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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184214
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電力計測装置、及び、分電盤
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/24 20060101AFI20221206BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20221206BHJP
   H01F 38/28 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01R11/24 C
H02B1/42
H01F38/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091927
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大垣 史迅
【テーマコード(参考)】
5E081
5G211
【Fターム(参考)】
5E081BB07
5G211DD14
5G211FF03
(57)【要約】
【課題】電流測定部材が設置される電力線から電流測定部材が取り外されることを検知することができる電力計測装置、および、それを備える分電盤を提供する。
【解決手段】電力計測装置10は、測定対象の電力線から供給される電力量を測定する装置である。電力計測装置10は、電流測定部材2と、電流測定部11と、状態検知部12とを備える。電流測定部材2は、電力線を通す貫通孔を有し、かつ、貫通孔が外部と区画された閉状態と貫通孔と外部とが連続した開状態とに切り替え可能に構成されている。電流測定部11は、電流測定部材2と電気的に接続され、電流測定部材2が閉状態であるときに電力線を流れる電流を測定する。状態検知部12は、電流測定部材2の状態を監視して開状態の発生を検知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の電力線から供給される電力量を測定する電力計測装置であって、
前記電力線を通す貫通孔を有し、かつ、前記貫通孔が外部と区画された閉状態と前記貫通孔と外部とが連続した開状態とに切り替え可能に構成されている電流測定部材と、
前記電流測定部材と電気的に接続され、前記電流測定部材が前記閉状態であるときに前記電力線を流れる電流を計測する電流測定部と、
前記電流測定部材の状態を監視して前記開状態の発生を検知する状態検知部と、
を備える電力計測装置。
【請求項2】
前記状態検知部が前記開状態の発生を検知したときに警報を発する警報部を更に備える
請求項1に記載の電力計測装置。
【請求項3】
前記状態検知部は、前記電流測定部が動作を開始してから所定時間の経過後に、前記電流測定部材の状態の監視を開始する
請求項1又は2に記載の電力計測装置。
【請求項4】
ユーザの操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記状態検知部は、前記操作部に所定の操作が行われたときに前記電流測定部材の状態の監視を開始する
請求項1から3のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項5】
前記所定の操作を第1の所定の操作とし、
前記状態検知部は、前記開状態の発生を検知している状態で、前記操作部に第2の所定の操作が行われると、前記開状態の発生の検知を解除する
請求項4に記載の電力計測装置。
【請求項6】
外部装置と通信する通信部をさらに備え、
前記通信部は、前記状態検知部が前記開状態の発生を検知したときに前記外部装置に前記開状態の発生を示す情報を送信する
請求項1から5のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項7】
前記通信部が、前記電流測定部材の状態の監視の開始と、前記開状態の発生の検知の解除との少なくとも一方の指示を前記外部装置から受け付けたとき、
前記状態検知部は、前記指示に従い、前記電流測定部材の状態の監視の開始または前記開状態の発生の検知の解除を行う
請求項6に記載の電力計測装置。
【請求項8】
前記状態検知部が監視によって得た前記電流測定部材の状態の変化と、前記状態の変化の発生日時とを関連付けて保持する状態保持部と、
前記状態保持部が保持する情報を外部に送信する送信部と、
を更に備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項9】
前記電力線の電圧を計測する電圧測定部と、
予備電源と接続され、前記電力線への給電が停止したときに前記予備電源から前記電力計測装置に給電させる給電部と、
前記電力線の給電停止期間を保持する停電情報保持部と、
を更に備える
請求項1から8のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項10】
前記電流測定部材は、前記閉状態から前記開状態への切り替えを抑止するロック機構を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電力計測装置と、
分電盤用キャビネットとを備え、
前記測定対象の前記電力線が幹線である、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力計測装置及び分電盤に関し、より詳細には、電力線から供給される電力量を測定する電力計測装置、及び、それを備える分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、住宅用分電盤(分電盤)を開示する。分電盤は、複数の開閉器が納装され開閉器の操作部が前面に露出する箱体と、箱体の前面を覆う位置と開放する位置との間で開閉するように一端縁が箱体に軸着された扉体とを備える。また、この分電盤は、幹線から分電盤に流入する電力を計測する計測ユニットを備えている。計測ユニットは、幹線である系統電源のL1相、L2相のそれぞれに取り付けられたカレントトランス(CT)に接続され、幹線から受電した電力量を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-65374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カレントトランスなど貫通孔を貫く電力線の電流を測定する電流測定部材は、電気的には電力線と絶縁状態であるため、移動や撤去が容易である。特に、貫通孔を電流測定部材の外と連続した状態に切り替え可能に構成されている電流測定部材は、電力線の停止や分電盤の端子への挿抜を伴うことなく移動や撤去が可能である。したがって、電流測定部材が測定対象の電力線から移動される可能性が高いほど、測定された電力が測定対象の電力線の電流であるとの信頼性が低下する。
【0005】
本開示は上記課題を鑑みてなされたものであり、電流測定部材が設置される電力線から電流測定部材が取り外されることを検知することができる電力計測装置、および、それを備える分電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電力計測装置は、測定対象の電力線から供給される電力量を測定する電力計測装置である。前記電力計測装置は、電流測定部材と、電流測定部と、状態検知部とを備える。前記電流測定部材は、前記電力線を通す貫通孔を有し、かつ、前記貫通孔が外部と区画された閉状態と前記貫通孔と外部とが連続した開状態とに切り替え可能に構成されている。前記電流測定部は、前記電流測定部材と電気的に接続され、前記電流測定部材が閉状態であるときに前記電力線を流れる電流を計測する。前記状態検知部は、前記電流測定部材の状態を監視して開状態の発生を検知する。
【0007】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記電力計測装置と、分電盤用キャビネットとを備える。前記測定対象の前記電力線が幹線である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る電力計測装置、及び、分電盤によれば、電流測定部材が設置される電力線から電流測定部材が取り外されることを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る電力計測装置の機能ブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係る電流測定部材の概略図である。
図3図3は、実施の形態1に係る分電盤を正面から見た説明図である。
図4図4は、同上の分電盤の概略構成を示す概念図である。
