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特開2022-184161財務会計管理装置、財務会計管理方法、及び財務会計管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184161
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】財務会計管理装置、財務会計管理方法、及び財務会計管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091848
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹川 知志
(72)【発明者】
【氏名】北川 敦司
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】帳票データのような財務会計システムから、勘定科目に加えてさらに複数の会計管理項目の区分の組み合わせ別にまとめた情報を出力できるシステムの提供。
【解決手段】制御部を備える財務会計管理装置であって、前記制御部が、集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける受付手段と、前記集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを取得し、前記帳票データから、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記対象期間前日までの前残合計金額と、前記対象期間内の発生合計金額と、を集計する集計手段と、を備えることを特徴とする財務会計管理装置。
【選択図】図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える財務会計管理装置であって、
前記制御部が、
集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける受付手段と、
前記集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを取得し、前記帳票データから、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記対象期間前日までの金額の合計である前残合計金額と、前記対象期間内の金額の合計である発生合計金額と、を集計する集計手段と、
を備えることを特徴とする財務会計管理装置。
【請求項2】
前記制御部が、
勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記前残合計金額と、前記発生合計金額と、を表示する集計表を作成する作表手段
をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の財務会計管理装置。
【請求項3】
前記受付手段が受け付ける条件が、さらに、勘定科目及び前記集計識別項目の優先順を含み、
前記作表手段が、勘定科目及び前記集計識別項目を前記優先順に階層化させた集計表を作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の財務会計管理装置。
【請求項4】
前記受付手段が受け付ける条件が、さらに、集計する範囲を限定する勘定科目及び/又は会計管理項目の区分の範囲として抽出区分範囲を含み、
前記集計手段が、前記帳票データの取得後、前記帳票データから前記抽出区分範囲内の情報を抽出し、抽出した前記情報に基づいて、前記抽出区分範囲内の前記前残合計金額と、前記抽出区分範囲内の前記発生合計金額と、を集計する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の財務会計管理装置。
【請求項5】
前記受付手段が、前記受付手段が過去に受け付けた条件及び/又は予め指定された条件の一覧を呼び出して当該一覧の中から指定された条件を受け付ける
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の財務会計管理装置。
【請求項6】
前記集計手段が、
前記帳票データのうち、
前記集計識別項目と勘定科目と残高日付と対応する金額情報を含む残高データと、
前記集計識別項目と勘定科目と仕訳日付と対応する金額情報を含む仕訳データと、
を取得し、
資産、負債及び純資産の勘定科目の区分については、
勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、
前記残高データの中から、集計の基準とする集計基準日前で集計基準日に一番近い最新残高日付を含む残高情報を抽出し、
前記仕訳データの中から、前記最新残高日付以降で且つ前記対象期間前日までの仕訳日付を含む対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む対象期間内仕訳情報と、を抽出し、
前記前残合計金額を、抽出した前記残高情報の金額と、抽出した前記対象期間前仕訳情報の金額と、を合算して集計し、
前記発生合計金額を、抽出した対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計し、
収益及び費用の勘定科目の区分については、
勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、
前記仕訳データの中から、前記集計基準日以降で且つ前記対象期間前日までの仕訳日付を含む対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む対象期間内仕訳情報と、を抽出し、
前記前残合計金額を、抽出した前記対象期間前仕訳情報の金額を合算して集計し、
前記発生合計金額を、抽出した前記対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計する
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の財務会計管理装置。
【請求項7】
前記受付手段が受け付ける条件が、さらに、集計の基準とする集計基準日の指定を含む
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の財務会計管理装置。
【請求項8】
制御部を備える財務会計管理装置において実行される財務会計管理方法であって、
前記制御部で実行される、
集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける受付ステップと、
