、11Dと左右側壁12L、12Rの内縁部にそれぞれ掛合対応する掛合爪34を複数突出して形成している。
【0060】
発光時計Aは、発光カバー体30を筐体10に装着することにより、
図5に示すように、光源20と発光カバー体30と筐体10の各四側壁11U、11D、12L、12Rとの間で完全閉塞された肉薄方形状の内部空間部分を形成し、同内部空間部分を光源20から発せられる光を効果的に正面側方向へ導光するための導光空間Sとしている。
【0061】
この導光空間Sは、同空間Sに臨ませた光源20を中心に放射方向へ拡散する光を筐体10の上下側壁11U、11Dや左右側壁12L、12Rの各内壁面、制御部50の板面で乱反射させて最終的に正面側の発光カバー体30へ導光する反射空間として機能する。
【0062】
なお、導光空間Sを形成する筐体10の各四側壁11U、11D、12L、12Rや制御部50の内壁面に鏡面加工を施しておけば、導光空間Sの正面側への導光機能をさらに向上することができる。
【0063】
また、発光カバー体30は、
図5に示すように、透明プレート40に面対向し、光源20からの光を透明プレート40を介して直接的に受けて発光する直接受光部32と、直接受光部32で受けた光を発光カバー体30内を導光させて直接受光部32から間接的に受けて発光する間接受光部33と、を有し、間接受光部33は、直接受光部32よりも肉薄に形成している。
【0064】
具体的には、発光カバー体30は、
図5に示すように、に対して、平坦壁31のうち、後述するレンズフレーム60のプレート嵌着部61に相応する上側部分を直接受光部32とし、レンズフレーム60の情報表示部62に相応対応する下側部分を間接受光部33とし、間接受光部33の板厚を直接受光部32の板厚よりも薄く形成している。
【0065】
これにより、光源20から発せられた光を直接受光部32で受けて光散乱を効果的に生起させて同直接受光部32を強力に発光させつつ、直接受光部32で生起した散乱光を直接受光部32を介してその下側の間接受光部33へ導光させて、発光カバー体30全体を効果的にに均一発光させることができる。
【0066】
また、複数の光源20と発光カバー体30との間には、
図2及び
図4に示すように、光源20に対応する位置でレンズ部41を複数形成した薄板状の内側の透明プレート40を介設している。
【0067】
すなわち、透明プレート40は、光源20を焦点位置にレンズ中心を合わせてレンズ部41を形成している。具体的には、レンズ部41は、光源20に対して、光源20から発せされる光の光軸が透明プレート40の板面に直交すると共にレンズ中心を貫通するように配置して形成している。
【0068】
なお、上述のように、光源20を覚醒用発光素子21と睡眠用発光素子22とを隣接配置して構成した場合には、複数のレンズ部41は、一方の発光要素21の焦点位置に対応するレンズ部と他方の発光要素23の焦点位置に対応するレンズ部とを、透明プレート40の板面部に対してそれぞれ交互に形成することとしてもよい。
【0069】
これにより、覚醒作用光SLで覚醒用発光素子21を発光させた場合と覚醒作用光ALで睡眠用発光素子22を発光させた場合のそれぞれの発光形態において、発光カバー体30に対してそれぞれの作用光SL・ALを可及的に均一拡散照射することができる。
【0070】
透明プレート40は、
図5に示すように、筐体10内で、発光カバー体30に近接重合してに配設している。具体的には、透明プレート40は、筐体10内において、正面側の板面を発光カバー体30の背面に面平行にすると共に略当接して配置している。
【0071】
また、透明プレート40の面積は、発光カバー体30の面積よりも小さくしている。具体的には、透明プレート40は、
図5に示すように、発光カバー体30の平坦面30aにおける上側略2/3方形領域面部と略同じ面積を有した方形状透明板であって、レンズフレーム60に嵌め込まれた状態で筐体10内に設けられる。
【0072】
レンズフレーム60は、透明プレート40を嵌着する額縁状のプレート嵌着部61と、プレート嵌着部61の下方位置で時刻や時間帯区分、曜日、その他時計の稼働に必要な情報を表示する情報表示部62と、四側縁部で後方に向けて複数突出し、筐体10に掛合すると共に光源20との間に一定の導光空間Sを形成する掛合爪63と、で構成している。
【0073】
レンズフレーム60は、
図4及び
図5に示すように、制御部50の基盤面50aと略同じ外形面積を有すると共に側面視で導光空間Sの厚みと略同じ厚みを有し、正面視で上側略2/3領域をプレート嵌着部61に形成すると共に下側略1/3領域を情報表示部62に形成している。