図5図5は、同上の電力計測装置の動作を示す状態遷移図である。
図6図6は、実施の形態2に係る電力計測装置の機能ブロック図である。
図7図7は、その他の変形例に係る電流測定部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
以下、本開示の態様に係る電力計測装置10、及び、電流測定部材2について、図面を用いて説明する。
【0011】
1. 構成
1.1 電力計測装置の概略
図1は、実施の形態1に係る電力計測装置10の機能ブロック図である。電力計測装置10は、装置本体1と、電流測定部材2とを備える。装置本体1は、電流測定部11と、状態検知部12と、記憶部13と、警報部14と、通信部15と、操作部16と、制御部17、給電部18とを備える。電流測定部材2は、いわゆる、カレントトランス(CT)である。電流測定部材2は、図2に示すように、測定対象の電力線を通すための貫通孔21を有し、貫通孔21を囲むコア22を備える。図2は、実施の形態1に係る電流測定部材2の概略図である。詳細は後述する。
【0012】
図1及び図2に示すように、電流測定部11は、電流測定部材2と接続され、電流測定部材2の貫通孔21を貫く電力線を流れる電流を測定する回路である。電流測定部11は、所定の時間間隔で、電流値を測定する。
【0013】
状態検知部12は、電流測定部材2と接続され、電流測定部材2が閉状態か開状態であるかを検知する回路である。ここで、電流測定部材2の閉状態とは、コア22の軸方向から見て電流測定部材2のコア22が貫通孔21を一周する閉ループを形成している状態を指す。すなわち、電流測定部材2の閉状態とは、コア22の軸方向から見てコア22が貫通孔21とコア22の外側とを区分けしている状態を指す。一方、電流測定部材2の開状態とは、コア22の軸方向から見て電流測定部材2のコア22が閉ループを形成していない状態を指す。すなわち、電流測定部材2の開状態とは、コア22に開いている部分があり、コア22の軸方向から見て貫通孔21とコア22の外側とが繋がった状態を指す。状態検知部12は、制御部17が監視の開始を指示すると、電流測定部材2が閉状態か開状態かの監視を行う。また、状態検知部12は、電流測定部材2が開状態であることを検知すると、開状態が発生したことを示す情報を記憶部13の状態保持部131に保持させる。なお、状態検知部12は、開状態が発生したことを示す情報に、開状態が発生した時刻を含めてもよい。
【0014】
記憶部13は、状態検知部12の状態の監視に関する情報を保持する記憶媒体である。記憶部13は、電流測定部材2の開状態が検知されたか否かを保持する状態保持部131を含む。記憶部13は、停電状態で情報を失わないよう、不揮発性の記憶媒体であることが好ましい。
【0015】
警報部14は、状態検知部12が電流測定部材2の開状態を検知すると、ユーザにその旨を報知するための回路である。警報部14は、例えば、LEDを有し、LEDからの光で電流測定部材2の開状態を報知する。又は、例えば、警報部14は、スピーカーを有し、警報音やメッセージ音声で電流測定部材2の開状態を報知する。なお、警報部14が表示部を有する場合、警報部14は表示部に警告表示をさせてもよい。
【0016】
通信部15は、電流測定部11が測定した電力情報や状態検知部12が検知した電流測定部材2の開状態を示す情報を外部装置3に送信するためのインターフェースである。また、通信部15は、状態検知部12による電流測定部材2の監視に関する指示を外部装置3から受領してもよい。外部装置3は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)のコントローラである。電力計測装置10とコントローラとの間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。または、電力計測装置10とコントローラとの間の通信方式は、イーサネットなどの有線通信であってもよい。また、外部装置3はHEMSのコントローラに限られず、例えば、建物の管理会社のサーバや、電力会社のサーバであってもよい。
【0017】
操作部16は、電力計測装置10の動作の開始や停止等の指示を工事業者等から受け付けるためのインターフェースである。操作部16は、例えば、装置本体1の表面に設けられたボタンやスイッチ等である。操作部16は、例えば、装置本体1に対して脱着可能なインターフェースを有するキーボードであってもよい。
【0018】
制御部17は、電力計測や電流測定部材2の状態監視の開始や停止、外部装置3からの指示の受領やデータ送信を制御する回路である。制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、メモリと、ソフトウェアの組み合わせである。なお、制御部17は、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)と、メモリとの組み合わせであってもよい。
【0019】
給電部18は、主幹ブレーカ4の二次側端子のそれぞれと接続され、電力計測装置10の各機能ブロックに電力を供給する。給電部18は、主幹ブレーカ4から受電した電力を電力計測装置10の各機能ブロックに供給するための直流に変換し、電力計測装置10の各機能ブロックに電力を供給する。
【0020】
1.2 電流測定部材2の詳細
電流測定部材2は、図2に示すように、第1部分23と第2部分24とを備える。第1部分23は、貫通孔21に面する第1凹部211と、第1面271と、第2面272とを有する。第1凹部211の一端(第1端)は第1面271に連続する。第1凹部211の他端(第2端)は第2面272に連続する。第2部分24は、貫通孔21に面する第2凹部221と、第3面281と、第4面282とを有する。第2凹部221の一端(第3端)は第3面281に連続する。第2凹部221の他端(第4端)は第4面282に連続する。電流測定部材2が閉状態であるとき、第1凹部211の一端と第2凹部221の一端とが接する。また、第1面271と第3面281は対向して接する。さらに、電流測定部材2が閉状態であるとき、第1凹部211の他端と第2凹部221の他端とが接する。また、第2面272と第4面282は対向して接する。電流測定部材2が閉状態であるとき、第1凹部211と第2凹部221は、貫通孔21の外周面を形成する。
【0021】
第1面271の一端は第1凹部211と連続する。第1面271の他端には、第1係合部231が設けられている。第3面281の一端は第2凹部221と連続する。第3面281の他端には、第2係合部241が設けられている。電流測定部材2が閉状態であるとき、第1係合部231と第2係合部241とが係合する。第1係合部231と第2係合部241との係合を解くと、電流測定部材2を開状態とすることができる。
【0022】
第2面272の一端は第1凹部211と連続する。第4面282の一端は第2凹部221と連続する。第2面272の他端と、第4面282の他端とは、接合部232を介して連続している。接合部232は、第2面272の他端と第4面282の他端が接した状態を維持した状態で、第1部分23と第2部分24との相対位置を変更可能としている。すなわち、第2部分24は、接合部232を回転軸として、第1部分23に対して相対的に回転可能に構成されている。第1面271と第3面281が接し、第2面272と第4面282が接した状態が上述したように閉状態である。これに対し、第1面271と第3面281が離間し、第2面272と第4面282が離間した状態が開状態である。開状態の電流測定部材2は、第1面271と第3面281との間の空間を介して、貫通孔21と、電流測定部材2の外部とが繋がった状態となる。すなわち、第1面271と第3面281との間の空間を電力線が通過するように電力線に対して開状態の電流測定部材2を移動させることができる。したがって、開状態の電流測定部材2では、電力線を移動させたり接点端子から外したりすることなく、電力線を貫通孔21に挿入し、又は、電力線を貫通孔21から取り除くことが容易である。
【0023】
電流測定部材2は、開閉センサ27を備える。開閉センサ27は、第1部分23において接合部232の近傍に設けられている。開閉センサ27は、電流測定部材2が開状態であるか閉状態であるかを検知するセンサである。開閉センサ27は、例えば、マイクロスイッチであり、押圧検知部が第2面272から突出している。開閉センサ27は、電流測定部材2が閉状態であるとき、押圧検知部が第4面282に押され、閉状態を検知する。開閉センサ27は、電流測定部材2が開状態であるとき、押圧検知部が第4面282に押されないため、開状態を検知する。
【0024】