前記集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを取得し、前記帳票データから、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記対象期間前日までの金額の合計である前残合計金額と、前記対象期間内の金額の合計である発生合計金額と、を集計する集計ステップと、
を含むことを特徴とする財務会計管理方法。
【請求項9】
制御部を備える財務会計管理装置に実行させるための財務会計管理プログラムであって、
前記制御部に実行させるための、
集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける受付ステップと、
前記集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを取得し、前記帳票データから、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記対象期間前日までの金額の合計である前残合計金額と、前記対象期間内の金額の合計である発生合計金額と、を集計する集計ステップと、
を含むことを特徴とする財務会計管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、財務会計管理装置、財務会計管理方法、及び財務会計管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
販売システム等のフロントシステムから連携した仕訳の内容が正しいかどうかを、フロントシステムからの出力内容と帳票データ等の財務会計システムからの出力内容を突合確認する会計業務が存在する。
【0003】
しかし、企業のシステムの運用の仕方や、フロントシステムのデータ構造によって、フロントシステムにおける管理項目(取引先情報、プロジェクト情報、商品情報、セグメント情報等)が様々である。とりわけ建設業界などでは1つのプロジェクトに複数の取引先が存在するためフロントシステムのデータ構造が複雑化する傾向がある。一方、財務会計システムでは各種帳票で決められた管理項目ごとの合算値でしか出力することが出来ない。そのため、財務会計システム側とフロントシステム側での各種取引発生金額の照合をする際は、フロントシステムから連携データをたどり集計を行う必要があり、突合確認の会計業務が担当者に大きな負担となっていた。
【0004】
このようなことから、帳票データのような財務会計システムから、勘定科目に加えてさらに複数の会計管理項目の区分の組み合わせ別にまとめた情報を出力できるシステムが求められている。これまでこのようなシステムは知られていない(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-72957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、帳票データのような財務会計システムから、勘定科目に加えてさらに複数の指定した会計管理項目の区分の組み合わせ別にまとめた情報を出力できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る財務会計管理装置は、制御部を備える財務会計管理装置であって、前記制御部が、集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける受付手段と、前記集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを取得し、前記帳票データから、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記対象期間前日までの金額の合計である前残合計金額と、前記対象期間内の金額の合計である発生合計金額と、を集計する集計手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る財務会計管理装置は、前記制御部が、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記前残合計金額と、前記発生合計金額と、を表示する集計表を作成する作表手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る財務会計管理装置は、前記受付手段が受け付ける条件が、さらに、勘定科目及び前記集計識別項目の優先順を含み、前記作表手段が、勘定科目及び前記集計識別項目を前記優先順に階層化させた集計表を作成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る財務会計管理装置は、前記受付手段が受け付ける条件が、さらに、集計する範囲を限定する勘定科目及び/又は会計管理項目の区分の範囲として抽出区分範囲を含み、前記集計手段が、前記帳票データの取得後、前記帳票データから前記抽出区分範囲内の情報を抽出し、抽出した前記情報に基づいて、前記抽出区分範囲内の前記前残合計金額と、前記抽出区分範囲内の前記発生合計金額と、を集計することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る財務会計管理装置は、前記受付手段が、前記受付手段が過去に受け付けた条件及び/又は予め指定された条件の一覧を呼び出して当該一覧の中から指定された条件を受け付けることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る財務会計管理装置は、前記集計手段が、前記帳票データのうち、前記集計識別項目と勘定科目と残高日付と対応する金額情報を含む残高データと、前記集計識別項目と勘定科目と仕訳日付と対応する金額情報を含む仕訳データと、を取得し、資産、負債及び純資産の勘定科目の区分については、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記残高データの中から、集計の基準とする集計基準日前で集計基準日に一番近い最新残高日付を含む残高情報を抽出し、前記仕訳データの中から、前記最新残高日付以降で且つ前記対象期間前日までの仕訳日付を含む対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む対象期間内仕訳情報と、を抽出し、前記前残合計金額を、抽出した前記残高情報の金額と、抽出した前記対象期間前仕訳情報の金額と、を合算して集計し、前記発生合計金額を、抽出した対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計し、収益及び費用の勘定科目の区分については、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記仕訳データの中から、前記集計基準日以降で且つ前記対象期間前日までの仕訳日付を含む対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