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特開2022-184218情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184218
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q10/06 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091932
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沓名 貴規
(72)【発明者】
【氏名】坪内 元治
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】顧客がグループに属する会社である場合に、グループ全体の限度額に応じて取引を制限する情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置100において、制御部102は、顧客データ106aにグループ限度額管理番号が含まれている場合、取引額と、グループ限度額管理番号に紐付く顧客データ106a内の顧客識別データに紐付く取引データ106c内の取引額との合計が、グループ限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する。また、顧客データ106aにグループ限度額管理番号が含まれていない場合、取引額と、顧客識別情報に紐付く取引データ106c内の取引額との合計が、顧客データ106a内の顧客限度額管理番号に紐付く限度額データ106b内の限度額を超えているか判定し、限度額を超えていない場合、顧客識別データと取引額とを格納した取引データ106cを登録する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理装置であって、
顧客を識別するための顧客識別データと、顧客が属するグループを識別するためのグループ識別データと、顧客に設定された限度額を管理するための顧客限度額管理番号と、を含み、グループに設定された限度額を管理するためのグループ限度額管理番号を含ませることが可能な顧客データと、
顧客限度額管理番号またはグループ限度額管理番号と、限度額とを含む限度額データと、
顧客識別データと取引額とを含む取引データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
1)設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれている場合は、設定された取引額と、当該グループ限度額管理番号に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該グループ限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定し、2)当該設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれていない場合は、当該設定された取引額と、当該設定された顧客識別情報に紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該顧客データ内の顧客限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する判定手段と、
1)前記判定手段で限度額を超えていないと判定された場合は、前記設定された顧客識別データと前記設定された取引額とを格納した取引データを登録し、2)前記判定手段で限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了する取引データ登録手段と、
を備えること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
顧客識別データとグループ識別データを含む顧客データを登録する顧客データ登録手段と、
設定されたグループ識別データを含む顧客データが複数登録されている場合は、当該複数の顧客データに同一のグループ限度額管理番号を設定する設定手段と、
をさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
顧客識別データに紐付く、顧客の連結決算に関する財務データにさらにアクセス可能であり、
前記制御部は、グループ限度額管理番号を含む前記顧客データおよび前記財務データを基に、所定の算出手順に従って、グループに対する限度額を算出し、当該グループ限度額管理番号と当該算出した限度額とを含む限度額データを登録する限度額データ登録手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
制御部を備える情報処理装置の前記制御部に実行させるための、
顧客を識別するための顧客識別データと、顧客が属するグループを識別するためのグループ識別データと、顧客に設定された限度額を管理するための顧客限度額管理番号と、を含み、グループに設定された限度額を管理するためのグループ限度額管理番号を含ませることが可能な顧客データと、
顧客限度額管理番号またはグループ限度額管理番号と、限度額とを含む限度額データと、
顧客識別データと取引額とを含む取引データと、
にアクセス可能であり、
1)設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれている場合は、設定された取引額と、当該グループ限度額管理番号に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該グループ限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定し、2)当該設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれていない場合は、当該設定された取引額と、当該設定された顧客識別情報に紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該顧客データ内の顧客限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する判定ステップと、
