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特開2022-184169プリンタ、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184169
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プリンタ、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20221206BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20221206BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/17 207
B41J2/01 403
B41J2/165 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091859
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】石川 晃大
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA17
2C056EC07
2C056EC11
2C056EC22
2C056EC23
2C056EC35
2C056EC54
2C056EE18
2C056FA10
2C056FA15
2C056HA22
2C056JA13
2C056JB04
2C056JC06
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】インクの不吐出を抑制できるプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタのフラッシングボックスは第一ノズル面と第二ノズル面に対して主走査方向に相対的に移動する。フラッシングボックスの受部は主走査方向において第一ノズル列と第二ノズル列の間隔よりも小さい幅を有する。プリンタのCPUは、第一ノズル列と第二ノズル列の一方を吐出方向において受部と対向させた状態で第一フラッシング処理を実行する(S13、S25)。第一フラッシング処理では、CPUは第一ノズル列と第二ノズル列の一方のうち少なくともいずれかのノズルからインクを吐出させる吐出駆動を駆動部に実行させ、且つ第一ノズル列と第二ノズル列の他方のうち少なくともいずれかのノズルからインクを吐出させない非吐出駆動を駆動部に実行させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出方向に吐出するノズルが、前記吐出方向と直交する副走査方向に複数並んで構成される第一ノズル列が設けられた第一ノズル面と、
前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第一ノズル列に対して、前記副走査方向および前記吐出方向と直交する主走査方向に位置する第二ノズル列が設けられた第二ノズル面と、
前記主走査方向において前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との間隔よりも小さい幅を有する受部が設けられた部材であって、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動するフラッシング受部材と、
前記ノズルからインクを吐出させる吐出駆動と、前記ノズルからインクを吐出させない非吐出駆動を実行する駆動部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の一方である第一対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の他方である第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルに、インクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第一フラッシング処理を実行する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第二対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第二フラッシング処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動し、且つ前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着可能なキャップを備え、
前記制御部は、
前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を、印刷媒体が載置されるプラテンと前記吐出方向において対向させた状態で、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を構成する複数の前記ノズルから前記印刷媒体にインクを吐出させる印刷処理を実行し、
前記印刷処理の後、前記第一対象ノズル列として前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第一フラッシング処理を実行し、
前記第一フラッシング処理の後、前記第二対象ノズル列として前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第二フラッシング処理を実行し、
前記第二フラッシング処理の後、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記キャップと対向するキャップ位置に位置させた状態で、前記キャップを前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着させるキャッピング処理を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記主走査方向において前記フラッシング受部材と前記キャップとの間に設けられ、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動し、且つ前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に接触可能なワイパを備え、
前記第二ノズル列は、前記主走査方向において前記第一ノズル列に対して前記フラッシング受部材から前記キャップに向かう第一方向に位置し、
前記制御部は、
前記印刷処理を実行し、
前記印刷処理の後、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記ワイパに対して前記主走査方向に相対的に移動させ、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を、前記ワイパよりも前記第一方向の所定位置に位置させる第一移動処理を実行し、
前記第一移動処理の後、前記ワイパが前記第一ノズル面に接触可能な状態で、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記ワイパに対して、前記主走査方向において前記第一方向とは反対の第二方向に相対的に移動させ、前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させる第一ワイピング処理を実行し、
前記第一ワイピング処理の後、前記第一フラッシング処理を実行し、
前記第一フラッシング処理の後、前記ワイパが前記第二ノズル面に接触可能な状態で、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記ワイパに対して前記第二方向に相対的に移動させ、前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させる第二ワイピング処理を実行し、
前記第二ワイピング処理の後、前記第二フラッシング処理を実行し、
前記第二フラッシング処理の後、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記キャップに対して前記第一方向に相対的に移動させ、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を前記キャップ位置に位置させる第二移動処理を実行し、
前記第二移動処理の後、前記キャッピング処理を実行する
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記主走査方向において前記フラッシング受部材に対して、印刷媒体が載置されるプラテンとは反対側に設けられ、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動し、且つ前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着可能なキャップを備え、
前記第二ノズル列は、前記主走査方向において前記第一ノズル列に対して前記フラッシング受部材から前記キャップに向かう第一方向に位置し、
前記制御部は、
前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記キャップと対向するキャップ位置に位置させた状態で前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着した前記キャップによる密着を解除するキャッピング解除処理を実行し、
前記キャッピング解除処理の後、前記第一対象ノズル列として前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第一フラッシング処理を実行し、
前記第一フラッシング処理の後、前記第二対象ノズル列として前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第二フラッシング処理を実行し、
前記第二フラッシング処理の後、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を、前記吐出方向において前記プラテンと対向させた状態で、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を構成する複数の前記ノズルから前記印刷媒体にインクを吐出させる印刷処理を実行する
することを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第一フラッシング処理において、所定時間の間、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動の開始から前記所定時間の間、前記第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項7】
前記第一ノズル面は、前記第二ノズル面によって前記第二ノズル列を構成する複数の前記ノズルから吐出されるインクよりも流動性が低下しにくいインクを、前記第一ノズル列を構成する複数の前記ノズルから吐出し、
前記制御部は、
前記第一対象ノズル列として前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第一フラッシング処理を実行し、
前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第二ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列のうち複数の前記ノズルの全部において、前記吐出駆動および前記非吐出駆動のいずれも前記駆動部に実行させない第三フラッシング処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を構成する複数の前記ノズルが吐出するインクよりも流動性が低下しにくいインクを吐出する前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される第三ノズル列が設けられた第三ノズル面と、
前記流動性が低下しにくいインクを吐出する前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第三ノズル列に対して、前記主走査方向に位置する第四ノズル列が設けられた第四ノズル面と
を備え、
前記制御部は、
前記第三ノズル列および前記第四ノズル列の一方である第三対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第三対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第三ノズル列および前記第四ノズル列の他方である第四対象ノズル列のうち全部の前記ノズルにおいて、前記吐出駆動と前記非吐出駆動のいずれも前記駆動部に実行させない第四フラッシング処理を実行する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項9】
インクを吐出方向に吐出するノズルが、前記吐出方向と直交する副走査方向に複数並んで構成される第一ノズル列が設けられた第一ノズル面と、
前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第一ノズル列に対して、前記副走査方向および前記吐出方向と直交する主走査方向に位置する第二ノズル列が設けられた第二ノズル面と、
前記主走査方向において前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との間隔よりも小さい幅を有する受部が設けられた部材であって、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動するフラッシング受部材と、
前記ノズルからインクを吐出させる吐出駆動と、前記ノズルからインクを吐出させない非吐出駆動を実行する駆動部と
を備えたプリンタの制御方法であって、
前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の一方である第一対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の他方である第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第一フラッシング処理を備えた
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
インクを吐出方向に吐出するノズルが、前記吐出方向と直交する副走査方向に複数並んで構成される第一ノズル列が設けられた第一ノズル面と、
前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第一ノズル列に対して、前記副走査方向および前記吐出方向と直交する主走査方向に位置する第二ノズル列が設けられた第二ノズル面と、
