(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184219
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/43 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A01D34/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091934
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
(72)【発明者】
【氏名】天間 修一
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA11
2B083HA06
2B083HA07
2B083HA59
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な回路構成で地面状況に柔軟に対応するとともに、安定的な動作を可能とする作業機を提供する。
【解決手段】水平軸411Aによって支持され、水平軸周りに旋回自在で主フレーム11に折り畳んだ収納状態と主フレームの側方に旋回させた展開状態とに変更可能なブーム411、413と、ブームを旋回動作させるシリンダ415と、シリンダに流出入させる流体をシリンダが伸長する方向、又は、短縮する方向切り替え制御する方向制御弁と、ブームが動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置であるセンサSeと、検出値を入力するとともに検出値が第1範囲と、第2範囲の境界を示す設定角度である閾値を超えたと判断すると、シリンダと方向制御弁との間で流体を自由に往来させるように方向制御弁を切換える制御部と、を備えた作業機A。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平軸によって支持されるとともに前記水平軸周りに旋回自在で主フレームに折り畳んだ収納状態と前記主フレームの側方に旋回させた展開状態とに変更可能なブームと、
前記ブームを旋回動作させるシリンダと、
前記シリンダに流出入させる流体をシリンダが伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替え制御する方向制御弁と、
前記ブームが動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置であるセンサと、
前記検出値を入力するとともに前記検出値が格納側のブームの旋回範囲である収納状態から展開状態へ移動するあらかじめ定めた第1範囲と、第1範囲の展開側に展開するブームの旋回範囲であるあらかじめ定めた第2範囲の境界を示す設定角度である閾値を超えたと判断すると、前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を自由に往来させるように前記方向制御弁を切換える制御部と、
を備えたことを特徴とする作業機。
【請求項2】
水平軸によって支持されるとともに前記水平軸周りに旋回自在で主フレームに折り畳んだ収納状態と前記主フレームの側方に旋回させた展開状態とに変更可能なブームと、
前記ブームを旋回動作させるシリンダと、
前記シリンダに流出入させる流体をシリンダが伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替え制御する方向制御弁と、
前記ブームが動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置であるセンサと、
前記ブームを動作させるための前記方向制御弁を操作する操作レバーを有する操作部と、
前記操作レバーが操作されたときであって、前記検出値を入力するとともに前記検出値が格納側のブームの旋回範囲である収納状態から展開状態へ移動するあらかじめ定めた第1範囲と、第1範囲の展開側に展開するブームの旋回範囲であるあらかじめ定めた第2範囲の境界を示す設定角度である閾値を超えたと判断すると、前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を自由に往来させるように前記方向制御弁を切換える制御部と、
を備えたことを特徴とする作業機。
【請求項3】
制御部は、重心を判断するのではなく、閾値を超えたか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
閾値が、55度乃至65度である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
閾値が、60度である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の作業機。
【請求項6】
前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を流通させるように前記方向制御弁を切換えると、シリンダが伸長自在状態となる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
シリンダロッド側室内とシリンダボトム側室内とを設けた前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能であるシリンダに設けたシリンダロッド側室内と接続する第1切換弁及びシリンダに設けたシリンダボトム側室内と接続する第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記ブームが動作した量である回動角度の変位量である検出値によって前記ブームの旋回範囲が前記第1範囲と前記第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第1範囲に位置する場合に、前記ブームを前記第1範囲から前記第2範囲に旋回するように前記操作レバーを操作すると、前記シリンダに流体を圧送させるように前記方向制御弁を切換えるとともに前記第1切換弁を前記開放状態に切換え、且つ、前記第2切換弁を前記阻止状態に切換える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と、前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である第1切換弁及び第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が前記第1範囲と前記第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第2範囲に位置する場合に、前記ブームを前記第2範囲から前記第1範囲に旋回するように前記操作レバーを操作すると、前記シリンダに流体を圧送させるように前記方向制御弁を切換えるとともに前記第1切換弁を前記阻止状態に切換え、且つ、第2切換弁を前記開放状態に切換える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と、前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である第1切換弁及び第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が前記第1範囲と前記第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第1範囲に位置する場合に、前記操作レバーの操作を停止すると、前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を自由に往来させるように前記方向制御弁を切換えるとともに前記第1切換弁及び第2切換弁を前記阻止状態に切換える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である第1切換弁及び第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が格納側の旋回範囲である第1範囲と展開側の旋回範囲である第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第2範囲に位置する場合に前記操作レバーの操作を停止すると、前記第1切換弁を前記阻止状態に切換え且つ第2切換弁を前記開放状態に切換える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8または請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記操作部はフローティングにするフローティング手段と、を備え、
前記制御部は前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が展開側の旋回範囲である第2範囲であると判断され且つ、前記フローティング手段が操作されたと判断した場合、前記第1切換弁及び第2切換弁を前記開放状態に切換えてフローティングモードに移行させ、
