(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184176
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】焚き火台
(51)【国際特許分類】
F24B 13/02 20060101AFI20221206BHJP
F24B 1/193 20060101ALI20221206BHJP
F24C 1/16 20210101ALI20221206BHJP
【FI】
F24B13/02
F24B1/193
F24C1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091867
(22)【出願日】2021-05-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521039460
【氏名又は名称】株式会社小沢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】小沢 昌治
(57)【要約】
【課題】炭受けの着脱を容易にすること
【解決手段】焚き火台本体1が備える焚き火台用パーツ1aは、第1の孔部1a11と、第1の孔部1a11に連続して設けられ第1の孔部1a11よりも径の小さい第2の孔部1a12とを有する。そして、受け板2は、焚き火台本体1の底部を覆う本体部21と、本体部21から突出し焚き火台用パーツ1aの第1の孔部1a11に挿入された後に回動することにより挿入方向と逆方向への移動が規制され孔部1a12の底部により支持される基端部22aと、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼対象物を取り囲む斜面を形成する焚き火台本体と、前記焚き火台本体の底面を覆い前記燃焼対象物を支持する板状の受け部とを有し、
前記焚き火台本体は、前記受け部の一部が挿入されるスリットと、前記受け部の一部を支持する支持部とが一体的に形成され、
前記受け部は、平面視で前記焚き火台本体の底部を覆う本体部と、前記本体部から突出し前記スリットに挿入された後に回動することにより挿入方向と逆方向への移動が規制され前記支持部により支持される被支持部とを有する、
ことを特徴とする焚き火台。
【請求項2】
前記被支持部は、前記本体部から突出する基端部と、前記第1の部位よりも先端側に配置され前記基端部の幅よりも大きな幅を備える先端部とを有し、
前記先端部が前記スリットを通過した後に前記本体部が回動可能となり、前記本体部が回動すると前記支持部より前記先端部の挿入方向と逆方向への移動が規制され、前記基端部が前記支持部によって支持される請求項1に記載の焚き火台。
【請求項3】
前記支持部は同一平面上に複数配置され、
前記受け部は、複数配置される前記支持部それぞれに対応する箇所に形成され前記支持部により支持される被支持部をさらに有する請求項1または2に記載の焚き火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焚き火台に関する。
【背景技術】
【0002】
組み立て式の焚き火台が知られている。例えば、ほぼ台形の4枚の側板と、ほぼ正方形の底板とを、四角錐台に組み立てて倒立させた形状で、少なくとも1枚の側板の対向する平行な辺の短い方の近傍には通気用開口部が設けられ、底板の上部に底板と一定の距離をおいてほぼ平行に設置され、複数の通気用貫通孔を有する2枚の火床板を有する焚き火台が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
焚き火台の中央部に炭受けを配置する場合がある。炭が燃え尽きて廃棄する場合に焚き火台を傾けて炭を廃棄しようとすると炭受けも同時に落下してしまうという場合がある。 他方、炭受けを焚き火台本体に固定すると焚き火台本体を分解する際に邪魔になるという問題がある。
1つの側面では、本発明は、炭受けの着脱を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の焚き火台が提供される。この焚き火台は、燃焼対象物を取り囲む斜面を形成する焚き火台本体と、焚き火台本体の底面を覆い燃焼対象物を支持する板状の受け部とを有し、焚き火台本体は、受け部の一部が挿入されるスリットと、受け部の一部を支持する支持部とが一体的に形成され、受け部は、平面視で焚き火台本体の底部を覆う本体部と、本体部から突出しスリットに挿入された後に回動することにより挿入方向と逆方向への移動が規制され支持部により支持される被支持部とを有している。
