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特開2022-184182電力供給システムおよび電力管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184182
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電力供給システムおよび電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20221206BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20221206BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20221206BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20221206BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20221206BHJP
【FI】
H02J3/00 180
H02J3/32
H02J13/00 311A
H02J7/34 A
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091875
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 兵衛
(72)【発明者】
【氏名】冨田 公平
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB06
5G064CB11
5G064DA03
5G064DA11
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与できる技術を提供する。
【解決手段】電力系統と連系し、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムであって、複数の電力供給先の内の少なくとも一つの電力供給先に設けられ、電力系統から供給された供給電力を可搬型蓄電池への充電電力に変換するとともに、可搬型蓄電池の余剰電力を変換し電力系統に出力する電力変換器と、電力変換器に可搬型蓄電池が接続されたときに、電力系統から電力変換器に供給される供給電力を計測し、または、電力変換器から電力系統に出力される変換後の余剰電力を計測する電力計測器と、電力計測器で計測された電力値に基づいて、可搬型蓄電池の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出する管理装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と連系し、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムであって、
前記複数の電力供給先の内の少なくとも一つの電力供給先に設けられ、前記電力系統から供給された供給電力を可搬型蓄電池への充電電力に変換するとともに、前記可搬型蓄電池の余剰電力を変換し前記電力系統に出力する電力変換器と、
前記電力変換器に可搬型蓄電池が接続されたときに、前記電力系統から前記電力変換器に供給される供給電力を計測し、または、前記電力変換器から前記電力系統に出力される変換後の余剰電力を計測する電力計測器と、
前記電力計測器で計測された電力値に基づいて、前記可搬型蓄電池の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出する管理装置と、
を備えることを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記電力変換器を利用する以前に、前記電力変換器の利用に係る可搬型蓄電池に対して該可搬型蓄電池を識別する蓄電池IDを発行するとともに、前記可搬型蓄電池に発行された蓄電池IDを登録する、ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記管理装置は、可搬型蓄電池を前記電力変換器に接続するときに、該可搬型蓄電池に発行された蓄電池IDに基づいて認証を行うとともに、前記認証された可搬型蓄電池の蓄電池IDを登録する、ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記電力変換器を備える他の複合施設との間で、前記可搬型蓄電池に発行された蓄電池IDを共有するとともに、前記共有された蓄電池IDに基づいて前記他の複合施設の備える電力変換器の利用を可能とする、ことを特徴とする請求項2または3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記管理装置は、災害時における特別料金プランを有し、前記災害時の可搬型蓄電池の利用に関し、前記特別料金プランと前記電力計測器で計測された電力値に基づいて、請求料金および還元料金を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項6】
電力系統と連系し、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムの管理装置が実行する電力管理方法であって、
前記電力供給システムは、
前記複数の電力供給先の内の少なくとも一つの電力供給先に設けられ、前記電力系統から供給された供給電力を可搬型蓄電池への充電電力に変換するとともに、前記可搬型蓄電池の余剰電力を変換し前記電力系統に出力する電力変換器と、
前記電力変換器に可搬型蓄電池が接続されたときに、前記電力系統から前記電力変換器に供給される供給電力を計測し、または、前記電力変換器から前記電力系統に出力される変換後の余剰電力を計測する電力計測器と、を備え、
前記管理装置に、前記電力計測器で計測された電力値に基づいて、前記可搬型蓄電池の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出させる、
ことを特徴とする電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システム及び、当該電力供給システムを用いた電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電池や太陽電池等の分散型電源を備え、商用電力系統とも連系する電力供給システムが普及している。その中で、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムとして、高圧一括受電契約に必要な電力未満の電力で低圧一括受電契約を行う複合需要家施設における電力供給システムであって、系統から電力の供給を受ける一括受電盤と、複合需要家施設による消費電力量を測定する上位メータ装置、一括受電盤で受電された電力を複合需要家施設内の複数の需要家施設に供給する分電盤と、複数の需要家施設に電力を供給可能な分散型電源と、を有するものが公知である。
【0003】
このような電力供給システムは、一括受電を行うときに電気料金の低減を実現するためのものである。しかしながら、上記のシステムにおいては、電気料金の低減は、必ずしも、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に分散型電源による自家発電の利益を供与できるものではなかった。例えば、複合施設における居住者がEV(Electric Vehicle)やPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の可搬型蓄電池を利用する場合には、当該可搬型電池の受電と売電量を計測し、利用者との間に紐づけて清算する仕組みがない。このため、可搬型蓄電池の利用におけるサービスの利便性や経済性に課題を残していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-187451号公報
【特許文献2】国際公開2014/123456号
【特許文献3】特開2016-119737号公報(特許第6436759号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システム及び、電力管理方法において、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための開示の技術の一形態は、
電力系統と連系し、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムであって、
前記複数の電力供給先の内の少なくとも一つの電力供給先に設けられ、前記電力系統から供給された供給電力を可搬型蓄電池への充電電力に変換するとともに、前記可搬型蓄電池の余剰電力を変換し前記電力系統に出力する電力変換器と、
前記電力変換器に可搬型蓄電池が接続されたときに、前記電力系統から前記電力変換器に供給される供給電力を計測し、または、前記電力変換器から前記電力系統に出力される変換後の余剰電力を計測する電力計測器と、
前記電力計測器で計測された電力値に基づいて、前記可搬型蓄電池の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出する管理装置と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、電力供給システムは、複合施設である集合住宅1aの専有部120に設けられた電力変換器であるV2H121に接続された可搬型蓄電池に対し、電力系統から供給された供給電力を充電電力に変換して提供できる。また、V2H121に接続された可搬型蓄電池の余剰電力を変換し電力系統側に提供することができる。共用部130に設けられたV2H131についても同様である。そして、電力供給システムは、電力計測器であるスマートメータ11f,11gを介して、充電時における可搬型蓄電池の供給電力、余剰電力に基づく系統側への出力電力の電力値を計測できる。そして管理装置は、スマートメータ11f,11gを介して計測された電力値に基づいて、可搬型蓄電池の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出できる。電力供給システムによれば、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与可能な技術が提供できる。
【0008】
また、開示の技術の一形態においては、前記管理装置は、前記電力変換器を利用する以前に、前記電力変換器の利用に係る可搬型蓄電池に対して該可搬型蓄電池を識別する蓄電池IDを発行するとともに、前記可搬型蓄電池に発行された蓄電池IDを登録する、ようにしてもよい。電力供給システムでは、可搬型蓄電池に発行された蓄電池IDに基づいて、電力変換器に接続された可搬型蓄電池の利用が管理できる。例えば、共用部130に設けられた電力変換器を介して可搬型蓄電池の利用(売買電)が可能になり、利便性が向上する。
【0009】
また、開示の技術の一形態においては、前記管理装置は、可搬型蓄電池を前記電力変換器に接続するときに、該可搬型蓄電池に発行された蓄電池IDに基づいて認証を行うとともに、前記認証された可搬型蓄電池の蓄電池IDを登録する、ようにしてもよい。蓄電池IDによる認証を行うことで、電力変換器を利用する利用者が特定できるため、管理の簡便化が期待できる。また、蓄電池IDが登録できるため、電力変換器を介した可搬型蓄電池の利用が適宜に管理できる。
【0010】