【0074】
プレート嵌着部61は、透明プレート40の周縁部に正面側で嵌着対応する嵌着額縁部61aと、嵌着額縁部61a内側の方形状の貫通窓61bと、を備え、透明プレート40を嵌着した状態で貫通窓61b内に複数のレンズ部41を露出するように構成している。
【0075】
情報表示部62は、
図4及び
図5に示すように、時刻を示すセグメントディスプレイ表示や時刻区分を示すAM・PM表示などの各種表示形状に沿って正面側から背面側に向けて貫通形成した導光孔62aとして構成している。
【0076】
また、制御部50には、
図5に示すように、レンズフレーム60が筐体10内に設置された状態で、情報表示部62の導光孔62aに対応して表示用発光素子23を配設している。
【0077】
具体的には、表示用発光素子23は、制御部50の基盤面50aで、複数の光源20の下方位置且つ上下方向下側略1/3方形領域面部で各種表示形状に沿って配設している。
【0078】
レンズフレーム60が筐体10内に設置された状態では、
図5に示すように、プレート嵌着部61や情報表示部62は、それぞれ後端面を制御部50の板面50aに当接させる共に前端面を発光カバー体30の背面に当接する。
【0079】
すなわち、レンズフレーム60は、
図5に示すように、背面部を制御部50の板面50aに面当接すると共に正面部を発光カバー体30下部の間接受光部33の背面部に面当接して、発光カバー体30と制御部50との間でスペーサ機能を果たすように筐体10に固定可能に構成している。
【0080】
これにより、情報表示部62の上方位置で導光空間Sを安定して形成できる。また、情報表示部62の導光孔62aで表示用発光素子23から発せられた光が導光空間Sで光源20から発生された光に干渉されて減衰されることなく直接的に発光カバー体30に到達でき、発光カバー体30に時刻や時刻区分などの各種情報を正しく投影表示することができる。
【0081】
また、レンズ部41は、透明プレート40の正面側の板面部に形成された凹部又は/及び背面側の板面部に形成された凸部を有するレンズに形成している。特に、本実施例のレンズ部41は、透明プレート40において、正面側の板面40a部を凹状にすると共に背面側の板面を平坦面にした凹レンズ41aに形成している。
【0082】
具体的には、レンズ部41は、
図2及び
図4に示すように、透明プレート40の正面40aで複数の光源20と同位相で格子点状に複数配置すると共にそれぞれ板厚方向背面側へ湾曲凹状に凹ませることにより凹レンズ41aに形成している。
【0083】
このレンズ部41により、発光カバー体30に対して殆ど隙間なく透明プレート40を配設したにも関わらず、透明プレート40の背面側から光源20により発せられ導光空間Sで導光された光を、効果的に集光して正面側の発光カバー体30に対して可及的広い範囲で均一拡散出射することを可能としている。
【0084】
なお、レンズ部41は、光源20に対向すると共に光源20からの光を発光カバー体30へ背面側から拡散発光できるものであればよく、例えば、透明プレート40の正面側の板面40a部に凹状に形成すると共に透明プレート40の背面側の板面部で凸状に形成した凹凸レンズであってもよいし、透明プレート40の背面側の板面部に形成した凸部を有する凸レンズであってもよい。
【0085】
具体的には、レンズ部41を凹凸レンズとする場合には、レンズ部41は、透明プレート40において、正面側の板面部を凹状にすると共に同凹状部分に対応する背面側の板面部を凸状にして凹凸レンズとする。また、レンズ部41を凸レンズとする場合には、透明プレート40において、正面側の板面を平坦面にすると共に背面側の板面部を凸状にして凸レンズとする。さらには、レンズ部41を凸レンズとする場合には、背面側の板面を凹凸面とすることにより形成してもよい。
【0086】
このように、発光時計Aは、扁平状の筐体10の厚み方向前半部分の狭小スペースに集中して、内側から外側に向かって順次、光源20、透明プレート40、発光カバー体30を配設しつつ、睡眠・覚醒作用光SL・ALを強力な照度で照射する工夫がなされている。
【0087】
また、筐体10の背面(背面側壁13)には、
図1(a)、
図5~
図7(b)に示すように、枢軸部80を介して上下回動変位すると共に下方傾斜した状態で、筐体10を背面側から支持するスタンド70を設けている。
【0088】
スタンド70は、
図7(b)に示すように、上方回動変位して筐体10の背面側壁13面に当接した状態では、筐体10の上側壁11U面よりも上方に突出して壁かけハンガーを兼用するように構成している。