1)前記判定ステップで限度額を超えていないと判定された場合は、前記設定された顧客識別データと前記設定された取引額とを格納した取引データを登録し、2)前記判定ステップで限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了する取引データ登録ステップと、
を含む情報処理プログラム。
【請求項5】
制御部を備える情報処理装置の前記制御部が実行する、
顧客を識別するための顧客識別データと、顧客が属するグループを識別するためのグループ識別データと、顧客に設定された限度額を管理するための顧客限度額管理番号と、を含み、グループに設定された限度額を管理するためのグループ限度額管理番号を含ませることが可能な顧客データと、
顧客限度額管理番号またはグループ限度額管理番号と、限度額とを含む限度額データと、
顧客識別データと取引額とを含む取引データと、
にアクセス可能であり、
1)設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれている場合は、設定された取引額と、当該グループ限度額管理番号に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該グループ限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定し、2)当該設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれていない場合は、当該設定された取引額と、当該設定された顧客識別情報に紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該顧客データ内の顧客限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する判定ステップと、
1)前記判定ステップで限度額を超えていないと判定された場合は、前記設定された顧客識別データと前記設定された取引額とを格納した取引データを登録し、2)前記判定ステップで限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了する取引データ登録ステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融業界等の債権買取を行う会社、または与信管理を行う会社等において、顧客の与信余力を算出し、算出した与信余力に応じて限度額を算出する情報処理装置が用いられている。情報処理装置が算出した限度額により、各顧客との取引額を制限することにより、各顧客との取引におけるリスクを低減することができる。
【0003】
なお、特許文献1には、複数の会社から構成されるグループ会社全体での取引先別の与信余力を算出できる与信余力算出装置等について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-102134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の限度額管理では、顧客単位(1社ごと)で取引額を制限しており、顧客がグループに属する会社である場合に、グループ全体の与信を考慮して取引を制限することができなかった。そのため、グループ全体で優良な企業であっても、顧客の限度額を超える取引が発生した場合、新たな受注を受けられず機会損失が発生する場合があった。また、顧客単位で限度額を超えていなければ、自由に取引できてしまうため、グループ全体の経営状態が良好ではない場合であっても取引してしまい、損失が発生する場合があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、顧客がグループに属する会社である場合に、グループ全体の限度額に応じて取引を制限することができる情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、制御部を備える情報処理装置であって、顧客を識別するための顧客識別データと、顧客が属するグループを識別するためのグループ識別データと、顧客に設定された限度額を管理するための顧客限度額管理番号と、を含み、グループに設定された限度額を管理するためのグループ限度額管理番号を含ませることが可能な顧客データと、顧客限度額管理番号またはグループ限度額管理番号と、限度額とを含む限度額データと、顧客識別データと取引額とを含む取引データと、にアクセス可能であり、前記制御部は、1)設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれている場合は、設定された取引額と、当該グループ限度額管理番号に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該グループ限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定し、2)当該設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれていない場合は、当該設定された取引額と、当該設定された顧客識別情報に紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該顧客データ内の顧客限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する判定手段と、1)前記判定手段で限度額を超えていないと判定された場合は、前記設定された顧客識別データと前記設定された取引額とを格納した取引データを登録し、2)前記判定手段で限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了する取引データ登録手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る情報処理装置において、前記制御部は、顧客識別データとグループ識別データを含む顧客データを登録する顧客データ登録手段と、設定されたグループ識別データを含む顧客データが複数登録されている場合は、当該複数の顧客データに同一のグループ限度額管理番号を設定する設定手段と、をさらに備えていてもよい。
【0009】
