(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184223
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ペット販売価格判定システム及びペット販売価格判定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221206BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G06Q30/02 450
A01K29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091940
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】514235307
【氏名又は名称】アニコム ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】小泉 亮人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】簡易な方法で、ペットの画像から、当該ペットのペットショップにおける推定販売価格に関する判定結果を提供するペット販売価格判定システム及びペット販売価格判定方法を提供する。
【解決手段】ペットの画像の入力を受け付ける受付手段と、学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力されたペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格を判定する判定手段と、を備えるペット販売価格判定システムであって、前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするペット販売価格判定システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの画像の入力を受け付ける受付手段と、学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力されたペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格を判定する判定手段と、を備えるペット販売価格判定システムであって、
前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするペット販売価格判定システム。
【請求項2】
前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットの販売価格とを教師データとして用いて学習を行い、入力をペットの画像とし、出力をそのペットの推定販売価格についての判定とする学習済みモデルである請求項1記載のペット販売価格判定システム。
【請求項3】
前記判定手段が判定したペットの推定販売価格を、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いて補正を行う判定補正手段をさらに備える請求項1又は2記載のペット販売価格判定システム。
【請求項4】
前記判定補正手段が、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、ペットの販売価格との関係を学習した学習済みモデルを用いて補正を行う請求項3記載のペット販売価格判定システム。
【請求項5】
前記学習済みモデルが、ペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習したマルチモーダルの学習済みモデルである請求項1記載のペット販売価格判定システム。
【請求項6】
前記学習済みモデルが、ペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、該ペットの販売価格とを教師データとして用いて学習を行い、入力をペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報とし、出力をそのペットの推定販売価格についての判定とする学習済みモデルである請求項5記載のペット販売価格判定システム。
【請求項7】
ペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格を判定する学習済みモデルの生成方法であって、教師データとして、ペットの画像と、そのペットのペットショップにおける販売価格をコンピュータに入力し、人工知能に学習させることを特徴とする学習済みモデルの生成方法。
【請求項8】
前記教師データとして、さらに、前記ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いる請求項7記載の学習済みモデルの生成方法。
【請求項9】
ペットの画像を用意するステップと、
前記画像を学習済みモデルに入力し、コンピュータが前記学習済みモデルを用いて、前記入力されたペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格についての判定を出力するステップと、を有するペット販売価格判定方法であって、
前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするペット販売価格判定方法。
【請求項10】
前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットの販売価格とを教師データとして用いて学習を行い、入力をペットの画像とし、出力をそのペットの推定販売価格についての判定とする学習済みモデルである請求項9記載のペット販売価格判定方法。
【請求項11】
前記判定を出力するステップにおいて出力されたペットの推定販売価格を、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いて補正を行う判定補正ステップをさらに備える請求項9又は10記載のペット販売価格判定方法。
【請求項12】
前記学習済みモデルが、ペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習したマルチモーダルの学習済みモデルである請求項9記載のペット販売価格判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット販売価格判定システム及びペット販売価格判定方法に関し、詳しくは、ペットの画像から、そのペットのペットショップでの販売価格に関する判定結果を提供するペット販売価格判定システム及びペット販売価格判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫、ウサギを始めとするペットは、人間にとってかけがえのない存在である。ペットの入手ルートとして、知り合いからの譲渡、ブリーダーからの譲渡、動物愛護団体からの譲渡といったものがあるが、ペットショップでの購入が最も一般的である。
【0003】
ペットは、一体一体が個性を持った生体であり、その販売価格を一義的に決定することは困難である。一方で、ペットショップは利潤を追求するために運営されていることから、仕入れ値に利潤を上乗せして販売するにあたり、需要と供給のバランスをベースにして、諸々の要素を加味して、ペットショップにおけるペットの販売価格を決定しているといわれている。具体的には、ペットの容貌のほか、販売時期、販売地域、ペットの年齢、毛色、品種、仕入れ元のブリーダー、性別といった要素に基づいて販売価格が決定されているといわれている。そのため、ペットの販売価格については、ペットの種類や品種ごとにある程度の相場感といったものが醸成されているといえる。
【0004】
他方、ペットショップにおいてペットを購入する消費者にとってみると、上記のような販売価格の決定に寄与する要素など知りようもないことが通常であり、悪質なペットショップに言われるがままに法外な値段でペットを購入してしまうといったトラブルも起きている。
【0005】
そのため、簡易な方法で、あるペットが、ペットショップにおいて販売される場合にどの程度の価格で販売され得るのか、どの程度の価格であれば妥当な価格の範囲内であるのかについての判断材料を提供する手段が求められている。
【0006】