第1部分23は、コア22を構成する第1コア部分25を備える。第2部分24は、コア22を構成する第2コア部分26を備える。第1コア部分25の一端(第1端)は、第1面271から露出している。第1コア部分25の他端(第2端)は、第2面272から露出している。第2コア部分26の一端(第3端)は、第3面281から露出している。第2コア部分26の他端(第4端)は、第4面282から露出している。電流測定部材2が閉状態であるとき、第1面271と第3面281が接し、第1コア部分25の一端と第2コア部分26の一端とが接する。また、電流測定部材2が閉状態であるとき、第2面272と第4面282が接し、第1コア部分25の他端と第2コア部分26の他端とが接する。したがって、電流測定部材2が閉状態であるとき、第1コア部分25と第2コア部分26は、磁気的に結合し、単一のループ型コアであるコア22を構成する。第1コア部分25には電流測定部11と接続される電流検知コイルが巻かれている。したがって、電流測定部材2が閉状態であるとき、貫通孔21を貫通する電力線に流れる電流の大きさを、電流測定部11が測定することができる。
【0025】
1.3 分電盤の概要
実施の形態1に係る電力計測装置10を含む分電盤30の全体構成について説明する。
【0026】
図3は、実施の形態1に係る分電盤30を正面から見た説明図である。また、図4は、実施の形態1に係る分電盤30の概略構成を示す概念図である。分電盤30は、装置本体1と、主幹ブレーカ4と、複数の開閉器5と、分電盤用キャビネット31とを備える。分電盤用キャビネット31は、装置本体1と、主幹ブレーカ4と、複数の開閉器5とを収容する。
【0027】
主幹ブレーカ4は、複数(図示例では3つ)の一次側端子41と、複数の二次側端子とを備えている。主幹ブレーカ4は、複数の一次側端子41の各々に対し、一次側端子41と二次側端子との間の電路に接続された接点を備える。主幹ブレーカ4は、接点をオン又はオフにするための操作レバー43を前面に備えている。また、主幹ブレーカ4は、例えば接点に漏電電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検知すると、接点を遮断する主幹遮断部を備えている。
【0028】
実施の形態1の分電盤30では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ4の一次側端子41には、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線200が電気的に接続される。また、主幹ブレーカ4の二次側端子には、第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーが接続されている。各導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、幹線6を構成する。
【0029】
複数の開閉器5は、中性極(N相)の導電バーの上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。ここで、各開閉器5は、図4に示すように、複数の分岐回路8のうちの1つの分岐回路8と幹線6との間に挿入される。すなわち、分岐回路8は、対応する開閉器5を介して幹線6に接続される。本開示でいう「分岐回路」は、幹線6と電気的に接続され、分電盤30にて幹線6から複数に分岐された回路の各々である。本実施形態では、分岐回路8は、電線81及び負荷82を含んでいる。電線81は、開閉器5の二次側端子に電気的に接続される。負荷82は、例えば、照明器具、空調機器、テレビ受像器、給湯設備等の機器、コンセント(アウトレット)又は壁スイッチ等の配線器具を含む。負荷82は、電線81を介して開閉器5に電気的に接続される。
【0030】
装置本体1は、引込線200から供給される電力と電流の少なくとも一方を計測する電流計測機能、及び、分電盤30の外部に配置された機器と通信する通信機能を有している。
【0031】
電流測定部材2は、引込線200のうち、L1相、L2相のそれぞれに取り付けられる。そして、電力計測装置10は、引込線200のL1相、L2相それぞれの電流を計測し、電力値を演算する。また、電力計測装置10は、引込線200に取り付けられた電流測定部材2のそれぞれについて、閉状態を維持しているか否かを監視し、開状態を検知する。なお、電流測定部材2は、引込線200のN相にさらに取り付けられてもよい。
【0032】
2. 動作
実施の形態1に係る電力計測装置10の動作について説明する。図5は、電力計測装置10の動作を示す状態遷移図である。
【0033】
電力計測装置10は、施工が完了し、主幹ブレーカ4の操作レバー43がオンにされると待機状態st1に遷移する。待機状態st1の電力計測装置10は、外部装置3と通信可能な状態である。待機状態st1の電力計測装置10は、引込線200から供給される電力の計測と、電流測定部材2のそれぞれが閉状態を維持しているか否かの監視とのいずれも行わない。また、待機状態の電力計測装置10は、操作部16又は外部装置3から、時刻設定などの初期設定、電力計測装置10と外部装置3との通信に関する設定、外部装置3の追加や削除の指示を受け付ける(ステップS11)。例えば、施工業者がHEMSコントローラと通信するためのパラメータを操作部16から入力することで、待機状態st1の電力計測装置10は、外部装置3としてのHEMSコントローラと通信可能となる。又は、例えば、施工業者がBluetooth(登録商標)のペアリング操作を行うことで、待機状態st1の電力計測装置10は、外部装置3として、電力計測装置10のコントロールアプリが動作しているスマートフォンやタブレット端末と通信可能となる。又は、例えば、施工業者が操作部16や外部装置3から電力会社サーバのURLを入力することで、待機状態st1の電力計測装置10は、外部装置3としての電力会社サーバとの通信が可能となる。
【0034】
また、待機状態st1の電力計測装置10は、外部装置3から、監視状態st2への遷移指示を受け付ける(ステップS12)。例えば、外部装置3が電力会社サーバである場合、ステップS12として電力計測装置10は以下のような処理を行う。最初に、電力計測装置10は、施工業者による操作部16の操作を受け付け、電力計測装置10のコントロールアプリが動作しているタブレット端末を外部装置3として追加する。次に、電力計測装置10は、施工業者によるタブレット端末のコントロールアプリへの操作を通信部15で受け付け、電力会社サーバを外部装置3として追加する。そして、施工業者は、電流測定部材2が正しく引込線200に取り付けられていることを、タブレット端末を用いて撮像し、画像を電力会社サーバに登録する。電力会社のオペレータは、画像を確認し、施工業者が正しく電流測定部材2を設置したことを検証すると、その旨を電力会社サーバに登録する。外部装置3である電力会社サーバは、電流測定部材2の検証が完了した電力計測装置10に対し、監視状態st2への遷移指示を送信する。電力計測装置10は、外部装置3である電力会社サーバから監視状態への遷移指示を通信部15で受け付けると、監視状態st2へ状態遷移する。なお、待機状態st1の電力計測装置10は、外部装置3から、電力値のモニター指示を通信部15で受信すると、電力値を通信部15から外部装置3に送信するとしてもよい。例えば、電力会社のオペレータは、電力会社サーバから電力値のモニター指示を電力計測装置10に送信させ、電力計測装置10から受領した電力値から、施工状態が正しいかを判断してもよい。なお、電力会社サーバは、オペレータを介することなく、画像が登録されると画像認識によって電流測定部材2の設置状態の検証を行い、検証に成功すると監視状態st2への遷移指示を送信するとしてもよい。
【0035】
監視状態st2の電力計測装置10は、電流測定部材2を用いて、引込線200から供給された電力量の計測を行う。監視状態st2の電力計測装置10は、計測した電力量を、HEMSコントローラや電力会社サーバに転送する。監視状態st2の電力計測装置10は、計測した電力量を、定期的に転送してもよいし、変化があるごとに転送してもよい。また、監視状態st2の電力計測装置10は、計測した電力量を、計測した時刻と関連付けて転送してもよい。また、監視状態st2の電力計測装置10は、電流測定部材2のそれぞれが閉状態を維持しているか否かの監視を行う(ステップS21)。監視状態st2の電力計測装置10は、電流測定部材2の少なくとも1つが開状態であることを検知すると、エラー検知状態st3に遷移する(ステップS22)。また、監視状態st2の電力計測装置10は、外部装置3から待機状態st1への遷移を指示されると、正規の指示であるか否かを認証し、認証に成功した場合に待機状態st1へ遷移する(ステップS23)。外部装置3からの指示が正規の指示であるか否かを認証する方法は、例えば、パスワード認証である。又は、外部装置3からの指示が正規の指示であるか否かを認証する方法は、外部装置3が待機状態への遷移指示を行う権限を有するか否かの確認であってもよい。例えば、待機状態の電力計測装置10に外部装置3を登録する際に、外部装置3をパスワード等で認証し、認証に成功した場合に待機状態への遷移指示を行う権限を外部装置3に付与する。そして、待機状態への遷移指示を行う権限を有する外部装置3から待機状態への遷移指示を通信部15が受信した場合に、監視状態st2の電力計測装置10は、待機状態st1に遷移する。この方法によれば、例えば、電力計測装置10の設置工事業者のタブレット端末には待機状態への遷移指示の権限を付与しないことで、電力会社に無断で電流測定部材2の監視を停止させないようにすることができる。
