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特開2022-184221紙粘土材、及び、これを有する手作り紙粘土製作用キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184221
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】紙粘土材、及び、これを有する手作り紙粘土製作用キット
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/10 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G09B19/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091936
(22)【出願日】2021-05-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年6月15日にウェブサイトにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月6日にウェブサイトにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月16日のめざましテレビにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年10月16日に雑誌DIMEにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月28日に週刊玩具通信にて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月30日に月刊文具にて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月14日に日本印刷新聞にて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年10月5日に雑誌Futureにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月10日に雑誌ファンシーショップにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔刊行物等〕 2020年9月2日に文具・紙製品展ISOTにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月9日に文具・紙製品展ISOT関西にて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年10月27日に合同展示会FRAT♯2にて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年11月6日に東京インターナショナルペンショーにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年6月15日に販売にて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 10 〔刊行物等〕 2020年10月16日にタウンニュース川崎区・幸区版にて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年12月4日に東都よみうりにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔刊行物等〕 2020年7月31日に動画サイトにて動画を公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年8月25日に動画サイトにて動画を公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年9月15日に動画サイトにて動画を公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2020年10月1日に動画サイトにて動画を公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1 〔刊行物等〕 2021年3月22日にウェブサイトにて公開 〔提出物件の目録〕 〔物件名〕 発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書 1
(71)【出願人】
【識別番号】520285949
【氏名又は名称】株式会社相馬
(74)【代理人】
【識別番号】100144358
【弁理士】
【氏名又は名称】藤掛 宗則
(72)【発明者】
【氏名】荒井 康暢
(72)【発明者】
【氏名】久保田 明男
(57)【要約】
【課題】軽くて取り扱いが容易であり、且つ、子供の握力であっても容易に混練可能な紙粘土材を提供する。