また、開示の技術の一形態においては、前記管理装置は、前記電力変換器を備える他の複合施設との間で、前記可搬型蓄電池に発行された蓄電池IDを共有するとともに、前記共有された蓄電池IDに基づいて前記他の複合施設の備える電力変換器の利用を可能とする、ようにしてもよい。これにより、蓄電池IDを共有する他物件における可搬型蓄電池の利用が可能になり、利便性が向上するとともに集合住宅1aの物件価値を高めることができる。可搬型蓄電池を有する入居者の経済性を高めることが可能になる。
また、開示の技術の一形態においては、前記管理装置は、災害時における特別料金プランを有し、前記災害時の可搬型蓄電池の利用に関し、前記特別料金プランと前記電力計測器で計測された電力値に基づいて、請求料金および還元料金を算出するようにしてもよい。これにより、災害時における災害時料金プにおける可搬型蓄電池の利用について通常時との差別化(料金の割り増し、割引等)を図ることができ、集合住宅1aを所有するオーナーの地域貢献の増進が期待できる。
【0011】
また、開示の技術の他の一形態は、
電力系統と連系し、複数の電力供給先を含む複合施設に電力を供給する電力供給システムの管理装置が実行する電力管理方法であって、
前記電力供給システムは、
前記複数の電力供給先の内の少なくとも一つの電力供給先に設けられ、前記電力系統から供給された供給電力を可搬型蓄電池への充電電力に変換するとともに、前記可搬型蓄電池の余剰電力を変換し前記電力系統に出力する電力変換器と、
前記電力変換器に可搬型蓄電池が接続されたときに、前記電力系統から前記電力変換器
に供給される供給電力を計測し、または、前記電力変換器から前記電力系統に出力される変換後の余剰電力を計測する電力計測器と、を備え、
前記管理装置に、前記電力計測器で計測された電力値に基づいて、前記可搬型蓄電池の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出させる、
ことを特徴とする電力管理方法。
【0012】
このような形態であっても、電力供給システムは、複合施設である集合住宅1aの専有部120に設けられた電力変換器であるV2H121に接続された可搬型蓄電池に対し、電力系統から供給された供給電力を充電電力に変換して提供できる。また、V2H121に接続された可搬型蓄電池の余剰電力を変換し電力系統側に提供することができる。共用部130に設けられたV2H131についても同様である。そして、電力供給システムは、電力計測器であるスマートメータ11f,11gを介して、充電時における可搬型蓄電池の供給電力、余剰電力に基づく系統側への出力電力の電力値を計測できる。そして管理装置は、スマートメータ11f,11gを介して計測された電力値に基づいて、可搬型蓄電池の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出できる。電力供給システムによれば、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与可能な技術が提供できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与できる技術が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る電力供給システム1の概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例に係る管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施例に係る管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る管理装置の利用設定登録処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施例に係る管理装置の可搬型蓄電池に関するID登録処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施例に係る管理装置の蓄電池IDが登録された可搬型蓄電池の利用に関する利用認証処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施例に係る管理装置の可搬型蓄電池の利用実績を反映した料金算出処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施例に係る管理装置の他物件を介した可搬型蓄電池の利用実績を含む料金算出処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施例に係る管理装置の災害時における利用設定処理の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施例に係る管理装置の災害時において他物件を利用した際の可搬型蓄電池の利用実績を含む料金算出処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の適用例に係る電力供給システム1の概略構成を示すブロック図である。本適用例における電力供給システム1は、複数の電力供給先を含む複合施設の一例である集合住宅1aに対して適用されるシステムであり、太陽電池、風力発電機、所謂V2H(Vehicle to Home)に係る電源(可搬型蓄電池)や蓄電池等の分散型電
源を備える。電力供給システム1は、集合住宅1aの外部において、集合住宅1a内のシステムと通信可能に構成された管理装置2を有する。集合住宅1a内のシステムと管理装置2とは、LTEルータ6を介した無線通信が可能となっている。また、管理装置2は、通信ネットワークNを介して専有部の利用者が備えるPC/スマホ30といった情報処理装置と接続され、集合住宅1a外部の他の一括受電システム50が備える管理装置と接続されている。管理装置2は、可搬型電池管理情報が格納されたデータベース20を備える。
【0016】
本発明の適用例に係る電力供給システム1には、分散型電源として、蓄電池14と太陽電池15が備えられている。蓄電池14には、充放電電圧を昇降させる双方向のDC/DCコンバータ及び、蓄電池の充放電に係る電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む蓄電池パワコン16が接続されている。蓄電池パワコン16から出力される電力は、スマートメータ11eによって測定される。一方、太陽電池15には太陽電池15の発電電圧を調整するDC/DCコンバータ、山登り法によるMPPT制御を行うための制御回路、太陽電池15の出力電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む太陽電池パワコン17が接続されている。太陽電池パワコン17は、蓄電池パワコン16とも接続され、太陽電池15で発電した電力を直接、蓄電池14に充電することが可能となっている。
【0017】
本適用例においてはさらに、スマートメータ11fを通じてV2H121に接続された可搬型蓄電池であるEV/PHV122、および、スマートメータ11gを通じてV2H131に接続されたEV/PHV132について、系統3から買電されることで、当該可搬型蓄電池への電力充電が可能になる。そして、スマートメータ11fを通じてV2H121に接続された可搬型蓄電池であるEV/PHV122、および、スマートメータ11gを通じてV2H131に接続されたEV/PHV132からの、余剰電力の系統3への売電が可能になっている。本適用例において、双方向のスマートメータ11f、あるいは、スマートメータ11gを介した可搬型蓄電池であるEV/PHV122、EV/PHV132と、系統3との間の電力の売買電は、予め管理装置2に登録された可搬型蓄電池の登録IDに基づいて行われるように構成される。
【0018】
本適用例に係る電力供給システム1では、管理装置2は、IDが登録された可搬型蓄電池(EV/PHV122、EV/PHV132等)に関する可搬型電池管理情報として、利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、登録情報、利用実績に関する情報をデータベース20に格納する。可搬型蓄電池(EV/PHV122、EV/PHV132等)の登録(ID付与)は、通信ネットワークNを介して接続された利用者(専有部120、共用部130の利用者)の利用者端末(PC/スマホ30)の操作入力により行われる。そして、管理装置2は、図4から図10に示すように、データベース20に格納された利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、利用実績に関する情報等に基づいて、専有部120、共用部130を介して接続されたID登録済みの可搬型蓄電池に対する売買電サービスを利用者に提供する。また、管理装置2は、通信ネットワークNを介して、集合住宅1a外部の他の一括受電システム50が備える管理装置と接続される。管理装置2は、通信ネットワークNを介して接続された他の一括受電システム50が備える管理装置からの要請を受け付け、データベース20に格納された利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、利用実績に関する情報等に基づいて、ID登録済みの可搬型蓄電池に対する売買電サービスを利用者に提供する。これにより、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与可能な電力供給システム1が提供できる。
【0019】
〔実施例1〕
以下では、本発明の具体的な実施の形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0020】
<システム構成>
図1は、本発明の実施例に係る電力供給システム1の概略構成を示すブロック図である。本実施例における電力供給システム1は、複数の電力供給先を含む複合施設の一例である集合住宅1aに対して適用されるシステムであり、太陽電池、風力発電機、所謂V2H(Vehicle to Home)に係る電源(可搬型蓄電池)や蓄電池等の分散型電源を備える。図1においては、各ブロックを連結する実線は電力線を示し、各ブロックを連結する破線は通信線(無線通信も含む)を示す。本実施例に係る電力供給システム1は、系統3と接続され、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より少なく、電力が不足する場合には、例えば系統3から買電することが可能となっている。また、分散型電源による供給電力が、複数の電力供給先における消費電力より多い場合には、余剰の電力を例えば系統3に余剰売電することが可能となっている。ここで、系統3は、所謂小売電気事業者であってもよいし、一般電気事業者であってもよい。また、系統3は異なる電気事業者の組合せから構成されてもよく、同一の電気事業者であってもよい。また、V2Hに係る電源としてEV(Electric Vehicle)やPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)を例示するが、FCV(Fuel
Cell Vehicle)等の燃料電池であってもよい。
【0021】
本実施例に係る電力供給システム1は、集合住宅1aの外部において、集合住宅1a内のシステムと通信可能に構成された管理装置2を有する。集合住宅1a内のシステムと管理装置2とは、LTEルータ6を介した無線通信が可能となっている。この管理装置2は、例えば、電力供給システム1の運営主体である管理会社によってクラウド上に備えられたサーバ装置であってもよい。但し、管理装置2は、電力供給システム1において、集合住宅1a内のシステムとの間で情報の授受が可能とされていればよく、有線通信で接続されてもよく、必ずしもクラウド上に備えられたものでなくともよい。また、管理装置2は、通信ネットワークNを介して専有部の利用者が備えるPC/スマホ30といった情報処理装置と接続され、集合住宅1a外部の他の一括受電システム50が備える管理装置と接続されている。通信ネットワークNは有線、無線を含む通信ネットワークである。そして、本実施例における管理装置2は、可搬型電池管理情報が格納されたデータベース20を備える。データベース20に格納される可搬型電池管理情報の詳細については後述する。