【0036】
エラー検知状態st3に遷移した電力計測装置10は、ステップS22において、状態保持部131にエラー検知状態であることを示す情報を保持する。エラー検知状態を示す情報とは、電流測定部材2が開状態となった履歴が存在することを示す情報である。そして、エラー検知状態の電力計測装置10は、警報部14より、電流測定部材2が開状態となったことを示す警告を行う(ステップS31)。電流測定部材2が開状態となったことを示す警告は、例えば、警報部14のスピーカーからの音声や警告音の出力、LEDの点灯や点滅、ディスプレイへの表示などである。または、警報部14は、外部装置3に電流測定部材2が開状態となったことを示す報知を行い、外部装置3が警告を行ってもよい。例えば、外部装置3がHEMSコントローラである場合、HEMSコントローラは、HEMSコントローラに接続されたスマートメータに電流測定部材2が開状態となったことを示す警告を行わせてもよい。又は、例えば、外部装置3が電力会社サーバである場合、電力会社サーバは、電力会社の検査員に電力計測装置10の設置場所とともに通知を行ってもよい。また、例えば、電力会社サーバは、通知の受信後に電力計測装置10から受信した電力量について、電力量が正しくない可能性があることを示す情報を対応付けてもよい。また、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、計測した電力量を、HEMSコントローラや電力会社サーバに転送する。なお、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、電流測定部材2のそれぞれが閉状態を維持しているか否かの監視を続けてもよい。但し、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、電流測定部材2がいずれも閉状態であることを検知しても、エラー検知状態st3を維持し、監視状態st2には遷移しない。また、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、外部装置3から待機状態st1への遷移を指示されると、正規の指示であるか否かを認証し、認証に成功した場合に待機状態st1へ遷移する(ステップS32)。また、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、外部装置3からエラー状態のリセットを指示されると、正規の指示であるか否かを認証し、認証に成功した場合に監視状態st2へ遷移する(ステップS33)。電力計測装置10は、エラー検知状態st3から待機状態st1又は監視状態st2へ遷移する場合、状態保持部131に保持されているエラー検知状態であることを示す情報をクリアする。
【0037】
3. 小括
実施の形態1に係る電力計測装置10によれば、測定対象の電力線である引込線200に取り付けられた電流測定部材2が開状態になったことを検知することができる。したがって、ユーザや工事業者等が誤って電流測定部材2を取り外した場合や取り外そうとした場合に、電力計測装置10の管理者が速やかに対処することができる。また、電流測定部材2が開状態になると、正規のリセット指示又は正規の待機指示があるまで、電力計測装置10のエラー検知状態st3が解除されない。したがって、電流測定部材2が正しく引込線200に取り付けられていることを確認した場合にのみエラー検知状態st3を解除することができる。つまり、電力計測装置10が監視状態st2にある場合には、電力計測装置10が測定した電力量が引込線200の電力量であることを信用できる。したがって、電力計測装置10が監視状態st2であるかエラー検知状態st3であるかにより、電力計測装置10が測定した電力量の信頼度を評価することができる。そのため、ユーザや第三者が意図的に電流測定部材2を他の電力線に取り付けた場合に電力計測装置10の測定した電力量が正しくない可能性があることを検知することができる。したがって、電力計測装置10の管理者、又は、測定対象の電力線に接続されている電力設備の管理者の意に反した、誤った電力量に基づいた課金ミスや系統連系の誤制御を防ぐことができる。
【0038】
[変形例1]
実施の形態1では、電力計測装置10は待機状態st1から監視状態st2への切り替えに際して、外部装置3からの遷移指示を必要とする。しかしながら、例えば、電力計測装置10が計測した電力量を受け取る外部装置3の管理者にとって施工業者を信頼できる場合、手順を簡略してもよい。
【0039】
1. 動作
変形例1に係る電力計測装置10では、ステップS12において、電力量を受け取るべき外部装置3との通信が成立したことを検知すると、監視状態st2に移行する。例えば、外部装置3が電力会社サーバである場合、電力計測装置10は設置業者により入力された電力会社サーバの情報に基づいて、通信部15から電力会社サーバと通信する。電力計測装置10は通信部15から電力会社サーバに対して、例えば、受電契約の顧客番号を送信する。電力会社サーバは、電力計測装置10の通信部15が送信した情報に不備がない場合は接続を拒否せず通信を許容することを示す応答を行う。電力計測装置10は、外部装置3である電力会社サーバから通信を許容する応答を受信すると、監視状態st2に遷移する。
【0040】
2. 小括
変形例1に係る電力計測装置10によっても、測定対象の電力線である引込線200に取り付けられた電流測定部材2が開状態になったことを検知することができる。また、変形例1に係る電力計測装置10は、外部装置3との通信が成立すると、監視状態st2に遷移する。したがって、電力計測装置10が計測した電力量を受け取る外部装置3の管理者が電力計測装置10の設置を行った施工業者を信頼できる場合、電力計測装置10の設置状態の確認を省略することができる。そのため、外部装置3の管理者の負担を削減することができる。
【0041】
[変形例2]
実施の形態1及び変形例1では、電力計測装置10は、待機状態st1から監視状態st2への切り替えに際して、外部装置3との通信を必要とする。しかしながら、例えば、電力計測装置10が計測した電力量を受け取る外部装置3の管理者にとって施工業者を信頼できる場合、手順を簡略してもよい。
【0042】
1. 動作
変形例2に係る電力計測装置10では、ステップS12において、施工業者等が操作部16を操作して監視状態st2への遷移指示を行うと、監視状態st2に移行する。例えば、施工業者が操作部16の監視開始ボタンを押すと、電力計測装置10は、監視状態st2へ遷移する。
【0043】
また、監視状態st2への遷移指示を特定の者だけが操作できるように操作部16を構成してもよい。例えば、操作部16の監視開始ボタンに鍵付きのカバーを装着し、鍵を持つ者だけが操作可能としてもよい。又は、例えば、操作部16の監視開始スイッチとして、キーロックスイッチを用いてもよい。又は、例えば、監視開始ボタンの押下後、パスワードの入力があった場合に、監視状態st2に移行するとしてもよい。又は、例えば、特定の2つのボタンの同時押しや、特定の順序にボタンを押すなどの、特殊な入力があったときに、監視状態st2に移行するとしてもよい。
【0044】
2. 小括
変形例2に係る電力計測装置10によっても、測定対象の電力線である引込線200に取り付けられた電流測定部材2が開状態になったことを検知することができる。また、変形例2に係る電力計測装置10は、電力計測装置10が設置されている場所で、電力計測装置10を監視状態st2に遷移させる。したがって、外部装置3の管理者が、電力計測装置10の監視状態st2への遷移に関与する必要がなく、省力化を図ることができる。また、監視状態st2への遷移指示を特定の者だけが操作できるように操作部16を構成することで、電流測定部材2の施工が信頼できる場合にのみ監視状態st2に遷移させることができる。
【0045】
[変形例3]
実施の形態1及び変形例1、2では、電力計測装置10を待機状態st1から監視状態st2への切り替えを行う場合に、監視状態st2への遷移指示を必要とする。しかしながら、例えば、電力計測装置10が計測した電力量を受け取る外部装置3の管理者にとって施工業者を信頼できる場合、手順を簡略してもよい。
【0046】
1. 動作
変形例3に係る電力計測装置10では、ステップS12において、施工業者等が電力計測装置10の動作を開始させたときに、待機状態st1ではなく直ちに監視状態st2に遷移する。