む対象期間内仕訳情報と、を抽出し、前記前残合計金額を、抽出した前記対象期間前仕訳情報の金額を合算して集計し、前記発生合計金額を、抽出した前記対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る財務会計管理装置は、前記受付手段が受け付ける条件が、さらに、集計の基準とする集計基準日の指定を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る財務会計管理方法は、制御部を備える財務会計管理装置において実行される財務会計管理方法であって、前記制御部で実行される、集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける受付ステップと、前記集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを取得し、前記帳票データから、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記対象期間前日までの金額の合計である前残合計金額と、前記対象期間内の金額の合計である発生合計金額と、を集計する集計ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る財務会計管理プログラムは、制御部を備える財務会計管理装置に実行させるための財務会計管理プログラムであって、前記制御部に実行させるための、集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける受付ステップと、前記集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを取得し、前記帳票データから、勘定科目及び複数の前記集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前記対象期間前日までの金額の合計である前残合計金額と、前記対象期間内の金額の合計である発生合計金額と、を集計する集計ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、帳票データのような財務会計システムから、勘定科目に加えてさらに複数の指定した会計管理項目の区分の組み合わせ別にまとめた情報を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、PC100の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態における受付部102a、集計部102b、及び作表部102cによる情報処理のフローの一例を示す図である。
図3A図3Aは、一実施形態における受付部102aが受け付ける条件を入力するための条件入力画面の一例を示す図である。図3Aにおける条件入力画面は、未入力の条件入力画面の一例である。
図3B図3Bは、一実施形態における受付部102aが受け付ける条件を入力するための条件入力画面の一例を示す図である。図3Bにおける条件入力画面は、一部入力後の条件入力画面の一例である。
図3C図3Cは、一実施形態における受付部102aが受け付ける条件を入力するための条件入力画面の一例を示す図である。図3Cにおける条件入力画面は、一部入力後の条件入力画面の一例である。
図3D図3Dは、一実施形態における受付部102aが受け付ける条件を入力するための条件入力画面の一例を示す図である。図3Dにおける条件入力画面は、一部入力後の条件入力画面の一例である。
図4図4は、一実施形態における条件記憶部106bに格納された条件の一覧を表示した条件呼出画面の一例を示す図である。
図5図5は、一実施形態における受付部102aが受け付ける条件における集計識別項目及びその優先順を選択するための条件選択画面の一例を示す図である。
図6図6は、一実施形態における残高データの一例を示す図である。
図7図7は、一実施形態における仕訳データの一例を示す図である。
図8図8は、一実施形態におけるセット残高ワークの一例を示す図である。
図9図9は、一実施形態における仕訳明細ワークの一例を示す図である。
図10図10は、一実施形態における集計ワークの一例を示す図である。
図11A図11Aは、一実施形態における作表部102cにより作成された集計表の一例を示す図である。
図11B図11Bは、一実施形態における作表部102cにより作成された集計表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.構成]
ここでは、本発明の財務会計管理装置を含む本実施形態に係るPC(パーソナルコンピュータ)100の構成の一例について、図1を参照して説明する。なお、本実施形態の構成はあくまでも一例であり、本発明は、本実施形態の構成で実現することに限定されるものではない。また、構成に関する以下の説明において、重複する説明を省略する場合がある。
【0020】
図1は、PC100の構成の一例を示すブロック図である。PC100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108とを備え、各種データ(例えば、記憶部106に記憶される、後述する各データでもよい)を記憶したサーバ200(例えばWebサーバなど)とネットワーク300(例えばインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)など)を介して通信可能に接続されている。
【0021】
PC100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0022】
なお、PC100は、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型のものであってもよく、また、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型のものであってもよい。
【0023】
制御部102は、PC100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0024】
制御部102は、機能概念的に、受付部102a、集計部102b、作表部102c等を備えている。
【0025】
受付部102aは、集計する対象期間と、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目と、を含む条件を受け付ける。なお、勘定科目は、集計時に常時識別する会計管理項目である。対象期間は、集計するための指定期間であり得、例えば、日単位、月単位、年単位(年度単位)等で受け付ける。会計管理項目は、一般的な財務会計管理システムにおける管理項目であり得、例えば、勘定科目に加えて、事業所、部門、部署、社員、取引先、プロジェクト、連携元システム等の項目が挙げられる。