【解決手段】紙粘土を製作するキットに含まれる紙粘土材101は、複数の紐状紙102を束ね、当該紐状紙の長さ方向において所定の回数折り返して形成された第1部材106(紙紐束)、第1部材の表面の一部を被覆する第2部材103(第1の束ね紙)を有する。また、紙紐束である第1部材106と第1の束ね紙である第2部材103は同質材からなるものである。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙粘土を製作するキットに含まれる紙粘土材であって、
複数の紐状紙を束ね、当該紐状紙の長さ方向において所定の回数折り返して形成された第1部材と、
前記第1部材の表面の一部を被覆する第2部材と、を有し、
前記第1部材と前記第2部材とが同質材であることを特徴とする、
紙粘土材。
【請求項2】
前記第2部材により面の一部が被覆された前記第1部材を水平方向に向けて複数並んだ状態で当該第1部材の表面を被覆する第3部材を有し、
前記第2部材と前記第3部材とが同質材であることを特徴とする、
請求項1に記載の紙粘土材。
【請求項3】
前記紐状紙はその幅が略1[mm]の幅で形成されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の紙粘土材。
【請求項4】
前記第1部材は、紐状紙の長さ方向において所定の回数折り返された当該紐状紙を複数束ねて形成されることを特徴とする、
請求項1、2又は3に記載の紙粘土材。
【請求項5】
前記請求項1乃至4いずれか一項に記載の紙粘土材と、
前記紙粘土材と同質材で形成された容器に収容された炭酸水素ナトリウムと、
前記紙粘土材と同質材で形成された容器に収容されたクエン酸類と、を含んで構成されることを特徴とする、
手作り紙粘土製作用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、手工芸用や教材用等に使用する紙粘土を製作する手作り紙粘土製作用キット及び、これに含まれる紙粘土材に関する。
【背景技術】
【0002】
紙粘土は、主に幼児や児童を対象とした教育現場における彫塑教材として、あるいは手工芸分野における工芸用材として広く利用されている。特に教育現場における紙粘土作りは、自分の手で物を作ることが少なくなった最近の子供の情操教育に大いに役立つものである。
【0003】
しかし、粘土状に成形してある紙粘土はかなり多くの水分を含んでおり、紙粘土を販売業者が大量に運搬する場合には、非常に重くなって運搬作業が重労働になるという問題があった。さらに、水分の多い紙粘土をビニール袋等で密封包装したとしても長期間使用せずに保存しておくと、乾燥時には徐々に水分が抜けて固まってしまい、造形に必要な粘性および可塑性が無くなって粘土としての機能が失われたり、逆に湿潤時にはその紙粘土の表面にカビ等が生えたりするという問題も生じた。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された固形紙粘土材は、軽くて取り扱いが容易で、かつ従来の紙粘土に比べて長期間保存が可能な紙粘土材というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3049812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された固形紙粘土材では、セルロース繊維を主成分とする原料から成るプレート状に乾燥させて成形した成形体を紙粘土の素材としている。そのため、紙粘土の素材(紙粘土材)を作るうえで成形体を形成するための複雑な工程を必要としてしまう。また、プレート状に乾燥された成形体に水を加えて混練することから、例えば子供など握力が弱い者では練り込むことが難しい場合や十分に練り込むことができないことがある。
【0007】
本発明は、軽くて取り扱いが容易であり、且つ、子供の握力であっても容易に混練可能な紙粘土材を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、紙粘土を製作するキットに含まれる紙粘土材であって、複数の紐状紙を束ね、当該紐状紙の長さ方向において所定の回数折り返して形成された第1部材と、前記第1部材の表面の一部を被覆する第2部材と、を有し、前記第1部材と前記第2部材とが同質材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、軽くて取り扱いが容易であり、且つ、子供の握力であっても容易に混練可能な紙粘土材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)、(b)は、本実施形態に係る紙粘土材の構成の一例を説明するための図。
図2】(a)、(b)は、図1とは異なる、本実施形態に係る紙粘土材の構成の一例を説明するための図。
図3】(a)、(b)は、図1、2とは異なる、本実施形態に係る紙粘土材の構成の一例を説明するための図。
図4】(a)、(b)は、紙粘土材の参考図。
図5】(a)~(d)は、幅W:1[mm]の紐状紙を用いて作られた紙粘土の状態を説明するための図。
図6】(a)、(b)は、図5とは異なる、幅W:1[mm]の紐状紙を用いて作られた紙粘土の状態を説明するための図。
図7】幅W:2[mm]の紐状紙を用いて作られた紙粘土の状態を説明するための図。
図8】幅W:4[mm]の紐状紙を用いて作られた紙粘土の状態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る紙粘土材の実施形態の一例を説明する。また、この紙粘土材を有する手作り紙粘土製作用キットについて説明をする。