【0089】
筐体10の背面側壁13には、枢軸部80を境に、下側面部をスタンド70を折畳収納形態とした場合にスタンド70の内側面が当接する垂直面部13bに形成すると共に、上側面部を垂直面部13bよりも外方拡開して傾斜し、スタンド70をハンガー形態とした場合にスタンド70の外側面が当接するテーパー面部13aに形成している。
【0090】
垂直面部13bは、
図5及び
図6(a)に示すように、スタンド70の折畳収納形態に対応して幅方向中央で上下方向の下側へスタンド70の厚み以上に正面側へ凹ませて形成したスタンド収納凹部13cの底部としている。テーパー面部13aは、スタンド収納凹部13cの底部位置を基準に外方拡開して上方傾斜して形成している。
【0091】
これにより、スタンド70をハンガー形態にして掛合部71を介して発光時計Aを吊り下げた場合には、
図7(b)に示すように、発光時計Aは、その最上端部にあるスタンド70の掛合部71と背面側の下方角部とで壁面に当接して吊り下げ姿勢を安定化できる。
【0092】
枢軸部80は、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、スタンド70の基端のヒンジ部81L、81Rと、筐体10の背面側壁13に設けた軸受部82と、を備え、軸受部82を中心にスタンド70を回動させた際に、軸受部82とヒンジ部81L、81Rとの間で一定のトルクを発生させ、筐体10の背面に対するスタンド70の回動角を調節可能とするトルクヒンジ構造を有して構成している。
【0093】
スタンド70は、方形プレート状であって、基端部を筐体10の軸受部82に枢着対応するヒンジ部81L、81Rに形成すると共に、先端部をプレート面を貫通する掛合孔71aにより壁掛け用の掛合部71に形成している。
【0094】
ヒンジ部81L、81Rは、
図6(c)に示すように、円柱状であって、スタンド70基端の幅方向両端部で左右一対設けている。
【0095】
一対のヒンジ部81L、81Rは、
図6(a)及び
図6(c)に示すように、互いに一定間隔を保持して、互いの円柱軸を同軸上に配置する共にスタンド70の板面に平行に配置し、外周部でスタンド70基端の幅方向両端部に接続している。
【0096】
一対のヒンジ部81L、81Rの外端部には、それぞれ後述する一対の軸受部82の軸受突起82bL、82bRに挿嵌対応する突起挿嵌凹部81bL、81bRを内側に凹ませて形成している。
【0097】
軸受部82は、
図6(a)に示すように一対のヒンジ部81L、81Rの間の距離と略同じ長さ及び略同じ外径の円柱状であって、筐体10の背面側壁13の上下方向中央部よりも上方位置で外方突出すると共に、左右一対のヒンジ部81L、81Rの間に挿嵌可能に形成している。
【0098】
具体的には、軸受部82は、
図6(a)~
図6(c)に示すように、筐体10の背面側壁13のスタンド収納凹部13cの上下方向の上側略2/3位置において、円柱軸を水平状にした軸受本体部82aと、同軸受本体部82aに同軸上に配置され、スタンド収納凹部13cの対向する内側面から内側に突出する断面視半弧状の一対の軸受突起82bL、82bRと、で構成している。
【0099】
軸受本体部82aの両端には、
図6(b)に示すように、一対のヒンジ部81L、81Rの対向端部81aL、81aRをそれぞれ内側で遊嵌する円形溝82cL、82cRが形成されており、筐体10にスタンド70を回動可能に枢着することを可能としている。
【0100】
また、軸受本体部82aの少なくとも一端の円形溝82cRは、
図6(b)に示すように、その底部にスタンド70の上下回動軌跡に沿う略半弧状のガイド溝83を刻設している。
【0101】
ガイド溝83の始端及び終端の溝底部には、
図6(b)に示すように、それぞれガイド溝83よりも溝深さを伸延した半球状の始端ストッパー凹部84Eと終端ストッパー凹部84Sが形成されている。
【0102】
具体的には、ガイド溝83の軌道上において、始端ストッパー凹部84Sはスタンド70が下方回動して内側面を筐体10の背面下部に面当接させたスタンド70の折畳収納形態となる位置に応じて形成すると共に、終端ストッパー凹部84Eはスタンド70が上方回動して外側面を筐体10の背面上部に面当接させたスタンド70のハンガー形態となる位置に応じて形成している。
【0103】
また、ヒンジ部81Rの対向端面81aRには、それぞれスタンド70の上下回動軌跡に沿うと共にガイド溝83及び各ストッパー凹部84S、84Eに挿入される半球状の押圧突起85を外方突出して形成している。