【0026】
受付部102aが受け付ける条件は、さらに、勘定科目及び集計識別項目の優先順を含む。優先順とは、下記で説明する作表部102cが作成する階層化した集計表における階層化のための勘定科目及び複数の集計識別項目の優先順である。なお、勘定科目及び集計識別項目の優先順において勘定科目を最優先とすることを事前に設定しておいてもよい。この場合、優先順は、勘定科目の次以降の優先順である。また、勘定科目及び集計識別項目の優先順は、特定のものを予め設定し、固定化してもよい。
【0027】
受付部102aが受け付ける条件は、さらに、集計する範囲を限定する勘定科目及び/又は会計管理項目の区分の範囲として抽出区分範囲を含む。抽出区分範囲は、下記で説明する集計部102bが集計する項目の範囲となり得、下記で説明する作表部102cが作成する集計表において表示する項目の範囲であり得る。抽出区分範囲は、1つの連続した範囲に限られず、複数の不連続な範囲であってもよい。また、抽出区分範囲は、単一の区分であってもよい。なお、抽出区分範囲の指定は任意であり、抽出区分範囲を限定せず全範囲で集計したい場合などでは、受付部102aが受け付ける条件に抽出区分範囲に含めず、抽出区分範囲を指定しなくてもよく、或いは抽出区分範囲の代わりに集計範囲を全範囲とする指定を含めてもよい。また、抽出区分範囲は、特定のものを予め設定し、固定化してもよい。
【0028】
受付部102aが受け付ける条件は、さらに、集計の基準とする集計基準日の指定を含む。集計基準日は、例えば、集計(又は作表)の基準となる集計(作表)上の期首の日付である。集計基準日は、会計上の期首と同日であってもよく、或いは異なる日であってもよい。集計基準日は、特定の日付を予め設定し、固定化してもよい。
【0029】
受付部102aは、受付部102aが過去に受け付けた条件及び/又は予め指定された条件の一覧を呼び出して当該一覧の中から指定された条件を受け付ける。当該一覧は、対象期間、集計識別項目、優先順、抽出区分範囲等の条件を含み得る。
【0030】
集計部102bは、集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報(日付ごとの当該勘定科目に対応する貸方金額或いは借方金額の情報)を含む帳票データを取得し、帳票データから、勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、対象期間前日までの金額の合計である前残合計金額と、対象期間内の金額の合計である発生合計金額と、を集計する。
【0031】
集計部102bは、さらに、勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、集計部102bが集計した前残合計金額と発生合計金額の合計として残高合計金額を算出する。
【0032】
集計部102bは、受付部102aが受け付けた条件が抽出区分範囲を含む場合(抽出区分範囲が予め設定されている場合)、帳票データの取得後、帳票データから抽出区分範囲内の情報(抽出区分情報)を抽出し、抽出した情報(抽出区分情報)に基づいて、抽出区分範囲内の前残合計金額と、抽出区分範囲内の発生合計金額と、を集計する。集計部102bは、受付部102aが受け付けた条件が抽出区分範囲を含まない場合、帳票データの情報の全区分範囲を集計の対象とする。
【0033】
集計部102bは、
帳票データのうち、
集計識別項目と勘定科目と残高日付と対応する金額情報を含む残高データと、
集計識別項目と勘定科目と仕訳日付と対応する金額情報を含む仕訳データと、
を取得し、
資産(例、売掛金)、負債(例、買掛金)及び純資産(例、資本金)の勘定科目の区分については、
勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、
残高データの中から、集計の基準とする集計基準日前で集計基準日に一番近い最新残高日付を含む残高情報を抽出し、
仕訳データの中から、最新残高日付以降で且つ対象期間前日までの仕訳日付を含む対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む対象期間内仕訳情報と、を抽出し、
前残合計金額を、抽出した残高情報の金額と、抽出した対象期間前仕訳情報の金額と、を合算して集計し、
発生合計金額を、抽出した対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計し、
収益(例、売上)及び費用(例、仕入)の勘定科目の区分については、
勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、
仕訳データの中から、集計基準日(すなわち取得期間開始日)以降で且つ対象期間前日までの仕訳日付を含む対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む対象期間内仕訳情報と、を抽出し、
前残合計金額を、抽出した対象期間前仕訳情報の金額を合算して集計し、
発生合計金額を、抽出した対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計する。
【0034】
集計部102bは、
受付部102aが受け付けた条件が抽出区分範囲を含む場合(抽出区分範囲が予め設定されている場合)、
帳票データのうち仕訳データと残高データとを取得した後、
残高データから、受付部102aが受け付けた抽出区分範囲内の残高データの情報(残高データの抽出区分情報)を抽出し、
仕訳データから、受付部102aが受け付けた抽出区分範囲内の仕訳データの情報(仕訳データの抽出区分情報)を抽出し、
資産(例、売掛金)、負債(例、買掛金)及び純資産(例、資本金)の勘定科目の区分については、
勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、
残高データの抽出区分情報の中から、集計の基準とする集計基準日前で集計基準日に一番近い最新残高日付を含む抽出区分残高情報を抽出し、
仕訳データの抽出区分情報の中から、最新残高日付以降で且つ対象期間前日までの仕訳日付を含む抽出区分対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む抽出区分対象期間内仕訳情報と、を抽出し、
前残合計金額を、抽出した抽出区分残高情報の金額と、抽出した抽出区分対象期間前仕訳情報の金額と、を合算して集計し、
発生合計金額を、抽出した抽出区分対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計し、
収益(例、売上)及び費用(例、仕入)の勘定科目の区分については、
勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、