前記主走査方向において前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との間隔よりも小さい幅を有する受部が設けられた部材であって、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動するフラッシング受部材と、
前記ノズルからインクを吐出させる吐出駆動と、前記ノズルからインクを吐出させない非吐出駆動を実行する駆動部と
を備えたプリンタのコンピュータに、
前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の一方である第一対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の他方である第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第一フラッシング処理を実行させる
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリンタは、複数のインクヘッドと、キャッピング装置とを備える。複数のインクヘッドは主走査方向に並ぶ。複数のインクヘッドのそれぞれにはノズル面が設けられる。ノズル面には複数のノズルが副走査方向に並ぶ。キャッピング装置は複数のインクヘッドに対して主走査方向に相対的に移動できる。上下方向においてキャッピング装置が複数のインクヘッドと対向する状態でインクヘッドによるフラッシングが行われると、キャッピング装置は複数のインクヘッドから吐出されたインクを受ける。つまり、キャッピング装置はフラッシングによってインクヘッドから吐出されたインクを受けるための部材として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-30595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンタにおいて、複数のインクヘッドのうち一部がキャッピング装置から離れた状態で、キャッピング装置と対向する他部のインクヘッドによるフラッシングが行われることが考えられる。この場合、複数のインクヘッドのうち他部によるフラッシングが行われている最中には、複数のインクヘッドのうち一部のノズルは、大気に晒された状態となる。このため、複数のインクヘッドのうち一部のノズル内のインクが乾燥状態になることによって、その後の処理において、一部のノズルによるインクの不吐出が生じる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、インクの不吐出を抑制できるプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るプリンタは、インクを吐出方向に吐出するノズルが、前記吐出方向と直交する副走査方向に複数並んで構成される第一ノズル列が設けられた第一ノズル面と、前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第一ノズル列に対して、前記副走査方向および前記吐出方向と直交する主走査方向に位置する第二ノズル列が設けられた第二ノズル面と、前記主走査方向において前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との間隔よりも小さい幅を有する受部が設けられた部材であって、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動するフラッシング受部材と、前記ノズルからインクを吐出させる吐出駆動と、前記ノズルからインクを吐出させない非吐出駆動を実行する駆動部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の一方である第一対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の他方である第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルに、インクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第一フラッシング処理を実行することを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、第一フラッシング処理中に、第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルからインクが吐出される吐出駆動が駆動によって実行される。これにより、プリンタは、第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおいてインクの不吐出を抑制できる。さらに、第一フラッシング処理中に、第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルからインクが吐出されない非吐出駆動が駆動部によって実行される。これにより、プリンタは、第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズル内のインクが、乾燥状態になることを抑制できる。このため、プリンタは、第二ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおいて、インクの不吐出を抑制できる。よって、プリンタはインクの不吐出を抑制できる。
【0008】
前記制御部は、前記第二対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第二フラッシング処理を実行してもよい。
【0009】
第二フラッシング処理中に、第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルからインクが吐出される吐出駆動が駆動部によって実行される。これにより、プリンタは、第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおいてインクの不吐出を抑制できる。さらに、第二フラッシング処理中に、第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルからインクが吐出されない非吐出駆動が駆動部によって実行される。これにより、プリンタは、第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズル内のインクが乾燥状態になることを抑制できる。このため、プリンタは、第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおいて、インクの不吐出を抑制できる。よって、プリンタは第一ノズル列および第二ノズル列のそれぞれの複数のノズルによるインクの不吐出を抑制できる。
【0010】
前記プリンタは、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動し、且つ前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着可能なキャップを備え、前記制御部は、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を、印刷媒体が載置されるプラテンと前記吐出方向において対向させた状態で、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を構成する複数の前記ノズルから前記印刷媒体にインクを吐出させる印刷処理を実行し、前記印刷処理の後、前記第一対象ノズル列として前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第一フラッシング処理を実行し、前記第一フラッシング処理の後、前記第二対象ノズル列として前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第二フラッシング処理を実行し、前記第二フラッシング処理の後、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記キャップと対向するキャップ位置に位置させた状態で、前記キャップを前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着させるキャッピング処理を実行してもよい。
【0011】
印刷処理において、ノズル内のインクは、大気に晒されることによって乾燥状態となる可能性がある。印刷処理の後、且つキャッピング処理の前に第一フラッシング処理と第二フラッシング処理が実行される。よって、プリンタは、キャッピング処理後の処理において、第一ノズル列および第二ノズル列のそれぞれの複数のノズルによるインクの不吐出を抑制できる。
【0012】
前記プリンタは、前記主走査方向において前記フラッシング受部材と前記キャップとの間に設けられ、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動し、且つ前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に接触可能なワイパを備え、前記第二ノズル列は、前記主走査方向において前記第一ノズル列に対して前記フラッシング受部材から前記キャップに向かう第一方向に位置し、前記制御部は、前記印刷処理を実行し、前記印刷処理の後、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記ワイパに対して前記主走査方向に相対的に移動させ、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を、前記ワイパよりも前記第一方向の所定位置に位置させる第一移動処理を実行し、前記第一移動処理の後、前記ワイパが前記第一ノズル面に接触可能な状態で、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記ワイパに対して、前記主走査方向において前記第一方向とは反対の第二方向に相対的に移動させ、前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させる第一ワイピング処理を実行し、前記第一ワイピング処理の後、前記第一フラッシング処理を実行し、前記第一フラッシング処理の後、前記ワイパが前記第二ノズル面に接触可能な状態で、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記ワイパに対して前記第二方向に相対的に移動させ、前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させる第二ワイピング処理を実行し、前記第二ワイピング処理の後、前記第二フラッシング処理を実行し、前記第二フラッシング処理の後、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面を、前記キャップに対して前記第一方向に相対的に移動させ、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を前記キャップ位置に位置させる第二移動処理を実行し、前記第二移動処理の後、前記キャッピング処理を実行してもよい。
【0013】
第一ワイピング処理、第一フラッシング処理、第二ワイピング処理、第二フラッシング処理が第一ワイピング処理、第一フラッシング処理、第二ワイピング処理、第二フラッシング処理の順に実行された場合、第一ノズル面および第二ノズル面はフラッシング受部材およびワイパに対して第二方向に相対的に移動する。よって、プリンタは、第一ワイピング処理、第一フラッシング処理、第二ワイピング処理、第二フラッシング処理によって、第一ノズル面および第二ノズル面がフラッシング受部材およびワイパに対して主走査方向において第一方向と第二方向に相対的に往復移動する場合に比べて、フラッシング受部材およびワイパに対する主走査方向における第一ノズル面および第二ノズル面の相対的な移動距離を短くできる。
【0014】
前記プリンタは、前記主走査方向において前記フラッシング受部材に対して、印刷媒体が載置されるプラテンとは反対側に設けられ、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動し、且つ前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着可能なキャップを備え、前記第二ノズル列は、前記主走査方向において前記第一ノズル列に対して前記フラッシング受部材から前記キャップに向かう第一方向に位置し、前記制御部は、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記キャップと対向するキャップ位置に位置させた状態で前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に密着した前記キャップによる密着を解除するキャッピング解除処理を実行し、前記キャッピング解除処理の後、前記第一対象ノズル列として前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第一フラッシング処理を実行し、前記第一フラッシング処理の後、前記第二対象ノズル列として前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第二フラッシング処理を実行し、前記第二フラッシング処理の後、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を、前記吐出方向において前記プラテンと対向させた状態で、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列のうち少なくとも一方を構成する複数の前記ノズルから前記印刷媒体にインクを吐出させる印刷処理を実行してもよい。
【0015】
キャップは主走査方向においてフラッシング受部材に対してプラテンとは反対側に設けられる。第二ノズル列は第一ノズル列に対して第一方向に位置する。第一方向は主走査方向においてフラッシング受部材からキャップに向かう方向である。このため、キャッピング解除処理、第一フラッシング処理、第二フラッシング処理、印刷処理がキャッピング解除処理、第一フラッシング処理、第二フラッシング処理、印刷処理の順に実行された場合、第一ノズル面および第二ノズル面はフラッシング受部材に対して主走査方向において第一方向とは反対に相対的に移動する。よって、プリンタは、キャッピング解除処理、第一フラッシング処理、第二フラッシング処理、印刷処理によって、第一ノズル面および第二ノズル面がフラッシング受部材およびワイパに対して主走査方向において第一方向と第二方向に相対的に往復移動する場合に比べて、第一ノズル面および第二ノズル面のフラッシング受部材に対する主走査方向における相対的な移動距離を短くできる。
【0016】
前記制御部は、前記第一フラッシング処理において、所定時間の間、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動の開始から前記所定時間の間、前記第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させてもよい。
【0017】