【発明の効果】
【0006】
1態様では、炭受けの着脱を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】焚き火台から受け板を取り外した状態を示す図である。
【
図10】突出部と嵌合部の嵌合方法を説明する図である。
【
図14】焚き火台用パーツを4つ使用して焚き火台を形成した例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の焚き火台を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
以下の説明では紙面上方向を「上」、紙面下方向を「下」と言う。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の焚き火台を示す図である。
実施の形態の焚き火台100は、焚き火台本体1と、受け板(炭受け部)2とを有している。
【0010】
焚き火台本体1は、燃焼対象物(薪や炭等)を取り囲む斜面を形成している。焚き火台本体1は、それぞれ同一の形状をなす複数の焚き火台用パーツ1a、1b、1c、1d、1eが組合せられて形成されている。
受け板2は焚き火台本体1から着脱可能である。
この焚き火台100の受け板2の上部に燃焼対象物を設置し火をおこすことができる。
図2は、焚き火台から受け板を取り外した状態を示す図である。
【0011】
焚き火台用パーツ1a~1eには、それぞれ孔部1a1~1e1が設けられている。焚き火台用パーツ1a、1b、1c、1d、1eを組み合わせることにより、孔部1a1~1e1は、焚き火台本体1の底部10近傍に配置される。
図3は、孔部を説明する図である。
図3では孔部1a1を説明するが、孔部1b1~1e1についても孔部1a1と同様の構造である。
孔部1a1には、第1の孔部1a11と、第2の孔部1a12とが一体的に設けられている。
【0012】
第1の孔部1a11はスリット状であり、受け板2の板厚に対応して設けられている。第1の孔部1a11の幅(
図3中、左右方向の長さ)は、受け板2の板厚より若干大きく形成されている。
第2の孔部1a12は、支持部の一例である。
【0013】
第1の孔部1a11と第2の孔部1a12は、孔の一部を共有している。孔部1a1において、点線で示した部分が、第1の孔部1a11と第2の孔部1a12との共有部分である。また、第1の孔部1a11の長手方向の長さh1は、第2の孔部1a12の長手方向の長さh2よりも長く形成されている(第2の孔部1a12は、第1の孔部1a11よりも径が小さい)。なお、以降の説明で使用する第1の孔部1a12の短辺の長さh3を規定する。
なお、本実施の形態では、第2の孔部1a12の形状は矩形としたが、三角形状であってもよい。
図4は、受け板を説明する図である。
受け板2は、本体部21と、係合部22と、複数の被支持部23とを有している。
【0014】
本体部21は、平面視で焚き火台本体1の底部10を覆う。
図4に示すように、本体部21には主に風通しを良くする目的で複数の円形の貫通孔が設けられるのが好ましい。貫通孔の大きさ、形状、数は特に限定されない。
【0015】
係合部22は、本体部21から突出する基端部(被支持部)22aと、基端部22aの先端側に設けられ基端部22aの幅よりも大きな幅を備える先端部22bとを有している。本実施の形態では、先端部22bの幅h4は、前述した長さh1よりも若干大きく形成されている。なお、基端部22aの幅h5は、前述した長さh3よりも小さく形成されている。
【0016】
被支持部23は、本体部21から突出し、複数個組み合わせられた焚き火台用パーツ1a~1eの第2の孔部それぞれに対応する箇所に配置され、第2の孔部により支持される。
【0017】
図5~
図7は、受け板の取り付けを説明する図である。なお、
図5~
図7は説明を分かりやすくするために、孔部以外の一部の表記を省略したり、焚き火台用パーツ1a~1eの形状をデフォルメしたりしている。
図5に示すように、利用者は、受け板2を把持して焚き火台本体1のいずれかの孔部(
図5では孔部1a1)に先端部22bを若干斜めにして差し込む。
【0018】
前述したように、幅h5は、長さh3よりも小さく形成されている。このため、
図6に示すように、先端部22bが第1の孔部1a11を通過した後に利用者が基端部22aを少し
図6中、下方向に下げると、基端部22aが第2の孔部1a12にひっかかることなく本体部21を90°回転させることができる。
【0019】