前記フローティングモード中において前記操作レバーが操作されると、前記第1切換弁又は前記第2切換弁のいずれか一方を前記阻止状態に切換えて前記フローティングモードを解除する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6または請求項7または請求項8または請求項9または請求項10に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業部を折り畳んだ格納状態と、進行方向に対する左右側方に大きく展開させた展開状態と、のそれぞれに姿勢変更させることによって作業を行う作業機あるいは作業装置が、特許文献1によって公知となっている。この文献によれば、作業部である草刈装置本体を支持する支持アームを、第1シリンダ及び第2シリンダ等で屈折させることによって格納状態及び展開状態にさせる。そして、支持アームを伸長させることによって、作業部を側方に張り出した展開状態にさせて草刈作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の支持アーム及びこれを作動させる油圧回路は、支持アーム等の伸縮手段が作業面である地面の起伏等の上下方向に対して、柔軟に対応できるような構成とはなっていない。つまり、作業者は作業部が地面の状況に応じて適正な位置となるように、逐一、支持アームを上下動作させるように切換レバー等の操作をする必要があり、操作に係る労力が大きい問題がある。また、地面状況は多様であり、作業部及びアーム等をこれらそれぞれに対応するように、各種弁を油圧回路内に構成するとしても、油圧回路及びこの制御が複雑となる問題がある。
【0005】
その一方で、格納状態から展開状態に姿勢変更させるように、支持アームを構成する第1アームを、鈍角状に大きく回動動作させる場合、荷重の変化からシリンダ周りの油圧回路に掛かる圧力が大きく変化しやすく、動作が不安定になり易い問題もある。
特許文献1の機構を用いて支持アームを格納から展開にする場合、シリンダのボトム側に圧力を加えて伸長動作をするが、展開(または格納)動作中に荷重点(重心)の移動によって、作業部及び支持アームの自重でロッド側が伸びようとする。すると、支持アームの回動動作が急に早くなることがある課題を有する。
【0006】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、簡単な回路構成で地面状況に柔軟に対応するとともに、安定的な動作を可能とする作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、
水平軸によって支持されるとともに前記水平軸周りに旋回自在で主フレームに折り畳んだ収納状態と前記主フレームの側方に旋回させた展開状態とに変更可能なブームと、
前記ブームを旋回動作させるシリンダと、
前記シリンダに流出入させる流体をシリンダが伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替え制御する方向制御弁と、
前記ブームが動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置であるセンサと、
前記検出値を入力するとともに前記検出値が格納側のブームの旋回範囲である収納状態から展開状態へ移動するあらかじめ定めた第1範囲と、第1範囲の展開側に展開するブームの旋回範囲であるあらかじめ定めた第2範囲の境界を示す設定角度である閾値を超えたと判断すると、前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を自由に往来させるように前記方向制御弁を切換える制御部と、
を備えたことを特徴とする作業機、
に係る。
【0008】
この発明は、
水平軸によって支持されるとともに前記水平軸周りに旋回自在で主フレームに折り畳んだ収納状態と前記主フレームの側方に旋回させた展開状態とに変更可能なブームと、
前記ブームを旋回動作させるシリンダと、
前記シリンダに流出入させる流体をシリンダが伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替え制御する方向制御弁と、
前記ブームが動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置であるセンサと、
前記ブームを動作させるための前記方向制御弁を操作する操作レバーを有する操作部と、
前記操作レバーが操作されたときであって、前記検出値を入力するとともに前記検出値が格納側のブームの旋回範囲である収納状態から展開状態へ移動するあらかじめ定めた第1範囲と、第1範囲の展開側に展開するブームの旋回範囲であるあらかじめ定めた第2範囲の境界を示す設定角度である閾値を超えたと判断すると、前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を自由に往来させるように前記方向制御弁を切換える制御部と、
を備えたことを特徴とする作業機、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
制御部は、重心を判断するのではなく、閾値を超えたか否かを判断する作業機、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
閾値が、55度乃至65度である作業機、
に係る。
【0011】
この発明は、更に、
閾値が、60度である作業機、
に係る。
【0012】
この発明は、更に、
前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を流通させるように前記方向制御弁を切換えると、シリンダが伸長自在状態となる作業機、
に係る。
【0013】
この発明は、更に、
シリンダロッド側室内とシリンダボトム側室内とを設けた前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能であるシリンダに設けたシリンダロッド側室内と接続する第1切換弁及びシリンダに設けたシリンダボトム側室内と接続する第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記ブームが動作した量である回動角度の変位量である検出値によって前記ブームの旋回範囲が前記第1範囲と前記第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第1範囲に位置する場合に、前記ブームを前記第1範囲から前記第2範囲に旋回するように前記操作レバーを操作すると、前記シリンダに流体を圧送させるように前記方向制御弁を切換えるとともに前記第1切換弁を前記開放状態に切換え、且つ、前記第2切換弁を前記阻止状態に切換える作業機、
に係る。
【0014】
この発明は、更に、
前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と、前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である第1切換弁及び第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が前記第1範囲と前記第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第2範囲に位置する場合に、前記ブームを前記第2範囲から前記第1範囲に旋回するように前記操作レバーを操作すると、前記シリンダに流体を圧送させるように前記方向制御弁を切換えるとともに前記第1切換弁を前記阻止状態に切換え、且つ、第2切換弁を前記開放状態に切換える作業機、
に係る。
【0015】
この発明は、更に、
前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と、前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である第1切換弁及び第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が前記第1範囲と前記第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第1範囲に位置する場合に、前記操作レバーの操作を停止すると、前記シリンダと前記方向制御弁との間で流体を自由に往来させるように前記方向制御弁を切換えるとともに前記第1切換弁及び第2切換弁を前記阻止状態に切換える作業機、
に係る。
【0016】
この発明は、更に、
前記シリンダと前記方向制御弁との間の回路には、前記シリンダと前記方向制御弁との回路を解放した開放状態と前記シリンダから方向制御弁側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である第1切換弁及び第2切換弁と、を備え、
前記制御部は、前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が格納側の旋回範囲である第1範囲と展開側の旋回範囲である第2範囲とに判断可能に設け、
前記制御部は、前記ブームが前記第2範囲に位置する場合に前記操作レバーの操作を停止すると、前記第1切換弁を前記阻止状態に切換え且つ第2切換弁を前記開放状態に切換える、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0017】
この発明は、更に、
前記操作部はフローティングにするフローティング手段と、を備え、
前記制御部は前記検出値によって前記ブームの旋回範囲が展開側の旋回範囲である第2範囲であると判断され且つ、前記フローティング手段が操作されたと判断した場合、前記第1切換弁及び第2切換弁を前記開放状態に切換えてフローティングモードに移行させ、
前記フローティングモード中において前記操作レバーが操作されると、前記第1切換弁又は前記第2切換弁のいずれか一方を前記阻止状態に切換えて前記フローティングモードを解除する、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、簡単な回路構成で地面状況に柔軟に対応するとともに、安定的な動作を可能とする作業機を提供する。