プリンタは、第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおける吐出駆動の開始前と終了後に、第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおける非吐出駆動が駆動部によって実行されていない時間が生じることを抑制できる。プリンタは、第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおける非吐出駆動の開始前と終了後に、第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかのノズルにおける吐出駆動が駆動部によって実行されていない時間が生じることを抑制できる。このため、プリンタは第一対象ノズル列を構成する複数のノズル内のインクが乾燥状態になること、および第二対象ノズル列を構成する複数のノズル内のインクが乾燥状態となることを抑制できる。よって、プリンタは第一ノズル列および第二ノズル列のそれぞれの複数のノズルによるインクの不吐出を抑制できる。
【0018】
前記第一ノズル面は、前記第二ノズル面によって前記第二ノズル列を構成する複数の前記ノズルから吐出されるインクよりも流動性が低下しにくいインクを、前記第一ノズル列を構成する複数の前記ノズルから吐出し、前記制御部は、前記第一対象ノズル列として前記第一ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で前記第一フラッシング処理を実行し、前記第二ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第二ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列のうち複数の前記ノズルの全部において、前記吐出駆動および前記非吐出駆動のいずれも前記駆動部に実行させない第三フラッシング処理を実行してもよい。
【0019】
第一ノズル面は、第二ノズル面によって第二ノズル列を構成する複数のノズルから吐出されるインクよりも流動性が低下しにくいインクを、第一ノズル列を構成する複数のノズルから吐出する。このため、第三フラッシング処理では、第一ノズル列のうち全部のノズルにおいて、吐出駆動および非吐出駆動のいずれも駆動部によって実行されなくても、第一ノズル列を構成する複数のノズルによる不吐出は生じにくい。プリンタは、第一ノズル列を構成する複数のノズルによる不吐出が生じにくい場合に、第一ノズル列を構成する複数のノズルにおいて、吐出駆動および非吐出駆動のいずれも駆動部に実行させないことで、吐出駆動および非吐出駆動による第一ノズル列を構成する複数のノズルへの負荷を抑制できる。
【0020】
前記プリンタは、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列を構成する複数の前記ノズルが吐出するインクよりも流動性が低下しにくいインクを吐出する前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される第三ノズル列が設けられた第三ノズル面と、前記流動性が低下しにくいインクを吐出する前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第三ノズル列に対して、前記主走査方向に位置する第四ノズル列が設けられた第四ノズル面とを備え、前記制御部は、前記第三ノズル列および前記第四ノズル列の一方である第三対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第三対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第三ノズル列および前記第四ノズル列の他方である第四対象ノズル列のうち全部の前記ノズルにおいて、前記吐出駆動と前記非吐出駆動のいずれも前記駆動部に実行させない第四フラッシング処理を実行してもよい。
【0021】
第三ノズル面と第四ノズル面は、乾燥しにくいインクをノズルから吐出する。このため、第四フラッシング処理では、第四対象ノズル列のうち全部のノズルにおいて、吐出駆動および非吐出駆動のいずれも駆動部によって実行されなくても、第四対象ノズル列を構成する複数のノズルによる不吐出は生じにくい。プリンタは、第四対象ノズル列を構成する複数のノズルによる不吐出が生じにくい場合に、第四対象ノズル列を構成する複数のノズルにおいて、吐出駆動および非吐出駆動のいずれも駆動部に実行させないことで、吐出駆動および非吐出駆動による第四対象ノズル列を構成する複数のノズルへの負荷を抑制できる。
【0022】
本発明の第二態様に係る制御方法は、インクを吐出方向に吐出するノズルが、前記吐出方向と直交する副走査方向に複数並んで構成される第一ノズル列が設けられた第一ノズル面と、前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第一ノズル列に対して、前記副走査方向および前記吐出方向と直交する主走査方向に位置する第二ノズル列が設けられた第二ノズル面と、前記主走査方向において前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との間隔よりも小さい幅を有する受部が設けられた部材であって、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動するフラッシング受部材と、前記ノズルからインクを吐出させる吐出駆動と、前記ノズルからインクを吐出させない非吐出駆動を実行する駆動部とを備えたプリンタの制御方法であって、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の一方である第一対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の他方である第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第一フラッシング処理を備えたことを特徴とする。
【0023】
第二態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0024】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、インクを吐出方向に吐出するノズルが、前記吐出方向と直交する副走査方向に複数並んで構成される第一ノズル列が設けられた第一ノズル面と、前記ノズルが前記副走査方向に複数並んで構成される列であって、前記第一ノズル列に対して、前記副走査方向および前記吐出方向と直交する主走査方向に位置する第二ノズル列が設けられた第二ノズル面と、前記主走査方向において前記第一ノズル列と前記第二ノズル列との間隔よりも小さい幅を有する受部が設けられた部材であって、前記第一ノズル面および前記第二ノズル面に対して前記主走査方向に相対的に移動するフラッシング受部材と、前記ノズルからインクを吐出させる吐出駆動と、前記ノズルからインクを吐出させない非吐出駆動を実行する駆動部とを備えたプリンタのコンピュータに、前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の一方である第一対象ノズル列を、前記吐出方向において前記受部と対向させた状態で実行する処理であって、前記第一対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させる前記吐出駆動を前記駆動部に実行させ、且つ前記第一ノズル列および前記第二ノズル列の他方である第二対象ノズル列のうち少なくともいずれかの前記ノズルからインクを吐出させない前記非吐出駆動を前記駆動部に実行させる第一フラッシング処理を実行させることを特徴とする。
【0025】
第三態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】プリンタ1の斜視図である。
図2】プリンタ1の平面図である。
図3】キャリッジ6を下方から見た模式図である。
図4】ワイパ機構71、72とフラッシングボックス51の斜視図である。
図5】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図6】メイン処理のフローチャートである。
図7】キャリッジ6がキャップ位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、キャッピング状態であり、ワイパ711、721が退避姿勢の場合を示す図である。
図8】キャリッジ6がキャップ位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、アンキャッピング状態であり、ワイパ711、721が退避姿勢の場合を示す図である。
図9】キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、ワイパ711、721が退避姿勢の場合を示す図である。
図10】キャリッジ6が第二フラッシング位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、ワイパ711、721が退避姿勢の場合を示す図である。
図11】キャリッジ6が折返位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、ワイパ711が接触姿勢であり且つワイパ721が退避姿勢の場合を示す図である。
図12】キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、ワイパ711が接触姿勢であり且つワイパ721が退避姿勢の場合を示す図である。
図13】キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、ワイパ711が退避姿勢であり且つワイパ721が接触姿勢の場合を示す図である。
図14】キャリッジ6が第二フラッシング位置に位置する場合の図2に示すA-A線矢視方向の図であり、ワイパ711が退避姿勢であり且つワイパ721が接触姿勢の場合を示す図である。
図15】吐出フラッシングが行われる場合にCPU81から出力されるパルス信号の波形図である。
図16】非吐出フラッシングが行われる場合にCPU81から出力されるパルス信号の波形図である。
図17】キャリッジ6Aを下方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタ1を説明する。図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、および左上方が、それぞれ、プリンタ1の上方、下方、前方、後方、右方、および左方である。本実施形態において図面中の機械的要素は、実際のスケールを示す。
【0028】
図1に示すプリンタ1はインクジェットプリンタであり、印刷媒体にインクを吐出して印刷を行う。印刷媒体は布帛、紙等であり、例えばTシャツである。プリンタ1は、白、黒、イエロー、シアン、およびマゼンタの5色のインクを用いて、印刷媒体にカラー画像を印刷できる。
【0029】
以下では、5色のインクのうち白色のインクを「白インク」という。5色のインクのうち黒、シアン、イエロー、およびマゼンタの4色のインクを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合「カラーインク」という。白インクとカラーインクとを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、単に「インク」という。白インクは画像の白色を表す部分として、またはカラーインクの下地として印刷に用いられる。カラーインクは、印刷媒体に直接、または白インクによる下地の上に吐出され、カラー画像の印刷に用いられる。
【0030】
図1図4を参照し、プリンタ1の機械的構成を説明する。図1図2に示すように、プリンタ1は枠体2とプラテン12を備える。枠体2は前後方向、左右方向、または上下方向に延びる複数のシャフトによって格子状に構成される。枠体2には開口部13が形成される。開口部13は正面視で枠体2の中央部に位置し、枠体2の前端から後方に延びる。プラテン12は正面視で開口部13内に配置される。プラテン12は板状であり、前後左右方向に延びる。プラテン12は支持部14によって下方から支持される。支持部14は開口部13内で枠体2に固定される。支持部14は軸であり、前後方向に延びる。プラテン12は、図5示す副走査モータ97の駆動により、支持部14に沿って前後方向に移動する。したがって、本実施形態では前後方向が副走査方向となる。
【0031】
枠体2の上端には一対のガイドシャフト21、22が固定される。ガイドシャフト21は枠体2の前端部に配置され、枠体2の左端部から右端部まで左右方向に延びる。ガイドシャフト22は枠体2の前後方向の略中央に配置され、ガイドシャフト21よりも後方に位置する。ガイドシャフト22は枠体2の左端部から右端部まで左右方向に延びる。ガイドシャフト21、22はキャリッジ6を支持する。キャリッジ6は板状であり、前後左右方向に延びる。キャリッジ6はガイドシャフト21からガイドシャフト22まで延びる。
【0032】
キャリッジ6の後端部には駆動ベルト98が連結する。駆動ベルト98はガイドシャフト22上に設けられ、左右方向に延びる。駆動ベルト98の左端部は主走査モータ99に連結する。主走査モータ99はガイドシャフト22の左端に設けられる。主走査モータ99が駆動することで、駆動ベルト98は、キャリッジ6をガイドシャフト21、22に沿って左右方向に移動させる。したがって、本実施形態では、左右方向が主走査方向となる。図1図2は、キャリッジ6が移動範囲の右端に位置する状態を示す。
【0033】
キャリッジ6には白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34が設けられる。白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34はそれぞれ同じ構造を有し、本実施形態では直方体状を有する。以下では、白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「ヘッド3」という。白ヘッド31、32はキャリッジ6の後部に位置する。白ヘッド31はキャリッジ6の右後部に位置する。白ヘッド32は白ヘッド31よりも左側に位置し、白ヘッド31に対して前側にずれる。白ヘッド32の後部は左右方向において白ヘッド31の前部と重なる。
【0034】
カラーヘッド33、34は白ヘッド31、32に対して前側に位置する。カラーヘッド33、34は、それぞれ、左右方向において白ヘッド31、32と同じ位置に位置する。カラーヘッド34はカラーヘッド33よりも左側に位置し、カラーヘッド33に対して前側にずれる。カラーヘッド34の後部は左右方向においてカラーヘッド33の前部と重なる。
【0035】
