IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-プリンタ 図1
  • 特開-プリンタ 図2
  • 特開-プリンタ 図3
  • 特開-プリンタ 図4
  • 特開-プリンタ 図5
  • 特開-プリンタ 図6
  • 特開-プリンタ 図7
  • 特開-プリンタ 図8
  • 特開-プリンタ 図9
  • 特開-プリンタ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184195
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221206BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 401
B41J2/17 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091902
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】高山 治久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EB07
2C056EB13
2C056EB37
2C056EC14
2C056EC28
2C056EC35
2C056FA10
2C056HA44
2C056JC17
(57)【要約】
【課題】印刷対象物に対してヘッドが相対移動する方向において装置全体の大型化を抑制できるプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ1はヘッド10と照射装置50を備える。照射装置50は回転軸73を介してヘッド10と連結され、ヘッド10と共に左右方向に移動する。照射装置50は直方体であり、第一光源51、第二光源52、第一光源面51a、第二光源面52aを備える。第一光源51は第一波長の光を発し、第二光源52は第一波長と異なる第二波長の光を発する。第一光源面51aは第一光源51を備え、第二光源面52aは第二光源52を備える。プリンタ1は第一光源面51aと第二光源面52aのうち第一光源面51aが照射位置に位置する第一状態と、第一光源面51aと第二光源面52aのうち第二光源面52aが照射位置に位置する第二状態とに切り替える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象物に対して主走査方向に相対移動し、光硬化性のインクを前記印刷対象物に吐出するヘッドと、
前記インクが付着した前記印刷対象物に対して光を照射する照射装置とを備え、
前記照射装置は、
所定の第一波長の光を発する第一光源と、
前記第一光源を備える第一光源面と、
前記第一波長と異なる第二波長の光を発する第二光源と、
前記第二光源を備える第二光源面とを備え、
前記照射装置は、
前記第一光源面および前記第二光源面のうち一方が、前記ヘッドに対して前記主走査方向に並ぶ位置であって、前記印刷対象物に対して光を照射する照射位置に位置する第一状態と、
前記第一光源面および前記第二光源面のうち他方が、前記照射位置に位置する第二状態とに切り替え可能に構成されることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記照射装置は、前記第一光源面および前記第二光源面を備える一のランプであり、
前記一のランプは、前記照射装置が前記印刷対象物に対して光を照射する照射方向と交差する交差方向に延びる軸周りに回転し、
前記第一光源面および前記第二光源面は、前記一のランプの回転方向において互いに異なる位置に配置され、
前記照射装置は、前記一のランプの回転により、前記第一状態と前記第二状態とに切り替えられることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記軸は、前記交差方向のうち、前記主走査方向に延びることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記軸は、前記交差方向のうち、前記照射方向および前記主走査方向と交差する副走査方向に延びることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記照射装置は、前記第一光源面を備える第一ランプと、前記第二光源面を備える第二ランプとを備え、
前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか一方は、
前記第一状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に配置される位置に位置し、
前記第二状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置と異なる位置に位置し、
前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか他方は、
前記第一状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置と異なる位置に位置し、
前記第二状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に配置される位置に位置し、
前記第一ランプおよび前記第二ランプは、前記照射装置が前記印刷対象物に対して光を照射する照射方向と交差する交差方向に平行移動し、
前記照射装置は、前記第一ランプおよび前記第二ランプが前記交差方向に平行移動することにより、前記第一状態と前記第二状態とに切り替えられることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記第二状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか一方、および前記第一状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか他方は、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に対して、前記主走査方向と交差する副走査方向に退避する位置に位置することを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記第二状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか一方、および前記第一状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか他方は、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に対して、前記照射装置が前記印刷対象物に対して光を照射する照射方向における前記印刷対象物から前記照射装置に向かう向き、および前記主走査方向における前記照射位置から前記ヘッドの位置に向かう向きの少なくとも一つに退避する位置に位置することを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記ランプは、前記第一光源および前記第二光源の熱を放出する放熱板を備え、
前記第二光源面は、前記軸の径方向において、前記放熱板を挟んで前記第一光源面とは反対の位置に配置されることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項9】
前記放熱板に風をあてるファンを備えることを特徴とする請求項8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記ヘッドから吐出された前記インクによって形成されるミストを回収する回収部を備え、
前記ファンは、前記放熱板にあたった後、前記放熱板から前記回収部に向かう風を発生させることを特徴とする請求項9に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記ヘッドは、紫外線が照射されることによって硬化する前記インクを吐出し、