【0104】
押圧突起85の対向端面81aLからの突出長さは、筐体10にスタンド70を枢軸部80を介して装着した状態で、ガイド溝83の溝深さよりも長くすると共に各ストッパー凹部84S、84Eの溝深さと略同じ長さとなるようにしている。
【0105】
このように構成したスタンド70と軸受部82との嵌合状態において、押圧突起85がガイド溝83に位置する際には、その分、一対のヒンジ部81L、81Rの間の距離が、軸受部82の距離よりもやや短くなため、一対のヒンジ部81L、81Rがその両側から軸受部82を挟持する応力を常時生起させる。
【0106】
すなわち、押圧突起85はガイド溝83の底部を押圧付勢してスタンド70の回動変位に伴う摺動摩擦応力として一定のトルクを常時発生させ、スタンド70を回動固定しながらあらゆる傾斜角度で調節でき、
図7(a)に示すように発光時計Aを安定して傾斜支持形態にすることができる効果がある。
【0107】
一方で、押圧突起85が各ストッパー凹部84S、84Eに位置する際には、一対のヒンジ部81L、81Rの間の距離は軸受部82の長さと略同じとなるが、押圧突起85が各ストッパー凹部84S、84Eに嵌入して係合するため、スタンド70のそれ以上の回動を規制する。
【0108】
したがって、スタンド70を上限又は下限まで回動変位させた状態をロックすることができ、
図7(b)に示すハンガー形態や、
図6(a)に示す折畳収納形態を安定させることができる効果がある。
【0109】
なお、押圧突起85は半球状に形成しているため、スタンド70をガイド溝83の中途部方向へ回動することで各ストッパー凹部84S、84Eから押圧突起85をガイド溝83へ滑動させて抜去し、スタンド70のロック状態を容易に解除することができる。
【0110】
また、筐体10の下側壁11Dには、
図1(b)及び
図5に示すように、発光時計Aと別体の三脚等の支持部材を取り付けることができる螺入孔72が設けられており、同螺入孔72を介して取り付けた支持部材を介して発光時計Aの設置高さを調整可能とし、発光時計Aから照射される睡眠・覚醒作用光SL・ALの照射範囲を微調整可能にしている。
【0111】
このように、発光時計Aは、スタンド70や底部に取り付けた別体の支持部材により、就寝者Pの就寝スペースにあわせて多種多様な使用形態を実現し、設置性を良好としつつ、発光カバー体30の向きを調節して睡眠・覚醒作用光SL・ALの照射方向を調節可能としている。
【0112】
[3.電気的構成]
次に、本発明の発光時計Aの電気的構成について、図面を参照しながら詳説する。
図8は本実施例に係る発光時計の電気的構成を示すブロック図である。
【0113】
制御部50は、
図8に示すように、発光時計Aの各種時計稼働設定を入力するための入力部90と、発光時計Aの発光や時計の稼働に必要な電力を供給するための給電部91と、アラーム報知や情報報知を行うためのスピーカ部92と、発光カバー体30を睡眠・覚醒作用光SL・ALで発光させるための光源20(覚醒用発光素子21、睡眠用発光素子22)と、情報表示部62を介して時刻等を表示発光させるための表示用発光素子23とにそれぞれ接続し、入力部90からの各時計稼働設定に応じて発光カバー体30や情報表示部62を発光稼働したりスピーカ部92を発音稼働したりするように構成している。
【0114】
入力部90により入力される各種時計稼働設定は、例えば、時刻設定、起床時刻や就寝時刻などの設定、アラーム音のON/OFF設定、光源のON/OFF設定、光源の明るさ設定、光の減弱増強設定、光の色彩変更設定、スリープ設定、スヌーズ設定、光のON/OFFタイマー設定、時間帯区分の表示設定、などであって、時計稼働に必要な各種設定情報である。
【0115】
かかる入力部90は、
図1(a)及び
図8に示すように、基本的には筐体10の上側壁11Uに設けた操作パネル90aで構成すると共に、携帯電話やリモコンなどの発光時計Aとは別体の操作端末90bで構成している。
【0116】
本実施例の発光時計Aは、
図1(b)に示すように、入力部90として操作パネル90aとは別の操作端末90bと制御部50とを接続するための外部接続部90cを筐体10の背面側壁13の所定位置に備えている。
【0117】
なお、操作端末90bと外部接続部90cとの接続方式は有線通信式・無線通信式を問わず本実施例では無線通信式のものを採用しており、相互通信により操作端末90bで発光時計Aの稼働設定を確認可能としている。
【0118】