図3に示すように、白ヘッド31の下面にはノズル面311が設けられる。ノズル面311は前後左右方向に延びる。ノズル面311には複数のノズル列312が形成される。複数のノズル列312は左右方向に並び、ノズル列312Rとノズル列312Lを含む。ノズル列312Rは複数のノズル列312のうち最も右側に位置する。ノズル列312Lは複数のノズル列312のうち最も左側に位置する。複数のノズル列312は複数のノズル313が前後方向に一列に並んで構成される。複数のノズル列312には、それぞれ、白インクが対応する。複数のノズル313は開口であり、白インクを下方に吐出する。
【0036】
白ヘッド31の構成と同様に、白ヘッド32、カラーヘッド33、34の下面にはそれぞれノズル面321、331、341が設けられる。ノズル面321、331、341は前後左右方向に延びる。ノズル面321、331、341にはそれぞれ複数のノズル列322、332、342が形成される。複数のノズル列322、332、342はそれぞれ左右方向に並び、ノズル列322R、332R、342Rとノズル列322L、332L、342Lを含む。
【0037】
ノズル列322Rは複数のノズル列322のうち最も右側に位置する。ノズル列332Rは複数のノズル列332のうち最も右側に位置する。ノズル列342Rは複数のノズル列342のうち最も右側に位置する。ノズル列322Lは複数のノズル列322のうち最も左側に位置する。ノズル列332Lは複数のノズル列332のうち最も左側に位置する。ノズル列342Lは複数のノズル列342のうち最も左側に位置する。複数のノズル列322、332、342はそれぞれ複数のノズル323、333、343が前後方向に一列に並んで構成される。
【0038】
複数のノズル列322には、それぞれ、白インクが対応する。つまり、複数のノズル323は白インクを下方に吐出する。複数のノズル列332にはそれぞれ異なる色のカラーインクが対応する。つまり、複数のノズル333は複数のノズル列332のそれぞれに対応する色のカラーインクを下方に吐出する。複数のノズル列342にはそれぞれ異なる色のカラーインクが対応する。複数のノズル343は複数のノズル列342のそれぞれに対応する色のカラーインクを下方に吐出する。
【0039】
左右方向において、ノズル列312Rの中心とノズル列322Lの中心との間隔を「ノズル列最大間隔D1」という。左右方向において、ノズル列332Rの中心とノズル列342Lの中心との間隔は、ノズル列最大間隔D1と同じである。ノズル列312Rは、左右方向に並ぶ複数のノズル列312、322の中で最も右側に位置する。ノズル列332Rは左右方向に並ぶ複数のノズル列332、342の中で最も右側に位置する。ノズル列322Lは、左右方向に並ぶ複数のノズル列312、322の中で最も左側に位置する。ノズル列342Lは、左右方向に並ぶ複数のノズル列332、342の中で最も左側に位置する。すなわち、ノズル列最大間隔D1は、左右方向に並ぶ複数のノズル列312、322のそれぞれの間隔の中で最も大きい。ノズル列最大間隔D1は、左右方向に並ぶ複数のノズル列332、342のそれぞれの間隔の中で最も大きい。
【0040】
左右方向において、ノズル列312Lの中心とノズル列322Rの中心との間隔を「ノズル列最小間隔D3」という。左右方向において、ノズル列332Lの中心とノズル列342Rの中心との間隔は、ノズル列最小間隔D3と同じである。ノズル列最小間隔D3はノズル列最大間隔D1よりも小さい。ノズル列最小間隔D3は、左右方向に並ぶ複数のノズル列312と複数のノズル列322のそれぞれの間隔の中で最も小さい。ノズル列最小間隔D3は、左右方向に並ぶ複数のノズル列332と複数のノズル列342のそれぞれの間隔の中で最も小さい。
【0041】
左右方向において、白ヘッド31と白ヘッド32の間隔L1は、ノズル面311の左端とノズル面321の右端の間隔を示す。本実施形態では、左右方向において、白ヘッド31と白ヘッド32の間隔L1は、カラーヘッド33とカラーヘッド34の間隔と同じである。すなわち、左右方向において、白ヘッド31と白ヘッド32の間隔L1は、ノズル面331の左端とノズル面341の右端の間隔と同じである。
【0042】
上記構成によれば、図1図2に示すように、ヘッド3はキャリッジ6とともに左右方向に移動する。左右方向におけるプラテン12の移動経路と、前後方向におけるヘッド3の移動経路とが互いに上下方向に重なる領域を「印刷領域18」という。ヘッド3の移動経路のうちプラテン12の移動経路よりも左側の領域を「非印刷領域19」という。ヘッド3とプラテン12が印刷領域18に位置する場合、プラテン12とヘッド3は上下方向において互いに対向する。
【0043】
プリンタ1は、印刷領域18において、図5に示す副走査モータ97の駆動によってプラテン12を前後方向(副走査方向)に移動させ、主走査モータ99の駆動によってキャリッジ6を左右方向(主走査方向)に移動させることで、印刷媒体をヘッド3に対して前後方向および左右方向に相対的に搬送する。
【0044】
ヘッド3からインクを吐出しながらキャリッジ6が左右方向に移動する動作を「吐出走査」という。プリンタ1は、吐出走査と、前後方向へのプラテン12の移動を繰り返すことで、印刷媒体への印刷を行う。例えば、プリンタ1は吐出走査において白ヘッド31、32から白インクを吐出して印刷媒体に下地を形成する。プリンタ1は吐出走査において印刷媒体に形成された下地の上に、カラーヘッド33、34からカラーインクを吐出してカラー画像を印刷する。
【0045】
図1図2に示すように、プリンタ1はキャップ機構4を備える。キャップ機構4は非印刷領域19に設けられ、キャップ支持部47とキャップ41、42、43、44を備える。キャップ支持部47は板状であり、前後左右方向に延びる。キャップ支持部47は非印刷領域19においてガイドシャフト21、22よりも下方に位置し、ガイドシャフト21の後側近傍からガイドシャフト22の前側近傍まで延びる。キャップ支持部47は図5に示すキャップモータ48の駆動によって上下方向に移動する(図7図8参照)。
【0046】
キャップ41~44はキャップ支持部47の上面に固定される。キャップ41~44は、それぞれ、前後方向において白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34と同じ位置に位置する。キャップ41~44のそれぞれの位置関係は、白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34のそれぞれの位置関係と同じである。キャップ41~44は例えばゴム等の弾性体によって構成され、上方に開口する。
【0047】
上記構成によれば、キャリッジ6が移動範囲の左端に位置した場合、白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34が、それぞれ、キャップ41、42、43、44の上方に配置され、上下方向においてキャップ41、42、43、44と対向する。白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34が、それぞれ、上下方向においてキャップ41、42、43、44と対向するときのキャリッジ6の位置を「キャップ位置」という(図7図8参照)。なお、キャップ位置はキャリッジ6の左右方向の中心の位置によって規定される。後述の第一フラッシング位置(図9参照)、第二フラッシング位置(図10参照)、および折返位置(図11参照)も同様に、キャリッジ6の左右方向の中心の位置によって規定される。
【0048】
キャリッジ6がキャップ位置に位置する状態でキャップ支持部47が上方に移動すると、キャップ41、42、43、44が、それぞれ、白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34においてノズル面311、321、331、341に下方から密着する(図7参照)。「密着」とは、例えば、キャップ41、42、43、44の内部と外部の圧力差を維持できる程度にキャップ41、42、43、44がノズル面311、321、331、341に接触することをいう。これにより、キャップ41~44によるキャッピングが行われる。プリンタ1は、印刷が行われていない間、インクが乾燥することを抑制するためにキャップ41~44によるキャッピングを行う。
【0049】
図1図2に示すように、プリンタ1はワイパ機構71、72、73、74を備える。ワイパ機構71~74は非印刷領域19に設けられ、それぞれ同じ構成を有する。図4に示すように、ワイパ機構71、72は、それぞれ、ワイパ711、721と複数のギア712、722を備える。ワイパ711、721は可撓性を有し、ゴム、多孔質部材等によって構成される。
【0050】
図2に示すように、ワイパ711はキャップ41よりも右方に位置する。ワイパ711は前後方向においてキャップ41および白ヘッド31と同じ位置に位置する。ワイパ711の前後方向の長さは、図3に示すノズル面311の前後方向長さと同じまたはノズル面311の前後方向長さよりも大きい。
【0051】
ワイパ721はキャップ42よりも右方且つワイパ711よりも左方に位置する。本実施形態ではワイパ721はキャップ41よりも右方に位置する。ワイパ721は前後方向においてキャップ42および白ヘッド32と同じ位置に位置する。ワイパ721の前後方向の長さはノズル面321の前後方向長さと同じまたはノズル面321の前後方向長さよりも大きい。
【0052】
図4に示すように、ワイパ711は複数のギア712のうち最も上側のギア712Aに連結する。複数のギア712のうち最も下側のギア712Bには図5に示すワイパモータ76が連結する。これにより、複数のギア712は図5に示すワイパモータ76とワイパ711を連結させ、ワイパモータ76の駆動力をワイパ711に伝達する。
【0053】
ワイパ721は複数のギア722のうち最も上側のギア722Aに連結する。複数のギア722のうち最も下側のギア722Bには図5に示すワイパモータ77が連結する。これにより、複数のギア722は図5に示すワイパモータ77とワイパ721を連結させ、ワイパモータ77の駆動力をワイパ721に伝達する。
【0054】
図1図2に示すように、ワイパ機構73、74は、それぞれ、ワイパ機構71、72と同様に、ワイパ731、741と複数のギア(図示略)を備える。ワイパ731はキャップ43よりも右方に位置する。本実施形態ではワイパ731は左右方向においてワイパ711と同じ位置に位置する。ワイパ731は前後方向においてキャップ43およびカラーヘッド33と同じ位置に位置する。
【0055】
ワイパ741はキャップ44よりも右方且つワイパ731よりも左方に位置する。本実施形態ではワイパ741はキャップ43よりも右方に位置し、左右方向においてワイパ721と同じ位置に位置する。ワイパ741は前後方向においてキャップ44およびカラーヘッド34と同じ位置に位置する。
【0056】
ワイパ機構73の複数のギアは図5に示すワイパモータ76とワイパ731を連結させ、ワイパモータ76の駆動力をワイパ731に伝達する。ワイパ機構74の複数のギアは図5に示すワイパモータ77とワイパ741を連結させ、ワイパモータ77の駆動力をワイパ741に伝達する。
【0057】
上記構成によれば、ワイパ711、731はワイパモータ76の駆動によって正面視で時計回り方向または反時計回り方向に回動する。ワイパ711、731の回動軸は図3に示すノズル面311、331よりも下方に位置し、前後方向に延びる。ワイパ711、731はワイパモータ76の駆動によって正面視で時計回り方向または反時計回り方向に回動する。ワイパ721、741の回動軸は図3に示すノズル面311、331よりも下方に位置し、前後方向に延びる。
【0058】
以下では、ワイパ711、721、731、741のそれぞれの先端が図3に示すノズル面311、321、331、341よりも下方に位置するときのワイパ711、721、731、741のそれぞれの姿勢を「退避姿勢」という(例えば図7参照)。本実施形態ではワイパ711、721、731、741のそれぞれが退避姿勢の場合、ワイパ711、721、731、741のそれぞれの先端は下方を向く。この場合、図2に示す白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34がワイパ711、721、731、741に対して左右方向に移動しても、ノズル面311、321、331、341は、それぞれ、ワイパ711、721、731、741の上方を通る。このため、ワイパ711、721、731、741は、それぞれ、ノズル面311、321、331、341に接触しない。
【0059】
以下では、ワイパ711、721、731、741のそれぞれの先端が図3に示すノズル面311、321、331、341と同じまたはノズル面311、321、331、341よりも上方に位置するときのワイパ711、721、731、741のそれぞれの姿勢を「接触姿勢」という(図4参照)。図4に示すように、本実施形態ではワイパ711、721のそれぞれが接触姿勢の場合、ワイパ711、721のそれぞれの先端は上方を向く。図2に示すワイパ731、741のそれぞれが接触姿勢の場合も同様に、ワイパ731、741のそれぞれの先端は上方を向く。この場合、図2に示す白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34がワイパ711、721、731、741に対して左右方向に移動すると、ワイパ711、721、731、741は、それぞれ、ノズル面311、321、331、341に接触する。これにより、ワイパ711、721、731、741はノズル面311、321、331、341を払拭する。
【0060】
図4に示すように、ワイパ711、721は、それぞれ、退避姿勢から正面視で時計回り方向に回動することで接触姿勢となる。ワイパ711、721は、それぞれ、接触姿勢から正面視で反時計回り方向に回動することで退避姿勢となる。図2に示すワイパ731、741も同様に、それぞれ、退避姿勢から正面視で時計回り方向に回動することで接触姿勢となる。ワイパ731、741は、それぞれ、接触姿勢から正面視で反時計回り方向に回動することで退避姿勢となる。
【0061】
図1図2に示すように、プリンタ1はフラッシングボックス51、52を備える。フラッシングボックス51、52は左右方向におけるヘッド3の移動経路よりも下方において、非印刷領域19に設けられ、それぞれ同じ構成を有する。フラッシングボックス51はワイパ711、721よりも右方且つプラテン12よりも左方に位置する。フラッシングボックス52はワイパ731、741よりも右方且つプラテン12よりも左方に位置する。フラッシングボックス52はフラッシングボックス52よりも前方に位置にする。
【0062】
図4に示すように、フラッシングボックス51は直方体ボックス状である。フラッシングボックス51には凹部511が形成される。凹部511はフラッシングボックス51の上面から下方に凹む。すなわち、フラッシングボックス51は上方に開口する。以下では、凹部511の上端によって囲まれる領域を「受部512」という。受部512は平面視矩形状である。
【0063】
図1図2に示すように、図4に示す凹部511には吸収部材513が設けられる。図4は、吸収部材513の図示を省略する。吸収部材513はスポンジ等の多孔質部材である。吸収部材513は後述の吐出フラッシングによって白ヘッド31、32から吐出された白インクを吸収する。
【0064】