前記照射装置は、前記印刷対象物に付着した前記インクに紫外線を照射することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインクジェット式プリンタは、ドラムと記録ヘッドと複数の光源ユニットとを備える。ドラムは回動することにより用紙を搬送する。記録ヘッドはドラムの外周面に対向して配置される。記録ヘッドは紫外線硬化型インクを用紙に吐出する。複数の光源ユニットはそれぞれ用紙の搬送方向において記録ヘッドの下流側に配置される。複数の光源ユニットは互いに用紙の搬送方向に沿って並べられる。複数の光源ユニットは互いに異なるピーク波長の紫外線を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-030120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記インクジェット式プリンタにおいて、複数の光源ユニットが互いに用紙の搬送方向に沿って並べられるので、上記インクジェット式プリンタの搬送方向における大きさが大きくなる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、印刷対象物に対してヘッドが相対移動する方向において装置全体の大型化を抑制できるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷対象物に対して主走査方向に相対移動し、光硬化性のインクを前記印刷対象物に吐出するヘッドと、前記インクが付着した前記印刷対象物に対して光を照射する照射装置とを備え、前記照射装置は、所定の第一波長の光を発する第一光源と、前記第一光源を備える第一光源面と、前記第一波長と異なる第二波長の光を発する第二光源と、前記第二光源を備える第二光源面とを備え、前記照射装置は、前記第一光源面および前記第二光源面のうち一方が、前記ヘッドに対して前記主走査方向に並ぶ位置であって、前記印刷対象物に対して光を照射する照射位置に位置する第一状態と、前記第一光源面および前記第二光源面のうち他方が、前記照射位置に位置する第二状態とに切り替え可能に構成されることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、照射装置において、第一光源面および第二光源面のうちいずれか一方が照射位置に位置する。よって、プリンタは主走査方向において第一光源面および第二光源面の他方の分、装置全体の大型化を抑制できる。
【0008】
前記照射装置は、前記第一光源面および前記第二光源面を備える一のランプであり、前記一のランプは、前記照射装置が前記印刷対象物に対して光を照射する照射方向と交差する交差方向に延びる軸周りに回転し、前記第一光源面および前記第二光源面は、前記一のランプの回転方向において互いに異なる位置に配置され、前記照射装置は、前記一のランプの回転により、前記第一状態と前記第二状態とに切り替えられてもよい。
【0009】
この場合、照射装置においてランプの回転により、第一光源面および第二光源面のうちいずれか一方のみが照射位置に位置する。よって、プリンタは主走査方向において第一光源面および第二光源面の他方の分、装置全体の大型化を抑制できる。
【0010】
前記軸は、前記交差方向のうち、前記主走査方向に延びてもよい。
【0011】
この場合、プリンタは主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成でランプを回転できる。
【0012】
前記軸は、前記交差方向のうち、前記照射方向および前記主走査方向と交差する副走査方向に延びてもよい。
【0013】
この場合、プリンタは主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成でランプを回転できる。
【0014】
前記照射装置は、前記第一光源面を備える第一ランプと、前記第二光源面を備える第二ランプとを備え、前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか一方は、前記第一状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に配置される位置に位置し、前記第二状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置と異なる位置に位置し、前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか他方は、前記第一状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置と異なる位置に位置し、前記第二状態において、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に配置される位置に位置し、前記第一ランプおよび前記第二ランプは、前記照射装置が前記印刷対象物に対して光を照射する照射方向と交差する交差方向に平行移動し、前記照射装置は、前記第一ランプおよび前記第二ランプが前記交差方向に平行移動することにより、前記第一状態と前記第二状態とに切り替えられてもよい。
【0015】
この場合、照射装置において第一ランプおよび第二ランプが交差方向に平行移動することにより、第一光源面および第二光源面のうちいずれか一方のみが照射位置に位置する。よって、プリンタは主走査方向において第一光源面および第二光源面の他方の分、装置全体の大型化を抑制できる。
【0016】
前記第二状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか一方、および前記第一状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか他方は、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に対して、前記主走査方向と交差する副走査方向に退避する位置に位置してもよい。
【0017】
この場合、プリンタは主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成で第一ランプおよび第二ランプを平行移動できる。
【0018】
前記第二状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか一方、および前記第一状態の前記第一ランプおよび前記第二ランプのいずれか他方は、対応する前記第一光源面および前記第二光源面のいずれかが前記照射位置に対して、前記照射装置が前記印刷対象物に対して光を照射する照射方向における前記印刷対象物から前記照射装置に向かう向き、および前記主走査方向における前記照射位置から前記ヘッドの位置に向かう向きの少なくとも一つに退避する位置に位置してもよい。
【0019】
この場合、プリンタは主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成で第一ランプおよび第二ランプを平行移動できる。
【0020】
前記ランプは、前記第一光源および前記第二光源の熱を放出する放熱板を備え、前記第二光源面は、前記軸の径方向において、前記放熱板を挟んで前記第一光源面とは反対の位置に配置されてもよい。
【0021】
この場合、第一光源面および第二光源面の熱は、放熱板を介して空気に放出される。また、第一光源面および第二光源面を瞬時に切り替えたときも、放熱板の熱分布が分散されて両光源面の温度上昇を抑えることができる。よって、プリンタは照射装置を長時間使用できる。
【0022】
前記放熱板に風をあてるファンを備えてもよい。
【0023】
この場合、放熱板はファンからの風を介して第一光源および第二光源の熱を更に放出することができる。これにより、第一光源および第二光源が過剰に高温になることが抑制される。よって、プリンタは照射装置を長時間使用できる。
【0024】
前記ヘッドから吐出された前記インクによって形成されるミストを回収する回収部を備え、前記ファンは、前記放熱板にあたった後、前記放熱板から前記回収部に向かう風を発生させてもよい。
【0025】
この場合、回収部はファンによる気流を利用してミストを回収する。これにより、放熱板にミストが付着することが抑制される。よって、プリンタは照射装置を長時間使用できる。
【0026】
前記ヘッドは、紫外線が照射されることによって硬化する前記インクを吐出し、前記照射装置は、前記印刷対象物に付着した前記インクに紫外線を照射してもよい。