仕訳データの抽出区分情報の中から、集計基準日(すなわち取得期間開始日)以降で且つ対象期間前日までの仕訳日付を含む抽出区分対象期間前仕訳情報と、対象期間内の仕訳日付を含む抽出区分対象期間内仕訳情報と、を抽出し、
前残合計金額を、抽出した抽出区分対象期間前仕訳情報の金額を合算して集計し、
発生合計金額を、抽出した抽出区分対象期間内仕訳情報の金額を合算して集計する。
【0035】
作表部102cは、勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前残合計金額と、発生合計金額と、を表示する集計表を作成する。
【0036】
作表部102cが作成する集計表は、さらに、勘定科目及び複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前残合計金額と発生合計金額の合計として残高合計金額を表示する。
【0037】
作表部102cは、受付部102aが受け付ける条件が優先順を含む場合(優先順が予め設定されている場合)、勘定科目及び集計識別項目を優先順に階層化させた集計表を作成する。
【0038】
作表部102cが作成する集計表は、まず最優先の項目に属する1又は2以上の区分で大きく区切り、その大きく区切られた1又は2以上の区分それぞれにおいて、次に優先される項目に属する1又は2以上の区分で小さく区切り、同様に優先順に従ってさらに小さく区切っていく形態であり得る。例として、受付部102aが受け付けた集計識別項目が勘定科目とは別に2種存在し、優先順を、勘定科目、第1優先項目、第2優先項目の順とし、勘定科目に区分αの1区分のみ、第1優先項目に区分Aと区分Bと区分Cの3区分、第2優先項目に区分aと区分bと区分cの3区分が存在する場合、作表部102cが作成する集計表は、まず、区分αが、区分A、区分B、区分Cに大きく区切られ、大きく区切られたそれぞれの区分が、組み合わせが存在する限りにおいて、さらに、区分a、区分b、区分cに小さく区切られた形式であり得る。また、階層化は3階層に限られず、受け付けた集計識別項目が3種類、4種類、それ以上存在する場合は、4階層、5階層、それ以上に区切られ得る。
【0039】
作表部102cが作成する階層化させた集計表は、最優先の項目の区分ごとの前残合計金額、発生合計金額、及び残高合計金額それぞれの合計を表示する場合がある。また、作表部102cが作成する階層化させた集計表は、中間優先項目(最優先の項目でも最も優先しない項目でもない項目)の区分ごとの前残合計金額、発生合計金額、及び残高合計金額それぞれの合計を表示する場合がある。
【0040】
作表部102cが作成する集計表は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ等の表示装置による表示、プリンタ等の印刷装置による紙面上への印刷などにより可視化することで出力することができる。
【0041】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、PC100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
【0042】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0043】
記憶部106は、概念的に、帳票データ記憶部106a、条件記憶部106b等を備えている。
【0044】
帳票データ記憶部106aは、集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを格納する。帳票データは、集計識別項目と勘定科目と残高日付と対応する金額情報を含む残高データと、集計識別項目と勘定科目と仕訳日付と対応する金額情報を含む仕訳データと、を含む。
【0045】
条件記憶部106bは、受付部102aが過去に受け付けた条件及び/又は予め指定された条件の一覧を格納する。
【0046】
入出力インターフェース部108には、入力装置400及び出力装置500が接続されている。出力装置400には、ディスプレイ、プロジェクタ等の表示装置、スピーカ等の音響装置、プリンタ等の印刷装置の他、データファイル形式でダウンロード可能とする装置も含まれる。データファイルファイル形式は、PDF、CSV、文書ファイル、表計算ソフトファイル、テキストファイル等、当分野で公知のファイル形式を採用することができる。入力装置500には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0047】
[2.具体例]
ここでは、具体例を用いて、本発明に係る財務会計管理装置における受付部102a、集計部102b、及び作表部102cによる情報処理に関し、図2~11Bを参照して説明する。
【0048】
図2は、本具体例における受付部102a、集計部102b、及び作表部102cによる情報処理のフローの一例を示す図である。
【0049】
図2に示す通り、本具体例において、まず、受付部102aは、集計する対象期間、集計識別項目等を含む条件を、条件入力画面を介して、算出の指示と共に受け付ける(S01)。次に、集計部102bは、集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データを帳票データ記憶部106aから取得する(S02)。次に、受付部102aが受け付けた条件が抽出区分範囲を含む場合、帳票データから抽出区分範囲内の情報(抽出区分情報)を抽出する(S03)。次に、前残合計金額と発生合計金額を集計する(S04)。作表部102cは、前残合計金額と、発生合計金額と、を表示する集計表を、複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に集計識別項目を優先順に階層化させて作成する(S05)。
【0050】
図3A図3Dは、本具体例における受付部102aが受け付ける条件を入力するための条件入力画面(統合集計表の作成のための条件入力画面)の一例を示す図である。図3Aは、未入力の条件入力画面の一例であり、図3B及び図3Dは、一部入力後の条件入力画面の一例である。
【0051】
図3A図3Dに示される条件入力画面10~13では、必須受付項目として、集計の基準とする集計基準日(作表上の期首)1a、必須受付項目として、集計する対象期間1b、任意受付項目として、会計管理項目「事業所」について集計する区分を限定するための指定範囲(抽出区分範囲)1c、任意受付項目として、会計管理項目「部門」についての抽出区分範囲1d、任意受付項目として、会計管理項目「勘定科目」についての抽出区分範囲1e、任意受付項目として、会計管理項目「取引先」についての抽出区分範囲1f、任意受付項目として、会計管理項目「プロジェクト」についての抽出区分範囲1g、任意受付項目として、会計管理項目「連携元システム」についての抽出区分範囲1h、必須受付項目として、集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目の指定と当該集計識別項目の優先順の指定(集計条件指定)1iからなる条件を受け付けることができる。