実際に重心を求めるのではなく、制御部において角度で判断し、格納側のブームの旋回範囲であるあらかじめ定めた収納状態から展開状態へ移動する第1範囲から他方の第1範囲の展開側に展開するブームの旋回範囲であるあらかじめ定めた第2範囲に移ると、すなわち、あらかじめ定めた第1範囲と第2範囲の境界を示す設定角度である閾値を超えると、伸縮手段及び作業部の重心が回動軸を通る鉛直線を乗り越えたと判断することで、制御の回路構成を簡略化する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の実施例に係る作業機の正面図である。格納状態であって、進行方向後方からみた図である。
【
図2】この発明の実施例に係る作業機の展開時の正面図である。
【
図3】この発明の実施例に係る作業機の操作部の斜視図である。
【
図4】この発明の実施例に係る作業機の構成図である。
【
図5】この発明の実施例に係る作業機の回路図である。
【
図6】この発明の実施例に係る作業機の動作を示す平面図であって、第1ブームが第1範囲に位置する様子をあらわす。
【
図7】この発明の実施例に係る作業機の動作を示す平面図であって、第1ブームが第1範囲と第2範囲との境に位置する様子をあらわす。
【
図8】この発明の実施例に係る作業機の動作を示す平面図であって、第1ブームが第2範囲に位置する様子をあらわす。
【
図9】この発明の実施例に係る作業機の回路1における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【
図10】この発明の実施例に係る作業機の回路2における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【
図11】この発明の実施例に係る作業機の回路3における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【
図12】この発明の実施例に係る作業機の回路4における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【
図13】この発明の実施例に係る作業機の回路4―1における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【
図14】この発明の実施例に係る作業機の回路5における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【
図15】この発明の実施例に係る作業機の回路6における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【
図16】この発明の実施例に係る作業機の回路7における回路動作の説明図である。方向制御弁は図示を省略してある。太い矢印は流体の流れをあらわす。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る作業機の実施例の機械構造について、
図1に基づき、説明する。
Aは、作業機である。作業機Aは、この発明の実施例では、草刈等の作業を行う作業機に係る。作業機Aは、トラクタ等からなる走行機体(図示せず)の装着用装着部111、112に取り付け駆動する。
トラクタ等からなる走行機体は、実施例では、
図1に図示する作業機Aの奥側に位置する。
【0021】
11は、主フレームである。主フレーム11は、作業機Aに取り付ける。主フレーム11には、図示するように走行機体への装着用の装着部111、112を設ける。2個の111は下部に設ける装着部(ロア)、112は上部に設ける装着部(トップ)であり、3点で作業機Aを走行機体に装着する。
【0022】
図1、
図2に図示する22は、入力軸である。入力軸22は、取り付ける走行機体から駆動力を作業機Aに取り入れる。
図1に図示する23は、変速部である。変速部23では、入力軸22により走行機体から入力した駆動力を変速する。
【0023】
図1、
図2に図示する24は、流体圧発生源である油圧ポンプである。油圧ポンプ24は、入力軸22により走行機体から入力し、変速機23で変速した駆動力により、駆動する。油圧ポンプ24により、作業機Aの油圧で作動する油圧機器関係に油圧を配送する。
図1、
図2に図示する25は、方向制御弁であるバルブユニットである。バルブユニット25では、油圧の流れを切換制御する。
【0024】
図1、
図2に図示する21は、マストフレームである。211は、マストフレーム回動軸である。マストフレーム21は、マストフレーム回動軸211によって、主フレーム11に回動自在に取り付ける。
マストフレーム21は、作業機Aの、主フレーム11の進行方向左右に対する一端部あるいは中央部に設ける。マストフレーム21は、伸縮手段41を、水平方向へ回動可能である。マストフレーム21は、伸縮手段41を鉛直軸周りであるマストフレーム回動軸211周りに回動可能である。マストフレーム21は、伸縮手段41をマストフレーム回動軸211周りに水平回動させることによって、進行方向の左右側方に伸縮手段41を位置させた通常位置と、進行方向の後方側に伸縮手段41を位置させた退避位置と、に姿勢変更ができる。
【0025】
31は、タンクである。タンク31は、実施例では、オイルタンクである。タンク31は、作業機Aの進行方向左右に対する主フレーム11の他端部に設ける。作業機Aに使用される各シリンダは油圧シリンダであるため、タンク31は各オイルシリンダ駆動用のオイルを貯蔵する。
【0026】
41は、伸縮手段である。伸縮手段41は、一端側を主フレーム11近傍で回動可能なマストフレーム21に連結する。伸縮手段41は、
図1に図示するように、作業部51に伸縮手段41を折り畳んで主フレーム11上に作業部51を位置させた格納状態と、
図2に図示するように、伸縮手段41を伸展させて、主フレーム11より進行方向に対する側方に位置させた作業部51の作業状態を取らせる。
すなわち、伸縮手段41は、主フレーム11の近傍に折り畳んだ収納状態と、主フレーム11の側方に伸長させた伸張状態とに変更可能である。また、説明において、収納状態は格納状態、伸張状態は展開状態或いは作業状態と呼ぶことがある。
伸縮手段41は、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418を有する。これら第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418等のシリンダは、ブームを旋回動作させる複動シリンダからなる。
【0027】
第1ブーム411は、マストフレーム21に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。
第1連結体412は、第1ブーム411の他端側の先端部に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。
第2ブーム413は、第1連結体412の他端側の先端部に一端部を連結し、マストフレーム21が通常位置において、進行方向に対して前後方向へ回動可能に設ける。
第2連結体414は、第2ブーム413の他端側の先端部に一端部を設け、マストフレーム21が通常位置において、第1連結体412に対して前後方向へ並行に移動可能である。
【0028】
第1シリンダ415は、油圧シリンダからなり、マストフレーム21と第1ブーム411とを、マストフレーム21と第1ブーム411を連結させたリンク機構42を介して連結する。第1シリンダ415は、第1ブーム411回動用であり、第1ブーム411に設け、伸縮すると同時に第1ブーム411共に回動して第1ブーム411を上下回動させる。
第1シリンダ415は、伸縮手段41をマストフレーム21に設けた水平軸である第1ブーム回動軸411A周りに回動駆動させる。
第1ブーム411は上下方向に、第1ブーム回動軸411Aを回動中心として回動自在にマストフレーム21に連結される。
第1ブーム411は、水平軸である第1ブーム回動軸411Aによって支持されるとともに水平軸411A周りに旋回自在である。第1ブーム411は、主フレーム11に折り畳んだ収納状態と前記主フレーム11の側方に旋回させた展開状態とに変更可能である。
【0029】
第2シリンダ416は、油圧シリンダからなり、第1ブーム411と第1連結体412の他端側とを連結する。第2シリンダ416は、第1連結体412の上下回動用である。
第3シリンダ417は、前後回動シリンダであって、油圧シリンダからなり、第1連結体412と第2ブーム413とを連結する。
第3シリンダ417は、第2ブーム413の第1ブーム411に対する前後回動用である。第3シリンダ417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常位置において、伸縮手段41を前後方向へ回動駆動させる。
【0030】
第4シリンダ418は、油圧シリンダからなり、第2連結体414と作業部51とを連結する。第4シリンダ418は、作業部51の上下回動用である。
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418の各シリンダは、それぞれ、ロッド側室内(415b、416b、417b、418b)と、ボトム側室内(415a、416a、417a、418a)とを有する。
【0031】
51は、作業部である。作業部51は、第2連結体414の他端側の先端部且つ第2連結体414の進行方向に対する前方側に設ける。作業部51は、更に、第2連結体414に対して上下方向へ回動可能に設ける。