【0022】
図1において、電力供給システム1の複数の電力供給先としては、専有部12a、12b、12c・・・が想定されている。この専有部12a、12b、12c・・・は、例えば、集合住宅1aにおける各部屋(以下、入居者ともいう。)である。より具体的には、専有部12a、12b、12c・・・における負荷は、集合住宅1aの各部屋における電気製品等である。また、集合住宅1aには、専有部12a、12b、12c・・・の他に共用部13が存在する。この共用部13は、集合住宅1aにおける共用部分であり、共用部13の負荷としては、例えば廊下や玄関の照明13aや、停電時等に予め接続しておいた電気製品へ自動で電力を供給可能にする特定負荷分電盤13b等が考えられる。専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13には、各々スマートメータ11a、11b、11c・・・、11dが備えられており、専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13において消費される電力を測定可能となっている。
【0023】
また、電力供給システム1には、分散型電源として、蓄電池14と太陽電池15が備えられている。蓄電池14には、充放電電圧を昇降させる双方向のDC/DCコンバータ及び、蓄電池の充放電に係る電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む蓄電池パワコン16が接続されている。蓄電池パワコン16から出力される電力は、スマートメータ11eによって測定される。一方、太陽電池15には太陽電池15の発電電圧を調整するDC/DCコンバータ、山登り法によるMPPT制御を行うための制御回路、太陽
電池15の出力電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む太陽電池パワコン17が接続されている。太陽電池パワコン17から出力される電力は、スマートメータ11hによって測定される。太陽電池パワコン17は、蓄電池パワコン16とも接続され、太陽電池15で発電した電力を直接、蓄電池14に充電することが可能となっている。なお、本実施例において、畜電池14と太陽電池15とが一体化した分散型電源を使用しても構わない。
【0024】
図1に示す電力供給システム1において、蓄電池パワコン16と太陽電池パワコン17とは、分散型電源用の第二分電盤10に接続されている。第二分電盤10は各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13に電力を分電する第一分電盤9に接続されている。第一分電盤9は、売電および買電の双方向の電力計測が可能な親スマートメータ4を介して系統3と接続されている。そして、第一分電盤9は、売電および買電の双方向の電力計測が可能なスマートメータ11fを介して専有部120に設けられたV2H121を介して可搬型蓄電池を構成するEV/PHV122に接続されている。同様にして、第一分電盤9は、売電および買電の双方向の電力計測が可能なスマートメータ11gを介して共用部130に設けられたV2H131を介して可搬型蓄電池を構成するEV/PHV132に接続されている。さらに、第一分電盤9は、スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eを介して、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13(のコンセント)に接続されている。
【0025】
専有部120に設けられたV2H121は、例えば、系統3から供給された電力(交流電力)を可搬型蓄電池であるEV/PHV122への充電電力(直流電力)に変換する。また、可搬型蓄電池であるEV/PHV122から供給された余剰電力(直流電力)を交流電力に変換し系統3側に出力する。同様にして、共用部130に設けられたV2H131は、例えば、系統3から供給された電力(交流電力)を可搬型蓄電池であるEV/PHV132への充電電力(直流電力)に変換し、EV/PHV132から供給された余剰電力(直流電力)を交流電力に変換して系統3側に出力する。V2H121と接続されたスマートメータ11fでは、系統側からEV/PHV122への充電方向、および、EV/PHV122から系統側への電力出力方向の電力計測値が計測される。また、V2H131と接続されたスマートメータ11gでは、系統側からEV/PHV132への充電方向、および、EV/PHV132から系統側への電力出力方向の電力計測値が計測される。なお、本実施例において、スマートメータ11f、11gは、「電力計測器」の一例に相当し、V2H121、V2H131は、「電力変換器」の一例に相当する。
【0026】
これにより、太陽電池15で発電された電力及び、蓄電池14から放電された電力は、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13に供給可能となっている。その際、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13における負荷による消費電力が、蓄電池14、太陽電池15の分散型電源による供給電力より多い場合には、系統3から買電されることで不足分が補充される。また、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13における負荷による消費電力が、蓄電池14、太陽電池15の分散型電源による供給電力より少ない場合には、余剰分を系統3へ余剰売電すること可能になっている。
【0027】
本実施例においてはさらに、スマートメータ11fを通じてV2H121に接続された可搬型蓄電池であるEV/PHV122、および、スマートメータ11gを通じてV2H131に接続されたEV/PHV132について、系統3から買電されることで、当該可搬型蓄電池への電力充電が可能になる。そして、スマートメータ11fを通じてV2H121に接続された可搬型蓄電池であるEV/PHV122、および、スマートメータ11gを通じてV2H131に接続されたEV/PHV132からの、余剰電力の系統3への売電が可能になっている。本実施例において、双方向のスマートメータ11f、あるいは
、スマートメータ11gを介した可搬型蓄電池であるEV/PHV122、EV/PHV132と、系統3との間の電力の売買電は、予め管理装置2に登録された可搬型蓄電池の登録IDに基づいて行われるように構成される。
【0028】
スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eによって測定された専有部12a、12b、12c・・・及び、共用部13における消費電力及び、スマートメータ11eで測定された蓄電池パワコン16の入出力電力の情報及び、スマートメータ11hで測定された太陽電池パワコン17の出力電力の情報は、ゲートウェイ8c、ハブ7を介して制御装置としての蓄電池コントローラ5に提供される。同様にして、スマートメータ11fによって測定された専有部120のEV/PHV122に対する売買電力、および、共用部130のEV/PHV132に対する売買電力の情報は、ゲートウェイ8c、ハブ7を介して制御装置としての蓄電池コントローラ5に提供される。また、親スマートメータ4で測定された系統3からの買電量、系統3への余剰売電量も蓄電池コントローラ5に提供される。また、太陽電池パワコン17におけるMPPT制御の状態、太陽電池15の端末電流値、電圧値等の情報、蓄電池14における蓄電量等の情報も、ゲートウェイ8a及び8b、ハブ7を介して蓄電池コントローラ5に提供される。
【0029】
蓄電池コントローラ5では、設備所有者(オーナー)による電力マネジメントの方針、電力取引市場価格と、各専有部12a、12b、12c・・・及び共用部13における消費電力、太陽電池15における発電量、蓄電池14における蓄電量等に基づいて、蓄電池パワコン16の入出力電力、系統3からの買電量、系統3への余剰売電量等が制御される。同様にして、蓄電池コントローラ5では、設備所有者による電力マネジメントの方針、電力取引市場価格と、専有部120のEV/PHV122に対する売買電力、および、共用部130のEV/PHV132に対する売買電力等に基づいて、系統3からの買電量、系統3への余剰売電量等が制御される。
【0030】
さらに、スマートメータ11a、11b、11c・・・11d、11eによって測定された専有部12a、12b、12c・・・及び、共用部13における消費電力及び、蓄電池パワコン16の入出力電力の情報及び、太陽電池パワコン17の出力電力の情報は、ゲートウェイ8c、ハブ7、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。同様にして、スマートメータ11fによって測定された専有部120のEV/PHV122に対する売買電力、および、共用部130のEV/PHV132に対する売買電力の情報は、ゲートウェイ8c、ハブ7、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。なお、親スマートメータ4で測定された系統3からの買電量、系統3への余剰売電量も管理装置2にも提供される。さらに、太陽電池パワコン17におけるMPPT制御の状態、太陽電池15の端末電流、電圧値等の情報や、蓄電池14における蓄電量等の情報も、ゲートウェイ8a及び8b、ハブ7、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。ここで、系統3からの買電量、系統3への余剰売電量の情報は、スマートメータから管理装置2に提供されるのではなく、電力事業者からの請求情報より取得されるようにしてもよい。
【0031】
本実施例に係る電力供給システム1では、管理装置2は、IDが登録された可搬型蓄電池(EV/PHV122、EV/PHV132等)に関する可搬型電池管理情報として、利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、登録情報、利用実績に関する情報をデータベース20に格納する。可搬型蓄電池(EV/PHV122、EV/PHV132等)の登録(ID付与)は、通信ネットワークNを介して接続された利用者(専有部120、共用部130の利用者)の利用者端末(PC/スマホ30)の操作入力により行われる。そして、管理装置2は、データベース20に格納された利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、利用実績に関する情報等に基づいて、専有部120、共用部130を介して接続されたID登録済みの可搬型蓄電池に対する売買電サービスを利用者に提供する。
【0032】
また、本実施例に係る電力供給システム1において管理装置2は、通信ネットワークNを介して、集合住宅1a外部の他の一括受電システム50が備える管理装置と接続される。管理装置2は、通信ネットワークNを介して接続された他の一括受電システム50が備える管理装置からの要請を受け付け、データベース20に格納された利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、利用実績に関する情報等に基づいて、ID登録済みの可搬型蓄電池に対する売買電サービスを利用者に提供する。これにより、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与可能な電力供給システム1が提供できる。