また、本発明に係る情報処理装置において、顧客識別データに紐付く、顧客の連結決算に関する財務データにさらにアクセス可能であり、前記制御部は、グループ限度額管理番号を含む前記顧客データおよび前記財務データを基に、所定の算出手順に従って、グループに対する限度額を算出し、当該グループ限度額管理番号と当該算出した限度額とを含む限度額データを登録する限度額データ登録手段をさらに備えていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、制御部を備える情報処理装置の前記制御部に実行させるための、顧客を識別するための顧客識別データと、顧客が属するグループを識別するためのグループ識別データと、顧客に設定された限度額を管理するための顧客限度額管理番号と、を含み、グループに設定された限度額を管理するためのグループ限度額管理番号を含ませることが可能な顧客データと、顧客限度額管理番号またはグループ限度額管理番号と、限度額とを含む限度額データと、顧客識別データと取引額とを含む取引データと、にアクセス可能であり、1)設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれている場合は、設定された取引額と、当該グループ限度額管理番号に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該グループ限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定し、2)当該設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれていない場合は、当該設定された取引額と、当該設定された顧客識別情報に紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該顧客データ内の顧客限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する判定ステップと、1)前記判定手段で限度額を超えていないと判定された場合は、前記設定された顧客識別データと前記設定された取引額とを格納した取引データを登録し、2)前記判定手段で限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了する取引データ登録ステップと、を含む。
【0011】
また、本発明に係る情報処理方法は、制御部を備える情報処理装置の前記制御部が実行する、顧客を識別するための顧客識別データと、顧客が属するグループを識別するためのグループ識別データと、顧客に設定された限度額を管理するための顧客限度額管理番号と、を含み、グループに設定された限度額を管理するためのグループ限度額管理番号を含ませることが可能な顧客データと、顧客限度額管理番号またはグループ限度額管理番号と、限度額とを含む限度額データと、顧客識別データと取引額とを含む取引データと、にアクセス可能であり、1)設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれている場合は、設定された取引額と、当該グループ限度額管理番号に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該グループ限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定し、2)当該設定された顧客識別データを含む顧客データにグループ限度額管理番号が含まれていない場合は、当該設定された取引額と、当該設定された顧客識別情報に紐付く取引データ内の取引額との合計が、当該顧客データ内の顧客限度額管理番号に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する判定ステップと、1)前記判定手段で限度額を超えていないと判定された場合は、前記設定された顧客識別データと前記設定された取引額とを格納した取引データを登録し、2)前記判定手段で限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了する取引データ登録ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、顧客がグループに属する会社である場合に、グループ全体の限度額に応じて取引を制限することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、顧客データの一例を示す図である。
図3図3は、限度額データの一例を示す図である。
図4図4は、取引データの一例を示す図である。
図5図5は、財務基本データの一例を示す図である。
図6図6は、財務情報データの一例を示す図である。
図7図7は、評点マスタの一例を示す図である。
図8図8は、限度額マスタの一例を示す図である。
図9図9は、顧客データ入力画面の一例を示す図である。
図10図10は、限度額入力画面の一例を示す図である。
図11図11は、限度額データの一例を示す図である。
図12図12は、取引データの一例を示す図である。
図13図13は、取引データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.構成]
本実施形態に係る情報処理装置の構成の一例について、図1等を参照して説明する。図1は、情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【0016】
情報処理装置100は、顧客限度額とグループ限度額とに応じて取引を制限する。その結果、情報処理装置100によれば、顧客がグループに属する会社である場合に、グループ限度額に応じて取引を制限することができる。
【0017】
情報処理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、情報処理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0018】