作業部51は、この実施例では、マストフレーム21が通常位置において、進行方向と直交する方向に向けた回転軸512に複数の刃部を配置し、複数の刃部を回転駆動させることで草刈等の作業を行う。
【0032】
図3に図示するuは、操作部である。操作部uは、走行機体に設け、制御部tを介して方向制御弁25を操作する。操作部uには、圧力スイッチ作動スイッチu1およびフローティング手段であるフローティングスイッチu2、操作レバーu3を設ける。
操作レバーu3は、第1ブーム411を動作させるための方向制御弁25を操作する。
【0033】
フローティング手段であるフローティングスイッチu2は、作業部51をフローティング作動状態であるフローティングモードあるいはフローティング作動解除状態にする。作業部51をフローティング作動状態にすると、展開状態の作業部51が操作レバーu3の操作によらず自由に上下動するので、進行と共に作業面の凹凸部に追従することができる。操作レバーu3は、方向制御弁25を動作させて、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418のそれぞれを伸縮動作させることができる。
Seは、センサである。Se1は、センサアームである。センサアームSe1は、センサSeから突出させる。センサSeは、第1ブームに連結されたセンサアームSe1の回動によって、第1ブーム411が動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置である。
【0034】
この発明の実施例に係る油圧回路について、
図5、
図9乃至
図16に従って説明する。
cは第1リリーフ弁(第1パイロットリリーフ弁)、pは、スローリターンチェック弁である。p1はスローリターンチェック弁pの絞り弁、p2はスローリターンチェック弁pのチェック弁(逆止弁)である。
スローリターンチェック弁pは、絞り弁p1にチェック弁p2を組込んだもので、一方向の流量を小さく絞って制限し、逆方向の流れを自由に通過させることができる。この発明の実施例において、第1シリンダ415から方向制御弁25へ向かう側への流体の流れは絞り弁p1によって制限して行い、方向制御弁25から第1シリンダ415へ向かう流れは、チェック弁p2によって制限なく行うことができるように構成している。
【0035】
方向制御弁25は、第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254で構成する。方向制御弁25は、電気信号によって動作する弁であり、制御部tによって動作が制御されている。
方向制御弁25は、シリンダ415、シリンダ416、シリンダ417、シリンダ418に流出入させる流体をシリンダ415、シリンダ416、シリンダ417、シリンダ418が伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替え制御する。
第1リリーフ弁cは、方向制御弁25に設ける。
第1リリーフ弁cは、設定圧で自動的に開き、圧力を下げる機能を備える。第1リリーフ弁cは、方向制御弁25内の回路内の流体に異常圧力が発生した時の圧力の逃がしあるいは、安全リリーフバルブである。
【0036】
タンク(オイルタンク)31から、油圧ポンプである流体圧発生源24を介して、方向制御弁25に接続する。方向制御弁25内では、第4方向制御弁254、第3方向制御弁253、第2方向制御弁252、第1方向制御弁251に順次接続する。
方向制御弁25内の、第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254は、それぞれ、第1シリンダ415、第2シリンダ416、前後回動シリンダである第3シリンダ417、第4シリンダ418と、操作部uによる操作がない場合において、それぞれの第1方向制御弁251,第2方向制御弁252,第3方向制御弁253,第4方向制御弁254へ流入した流体をタンク(オイルタンク)31に戻すアンロード回路(無負荷回路)hに接続する。
第1シリンダ415は、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する方向制御弁25に接続する。第1シリンダ415は、方向制御弁25により、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する。
【0037】
第1リリーフ弁cの一端は、それぞれの方向制御弁25である第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254からタンク(オイルタンク)31側に戻す方向制御弁25である第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254に設けたアンロード回路hと、前記それぞれの方向制御弁25である第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254から第1リリーフ弁c側に流体の流入を抑制可能である第1チェック弁251a,第2チェック弁252a,第3チェック弁253a,第4チェック弁254aを介して方向制御弁25ある第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254に接続する。第1リリーフ弁cの他端は、タンク(オイルタンク)31に接続する。
【0038】
図5、
図9乃至
図16に図示するように、第1シリンダ415は、ロッド側室内415bとボトム側室内415aとを有する。
第2シリンダ416は、ロッド側室内416bとボトム側室内416aとを有する。第3シリンダ417は、ロッド側室内417bとボトム側室内417aとを有する。第4シリンダ418のロッド側室内418bとボトム側室内418aとを有する。
【0039】
第1方向制御弁251は、第1シリンダ415のロッド側室内415bとボトム側室内415aとにそれぞれ接続する。第2方向制御弁252は、第2シリンダ416のロッド側室内416bとボトム側室内416aとにそれぞれ接続する。第3方向制御弁253は、第3シリンダ417のロッド側室内とボトム側室内とにそれぞれ接続する。第4方向制御弁254は、第4シリンダ418のロッド側室内418bとボトム側室内418aとにそれぞれ接続する。
【0040】
第1方向制御弁251は、第1方向制御弁251から第1シリンダ415へ向かう回路と、第1方向制御弁251からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。
この実施例において、第1方向制御弁251が操作されない場合においても、第1シリンダ415のロッド側室内415bは第1方向制御弁251内で分岐した一方の回路によってタンク(オイルタンク)31に接続できる。分岐した他方の回路は、ボトム側室内415aと接続可能にしていて、ボトム側室内415aとロッド側室内415bは接続状態にできる。
【0041】
第2方向制御弁252は、第2方向制御弁252から第2シリンダ416へ向かう回路と、第2方向制御弁252からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。第3方向制御弁253は、第3方向制御弁253から第3シリンダ417へ向かう回路と、第3方向制御弁253からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。第4方向制御弁254は、第4方向制御弁254から第4シリンダ418へ向かう回路と、向制御弁(第4)254からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。
【0042】
この実施例の第1シリンダ415乃至第4シリンダ418を制御する方向制御弁25である第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254は、操作部uによる切替操作がされない場合において、流体圧発生源24から移送された流体が、方向制御弁25である第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254を通じて第1シリンダ415乃至第4シリンダ418への流体の流出入ができないように、方向制御弁25である第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254内で回路を遮断する。
操作部uによる切替操作がされると、流体圧発生源24から第1シリンダ415乃至第4シリンダ418への流体の流入、及び、第1シリンダ415乃至第4シリンダ418からタンク(オイルタンク)31への流体の流出が可能に構成する。
また、この実施例で使用する方向制御弁25である第1方向制御弁251、第2方向制御弁252、第3方向制御弁253、第4方向制御弁254のそれぞれは、非操作時の中立状態において、流体圧発生源24から常時移送される流体をアンロード回路hによってタンク31に回送する。
【0043】
第1方向制御弁251は、第1方向制御弁251からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第1方向制御弁251から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁251aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