【0047】
また、施工業者等が電力計測装置10の動作を開始させたときに、所定時間の経過後に電力計測装置10が自動的に監視状態st2に遷移するとしてもよい。所定時間としては、例えば、1時間や8時間、1日を用いることができる。所定時間は、例えば、電力計測装置10の動作を開始させてから分電盤30の施工が完了するために必要な時間であることが好ましい。
【0048】
2. 小括
変形例3に係る電力計測装置10によっても、測定対象の電力線である引込線200に取り付けられた電流測定部材2が開状態になったことを検知することができる。また、変形例3に係る電力計測装置10は、電力計測装置10が動作を開始してから直ちに又は所定時間経過後に、監視状態st2に遷移する。したがって、外部装置3の管理者が、電力計測装置10の監視状態st2への遷移に関与する必要がなく、省力化を図ることができる。また、電力計測装置10が動作を開始してから所定時間経過後に監視状態st2に遷移するような構成とすることで、電流測定部材2の施工中に開状態が発生しても、検知の対象から除外することができる。すなわち、電力計測装置10の施工中の電流測定部材2の開状態を誤検知することなく、電力計測装置10の運用中の電流測定部材2の開状態を検知することができる。
【0049】
[変形例4]
実施の形態1及び変形例1-3では、電力計測装置10をエラー検知状態st3から監視状態st2への切り替えを行う場合に、外部装置3からの遷移指示を必要とする。しかしながら、例えば、電力計測装置10が計測した電力量を受け取る外部装置3の管理者にとって工事業者を信頼できる場合、手順を簡略してもよい。
【0050】
1.動作
変形例4に係る電力計測装置10では、ステップS33において、現地を訪問した工事業者が操作部16を操作して監視状態st2への遷移指示を行うと、待機状態st1又は監視状態st2に移行する。操作部16は、特定の者だけが操作できるように構成されている。例えば、操作部16のエラー解除ボタンに鍵付きのカバーを装着し、鍵を持つ者だけが操作可能としてもよい。又は、例えば、操作部16のエラー解除スイッチとして、キーロックスイッチを用いてもよい。又は、例えば、エラー解除ボタンの押下後、パスワードの入力があった場合に、監視状態st2に移行するとしてもよい。又は、例えば、特定の2つのボタンの同時押しや、特定の順序にボタンを押すなどの、特殊な入力があったときに、監視状態st2に移行するとしてもよい。
【0051】
また、同様に、電力計測装置10を監視状態st2又はエラー検知状態st3から待機状態st1への切り替えを行う場合に、操作部16からの入力を受け付けるとしてもよい。この場合、同様に、操作部16は特定の者だけが操作できるように構成されている。なお、操作部16の操作に鍵を必要とする場合、エラー検知状態st3から監視状態st2への切り替えと、電力計測装置10を監視状態st2又はエラー検知状態st3から待機状態st1への切り替えとで、同一の鍵が利用可能な構成としてもよい。
【0052】
2. 小括
変形例4に係る電力計測装置10によっても、測定対象の電力線である引込線200に取り付けられた電流測定部材2が開状態になったことを検知することができる。また、変形例4に係る電力計測装置10は、電力計測装置10が設置されている場所で、電力計測装置10のエラー検知状態st3の解除や待機状態st1への遷移を行うことができる。したがって、外部装置3の管理者が関与する必要がなく、省力化を図ることができる。また、エラー検知状態st3の解除や待機状態st1への遷移を特定の者だけが操作できるように操作部16を構成することで、電流測定部材2が正しく取り付けられていることを現地確認しないとエラーや監視の解除ができない。したがって、電流測定部材2の取り外しや移動の検知を逃れようとユーザや第三者が電力計測装置10の監視状態を制御することを抑止することができる。
【0053】
[実施の形態2]
1. 構成
図6は、実施の形態2に係る電力計測装置10Aの機能ブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。電力計測装置10Aは、装置本体1Aと、電流測定部材2とを備える。装置本体1Aは、電流測定部11と、状態検知部12と、記憶部13Aと、警報部14と、通信部15と、操作部16と、制御部17と、電圧測定部181と、給電部18Aとを備える。また、装置本体1Aの給電部18Aは、予備電源19と電気的に接続される。
【0054】
記憶部13Aは、状態検知部12の状態の監視に関する情報を保持する記憶媒体である。記憶部13Aは、状態保持部131と、停電情報保持部132とを含む。状態保持部131は、電流測定部材2の開状態が検知されたか否かを保持する。停電情報保持部132は、引込線200の電圧が0となった状態、すなわち、停電状態の発生時刻と解消時刻とを保持する。
【0055】
電圧測定部181は、主幹ブレーカ4の二次側端子のそれぞれと接続され、電圧を測定する。実施の形態2においても配電方式として単相三線式を想定しているので、電圧測定部181は、L1相とN相との間の電圧、L2相とN相との間の電圧、L1相とL2相との間の電圧のそれぞれを測定する。電圧測定部181は、測定した電圧を制御部17に出力する。
【0056】
給電部18Aは、給電部18と同様、主幹ブレーカ4の二次側端子のそれぞれと接続され、電力計測装置10Aの各機能ブロックに電力を供給する。給電部18Aは、主幹ブレーカ4から受電した電力を電力計測装置10Aの各機能ブロックに供給するための直流に変換し、電力計測装置10Aの各機能ブロックに電力を供給する。また、給電部18Aは、給電部18の機能に加えて、主幹ブレーカ4の二次側端子の電圧が0になった場合には、予備電源19からの直流を電力計測装置10Aの各機能ブロックに供給する機能を有する。なお、予備電源19の出力電圧と電力計測装置10Aの各機能ブロックが必要とする電圧が異なる場合には、電圧の昇圧又は降圧による変換を行って、電力計測装置10Aの各機能ブロックに必要な電圧を供給する。また、給電部18Aは、予備電源19への直流の供給と充電制御を行う機能を有する。
【0057】
予備電源19は、給電部18Aと電気的に接続され、主幹ブレーカ4の二次側端子から電力計測装置10Aへの電力供給が停止している間、電力計測装置10Aの電源として機能する。予備電源19は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池である。なお、予備電源19は、リチウム電池、アルカリ電池などの一次電池であってもよい。予備電源19が一次電池である場合、給電部18Aは予備電源19への直流の供給と充電制御の機能を有していない。なお、予備電源19が一次電池である場合、給電部18Aは予備電源19の残量管理の機能を有していることが好ましい。また、予備電源19は、電力計測装置10Aの管理者、または、管理者が指定した業者によって交換可能であることが好ましい。一方で、ユーザや第三者が予備電源19を容易に取り外すことができないように、予備電源19は、施錠されている、または、特殊なネジで固定されていることが好ましい。
【0058】
2. 動作
実施の形態2に係る電力計測装置10Aの動作について説明する。なお、実施の形態1と同様の動作については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0059】
電力計測装置10Aは、施工が完了し、主幹ブレーカ4の操作レバー43がオンにされると待機状態st1(図5参照)に遷移する。待機状態st1の電力計測装置10Aは、待機状態st1の電力計測装置10の動作と同様である。なお、電圧測定部181の検知した電圧が0である間、待機状態st1の電力計測装置10Aは、電圧測定部181の検知した電圧が回復するまで動作を行わないとしてもよい。
【0060】
監視状態st2(図5参照)の電力計測装置10Aは、電圧測定部181の測定した電圧が正常である場合は、電力計測装置10と同様の動作を行う。すなわち、電流測定部材2を用いて、引込線200から供給される電力の計測を行う。監視状態st2の電力計測装置10Aは、計測した電力量を、HEMSコントローラや電力会社サーバに転送する。監視状態st2の電力計測装置10Aは、計測した電力量を、定期的に転送してもよいし、変化があるごとに転送してもよい。また、監視状態st2の電力計測装置10Aは、計測した電力量を、計測した時刻と関連付けて転送してもよい。また、監視状態st2の電力計測装置10は、電流測定部材2のそれぞれが閉状態を維持しているか否かの監視を行う。監視状態st2の電力計測装置10は、電流測定部材2の少なくとも1つが開状態であることを検知すると、エラー検知状態st3に遷移する。また、監視状態st2の電力計測装置10Aは、外部装置3から待機状態st1への遷移を指示されると、正規の指示であるか否かを認証し、認証に成功した場合に待機状態st1へ遷移する。