フラッシングボックス52はフラッシングボックス51と同じ構成を有する。すなわち、フラッシングボックス52にも凹部(図示略)が形成される。受部522は凹部の上端によって囲まれる領域である。フラッシングボックス52の凹部には吸収部材523が設けられる。吸収部材523は後述の吐出フラッシングによってカラーヘッド33、34から吐出されたカラーインクを吸収する。
【0065】
左右方向において、受部512の幅D2は受部512の左端と右端の間の距離を示す。本実施形態では、左右方向において、受部512の幅D2は受部522の幅と同じであり、吸収部材513、523の幅と略同じである。左右方向において、受部512の幅D2は図3に示すノズル列最大間隔D1よりも小さい。本実施形態では、左右方向において、受部512の幅D2は、図3に示すノズル列最小間隔D3よりも小さい。
【0066】
左右方向において、ワイパ721とフラッシングボックス51の間隔L2は、ワイパ721の回動軸と受部512の左端の間隔を示す。左右方向において、ワイパ721とフラッシングボックス51の間隔L2は、ワイパ741とフラッシングボックス52の間隔と同じである。すなわち、左右方向において、ワイパ721とフラッシングボックス51の間隔L2は、ワイパ741の回動軸と受部522の左端の間隔と同じである。左右方向において、ワイパ721とフラッシングボックス51の間隔L2は白ヘッド31と白ヘッド32の間隔L1(図3参照)よりも小さい。
【0067】
図5を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は制御基板80を備える。制御基板80にはCPU81、ROM82、RAM83、およびフラッシュメモリ84が設けられる。CPU81はプリンタ1の制御を司り、ROM82、RAM83、およびフラッシュメモリ84と電気的に接続する。ROM82は、CPU81がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU81が必要な情報等を記憶する。ROM82は、例えば主走査モータ99の回転角度に基づいてキャリッジ6の各位置を記憶し、副走査モータ97の回転角度に基づいてプラテン12の各位置を記憶する。RAM83は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ84は、不揮発性であり、印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0068】
CPU81には主走査モータ99、副走査モータ97、キャップモータ48、ワイパモータ76、77、ヘッド駆動部301、302、303、304、および操作部17が電気的に接続される。主走査モータ99、副走査モータ97、キャップモータ48、ワイパモータ76、77、およびヘッド駆動部301~304はCPU81による制御によって駆動する。
【0069】
主走査モータ99と副走査モータ97にはそれぞれエンコーダ991、971が設けられる。エンコーダ991は、主走査モータ99の回転角度を検出し、検出結果をCPU81に出力する。エンコーダ971は、副走査モータ97の回転角度を検出し、検出結果をCPU81に出力する。ヘッド駆動部301~304は例えば圧電素子または発熱素子によって構成される。ヘッド駆動部301~304は、それぞれ、駆動することで白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34にインクを吐出させる。
【0070】
操作部17はタッチパネル等であり、ユーザによる操作に応じた情報をCPU81に出力する。ユーザは操作部17を操作することで、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示等をプリンタ1に入力できる。
【0071】
インクの不吐出を説明する。インク中の溶媒成分が揮発し、局所的にインク内の顔料粒子等の固形成分の濃度が高くなった状態を「乾燥状態」という。局所的にインク内の顔料粒子等の固形成分が沈降した状態を「沈降状態」という。例えばヘッド3においてノズル内のインクが大気に晒された場合、ノズル内のインクからメニスカスを介して溶媒成分が揮発し、ノズル内のインクは乾燥状態になる。例えばヘッド3においてインクがノズル内に停留した場合、インク内の顔料粒子がメニスカス近傍に沈降し、ノズル内のインクは沈降状態になる。これらの場合、ヘッド3では、ノズル内においてメニスカス近傍のインクの流動性が局所的に低下する。このため、ヘッド3において、ノズルからインクが吐出されない不吐出が生じやすくなる。
【0072】
本実施形態では、白インクは、顔料粒子等の固形成分として、カラーインクに含まれる成分よりも沈降性の高い成分を含む。沈降性の高い成分は例えば酸化チタンである。酸化チタンは比較的比重の高い無機顔料である。白インクは沈降性の高い成分を含むので、白インク内の顔料粒子等の固形成分は沈降しやすい。つまり、白インクはカラーインクよりも沈降状態になりやすい。結果として、白インクの流動性はカラーインクの流動性よりも低下しやすい。このため、本実施形態では、カラーヘッド33、34よりも白ヘッド31、32の方がインクの不吐出が生じやすい。
【0073】
フラッシングを説明する。フラッシングには吐出フラッシングと非吐出フラッシングがある。吐出フラッシングはヘッド駆動部301~304の駆動により、ヘッド3にノズルからインクを吐出させる動作である。吐出フラッシングが実行されると、乾燥状態または沈降状態のインクがノズルから排出される。これにより、ノズル内のインクの乾燥状態と沈降状態が解消される。
【0074】
非吐出フラッシングはヘッド3にノズルからインクを吐出させない動作であり、ヘッド駆動部301~304の駆動により、ヘッド3にノズル内のインクを振動させる動作である。非吐出フラッシングが実行されると、メニスカス近傍の乾燥状態または沈降状態のインクがメニスカスよりも上流側の乾燥状態でまたは沈降状態ないインクと撹拌される。これにより、ノズル内のインクの乾燥状態と沈降状態が解消される。
【0075】
以下では、例えばヘッド駆動部301に吐出フラッシングを実行させることを、「白ヘッド31に対して吐出フラッシングを実行させる」ともいう。例えばヘッド駆動部301に非吐出フラッシングを実行させることを、「白ヘッド32に対して非吐出フラッシングを実行させる」ともいう。例えばヘッド駆動部301に吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させないことを、「白ヘッド32に対して吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させない」ともいう。ヘッド駆動部302~304、白ヘッド32、カラーヘッド33、34についての吐出フラッシングと非吐出フラッシングも同様に表現する。
【0076】
図6図16を参照し、メイン処理を説明する。ユーザによって操作部17が操作され、印刷指示がプリンタ1に入力されると、CPU81は、ROM82から制御プログラムを読み出して動作することで、メイン処理を実行する。
【0077】
左右方向において、キャリッジ6が各位置に位置する状態では、ワイパ機構73、74、キャップ43、44、フラッシングボックス52に対するカラーヘッド33、34の位置関係は、ワイパ機構71、72、キャップ41、42、フラッシングボックス51に対する白ヘッド31、32の位置関係と同じである。このため、ワイパ機構73、74、キャップ43、44、フラッシングボックス52に対するカラーヘッド33、34の位置関係(図示略)は、図7図14に示すワイパ機構71、72、キャップ41、42、フラッシングボックス51に対する白ヘッド31、32の位置関係と対応する。
【0078】
以下では、図7に示すように、キャップ41~44によるキャッピングが行われている状態、つまりキャップ41、42、43、44が、それぞれ、白ヘッド31、32、カラーヘッド33、34においてノズル面311、321、331、341に下方から密着した状態を「キャッピング状態」という。図8に示すように、キャップ41~44によるキャッピングが行われていない状態、つまりキャップ41~44がノズル面311、321、331、341から下方に離れた状態を「アンキャッピング状態」という。図7に示すように、メイン処理は例えばキャッピング状態においてワイパ711、721、731、741が退避姿勢の状態で開始される。
【0079】
図6に示すように、メイン処理が開始されると、CPU81はキャップモータ48を制御し、図7に示すキャップ支持部47を下方に移動させる(S11)。これにより、図8に示すように、キャップ41~44のそれぞれがノズル面311、321、331、341から下方に離れる。つまり、図7に示すキャッピング状態から、キャッピングが解除されて、図8に示すアンキャッピング状態になる。
【0080】
図6に示すように、CPU81はエンコーダ991からの検出結果に基づいて主走査モータ99を制御し、キャリッジ6を図8に示すキャップ位置から右方に移動させ、図9に示す第一フラッシング位置で停止させる(S12)。図9に示すように、キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合、白ヘッド31において、複数のノズル列312の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が上下方向において受部512と対向する。キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合、カラーヘッド33において、複数のノズル列332の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が上下方向において受部522と対向する(図示略)。
【0081】
左右方向において、受部512の幅D2はノズル列最大間隔D1よりも小さい。このため、キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合、複数のノズル列322の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が受部512よりも左方に位置する。同様に、複数のノズル列342の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が受部522よりも左方に位置する(図示略)。
【0082】
図6に示すように、CPU81はキャリッジ6が図9に示す第一フラッシング位置で停止した状態で第一フラッシング処理を行う(S13)。第一フラッシング処理では、CPU81はヘッド駆動部301、303を制御し、白ヘッド31とカラーヘッド33に対して吐出フラッシングを実行させ、且つヘッド駆動部302を制御し、白ヘッド32に対して非吐出フラッシングを実行させる。例えば、CPU81は図15に示すパルス幅T1のパルス信号を第一所定時間の間、ヘッド駆動部301、303に出力し、且つ図16に示すパルス幅T2のパルス信号を第二所定時間の間、ヘッド駆動部302に出力する。パルス幅T1はヘッド3からインクが吐出される程度の長さを有する。パルス幅T2はヘッド3からインクが吐出されない程度の長さを有し、パルス幅T1よりも短い。
【0083】
本実施形態では、第二所定時間の長さは第一所定時間の長さと同じである。図15に示すパルス幅T1のパルス信号のヘッド駆動部301、303へのCPU81による出力が開始されるタイミングは、図16に示すパルス幅T2のパルス信号のヘッド駆動部302へのCPU81による出力が開始されるタイミングと同じである。このため、本実施形態では、白ヘッド31とカラーヘッド33による吐出フラッシングと白ヘッド32による非吐出フラッシングは、同時に開始され、第一所定時間(第二所定時間)の経過後、同時に終了する。
【0084】
吐出フラッシングによって、白ヘッド31は複数のノズル313の全部からインクを吐出し、カラーヘッド33は複数のノズル333の全部からインクを吐出する。キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する。このため、白ヘッド31において吐出フラッシングによって複数のノズル313から吐出された白インクは、受部512を通過し、吸収部材513に着弾する。吸収部材513は着弾した白インクを吸収する。カラーヘッド33において吐出フラッシングによって複数のノズル333から吐出されたカラーインクは、受部522を通過し、吸収部材523に着弾する。吸収部材523は着弾したカラーインクを吸収する。
【0085】
非吐出フラッシングによって、白ヘッド32では、複数のノズル323内の白インクが吐出されることなく振動する。このため、プリンタ1は白ヘッド32において、吐出フラッシングによって受部512外に白インクを吐出することなく、白インクが乾燥状態になることを抑制できる。第一フラッシング処理では、CPU81はヘッド駆動部304に対してパルス信号を出力しない。つまり、CPU81はカラーヘッド34に対して吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させない。このため、プリンタ1はフラッシングによるヘッド駆動部304の駆動負荷を抑制できる。
【0086】
図6に示すように、CPU81はエンコーダ991からの検出結果に基づいて主走査モータ99を制御し、キャリッジ6を図9に示す第一フラッシング位置から右方に移動させ、図10に示す第二フラッシング位置で停止させる(S14)。図10に示すように、キャリッジ6が第二フラッシング位置に位置する場合、白ヘッド32において、複数のノズル列322の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が上下方向において受部512と対向する。キャリッジ6が第二フラッシング位置に位置する場合、カラーヘッド34において、複数のノズル列342の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が上下方向において受部522と対向する(図示略)。
【0087】
左右方向において、受部512の幅D2はノズル列最大間隔D1よりも小さい。このため、キャリッジ6が第二フラッシング位置に位置する場合、複数のノズル列312の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が受部512よりも右方に位置する。同様に、複数のノズル列332の少なくともいずれか(本実施形態では、全部)が受部522よりも右方に位置する(図示略)。
【0088】
図6に示すように、CPU81は、キャリッジ6が図10に示す第二フラッシング位置で停止した状態で第二フラッシング処理を行う(S15)。第二フラッシング処理では、CPU81はヘッド駆動部302、304を制御し、白ヘッド32とカラーヘッド34に対して吐出フラッシングを実行させ、且つヘッド駆動部301を制御し、白ヘッド31に対して非吐出フラッシングを実行させる。
【0089】