【0012】
[第1実施形態]
図1(a)、(b)は、本実施形態に係る紙粘土材の構成の一例を説明するための図である。
図2(a)、(b)は、図1とは異なる、本実施形態に係る紙粘土材の構成の一例を説明するための図である。
図3(a)、(b)は、図1、2とは異なる、本実施形態に係る紙粘土材の構成の一例を説明するための図である。また、図4(a)、(b)は、本実施形態に係る紙粘土材の参考図である。
【0013】
図1(a)に示す紙粘土材101は、紙粘土を製作するキットに含まれる紙粘土材である。
紙粘土材101は、複数の紐状紙102を束ね、当該紐状紙の長さ方向において所定の回数折り返して形成された第1部材106(紙紐束)を有する(図3(a)参照)。
また紙粘土材101は、第1部材106の表面の一部を被覆する第2部材103(第1の束ね紙)を有する(図1図3参照)。
【0014】
図2に示すように、紐状紙102は、例えば厚みT:64[gm^2]の上質紙を用いて長さH:240[mm]、幅W:1[mm]に形成されている。なお、紐状紙に用いる紙材はこれに限るものではなく、紙粘土を作成する材料として種々の紙材を任意に選択して用いることもできる。また、大判の紙材を細かく裁断して紐状にして作成できるために特別な装置や工程を必要としないという利点がある。
【0015】
図3(a)に示すように、本実施形態では複数の紐状紙102を束ねて当該紐状紙102の長さ方向(H)において3回折り返して三つ折り状態で第1部材106(紙紐束)が形成されている。
【0016】
なお、第1部材106(紙紐束)は、複数の紐状紙102を束ねてから当該紐状紙102の長さ方向において所定の回数折り返して形成することの他、紐状紙102の長さ方向において所定の回数折り返したものを複数束ねて形成しても良い。
例えば、紐状紙102の長さ方向において所定の回数折り返したものを複数束ねて第1部材106(紙紐束)を形成した場合、紐状紙102間に隙間が相対的に多く生じるためにバラケやすくなり、また、紐状紙102間に水が入りやすくなる。そのため、紙粘土を作るときに水を加えて混練する際の作業性が向上する。
【0017】
また、図3(b)に示すように紙粘土材101は、第1部材106の表面の一部を被覆する第2部材103(第1の束ね紙103)を有する。なお、第1部材106と第2部材103は同質材(例えば、同じ紙質のものや同じ厚みのもの、あるいは紙質と厚みともに同じものなど。以下同じ)を用いている。
なお、第1部材106と第2部材103は同質材を用いた方が均質な紙粘土を作ることができるが、例えばコストダウンの観点から少なくとも水に溶ける紙など水溶性材料を用いても良い。
【0018】
これにより紐状紙102がバラケてしまうことを防ぐとともに、全部をそのまま使用できるために紙粘土を作るときに水を加えて混練する際の作業性が向上する。また、紙粘土を作る際に必要な紐状紙102の量の把握が容易になる。例えば、水(又はぬるま湯)1.5[リットル]に対して紙粘土材101を8個投入するなど子供であっても理解しやすい作業となり、且つ、紙粘土の仕上がりも良いものになる。
【0019】
また、図1に示すように紙粘土材101は、第2部材103で束ねられた第1部材106(紙紐束)を水平方向に向けて4つ並べた状態で当該第1部材の表面を被覆する第3部材104(第2の束ね紙104)を有するように構成することもできる。なお、第1部材106と第2部材103、第3部材104は同質材を用いている。
なお、第1部材106と第2部材103、第3部材104は同質材を用いた方が均質な紙粘土を作ることができるが、例えばコストダウンの観点から少なくとも水に溶ける紙など水溶性材料を用いても良い。
【0020】
これにより、例えば搬送時などにおいて第2部材103で束ねられた第1部材106(紙紐束)が振動等の影響によりバラケてしまうことを防ぐとともに、全部をそのまま使用できるために紙粘土を作るときに水を加えて混練する際の作業性が向上する。なお、紙粘土材101を並べる個数は4つに限るものでない。
【0021】
また、紙粘土材101を有する手作り紙粘土製作用キットでは、少なくとも一つの紙粘土材101、紙粘土材と同質材で形成された容器に収容された炭酸水素ナトリウム(重曹)、紙粘土材と同質材で形成された容器に収容されたクエン酸類とを含んで構成することができる。
【0022】
このように構成することにより、少なくとも紙粘土材と同質材で形成された容器に収容されたものは全部をそのまま使用できる。そのため紙粘土を作るときに水を加えて混練する際の作業性が向上する。また、紙粘土を作るときに発生するゴミを少なくすることもできる。
【0023】
ここで、手作り紙粘土製作用キットにおける内容物の一例、及び、紙材の重量に対してクエン酸、炭酸水素ナトリウム(重曹)、でんぷん糊それぞれをどれくらいの割合で配合するのかの一例を説明する。
手作り紙粘土製作用キットは、厚みT:64[gm^2]の上質紙を用いて、長さH:240[mm]、幅W:1[mm]の紐状紙を三つ折りし、第1の束ね紙で束ねたもの4個を第2の束ね紙で巻いたものを2個、上質紙の容器に収容されたクエン酸と炭酸水素ナトリウム(重曹)を各15[g]、でんぷん糊を120[g]を有する。