第2方向制御弁252は、第2方向制御弁252からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第2方向制御弁252から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁252aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
【0044】
第3方向制御弁253は、第3方向制御弁253からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第3方向制御弁253から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁253aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
第4方向制御弁254は、第4方向制御弁254からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第4方向制御弁254から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁254aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
【0045】
第1シリンダ415のロッド側室内415bと、第1シリンダ415のボトム側室内415aは、第1方向制御弁251にそれぞれ接続する。第1シリンダ415のロッド側室内415b及びボトム側室内415aは、第1方向制御弁251を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第1シリンダ415は、第1方向制御弁251を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内415aに流体を引き込みロッド側室内415bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内415aから流体を押し出しロッド側室内415bに流体を引き込む。
第1シリンダ415は、ストロークの伸縮により、伸縮手段41を構成する第1ブーム411を回動させて、作業部51を上昇あるいは下降させることができる。
第1シリンダ415の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0046】
第2シリンダ416のロッド側室内416bと、第2シリンダ416のボトム側室内416aは、第2方向制御弁252にそれぞれ接続する。第2シリンダ416のロッド側室内416b及びボトム側室内416aは、第2方向制御弁252を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第2シリンダ416は、第2方向制御弁252を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内416aに流体を引き込みロッド側室内416bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内416aから流体を押し出しロッド側室内416bに流体を引き込む。
第2シリンダ416は、ストロークの伸縮により、伸縮手段41を構成する第1連結体412を回動させて、作業部51を上昇あるいは下降させることができる。
第2シリンダ416の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0047】
第3シリンダ417のロッド側室内417bと、第3シリンダ417のボトム側室内417aは、第3方向制御弁253にそれぞれ接続する。第3シリンダ417のロッド側室内417b及びボトム側室内417aは、第3方向制御弁253を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第3シリンダ417は、第3方向制御弁253を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内417aに流体を引き込みロッド側室内417bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内417aから流体を押し出しロッド側室内417bに流体を引き込む。
第3シリンダ417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常状態において、伸縮手段41を構成する第2ブーム413を前後方向へ回動駆動させる。
第3シリンダ417の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0048】
第4シリンダ418のロッド側室内418bと、第4シリンダ418のボトム側室内418aは、第4方向制御弁254にそれぞれ接続する。第4シリンダ418のロッド側室内418b及びボトム側室内418aは、第4方向制御弁254を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第4シリンダ418は、第4方向制御弁254を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内418aに流体を引き込みロッド側室内418bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内418aから流体を押し出しロッド側室内418bに流体を引き込む。
第4シリンダ418は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常状態において、作業部51を第2連結体に対して上下方向へ回動駆動させる。
第4シリンダ418の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0049】
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418は、第1リリーフ弁cを共通して使用している。
【0050】
mは、第1切換弁(第1電磁チェック弁)である。nは、第2切換弁(第2電磁チェック弁)である。第1切換弁m及び第2切換弁nは、電気信号によって動作する弁からなる。第1切換弁m及び第2切換弁nは、第1シリンダ415と方向制御弁25との間の回路に設ける。
第1切換弁mは、シリンダ415に設けたロッド側室内415bに接続する。第2切換弁nは、シリンダ415に設けたボトム側室内415aと接続する。
第1切換弁m及び第2切換弁nは、第1シリンダ415と方向制御弁25との回路を開放した開放状態と、第1シリンダ415から方向制御弁25側への流体の流出を阻止する阻止状態とに切換可能である。
操作レバーu3を人為的に操作することによって方向制御弁25が作動すると同時に、第1切換弁m及び第2切換弁nは、第1シリンダ415と方向制御弁25との回路を開放した開放状態にする。これにより、方向制御弁25から第1シリンダ415へ流体を圧送することができ、第1ブーム411を回動させて、作業部51を上昇あるいは下降させることができる。
【0051】
操作レバーu3を操作することで、シリンダ415のロッド側及びボトム側のそれぞれに配した第1切換弁m、第2切換弁nを開放状態にし、操作を停止すると、シリンダ415のロッド側室内415a及びボトム側室内415bのそれぞれに配した第1切換弁m、第2切換弁nは阻止状態に切換わる。第1切換弁m、第2切換弁nを流通状態にすると、シリンダ伸長動作をさせる。
操作レバーu3を操作することで、方向制御弁25をシリンダ415が伸長するように回路を切り換える。
操作レバーu3を操作することで、ロッド側の第1切換弁mを開放状態、阻止状態のいずれか一方、ボトム側の第2切換弁nを開放状態、阻止状態のいずれか一方に切換える。
【0052】
図4に図示する制御部tは、方向制御弁25、第1方向制御弁251及び第1切換弁m及び第2切換弁nに接続し、これらの動作を制御する。
図4に図示するように、制御部tは、報知部q、表示部s、受信部o、センサSeに接続する。
制御部tは、操作部uから発信した人為操作された操作レバーu3の作動による操作信号を受信部oで受信したのち、これを操作信号として入力として、方向制御弁25へ方向制御弁25を動作させる信号を出力する。
【0053】
方向制御弁25は、制御部tから出力された動作信号を受信すると、第1方向制御弁251、及び第1切換弁m及び第2切換弁nを動作させ、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する。制御部tは、操作部uの操作を受けて発信される信号を受信すると、制御部tを介して、方向制御弁25及び第1切換弁m及び第2切換弁nの作動を制御する。
操作部uによる操作によって、第1切換弁第m及び第2切換弁nの内、少なくとも何れか一方を阻止状態あるいは開放状態にさせることが可能である。
【0054】
操作レバーu3を人為的に操作した場合、操作部uから発信された操作信号は、受信部oで受信するとともに、制御部tに送られ、制御部tに入力される。操作信号を受領した制御部tは、次に他の構成部材を動作させる動作信号を出力する。
つまり、制御部tによって出力した動作信号は、第1切換弁m及び第2切換弁nを開放状態にさせるように制御する。さらに、制御部tによって出力した動作信号は、伸縮手段41の端側を上昇させる方向あるいは下降させる方向に動かすように方向制御弁25の動作を制御する。