【0052】
図3A図3Dに示される条件入力画面10~13の下方における「条件呼出」ボタン1jが押下されると、受付部102aが条件呼出画面を出力する。「条件保存」ボタン1kが押下されると、受付部102aが条件入力画面に入力された条件と条件保存の指示を受け付け、条件を条件記憶部106bに格納する。なお、必須受付項目及び任意受付項目のいずれにも入力がなされていない場合は「条件保存」ボタン1kの押下ができない。「算出」ボタン1lを押下すると、受付部102aが条件入力画面に入力された条件と算出の指示と受け付ける。なお、必須受付項目のすべてに入力がなされていない場合は「算出」ボタン1lの押下ができない。「キャンセル」ボタン1mを押下すると、条件入力画面10~13が閉じられ、受け付けがキャンセルされる。
【0053】
図4は、本具体例における条件記憶部106bに格納された条件の一覧を表示した条件呼出画面の一例を示す図である。図4に示される条件呼出画面20の下方における「呼出し」ボタン2cは、条件の一覧2a・2bの中から条件が指定された後に、押下されると、受付部102aは、指定された条件に基づいて、未入力の条件入力画面に対し当該条件が入力された条件入力画面を出力する。「呼出し」ボタン2cは、条件が指定されていない場合は、押下できない。「キャンセル」ボタン2dを押下すると、条件呼出画面20が閉じられ、条件呼出がキャンセルされる。
【0054】
図5は、本具体例における受付部102aが受け付ける条件の集計識別項目及びその優先順を選択するための条件選択画面の一例を示す図である。図5に示される条件選択画面30において、左側の一覧3aは、集計識別項目候補の会計管理項目を表示した一覧であり、右側の一覧3bは、選択した集計識別項目を上から優先順に表示した一覧である。左側の一覧3aから集計識別項目とする会計管理項目を選択し、選択操作ボタン3cを操作して、右側の一覧3bに集計識別項目を優先順に表示させ、或いは逆に、右側の一覧3bから集計識別項目としない会計管理項目を選択し、選択操作ボタン3cを操作して、削除する。右側の一覧3bに集計識別項目を選択し、上から優先順に集計識別項目を表示させた後、「選択」ボタン3dを押下すると、受付部102aは、選択された集計識別項目及びその優先順に基づいて、未入力の条件入力画面に対し集計識別項目及び優先順が入力された条件入力画面を出力する。「閉じる」ボタン3eを押下すると、条件選択画面30が閉じられ、集計識別項目及びその優先順の選択がキャンセルされる。
【0055】
図6は、本具体例における残高データの一例を示す図である。図6に示される残高データ40には、会計管理項目の「事業所」、「部門」、「勘定科目」、「取引先」、「プロジェクト」、及び「連携元システム」、勘定科目に対応する金額情報である「セット残高」、並びに残高日付の日付情報である「セット残高日付」の項目別に、各情報4a・4b(これら以外の情報は略)が含まれている。
【0056】
図7は、本具体例における仕訳データの一例を示す図である。図7に示される仕訳データ50には、仕訳日付の日付情報である「発生日」、会計管理項目の「事業所」、「部門」、「勘定科目」、「取引先」、「プロジェクト」、及び「連携元システム」、並びに勘定科目に対応する金額情報である「金額」の項目別に、各情報5a~5h(これら以外の情報は略)が含まれている。
【0057】
図8は、本具体例におけるセット残高ワークの一例を示す図である。図8に示されるセット残高ワーク60には、会計管理項目の「事業所」、「部門」、「勘定科目」、「取引先」、「プロジェクト」、及び「連携元システム」、並びに前残合計金額の金額情報である「前残」の項目別に、各セット残高ワーク情報6a・6b(これら以外の情報は略)が含まれている。
【0058】
図9は、本具体例における仕訳明細ワークの一例を示す図である。図9に示される仕訳明細ワーク70には、会計管理項目の「事業所」、「部門」、「勘定科目」、「取引先」、「プロジェクト」、及び「連携元システム」、並びに発生合計金額の金額情報である「発生金額」の項目別に、各仕訳明細ワーク情報7a~7d(これら以外の情報は略)が含まれている。
【0059】
図10は、本具体例における集計ワークの一例を示す図である。図10に示される集計ワーク80には、会計管理項目の「事業所」、「部門」、「勘定科目」、「取引先」、「プロジェクト」、及び「連携元システム」、並びに各セット残高ワーク情報6a・6bと同一の「前残」、仕訳明細ワーク情報7a~7dと同一の「発生金額」、及び前残合計金額と発生合計金額の合計(残高合計金額)の金額情報である「残高」の項目別に、各集計ワーク情報8a~8d(これら以外の情報は略)が含まれている。
【0060】
図11A及び図11Bは、本具体例における作表部102cにより作成された集計表の一例を示す図である。図11Aに示される集計表90は、勘定科目の項目9aを最優先として、集計識別項目のプロジェクトの項目9b、取引先の項目9cの順に区分を階層化させて、それぞれの区分の組み合わせ別に、前残の項目9dの行に集計ワーク情報8a~8dの前残合計金額(前残)の金額、発生金額の項目9eの行に集計ワーク情報8a~8dの発生合計金額(発生金額)、残高の項目9fの行に集計ワーク情報8a~8dの残高合計金額(残高)をそれぞれ表示し、さらに、プロジェクトの項目9bの区分毎の合計を表示する。図11Bに示される集計表90’は、勘定科目の項目9a’を最優先として、集計識別項目の取引先の項目9b’、プロジェクトの項目9c’の順に区分を階層化させて、それぞれの区分の組み合わせ別に、前残の項目9d’の行に集計ワーク情報8a~8dの前残合計金額(前残)の金額、発生金額の項目9e’の行に集計ワーク情報8a~8dの発生合計金額(発生金額)、残高の項目9fの行に集計ワーク情報8a~8dの残高合計金額(残高)をそれぞれ表示し、さらに、取引先の項目9b’の区分毎の合計を表示する。
【0061】
受付部102aは、まず、図3Aで示される条件入力画面10において、必須受付項目として、集計基準日(作表上の期首)1a、対象期間1b、及び集計時に識別する会計管理項目として勘定科目とは別の複数の集計識別項目の指定と当該集計識別項目の優先順の指定(集計条件指定)1iを、各項目に入力された内容に基づき、各項目の条件を受け付け、さらに、任意受付項目として、会計管理項目「事業所」、「部門」、「勘定科目」、「取引先」、「プロジェクト」、及び「連携元システム」についての抽出区分範囲1c~1hを、少なくともいずれかの項目に入力された場合に、その内容に基づき、入力された項目の条件を受け付ける(S01)。