【0027】
この場合、紫外線によってインクが硬化するので、プリンタは印刷対象物の材質等を多様化できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】プリンタ1の斜視図である。
図2】照射装置50が第一状態であり、吐出距離D1が比較的小さい場合のプリンタ1を前方から見た模式図である。
図3】照射装置50が第一状態であり、吐出距離D1が比較的大きい場合のプリンタ1を前方から見た模式図である。
図4】照射装置50が第二状態であり、吐出距離D1が比較的大きい場合のプリンタ1を前方から見た模式図である。
図5】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図6】吐出距離D1が比較的小さい場合、および吐出距離D1が比較的大きい場合における印刷対象物Mに照射される照度を示すグラフである。
図7】メイン処理のフローチャートである。
図8】第二実施形態の照射装置50を説明する模式図である。
図9】第三実施形態の照射装置50を説明する模式図である。
図10】第四実施形態の照射装置50を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照して、本発明の第一実施形態に係るプリンタ1を説明する。図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、および左上方が、それぞれ、プリンタ1の上方、下方、前方、後方、右方、および左方である。
【0030】
図1図4を参照し、プリンタ1の概略構成を説明する。図1に示すように、プリンタ1は搬送機構6と昇降機構8とプラテン5を備える。搬送機構6はプリンタ1の下部に設けられ、一対のレール12を含む。一対のレール12は前後方向に延び、互いに左右方向に並ぶ。
【0031】
昇降機構8は搬送機構6の上側に設けられ、一対のレール12によって支持される。昇降機構8は、一対のレール12に沿って前後方向(副走査方向)に移動する。昇降機構8は、上下方向に伸縮する。
【0032】
プラテン5は昇降機構8の上側に設けられる。プラテン5は板である。プラテン5は、昇降機構8によって支持される。プラテン5は昇降機構8の上下方向の伸縮により、上下方向に移動する。プラテン5は昇降機構8の前後方向の移動により、前後方向に移動する。プラテン5の上面には印刷対象物が載置される。
【0033】
プリンタ1は一対のレール11とキャリッジ20を備える。一対のレール11はプラテン5よりも上方に設けられる。一対のレール11は左右方向に延び、互いに前後方向に並ぶ。キャリッジ20は一対のレール11の前後方向の間に設けられる。キャリッジ20は板であり、一対のレール11によって支持される。キャリッジ20は、一対のレール11に沿って左右方向(主走査方向)に移動する。
【0034】
キャリッジ20はヘッド10を支持する。ヘッド10の個数は特定の個数に限定されないが、第一実施形態では、二つのヘッド10がキャリッジ20に搭載される。二つのヘッド10は直方体状であり、前後方向に並ぶ。二つのヘッド10は、キャリッジ20に固定される。
【0035】
図2図4に示すように、プラテン5の上面には印刷対象物Mが載置される。印刷対象物Mは例えば板状、シート状であり、例えば布、紙、プラスチック、金属で構成される。ヘッド10の下面にはノズル面101が形成される。ノズル面101はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。ノズル面101には複数のノズル孔101aが形成される。ヘッド10は複数のノズル孔101aからインクを下方に吐出する(矢印A1参照)。一例として、インクは紫外線が照射されることによって硬化する、いわゆる紫外線硬化性インクである。
【0036】
以下では、上下方向においてノズル面101とプラテン5の間の距離を「プラテン距離D0」といい、上下方向においてノズル面101と印刷対象物Mの間の距離を「吐出距離D1」という。プラテン距離D0は特定の値、または特定の範囲に限定されないが、例えば、昇降機構8の上下方向の伸縮によって2mm~15mm程度の間を変位する。吐出距離D1はプラテン距離D0と印刷対象物Mの厚みによって変位する。ユーザは例えば吐出距離D1が目的の距離となるように、印刷対象物Mの厚みに応じて昇降機構8を伸縮させてプラテン距離D0を調整する。
【0037】
一例として、図2に示すプラテン距離D0は図3に示すプラテン距離D0と同じである。図2に示す印刷対象物Mの厚みは図3に示す印刷対象物Mの厚みよりも厚い。したがって、図2に示す吐出距離D1は図3に示す吐出距離D1よりも小さい。
【0038】
図2図4に示すように、ヘッド10の右側には照射装置50が設けられる。照射装置50はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。照射装置50の個数は特定の個数に限定されないが、第一実施形態では二つの照射装置50が設けられる。すなわち、第一実施形態ではプリンタ1はヘッド10の個数分の照射装置50を備える。第一実施形態の照射装置50は直方体状であり、右側面視で正方形である。
【0039】
照射装置50は第一光源面51aおよび第二光源面52aを有する。第一光源面51aおよび第二光源面52aは照射装置50の外面を形成する。照射装置50は複数の第一光源51、複数の第二光源52、および放熱板53を備える。複数の第一光源51および複数の第二光源52はそれぞれ紫外線発光ダイオード(Ultraviolet Light Emitting Diode)である。
【0040】
複数の第一光源51は第一光源面51aに設けられる。複数の第一光源51はそれぞれ第一波長の紫外線を発する。第一波長は特定の波長に限定されない。複数の第一光源51が駆動され、複数の第一光源51からそれぞれ第一波長の紫外線が放出される。
【0041】
複数の第二光源52は第二光源面52aに設けられる。複数の第二光源52はそれぞれ第二波長の紫外線を発する。第二波長は第一波長と異なる。第一実施形態において、第二波長は第一波長よりも大きい。複数の第二光源52が駆動され、複数の第二光源52からそれぞれ第二波長の紫外線が放出される。すなわち、第一実施形態の照射装置50は一のランプであり、複数の光源(第一光源51と第二光源52)を備える。
【0042】
放熱板53は直方体状である。放熱板53には孔54が設けられる。孔54は放熱板53を左右方向に貫通する。孔54には回転軸73が挿通される。回転軸73の説明は後述する。照射装置50は回転軸73周りに回転する。
【0043】
複数の第二光源52は回転軸73の径方向において、放熱板53を挟んで複数の第一光源51とは反対の位置に設けられる。すなわち、第二光源面52aは回転軸73の径方向において、放熱板53を挟んで第一光源面51aとは反対の位置に配置される。放熱板53は複数の第一光源51、複数の第二光源52が発光した際に生じる熱を照射装置50から放出する。
【0044】
照射装置50は回転軸73周りに回転されることで、図3に示す第一状態と図4に示す第二状態とに切り替え可能に構成される。第一状態は第一光源面51aが放熱板53の下側に配置される状態である。第二状態は第二光源面52aが放熱板53の下側に配置される状態である。すなわち、第一状態の第一光源面51aおよび第二状態の第二光源面52aはプラテン5に対して上方から対向する。
【0045】
第一状態において、照射装置50は複数の第一光源51を発光させることで、第一波長の紫外線を下方に照射する(矢印A2参照)。第二状態において、照射装置50は複数の第二光源52を発光させることで、第二波長の紫外線を下方に照射する。第一実施形態では、第一状態の第一光源面51aおよび第二状態の第二光源面52aの上下方向における位置はノズル面101の上下方向の位置と同じである。以下、ヘッド10に対して左右方向(主走査方向)に並べられ、紫外線を照射する第一状態の第一光源面51aおよび第二状態の第二光源面52aの位置を照射位置という。
【0046】