【0061】
また、監視状態st2の電力計測装置10Aは、電圧測定部181の測定した電圧が0になった場合、すなわち、幹線6の停電を検知した場合には、以下の動作を行う。給電部18Aは、予備電源19の電力で電力計測装置10Aが動作するように電源を切り替える。そして、電力計測装置10Aは、電圧が0となった情報を、発生時刻とともに停電情報保持部132に保持する。また、電力計測装置10Aは、電流測定部材2のそれぞれが閉状態を維持しているか否かの監視を継続する。監視状態st2の電力計測装置10は、電流測定部材2の少なくとも1つが開状態であることを検知すると、状態保持部131にエラー検知状態であることを示す情報を保持し、エラー検知状態st3に遷移する。なお、監視状態st2の電力計測装置10Aは、引込線200から供給される電力の計測を一時的に中止してもよい。また、監視状態st2の電力計測装置10Aは、通信部15の機能を一時的に停止してもよい。監視状態st2の電力計測装置10Aは、電圧測定部181の測定した電圧が回復した場合には、停電情報保持部132に、電圧値を、回復時刻とともに保持する。そして、給電部18Aは、幹線6の電力で電力計測装置10Aが動作するように電源を切り替える。また、電力計測装置10Aは、通信部15の機能を一時的に停止していた場合、通信部15の機能を再開する。さらに、電力計測装置10Aは、電圧が0になった時刻と電圧が回復した時刻とを、外部装置3に送信する。また、電力計測装置10Aは、外部装置3に送信していない電力データがあれば、外部装置3に送信する。そして、電力計測装置10Aは、電圧測定部181の検知した電圧が正常である場合の動作に復旧する。
【0062】
電力計測装置10Aは、電圧測定部181の測定した電圧が正常である場合にエラー検知状態st3(図5参照)に遷移すると、電力計測装置10と同様の動作を行う。すなわち、エラー検知状態の電力計測装置10は、警報部14より、電流測定部材2が開状態となったことを示す警告を行う。また、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、計測した電力量を、HEMSコントローラや電力会社サーバに転送する。また、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、外部装置3から待機状態st1への遷移を指示されると、正規の指示であるか否かを認証し、認証に成功した場合に待機状態st1へ遷移する。また、エラー検知状態st3の電力計測装置10は、外部装置3からエラー状態のリセットを指示されると、正規の指示であるか否かを認証し、認証に成功した場合に監視状態st2へ遷移する。電力計測装置10は、エラー検知状態st3から待機状態st1又は監視状態st2へ遷移する場合、状態保持部131に保持されているエラー検知状態であることを示す情報をクリアする。
【0063】
エラー検知状態st3の電力計測装置10Aは、幹線6の停電を検知した場合には、以下の動作を行う。給電部18Aは、予備電源19の電力で電力計測装置10Aが動作するように電源を切り替える。そして、電力計測装置10Aは、電圧が0となった情報を、発生時刻とともに停電情報保持部132に保持する。また、電力計測装置10Aは、警報部14より、電流測定部材2が開状態となったことを示す警告を行う。なお、警報部14は、電圧測定部181の検知した電圧が回復するまで、警告の出力を待機してもよい。また、電力計測装置10Aは、計測した電力量を保持し、電力量の転送を、電圧測定部181の検知した電圧が回復するまで待機する。電力計測装置10Aは、電圧測定部181の測定した電圧が回復した場合には、停電情報保持部132に、回復時刻とともに電圧値を保持する。そして、電力計測装置10Aは、警告の出力を待機していた場合には警告を出力する。また、電力計測装置10Aは、電圧が0になった時刻と電圧が回復した時刻とを、外部装置3に送信する。また、電力計測装置10Aは、外部装置3に送信していない電力データがあれば、外部装置3に送信する。そして、電力計測装置10Aは、電圧測定部181の検知した電圧が正常である場合の動作に復旧する。
【0064】
また、幹線6が停電状態のまま、電力計測装置10Aが監視状態st2からエラー検知状態st3に遷移した場合、以下の動作を行う。電力計測装置10Aは、警報部14より、電流測定部材2が開状態となったことを示す警告を行う。なお、警報部14は、電圧測定部181の検知した電圧が回復するまで、警告の出力を待機してもよい。また、電力計測装置10Aは、計測した電力量を保持し、電力量の転送を、電圧測定部181の検知した電圧が回復するまで待機する。電力計測装置10Aは、電圧測定部181の測定した電圧が回復した場合には、停電情報保持部132に、回復時刻とともに電圧値を保持する。そして、警告の出力を待機していた場合には警告を出力する。また、電力計測装置10Aは、電圧が0になった時刻と電圧が回復した時刻とを、外部装置3に送信する。また、電力計測装置10Aは、外部装置3に送信していない電力データがあれば、外部装置3に送信する。そして、電力計測装置10Aは、電圧測定部181の検知した電圧が正常である場合の動作に復旧する。
【0065】
3. 小括
実施の形態2に係る電力計測装置10Aによれば、測定対象の電力線である引込線200に取り付けられた電流測定部材2が開状態にしたことを検知することができる。したがって、ユーザや工事業者等が誤って電流測定部材2を取り外した場合や取り外そうとした場合に、管理者等が速やかに対処することができる。また、引込線200が停電状態となっても電力計測装置10Aによる電流測定部材2の監視が停止しない。したがって、停電中やユーザや第三者が意図的に主幹ブレーカ4をオフにした場合でも、電流測定部材2が移動されていないかの監視を行うことができる。
【0066】
[変形例1]
上記各実施の形態及び各変形例では、電力計測装置10又は電力計測装置10Aは、電流測定部材2の開状態を検知するとユーザや外部装置3に直ちに報知を行う。しかしながら、例えば、電力計測装置10又は10Aは、電流測定部材2の監視のみを行い、報知を行わないとしてもよい。
【0067】
1. 動作
変形例1に係る電力計測装置10Aは、監視状態st2で電流測定部材2の開状態を検知した場合に、電流測定部材2が開状態に変化した旨の記録を、発生時刻と対応付けして状態保持部131に保持する。そして、電力計測装置10Aは、監視状態st2を継続する。電力計測装置10Aは、警報部14から警報を発出しない。電力計測装置10Aは、電流測定部材2が開状態に変化した旨の情報と発生時刻とを、通信部15から外部装置3に送信する。また、電力計測装置10Aは、電流測定部11で測定した電力量を外部装置3に送信する動作を継続して繰り返し行う。なお、電力計測装置10Aは、電流測定部材2の閉状態を検知した場合に、電流測定部材2が閉状態に変化した旨の記録を送信してもよい。また、電力計測装置10Aは、電流測定部材2の開状態を検知した場合に、電流測定部材2が開状態に変化した旨の記録を、発生時刻と対応付けして状態保持部131に保持する。そして、電力計測装置10Aは、電流測定部材2が開状態に変化した旨の情報と発生時刻とを、通信部15から外部装置3に送信する。
【0068】
外部装置3は、電力計測装置10Aより受信した、電流測定部材2が開状態に変化した旨の記録や電流測定部材2が閉状態に変化した旨の記録、電力値に基づいて、電流測定部材2が引込線200から取り外されたか否かの判定を行ってもよい。外部装置3は、例えば、電流測定部材2が開状態に変化した時刻が、施工日時やメンテナンス工事日時であると予め登録されている場合、当該検知をエラーではないと判定する。また、例えば、外部装置3は、電流測定部材2が開状態に変化した時刻が、施工日時やメンテナンス工事日時でない場合、当該検知をエラーの可能性があると判定する。電力計測装置10Aの管理者は、外部装置3の判定に基づき、現地確認を行うことで、電流測定部材2の設置状態が正しいか否かを確認する。また、例えば、電流測定部材2が開状態であった時間が、電流測定部材2の取り外し作業に必要な時間より十分に短い場合、ユーザまたは第三者が電流測定部材2を開状態にしただけと外部装置3は判定する。電力計測装置10Aの管理者は、外部装置3の判定に基づき、ユーザに対し注意喚起の連絡を行う。
【0069】
なお、外部装置3は、電流測定部材2が開状態に変化した旨の記録や電流測定部材2が閉状態に変化した旨の記録、電力値に基づいて、電流測定部材2が引込線200から取り外されたと判定した場合に、エラー通知を電力計測装置10Aに送信してもよい。また、電力計測装置10Aは、外部装置3からエラー通知を受信するとエラー検知状態st3に遷移し、警報部14より警報を発出するとしてもよい。
【0070】
2. 小括