【0033】
<管理装置構成>
図2は、本実施例に係る管理装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、管理装置2は、接続バス206によって相互に接続されたプロセッサ201、主記憶装置202、補助記憶装置203、通信IF204、入出力IF205を構成要素に含むサーバ等のコンピュータである。主記憶装置202および補助記憶装置203は、管理装置2が読み取り可能な記録媒体である。主記憶装置202および補助記憶装置203は、管理装置2のメモリを構成する。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。なお、利用者端末(PC/スマホ30)および他の一括受電システム50が備える管理装置は、実質的に管理装置2のハードウェア構成と同等の構成で実現されるため、説明は省略される。
【0034】
プロセッサ201は、管理装置2全体の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ201は、例えば、補助記憶装置203に記憶されたプ
ログラムを主記憶装置202の作業領域に実行可能に展開し、当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。データベース20は、例えば、管理装置2のプロセッサ201によって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、補助記憶装置203等に記憶されるデータを管理することで構築されるリレーショナルデータベースである。なお、一部または全部の機能が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing
Unit)等によって提供されてもよい。同様にして、一部または全部の機能が、FPGA
(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像
処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)、その他のハードウェア回
路で実現されてもよい。また、管理装置2は、単一の物理的構成で実現されてもよく、互いに連携する複数台のコンピュータの構成によって実現されてもよい。
【0035】
主記憶装置202は、プロセッサ201が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶装置202は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置203は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶装置203は、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置203には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF204を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等は、例えば、通信ネットワークNに接続された他の一括受電システム50の管理装置、PC/スマホ30を含む情報処理端末等のコンピュータ、外部記憶装置等である。
【0036】
補助記憶装置203は、主記憶装置202を補助する記憶領域として使用され、プロセッサ201が実行するプログラム、プロセッサ201が処理するデータ等を記憶する。補
助記憶装置203は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable
Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ソリッドステートドライブ装置、ハー
ドディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)装置等である。また、補助記憶装置2
03として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示される。着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0037】
通信IF204は、管理装置2を通信ネットワークNに接続させるためのインターフェースである。通信IF204は、通信ネットワークNとの接続方式に応じて適宜の構成を採用できる。入出力IF205は、管理装置2に接続される機器との間でデータの入出力を行うインターフェースである。入出力IF205には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイスが接続される。管理装置2は、入出力IF205を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。また、入出力IF205には、例えば、LCD、ELパネル、有機ELパネル等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続される。管理装置2は、入出力IF205を介し、プロセッサ201で処理されるデータや情報、主記憶装置202、補助記憶装置203に記憶されるデータや情報を出力する。
【0038】
<機能構成>
図3は、管理装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に例示のように、管理装置2においては、専有部12a、12b、12c・・・及び、共用部13における消費電力の情報から、専有部12a、12b、12c・・・及び、共用部13に課する電気料金を算出する電気料金算出部2aを有する。また、管理装置2の運営主体である管理会社が、設備所有者に還元する還元料金を演算する還元料金算出部2bを有する。さらに、系統3からの買電量に基づいて、系統3に係る電気事業者に支払う買電料金を算出し、あるいは電気事業者からの買電料金の請求額を記憶する買電料金算出部2cを有する。さらに、管理装置2は、IDが登録された可搬型蓄電池(EV/PHV122、EV/PHV132等)の利用に関する機能要素として、利用設定登録部2d、可搬型蓄電池登録部2e、利用認証部2f、可搬型蓄電池料金算出部2g、他物件利用料金算出部2hを有する。また、災害時等におけるIDが登録された可搬型蓄電池の利用に関する機能要素として、災害時利用設定処理部2i、災害時利用料金算出部2jを有する。可搬型蓄電池の利用に関する各機能要素の処理は、専有部120および共用部130における可搬型蓄電池(EV/PHV122、EV/PHV132等)に関する電力情報、および、データベース20に格納された可搬型電池管理情報に基づいて提供される。以下、管理装置2の可搬型蓄電池の利用に関する機能要素の詳細を具体的に説明する。
【0039】
(1)利用設定登録部
図4は、管理装置2における利用設定登録処理の一例を示すフローチャートである。図4において、テーブル20aは、データベース20に格納される利用設定に関する情報の一例である。同様にして、テーブル20bは、料金プランに関する情報の一例であり、テーブル20cは、災害時料金プランに関する情報の一例である。図4示すフローにより、一括受電事業者を対象として可搬型蓄電池の利用に関する各種条件の設定がデータベース20に登録される。
【0040】
図4に例示のテーブル20aは、利用設定に関する設定項目として、可搬型蓄電池対応、他物件接続、災害時対応、災害対応中といったカラムを有する。可搬型蓄電池対応には、対象の複合施設における可搬型蓄電池対応の有無に関する情報が格納される。同様にして、他物件接続には対象の複合施設における、通信ネットワークNを通じて接続された他の一括受電システム50の備える管理装置を介した、可搬型蓄電池の利用の有無に関する
情報が格納される。災害時対応には、災害時において専有部120や共用部130等を介した可搬型蓄電池の利用の可否に関する情報が格納される。災害対応中には、現時点での災害時対応に関するステータス(ON/対応中、OFF/対応外)が格納される。
【0041】
同様にして、テーブル20bは、料金プランに関する設定項目として、電力量単価(1kWあたり/円)、条件といったカラムを有する。電力量単価には、対象の複合施設における売電、買電に関する単位電力量(例えば、1kW)当たりの単価を示す情報が格納される。条件には、対象の複合施設についての売電条件、買電条件を示す情報が格納される。図4においては、例えば、複合施設における電気料金を25円/kWh、共有部130または専有部120の電気料金(通常料金)を30円/kWhとする料金プラン例が例示されている。また、売電(可搬型蓄電池への充電)に関する条件として“通常料金の10%引き”、買電(可搬型電池からの電力供給)に関する条件として“通常料金の50%”といった条件を示す情報が例示されている。
【0042】
テーブル20cも災害時料金プランに関する設定項目として、テーブル20bと同様に、電力量単価(1kWあたり/円)、条件といったカラムを有する。図4においては、例えば、複合施設における系統から購入する電気料金を25円/kWh、共有部130または専有部120の電気料金(通常料金)を30円/kWhとする災害時料金プラン例が例示されている。そして、災害時における売電(可搬型蓄電池への充電)に関する条件として“通常料金の20%引き”、買電(可搬型電池からの電力供給)に関する条件として“通常料金の60%”といった条件を示す情報が格納されている。
【0043】
図4に示すフローにおいて、処理の開始後、複合施設における専有部120、共用部130等を介した可搬型蓄電池対応に関する利用設定がテーブル20aに登録される(ステップS101)と、処理はステップS102に進む。図1の集合住宅1aの例では、テーブル20aの可搬型蓄電池対応カラムには「あり」が格納され、他物件接続カラムには「あり」が格納される。
【0044】
ステップS102では、テーブル20aの可搬型蓄電池対応カラムに格納された複合施設における可搬型蓄電池対応の有無が判定される。すなわち、可搬型蓄電池対応カラムに「あり」が格納された場合には(ステップS102、“YES”)、処理はステップS103に進み、そうでない場合には(ステップS102、“NO”)、本ルーチンを一旦終了する。
【0045】
ステップS103では、複合施設における専有部120、共用部130等を介した可搬型蓄電池と系統3との間の売買電に関する料金プランについての設定登録(テーブル20b)が行われ、処理がステップS104に進む。ステップS104では、専有部120、共用部130等を備える複合施設について、災害時対応に関する情報がテーブル20aに登録されると処理はステップS105に進む。テーブル20aの、災害時対応カラムには、「あり」または「なし」の何れかのステータスが格納され、「あり」が登録されたときには災害対応中カラムには、例えば、デフォルト値である「OFF」のステータスが格納される。
【0046】
ステップS105では、テーブル20aの災害時対応カラムに格納された複合施設における可搬型蓄電池対応の有無(「あり」/「なし」)が判定される。すなわち、災害時対応カラムに「あり」が格納された場合には(ステップS105、“YES”)、処理はステップS106に進み、そうでない場合には(ステップS105、“NO”)、本ルーチンを一旦終了する。ステップS106では、災害時における複合施設の専有部120、共用部130等を介した可搬型蓄電池と系統3との間の売買電に関する災害時料金プランについての設定登録(テーブル20c)が行われる。ステップS106の処理の終了後、本
ルーチンを一旦終了する。
【0047】