例えば、CPU81は図15に示すパルス幅T1のパルス信号を第一所定時間の間、ヘッド駆動部302、304に出力し、且つ図16に示すパルス幅T2のパルス信号を第二所定時間の間、ヘッド駆動部301に出力する。第一フラッシング処理と同様に、本実施形態では、白ヘッド32とカラーヘッド34による吐出フラッシングと白ヘッド31による非吐出フラッシングは、同時に開始され、第一所定時間(第二所定時間)の経過後、同時に終了する。
【0090】
吐出フラッシングによって、白ヘッド32は複数のノズル323の全部からインクを吐出し、カラーヘッド34は複数のノズル343の全部からインクを吐出する。キャリッジ6が第二フラッシング位置に位置する。このため、白ヘッド32において吐出フラッシングによって複数のノズル323から吐出された白インクは、受部512を通過し、吸収部材513に着弾する。吸収部材513は着弾した白インクを吸収する。カラーヘッド34において吐出フラッシングによって複数のノズル343から吐出されたカラーインクは、受部522を通過し、吸収部材523に着弾する。吸収部材523は着弾したカラーインクを吸収する。
【0091】
非吐出フラッシングによって、白ヘッド31では、複数のノズル313内のインクが吐出されることなく振動する。このため、プリンタ1は白ヘッド31において、吐出フラッシングによって受部512外に白インクを吐出することなく、複数のノズル313内の白インクが乾燥状態になることを抑制できる。
【0092】
第二フラッシング処理では、CPU81はヘッド駆動部303に対してパルス信号を出力しない。つまり、CPU81はカラーヘッド33に対して吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させない。このため、プリンタ1はフラッシングによるヘッド駆動部303の駆動負荷を抑制できる。
【0093】
図6に示すように、CPU81は印刷データに基づいて印刷制御を行う(S16)。印刷制御では、CPU81はエンコーダ971からの検出結果に基づいて副走査モータ97を制御し、図2に示すプラテン12を後方に図2に示す印刷領域18まで移動させる。CPU81はエンコーダ991からの検出結果に基づいて主走査モータ99を制御し、図10に示す第二フラッシング位置からキャリッジ6を右方に図2図10に示す印刷領域18まで移動させる。プラテン12とキャリッジ6が印刷領域18に位置する状態で、CPU81はヘッド駆動部301~304と主走査モータ99と副走査モータ97を制御する。これにより、CPU81は吐出走査と、前後方向へのプラテン12の移動を繰り返すことで、印刷媒体への印刷を制御する。CPU81は印刷データに基づく印刷が終了すると、印刷制御を終了する。
【0094】
図6に示すように、CPU81はエンコーダ991からの検出結果に基づいて主走査モータ99を制御し、キャリッジ6を図2図11に示す印刷領域18から左方に移動させ、図11に示す折返位置で停止させる(S21)。図11に示すように、折返位置は左右方向において図8に示すキャップ位置と図9に示す第一フラッシング位置の間の位置である。キャリッジ6が折返位置に位置する場合、白ヘッド31の右端がワイパ711よりも左側に位置する。キャリッジ6が折返位置に位置する場合、カラーヘッド33の右端がワイパ731よりも左側に位置する(図示略)。
【0095】
図6に示すように、CPU81はワイパモータ76を制御し、ワイパ711、731を図10に示す退避姿勢から図11に示す接触姿勢に切り替える(S22)。CPU81はエンコーダ991からの検出結果に基づいて主走査モータ99を制御し、キャリッジ6を図11に示す折返位置から右方に移動させ、図12に示す第一フラッシング位置で停止させる(S23)。ワイパ711、731が接触姿勢なので、キャリッジ6の移動中にワイパ711、731がそれぞれノズル面311、331に接触する。これにより、ワイパ711、731は、それぞれ、印刷制御(S16)でノズル面311、331に付着したインクを払拭する。
【0096】
図13に示すように、左右方向において、ワイパ721とフラッシングボックス51の間隔L2は白ヘッド31と白ヘッド32の間隔L1よりも小さい。このため、キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合、白ヘッド32の右端はワイパ721よりも左方に位置する。同様に、キャリッジ6が第一フラッシング位置に位置する場合、カラーヘッド34の右端はワイパ741よりも左方に位置する(図示略)。
【0097】
図6に示すように、CPU81はワイパモータ76を制御し、ワイパ711、731を図12に示す接触姿勢から図13に示す退避姿勢に切り替える(S24)。CPU81はキャリッジ6が図13に示す第一フラッシング位置で停止した状態で第一フラッシング処理を行う(S25)。S25の第一フラッシング処理はS13の第一フラッシング処理と同じである。
【0098】
CPU81はワイパモータ77を制御し、ワイパ721、741を図12に示す退避姿勢から図13に示す接触姿勢に切り替える(S26)。CPU81はエンコーダ991からの検出結果に基づいて主走査モータ99を制御し、キャリッジ6を図13に示す第一フラッシング位置から右方に移動させ、図14に示す第二フラッシング位置で停止させる(S27)。ワイパ721、741が接触姿勢なので、キャリッジ6の移動中にワイパ721、741がそれぞれノズル面321、341に接触する。これにより、ワイパ721、741は、それぞれ、印刷制御(S16)でノズル面321、341に付着したインクを払拭する。
【0099】
CPU81はワイパモータ77を制御し、ワイパ721、741を図13に示す接触姿勢から図8に示す退避姿勢に切り替える(S28)。CPU81は第二フラッシング処理を行う(S29)。S29の第二フラッシング処理はS15の第二フラッシング処理と同じである。
【0100】
CPU81はエンコーダ991からの検出結果に基づいて主走査モータ99を制御し、キャリッジ6を図14に示す第二フラッシング位置から左方に移動させ、図8に示すキャップ位置で停止させる(S31)。CPU81はキャップモータ48を制御し、キャップ支持部47を上方に移動させる(S32)。これにより、キャップ41~44のそれぞれがノズル面311、321、331、341に下方から密着する。つまり、キャップ41~44は図8に示すアンキャッピング状態から、キャッピングされて、図7に示すキャッピング状態になる。CPU81はメイン処理を終了する。
【0101】
以上説明した実施形態による作用効果の一例を説明する。以下では、吐出フラッシングによってヘッド3から吐出されるインクを「吐出フラッシングインク」という。例えば、プラテン12がキャップ位置に位置する状態で複数のヘッド3の全部によって同時に吐出フラッシングが行われることが考えられる。この場合、吐出フラッシングインクは、キャップ41~44内に着弾する。一般的に、キャップ41~44の容積は、パージ時の負圧上昇効率を高めるため、キャップ41~44内の保湿性を高めるため等の理由により、例えばフラッシングボックス51、52において凹部511、521の容積よりも小さい。このため、吐出フラッシングによって複数のヘッド3の全部からキャップ41~44内に向けてインクを吐出させる場合、吐出フラッシングインク量が制限される可能性がある。
【0102】
プリンタ1は吐出フラッシングインク量が制限されることを抑制するため、フラッシングボックス51、52を備える。つまり、プリンタ1では吐出フラッシングによってヘッド3からフラッシングボックス51、52に向けてインクが吐出される。例えば、フラッシングボックス51、52は、左右方向において、受部512の幅D2がノズル列最大間隔D1よりも大きい構成が考えられる。
【0103】
この場合、上下方向においてノズル列312、322の全部が同時に受部512と対向でき、ノズル列332、342の全部が同時に受部522と対向できる。このため、白ヘッド31、32は同時に吐出フラッシングを実行でき、カラーヘッド33、34は同時に吐出フラッシングを実行できる。一方で、この場合、フラッシングボックス51、52が左右方向に大型化し、プリンタ1全体が左右方向に大型化する可能性がある。上記実施形態では、左右方向において、受部512の幅D2がノズル列最大間隔D1よりも小さい。このため、プリンタ1は、フラッシングボックス51、52が左右方向に大型化することを抑制できる。よって、プリンタ1はプリンタ1全体が左右方向に大型化することを抑制しつつ、吐出フラッシングインク量が制限されることを抑制できる。
【0104】
プリンタ1は、ノズル面311、321、331、341とフラッシングボックス51とヘッド駆動部301、302、303、304とCPU81とを備える。ノズル面311にはノズル列312が設けられる。ノズル列312は、ノズル313が前後方向に複数並んで構成される。ノズル面321にはノズル列322が設けられる。ノズル列322は、ノズル323が前後方向に複数並んで構成される。ノズル面331にはノズル列332が設けられる。ノズル列332は、ノズル333が前後方向に複数並んで構成される。ノズル面341にはノズル列342が設けられる。ノズル列342は、ノズル343が前後方向に複数並んで構成される。ノズル列322、342はノズル列312、332に対して左方に位置する。ノズル313、323、333、343はインクを下方に吐出する。フラッシングボックス51、52はノズル面311、321、331、341に対して左右方向に相対的に移動する。フラッシングボックス51、52には受部512、522が設けられる。受部512、522は左右方向において幅D2を有する。左右方向において、受部512の幅D2はノズル列最大間隔D1よりも小さい。左右方向において、受部522の幅D2はノズル列最大間隔D1よりも小さい。ヘッド駆動部301、302、303、304は吐出フラッシングと非吐出フラッシングを実行する。CPU81は、ノズル列312、332を、上下方向において受部512、522と対向させた状態で第一フラッシング処理(S13、S25)を行う。第一フラッシング処理では、CPU81は、複数のノズル313の全部において吐出フラッシングをヘッド駆動部301に実行させ、複数のノズル333の全部において吐出フラッシングをヘッド駆動部303に実行させ、且つ複数のノズル323の全部において非吐出フラッシングをヘッド駆動部302に実行させる。
【0105】
これによれば、第一フラッシング処理中に、複数のノズル313、333においてヘッド駆動部301、303によって吐出フラッシングが実行される。これにより、プリンタ1は、複数のノズル313、333においてインクの不吐出を抑制できる。さらに、第一フラッシング処理中に、複数のノズル323においてヘッド駆動部302によって、非吐出フラッシングが実行される。これにより、プリンタ1は、複数のノズル323内のインクが、乾燥状態になることを抑制できる。このため、プリンタ1は、複数のノズル323において、インクの不吐出を抑制できる。よって、プリンタ1は複数のノズル313、323、333によるインクの不吐出を抑制できる。
【0106】
CPU81は、ノズル列322、342を、上下方向において受部512、522と対向させた状態で第二フラッシング処理(S15、S29)を実行する。第二フラッシング処理では、CPU81は、複数のノズル323の全部において吐出フラッシングをヘッド駆動部302に実行させ、複数のノズル343の全部において吐出フラッシングをヘッド駆動部304に実行させ、且つ複数のノズル313の全部において非吐出フラッシングをヘッド駆動部303に実行させる。
【0107】
これによれば、第二フラッシング処理中に、複数のノズル323、343においてヘッド駆動部302、304によって、吐出フラッシングが実行される。これにより、プリンタ1は、複数のノズル323、343においてインクの不吐出を抑制できる。さらに、第二フラッシング処理中に、複数のノズル313においてヘッド駆動部303によって、非吐出フラッシングが実行される。これにより、プリンタ1は、複数のノズル313内のインクが乾燥状態になることを抑制できる。このため、プリンタ1は、複数のノズル313において、インクの不吐出を抑制できる。よって、プリンタ1は、複数のノズル313、323、333、343によるインクの不吐出を抑制できる。
【0108】
プリンタ1はキャップ41~44を備える。キャップ41~44は、ノズル面311、321、331、341に対して左右方向に相対的に移動し、且つノズル面311、321、331、341に密着できる。プラテン12には印刷媒体が載置される。CPU81は、ノズル列312、322、332、342を、プラテン12と上下方向において対向させた状態で印刷処理(S16)を実行する。CPU81は、印刷処理において、複数のノズル313、323、333、343から印刷媒体にインクを吐出させる。CPU81は、印刷処理の後、ノズル列312、332を上下方向において受部512、522と対向させた状態で第一フラッシング処理(S25)を実行する。CPU81は、第一フラッシング処理の後、ノズル列322、342を上下方向において受部512、522と対向させた状態で第二フラッシング処理(S29)を実行する。CPU81は、第二フラッシング処理の後、キャッピング処理(S32)において、ノズル列312、322、332、342を、上下方向においてキャップ41~44と対向させた状態で、キャップ41~44をノズル面311、321、331、341に密着させる。
【0109】
これによれば、印刷処理において、ノズル313、323、333、343内のインクは、大気に晒されることによって乾燥状態となる可能性がある。印刷処理の後、且つキャッピング処理の前に第一フラッシング処理と第二フラッシング処理が実行される。よって、プリンタ1は、キャッピング処理後の処理において、複数のノズル313、323、333、343によるインクの不吐出を抑制できる。例えば、キャッピング処理後には、キャッピング状態において、ノズル313、323、333、343内の空気等の不純物を取り除くためのパージが行われる場合がある。CPU81は例えばポンプ(図示略)を駆動してキャップ41~44内を負圧にし、ノズル313、323、333、343内のインクを吸引することでパージを行う。この場合、複数のノズル313、323、333、343によるインクの不吐出が抑制された状態でパージが行われる。よって、プリンタ1はパージの前に第一フラッシング処理と第二フラッシング処理を実行しない場合よりも良好にパージを実行できる。
【0110】