【0062】
図3Aで示される条件入力画面10の項目への入力方法の一例について説明する。
【0063】
受付部102aは、図3Aで示される条件入力画面10における集計条件指定1iの検索ボタン(集計条件指定1iの項目の空欄左端の虫眼鏡マーク)が押下されると、図5で示される条件呼出画面30を出力する。条件選択画面30の左側の一覧3aには、集計識別項目候補の会計管理項目が表示される。一例として、左側の一覧3aには図5で示される条件呼出画面30同様の一覧が表示され、右側の一覧3bが空欄である未選択の条件呼出画面において、集計識別項目が「プロジェクト」、及び「取引先」であり、集計識別項目の優先順が「プロジェクト」、「取引先」の順であることを指定する場合、まず、左側の一覧3aから「プロジェクト」を選択し、選択操作ボタン3cを操作して、右側の一覧3bに「1:プロジェクト」を最上位に表示させ、次に、左側の一覧3aから「取引先」を選択し、選択操作ボタン3cを操作して、右側の一覧3bの「1:プロジェクト」の下に「2:取引先」を表示させ、図5で示される条件呼出画面30と同様の画面とする。その後、「選択」ボタン3dを押下すると、受付部102aは、集計識別項目が「プロジェクト」、及び「取引先」であり、集計識別項目の優先順が「プロジェクト」、「取引先」の順であるとする指定を受け付け、図3Aで示される条件入力画面10に対して、空欄だった集計識別項目の集計条件指定1iに「プロジェクト-取引先」が表示された条件入力画面を出力する(図略)。
【0064】
図3Aで示される条件入力画面10の項目への入力方法の別例について説明する。
【0065】
受付部102aは、図3Aで示される条件入力画面10における「条件呼出」ボタン1jが押下されると、図4で示される条件呼出画面20を出力する。条件呼出画面20には、受付部102aが過去に算出の指示又は条件保存の指示と共に受け付け、条件記憶部106bに格納された条件の一覧2a・2bが表示される。
【0066】
図4で示される条件呼出画面20における一覧の「[PJ管理](買掛金)プロジェクト-取引先」の条件2aは、会計管理項目「勘定科目」についての抽出区分範囲が「買掛金」であり、会計管理項目「連携元システム」についての抽出区分範囲が「PJ管理」であり、集計識別項目が「プロジェクト」、及び「取引先」であり、集計識別項目の優先順が「プロジェクト」、「取引先」の順であることを指定する条件である。
【0067】
図4で示される条件呼出画面20における一覧の「[PJ管理](未払金)事業所-プロジェクト」の条件2bは、会計管理項目「勘定科目」についての抽出区分範囲が「未払金」であり、会計管理項目「連携元システム」についての抽出区分範囲が「PJ管理」であり、集計識別項目が「事業所」、及び「プロジェクト」であり、集計識別項目の優先順が「事業所」、「プロジェクト」の順であることを指定する条件である。
【0068】
受付部102aは、図4で示される条件呼出画面20において、「[PJ管理](買掛金)プロジェクト-取引先」の条件2aが指定された後に、「呼出し」ボタン2cが押下されると、図3Bで示されるように、図3Aで示される条件入力画面10に対して、会計管理項目「勘定科目」についての抽出区分範囲1eに「買掛金」、会計管理項目「プロジェクト」についての抽出区分範囲1gに「PJ管理」、集計識別項目の集計条件指定1iに「プロジェクト-取引先」(集計識別項目の指定と優先順位)が入力された条件入力画面11を出力する。
【0069】
なお、受付部102aは、例えば、未だ条件記憶部106bに「[PJ管理](買掛金)プロジェクト-取引先」の条件2aが格納されていない段階において、逆に、図3Bで示される条件入力画面11のように入力後、「条件保存」ボタン1kが押下されると、当該条件2aの条件保存の指示を受け付け、当該条件2aを条件記憶部106bに格納し、次回以降、条件呼出画面の一覧に当該条件2aを表示する。
【0070】
受付部102aは、図3Bで示される条件入力画面11に対して、さらに、図3Cで示される条件入力画面12のように、集計する基準となる集計基準日(作表上の期首)1aに「2021/4/1」、集計する対象期間1bに「2021/5/1」~「2021/5/31」、会計管理項目「事業所」について抽出区分範囲1cに「000 東京本社」が入力され、その後、「算出」ボタン1lが押下されると、集計する基準となる集計基準日(作表上の期首)が「2021年4月1日」、集計する対象期間が「2021年5月1日~2021年5月31日」、抽出区分範囲が「000 東京本社(事業所)」、「買掛金(勘定科目)」、「PJ管理(連携元システム)」、集計識別項目が「プロジェクト」及び「取引先」、集計識別項目の優先順が「プロジェクト」、「取引先」の順であるとする条件を、算出の指示と共に受け付ける(S01)。
【0071】
集計部102bは、受付部102aが条件と算出の指示を受け付けた後、受付部102aが受け付けた集計識別項目と勘定科目と日付と対応する金額情報を含む帳票データとして、図6で示される残高日付(セット残高日付)を含む残高データ40と、図7で示される仕訳日付(発生日)を含む仕訳データ50と、を帳票データ記憶部106aから取得する(S02)。
【0072】
集計部102bは、次に、抽出区分範囲内の情報として、図6で示される残高データ40から、受付部102aが受け付けた抽出区分範囲内である、事業所として「000 東京本社」の区分を、勘定科目として「買掛金」の区分を、プロジェクトとして「PJ管理」の区分をすべて含む残高データの抽出区分情報4a・4bを抽出し、図7で示される仕訳データ50から、受付部102aが受け付けた抽出区分範囲内である、事業所として「000 東京本社」の区分を、勘定科目として「買掛金」の区分を、プロジェクトとして「PJ管理」の区分をすべて含む仕訳データの抽出区分情報5a~5hを抽出する(S03)。
【0073】
集計部102bは、受付部102aが受け付けた「勘定科目」の抽出区分範囲が「買掛金」(負債)であるため、集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、図6で示される残高データ40の抽出区分情報4a・4bの中から、集計基準日前で集計基準日(作表上の期首)「2021年4月1日」に1番近い最新残高日付(セット残高日付)「2021年3月31日」を含む最新の抽出区分残高情報4a・4bを抽出し、図7で示される仕訳データ50の抽出区分情報5a~5hの中から、最新残高日付(セット残高日付)「2021年3月31日」以降で且つ対象期間前日「2021年4月30日」までの仕訳日付を含む抽出区分対象期間前仕訳情報5a・5bと、対象期間内「2021年5月1日~2021年5月31日」の仕訳日付を含む抽出区分対象期間内仕訳情報5c~5hと、を抽出する。