ヘッド10は駆動機構70を備える。駆動機構70は駆動モータ71と回転軸73を備える。駆動モータ71は例えばパルス信号に同期して回転するステッピングモータである。回転軸73は駆動モータ71の出力軸に固定され、駆動モータ71から右方に延びる。回転軸73は照射装置50の孔54を挿通する。回転軸73の右端部は照射装置50よりも右側で後述するファン60と連結する。すなわち、駆動機構70は照射装置50およびファン60をヘッド10と連結する。照射装置50は駆動モータ71の回転駆動により回転軸73周りに回転し、第一状態および第二状態のいずれかに切り替えられる。
【0047】
図2図4に示すように、照射装置50の右側にはファン60が設けられる。ファン60は回転軸73の右端部に連結される。ファン60は例えば軸流ファンである。ファン60は直方体状である。ファン60の右面には吸気口61が設けられる。ファン60は吸気口61から周囲の空気を取り込んで左方に送る。ファン60は放熱板53に風をあて、その後放熱板53から上方に向けて風を送る。第一光源51および第二光源52の熱は放熱板53にあてられた風により、照射装置50の外部に放出される。
【0048】
ヘッド10および照射装置50の上側には回収部80が設けられる。回収部80は筒状である。回収部80の内部には非図示の吸収体が設けられる。吸収体は吸収性を有し、例えばメラミン樹脂のスポンジで構成される。放熱板53から上方に向けて風は回収部80の内部に送られる。ヘッド10から吐出されたインクは印刷対象物Mに着弾する。印刷対象物Mに着弾したインクの一部はミストとなる場合がある。この場合、ミストは放熱板53から上方に向かう風にのり、回収部80の吸収体に吸収される。
【0049】
図5を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は制御基板40を備える。制御基板40にはCPU41、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44が設けられる。CPU41はプリンタ1の制御を司り、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44と電気的に接続する。
【0050】
ROM42は、CPU41がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU41が必要な情報等を記憶する。RAM43は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ44は、不揮発性であり、印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0051】
CPU41には主走査モータ31、副走査モータ32、ヘッド駆動部33、昇降モータ34、第一光源51、第二光源52、ファン60、駆動モータ71、吸引ポンプ81、距離センサ35、および操作部37が電気的に接続される。主走査モータ31、副走査モータ32、ヘッド駆動部33、昇降モータ34、第一光源51、第二光源52、ファン60、駆動モータ71、および吸引ポンプ81はCPU41による制御によって駆動する。
【0052】
駆動モータ71にはエンコーダ711が設けられる。エンコーダ711は駆動モータ71の回転角度を検出し、検出信号をCPU41に出力する。CPU41はエンコーダ711からの検出信号に基づいて、照射装置50の回転位置を特定できる。ヘッド駆動部33は圧電素子、発熱素子等であり、駆動することでヘッド10にノズル孔101aからインクを吐出させる。
【0053】
吸引ポンプ81は、非図示のチューブにより、図2図4に示す回収部80に接続される。吸引ポンプ81が駆動されると、回収部80の内部が負圧になる。
【0054】
操作部37はタッチパネル等であり、ユーザによる操作に応じた情報をCPU41に出力する。ユーザは操作部37を操作することで、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示等をプリンタ1に入力できる。
【0055】
距離センサ35は、図2図4に示すように、光センサであり、キャリッジ20に固定される。距離センサ35は吐出距離D1を検出し、検出信号をCPU41に出力する。CPU41は距離センサ35からの検出信号に基づいて、吐出距離D1を特定できる。
【0056】
上記プリンタ1において、図2及び図3に示すように、印刷対象物Mの厚みにより吐出距離D1が変化する場合がある。図6に示すように、吐出距離D1が大きくなる程、印刷対象物Mに照射される紫外線の照度が低下する。故に吐出距離D1が比較的大きい場合、吐出距離D1が比較的小さい場合よりも印刷対象物Mに付着したインクを硬化させ難い。
【0057】
プリンタ1は以下説明するメイン処理において、第一波長の紫外線と第二波長の紫外線とを印刷対象物Mにそれぞれ照射する。第一波長の紫外線は第二波長の紫外線と比較して、インクに吸収され易い。よって、第一波長の紫外線は第二波長の紫外線と比較して、照射装置50に近い印刷対象物M上部に印刷されたインクを硬化させ易い。一方、第二波長の紫外線は第一波長の紫外線と比較して、印刷対象物M上部に印刷されたインクに吸収され難い。よって、第二波長の紫外線は第一波長の紫外線と比較して、照射装置50から遠い印刷対象物M下部に印刷されたインクを硬化させ難い。プリンタ1は第一波長の紫外線と第二波長の紫外線とをそれぞれ照射するので、吐出距離D1が比較的大きい場合でも印刷対象物Mに付着したインクを十分に硬化できる。ここで第一波長と第二波長の紫外線の例としては、一方はインクの硬化開始剤の吸収波長に近いためインクの硬化はしやすいが、短波長であるためにインク中の粒子で散乱されやすく、印字したインクの表層のみの硬化になりやすい波長の紫外線、もう一方は前記波長よりは長波長であるため印字したインクの奥まで固まりやすいが、インクの硬化開始剤の吸収波長よりはずれるので硬化はしにくい波長の紫外線などあげられる。
【0058】
印刷対象物に複数の波長の紫外線が照射される場合、複数の第一光源と複数の第二光源とが左右方向に並べられる構成が考えられる。左右方向はヘッドの移動方向(主走査方向)と等しい。この構成では、複数の第一光源と複数の第二光源の大きさの分、ヘッドの左右方向の移動範囲が小さくなる、またはプリンタの装置全体の大きさが大型化する。
【0059】
第一光源面51aおよび第二光源面52aは照射装置50の回転方向において互いに異なる位置に配置される。プリンタ1は照射装置50を回転させて第一状態と第二状態とに切り替えることで、第一光源面51aおよび第二光源面52aのうちいずれか一方が照射位置に位置する。よって、プリンタ1は主走査方向において第一光源面51aおよび第二光源面52aの他方の分、ヘッド10の左右方向の移動範囲を確保できる、またはプリンタ1の装置全体の大型化を抑制できる。
【0060】
図7を参照し、メイン処理を説明する。メイン処理の開始前、照射装置50は第一状態である。つまり、第一光源面51aは照射位置に位置する。ユーザはプラテン5上に印刷対象物Mを載置する。ユーザは図5に示す操作部37を操作し、印刷指示をプリンタ1に入力する。印刷指示が入力されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、メイン処理を実行する。
【0061】
メイン処理が開始されると、CPU41は吐出距離D1を取得する(S1)。S1では、CPU41はテスト走査を行う。テスト走査では、CPU41は副走査モータ32を駆動し、キャリッジ20の移動経路の下方までプラテン5を後方に移動させる。この状態で、CPU41は主走査モータ31を駆動し、ヘッド10からインクを吐出させることなくキャリッジ20を左右方向に移動させる。距離センサ35は吐出距離D1を検出し、検出信号をCPU41に出力する。CPU41はプラテン5に対してキャリッジ20が所定の位置に配置された一点において、距離センサ35からの検出信号に基づいて吐出距離D1を取得し、RAM43に記憶する。
【0062】
CPU41は印刷データに基づいて印刷照射制御を行う(S2)。印刷照射制御では、CPU41は副走査モータ32を駆動し、キャリッジ20の移動経路の下方までプラテン5を後方に移動させる。第一実施形態では、CPU41はいわゆる片方向印刷を制御する。
【0063】