プリンタ1はワイパ711、721、731、741を備える。ワイパ711、721、731、741は、左右方向においてフラッシングボックス51、52とキャップ41~44との間に設けられる。ワイパ711、721、731、741は、それぞれ、ノズル面311、321、331、341に対して左右方向に相対的に移動し、且つノズル面311、321、331、341に接触できる。ノズル列322、342は、左右方向においてノズル列312、332に対して左方に位置する。左方は、フラッシングボックス51、52からキャップ41~44に向かう方向である。CPU81は、印刷処理(S16)を実行する。CPU81は、印刷処理の後、第一移動処理(S21)において、ノズル面311、321、331、341を、ワイパ711、721、731、741に対して左右方向に相対的に移動させ、ノズル列312、322、332、342を、ワイパ711、721、731、741よりも左方に位置させる。CPU81は、第一移動処理の後、ワイパ711、731がノズル面311、331に接触可能な状態で第一ワイピング処理(S23)を実行する。CPU81は第一ワイピング処理において、ノズル面311、321、331、341を、ワイパ711、721、731、741に対して、右方に相対的に移動させ、ノズル列312、332を、上下方向において受部512、522と対向させる。CPU81は、第一ワイピング処理の後、第一フラッシング処理(S25)を実行する。CPU81は、第一フラッシング処理の後、ワイパ721、741がノズル面321、341に接触可能な状態で第二ワイピング処理(S27)を実行する。CPU81は、第二ワイピング処理において、ノズル面311、321、331、341を、ワイパ711、721、731、741に対して右方に相対的に移動させ、ノズル列322、342を、上下方向において受部512、522と対向させる。CPU81は、第二ワイピング処理の後、第二フラッシング処理(S29)を実行する。CPU81は、第二フラッシング処理の後、第二移動処理(S31)において、ノズル面311、321、331、341を、キャップ41~44に対して左方に相対的に移動させ、ノズル列312、322、332、342を上下方向においてキャップ41~44と対向させる。CPU81は、第二移動処理の後、キャッピング処理(S32)を実行する。
【0111】
これによれば、第一ワイピング処理、第一フラッシング処理、第二ワイピング処理、第二フラッシング処理が第一ワイピング処理、第一フラッシング処理、第二ワイピング処理、第二フラッシング処理の順に実行された場合、ノズル面311、321、331、341はフラッシングボックス51、52およびワイパ711、721、731、741に対して右方に相対的に移動する。よって、プリンタ1は、第一ワイピング処理、第一フラッシング処理、第二ワイピング処理、第二フラッシング処理によって、ノズル面311、321、331、341がフラッシングボックス51、52およびワイパ711、721、731、741に対して左右方向に相対的に往復移動する場合に比べて、フラッシングボックス51、52およびワイパ711、721、731、741に対するノズル面311、321、331、341の左右方向における相対的な移動距離を短くできる。
【0112】
プリンタ1はキャップ41~44を備える。キャップ41~44は、左右方向においてフラッシングボックス51、52に対して、プラテン12とは反対側に設けられる。キャップ41~44は、ノズル面311、321、331、341に対して左右方向に相対的に移動し、且つノズル面311、321、331、341に密着できる。ノズル列322、342はノズル列312、332に対して左方に位置する。左方はフラッシングボックス51、52からキャップ41~44に向かう方向である。CPU81は、キャッピング解除処理(S11)において、キャップ41~44によるキャッピング状態を解除する。CPU81は、キャッピング解除処理の後、ノズル列312、332を上下方向において受部512、522と対向させた状態で第一フラッシング処理(S13)を実行し、第一フラッシング処理の後、ノズル列322、342を上下方向において受部512、522と対向させた状態で第二フラッシング処理(S15)を実行する。CPU81は、第二フラッシング処理の後、ノズル列312、322、332、342を、上下方向においてプラテン12と対向させた状態で印刷処理(S16)を実行する。CPU81は、印刷処理において、複数のノズル313、323、333、343から印刷媒体にインクを吐出させる。
【0113】
これによれば、キャップ41~44は左右方向においてフラッシングボックス51、52に対してプラテン12とは反対側に設けられる。ノズル列322、342はノズル列312、332に対して左方に位置する。左方はフラッシングボックス51、52からキャップ41~44に向かう方向である。このため、キャッピング解除処理、第一フラッシング処理、第二フラッシング処理、印刷処理がキャッピング解除処理、第一フラッシング処理、第二フラッシング処理、印刷処理の順に実行された場合、ノズル面311、321、331、341はフラッシングボックス51、52に対して右方に相対的に移動する。よって、プリンタ1は、キャッピング解除処理、第一フラッシング処理、第二フラッシング処理、印刷処理によって、ノズル面311、321、331、341がフラッシングボックス51、52およびワイパ711、721、731、741に対して左右方向に相対的に往復移動する場合に比べて、ノズル面311、321、331、341のフラッシングボックス51、52に対する左右方向における相対的な移動距離を短くできる。
【0114】
CPU81は、第一フラッシング処理において、第一所定時間の間、複数のノズル313、333においてヘッド駆動部301、303に吐出フラッシングを実行させる。CPU81は、第一フラッシング処理において、複数のノズル313、333における吐出フラッシングの開始から第二所定時間の間、複数のノズル323における非吐出フラッシングをヘッド駆動部302に実行させる。第二所定時間の長さは第一所定時間の長さと同じである。
【0115】
これによれば、プリンタ1は、複数のノズル313、333における吐出フラッシングの開始前と終了後に、ノズル323における非吐出フラッシングがヘッド駆動部302によって実行されていない時間が生じることを抑制できる。プリンタ1は、ノズル323における非吐出フラッシングの開始前と終了後に、ノズル313、333における吐出フラッシングがヘッド駆動部302によって実行されていない時間が生じることを抑制できる。このため、プリンタ1は複数のノズル313、333内のインクが乾燥状態になること、および複数のノズル323内のインクが乾燥状態となることを抑制できる。よって、プリンタ1は複数のノズル313、323、333によるインクの不吐出を抑制できる。
【0116】
ノズル面331、341は、複数のノズル333、343からカラーインクを吐出する。ノズル面311、321は、複数のノズル313、323から白インクを吐出する。カラーインクの流動性は白インクの流動性よりも低下しにくい。CPU81は、ノズル列312、332を上下方向において受部512、522と対向させた状態で第一フラッシング処理を実行する。CPU81は、ノズル列322、342を上下方向において受部512、522と対向させた状態で第二フラッシング処理を実行する。CPU81は、第二フラッシング処理において、複数のノズル323、343において吐出フラッシングをヘッド駆動部302、304に実行させ、且つ複数のノズル333の全部において、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部303に実行させない。
【0117】
これによれば、ノズル面321は、ノズル面311によって複数のノズル313から吐出されるインクよりも流動性が低下しにくいインクを、複数のノズル323から吐出する。このため、第二フラッシング処理において、複数のノズル333の全部において、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部303によって実行されなくても、複数のノズル333による不吐出は生じにくい。プリンタ1は、複数のノズル333による不吐出が生じにくい場合に、複数のノズル333において、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部303に実行させないことで、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングによる複数のノズル333への負荷を抑制できる。プリンタ1はヘッド駆動部303への負荷を抑制できる。同様に、CPU81は、第一フラッシング処理において複数のノズル343の全部において、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部304に実行させない。このため、プリンタ1は吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングによる複数のノズル343への負荷を抑制でき、ヘッド駆動部304への負荷を抑制できる。
【0118】
プリンタ1は、ノズル面331、341を備える。ノズル面331にはノズル列332が設けられる。ノズル列332は、複数のノズル313、323が吐出するインクよりも流動性が低下しにくいインクを吐出する。ノズル列332はノズル333が前後方向に複数並んで構成される。ノズル列342は、複数のノズル313、323が吐出するインクよりも流動性が低下しにくいインクを吐出する。ノズル列342はノズル343が前後方向に複数並んで構成される。ノズル列342は、ノズル列332に対して左方に位置する。CPU81は、ノズル列332を、上下方向において受部512、522と対向させた状態で第一フラッシング処理を実行する。CPU81は、第一フラッシング処理において、複数のノズル333において吐出フラッシングをヘッド駆動部303に実行させ、且つ複数のノズル343において、吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部304に実行させない。
【0119】
これによれば、ノズル面331、341は、流動性が低下しにくいインクをノズル333、343から吐出する。このため、第一フラッシング処理において、複数のノズル343の全部において、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部304によって実行されなくても、複数のノズル343による不吐出は生じにくい。プリンタ1は、複数のノズル343による不吐出が生じにくい場合に、複数のノズル343において、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部304に実行させないことで、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングによる複数のノズル343への負荷を抑制できる。プリンタ1はヘッド駆動部304への負荷を抑制できる。同様に、CPU81は、第二フラッシング処理において複数のノズル333の全部において、吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングのいずれもヘッド駆動部303に実行させない。このため、プリンタ1は吐出フラッシングおよび非吐出フラッシングによる複数のノズル333への負荷を抑制でき、ヘッド駆動部303への負荷を抑制できる。
【0120】
上記実施形態において、プリンタ1の下方が本発明の「吐出方向」に相当する。プリンタ1の前後方向が本発明の「副走査方向」に相当する。プリンタ1の左右方向が本発明の「主走査方向」に相当する。プリンタ1の左方が本発明の「第一方向」に相当する。プリンタ1の右方が本発明の「第二方向」に相当する。
【0121】
ノズル313、323、333、343が本発明の「ノズル」に相当する。受部512、522が本発明の「受部」に相当する。フラッシングボックス51、52が本発明の「フラッシング受部材」に相当する。キャップ41~44が本発明の「キャップ」に相当する。プラテン12が本発明の「プラテン」に相当する。ワイパ711、721、731、741が本発明の「ワイパ」に相当する。ヘッド駆動部301、302、303、304が本発明の「駆動部」に相当する。CPU81が本発明の「制御部」と「コンピュータ」に相当する。
【0122】
キャリッジ6がキャップ位置に位置するときのノズル列312、322、332、342の位置が本発明の「キャップ位置」に相当する。キャリッジ6が折返位置に位置する場合のヘッド3の位置が本発明の「所定位置」に相当する。吐出フラッシングが本発明の「吐出駆動」に相当する。非吐出フラッシングが本発明の「非吐出駆動」に相当する。第一所定時間と第二所定時間が本発明の「所定時間」に相当する。図6のS16の処理が本発明の「印刷処理」に相当する。
【0123】
図6のS32の処理が本発明の「キャッピング処理」に相当する。図6のS21の処理が本発明の「第一移動処理」に相当する。図6のS23の処理が本発明の「第一ワイピング処理」に相当する。図6のS27の処理が本発明の「第二ワイピング処理」に相当する。図6のS31の処理が本発明の「第二移動処理」に相当する。図6のS11の処理が本発明の「キャッピング解除処理」に相当する。
【0124】
ノズル列312、332の一方またはノズル列322、342の一方が本発明の「第一ノズル列」に相当する。ノズル面311、331の一方またはノズル面321、341の一方が本発明の「第一ノズル面」に相当する。ノズル列312、332の他方またはノズル列322、342の他方が本発明の「第二ノズル列」に相当する。ノズル面321、331の他方またはノズル面321、341の他方が本発明の「第二ノズル面」に相当する。ノズル列332、342の一方が本発明の「第三ノズル列」に相当する。ノズル面331、341の一方が本発明の「第三ノズル面」に相当する。ノズル列332、342の他方が本発明の「第四ノズル列」に相当する。ノズル面331、341の他方が本発明の「第四ノズル面」に相当する。
【0125】
図6のS13とS15の一方の処理またはS25とS29の一方の処理が本発明の「第一フラッシング処理」に相当する。図6のS13とS15の他方の処理またはS25とS29の他方の処理が本発明の「第二フラッシング処理」と「第三フラッシング処理」に相当する。図6のS13、S15、S25、またはS29の処理が本発明の「第四フラッシング処理」に相当する。
【0126】
本発明は上記実施形態から変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限りそれぞれ組み合わせ可能である。例えばプリンタ1は複数のヘッド3の配置位置を適宜変更できる。図17を参照し、複数のヘッド3の配置位置の変形例を説明する。以下では、上記実施形態と同等の機能を有する部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0127】
プリンタ1は図3に示すキャリッジ6の代わりにキャリッジ6Aを備える。キャリッジ6Aには複数のヘッド3として白ヘッド31A、32A、カラーヘッド33A、34Aが設けられる。白ヘッド31Aはキャリッジ6Aの右後部に位置し、複数のノズル313から白インクを吐出する。白ヘッド32Aは白ヘッド31Aの左斜め前方に位置し、複数のノズル323から白インクを吐出する。
【0128】
カラーヘッド33Aは白ヘッド32Aよりも左方に位置し、前後方向において白ヘッド31Aと同じ位置に位置する。カラーヘッド33Aは複数のノズル333からカラーインクを吐出する。カラーヘッド34Aはカラーヘッド33Aよりも左方に位置し、前後方向において白ヘッド32Aと同じ位置に位置する。カラーヘッド34Aは複数のノズル343からカラーインクを吐出する。この場合、プリンタ1はフラッシングボックス51、52のうち例えばフラッシングボックス51のみを備えてもよい。この場合、受部512の幅D2はノズル列312Rにおける左右方向の中心とノズル列342Lにおける左右方向の中心との左右方向の間隔D4よりも小さければよい。