給電部91は、商用電源に接続するプラグコードを挿入可能としたプラグ差し込み口91aを筐体10の一側壁の所定位置に設けて構成している。なお、発光時計Aへの給電部91による給電方式は、バッテリーなどを内蔵させた蓄電方式であってもよいが、常時商用給電方式とした方が光源20を強く発光させることができるため好ましい。
【0119】
制御部50は、
図8に示すように、演算処理を実行するCPU51と、CPUの演算処理に必要なプログラムを格納するROM52と、一時的な記憶テーブルを格納するRAM53と、で構成している。
【0120】
RAM53には、入力部90により入力された各種の時計稼働設定信号に応じて同情報を一時的に記憶する記憶テーブルが格納されている。ROM52には、光源20を発光させるタイミングや照度の強弱、情報表示部62に表示する時刻や時間帯区分、スピーカ部92で表音するアラーム音や報知情報などのプログラムが格納されている。
【0121】
[4.発光時計の使用例]
このように構成した発光時計Aは、以下のようにして所定の設定時刻で稼働して疑似的な夕日や朝日の光を作り出し、光浴した就寝者Pに睡眠作用や覚醒作用を生起させる。
【0122】
まず、就寝者Pは、発光カバー体30を横臥状態の頭部に向けて、ベッドや布団などの寝床の枕元近傍に発光時計Aを設置する。
【0123】
すなわち、就寝者Pは、
図3(a)、
図3(b)、及び
図7(a)で示したように、ベッドや布団などの寝床の枕元近傍に設置したテーブルに傾斜支持形態としたスタンド70を介して発光時計Aを載置する。なお、スタンド70を折畳収納形態とした場合であっても、発光時計Aは、全体的に方形状であるため自立可能である。
【0124】
また、発光時計Aを壁に設置する場合には、
図7(b)で示したように、発光時計Aをハンガー形態のスタンド70の掛合部71を壁面に設けたフックFに掛合させ、発光カバー体30の平坦面30aを就寝者Pの頭部位置に向けて下方傾斜させて、同掛合部71と筐体10の背面側下方角部とを壁面に当接して発光時計Aの吊り下げ姿勢を安定化させる。
【0125】
次いで、就寝者Pは、就寝時に予め設定された就寝時刻、又は手動で入力部90を介して光源20を発光させて透明プレート40を介して発光カバー体30全域を暖色、中性色の少なくとも1つから選択されたの色の睡眠作用光SLで発光させる。
【0126】
具体的には、制御部50が、就寝者Pにより入力部90から入力された時計稼働設定情報をもとに、睡眠作用光SLでの発光の有無を光源20に送信し、光源20を発光させて発光カバー体30を睡眠作用光SLで発光させる。
【0127】
これにより、就寝者Pは、
図3(a)に示すように、所望とする就寝時刻で睡眠作用光SLを浴びることができ、速やかに休眠することができる。
【0128】
なお、就寝者Pは、所望とする起床時刻設定、覚醒作用光SLの色や発光持続時間、発光の照度設定や減弱増強設定を就寝前に行っておく。
【0129】
最終的に、発光時計Aは、入力部90を介して予め設定された就寝時刻で制御部50により光源20を発光させることにより透明プレート40を介して発光カバー体全域を寒色、白色の少なくとも1つから選択された色の覚醒作用光ALで発光させる。
【0130】
具体的には、制御部50が、就寝者Pにより入力部90から入力された時計稼働設定情報をもとに、覚醒作用光ALでの発光の有無を光源20に送信し、光源20を発光させて発光カバー体30を覚醒作用光ALで発光させる。
【0131】
これにより、就寝者Pは、
図3(b)に示すように所望とする起床時刻で覚醒作用光ALを浴びることができ、速やかに起床することができる。
【0132】
このように本発明によれば、就寝者Pの本来的な体内時計における睡眠サイクルに則して睡眠と覚醒のタイミングを調整することができ、日々良質な睡眠を確保して生活リズムを整えることが期待できる。
【0133】
すなわち、本発明は、筐体内の限られた扁平状スペースを有効利用しつつ、各光源から対応する各レンズ部で一旦集光した光を発光カバー体全域に均一拡散照射することにより、同発光カバー体を就寝者に睡眠作用や覚醒作用を示す睡眠・覚醒作用光で間接的且つ強力に発光させることができる。
【0134】
以上のように、本発明に係る発光時計は、全体的にコンパクトであるにも関わらず、就寝者の睡眠導入や覚醒導入を可能とする機能光を発生させ、設置や操作の利便性、低コスト化を実現できる。
【符号の説明】
【0135】
A 発光時計
10 筐体
20 光源
30 発光カバー体
40 透明プレート
50 制御部
60 レンズフレーム