情報処理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。情報処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0019】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、情報処理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、情報処理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0020】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0021】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0022】
記憶部106には、例えば、顧客データ106a、限度額データ106b、取引データ106cおよび財務データ106dが格納されている。
【0023】
図2は、顧客データの一例を示す図である。顧客データ106aは、例えば顧客を識別するための顧客識別データ(顧客番号および顧客名)、顧客が属するグループを識別するためのグループ識別データ(グループ会社名および代表者氏名)、グループに設定された限度額を管理するためのグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)、および顧客に設定された限度額を管理するための顧客限度額管理番号(顧客限度額CIF)などを保持するテーブルである。顧客番号は、顧客名に対応して採番される。グループ会社限度額CIFは、グループ会社名および代表者氏名が一致する顧客データに対して同一の番号が採番される。図2では、顧客番号「901」に対応する顧客名「株式会社沓名」と顧客番号「902」に対応する顧客名「株式会社坪内」とのグループ会社名「AAAグループ」および代表者氏名「山田 太郎」が一致するため、同一のグループ会社限度額CIF「G201」が採番される。同様に、顧客番号「904」に対応する顧客名「株式会社MITSUI」と顧客番号「905」に対応する顧客名「株式会社UEMURA」とのグループ会社名「BBBグループ」および代表者氏名「三井 三郎」が一致するため、同一のグループ会社限度額CIF「G101」が採番される。一方、顧客限度額CIFは、顧客ごとに採番される。
【0024】
図3は、限度額データの一例を示す図である。限度額データ106bは、例えば顧客限度額管理番号(顧客限度額CIF)またはグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)、限度額などを保持するテーブルである。限度額データ106bは、グループ会社限度額CIF(G101,G201)または顧客限度額CIF(K301,K302,K303)にそれぞれ紐づけられている限度額を表す。
【0025】
図4は、取引データの一例を示す図である。取引データ106cは、例えば顧客識別データ(顧客番号および顧客名)、取引額(受注額)などを保持するテーブルである。取引データ106cは、顧客識別データが示す顧客ごとの取引の内容を表す。
【0026】
財務データ106dは、財務基本データ、財務情報データ、評点マスタおよび限度額マスタなどを保持するテーブルである。
【0027】
図5は、財務基本データの一例を示す図である。財務基本データは、顧客番号が示す顧客の各決算期における単体または連結の区分を表す。
【0028】
図6は、財務情報データの一例を示す図である。図6は、顧客番号「901」の顧客の2021年3月期の連結決算の内容を表す。財務情報データは、売上高、売上高前年比、有利子負債、有利子負債月商比、自己資本比率、流動比率、当座比率および固定比率などを保持するテーブルである。
【0029】
図7は、評点マスタの一例を示す図である。評点マスタは、売上高前年比、有利子負債月商比および自己資本比率に対する評点を表す。図6に示す顧客番号「901」の顧客の2021年3月期の連結決算では、売上高前年比が78%であるから、売上高前年比が下限値70%と上限値80%との間に位置し、評点が-10点となる。同様に図6の例では、有利子負債月商比が1.8ヶ月であるから、有利子負債月商比が下限値1.6ヶ月と上限値2ヶ月との間に位置し、評点が-5点となる。同様に図6の例では、自己資本比率が72.1%であるから、自己資本比率が下限値30%より大きく、評点が0点となる。そして、これらの評点を合計したものを100点から除算した85点が評点マスタによる評点となる。なお、評点マスタは、売上高前年比、有利子負債月商比または自己資本比率以外の指標に基づいて評点を算出してもよい。
【0030】
図8は、限度額マスタの一例を示す図である。限度額マスタは、図7に示す評点マスタで評価された評点に対する格付けおよび限度額を表す。図6に示す顧客番号「901」の顧客の2021年3月期の連結決算では、評点85点であるから、限度額マスタにより格付がB-2、限度額が「800,000円」と算出される。
【0031】
制御部102は、情報処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、記憶部106に格納されている顧客データ106a~財務データ106dにアクセス可能である。
【0032】
制御部102は、機能概念的に、顧客データ登録部102a、限度額データ登録部102b、取引データ登録部102c、財務データ登録部102d、設定部102eおよび判定部102fを備える。
【0033】
顧客データ登録部102aは、顧客識別データ(顧客番号および顧客名)とグループ識別データ(グループ会社名および代表者氏名)を含む顧客データ106aを登録する情報処理手段である。
【0034】
限度額データ登録部102bは、グループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)を含む顧客データ106aおよび財務データ106dを基に、所定の算出手順に従って、グループに対する限度額を算出し、このグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)と算出した限度額とを含む限度額データ106bを登録する情報処理手段である。
【0035】
取引データ登録部102cは、判定部102fで限度額を超えていないと判定された場合は、設定された顧客識別データ(顧客番号および顧客名)と設定された取引額(受注額)とを格納した取引データ106cを登録する情報処理手段である。また、取引データ登録部102cは、判定部102fで限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了する情報処理手段である。