【0129】
上記複数のヘッド3の配置位置の変形例において、メイン処理の一部を説明する。CPU81はS11の処理の後からS16の処理の前またはS16の処理の後からS32の処理の前に、白ヘッド31Aにおいて複数のノズル列312が受部512と上下方向に対向する位置に、キャリッジ6Aを移動させる。CPU81は白ヘッド31Aにおいて複数のノズル列312が受部512と上下方向に対向した状態で白ヘッド31Aに吐出フラッシングを実行させ、白ヘッド32Aに非吐出フラッシングを実行させ、且つカラーヘッド33A、34Aに吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させない。なお、CPU81はカラーヘッド33A、34Aに非吐出フラッシングを実行させてもよい。
【0130】
CPU81はS11の処理の後からS16の処理の前またはS16の処理の後からS32の処理の前に、白ヘッド32Aにおいて複数のノズル列322が受部512と上下方向に対向する位置に、キャリッジ6Aを移動させる。CPU81は白ヘッド32Aにおいて複数のノズル列322が受部512と上下方向に対向した状態で白ヘッド32Aに吐出フラッシングを実行させ、白ヘッド31Aに非吐出フラッシングを実行させ、且つカラーヘッド33A、34Aに吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させない。なお、CPU81はカラーヘッド33A、34Aに非吐出フラッシングを実行させてもよい。
【0131】
CPU81はS11の処理の後からS16の処理の前またはS16の処理の後からS32の処理の前に、カラーヘッド33Aにおいて複数のノズル列332が受部512と上下方向に対向する位置に、キャリッジ6Aを移動させる。CPU81はカラーヘッド33Aにおいて複数のノズル列332が受部512と上下方向に対向した状態でカラーヘッド33Aに吐出フラッシングを実行させ、白ヘッド31A、32Aに非吐出フラッシングを実行させ、且つカラーヘッド34Aに吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させない。なお、CPU81はカラーヘッド34Aに非吐出フラッシングを実行させてもよい。CPU81は白ヘッド31A、32Aの一方または両方に非吐出フラッシングを実行させなくてもよい。
【0132】
CPU81はS11の処理の後からS16の処理の前またはS16の処理の後からS32の処理の前に、カラーヘッド34Aにおいて複数のノズル列342が受部512と上下方向に対向する位置に、キャリッジ6Aを移動させる。CPU81はカラーヘッド34Aにおいて複数のノズル列342が受部512と上下方向に対向した状態でカラーヘッド34Aに吐出フラッシングを実行させ、白ヘッド31A、32Aに非吐出フラッシングを実行させ、且つカラーヘッド33Aに吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させない。なお、CPU81はカラーヘッド33Aに非吐出フラッシングを実行させてもよい。CPU81は白ヘッド31A、32Aの一方または両方に非吐出フラッシングを実行させなくてもよい
【0133】
以下では、その他の変形例を説明する。プリンタ1は5つ以上のヘッド3を備えてもよい。3つ以上のヘッド3が左右方向に並んでもよい。この場合、CPU81は、それぞれのヘッド3が受部512と対向した状態でそれぞれのヘッド3に吐出フラッシングを実行させ、且つ他のヘッド3に非吐出フラッシングを実行させてもよい。プリンタ1は2つまたは3つのヘッド3を備えてもよく、例えば白ヘッド31とカラーヘッド33の一方を省略してもよいし、白ヘッド32とカラーヘッド34の一方を省略してもよい。例えばプリンタ1はカラーヘッド33、34を省略し、白ヘッド31、32を備えてもよい。この場合、白ヘッド32は白ヘッド31に対して左方に位置し、左右方向において白ヘッド31の一部と重なる。なお、白ヘッド32は左右方向において白ヘッド31と重ならなくてもよい。例えばプリンタ1は白ヘッド31とカラーヘッド34を省略し、白ヘッド32とカラーヘッド33を備えてもよい。この場合、白ヘッド32はカラーヘッド33に対して左方に位置し、カラーヘッド33に対して後方に位置する。つまり、白ヘッド32は左右方向においてカラーヘッド33と重ならない。なお、白ヘッド32は左右方向においてカラーヘッド33と重なってもよい。この場合、第一フラッシング処理では、CPU81はカラーヘッド33に吐出フラッシングを実行させ、且つ白ヘッド32に非吐出フラッシングを実行させてもよい。さらに、第二フラッシング処理では、CPU81は白ヘッド32に吐出フラッシングを実行させ、且つカラーヘッド33に吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させなくてもよい。
【0134】
複数のヘッド3はそれぞれ別のキャリッジに設けられてもよい。例えば白ヘッド31、32は一のキャリッジに設けられ、カラーヘッド33、34は他のキャリッジに設けられてもよい。ノズル面311、321、331、341の一部または全部は1つのヘッド3に設けられてもよい。つまり、ヘッド3の個数は1つであってもよい。例えばノズル面311とノズル面321が1つのヘッド3に設けられてもよし、ノズル面311とノズル面331が1つのヘッド3に設けられてもよい。ノズル面311、321、331、341には、それぞれ、一列のノズル列312、322、332、342が設けられてもよい。
【0135】
第一フラッシング処理では、CPU81は白ヘッド31に対して複数のノズル313の一部に吐出フラッシングを実行させてもよいし、白ヘッド32に対して複数のノズル323の一部に非吐出フラッシングを実行させてもよいし、カラーヘッド33に対して複数のノズル333の一部に吐出フラッシングを実行させてもよいし、カラーヘッド34に対して複数のノズル343の少なくともいずれかに非吐出フラッシングを実行させてもよい。
【0136】
第二フラッシング処理では、CPU81は白ヘッド32において複数のノズル323の一部に吐出フラッシングを実行させてもよいし、白ヘッド31において複数のノズル313の一部に非吐出フラッシングを実行させてもよいし、カラーヘッド34において複数のノズル343の一部に吐出フラッシングを実行させてもよいし、カラーヘッド33において複数のノズル333の少なくともいずれかに非吐出フラッシングを実行させてもよい。
【0137】
カラーインクの流動性は白インクの流動性よりも低下しにくくてもよいし、白インクの流動性と同程度の低下のしやすさであってもよい。例えばカラーインクの流動性が白インクの流動性よりも低下しにくい場合、第一フラッシング処理では、CPU81は白ヘッド32に吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させず、且つカラーヘッド34に非吐出フラッシングを実行させてもよい。さらに、第二フラッシング処理では、CPU81は白ヘッド31に吐出フラッシングと非吐出フラッシングのいずれも実行させず、且つカラーヘッド33に非吐出フラッシングを実行させてもよい。
【0138】
第二所定時間は第一所定時間よりも長くてもよいし、短くてもよい。第一フラッシング処理または第二フラッシング処理において、吐出フラッシングが開始されるタイミングと非吐出フラッシングが開始されるタイミングは同時でなくてもよい。第一フラッシング処理または第二フラッシング処理において、吐出フラッシングが終了されるタイミングと非吐出フラッシングが終了されるタイミングは同時でなくてもよい。
【0139】
S12、S14、S21、S27の一部または全部では、CPU81はキャリッジ6を停止させなくてもよい。例えばS12、S14でキャリッジ6を停止させない場合、CPU81はキャリッジ6に対して第一フラッシング位置または第二フラッシング位置を移動させながら第一フラッシング処理(S13)と第二フラッシング処理(S15)を行ってもよい。
【0140】
S21において、CPU81はキャリッジ6をキャップ位置まで移動させてもよい。CPU81は印刷制御の前において、第二フラッシング処理(S15)を実行した後、第一フラッシング処理(S13)を実行してもよい。CPU81は印刷制御の後において、第二フラッシング処理(S29)を実行した後、第一フラッシング処理(S25)を実行してもよい。CPU81は第一フラッシング処理(S13)と第二フラッシング処理(S15)の一方を省略してもよい。CPU81は第一フラッシング処理(S25)と第二フラッシング処理(S29)の一方を省略してもよい。第一フラッシング処理(S13)と第二フラッシング処理(S15)を印刷前フラッシング処理という。第一フラッシング処理(S25)と第二フラッシング処理(S29)を印刷後フラッシング処理という、CPU81は印刷前フラッシング処理と印刷後フラッシング処理の一方を省略してもよい。例えばCPU81は印刷前フラッシング処理と印刷後フラッシング処理のうち少なくとも印刷前フラッシング処理を実行することが好ましい。また、CPU81は、印刷の途中に、第一フラッシング処理と第二フラッシング処理を実行してもよい。この場合、プリンタ1は少なくとも印刷制御中のインクの不吐出を抑制し、印刷画像の画質の悪化を抑制できる。
【0141】
プリンタ1は給紙カセットと搬送部材を備え、媒体支持部を印刷領域18においてキャリッジ6よりも下方に固定してもよい。給紙カセットには印刷媒体として用紙が複数セットされる。搬送部材は例えばローラである。この場合、プリンタ1は搬送部材を回転させることで、用紙を給紙カセットから媒体支持部上に搬送する。プリンタ1は媒体支持部上に搬送された用紙に対し、ヘッド3による印刷を行う。この場合、媒体支持部が本発明の「プラテン」に相当する。
【0142】
プリンタ1は媒体保持部と搬送部材を備え、媒体支持部を印刷領域18においてキャリッジ6よりも下方に固定してもよい。媒体保持部は媒体ロールまたはファンフォールド紙を保持する。媒体ロールは印刷媒体として用紙がロール状につながって構成される。搬送部材は例えばローラである。この場合、プリンタ1は媒体ロールまたはファンフォールド紙から印刷媒体として用紙を引き出して媒体支持部上に搬送する。プリンタ1は媒体支持部上に搬送された用紙に対し、ヘッド3による印刷を行う。この場合、媒体支持部が本発明の「プラテン」に相当する。
【0143】
ヘッド3とプラテン12のそれぞれの移動機構は上記実施形態に限定されない。例えばヘッド3とプラテン12は、それぞれ、ローラ、ボールねじ等の移動機構によって移動してもよい。ヘッド3はラインヘッドでもよい。ヘッド3がフラッシングボックス51、52とキャップ41~44とワイパ711、721、731、741とプラテン12に対して左右方向に相対的に移動可能であればよい。つまり、キャリッジ6が枠体2に対して固定され、フラッシングボックス51、52とキャップ41~44とワイパ711、721、731、741とプラテン12が左右方向に移動可能に構成されてもよい。プラテン12が左右方向に移動可能な場合、フラッシングボックス51、52とキャップ41~44とワイパ711、721、731、741とプラテン12の一部、例えばフラッシングボックス51、52が左右方向に移動可能に構成されてもよい。
【0144】
ワイパ711、721、731、741は、それぞれ、例えば上下方向に移動することで、ノズル面311、321、331、341に接触可能な位置と、ノズル面311、321、331、341から下方に離れた位置に移動してもよい。ワイパ711、721、731、741は、それぞれ、ノズル面311、321、331、341に接触可能な位置に固定されていてもよい。ワイパ711、721、731、741の一部または全部は共通化されてもよい。例えば、ワイパ711、721は、一つのワイパによって構成されてもよいし、ワイパ711、731は一つのワイパによって構成されてもよい。
【0145】
フラッシングボックス51、52は一つのフラッシングボックスによって構成されてもよい。つまり、受部512、522は互いにつながっていてもよい。左右方向において、受部512の幅D2はノズル列最大間隔D1よりも小さければ、ノズル列最小間隔D3よりも大きくてもよい。
【0146】
フラッシングボックス51、52の形状は上記実施形態に限定されない。例えばプリンタ1はフラッシングボックス51、52に代えて、板を備えてもよい。板は非印刷領域19においてワイパ機構71、72の右側で前後左右方向に延びる。この場合、板の上面が受部512、522を形成する。
【0147】
プリンタ1は、左右方向において、フラッシングボックス51とキャップ41、42とワイパ711、721とプラテン12の配置位置を適宜変更できる。例えば、フラッシングボックス51はキャップ41、42よりも左方に位置してもよいし、左右方向においてワイパ711、721とキャップ41、42との間に位置してもよいし、プラテン12よりも右方に位置してもよい。キャップ41、42とワイパ711、721の一方または両方はプラテン12よりも右方に位置してもよい。ワイパ711、721はキャップ41、42よりも左方に位置してもよい。プリンタ1は、左右方向において、フラッシングボックス52とキャップ43、44とワイパ731、741とプラテン12の配置位置も同様に適宜変更できる。
【0148】
上記実施形態において、ヘッド3から吐出されるインクの色の種類は上記実施形態に限定されない。プリンタ1はヘッド3から透明なインクを吐出してもよいし、前処理剤、後処理剤等を吐出してもよい。前処理剤はインクの一種であり、例えばベースコート剤である。前処理剤は白インクによる下地が形成される前に印刷媒体上に吐出される。前処理剤は印刷媒体への白インクの定着およびカラーインクの発色を向上させる。後処理剤はコーティング剤であり、カラーインクによるカラー画像上に吐出される。後処理剤はカラー画像を保護し、カラー画像の光沢性を向上させる。前処理剤および後処理剤は例えばカチオン系高分子、多価金属塩を含む水溶液である。この場合、前処理剤と後処理剤は本発明の「インク」に相当する。
【0149】
CPU81の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM82、フラッシュメモリ84等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM82またはフラッシュメモリ84に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0150】
1 プリンタ
12 プラテン
41~44 キャップ
51、52 フラッシングボックス
81 CPU
311、321、331、341 ノズル面
312、322、332、342 ノズル列
313、323、333、343 ノズル
512、522 受部
711、721、731、741 ワイパ
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