変形例1に係る電力計測装置10Aによれば、測定対象の電力線である引込線200に取り付けられた電流測定部材2が開状態にしたことを検知することができる。したがって、ユーザや工事業者等が誤って電流測定部材2を取り外した場合や取り外そうとした場合に、管理者等が速やかに対処することができる。また、変形例1に係る電力計測装置10Aは、電流測定部材2が開状態であることを検知した場合に外部装置3に通知を行い、警報を発出しない。したがって、電力計測装置10Aの管理者は外部装置3が受信した、電流測定部材2が開状態に変化した時刻、電流測定部材2が閉状態に変化した時刻、電力値に基づいて総合的に、電流測定部材2が移動されているかいないかの判断を行うことができる。すなわち、警報を過度に発出させずに、電流測定部材2が移動されていないかの監視を行うことができる。
【0071】
[その他の変形例]
(1)電流測定部材2が開状態であるか閉状態であるかを状態検知部12が検知する方法は、上述の方法に限られない。例えば、電流測定部材2の開閉センサ27は、電流測定部材2が開状態であるか閉状態であるかを検知可能な位置に設けられていればよく、接合部232の近傍でなくてもよい。また、例えば、電流測定部材2の開閉センサ27は、マイクロスイッチに限らず、非接触式センサであってもよい。
【0072】
また、電流測定部材2が開状態であるか閉状態であるかを状態検知部12が検知する方法は、以下のような方法でもよい。例えば、電流測定部材2の第1コア部分25に開閉検知用コイルを設け、開閉検知用コイルと状態検知部12とを電気的に接続してもよい。状態検知部12は、例えば、開閉検知用コイルに電流を流し、電流測定部11が検知した電流と比較することで、電流測定部材2が開状態であるか閉状態であるかを検知することができる。又は、例えば、状態検知部12は、開閉検知用コイルに電圧を印加し、インピーダンス又はインダクタンスを測定して、電流測定部材2が開状態であるか閉状態であるかを検知してもよい。又は、例えば、電流測定部材2に開閉検知用コイルを設けず、状態検知部12は電流検知コイルのインピーダンス又はインダクタンスを測定して、電流測定部材2が開状態であるか閉状態であるかを検知してもよい。
【0073】
また、状態検知部12は、電流測定部11が測定する電流または電力が0である期間を、電流測定部材2が開状態である期間であると推定してもよい。電流測定部材2の測定対象となる電力線の電流量が0になる可能性が低い場合、電流量が0であることは電流測定部材2が正常に機能していない可能性が高いと考えられる。また、状態検知部12は、電流測定部11が測定する電流または電力が0である状態が所定の時間以上継続すれば、電流測定部材2が開状態であると推定してもよい。又は、例えば、状態検知部12は、電圧測定部181が測定する電圧が0である期間を、電流測定部材2が開状態である期間であると推定してもよい。また、状態検知部12は、電圧測定部181が測定する電圧が0である状態が所定の時間以上継続すれば、電流測定部材2が開状態であると推定してもよい。
【0074】
(2)電流測定部材2Aは、容易に閉状態から開状態に変更できないようにロック機構235を備えるとしてもよい。
【0075】
図7は、ロック機構235を備える電流測定部材2Aの概略図である。電流測定部材2Aは、第1部分23Aと、第2部分24Aと、ロック部材234とを含む。第1部分23Aは、第1突起233を有する。第2部分24Aは、第2突起243を有する。ロック機構235は、ロック部材234と、第1突起233と、第2突起243とを含む。
【0076】
第1突起233は、第1部分23Aの厚み方向に突出し、端部が第1面271に接している。また、第1突起233は、第1面271に直交する向きに貫通孔を有する。第2突起243は、第2部分24Aの厚み方向に突出し、端部が第3面281に接している。また、第2突起243は、第3面281に直交する向きに貫通孔を有する。また、電流測定部材2が閉状態であるとき、第1突起233の貫通孔と第2突起243の貫通孔とは、同一直線上に並ぶ。第1突起233の貫通孔と第2突起243の貫通孔との両方を貫くように、ロック部材234が設けられる。ロック部材234は、例えば、結束バンドである。又は、例えば、ロック部材234は、錠であってもよいし、専用の工具でないと取り外せないボルトとナットの組み合わせでもよい。
【0077】
なお、ロック機構235は、電流測定部材2を閉状態から開状態に変更できる人を限定する機構であればよく、位置や構造は上述の例に限定されない。又は、ロック機構235は、作業者が誤って開状態に変更することを抑止する機構であってもよい。例えば、電流測定部材2は、閉状態から開状態に変更するために、両手での作業を必要とする、手順書等を参照しないと作業方法がわかりづらい、などの構成であってもよい。このような構成を採用することにより、作業者が他のカレントトランスと間違えて開状態にする事故を防ぐことができる。又は、ロック機構235は、電流測定部材2を開状態に変更したことがあるか否かを容易に確認できるものであってもよい。例えば、ロック機構235は、電流測定部材2に巻き付けた結束バンドや、第1部分23と第2部分24とに跨って貼付される紙のシールであってもよい。電流測定部材2を開状態にするとロック機構235が不可逆的に破壊されて元に戻すことができなくなるため、悪戯等に対する抑止力となる。
【0078】
(3)電力計測装置10が電流測定部材2を用いて電力を測定する対象の電力線は、系統電源に限られない。例えば、電力計測装置10は電流測定部材2を用いて、パワーコンディショナから供給される電力を測定してもよい。パワーコンディショナへの電力の供給元は、太陽電池、燃料電池、電気自動車、蓄電池システムのいずれであってもよいし、これらの組み合わせでもよい。又は、例えば、電力計測装置10は電流測定部材2を用いて、ガス発電システムから供給される電力を測定してもよい。また、電力計測装置10が測定した電力のデータを受け取る外部装置3は電力会社サーバに限られず、例えば、HEMSサーバであってもよいし、発電設備のメンテナンス業者のサーバであってもよい。
【0079】
また、電力計測装置10が電力のデータの送信先とする外部装置3と、電流測定部材2が開状態である通知を受け付け、電力計測装置10のエラー検知状態の解除の指示を送信する外部装置3は、同一でなくてもよい。
【0080】
また、電力計測装置10は電流測定部材2を用いて、太陽電池、燃料電池、電気自動車、又は、蓄電池システムから供給される電力を測定してもよい。なお、電流測定部材2は、第1コア部分25に巻かれる電流検知コイルに替えて、第1コア部分25の一部と、第1コア部分25の残りの部分との間に挿入されるホール素子を備えてもよい。
【0081】
(4)以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の様々な実施形態及び変形例の一部に過ぎない。また、実施形態及び変形例は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態と実施形態、又は、実施形態と変形例、変形例と変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0082】
[まとめ]
第1の態様に係る電力計測装置(10;10A)は、測定対象の電力線(200)から供給される電力量を測定する装置である。電力計測装置(10;10A)は、電流測定部材(2;2A)と、電流測定部(11)と、状態検知部(12)とを備える。電流測定部材(2;2A)は、電力線(200)を通す貫通孔(21)を有し、かつ、貫通孔(21)が外部と区画された閉状態と貫通孔(21)と外部とが連続した開状態とに切り替え可能に構成されている。電流測定部(11)は、電流測定部材(2;2A)と電気的に接続され、電流測定部材(2;2A)が閉状態であるときに電力線(200)を流れる電流を測定する。状態検知部(12)は、電流測定部材(2;2A)の状態を監視して開状態の発生を検知する。
【0083】
第1の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2;2A)が測定対象の電力線(200)から取り外された、または、取り外されようとしたことが検知できる。したがって、電流測定部材(2;2A)が測定対象の電力線(200)から取り外されている場合に、速やかに対処が可能である。また、電力計測装置(10;10A)により測定された電力値の信頼性が低下したことを認識できるため、誤った電力値に基づいて処理を行うことを防ぐことができる。
【0084】
第2の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第1の態様において、警報部(14)を更に備える。警報部(14)は、状態検知部(12)が開状態の発生を検知したときに警報を発する。
【0085】