【0036】
財務データ登録部102dは、財務データ106dを登録する情報処理手段である。
【0037】
設定部102eは、設定されたグループ識別データ(グループ会社名および代表者氏名)を含む顧客データが複数登録されている場合は、これらの複数の顧客データに同一のグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)を設定する情報処理手段である。
【0038】
判定部102fは、設定された顧客識別データ(顧客番号および顧客名)を含む顧客データにグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)が含まれている場合は、設定された取引額(受注額)と、このグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の取引額(受注額)との合計が、このグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する。また、判定部102fは、設定された顧客識別データ(顧客番号および顧客名)を含む顧客データにグループ限度額管理番号(グループ会社限度額CIF)が含まれていない場合は、設定された取引額(受注額)と、設定された顧客識別情報に紐付く取引データ内の取引額(受注額)との合計が、顧客データ内の顧客限度額管理番号(顧客限度額CIF)に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する情報処理手段である。
【0039】
[2.処理の具体例]
ここでは、情報処理装置100で実行される処理の具体例について、図9~13を参照して説明する。
【0040】
本説明では、情報処理装置100が、オペレータの入力に基づいて、顧客データ106a~取引データ106cを登録する処理を説明する。なお、財務データ106dは、予め記憶部106に登録されているものとする。
【0041】
[S1:顧客データ登録]
顧客データ登録部102aは、オペレータの入力に基づいて、顧客データ106aを記憶部106に登録する。図9は、顧客データ入力画面の一例を示す図である。オペレータは、顧客名に対応して採番された顧客番号「901」の顧客データに対して、グループ識別データ(グループ会社名および代表者氏名)を、オペレータの入力に基づいて記憶部106に登録する。このとき、設定部102eは、登録したグループ会社名および代表者氏名を含む顧客データが複数登録されている場合は、これらの複数の顧客データに同一のグループ会社限度額CIFを採番し、記憶部106に登録する。また、設定部102eは、顧客ごとに顧客限度額CIFを採番し、記憶部106に登録する。
【0042】
[S2:限度額データ登録]
限度額データ登録部102bは、オペレータの入力に基づいて、限度額データ106bを登録する。限度額データ登録部102bは、グループ会社限度額CIFを含む顧客データ106aおよび財務データ106dを基に、所定の算出手順に従って、グループに対する限度額を算出し、このグループ会社限度額CIFと算出した限度額とを含む限度額データ106bを登録する。具体的には、限度額データ登録部102bは、図5~8に示す財務データ106dに基づいて、グループ会社限度額CIF「G201」に対する限度額を「800,000円」と算出し、このグループ会社限度額CIF「G201」と限度額「800,000円」とを記憶部106に登録する。
【0043】
なお、限度額データ登録部102bは、財務データ106dに基づいた定量的な評価だけでなく、オペレータによる定性的な評価を考慮して限度額を登録してもよい。図10は、限度額入力画面の一例を示す図である。限度額データ登録部102bは、オペレータの入力に基づいて、グループ会社限度額CIF「G201」に対する限度額を「1,000,000円」と記憶部106に登録してもよい。図11は、限度額データの一例を示す図である。この場合、限度額データ106bは、図11に示すように変更されて記憶部106に登録される。
【0044】
[S3:取引データ登録]
取引データ106cは、オペレータの入力に基づいて、取引データ106cを登録する。まず、図4に示す取引データ106cが登録されているとする。そして、オペレータは、顧客番号「901」の顧客データに対して、受注額「900,000円」を登録しようとする。すると、判定部102fは、この顧客番号「901」を含む顧客データにグループ会社限度額CIFが含まれているか否かを判定する。判定部102fは、図2に示す顧客データ106aを参照し、顧客番号「901」を含む顧客データにグループ会社限度額CIF「G201」が含まれていると判定する。さらに、判定部102fは、入力された受注額「900,000円」と、このグループ会社限度額CIF「G201」に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の受注額との合計が、このグループ会社限度額CIF「G201」に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する。判定部102fは、図4に示す取引データ106cを参照し、グループ会社限度額CIF「G201」に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の受注額が「0円」であり、入力された受注額「900,000円」との合計金額「900,000円」が、図11に示す限度額データ106bのグループ会社限度額CIF「G201」に対する限度額「1,000,000円」を超えていないと判定する。そして、取引データ登録部102cは、判定部102fで限度額を超えていないと判定された場合は、入力された顧客番号「901」と入力された受注額「900,000円」とを格納した取引データ106cを記憶部106に登録する。
【0045】
図12は、取引データの一例を示す図である。取引データ登録部102cは、オペレータによる顧客番号「901」の顧客データに対する受注額「900,000円」の登録を受け付け、取引データ106cを更新して記憶部106に登録する。