CPU41は主走査モータ31を駆動し、キャリッジ20を右方から左方に移動させる。この場合、CPU41はヘッド駆動部33と複数の第一光源51を駆動し、ヘッド10からプラテン5上の印刷対象物Mにインクを吐出させ、且つ照射装置50からプラテン5上の印刷対象物Mに紫外線を照射させる(図2図4の矢印Y1参照)。
【0064】
照射装置50がヘッド10よりも右方に位置する。このため、キャリッジ20が右方から左方に移動する場合には、照射装置50から印刷対象物Mに照射された紫外線(図2図4の矢印A2参照)は、実行中のヘッド10の走査において印刷対象物Mに付着したインクに照射される。これにより、印刷対象物Mに付着したインクが硬化する。
【0065】
CPU41は主走査モータ31を駆動し、キャリッジ20を左方から右方に移動させる。キャリッジ20の移動中において、CPU41はヘッド駆動部33、複数の第一光源51、および複数の第二光源52のうち複数の第一光源51のみを駆動する。従って、ヘッド10からインクを吐出させず、且つ照射装置50からプラテン5上の印刷対象物Mに紫外線を照射させる(図2図4の矢印Y2参照)。
【0066】
キャリッジ20が左方から右方に移動する場合には、照射装置50から印刷対象物Mに照射された紫外線(図2図4の矢印A2参照)は、前回のヘッド10の走査において印刷対象物Mに付着したインクに照射される。これにより、印刷対象物M上のインクに照射される紫外線の積算光量が増加する。
【0067】
ヘッド10の左右方向への一往復の走査が所定回数終わると、CPU41は副走査モータ32を駆動し、プラテン5を所定量前方へ移動させる。CPU41はヘッド10の左右方向への所定回数の走査とプラテン5の前方への所定量の移動を繰り返すことで、プラテン5上の印刷対象物Mへの印刷を制御する。所定回数は1回でもよいし、2回以上でもよい。
【0068】
CPU41は印刷データに基づいて印刷照射制御が完了したか否かを判断する(S3)。印刷データの大きさと印刷照射制御の処理時間との関係はROM42に記憶されている。印刷照射制御が完了していない場合(S3:NO)、CPU41は処理をS3に戻す。印刷照射制御が完了した場合(S3:YES)、CPU41は処理をS4に移行する。
【0069】
CPU41は取得した吐出距離D1が閾値よりも大きいか否かを判断する(S4)。閾値はROM42に記憶されている。閾値は特定の値に限定されないが、例えばプラテン距離D0の下限よりも大きく、プラテン距離D0の上限よりも小さい。
【0070】
吐出距離D1が閾値以下の場合(S4:NO)、CPU41はメイン処理を終了する。吐出距離D1が閾値よりも大きい場合(S4:YES)、CPU41は照射装置50を第一状態から第二状態に切り替える(S5)。CPU41は駆動モータ71を駆動し、照射装置50を回転させて第二光源面52aを照射位置に配置する。
【0071】
CPU41は照射制御を行う(S6)。照射制御では、CPU41は副走査モータ32を駆動し、キャリッジ20の移動経路の下方までプラテン5を後方に移動させる。CPU41は主走査モータ31を駆動し、キャリッジ20を右方から左方に移動させる。キャリッジ20の移動中において、CPU41はヘッド駆動部33、複数の第一光源51、および複数の第二光源52のうち複数の第二光源52のみを駆動する。従って、ヘッド10からインクを吐出させず、且つ照射装置50からプラテン5上の印刷対象物Mに紫外線を照射させる。照射装置50の左方向への走査が終わると、CPU41は副走査モータ32を駆動し、プラテン5を所定量前方へ移動させる。
【0072】
CPU41は主走査モータ31を駆動し、キャリッジ20を左方から右方に移動させる。CPU41はヘッド駆動部33、複数の第一光源51、および複数の第二光源52のうち複数の第二光源52のみを駆動し、ヘッド10からインクを吐出させず、且つ照射装置50からプラテン5上の印刷対象物Mに紫外線を照射させる。照射装置50の右方向への走査が終わると、CPU41は副走査モータ32を駆動し、プラテン5を所定量前方へ移動させる。第一実施形態では、CPU41は照射装置50の左方向または右方向の走査が終わると、プラテン5を所定量前方へ移動させる。これに対し、CPU41は例えば照射装置50の左右方向への一往復の走査が所定回数終わった場合に、プラテン5を所定量前方へ移動させてもよい。
【0073】
CPU41は印刷データに基づいて照射制御が完了したか否かを判断する(S7)。印刷データの大きさと照射制御の処理時間との関係はROM42に記憶されている。印刷照射制御が完了していない場合(S7:NO)、CPU41は処理をS7に戻す。印刷照射制御が完了した場合(S7:YES)、CPU41は処理をS8に移行する。
【0074】
CPU41は照射装置50を第二状態から第一状態に切り替える(S8)。CPU41は駆動モータ71を駆動し、照射装置50を回転させて第一光源面51aを照射位置に配置する。CPU41はメイン処理を終了する。
【0075】
以上説明したように、第一実施形態では、プリンタ1は第一状態と、第二状態とに切り替える。第一状態では、第一光源面51aと第二光源面52aのうち第一光源面51aが照射位置に位置する。第二状態では、第一光源面51aと第二光源面52aのうち第二光源面52aが照射位置に位置する。よって、プリンタ1は主走査方向において第一光源面51aおよび第二光源面52aの他方の分、ヘッド10の左右方向の移動範囲を確保できる、または主走査方向において装置全体の大型化を抑制できる。
【0076】
照射装置50は第一光源面51aおよび第二光源面52aを備える。照射装置50は回転軸73周りに回転する。回転軸73は左右方向に延びる。第一光源面51aおよび第二光源面52aは照射装置50の回転方向において互いに異なる位置に配置される。CPU41は駆動モータ71を駆動し、照射装置50を回転させる。これにより、照射装置50は第一状態と第二状態とに切り替えられる。この場合、照射装置50の回転により、第一光源面51aおよび第二光源面52aのうちいずれか一方のみが照射位置に位置する。よって、プリンタ1は主走査方向において第一光源面51aおよび第二光源面52aの他方の分、ヘッド10の左右方向の移動範囲を確保できる、または主走査方向において装置全体の大型化を抑制できる。
【0077】
回転軸73は左右方向に延びる。左右方向はキャリッジ20の移動方向(主走査方向)と等しい。回転軸73はヘッド10と照射装置50とを連結する構成である。よって、プリンタ1は主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成で照射装置50を回転できる。
【0078】
第二光源面52aは回転軸73の径方向において、放熱板53を挟んで第一光源面51aとは反対の位置に配置される。第一光源面51aおよび第二光源面52aの熱を放熱板53を介して空気に放出する。また第一光源面51aおよび第二光源面52aを瞬時に切り替えた時も放熱板53の熱分布は最も分散されて両光源面の温度上昇も最低限度になる。よって、プリンタ1は照射装置50を長時間使用できる。
【0079】
照射装置50の右側にはファン60が設けられる。ファン60は吸気口61から周囲の空気を取り込んで放熱板53に風をあてる。放熱板53はファン60からの風を介して第一光源51および第二光源52の熱を更に放出することができる。これにより、第一光源51および第二光源52が過剰に高温になることが抑制される。よって、プリンタ1は照射装置50を長時間使用できる。
【0080】
ファン60は放熱板53に風をあてた後、放熱板53から上方の回収部80に向けて風を送る。回収部80はファン60による風を利用してインクによって形成されるミストを回収する。これにより、放熱板53にミストが付着することが抑制される。よって、プリンタ1は照射装置50を長時間使用できる。
【0081】
ヘッド10は紫外線が照射されることによって硬化するインクをノズル面101から吐出する。照射装置50はノズル面101から吐出されて印刷対象物Mに付着したインクに紫外線を照射する。紫外線によってインクが硬化するので、プリンタ1は印刷対象物Mの材質等を多様化できる。すなわち、プリンタ1はインクが比較的定着しにくい印刷対象物Mにも印刷できる。
【0082】