第2の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2;2A)を不適切に取り外そうとした者に対して、行為が検知されたことを知らせ、警告することができる。または、第2の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2;2A)を不適切に取り外そうとした行為があったことを、電力計測装置(10;10A)の管理者に速やかに知らせることができる。
【0086】
第3の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第1の態様又は第2の態様において、状態検知部(12)は、電流測定部(11)が動作を開始してから所定時間の経過後に、電流測定部材(2;2A)の状態の監視を開始する。
【0087】
第3の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、例えば、電力計測装置(10;10A)の設置工事における電流測定部材(2;2A)の取付作業を電流測定部材(2;2A)の不適切な取り外しであると誤検知することを抑止することができる。また、第3の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電力計測装置(10;10A)の設置工事後、特別な操作を行うことなく電流測定部材(2;2A)の取り外しについて監視を開始することができる。
【0088】
第4の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第1から第3の態様のいずれか1つにおいて、操作部(16)を更に備える。操作部(16)は、ユーザの操作を受け付ける。状態検知部(12)は、操作部(16)に所定の操作が行われたときに電流測定部材(2;2A)の状態の監視を開始する。
【0089】
第4の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、例えば、電力計測装置(10;10A)の設置工事における電流測定部材(2;2A)の取付作業を電流測定部材(2;2A)の不適切な取り外しであると誤検知することを抑止することができる。また、第4の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電力計測装置(10;10A)の設置工事後、所定の操作により、電流測定部材(2;2A)が取り外されないかの監視を直ちに開始することができる。
【0090】
第5の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第4の態様において、前記所定の操作である第1の所定の操作とする。状態検知部(12)は、開状態の発生を検知している状態で操作部(16)に第2の所定の操作が行われると、開状態の発生の検知を解除する。
【0091】
第5の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2;2A)が測定対象の電力線(200)に設置されている状態であることを電力計測装置(10;10A)の設置者や管理者が確認した場合に、検知状態を解除することができる。したがって、電流測定部材(2;2A)が測定対象の電力線に正しく取り付けられていることを検知状態によって確認することができる。
【0092】
第6の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第1から第5の態様のいずれか1つにおいて、通信部(15)を更に備える。通信部(15)は、外部装置(3)と通信する。通信部(15)は、状態検知部(12)が開状態の発生を検知したときに外部装置(3)に開状態の発生を示す情報を送信する。
【0093】
第6の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2;2A)が測定対象の電力線(200)から取り外された、または、取り外されようとしたことを、外部装置(3)から確認できる。したがって、例えば、電力計測装置(10;10A)の設置者や管理者が電力計測装置(10;10A)を直接監視できない場合にも、電流測定部材(2;2A)が測定対象の電力線(200)に正しく取り付けられているか否かを監視できる。
【0094】
第7の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第6の態様において、通信部(15)が、電流測定部材(2;2A)の状態の監視の開始と、開状態の発生の通知の解除との少なくとも一方の指示を外部装置(3)から受け付けたとき、状態検知部(12)は、指示に従い、電流測定部材(2;2A)の状態の監視の開始または開状態の発生の解除を行う。
【0095】
第7の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2;2A)が測定対象の電力線(200)に正しく取り付けられているか否かの監視状態を、外部装置(3)から制御できる。したがって、例えば、電力計測装置(10;10A)の設置工事や電流測定部材(2;2A)の設置状態の確認を工事業者に依頼した場合に、管理者が遠隔で電流測定部材(2;2A)の監視の開始や検知状態の解除を行うことができる。つまり、工事業者に依頼した場合に、電流測定部材(2;2A)の監視の開始や検知状態の解除に関する権限を委譲する必要がなくなる。
【0096】
第8の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第1から第7の態様のいずれか1つにおいて、状態保持部(131)と、送信部(通信部15)とを更に備える。状態保持部(131)は、状態検知部(12)が監視によって得た電流測定部材(2;2A)の状態の変化と、状態の変化の発生日時とを関連付けて保持する。送信部(通信部15)は、状態保持部(131)が保持する情報を外部に送信する。
【0097】
第8の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2;2A)の状態とその変化を、遠隔の位置にいる管理者が確認できる。したがって、例えば、設置工事やメンテナンス作業による状態変化など管理者の意図に反しない状態変化を正常とみなし、在宅中の状態変化は住人による不適切な作業とみなすなど、状況に応じて正常性や電力計測装置の計測結果の信頼性を評価することができる。
【0098】
第9の態様に係る電力計測装置(10A)では、第1から第8の態様のいずれか1つにおいて、電圧測定部(181)と、給電部(18A)と、停電情報保持部(132)とを更に備える。電圧測定部(181)は、電力線(200)の電圧を計測する。給電部(18A)は、予備電源(19)と接続され、電力線(200)への給電が停止したときに予備電源(19)から電力計測装置(10A)に給電させる。停電情報保持部(132)は、電力線(200)の給電停止期間を保持する。
【0099】
第9の態様に係る電力計測装置(10A)によれば、測定対象の電力線(200)に停電があったことを検知できる。また、第9の態様に係る電力計測装置(10A)によれば、停電中に電流測定部材(2;2A)が取り外された場合に、その検知が可能な場合がある。
【0100】
第10の態様に係る電力計測装置(10;10A)では、第1から第9の態様のいずれか1つにおいて、電流測定部材(2A)は、ロック機構(235)を備える。ロック機構(235)は、閉状態から開状態への切り替えを抑止する。
【0101】
第10の態様に係る電力計測装置(10;10A)によれば、電流測定部材(2A)を測定対象の電力線(200)から外すことが容易でなくなる。したがって、電流測定部材(2A)が不適切に観測対象の電力線(200)から外される事故をさらに効果的に抑止することができる。
【0102】
第11の態様に係る分電盤(30)は、第1から第10の態様のいずれか1つに係る電力計測装置(10;10A)と、分電盤用キャビネット(31)とを備える。測定対象の電力線が幹線(6)である。
【0103】
第11の態様に係る分電盤(30)によれば、分電盤(30)より上流の幹線(6)について電力の測定が可能である。また、幹線(6)の電流値を電流測定部材(2;2A)によって測定するため、分電盤(30)の設置工事後に電力計測装置(10;10A)を追加することが容易である。
【符号の説明】
【0104】
10,10A 電力計測装置
11 電流測定部
12 状態検知部
131 状態保持部
132 停電情報保持部
14 警報部
15 通信部(送信部)
16 操作部
181 電圧測定部
19 予備電源
2,2A 電流測定部材
21 貫通孔
30 分電盤
31 分電盤用キャビネット
3 外部装置
6 幹線
200 引込線(電力線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7