【0074】
集計部102bは、次に、集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、前残合計金額を、抽出した抽出区分残高情報4a・4bの金額と、抽出した抽出区分対象期間前仕訳情報5a・5bの金額と、を合算して集計し、図8で示されるセット残高ワーク60におけるセット残高ワーク情報6a・6bとし、発生合計金額を、抽出した抽出区分対象期間内仕訳情報5c~5hの金額を合算して集計し、図9で示される仕訳明細ワーク70における仕訳明細ワーク情報7a~7dとする(S04)。
【0075】
集計部102bは、次に、集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、図8で示されるセット残高ワーク60におけるセット残高ワーク情報6a・6bと、図9で示される仕訳明細ワーク70における仕訳明細ワーク情報7a~7dをまとめ、セット残高ワーク情報6a・6bの前残合計金額(前残)と仕訳明細ワーク情報7a~7dの発生合計金額(発生金額)の合計をそれぞれ算出し、それを残高合計金額(残高)として、図10で示される集計ワーク情報8a~8dとする。
【0076】
作表部102cは、集計ワーク情報に基づいて、前残合計金額(前残)と、発生合計金額(発生金額)と、それらの合計である残高合計金額(残高)と、を表示する集計表を、複数の集計識別項目それぞれの区分の組み合わせ別に、集計識別項目を優先順に階層化させて作成する(S05)。なお、本具体例の財務会計管理装置では優先順について集計識別項目(「プロジェクト」及び「取引先」)に対し勘定科目を最優先とすることが事前に設定されている。
【0077】
作表部102cは、本具体例では、集計識別項目の優先順が「プロジェクト」、「取引先」の順であるとする条件に基づいて、図11Aに示すように、左から、優先順に従い、勘定科目の項目9a、プロジェクトの項目9b、取引先の項目9cの順に区分を階層化させて、それぞれの項目の区分の組み合わせ別に、前期残高の項目9dの行に、図10で示される集計ワーク80における集計ワーク情報8a~8dの前残合計金額(前残)、発生金額の項目9eの行に、集計ワーク情報8a~8dの発生合計金額(発生金額)、残高の項目9fの行に、集計ワーク情報8a~8dの前残合計金額と発生合計金額の合計である残高合計金額(残高)をそれぞれ表示し、さらに、勘定科目の項目9aに対して2番目の優先項目であるプロジェクトの項目9bの区分毎に前残、発生金額及び残高の各合計を表示して、集計表90を作成する(S05)。
【0078】
以上の具体例とは別の具体例として、図3Cで示される条件入力画面12の代わりに図3Dで示される条件入力画面13を介して、集計識別項目の優先順が「プロジェクト」、「取引先」の順の代わりに「取引先」、「プロジェクト」の順であるとする条件を算出の指示と共に受付部102aが受け付けた具体例では、以上で説明した具体例と同様に、集計部102bにより、前残合計金額と発生合計金額の集計が行われ、作表部102cは、図11Bに示すように、左から、優先順に従い、勘定科目の項目9a’、取引先の項目9b’、プロジェクトの項目9c’の順に区分を階層化させて、それぞれの項目の区分の組み合わせ別に、前期残高の項目9d’の行に、図10で示される集計ワーク80における集計ワーク情報8a~8dの前残の金額、発生金額の項目9e’の行に、集計ワーク情報8a~8dの発生金額の金額、残高の項目9f’の行に、集計ワーク情報8a~8dの残高の金額をそれぞれ表示し、さらに、勘定科目の項目9a’に対して2番目の優先項目である取引先の項目9b’の区分毎に前残、発生金額及び残高の各合計を表示して、集計表90’を作成する。
【0079】
以上で説明した通り、本発明の財務会計管理装置は、帳票データのような財務会計システムから、勘定科目に加えてさらに複数の指定した会計管理項目の区分の組み合わせ別にまとめた情報を出力できる。
【0080】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0083】
[4.他の実施形態]
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0084】
例えば、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0085】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0086】
また、PC100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0087】
例えば、PC100を構成する各装置が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて各装置に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0088】
また、このコンピュータプログラムは、PC100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0089】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム第一商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0090】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0091】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0092】
また、PC100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、PC100は、当該PC100に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0093】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、プロジェクトや取引先等の複雑な会計管理項目の組み合わせで帳票データのような財務会計システムの情報を整理し直す必要のある建設業界等における財務会計管理業務に有用である。
【符号の説明】
【0095】
100 PC
102 制御部
102a 受付部
102b 集計部
102c 作表部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 帳票データ記憶部
106b 条件記憶部
108 入出力インターフェース部
200 サーバ
300 ネットワーク
400 入力装置
500 出力装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B