図7に示すように、本体部21が回動すると第2の孔部1a12により先端部22bの挿入方向と逆方向への移動が規制される。また、基端部22aは、孔部1a12の底部により支持される。利用者は被支持部23をそれぞれ焚き火台用パーツ1b~1eの各第2の孔部に設置することにより、受け板2が焚き火台本体1によって支持される。
再び
図1に戻って説明する。
【0020】
焚き火台用パーツ1a~1eは、組み合わせられた状態でも後述する連結部分に遊びが設けられており、多少の地面の段差や傾きにも対応することができる。従って傾斜があったり段差があったりするような地面においても焚き火台100に設置される受け板2を水平に近づけることができる。
【0021】
以下の説明では、焚き火台用パーツ1aの構造および機能について説明するが、焚き火台用パーツ1b~1eの構造および機能についても焚き火台用パーツ1aと同様である。
図8は、焚き火台用パーツの正面図を示す図であり、
図9は焚き火台用パーツの背面図を示す図である。
焚き火台用パーツ1aは、1枚の板(例えば板厚1mm)から一体成形され、菱形のような形状をなしている。
焚き火台用パーツ1aは、基部11と、突出部12、12と、設置部13と、嵌合部14、14と、棒状体設置部15とを有している。
【0022】
基部11は、焚き火台用パーツ1aを2つに区分けするために説明の便宜上設けた点線T1を挟んで右上の部分である。基部11は、板状をなし、孔部1a1に加え、複数のスリット111が配置されている。スリット111は、例えば空気を取り込むために設けられている。スリット111の数や形状、および配置位置は任意である。スリット111は省略することもできる。
【0023】
突出部12は、第1の突出部の一例である。本実施の形態では突出部12は、基部11の辺112に沿って2つ配置されている。なお、突出部12の数は図示のものに限定されないが、突出部12の数が1つより2つの方が焚き火台100が安定し、突出部12の数が3つ以上より2つの方が組み立てやすい。
【0024】
設置部13は、点線T1を挟んで左下の部分である。設置部13は、本実施の形態では基部11と一体的に設けられており、直接地面に設置される。なお、設置部13は図示しない別個の物体を介して地面に設置されてもよい。また、本実施の形態の設置部13には、例えば軽量化を図るため複数の開口部131が配置されている。開口部131の数や形状、および配置位置は任意である。開口部131は省略することもできる。
嵌合部14は、第1の嵌合部の一例である。
図1では嵌合部14は、焚き火台用パーツ1bの突出部と嵌合している。
棒状体設置部15には、棒状体(例えばバーベキュー串等)を設置することができる。
図10は、突出部と嵌合部の嵌合方法を説明する図である。
【0025】
図10に示すように、本実施の形態では突出部12は、基部11に対し35度傾斜している。この傾斜角度は、任意に調整することができる。35度程度に傾斜させることにより、焚き火台100を組立て易くなる。また、この傾斜角度を大きくすることにより、焚き火台100の薪や炭を設置する箇所の深さを深くすることができる。
【0026】
突出部12は、半球状のダボ121と板状の鈎部122とを備えている。焚き火台用パーツ1bの嵌合部14には、突出部12に対応する形状の開口部141が配置されている。開口部141の上下方向の長さは、突出部12の長さよりも長く形成されている。また、開口部141の幅は、前述した板厚が1mmの場合2mm程度であるのが好ましい。
【0027】
開口部141にはダボ121および鈎部122が挿通する部位と、ダボ121および鈎部122が挿通した後に開口部141内を移動(スライド)できる部位が形成されている。スライドにより鈎部122が開口部141の下端部と当接することで突出部12と嵌合部14とが連結され突出部12が開口部141から離脱することを抑制することができる。
図11および
図12は、遊びを説明する図である。
【0028】
前述したように、突出部12は、基部11に対し35度傾斜している。これにより、焚き火台用パーツ1aの突出部12、12が焚き火台用パーツ1bの嵌合部14、14と嵌合しているとき、突出部12、12が基部11の辺112を軸として回動できる遊びが形成される。突出部12の基部に対する角度を調整することにより、遊びの幅を調整することができる。
【0029】
図11は、焚き火台用パーツ1aに焚き火台用パーツ1bを嵌合させた状態で焚き火台用パーツ1aの突出部12、12を基部11の辺112を軸として時計回りに回動させたときの位置を示している。また、