本発明の第二実施形態に係るプリンタ1を説明する。第二実施形態のプリンタ1は照射装置50の回転方向が異なる点が第一実施形態のプリンタ1と異なる。以下、第一実施形態のプリンタ1と同様の機能を有する構成には第一実施形態のプリンタ1と同じ符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0083】
図8に示すように、ヘッド10の右側には照射装置50が設けられる。照射装置50は後述する駆動機構70に支持される。照射装置50はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。照射装置50の個数は特定の個数に限定されないが、第二実施形態では二つの照射装置50が設けられる。照射装置50は直方体状であり、正面視で正方形である。照射装置50はヘッド10と共に左右方向(主走査方向)に移動する。
【0084】
照射装置50は第一光源面51aおよび第二光源面52aを有する。第一光源面51aおよび第二光源面52aは照射装置50の外面を形成する。照射装置50は複数の第一光源51、複数の第二光源52、および放熱板53を備える。放熱板53には前後方向に貫通する孔55が設けられる。孔55には回転軸74が挿通される。回転軸74の説明は後述する。照射装置50は回転軸74周りに回転する。
【0085】
照射装置50は回転軸74周りに回転されることで、図8(a)に示す第一状態と図8(b)に示す第二状態とに切り替え可能に構成される。第一状態は第一光源面51aが照射位置に配置される状態である。第二状態は第二光源面52aが照射位置に配置される状態である。第一状態において、照射装置50は複数の第一光源51をそれぞれ発光させることで、第一波長の紫外線を下方に照射する。第二状態において、照射装置50は複数の第二光源52をそれぞれ発光させることで、第二波長の紫外線を下方に照射する。
【0086】
プリンタ1は駆動機構70を備える。駆動機構70はキャリッジ20の右側に設けられる。駆動機構70は主走査モータ31の駆動でキャリッジ20と共に左右方向(主走査方向)に移動する。駆動機構70は駆動モータ71と回転軸74を備える。駆動モータ71は前後方向においてキャリッジ20の後側に設けられる。回転軸74は駆動モータ71の出力軸に固定され、駆動モータ71から前方に延びる。回転軸74は一対のレール11の上方に設けられる。回転軸74は孔55を挿通して照射装置50と連結する。すなわち、照射装置50は回転軸74により駆動機構70に支持される。照射装置50は駆動モータ71の回転駆動により回転軸74周りに回転し、第一状態および第二状態のいずれかに切り替えられる。
【0087】
第二実施形態では、回転軸74は前後方向(副走査方向)に延びる。前後方向は照射装置50が紫外線を照射する方向(図2図4の矢印A2参照)およびキャリッジ20の移動方向(主走査方向)と交差する。照射装置50は回転軸74周りを回転する。よって、第二実施形態のプリンタ1は主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成で照射装置50を回転できる。
【0088】
本発明の第三実施形態に係るプリンタ1を説明する。第三実施形態のプリンタ1は照射装置50における平行移動により第一状態と第二状態とが切り替えられる点が第一実施形態および第二実施形態のプリンタ1と異なる。以下、第一実施形態および第二実施形態のプリンタ1と同様の機能を有する構成には第一実施形態および第二実施形態のプリンタ1と同じ符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0089】
図9に示すように、ヘッド10の右側には照射装置50が設けられる。照射装置50は後述する駆動機構70に支持される。照射装置50はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bを備える。第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは直方体状である。第二ランプ50bは第一ランプ50aの後側に設けられる。第一ランプ50aおよび第二ランプ50bはレール75の下側に設けられる。第一ランプ50aおよび第二ランプ50bはレール75とそれぞれ連結する。レール75の説明は後述する。照射装置50はヘッド10と共に左右方向(主走査方向)に移動する。
【0090】
第一ランプ50aは第一光源面51aを有する。第一光源面51aは第一ランプ50aの下面を形成する。第一ランプ50aは複数の第一光源51および放熱板53aを備える。複数の第一光源51はそれぞれ第一波長の紫外線を発する。複数の第一光源51は第一光源面51aに設けられる。放熱板53aは第一ランプ50aの上部を形成する。放熱板53aは複数の第一光源51が発光した際に生じる熱を第一ランプ50aから放出する。
【0091】
第二ランプ50bは第二光源面52aを有する。第二光源面51bは第一ランプ50aの下面を形成する。第二ランプ50bは複数の第二光源52および放熱板53bを備える。複数の第二光源52はそれぞれ第二波長の紫外線を発する。複数の第二光源52は第二光源面52aに設けられる。放熱板53bは第二ランプ50bの上部を形成する。放熱板53bは複数の第二光源52が発光した際に生じる熱を第二ランプ50bから放出する。
【0092】
第一ランプ50aおよび第二ランプ50bはレール75に案内されて前後方向に平行移動する。照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bが前後方向に平行移動することで、図9(a)に示す第一状態と図9(b)に示す第二状態とに切り替え可能に構成される。第一状態は第一光源面51aが照射位置に、第二光源面52aが前後方向においてヘッド10よりも後方の位置にそれぞれ配置される状態である。第二状態は第二光源面52aが照射位置に、第一光源面51aが前後方向においてヘッド10よりも前方の位置にそれぞれ配置される状態である。
【0093】
第一状態において、照射装置50は複数の第一光源51をそれぞれ発光させることで、第一波長の紫外線を下方に照射する。第二状態において、照射装置50は複数の第二光源52をそれぞれ発光させることで、第二波長の紫外線を下方に照射する。
【0094】
プリンタ1は駆動機構70を備える。駆動機構70はキャリッジ20の右側に設けられる。駆動機構70は主走査モータ31の駆動でキャリッジ20と共に左右方向(主走査方向)に移動する。駆動機構70は駆動モータ71、レール75、および移動機構(図示略)を備える。駆動モータ71は前後方向においてキャリッジ20の後側に設けられる。レール75は照射装置50の上方で前後方向に延びる。移動機構は例えば一対のプーリと無端状ベルトを備える。一方のプーリはレール75の後端部に回転可能に設けられ、駆動モータ71の出力軸に固定される。他方のプーリはレール75の後端部に回転可能に設けられる。無端状ベルトは一対のプーリ間に架け渡される。無端状ベルトはレール75の下側で第一ランプ50aおよび第二ランプ50bを支持する。すなわち、照射装置50は移動機構により駆動機構70に支持される。第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは駆動モータ71が駆動することで、移動機構を介して前後方向に平行移動する。これにより、照射装置50は第一状態と第二状態とに切り替えられる。
【0095】
第三実施形態では、照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bを備える。第一ランプ50aは第一光源面51aを備える。第二ランプ50bは第二光源面52aを備える。第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは駆動モータ71が駆動することで、前後方向に平行移動する。照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bの平行移動により、第一状態と第二状態とに切り替えられる。この場合、第一光源面51aおよび第二光源面52aのうちいずれか一方のみが照射位置に位置する。よって、プリンタ1は主走査方向において第一光源面51aおよび第二光源面52aの他方の分、ヘッド10の左右方向の移動範囲を確保できる、または主走査方向において装置全体の大型化を抑制できる。
【0096】