以上、説明したように、本実施例に係る電力供給システム1において管理装置2は、一括受電事業者との間で可搬型蓄電池の利用(売買電)に関する料金プラン、および、災害時における災害時料金プランを予め登録することができる。また、管理装置2は、一括受電事業者との間で、通信ネットワークNを介して接続された他物件(他の一括受電システム50)における可搬型蓄電池の利用の可否を予め登録することができる。可搬型蓄電池の利用に関する料金プランの設定により、集合住宅1aの備える専有部120、共用部130を介した売買電が可能になるため、集合住宅1aの物件価値を高めることができ、可搬型蓄電池を有する入居者の経済性を高めることが可能になる。また、災害時における災害時料金プランの登録により、可搬型蓄電池の利用について通常時との差別化(料金の割り増し、割引等)を図ることができ、集合住宅1aを所有するオーナーの地域貢献を増進させることができる。さらに、他物件における可搬型蓄電池の利用の可否が登録されることで、例えば、入居者が入居している物件でなくても、入居している物件と同等またはそれに類する売買電サービスの享受が可能になる。
【0048】
(2)可搬型蓄電池登録部
次に、可搬型蓄電池に関するID登録処理を説明する。図5は、管理装置2におけるID登録処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すフローにより、複合施設の一例である集合住宅1aの専有部120を有する居室の入居者や共用部130等を利用する利用者(以下、単に「利用者」ともいう)の可搬型蓄電池に対するID登録が行われる。なお、可搬型蓄電池に対するID登録処理は、通信ネットワークNを通じて管理装置2に接続された利用者のPC/スマホ30を介して行われる。管理装置2は、PC/スマホ30を介した利用者からの所定のアクセスを受け付けると、集合住宅1aの入居者向けに予め構築された契約システムへ誘導し、図5に示すフローを実行する。ここで、所定のアクセスには、例えば、入居契約時に利用者に発行された利用者ID、パスワード等の認証情報が含まれる。なお、図5に例示の画面30aは、利用者の可搬型蓄電池に対するID(蓄電池ID)発行前の、PC/スマホ30の表示画面に表示される画面例であり、画面30bは、ID(蓄電池ID)発行後の画面例である。また、テーブル20d1は、データベース20に格納される登録情報の一例である。
【0049】
処理の開始後、PC/スマホ30を介して管理装置2にアクセスした利用者について、可搬型蓄電池の登録の可否が判定される(ステップS111)。管理装置2は、例えば、PC/スマホ30の表示画面に可搬型蓄電池の登録の可否に関する画面を表示させ、利用者の選択操作を受け付ける。ステップS111において、可搬型蓄電池の登録が選択された場合には(ステップS111、“する”)、処理はステップS112に進み、そうでない場合には(ステップS111、“しない”)、本ルーチンを一旦終了させる。
【0050】
ステップS112では、PC/スマホ30に表示された画面30aを介した蓄電池登録が行われる。蓄電池登録においては、画面30aに例示のように、登録に係る可搬型蓄電池の名称や型式、容量といった専有部120や共用部130等を利用する際の識別情報が受け付けられる。管理装置2は、例えば、名称や形式、容量といった可搬型蓄電池を識別する識別情報の入力を促すための入力画面(画面30a)をPC/スマホ30の表示画面に表示させる。利用者は、表示画面に表示された画面30aに従ってPC/スマホ30を操作し、一点鎖線の楕円枠に示されるように、登録に係る可搬型蓄電池の名称や形式、容量といった識別情報を入力する。図5においては、名称として可搬型蓄電池の種別を示す“電気自動車”、形式として当該電気自動者の型番等を示す“AA01”、容量として“20(kWh)”といった識別情報が入力される。利用者は、可搬型蓄電池を識別する識別情報の入力後、画面30aに設けられた実行ボタンを押下操作し、入力確定された所定情報を管理装置2に送信する。なお、入力された識別情報が確定しないときには、取消ボ
タンを押下操作することで、識別情報の再入力が可能である。
【0051】
図5に示すフローに戻り、ステップS113では、画面30aを介してPC/スマホ30から受け付けた登録に係る可搬型蓄電池に対するID発行が行われる。管理装置2は、例えば、登録に係る可搬型蓄電池について所定の識別情報(名称、形式、容量等)が受け付けられたことを条件として、当該可搬型蓄電池に対するID(蓄電池ID)を発行する。可搬型蓄電池に発行されるIDは、例えば、テーブル20d1に示すように、「物件番号」と「部屋番号」と「連番」との組合せにより行われる。ここで、「物件番号」は複合施設である集合住宅1aを識別する物件識別番号であり、予め管理装置2に設定される。「部屋番号」は入居契約時に選択された居室を識別する番号(専有部識別)であり利用者のアクセス情報から設定され、「連番」は登録順に付与される番号である。テーブル20d1においては、物件番号「010」と部屋番号「0201」と連番「001」とをハイフン等の記号で順に連結させた「010-0201-001」が例示されている。なお、このようなIDの付与に関するルールは予め定めることができる。少なくとも、可搬型蓄電池に関する売買電の利用が可能な専有部120、共用部130を備える集合住宅1aの居住者との紐づけが可能なルールに従ったID付与であればよい。
【0052】
管理装置2は、発行されたIDをPC/スマホ30に通知する。利用者のPC/スマホ30の表示画面には、画面30bに例示の蓄電池ID通知画面が表示される。画面30bに例示のように、利用者の操作入力によって確定された登録に係る可搬型蓄電池を識別する識別情報とともに、ステップS113の処理によって発行された蓄電池IDが表示される。画面30bにおいて、一点鎖線の楕円枠に示されるように、発行された蓄電池IDは登録に係る可搬型蓄電池の識別情報の最上位位置に表示される。PC/スマホ30に通知された蓄電池IDは、例えば、入居契約時に登録された登録メールアドレスに送付される。なお、利用者に発行された蓄電池ID(テーブル20d1)は、可搬型蓄電池を識別する所定の識別情報(名称、形式、容量等)、入居契約時に利用者に発行された利用者ID、パスワード等の認証情報、登録メールアドレス等を含む利用者の属性情報に関連付けされて登録情報としてデータベース20に格納される。ステップS113の処理の終了後、本ルーチンを一旦終了する。
【0053】
このように、本実施例に係る電力供給システム1において管理装置2は、入居者の所有する可搬型蓄電池に対して専用のID(蓄電池ID)を発行し、データベース20に登録情報として保持することができる。発行された専用IDは、例えば、集合住宅1aの物件を識別する物件番号と、専有部120等を識別する部屋番号とを組合せることができる。これにより、蓄電池IDには利用者の居住先(物件番号、部屋番号)を含めることができるため、例えば、共用部130が利用された場合であっても蓄電池IDから利用者を容易に特定することが可能になる。同様にして、他物件を介した可搬型蓄電池の利用(売買電)であっても、他物件の管理装置は蓄電池IDに基づいて利用者の居住する物件の特定が容易にできるため、例えば、利用に係る料金請求処理が簡便になることが期待できる。
【0054】
(3)利用認証部
次に、蓄電池IDが登録された可搬型蓄電池の利用に関する利用認証処理を説明する。図6は、管理装置2の蓄電池IDが登録された可搬型蓄電池の利用に関する利用認証処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローにより、予め蓄電池IDが登録された可搬型蓄電池の、集合住宅1aの専有部120、共用部130等を介した利用が可能になる。可搬型蓄電池の利用は、例えば、通信ネットワークNを通じて管理装置2に接続された利用者のPC/スマホ30に対する利用認証を介して行われる。なお、図6に例示の画面30dは、可搬型蓄電池の利用者の、認証前のPC/スマホ30の表示画面に表示される画面例であり、画面30eは、蓄電池IDによって可搬型蓄電池の利用が認証された後の画面例である。
【0055】
処理の開始後、利用者は可搬型蓄電池を所定場所に移動させる(ステップS121)。ここで、所定場所とは、例えば、集合住宅1aのV2H121を介してスマートメータ11fに接続された専有部120、V2H131を介してスマートメータ11gに接続された共用部130における可搬型蓄電池を一時的に設置可能な領域である。利用者は、可搬型蓄電池の移動後、PC/スマホ30を介して管理装置2にアクセスし、V2H121またはV2H131を利用するための認証手続きを行う(ステップS122)。ステップS122では、画面30cに例示の表示画面を介して蓄電池IDが登録された可搬型蓄電池の利用に関する認証が行われる(ステップS123)。
【0056】
ステップS122では、管理装置2にアクセスしたPC/スマホ30の表示画面には、画面30cに例示のように、蓄電池ID、可搬型蓄電池の名称や型式、容量といった所定の識別情報の入力を促す蓄電池接続登録画面が表示される。利用者は、表示された画面30cに従ってPC/スマホ30を操作し、一点鎖線の楕円枠に示されるように、予め登録された可搬型蓄電池の蓄電池ID、名称や形式、容量といった識別情報を入力する。利用者は、予め登録された可搬型蓄電池を識別する所定の識別情報の入力後、画面30cに設けられた実行ボタンを押下操作し、入力確定した所定情報を管理装置2に送信する。なお、入力された識別情報が確定しないときには、取消ボタンを押下操作することで、識別情報の再入力が可能である。
【0057】
ステップS123では、画面30cを介してPC/スマホ30から受け付けた可搬型蓄電池に対する認証判定が行われる。管理装置2は、例えば、受け付けた蓄電池IDを検索キーとしてデータベース20に登録された登録情報を検索する。そして、管理装置2は、データベース20から検索された蓄電池ID、および、当該IDに関連付けされた付属情報(名称、形式、容量等)を抽出し、画面30cを介して受け付けた可搬型蓄電池の名称、形式、容量等の識別情報との照合を行う。ステップS123において、照合の結果、予めデータベース20に登録された登録情報と合致する場合には(ステップS123、“OK”)、処理はステップS124に進み、そうでない場合には(ステップS123、“NG”)、処理はステップS128に進む。
【0058】
なお、ステップS123において、照合の結果、予めデータベース20に登録された登録情報と合致する場合には、画面30dに例示の蓄電池接続認証結果がPC/スマホ30に通知される。画面30dに例示のように、“登録いただいた蓄電池を認証しました。所定の場所で接続してください。”といった認証結果を示す所定のメッセージ、認証時の日時情報と共に、利用者によって入力された可搬型蓄電池に関する識別情報(蓄電池ID、名称、形式、容量)がPC/スマホ30の表示画面に表示される。なお、PC/スマホ30に通知された画面30dの表示情報(メッセージ、日時情報、可搬型蓄電池に関する識別情報)は、例えば、利用者の登録メールアドレスに送付される。
【0059】
ステップS124では、所定場所に設けられたコンセントに可搬型蓄電池を接続させ、利用目的(可搬型蓄電池への充電、可搬型蓄電池からの売電)に応じて専有部120、あるいは、共用部130が使用される(ステップS125)。ステップS126では、可搬型蓄電池に対する利用終了が判定される。ステップS126において、可搬型蓄電池の利用を終了する場合には(ステップS126、“YES”)、処理はステップS127に進み、そうでない場合には(ステップS126、“NO”)、ステップS125の処理に戻る。ステップS127では、可搬型蓄電池に接続させたコンセントが外され、所定場所から当該可搬型蓄電池が移動される(ステップS128)。なお、ステップS126においては、可搬型蓄電池の利用終了とともに、利用料金を算出するための利用実績情報がデータベース20に格納される。利用実績情報は、例えば、利用時の日時情報、利用時間、利用目的(売電、買電)、電力量(kWh)が蓄電池IDに関連付けされて、データベース