【0024】
なお、でんぷん糊は保管の観点から樹脂製パッケージに収容する。また、厚みT:64[gm^2]の上質紙を用いて長さH:240[mm]、幅W:1[mm]の上質紙を三つ折りし、第1の束ね紙で束ねたもの4個を第2の束ね紙で巻いたものを2個使用する場合、クエン酸、炭酸水素ナトリウム(重曹)に関してはそれぞれ10[g]~35[g]の範囲であれば紙材の溶け残りを防ぐことが可能である。
【0025】
バケツ等の容器に水(又はぬるま湯)1.5[リットル]入れ、でんぷん糊を除く手作り紙粘土製作用キットの内容物を投入し攪拌する。十分に攪拌した後水分を絞りさらに細かくちぎってバラバラにしたうえでさらに良く絞る。その後、でんぷん糊を加えてよく混ぜることで紙粘土が出来上がる。
【0026】
図5は、幅W:1[mm]の紐状紙102を用いて作られた紙粘土の状態を説明するための図である。図5(a)は、幅W:1[mm]の紐状紙102を水に入れて紙が溶けた状態を示している。また、図5(b)、(c)は、水切り後の状態を示している。また、図5(d)は、さらに細かくちぎってバラバラにした状態を示している。
【0027】
図6(a)、(b)は、図5(d)の状態からさらにでんぷん糊を混ぜて紙粘土になった状態を示している。
図5図6に示すように、幅W:1[mm]の紐状紙102を用いて作られた紙粘土では、後述する図7図8のように相対的に幅広のものを用いた場合と比べて、紐状紙102を含む紙材の吸収性(水の吸い方)が良く、ちぎりやすくバラバラにしやすい状態になる。そのため、でんぷん糊が良く浸透し粘土状になりやすく、紙粘土を作る際の作業性が向上するとともに紙粘土の出来上がりも良いものとなる。
【0028】
図7は、幅W:2[mm]の紐状紙を用いて作られた紙粘土の状態を説明するための図である。図7(a)は、水切り後に細かくちぎってバラバラにした状態を示している。図7(b)、(c)は、図7(a)の状態からさらにでんぷん糊を混ぜて紙粘土になった状態を示している。
【0029】
この場合、幅W:1[mm]の紐状紙102を用いて作られた紙粘土と比べて、相対的に紙材の吸収性(水の吸い方)が低下し、ちぎりやすくバラバラにしにくいものになる。そのため、でんぷん糊の浸透も悪化して粘土状になりにくいものになってしまう。そのため、幅W:1[mm]の紐状紙102を用いる場合と比べて、紙粘土の出来上がりは相対的に低下してしまう。
【0030】
図8は、幅W:4[mm]の紐状紙を用いて作られた紙粘土の状態を説明するための図である。図8(a)は、幅W:4[mm]の紐状紙を水に入れて紙が溶けた状態を示している。また、図8(b)、(c)は、水切り後さらに細かくちぎってバラバラにした状態を示している。図8(d)、(e)は、図8(b)、(c)の状態からさらにでんぷん糊を混ぜて紙粘土になった状態を示している。
【0031】
この場合、幅W:2[mm]の紐状紙を用いて作られた場合と比べて、さらに紙材の吸収性(水の吸い方)が低下し、ちぎりやすくバラバラにしにくい状態になる。そのため、でんぷん糊の浸透も悪化して粘土状にならない。そのため、幅W:2[mm]の紐状紙を用いる場合と比べても、紙粘土の出来上がりは相対的にさらに低下してしまう。
【0032】
このように、紐状紙102の幅Wのサイズは紙粘土を作る際の作業性や紙粘土の出来上がりに大きな影響を与えるものである。これらの結果から、紐状紙の幅Wが大凡1[mm]を超えるような幅では水の浸透が悪くなり、紙を細かくすることが難しくなり、細かくならない為にバラバラにすることも難しくなる。また、でんぷん糊の紙への浸透が悪くなり粘土状になりにくいものなってしまう。
なお、この幅W:1[mm]は厚みT:64[gm^2]の上質紙を用いた場合の例であるが、例えば任意の厚みであれば当該厚みに応じて幅を決定することも可能である。しかしながら、厚みが増すと吸収性(水の吸い方)が低下したり、幅を細く(例えば、1[mm]未満)しすぎると搬送時の振動などで使用前にちぎれてしまったりするなどの問題が生じることもある。この点も考慮して本実施形態においては、紙粘土作りに適したもの一例として、大凡幅が1[mm]の紐状紙である場合を挙げて説明をしている。このように略1[mm]幅の紐状紙を用いるケースが、紙粘土を作る際の作業性が向上するとともに紙粘土の出来上がりも良いものとなる。
【0033】
このように本実施形態に係る紙粘土材101は、軽くて取り扱いが容易であり、且つ、子供の握力であっても容易に混練可能な紙粘土材である。
【0034】
上記説明は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれ、例えば上述した各実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成として適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0035】
101・・・紙粘土材、102・・・紐状紙、103・・・第2部材(第1の束ね紙)、104・・・第3部材(第2の束ね紙)、106・・・第1部材(紙紐束)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8