方向制御弁25、第1切換弁m及び第2切換弁nは、電気信号によって動作する弁であり、これら弁は、制御部tによって動作が制御されている。
操作部uは、無線送信によって制御部tを介し、各種弁を操作するように図示しているが、有線であっても良い。
【0055】
操作信号を受信した制御部tは、方向制御弁251、第1切換弁m、第2切換弁nを動作させる動作信号を出力する。この動作信号を受けた方向制御弁251は、伸縮手段41の他端に備えた作業部51を上昇又は下降させるべく、第1シリンダ415に流体を送るように回路を切り換える。
実施例においては、作業部51の上昇は、方向制御弁251からボトム側室内415aに流体を圧送するように回路を切り換え、作業部51の下降は、方向制御弁251からロッド側室内415bに流体を圧送するように回路を切り換える。さらに、制御部tから出力された動作信号は、第1切換弁m及び第2切換弁nにも伝送されている。動作信号を受けた第1切換弁m及び第2切換弁nは、それぞれの回路を開放状態又は阻止状態に切り換える。
【0056】
制御部tは、前記の各種弁をはじめ、電気制御が必要な部材に動作信号を送ることが可能である。伝送された動作信号により、報知部(スピーカ等の音響機器)qや表示部(図示せず。ディスプレイ装置やランプ類)s等を動作させる信号を送ることが可能である。
フローティング状態を取る場合、操作部uのフローティングスイッチであるフローティング手段u2を操作することによって、作業機Aはフローティング状態に移行する。
フローティングスイッチであるフローティング手段u2の操作を受けて、操作部uが操作信号を送信し、受信部oがこの信号を受信する。次いで、受信部oが受信した信号を制御部tに送り、制御部tは第1切換弁m及び第2切換弁nをそれぞれ開放状態にさせ、且つ、第1シリンダ415と第1方向制御弁251との間で流体を自由に往来させるように第1方向制御弁251を切換えるように、それぞれの弁に動作信号を送信する。フローティング状態は、第1ブーム411が第2範囲にあり、且つ、操作レバーu3操作がない状態でフローティング手段u2の操作を行ったと制御部tが判定すると、制御部tが動作信号によって当該状態を発生させることができる。また、フローティング状態において、操作レバーu3の操作がされたと制御部tが判断すると、制御部tによってフローティング状態が解除される。
【0057】
フローティング状態の第1シリンダ415のロッド側室内415b及びボトム側室内415aのそれぞれは、中立状態の方向制御弁251を介してオイルタンク31と連通状態となり、第1シリンダ415は自由に伸縮可能な状態である。つまり、第1ブームは自由に回動することができる状態である。このため、通常状態且つ展開状態で、前進すると共に作業部51を作業面に接地させると、作業部51及び伸縮手段41は、地面の起伏に沿うように上下動することができる。
【0058】
図6乃至
図8に図示する、G1は、第1範囲である。G2は、第2範囲である。Tは、閾値である。
第1範囲G1は、格納側の第1ブーム411の旋回範囲である収納状態から展開状態へ移動するあらかじめ定めた範囲である。
第2範囲G2は、第1範囲からさらに展開側に展開する第1ブーム411の旋回範囲であるあらかじめ定めた範囲である。
閾値Tは、第1範囲G1と第2範囲G2の境界を示す設定角度である。閾値T(設定角度)は適応される作業機の形態に応じて、自由に変更ができる。実施例での閾値は、望ましいとされる55度乃至65度の内、最適な閾値Tである第1ブーム411の角度を60度として採用している。
【0059】
制御部tは、第1ブーム411が動作した量である回動角度の変位量である検出値によって、前記第1ブーム411の旋回範囲が格納側の旋回範囲である前記第1範囲G1と展開側の旋回範囲である前記第2範囲G2とに判断可能に設ける。
制御部tは、前記操作レバーu3が操作されたときであって、第1ブーム411が動作した量である回動角度の変位量をセンサSeが検出した検出値を入力するとともに、前記検出値が格納側の第1ブーム411の旋回範囲である収納状態から展開状態へ移動するあらかじめ定めた第1範囲G1と、第1範囲G1の展開側に展開する第1ブーム411の旋回範囲であるあらかじめ定めた第2範囲G2の境界を示す設定角度である閾値Tを超えたと判断すると、第1シリンダ415と第1方向制御弁251との間で流体を自由に往来させるように第1方向制御弁251を切換える。
【0060】
制御部tは、
図6及び
図10に示すように、第1ブーム411が第1範囲G1に位置する場合に、第1ブーム411を第1範囲G1から第2範囲G2に旋回するように操作レバーu3を操作すると、第1シリンダ415に流体を圧送させるように第1方向制御弁251を切換えるとともに第1切換弁mを開放状態に切換え、且つ、第2切換弁nを阻止状態に切換える。
伸縮手段41及び作業部51の重心位置Gは、センサSeの検出値によって第1ブーム411が第2範囲G2に位置したと制御部tが判断することで、伸縮手段41の回動支点である第1ブーム回動軸411Aの鉛直方向を超えたものとみなしている。つまり、伸縮手段41の回動と共に移動する重心位置Gは、回動方向の上死点を超えたものとみなしている。
【0061】
制御部tは、
図7及び
図8及び
図11に示すように、第1ブーム411が第2範囲G2に位置する場合に、第1ブーム411を第1範囲G1から第2範囲G2側に旋回するように操作レバーu3を操作すると、流体圧発生源24から移送した流体を第1シリンダ415への移送をさせないように第1方向制御弁251を切換える。さらに、第1切換弁mを開放状態に切換え、且つ、第2切換弁nを阻止状態に切換える。すなわち、第1シリンダ415のロッド側室内415bとボトム側室内415aは、第1方向制御弁251を介して互いに連通状態となり、且つ、ロッド側室内415bとボトム側室内415aのそれぞれがタンク31とも連通状態となる。
このとき、第2範囲G2に位置した第1ブーム411は、重心位置Gが上死点を超えていることから、自重によって下方に下がろうとする。第1シリンダ415は、ロッド側室内415bとボトム側室内415aが連通しているので伸縮自在状態であり、第1ブーム411の自由落下を妨げない。したがって、第1ブーム411が第2範囲G2内で下降側に回動し、作業部51が下降する。
【0062】
制御部tは、
図8及び
図15に示すように、第1ブーム411が第2範囲G2に位置する場合に、第1ブーム411を第2範囲G2から第1範囲G1に旋回するよう操作レバーu3を操作すると、第1シリンダ415に流体圧発生源24から移送した流体を圧送させるように第1方向制御弁251を切換えるとともに第1切換弁mを阻止状態に切換え、且つ、第2切換弁nを前記開放状態に切換える。
【0063】
制御部tは、
図6及び
図9に示すように、第1ブーム411が第1範囲G1に位置する場合に、操作レバーu3の操作を停止すると、第1シリンダ415と第1方向制御弁251との間で流体を自由に往来させるように第1方向制御弁251を切換えるとともに、第1切換弁m及び第2切換弁nを阻止状態に切換える。
【0064】
制御部tは、前記検出値によって第1ブーム411の旋回範囲が格納側の旋回範囲である第1範囲G1と展開側の旋回範囲である第2範囲G2とに判断可能に設ける。
制御部tは、第1ブーム411が第2範囲G2に位置する場合に操作レバーu3の操作を停止すると、第1シリンダ415と第1方向制御弁251との間で流体を自由に往来させるように第1方向制御弁251を切換えるとともに、第1切換弁mを阻止状態に切換え且つ第2切換弁nを開放状態に切換える。
【0065】
操作部uはフローティングにするフローティングスイッチである操作ボタンu2からなるフローティング手段u2と、を備える。
制御部tはセンサSeの検出値によって第1ブーム411の旋回範囲が展開側の旋回範囲である第2範囲G2であると判断し、且つ、操作ボタンからなるフローティング手段u2が操作されたと判断した場合、第1切換弁m及び第2切換弁nを開放状態に切換え、また、第1方向制御弁251も第1シリンダ415と第1方向制御弁251との間で流体を自由に往来させるように切換えてフローティングモードに移行させる。
フローティングモード中において操作レバーu3が操作されると、制御部tは、第1切換弁m又は第2切換弁nのいずれか一方を阻止状態に切換えてフローティングモードを解除する。実施例の場合においては、第1切換弁mを阻止状態に切り換えることで、フローティングモードを解除し、且つ、作業部51及び伸縮手段41の自由落下を阻止している。
【0066】
この発明の作用、効果について説明する。
方向制御弁25は、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418が伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替えることで、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418側にポンプ24から発生させた流体圧を圧送し、各シリンダを伸長及び短縮駆動することが可能である。この実施例では特に、方向制御弁25の動作と、シリンダ415を伸長及び短縮動作と、これら動作に係る回路構成について言及する。
さらに方向制御弁25は、ポンプ24からの圧送流体をタンク31側の返送回路に戻して、流体をアンロードするとともに、この返送回路にシリンダ415のボトム側室内415a及びロッド側室内415bに接続するとともにタンク31に連通する回路を有した中立位置を設けている。
【0067】