20に格納される。ステップS128の終了後、本ルーチンは一旦終了する。
【0060】
(4)可搬型蓄電池料金算出部
次に、可搬型蓄電池の利用実績に基づく料金算出処理を説明する。図7は、管理装置2における可搬型蓄電池の利用実績を反映した料金算出処理の一例を示すフローチャートである。図7に示すフローにより、月単位での請求確定部における、予め蓄電池IDが登録された可搬型蓄電池の利用実績を反映した料金算出が可能になる。図7において、テーブル20e1は、電気料金算出部2a等によって算出された居住者の利用電力量に対する電気料金の一例である。以下では、居住者は専有部120を使用する集合住宅1aの契約者であり、電気料金の算出については顧客ID(利用者ID)と紐づけられた単位月当たりの利用電力量に基づく電気料金が電気料金算出部2a等によって算出されているものとする。すなわち、テーブル20e1には、スマートメータ11aを介して計測された専有部負荷12aに関する電気料金が格納されている。なお、図4等で説明したように、料金の算出にあたり、例えば、複合施設における系統から購入する電気料金を25円/kWh、共有部130または専有部120の電気料金(通常料金)を30円/kWhとして算出している。また、可搬型蓄電池の料金プランは、買電;27円/kWh、売電;15円/kWhとして算出されるものとする。
【0061】
また、図7において、テーブル20f1はデータベース20に格納される利用実績に関する情報の一例であり、蓄電池IDに紐づけされた利用時の日時情報、利用時間、利用目的の種別(売電、買電)、電力量(kWh)、料金種別を示す属性(図例では通常)等の属性情報を含み構成されている。
【0062】
図7に示すフローにおいて、処理の開始後、可搬型蓄電池の利用実績(売買)を確定するための料金が算出される(ステップS131)。テーブル20e1に例示のように、スマートメータ11aを介して計測された専有部負荷12aに関する電気料金が確定される。また、テーブル20f1に例示のように、請求に係る月単位の可搬型蓄電池に関する利用実績がデータベース20から抽出される。管理装置2は、例えば、登録された蓄電池IDを検索キーとしてデータベース20を検索し、料金請求に係る期間の利用実績を抽出する。ステップS132では、データベース20から抽出された利用実績に基づいて、蓄電池IDに対する実績の有無が判定される。すなわち、ステップS132において、請求に係る月単位の可搬型蓄電池に関する利用実績がデータベース20から抽出されない場合には(ステップS132、“なし”)、清算額を“0”として処理をステップS137に進め、そうでない場合には(ステップS132、“あり”)、処理をステップS133に進める。
【0063】
ステップS133では、売電を目的とした可搬型蓄電池の利用の有無が判定される。ここで、売電を目的とした可搬型蓄電池の利用とは、系統3側から利用者への電力供給(可搬型蓄電池への充電)を表す。ステップS133において、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f1)の中に売電を目的とした可搬型蓄電池の利用実績が存在しない場合には(ステップS133、“なし”)、処理はステップS135に進み、そうでない場合には(ステップS133、“あり”)、処理はステップS134に進む。ステップS134では、ステップS131で確定された専有部負荷12aに関する電気料金に対し、売電を目的として利用された電力量の料金が支払金額として追加される。管理装置2は、例えば、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f1)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。そして、管理装置2は、予め料金プランとして登録された課金料金に基づいて、売電を目的とした総電力量(kWh)に対応する支払金額を算出する。算出された支払金額は、例えば、テーブル20e1に格納された電気料金に追加され、テーブル20g1に示すように可搬型蓄電池の売電利用金額(支払金額)を反映した料金テーブルが生成されると、処理はステップS135に進む。
【0064】
ステップS135では、買電を目的とした可搬型蓄電池の利用の有無が判定される。ここで、買電を目的とした可搬型蓄電池の利用とは、可搬型蓄電池から系統3側への電力供給(可搬型蓄電池からの電力供給)を表す。ステップS135において、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f1)の中に買電を目的とした可搬型蓄電池の利用実績が存在しない場合には(ステップS135、“なし”)、処理はステップS137に進み、そうでない場合には(ステップS135、“あり”)、処理はステップS136に進む。
【0065】
ステップS136では、ステップS134で生成された料金テーブル(テーブル20g1)の請求料金から、買電に係る電力量に応じた供給金額が減額される。管理装置2は、例えば、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f1)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。そして、管理装置2は、予め料金プランとして登録された課金料金に基づいて、買電を目的とした総電力量(kWh)に対応する供給金額を算出する。算出された供給金額は、例えば、テーブル20g1に格納された請求料金から減額され、テーブル20g2に示すように可搬型蓄電池の買電利用金額(供給金額)を反映した料金テーブルが生成されると、処理はステップS137に進む。
【0066】
ステップS137では、居住者に対する電気使用料金についての請求額が算出される。管理装置2は、テーブル20e1に示す電気料金(利用電気料金)に対し、可搬型蓄電池の売買電を目的とした利用実績から算出された精算額を足し合わせ、居住者に対する請求額を算出する。管理装置2は、テーブル20e1に、生成されたテーブル20g1およびテーブル20g2の売電量および買電量を反映させ、テーブル20e2に示す請求金額テーブルを生成する。専有部120を使用する集合住宅1aの居住者には、管理装置2によって生成された請求金額テーブル(テーブル20e2)に基づいて、可搬型蓄電池の利用を含む月単位の請求額が確定される。ステップS137の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0067】
(5)他物件利用料金算出部
次に、他物件を介した可搬型蓄電池の利用実績に基づく料金算出処理を説明する。図8は、他物件を介した可搬型蓄電池の利用実績を含む料金算出処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すフローにより、他物件における可搬型蓄電池の利用実績を反映した料金算出が可能になる。なお、他物件を介した可搬型蓄電池の利用とは、他の一括受電システム50での可搬型蓄電池の利用を表す。他の一括受電システム50においては、図4の利用設定に関する情報(テーブル20a)で説明したように、「他物件接続」カラムに「あり」が設定されている。「他物件接続」カラムに「あり」が設定された他の一括受電システム50においては、管理装置2との間で可搬型蓄電池に付与された登録ID(蓄電池ID)が共有され、例えば、他の一括受電システム50の有する共用部130を介した可搬型蓄電池の利用が可能になっている。
【0068】
図8において、テーブル20e3は、テーブル20e1と同様であり、電気料金算出部2a等によって算出された居住者の利用電力量に対する電気料金の一例である。居住者は専有部120を使用する集合住宅1aの契約者であり、電気料金の算出については顧客ID(利用者ID)と紐づけられた単位月当たりの利用電力量に基づく電気料金が電気料金算出部2a等によって算出されている。テーブル20e3には、スマートメータ11aを介して計測された専有部負荷12aに関する電気料金が格納されている。なお、図8においても、料金の算出にあたり、例えば、ID登録物件および他物件とも複合施設における系統から購入する電気料金を25円/kWh、共有部130または専有部120の電気料金(通常料金)を30円/kWhとして算出している。また、可搬型蓄電池の料金プランは、ID登録物件および他物件とも買電;27円/kWh、売電;15円/kWhとして
算出されるものとする。
【0069】
また、テーブル20f2はデータベース20に格納される利用実績に関する情報の一例であり、蓄電池IDに紐づけされた利用時の日時情報、利用時間、利用目的の種別(売電、買電)、電力量(kWh)、料金種別を示す属性(図例では通常)等の属性情報を含み構成されている。テーブル20f3は、他物件(「他物件接続」カラムに「あり」が設定された他の一括受電システム50)の利用実績から抽出された可搬型蓄電池の利用実績である。テーブル20f3では、物件IDに紐付けされた可搬型蓄電池の利用実績が、物件ID毎に抽出されている。
【0070】
図8に示すフローにおいて、処理の開始後、可搬型蓄電池の利用実績(売買)を確定するための料金が算出される(ステップS141)。テーブル20e3に例示のように、スマートメータ11aを介して計測された専有部負荷12aに関する電気料金が確定される。また、テーブル20f2に例示のように、請求に係る月単位の可搬型蓄電池に関する利用実績がデータベース20から抽出される。管理装置2は、例えば、登録された蓄電池IDを検索キーとしてデータベース20を検索し、料金請求に係る期間の利用実績を抽出する。また、テーブル20f3に例示のように、他物件における可搬型蓄電池の、請求に係る月単位の利用実績が通信ネットワークNを通じて抽出される。管理装置2は、例えば、登録された蓄電池IDを他物件(他の一括受電システム50)の管理装置に通知し、請求に係る月単位の利用実績を要求する。他物件(他の一括受電システム50)の管理装置は、管理装置2の要求を受け付け、自身が管理するデータベースから当該蓄電池IDに関する利用実績を抽出し、自物件の物件IDとともに管理装置2に送信する。管理装置2は、通信ネットワークNを通じて他物件から送信された蓄電池IDに関する利用実績を受け付けるとともに、物件IDを関連付けてテーブル20f3に格納する。
【0071】
ステップS142では、データベース20から抽出された利用実績、他物件における利用実績に基づいて、蓄電池IDに対応する可搬型蓄電池の利用実績の有無が判定される。すなわち、ステップS142において、請求に係る月単位の可搬型蓄電池に関する利用実績が存在しない場合には(ステップS142、“なし”)、清算額を“0”として処理をステップS147に進め、そうでない場合には(ステップS142、“あり”)、処理をステップS143に進める。
【0072】