【0046】
続いて、オペレータは、顧客番号「902」の顧客データに対して、受注額「200,000円」を登録しようとする。すると、判定部102fは、この顧客番号「902」を含む顧客データにグループ会社限度額CIFが含まれているか否かを判定する。判定部102fは、図2に示す顧客データ106aを参照し、顧客番号「902」を含む顧客データにグループ会社限度額CIF「G201」が含まれていると判定する。さらに、判定部102fは、入力された受注額「200,000円」と、このグループ会社限度額CIF「G201」に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の受注額との合計が、このグループ会社限度額CIF「G201」に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する。判定部102fは、図12に示す取引データ106cを参照し、グループ会社限度額CIF「G201」に紐付く顧客データ内の顧客識別データに紐付く取引データ内の受注額が「900,000円」であり、入力された受注額「200,000円」との合計金額「1,100,000円」が、図11に示す限度額データ106bのグループ会社限度額CIF「G201」に対する限度額「1,000,000円」を超えていると判定する。そして、取引データ登録部102cは、判定部102fで限度額を超えていると判定された場合は、処理を終了し、取引データ106cを変更しない。
【0047】
続いて、オペレータは、顧客番号「903」の顧客データに対して、受注額「300,000円」を登録しようとする。すると、判定部102fは、この顧客番号「903」を含む顧客データにグループ会社限度額CIFが含まれているか否かを判定する。判定部102fは、図2に示す顧客データ106aを参照し、顧客番号「903」を含む顧客データにグループ会社限度額CIFが含まれていないと判定する。さらに、判定部102fは、入力された受注額と、顧客番号「903」に紐付く取引データ内の受注額との合計が、顧客データ内の顧客限度額CIF「K303」に紐付く限度額データ内の限度額を超えているか判定する。判定部102fは、図12に示す取引データ106cを参照し、顧客番号「903」に紐付く取引データ内の受注額が「0円」であり、入力された受注額「300,000円」との合計金額「300,000円」が、図11に示す限度額データ106bの顧客限度額CIF「K303」に対する限度額「300,000円」を超えていないと判定する。そして、取引データ登録部102cは、判定部102fで限度額を超えていないと判定された場合は、入力された顧客番号「903」と入力された受注額「300,000円」とを格納した取引データ106cを記憶部106に登録する。
【0048】
図13は、取引データの一例を示す図である。取引データ登録部102cは、オペレータによる顧客番号「903」の顧客データに対する受注額「300,000円」の登録を受け付け、取引データ106cを更新して記憶部106に登録する。
【0049】
以上、本実施形態によれば、取引データ登録部102cが、顧客限度額CIFとグループ会社限度額CIFとに紐づく限度額に応じて取引を制限するため、顧客がグループに属する会社である場合に、グループ全体の限度額に応じて取引を制限することができる。その結果、グループ全体で優良な企業である場合、顧客の限度額を超えた取引が発生した場合であっても、グループ限度額に応じて新たな受注を受けることができるため、売上の向上を見込むことができる。また、顧客単位で限度額を超えていなくても、グループ全体の経営状態が良好ではない場合、取引が制限され、損失の発生するリスクを低減することができる。
【0050】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0053】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0054】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0055】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0056】
また、情報処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0057】
例えば、情報処理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて情報処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0058】
また、このコンピュータプログラムは、情報処理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0059】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0060】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0061】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0062】
また、情報処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、情報処理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0063】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば、顧客との取引を制限する限度額を設定する際に有用である。
【符号の説明】
【0065】
100 情報処理装置
102 制御部
102a 顧客データ登録部
102b 限度額データ登録部
102c 取引データ登録部
102d 財務データ登録部
102e 設定部
102f 判定部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 顧客データ
106b 限度額データ
106c 取引データ
106d 財務データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13