この中立回路によって、シリンダ415内のロッド側室内415bとボトム側室内415aの流体がそれぞれ互いの室内に自由に往来可能になるので、シリンダ415は伸縮自在な状態にできる。
方向制御弁25とシリンダ415のロッド側室内415b及び、方向制御弁25、この実施例では第1方向制御弁251とシリンダ415のボトム側室内415aのそれぞれの間の回路には、切換弁(第1切換弁m、第2切換弁n)を配置している。
この切換弁である第1切換弁(第1電磁チェック弁)m、第2切換弁(第2電磁チェック弁)n)は方向制御弁25、この実施例では第1方向制御弁251、と第1シリンダ415、間の流体の移動を規制する。
【0068】
詳細には、切換弁(第1切換弁m、第2切換弁n)は、方向制御弁25(この実施例では特に第1方向制御弁251)と第1シリンダ415間の流体の移動が自由に往来可能な開放状態と、方向制御弁25(この実施例では第1方向制御弁251)から第1シリンダ415に向かう流れは規制せずに、第1シリンダ415から方向制御弁25、この実施例では第1方向制御弁251、への流体の移動を阻止する阻止状態にすることができる。
【0069】
制御部tは、第1ブーム411が水平軸である第1ブーム回動軸411A周りに回動する旋回範囲の一方側である、収納状態から展開状態へ移動する旋回角度をあらかじめ定めた第1範囲から、他方の第1範囲からさらに展開側に展開するブームの旋回角度をあらかじめ定めた第2範囲に移ると、伸縮手段41及び作業部51を合計した重心Gが第1ブーム回動軸411Aである水平軸を通る鉛直線を乗り越えたと判断させる。すなわち、制御部tは、あらかじめ定めた第1範囲と第2範囲の境界を示す設定角度である閾値Tを超えると、伸縮手段41の回動と共に、第1ブーム回動軸411A周りを移動する重心Gが、上死点を超えたものと判断させる。
ただし、制御部tは重心Gの位置を直接判断しているのではなく、あくまで第1ブーム411の角度で判断する構成とし、制御の回路構成を簡略化している。
【0070】
制御の簡略化について説明する。
図6、
図7、
図8に描いた重心Gは、第2ブーム413を第1ブーム411に対して起立させた状態(伸張状態)での位置を示している。実施形態の場合、第2ブーム413を第1ブーム411に対して平行に折り畳んだ状態で第1ブーム411を回動させても、重心位置Gが第1ブーム回動軸411Aに対する半径方向に変化する程度であり、回動する円周方向に大きく変化しない。
したがって、第1ブーム411の回動角度を角度測定装置であるセンサSeで測定することで、第2ブーム413及び作業部51の姿勢に関係なく、重心位置Gの第1ブーム回動軸411Aである水平軸を通る鉛直線に対する乗り越えを簡易的に判定している。制御部tは、第1ブーム411の角度が設定角度を超えることで、移動する重心Gが上死点を超えたものとみなすように判断させる。これによって、重心Gの位置の判定に係る制御の回路構成を簡略化している。
実施例の場合、制御部tは、第1ブーム411が格納状態から閾値Tとして60度程度の角度をつけたと判定すると、重心Gが第1ブーム回動軸411Aである水平軸を乗り越えたものとして判定している。この角度は、作業機の形態によって自由に調整ができる。
【0071】
重心Gが第1ブーム回動軸411Aである水平軸の鉛直線を境に旋回方向に移動後は、自重による下降によって、ポンプ24からシリンダ415に加える圧力は必要としなくなる。ポンプ24側の吐出圧力を変動させる構成とすることは、回路構成上、複雑となることも多いが、本願の構成では回路構成を簡略化できる。
【0072】
第1ブーム411の下降動作において、第1方向制御弁251を中立状態にしてポンプ24から第1シリンダ415に流体を圧送することがないので、ポンプ24を駆動する動力を低減して省エネにできる。
【0073】
各動作における回路内の弁の動作について説明する。
図9に図示する、回路1、
図6に図示する姿勢1について説明する。
図9は、第1ブーム411が「第1範囲で停止」(第1範囲内に位置し且つ操作部u(操作レバーu3)の操作なし)状態の油圧回路図をあらわす。
図6は、第1ブームが第1範囲に位置した姿勢1の例を示す。
閾値T未満(設定角度60度以下)で、操作部uの操作レバーu3の操作を停止すると、第1シリンダ415のロッド側室内415b及びボトム側室内415aのそれぞれに配した第1切換弁m、第2切換弁nは阻止状態に切換わる。第1方向制御弁251は中立状態となり、ポンプ24から移送される流体は、アンロードされタンク31に返送される。この状態では、第1シリンダ415に外力が加わっても伸縮動作ができず、また、第1シリンダ415の伸縮駆動もできないため、第1ブーム411はこの時の姿勢を維持する。
【0074】
図10に図示する、回路2、姿勢1について説明する。
図10は、第1ブーム411が「第1範囲から第2範囲側に回動」する場合の回路状態を示し、第1範囲内に位置し且つ操作部u(操作レバーu3)の操作を第1ブーム411が第2範囲方向に動くように操作した場合(シリンダ伸長動作)の油圧回路図をあらわす。
ロッド側の第1切換弁mを開放状態、ボトム側の第2切換弁nを阻止状態にするとともに、第1方向制御弁251を第1シリンダ415が伸長するように回路を切り換える。
ポンプ24からの圧送される流体は第1方向制御弁251を介して第1シリンダ415に送られ、ロッド側室内415bの流体はタンク31に返送されることによって、ロッドが伸長する。
【0075】
図11に図示する回路3、
図7に図示する姿勢2について説明する。
図11は、第1ブーム411の旋回角度が「第1範囲から第2範囲に切り換わる閾値T(設定角度60度)を超え、さらに第1シリンダ415を伸長させる」(操作レバーu3を操作中に、第2範囲側に閾値Tを超えた場合)の油圧回路図をあらわす。
図7は、第1ブーム411の旋回角度が閾値Tの角度となった姿勢2を示す。
ロッド側の第1切換弁mを開放状態、ボトム側の第2切換弁nを阻止状態にする。上記回路図の
図10に図示する回路2の状態から継続して回路3に移行して動作する場合は、第1切換弁m、第2切換弁nの切換状態に変化はない。
第1方向制御弁251を中立状態にし、ポンプ24からの圧送流体は第1シリンダ415には流体を送らずに、そのままタンク31にアンロードして返送される。
【0076】
第1方向制御弁251から第1シリンダ415のロッド側室内415bに向かう回路と、第1方向制御弁251から第1シリンダ415のボトム側室内415aに向かう回路は、第1方向制御弁251の中立状態によって連絡状態である。
上記回路を形成するため、第1シリンダ415は、第1ブーム411(第2ブーム413及び作業部51も含む)の自重によって、ロッドが伸長しようとする。第1切換弁mが開放状態であるので、ロッド側室内415bの流体は圧縮され第1方向制御弁251側に移動し、そのまま、第2切換弁n側に移動する。第2切換弁nは阻止状態であるが、方向制御弁25側からの圧力はボトム側室内415aに向かうことができる。第1シリンダ415のロッド側の圧力は方向制御弁25、この実施例では第1方向制御弁251を介して再度第1シリンダ415のボトム側室内415aとの間で循環する、あるいは、自由に往来するので、第1シリンダ415が伸長自在状態となる。
【0077】
したがって、第1シリンダ415のロッドは自重によって伸長するので、第1ブーム411が第2範囲内で下降側に回動し、作業部51が下降する。
なお、中立状態の第1方向制御弁251内の回路は、第1シリンダ415のロッド側室内415b、に向かう回路、及び、第1方向制御弁251から第1シリンダ415のボトム側室内415aに向かう回路がタンク31とも連絡しているので、回路内の流体にオーバーフローが発生してもタンク31に返される。
回路内の第1切換弁mと方向制御弁25の間に、絞り弁p1及びチェック弁(逆止弁)p2を有したスローリターンチェック弁pを設けている。絞り弁p1によって、第2ブーム413及び作業部51を伸長させて、重心位置Gが第1ブーム回動軸411Aである水平軸に対して大きく半径方向に移動した場合でも、第1ブーム411の下降速度が過大となることがない。また、絞り弁p1の絞り径を変更することで、第2範囲内に位置したブーム411の旋回速度(下降速度)を調整可能である。
【0078】
図12に図示する回路4、
図8に図示する姿勢3について説明する。
図12は、「第1ブーム411を第2範囲で停止」状態の油圧回路図をあらわす。
図8に図示するように、第1ブーム411を第2範囲に位置した状態で、操作レバーu3の操作をしない場合の回路の状態である。
ロッド側の第1切換弁mを阻止状態、ボトム側の第2切換弁nを開放状態に切り換える。
【0079】
第1方向制御弁251を中立状態にし、ポンプ24からの圧送流体はそのままタンク31にアンロードして返送される(第1方向制御弁251に関して、
図11の回路3からの変化なし、第1シリンダ415にはポンプ24から流体を送らない。)。
第1方向制御弁251から第1シリンダ415のロッド側室内415bに向かう回路と、第1方向制御弁251から第1シリンダ415のボトム側室内415aに向かう回路は、方向制御弁の中立状態によって連絡状態であり、タンク31にも連絡している。ポンプ24からの圧力は、そのままアンロードしてタンク31に返送される。
【0080】
ブーム411、413及び作業部51の荷重(自重)によって、第1シリンダ415のロッド側の圧が方向制御弁25側に逃げようとするも、阻止状態のロッド側の第1切換弁mによって流体の移動を阻止されているので、第1シリンダ415は伸長せずに第1ブーム411は現在の位置を維持する。したがって、作業部51は第2範囲で操作レバーu3の操作をやめた時点の位置を維持する。