図12は、焚き火台用パーツ1aに焚き火台用パーツ1bを嵌合させた状態で焚き火台用パーツ1aの突出部12、12を基部11の辺112を軸として反時計回りに回動させたときの位置を示している。遊びを設けることで、焚き火台100を組み立てた状態で各焚き火台用パーツ1a~1eの各設置部13が可動可能となる。従って、不安定な場所に焚き火台100を設置した場合、遊びが全くない場合に比べて焚き火台100を水平に近づけることができる。
【0030】
焚き火台100を組み立てる際には、利用者は、各焚き火台用パーツ1a~1eの突出部12、12を他の焚き火台用パーツ1a~1eの嵌合部14、14の開口部141に挿入してスライドさせて鈎部122を開口部141の下端部に当接させる。これにより、
図1に示すように、自立する焚き火台100が形成される。
【0031】
ダボ121を設けることにより、突出部12が開口部141からより外れにくくなる。従って、組み立ての際に、一度組み立てた箇所が抜けにくく、また、組み立てられた焚き火台100において突出部12が回動したときも開口部141からの離脱を抑制することができる。
【0032】
以上述べたように、実施の形態の焚き火台100は、焚き火台本体1と受け板2とを有している。そして、焚き火台本体1が備える焚き火台用パーツ1aは、第1の孔部1a11と、第1の孔部1a11に連続して設けられ第1の孔部1a11よりも径の小さい第2の孔部1a12とを有する(焚き火台用パーツ1b~1eも同様である)。そして、受け板2は、焚き火台本体1の底部10を覆う本体部21と、本体部21から突出し焚き火台用パーツ1aの第1の孔部1a11に挿入された後に回動することにより挿入方向と逆方向への移動が規制され孔部1a12の底部により支持される基端部22aと、を備える。
これにより、受け板2の着脱を容易にすることができる。また、炭の廃棄時にも受け板2が炭と同時に落下してしまうことを抑制できる。
図13は、焚き火台用パーツを重ねた図である。
【0033】
焚き火台用パーツ1a~1eはそれぞれ取り外しが可能であり、かつ、平板状の同一形状をなしているため、焚き火台用パーツを重ねることでコンパクトに収納することができる。また、受け板2も平板状であるため、これらをまとめてコンパクトに収納することができる。
<変形例>
図14は、焚き火台用パーツを4つ使用して焚き火台を形成した例である。
【0034】
図14に示すように、4つの焚き火台用パーツ1a~1dを使用した焚き火台100aを形成することもできる。焚き火台100aは、薪や炭を設置する箇所の深さが焚き火台100よりも深くなる。この場合、受け板の本体部の形状も矩形に近いものとなる。
このように、使用する焚き火台用パーツの数は5つに限定されない。
【0035】
以上、本発明の焚き火台を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1a~1e 焚き火台用パーツ
1a1 孔部
1a11 第1の孔部
1a12 第2の孔部
11 基部
111 スリット
112 辺
12 突出部
121 ダボ
122 鈎部
13 設置部
131 開口部
14 嵌合部
141 開口部
2 受け板
21 本体部
22 係合部
22a 基端部
22b 先端部
23 被支持部
100、100a 焚き火台
【手続補正書】
【提出日】2022-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼対象物を取り囲む斜面を形成する焚き火台本体と、前記焚き火台本体の底面を覆い前記燃焼対象物を支持する板状の受け部とを有し、
前記焚き火台本体は、前記受け部の一部が挿入される第1の孔部と、前記受け部の一部を支持する第2の孔部とが一体的に形成され、
前記受け部は、平面視で前記焚き火台本体の底部を覆う本体部と、前記本体部から突出し前記第1の孔部に挿入された後に回動することにより挿入方向と逆方向への移動が規制され前記第2の孔部により支持される係合部とを有する、
ことを特徴とする焚き火台。
【請求項2】
前記係合部は、前記本体部から突出する基端部と、前記基端部よりも先端側に配置され前記基端部の幅よりも大きな幅を備える先端部とを有し、
前記先端部が前記第1の孔部を通過した後に前記本体部が回動可能となり、前記本体部が回動すると前記第2の孔部より前記先端部の挿入方向と逆方向への移動が規制され、前記基端部が前記第2の孔部によって支持される請求項1に記載の焚き火台。
【請求項3】
前記第2の孔部は同一平面上に複数配置され、
前記受け部は、複数配置される前記第2の孔部それぞれに対応する箇所に形成され前記第2の孔部により支持される被支持部をさらに有する請求項1または2に記載の焚き火台。