ステップS143では、ステップS133と同様にして売電を目的とした可搬型蓄電池の利用の有無が判定される。ステップS143において、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f2)および他物件における利用実績(テーブル20f3)の中に売電を目的とした可搬型蓄電池の利用実績が存在しない場合には(ステップS143、“なし”)、処理はステップS145に進み、そうでない場合には(ステップS143、“あり”)、処理はステップS144に進む。ステップS144では、ステップS141で確定された専有部負荷12aに関する電気料金に対し、売電を目的として利用された電力量の料金が支払金額として追加される。管理装置2は、例えば、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f2)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。また、管理装置2は、他物件における利用実績(テーブル20f3)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。そして、管理装置2は、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f2)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)と、他物件における利用実績(テーブル20f3)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)と足し合わせ、請求に係る合算総電力量(kWh)を算出する。管理装置2は、予め料金プランとして登録された課金料金に基づいて、売電を目的とした合算総電力量(kWh)に対応する支払金額を算出する。算出された支払金額は、例えば、テーブル20e3に格納された電気料金に追加され、テーブル20g3に示すように他物件の利用実績を含む可搬型蓄電池の売電利用金額(支払金額)を反映した料金テーブルを生成し、
ステップS145に進む。
【0073】
ステップS145では、ステップS135と同様にして買電を目的とした可搬型蓄電池の利用の有無が判定される。ステップS145において、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f2)および他物件における利用実績(テーブル20f3)の中に買電を目的とした可搬型蓄電池の利用実績が存在しない場合には(ステップS145、“なし”)、処理はステップS147に進み、そうでない場合には(ステップS145、“あり”)、処理はステップS146に進む。
【0074】
ステップS146では、ステップS144で生成された料金テーブル(テーブル20g3)の請求料金から、買電に係る電力量に応じた供給金額が減額される。管理装置2は、例えば、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f1)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。また、管理装置2は、他物件における利用実績(テーブル20f3)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。管理装置2は、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f2)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)と、他物件における利用実績(テーブル20f3)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)と足し合わせ、請求に係る合算総電力量(kWh)を算出する。そして、管理装置2は、予め料金プランとして登録された課金料金に基づいて、買電を目的とした総電力量(kWh)に対応する供給金額を算出する。算出された供給金額は、例えば、テーブル20g3に格納された請求料金から減額され、テーブル20g4に示すように可搬型蓄電池の買電利用金額(供給金額)を反映した料金テーブルが生成されると、処理はステップS147に進む。
【0075】
ステップS147では、居住者に対する電気使用料金についての請求額が算出される。管理装置2は、テーブル20e3に示す電気料金(利用電気料金)に対し、可搬型蓄電池の売買電を目的とした他物件における利用実績を含む精算額を足し合わせ、居住者に対する請求額を算出する。管理装置2は、テーブル20e3に、生成されたテーブル20g3およびテーブル20g4の売電量および買電量を反映させ、テーブル20e4に示す請求金額テーブルを生成する。専有部120を使用する集合住宅1aの居住者には、管理装置2によって生成された請求金額テーブル(テーブル20e4)に基づいて、可搬型蓄電池の他物件における利用実績を含む月単位の請求額が確定される。ステップS147の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0076】
(6)災害時利用設定処理部
次に、災害時における利用設定処理を説明する。図9は、災害時における管理装置2の利用設定処理の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローにより、利用設定登録時に災害時対応可能として登録された物件の、災害対応中を示す項目のステータスが更新される。災害時対応可能として登録された物件の、災害対応中を示す項目のステータス更新により、通信ネットワークNを通じて接続された他物件(他の一括受電システム50)に対し、自物件の状態を周知することが可能になる。蓄電池IDが登録された可搬型蓄電池の利用者は、例えば、自身の利用者端末(PC/スマホ30)を介して災害時対応可能な物件の災害対応中を示す項目のステータスを把握することで、適宜の利用が可能になる。図9において、テーブル20a#1~20a#3は、利用設定登録時に災害時対応可能として登録された物件の、当該テーブル内に格納される情報の推移を表す。テーブル20a#1は、利用設定登録時に災害時対応可能として登録された物件の利用設定に関する情報の初期状態を表す。
【0077】
図9に示すフローにおいて、処理の開始後、ステップS151において災害対応が開始されると、災害時対応可能な物件の災害対応中を示す項目のステータスが更新される。管理装置2は、データベース20に格納された利用設定に関する情報が格納されたテーブル
20a#1の、災害対応中項目に格納されたステータス値を更新する。テーブル20a#1およびテーブル20a#2に示すように、テーブル20a#1の災害対応中項目に格納されたデフォルト値(OFF)が「ON」ステータスに更新される。ステータス値の更新後、災害時料金プランでの可搬型蓄電池の利用が可能になる(ステップS152)。通信ネットワークNを通じて接続された他物件(他の一括受電システム50)の利用者は、例えば、PC/スマホ30介して災害対応中を示す項目の「ON」ステータスを把握する。そして、利用者は、災害対応中を示す項目が「ON」ステータスに更新された物件の共用部130等に可搬型蓄電池を移動させ、災害時料金プランに設定された条件で、目的(充電、売電)に応じた可搬型蓄電池の利用が可能になる。
【0078】
ステップS151においては、災害対応終了に関する利用設定項目についてのステータスが更新される。管理装置2は、災害時対応可能な物件の災害対応中を示す項目のステータス値を「ON」ステータスから「OFF」ステータスに更新する。テーブル20a#2およびテーブル20a#3に示すように、テーブル20a#2の災害対応中項目に格納された「ON」ステータスが、「OFF」ステータスに更新される。ステップS153の終了後、本ルーチンが一旦終了される。
【0079】
(6)災害時利用料金算出部
次に、災害時に他物件を利用した際の可搬型蓄電池の利用実績に基づく料金算出処理を説明する。図10は、災害時において他物件を利用した際の可搬型蓄電池の利用実績を含む料金算出処理の一例を示すフローチャートである。図10に示すフローにより、災害時の際に他物件を利用した場合の可搬型蓄電池の利用実績を反映した料金算出が可能になる。なお、他物件(他の一括受電システム50)の利用設定に関する情報(テーブル20a)においては、「他物件接続」カラムに「あり」、災害時対応カラムに「あり」が設定されているものとする。「他物件接続」カラムに「あり」が設定された他の一括受電システム50においては、管理装置2との間で可搬型蓄電池に付与された登録ID(蓄電池ID)が共有され、例えば、他の一括受電システム50の有する共用部130を介した可搬型蓄電池の利用が可能になっている。また、災害時対応カラムに「あり」が設定された他の一括受電システム50においては、災害時の可搬型蓄電池の利用に関し、当該他物件で設定された災害時料金プランが適用されている。
【0080】
図10において、テーブル20e5は、テーブル20e1と同様であり、電気料金算出部2a等によって算出された居住者の利用電力量に対する電気料金の一例である。居住者は専有部120を使用する集合住宅1aの契約者であり、電気料金の算出については顧客ID(利用者ID)と紐づけられた単位月当たりの利用電力量に基づく電気料金が電気料金算出部2a等によって算出されている。テーブル20e5には、スマートメータ11aを介して計測された専有部負荷12aに関する電気料金が格納されている。なお、図10においても、料金の算出にあたり、例えば、ID登録物件および他物件とも複合施設における系統から購入する電気料金を25円/kWh、共有部130または専有部120の電気料金(通常料金)を30円/kWhとして算出している。また、可搬型蓄電池の料金プランは、ID登録物件および他物件とも買電;27円/kWh、売電;15円/kWhとして算出されるものとする。
【0081】
また、テーブル20f4はデータベース20に格納される利用実績に関する情報の一例であり、蓄電池IDに紐づけされた利用時の日時情報、利用時間、利用目的の種別(売電、買電)、電力量(kWh)、料金種別を示す属性(図例では通常)等の属性情報を含み構成されている。テーブル20f5は、他物件(「他物件接続」カラムに「あり」、災害時対応カラムに「あり」が設定された他の一括受電システム50)の利用実績から抽出された可搬型蓄電池の利用実績である。テーブル20f5では、物件IDに紐付けされた可搬型蓄電池の利用実績が、物件ID毎に抽出されている。なお、他物件について、予め設
定されている災害時料金プランでは、災害時の買電がID登録物件および他物件とも24円/kWh、売電が18円/kWhとして設定されているものとする。
【0082】
図10に示すフローにおいて、処理の開始後、可搬型蓄電池の利用実績(売買)を確定するための料金が算出される(ステップS161)。テーブル20e5に例示のように、スマートメータ11aを介して計測された専有部負荷12aに関する電気料金が確定される。また、テーブル20f4に例示のように、請求に係る月単位の可搬型蓄電池に関する利用実績がデータベース20から抽出される。管理装置2は、例えば、登録された蓄電池IDを検索キーとしてデータベース20を検索し、料金請求に係る期間の利用実績を抽出する。また、テーブル20f5に例示のように、他物件における災害時対応を含む可搬型蓄電池の、請求に係る月単位の利用実績が通信ネットワークNを通じて抽出される。管理装置2は、例えば、登録された蓄電池IDを他物件(他の一括受電システム50)の管理装置に通知し、請求に係る月単位の利用実績を要求する。他物件(他の一括受電システム50)の管理装置は、管理装置2の要求を受け付け、自身が管理するデータベースから当該蓄電池IDに関する利用実績を抽出し、自物件の物件IDとともに管理装置2に送信する。管理装置2は、通信ネットワークNを通じて他物件から送信された蓄電池IDに関する利用実績を受け付けるとともに、物件IDを関連付けてテーブル20f5に格納する。なお、テーブル20f5に例示のように、災害対応中の利用では、属性カラムに「災害時」が格納され、災害時料金プランを適用することが識別されている。
【0083】
ステップS162では、データベース20から抽出された利用実績、他物件における災害時対応を含む利用実績に基づいて、蓄電池IDに対応する可搬型蓄電池の利用実績の有無が判定される。すなわち、ステップS162において、請求に係る月単位の可搬型蓄電池に関する利用実績が存在しない場合には(ステップS162、“なし”)、清算額を“0”として処理をステップS167に進め、そうでない場合には(ステップS162、“あり”)、処理をステップS163に進める。