照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bの前後方向の平行移動により、第一状態と第二状態とに切り替えられる。前後方向は左右方向(主走査方向)と交差する方向である。第一状態における第二光源面52aは、前後方向においてヘッド10よりも後方の位置に配置される。第二状態における第一光源面51aは前後方向においてヘッド10よりも前方の位置に配置される。この場合、第三実施形態のプリンタ1は主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成で第一ランプ50aおよび第二ランプ50bを平行移動できる。
【0097】
本発明の第四実施形態に係るプリンタ1を説明する。第四実施形態のプリンタ1は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bの平行移動の方向が第三実施形態のプリンタ1と異なる。以下、第一実施形態、第二実施形態、および第三実施形態のプリンタ1と同様の機能を有する構成には第一実施形態、第二実施形態、および第三実施形態のプリンタ1と同じ符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0098】
プリンタ1は駆動機構70を備える。駆動機構70はキャリッジ20の右側に設けられる。駆動機構70は主走査モータ31の駆動でキャリッジ20と共に左右方向(主走査方向)に移動する。駆動機構70は駆動モータ71、レール76、および移動機構(図示略)を備える。
【0099】
駆動モータ71は前後方向においてキャリッジ20の後側に設けられる。レール76は環状であり、ヘッド10の上方に設けられる。レール76は、レール部材76a~76dを備える。レール部材76a、76bは左上方から右下方に向かうように傾斜して延びる。レール部材76a、76bの右端部は左右方向においてヘッド10よりも右側に位置する。レール部材76bはレール部材76aの後側に並べられる。レール部材76c、76dは前後方向に延びる。レール部材76dはレール部材76cの左側に並べられる。レール部材76cの前端部はレール部材76aの右端部と接続する。レール部材76cの後端部はレール部材76bの右端部と接続する。レール部材76dの前端部はレール部材76aの左端部と接続する。レール部材76dの後端部はレール部材76bの左端部と接続する。
【0100】
移動機構は例えば複数のスプロケットと環状のチェーンを備える。複数のスプロケットはレール76に回転可能に設けられる。複数のスプロケットのうちの一つは駆動モータ71の出力軸に固定される。環状のチェーンはレール76に沿って設けられる。駆動モータ71の駆動でスプロケットが回転し、環状のチェーンがレール76に沿って移動する。環状のチェーンの移動方向は特定の方向に限定されないが、第四実施形態では環状のチェーンは平面視で反時計回りに移動する。環状のチェーンは後述する連結部材56a、56bを支持する。
【0101】
図10に示すように、照射装置50はレール76の下側に設けられる。照射装置50はプラテン5よりも上方に位置する。照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bを備える。第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは直方体状である。
【0102】
第四実施形態の第一ランプ50aは連結部材56aを備える点が第三実施形態の第一ランプ50aと異なる。連結部材56aは第一ランプ50aの上面から上方に延びる。連結部材56aの上端部は駆動機構70の環状のチェーンと連結する。
【0103】
第四実施形態の第二ランプ50bは連結部材56bを備える点が第三実施形態の第二ランプ50bと異なる。連結部材56bは第二ランプ50bの上面から上方に延びる。連結部材56bの上端部は駆動機構70の環状のチェーンと連結する。すなわち、第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは移動機構により駆動機構70に支持される。
【0104】
第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは駆動モータ71の駆動でレール76に沿って平行移動する。照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bが平行移動することで、図10(a)に示す第一状態と図10(b)に示す第二状態とに切り替え可能に構成される。
【0105】
第一状態は第一光源面51aが照射位置に、第二光源面52aが照射位置から左方、且つ後上方の位置にそれぞれ配置される状態である。第一状態で第二光源面52aが配置される位置を退避位置という。退避位置はヘッド10よりも後上方の位置である。第一状態において、第一ランプ50aはレール部材76a右端部の下側に位置し、第二ランプ50bはレール部材76b左端部の下側に位置する。
【0106】
第二状態は第二光源面52aが照射位置に、第一光源面51aが退避位置にそれぞれ配置される状態である。第二状態において、第一ランプ50aはレール部材76b左端部の下側に位置し、第二ランプ50bはレール部材76a右端部の下側に位置する。すなわち、第一状態と第二状態とで第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは互いに位置が入れ替えられる。
【0107】
第四実施形態では、照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bのレール76に沿った平行移動により、第一状態と第二状態とに切り替えられる。第一状態における第二光源面52aおよび第二状態における第一光源面51aは退避位置に配置される。この場合、第四実施形態のプリンタ1は主走査方向における装置全体の大きさを大型化することなく、簡単な構成で第一ランプ50aおよび第二ランプ50bを平行移動できる。
【0108】
上記実施形態において、印刷対象物Mが本発明の「印刷対象物」に相当する。プリンタ1における左右方向が本発明の「主走査方向」「交差方向」に相当する。プリンタ1における下方向が本発明の「照射方向」に相当する。回転軸73、74が本発明の「軸」に相当する。プリンタ1における前後方向が本発明の「副走査方向」「交差方向」に相当する。プリンタ1における上方向が本発明の「印刷対象物から照射装置に向かう向き」に相当する。プリンタ1における左方向が本発明の「照射位置からヘッドの位置に向かう向き」に相当する。
【0109】
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限りそれぞれ組み合わせ可能である。上記実施形態では、ヘッド10は左右方向に移動する。これに対し、ヘッド10はラインヘッドでもよい。この場合、ヘッド10はプラテン5の移動によってプラテン5に対して前後方向に相対移動する。このため、照射装置50はヘッド10の後方および前方の一方または両方に設けられる。この場合、プリンタ1は駆動機構70と同様の構成で照射装置50を回転または平行移動させる。
【0110】
上記実施形態では、キャリッジ20が右方から左方に移動するときだけでなく、キャリッジ20が左方から右方に移動するときにも、照射装置50から紫外線を照射しているが、これに対して、キャリッジ20が右方から左方に移動するときに紫外線を照射するものの、キャリッジ20が左方から右方に移動するときには、複数の第一光源51及び複数の第二光源52を消灯し、紫外線を照射しない制御としてもよい。
【0111】
上記実施形態では、プリンタ1は紫外線硬化性インクを採用する。これに対し、プリンタ1は光が照射されることによって硬化するインクであれば、例えば可視光または赤外線が照射されることによって硬化するインクを採用してもよい。この場合、照射装置50は可視光または赤外線を発光する。
【0112】
上記実施形態では、照射位置の上下方向の位置はノズル面101の上下方向の位置と同じである。これに対し、照射位置の上下方向の位置はノズル面101の上下方向の位置よりも上方または下方であってもよい。
【0113】