【0081】
図13に図示する回路4―1、
図8に示す姿勢3について説明する。
図13は、「上記回路図をあらわす
図12のとき(第1ブーム411を第2範囲に位置した状態で操作レバーu3の操作をしない場合)に、障害物等で作業部51が下方から上方に突き上げて、第1シリンダ415のロッドが縮むような外力が働く場合(ロッドが強制的に縮方向に動く力がかかる場合)」の油圧回路図をあらわす。
各弁、及び回路は上記回路図をあらわす
図12と同様である。
シリンダ415のロッド側が縮む方向に動くと、ボトム側室内415aの圧力が高くなるので、ボトム側室内415aの流体は開放状態の第2切換弁nを介して第1方向制御弁251方向に戻り、負圧になったロッド側室内415bに送られる。必要に応じて、タンク31と連通状態の第1方向制御弁251を介して、タンク31側回路からロッド側室内415b側に流体を供給されることもある。
【0082】
障害物等での作業部51への突き上げが無くなり、ロッドが縮むような外力が排除されても、シリンダ415のロッド側の切換弁mは阻止状態であるので、ロッドが伸びず、作業部51及び第1ブーム411は下降しない。つまり、操作レバーu3による操作がない状態で、第2範囲に位置した第1ブーム411は、上昇方向のみに移動が自在で、自動的に下降しない。
このため、草刈作業を行う作業面に障害物等の異物が存在した場合に、障害物へ作業部51が乗り上げて上昇した後は、下方に下がらず位置を保持するので、下方に存在する障害物に伸縮手段41及び作業部51の自重がかからず、障害物を損傷させ続けることを避けることが可能である。
【0083】
図14に図示する回路5、
図8に示す姿勢3について説明する。
図14は、「第1ブーム411を第2範囲に位置した状態で、操作レバーu3による操作はしないでフローティングにするフローティング手段u2のボタン操作をして、フローティングモードにした場合」の油圧回路図をあらわす。フローティングモードは、
図8に示すように第1ブーム411が第2範囲に位置する場合に、切換えることができる。
第1方向制御弁251は中立状態にして、第1切換弁m・第2切換弁nのそれぞれ開放状態にする。ポンプ24からの圧力はシリンダ415には送らず、タンク31に返される。第1シリンダ415の伸縮駆動はせずに、第1ブーム411及び作業部51は上下方向に自由に昇降自在な状態となる。
シリンダ415のロッド側が縮む方向に動くと、ボトム側の流体が押されて、第2切換弁n、方向制御弁25、第1切換弁mを介して、ロッド側室内に供給される。
【0084】
反対に、シリンダ415のロッド側が伸びる方向に動くと、ロッド側の流体が押されて、第1切換弁m、方向制御弁25、第2切換弁nを介して、ボトム側に供給される。
以上のようにシリンダ415が伸縮自在状態であるので、作業部51及び第1ブーム411は上下動が自在となるため、進行とともに凹凸等の起伏がある作業面に接した作業部51が地面に追従することができる。
第1切換弁mと方向制御弁25の間に配置したスローリターンチェック弁pによって、ロッド側室内415bから第1方向制御弁251側に移動する流体は絞り弁によって移動量に制限がかかる一方で、第1方向制御弁251側からロッド側に移動する流体は制限を受けない。
【0085】
したがって、ブーム部の先端に位置する作業部51が起伏等によって上方に移動すると、シリンダ415は即時短縮して第1ブーム411を上昇方向に旋回させ、すぐさま作業部51を地形に沿って上昇させる。またその反面、起伏等が作業部51下方から排除されると、第1ブーム411がゆっくり下降方向に旋回することによって、作業部51がゆっくり下降し、接地時の衝撃を低減させる。
なお、フローティングモードのときに、操作レバーu3によるレバー操作(伸縮手段41を動作させる操作)を行った場合は、フローティングモードはキャンセル(解除)され、第1ブーム411の角度と、レバー操作に応じた回路の状態に変更する。操作レバーu3によるレバー操作後に、再度フローティングモードにするときは、フローティング手段u2によるボタン操作を行う。
【0086】
図15に図示する回路6、姿勢3について説明する。
図15は、「第1ブーム411が第2範囲にある状態で、操作レバーu3の操作を行い、第1ブーム411を第1範囲方向に動作させた場合。」の油圧回路図をあらわす。
図8に示す姿勢3のときに、第1ブーム411を第1範囲方向に動作させる操作を行うと、ロッド側の第1切換弁mを阻止状態、ボトム側の第2切換弁nを開放状態に切換える。
第1方向制御弁251を、ポンプ24からの圧力を第1シリンダ415のロッド側室内415bに送るとともに、ボトム側室内415aの流体をタンク31に返すように、回路を切り換える。
ポンプ24からの圧力は、阻止状態の第1切換弁nを通りシリンダ415のロッド側室内415bに送られ、第1シリンダ415のボトム側室内415aの流体は開放状態の切換弁を通りタンク31側に返されるので、第1シリンダ415は短縮駆動し、第1ブーム411が第2範囲から第1範囲方向に旋回する。
【0087】
図16に図示する回路7、
図7に図示する姿勢2について説明する。
図16は、「第2範囲から第1範囲に向かってシリンダ415を動作させ、第1範囲に切換る閾値Tを超えた場合」(操作レバーu3を操作中に、第1ブーム411が第1範囲側に向かって動作して閾値Tを超えた場合)の油圧回路図をあらわす。
図7に図示するように第1ブーム411が第2範囲から第1範囲に移行すると、ロッド側の第1切換弁mを阻止状態、ボトム側の第2切換弁nを開放状態に切り換える(
図15に図示する回路6の状態から継続して第1ブーム411が動作する場合は、第1切換弁m及び第2切換弁nの切換状態に変化はない)。
第1方向制御弁251を中立状態にし、ポンプ24からの圧送流体はそのままタンク31にアンロードして返送される(第1シリンダ415には流体を送らない)。第1シリンダ415のロッド側室内415bとボトム側室内415aは連通状態となる。
【0088】
上記回路を形成するため、第1ブーム411の設定角度60度からなる閾値Tを超え、第1ブーム411を第1範囲に位置させたシリンダ415は、第1ブーム411(第2ブーム413及び作業部51も含む)の自重によって、ロッドが短縮しようとする。第2切換弁nは開放状態であるので、ボトム側室内415aの流体は圧縮され方向制御弁25側に移動し、そのまま、第1切換弁m側に移動する。第1切換弁mは阻止状態であるが、方向制御弁25側からの圧力はロッド側室内415bに向かう。
第1シリンダ415のボトム側室内415aの圧力は方向制御弁25を介して再度ロッド側室内415b、に返されるので、シリンダ415が短縮自在状態となる。したがって、シリンダ415のロッドは自重によって短縮するので、ブーム(第1ブーム411、第2ブーム413)が第2範囲内で下降側に回動し、作業部51が下降する。
【0089】
なお、中立状態の第1方向制御弁251内の回路は、第1シリンダ415のロッド側室内415bに向かう回路、及び、第1方向制御弁25から第1シリンダ415のボトム側室内415aに向かう回路がタンク31とも連絡しているので、回路内の流体にオーバーフローが発生してもタンク31に返される。また、閾値T(設定角度60度)は適応される作業機の形態に応じて、自由に変更ができる。実施例では、閾値Tである第1ブーム411の角度を60度としていている。
【0090】
第1方向制御弁251から第1切換弁mに向かって、回路内の第1切換弁mと方向制御弁25の間のスローリターンチェック弁pを通過する流体は、チェック弁(逆止弁)p2側を通過する。チェック弁(逆止弁)p2は、第1方向制御弁251から第1切換弁m側に向かう方向には規制なく流すので、仮に第2ブーム413や作業部51を第1ブーム411側に折り畳んで、重心Gが第1ブーム回動軸411Aである水平軸側に移動することに起因した第1シリンダ415内及び、関連する回路内の圧力が低下しても、流体をスムーズに通過させる。
【0091】
制御部tは重心Gを直接判断しているのではなく、あくまで第1ブーム411の角度で簡易的に判断する構成としたことで、流体回路構成を簡素化させることができ、制御の回路構成をも簡略化可能な構成としている。簡素化させた各流体回路の構成要素に複数の役割を持たせることによって、作業部51及び伸縮手段41に必要とされる動作を複数実現させることができる。すなわち、簡単な回路構成でありながらも、作業部は地面状況に柔軟に対応でき、且つ、伸縮手段を安定的な動作させることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
11 主フレーム
111 装着用装着部(ロワ)
112 装着用装着部(トップ)
21 マストフレーム
24 流体圧発生源(油圧ポンプ)
25 方向制御弁(バルブユニット)
251 第1方向制御弁
252 第2方向制御弁
253 第3方向制御弁
254 第4方向制御弁
31 タンク(オイルタンク)
41 伸縮手段
411 第1ブーム
411A 第1ブーム回動軸(水平軸)
412 第1連結体
413 第2ブーム
414 第2連結体
415 第1シリンダ
416 第2シリンダ
417 第3シリンダ
418 第4シリンダ
42 リンク機構
51 作業部
511 回動軸
512 回転軸
A 作業機
T 閾値
c 第1パイロットリリーフ弁(第1リリーフ弁)
h アンロード回路
m 第1切換弁(第1電磁チェック弁)
n 第2切換弁(第2電磁チェック弁)
p スローリターンチェック弁
t 制御部
u 操作部
u1 圧力スイッチ作動スイッチ
u2 フローティング手段
u3 操作レバー