【0084】
ステップS163では、ステップS133と同様にして売電を目的とした可搬型蓄電池の利用の有無が判定される。ステップS163において、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f4)および他物件における災害時対応を含む利用実績(テーブル20f5)の中に売電を目的とした可搬型蓄電池の利用実績が存在しない場合には(ステップS163、“なし”)、処理はステップS165に進み、そうでない場合には(ステップS163、“あり”)、処理はステップS164に進む。
【0085】
ステップS164では、ステップS161で確定された専有部負荷12aに関する電気料金に対し、売電を目的として利用された電力量の料金が支払金額として追加される。管理装置2は、例えば、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f4)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。また、管理装置2は、他物件における災害時対応を含む利用実績(テーブル20f5)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。なお、災害時対応における売電を目的とした電力量(kWh)に対する料金プランは、通常料金とは異なるため、個別の電力量(kWh)が算出される。
そして、管理装置2は、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f4)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)と、他物件における利用実績(テーブル20f5)の中の売電を目的とした総電力量(kWh)と足し合わせ、請求に係る合算総電力量(kWh)を算出する。管理装置2は、予め料金プランとして登録された課金料金に基づいて、売電を目的とした合算総電力量(kWh)に対応する通常支払金額を算出する。また、管理装置2は、災害時対応における個別の電力量(kWh)に予め災害時料金プランとして設定された課金料金を適用し、災害時における売電を目的とした災害時支払金額を算出する。そして、合算総電力量(kWh)から算出された通常支払金額と、災害時支払金額とを合算し、売電を目的とする支払金額を算出する。算出された支払金額は、例
えば、テーブル20e5に格納された電気料金に追加され、テーブル20g5に示すように他物件における災害時対応を含む可搬型蓄電池の売電利用金額(支払金額)を反映した料金テーブルを生成し、ステップS165に進む。
【0086】
ステップS165では、ステップS135と同様にして買電を目的とした可搬型蓄電池の利用の有無が判定される。ステップS165において、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f4)および他物件における災害時対応を含む利用実績(テーブル20f5)の中に買電を目的とした可搬型蓄電池の利用実績が存在しない場合には(ステップS165、“なし”)、処理はステップS167に進み、そうでない場合には(ステップS165、“あり”)、処理はステップS166に進む。
【0087】
ステップS166では、ステップS164で生成された料金テーブル(テーブル20g5)の請求料金から、買電に係る電力量に応じた供給金額が減額される。管理装置2は、例えば、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f4)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。また、管理装置2は、他物件における災害時対応を含む利用実績(テーブル20f5)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)を算出する。なお、災害時対応における買電を目的とした電力量(kWh)に対する料金プランは、通常料金とは異なるため、個別の電力量(kWh)が算出される。
そして、管理装置2は、データベース20から抽出された利用実績(テーブル20f4)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)と、他物件における利用実績(テーブル20f5)の中の買電を目的とした総電力量(kWh)と足し合わせ、請求に係る合算総電力量(kWh)を算出する。管理装置2は、予め料金プランとして登録された課金料金に基づいて、買電を目的とした合算総電力量(kWh)に対応する通常供給金額を算出する。また、管理装置2は、災害時対応における個別の電力量(kWh)に予め災害時料金プランとして設定された課金料金を適用し、災害時における買電を目的とした災害時供給金額を算出する。そして、合算総電力量(kWh)から算出された通常供給金額と、災害時供給金額とを合算し、買電を目的とする供給金額を算出する。算出された供給金額は、例えば、テーブル20g5に格納された請求金額から減額され、テーブル20g6に示すように他物件における災害時対応を含む可搬型蓄電池の買電利用金額(供給金額)を反映した料金テーブルを生成し、ステップS167に進む。
【0088】
ステップS167では、居住者に対する電気使用料金についての請求額が算出される。管理装置2は、テーブル20e5に示す電気料金(利用電気料金)に対し、可搬型蓄電池の売買電を目的とした、災害時対応を含む他物件での利用実績から算出された精算額を足し合わせ、居住者に対する請求額を算出する。管理装置2は、テーブル20e5に、生成されたテーブル20g5およびテーブル20g6の売電量および買電量を反映させて、テーブル20e6に示す請求金額テーブルを生成する。専有部120を使用する集合住宅1aの居住者には、管理装置2によって生成された請求金額テーブル(テーブル20e6)に基づいて、災害対応時を含む可搬型蓄電池の他物件における利用実績を反映させた月単位の請求額が確定される。ステップS167の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0089】
以上、説明したように、本実施例に係る電力供給システム1は、専有部120に、可搬型蓄電池を構成するEV/PHV122に接続されるV2H121を有し、当該可搬型蓄電池を介した売買電の双方向の電力計測が可能なスマートメータ11fを備える。また、電力供給システム1は、共用部130に、可搬型蓄電池を構成するEV/PHV132に接続されるV2H131を有し、当該可搬型蓄電池を介した売買電の双方向の電力計測が可能なスマートメータ11gを備える。電力供給システム1の管理装置2は、スマートメータ11fを通じて計測された可搬型蓄電池(EV/PHV122)の売電電力および買電電力、スマートメータ11gを通じて計測された可搬型蓄電池(EV/PHV132)の売電電力および買電電力を取得することができる。
【0090】
管理装置2は、可搬型蓄電池管理情報として、利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、登録情報、利用実績に関する情報が格納されたデータベース20を備える。管理装置2は、通信ネットワークNを通じて接続された利用者(専有部120、共用部130の利用者)の利用者端末(PC/スマホ30)を介して、可搬型蓄電池(EV/PHV122、EV/PHV132等)に専用のID(蓄電池ID)を発行し、登録情報としてデータベース20登録できる。そして、管理装置2は、データベース20に格納された利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、利用実績に関する情報等に基づいて、専有部120、共用部130を介して接続されたID登録済みの可搬型蓄電池に対する売買電サービスを利用者に提供することができる。
【0091】
また、本実施例に係る電力供給システム1において管理装置2は、通信ネットワークNを介して、集合住宅1a外部の他の一括受電システム50が備える管理装置と接続される。管理装置2は、通信ネットワークNを介して接続された他の一括受電システム50が備える管理装置からの要請を受け付け、データベース20に格納された利用設定に関する情報、料金プランに関する情報、災害時料金プランに関する情報、利用実績に関する情報等に基づいて、ID登録済みの可搬型蓄電池に対する売買電サービスを利用者に提供する。これにより、複合施設の所有者と、複合施設における複数の電力供給先の両方に可搬型蓄電池を含む分散型電源による自家発電の利益を供与可能な電力供給システム1が提供できる。
【0092】
(その他)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本実施の形態の開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組合せて実施することができる。
【0093】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0094】
《コンピュータが読み取り可能な記録媒体》
情報処理装置その他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記何れかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0095】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【0096】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
電力系統(3)と連系し、複数の電力供給先を含む複合施設(1a)に電力を供給する
電力供給システム(1)であって、
前記複数の電力供給先の内の少なくとも一つの電力供給先(120,130)に設けられ、前記電力系統(3)から供給された供給電力を可搬型蓄電池(122、132)への充電電力に変換するとともに、前記可搬型蓄電池(122、132)の余剰電力を変換し前記電力系統(3)に出力する電力変換器(121,131)と、
前記電力変換器(121,131)に可搬型蓄電池(122、132)が接続されたときに、前記電力系統(3)から前記電力変換器(121,131)に供給される供給電力を計測し、または、前記電力変換器(121,131)から前記電力系統(3)に出力される変換後の余剰電力を計測する電力計測器(11f,11g)と、
前記電力計測器(11f,11g)で計測された電力値に基づいて、前記可搬型蓄電池(122、132)の利用に関する請求料金および還元料金を所定の料金プランに従って算出する管理装置(2)と、
を備えることを特徴とする電力供給システム(1)。
【符号の説明】
【0097】
1 電力供給システム
1a 集合住宅
2 管理装置
3 系統
4 親スマートメータ(双方向)
5 蓄電池コントローラ
6 LTEルータ
7 ハブ
8a、8b、8c ゲートウェイ
9 第一分電盤
10 第二分電盤
11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h スマートメータ
12a、12b、12c、120 専有部
13、130 共用部
14 蓄電池
15 太陽電池
16 蓄電池パワコン
17 太陽電池パワコン
20 データベース
30 利用者端末(PC/スマホ)
50 他の一括受電システム
121、131 V2H(電力変換器)
122、132 EV/PHV(可搬型蓄電池)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10