上記実施形態では、プラテン5とノズル面101は互いに上下方向に対向する。これに対し、プラテン5とノズル面101は互いに左右方向に対向してもよいし、互いに前後方向に対向してもよい。例えばプラテン5とノズル面101が互いに左右方向または前後方向に対向する場合、ヘッド10はプラテン5に対して上下方向に相対移動してもよい。
【0114】
上記実施形態では、印刷照射制御および照射制御において、キャリッジ20と照射装置50とが共に左右方向に移動したが、照射装置50はキャリッジ20に対して左右方向に移動してもよい。例えば、照射制御において、キャリッジ20は静止し、照射装置50のみが左右方向に移動してもよい。この場合、プリンタ1は照射装置50がキャリッジ20に対して左右方向に移動する為の駆動機構を備えてもよい。
【0115】
上記実施形態では、第一光源面51aに第一光源51が複数設けられる。これに対し、第一光源面51aに第一光源51が単数設けられてもよい。上記実施形態では、第二光源面52aに第二光源52が複数設けられる。これに対し、第二光源面52aに第二光源52が単数設けられてもよい。
【0116】
第一実施形態、第二実施形態の照射装置50、および第三実施形態の第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは直方体であるが、直方体と異なる多面体でもよい。例えば、第一実施形態の照射装置50は側面視で三角形となる五面体でもよい。この場合、照射装置50は第一波長および第二波長と異なる波長の光を発する第三光源と第三光源面とを備えてもよい。第一光源面51a、第二光源面52a、および第三光源面は照射装置50の側面以外のそれぞれ異なる外面を形成する。このように、照射装置50はそれぞれ波長が異なる複数の光源を備えればよく、光源の数は2つに限定されない。
【0117】
第一実施形態、第二実施形態の照射装置50は回転することで、第三実施形態、第四実施形態の照射装置50は第一ランプ50aおよび第二ランプ50bが平行移動することで、第一状態と第二状態とに切り替えられる。これに対し、照射装置50は回転と第一ランプ50aおよび第二ランプ50bの平行移動との両方の動きで第一状態と第二状態とに切り替えられてもよい。
【0118】
第一実施形態、第二実施形態の照射装置50において、第二光源面52aは回転軸73、74の径方向において、放熱板53を挟んで第一光源面51aとは反対の位置に配置される。これに対し、第一光源面51aおよび第二光源面52aは照射装置50の回転方向において互いに異なる位置に配置されればよく、第一光源面51aおよび第二光源面52aの照射装置50における位置は限定されない。例えば、第一実施形態のプリンタ1において、第一状態の第一光源面51aは照射装置50の下面を、第一状態の第二光源面52aは照射装置50の前面をそれぞれ形成してもよい。
【0119】
第三実施形態、第四実施形態の照射装置50において、第一ランプ50aおよび第二ランプ50bは直線移動したが、曲線の軌道で移動してもよい。例えば、第四実施形態のレール76は平面視で楕円形に形成され、第一ランプ50aおよび第二ランプ50bはレール76に沿って楕円軌道で移動してもよい。
【0120】
上記実施形態では、照射装置50は駆動機構70の駆動により第一状態と第二状態とが切り替えられたが、例えば、ユーザの操作によって第一状態と第二状態とが切り替えられてもよい。この場合、CPU41はメイン処理においてS8を省略してもよい。
【0121】
第一実施形態のプリンタ1はファン60を備えるが、ファン60を省略してもよい。第二実施形態、第三実施形態、および第四実施形態のプリンタ1はファン60を備えてもよい。第一実施形態のファン60は放熱板53に対して左方向に流れる風をあてたが、放熱板53に対してあてる風の流れはこれに限定されない。例えば、ファン60は放熱板53に対して後方向に流れる風をあててもよい。ファン60は、ヘッド10から遠い側より近い側へ風が吹く向きの風を流してもよい。この場合は、インクが放熱板53に付着することを抑制できる。よって、プリンタ1は照射装置50を長時間使用できる。
【0122】
第一実施形態のプリンタ1は回収部80を備えるが、回収部80を省略してもよい。第二実施形態、第三実施形態、および第四実施形態のプリンタ1は回収部80を備えてもよい。回収部80の構成は第一実施形態に限定されない。例えば、回収部80はプリンタ1の外側に繋がるダクトでもよい。回収部80の位置は第一実施形態に限定されない。例えば、回収部80はヘッド10および照射装置50の後側に設けられてもよい。
【0123】
上記実施形態では、CPU41はS1において吐出距離D1を取得する。これに対し、CPU41はプラテン距離D0を取得してもよい。例えば距離センサ35はプラテン距離D0を検出してもよい。プラテン距離D0は上下方向において第一光源面51aまたは第二光源面52aとプラテン5の間の距離であってもよい。吐出距離D1は上下方向において第一光源面51aまたは第二光源面52aと印刷対象物Mの間の距離であってもよい。
【0124】
上記実施形態では、距離センサ35は光センサである。これに対し、距離センサ35はイメージセンサ、スイッチセンサ等でもよい。例えば昇降モータ34にエンコーダが設けられてもよい。CPU41はエンコーダからの検出信号に基づいてプラテン5の上下方向の位置を判断し、上下方向においてプラテン5とノズル面101の間の距離、またはプラテン5と第一光源面51aまたは第二光源面52aとの間の距離を特定してもよい。
【0125】
上記実施形態では、距離センサ35はキャリッジ20に設けられる。これに対し、距離センサ35はヘッド10に設けられてもよいし、照射装置50に設けられてもよいし、プラテン5に設けられてもよい。すなわち、距離センサ35は吐出距離D1を検出可能であれば、いずれの位置に設けられてもよい。
【0126】
上記実施形態において、CPU41による吐出距離D1の取得方法は適宜変更できる。例えば、ユーザが操作部37を操作し、手入力で吐出距離D1をプリンタ1に入力してもよい。この場合、CPU41は操作部37を介して吐出距離D1を取得する。ユーザが外部機器を操作し、手入力で吐出距離D1を外部機器に入力してもよい。この場合、ユーザは外部機器または操作部37を操作し、プリンタ1と外部機器を互いに通信させる。CPU41は通信によって外部機器から吐出距離D1を取得する。手入力された吐出距離D1をCPU41が取得する場合、プリンタ1は距離センサ35を省略してもよい。
【0127】
第一実施形態では、メイン処理における閾値はROM42に記憶されていた。これに対し、閾値は、フラッシュメモリ44に記憶され、ユーザによって変更可能であってもよい。CPU41は外部機器から閾値を取得し、RAM43に記憶してもよい。
【0128】
第一実施形態では、メイン処理における印刷データの大きさと印刷照射制御または照射制御の処理時間との関係はROM42に記憶されていた。これに対し、印刷データの大きさと印刷照射制御または照射制御の処理時間との関係は、フラッシュメモリ44に記憶され、ユーザによって変更可能であってもよい。CPU41は印刷データの大きさと印刷照射制御または照射制御の処理時間との関係を外部機器から取得し、RAM43に記憶してもよい。
【0129】
上記実施形態において、メイン処理の開始時には、照射装置50は第一状態であるが、第二状態でもよいし、第一状態および第二状態とは異なる状態でもよい。この場合、CPU41は印刷照射制御(S2)が実行される前に、照射装置50が第一状態へと切り替えられる処理を実行してもよい。S5で照射装置50が切り替えられる状態は第一状態でも、第一状態および第二状態とは異なる状態でもよい。CPU41はS5で照射装置50を第一状態から第二状態に切り替えた後、S8を省略し、照射装置50を第二状態から第一状態に切り替えなくてもよい。この場合、プリンタ1はメイン処理の時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0130】
1 プリンタ
10 ヘッド
50 照射装置
50a 第一ランプ
50b 第二ランプ
51 第一光源
51a 第一光源面
52 第二光源
52a 第二光源面
60 ファン
73、74 軸
80 回収部
M 印刷対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10