特許文献1には、動物の飼育に関する飼育情報と前記動物の肉に関する肉情報の組み合わせを示す教示情報を取得する教示情報取得部と、前記教示情報に基づいて前記飼育情報と前記肉情報の対応関係を学習し、学習結果として対応情報を出力する学習部と、前記飼育情報と前記肉情報が対応付けられた対応情報を記憶する対応情報記憶部と、前記肉情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した肉情報と前記対応情報とに基づいて、前記飼育情報を出力する出力部と、を備える情報処理システムが開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されている情報処理システムは、畜産分野において、食肉の品質や生産性を向上するために、所定の情報から食肉の肉質等を判定するシステムであって、ペットの販売価格を対象としたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、簡易な方法で、ペットの画像から、当該ペットのペットショップにおける推定販売価格に関する判定結果を提供するペット販売価格判定システム及びペット販売価格判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、提携するペットショップから入手したペットの画像とペットのペットショップにおける販売価格についての情報をもとに、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルによって上記課題が解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の[1]~[12]である。
[1]ペットの画像の入力を受け付ける受付手段と、学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力されたペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格を判定する判定手段と、を備えるペット販売価格判定システムであって、
前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするペット販売価格判定システム。
[2]前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットの販売価格とを教師データとして用いて学習を行い、入力をペットの画像とし、出力をそのペットの推定販売価格についての判定とする学習済みモデルである[1]のペット販売価格判定システム。
[3]前記判定手段が判定したペットの推定販売価格を、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いて補正を行う判定補正手段をさらに備える[1]又は[2]のペット販売価格判定システム。
[4]前記判定補正手段が、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、ペットの販売価格との関係を学習した学習済みモデルを用いて補正を行う[3]のペット販売価格判定システム。
[5]前記学習済みモデルが、ペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習したマルチモーダルの学習済みモデルである[1]のペット販売価格判定システム。
[6]前記学習済みモデルが、ペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、該ペットの販売価格とを教師データとして用いて学習を行い、入力をペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報とし、出力をそのペットの推定販売価格についての判定とする学習済みモデルである[5]のペット販売価格判定システム。
[7]ペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格を判定する学習済みモデルの生成方法であって、教師データとして、ペットの画像と、そのペットのペットショップにおける販売価格をコンピュータに入力し、人工知能に学習させることを特徴とする学習済みモデルの生成方法。
[8]前記教師データとして、さらに、前記ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いる[7]の学習済みモデルの生成方法。
[9]ペットの画像を用意するステップと、前記画像を学習済みモデルに入力し、コンピュータが前記学習済みモデルを用いて、前記入力されたペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格についての判定を出力するステップと、を有するペット販売価格判定方法であって、前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするペット販売価格判定方法。
[10]前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットの販売価格とを教師データとして用いて学習を行い、入力をペットの画像とし、出力をそのペットの推定販売価格についての判定とする学習済みモデルである[9]のペット販売価格判定方法。
[11]前記判定を出力するステップにおいて出力されたペットの推定販売価格を、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いて補正を行う判定補正ステップをさらに備える[9]又は[10]のペット販売価格判定方法。
[12]前記学習済みモデルが、ペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習したマルチモーダルの学習済みモデルである[9]のペット販売価格判定方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、簡易な方法で、ペットの画像から、当該ペットのペットショップにおける推定販売価格に関する判定結果を提供するペット販売価格判定システム及びペット販売価格判定方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本発明のペット販売価格判定システムの一実施態様を表す構成概略図である。
【
図4】本発明のペット販売価格判定システムによるペット販売価格判定の流れの一例を表すフローチャート図である。
【
図5】本発明のペット販売価格判定システムの他の実施態様を表す構成概略図である。
【
図6】本発明のペット販売価格判定システムによるペット販売価格判定の流れの一例を表すフローチャート図である。
【
図7】マルチモーダルの学習済みモデルのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<ペット販売価格判定システム>
本実施形態のペット販売価格判定システムは、ペットの画像の入力を受け付ける受付手段と、学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力されたペットの画像からそのペットのペットショップにおける推定販売価格を判定する判定手段と、を備えるペット販売価格判定システムであって、前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とする。
【0015】
[受付手段]
受付手段は、ペットの画像の入力を受け付ける手段である。ペットとしては、犬、猫、ウサギ等の哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類が挙げられ、犬、猫及びウサギが好ましい。画像の受付方法は、スキャン、画像データの入力、送信、その場で撮影しての画像取り込みなどいずれの方法であってもよい。画像は、静止画、動画のいずれでもよい。画像のフォーマットは特に限定されない。画像に写っているペットの部位は特に限定されず、ペットの顔を正面から撮影した画像、
図1や
図2のように全身が映っている画像、動いているところを撮影した動画などが挙げられるが、ペットの全身が写っている画像が好ましい。画像は、白黒、グレースケール、カラーのいずれであってもよい。動物の顔が写っていない画像、画像編集ソフトウェアで形状が編集された画像、複数の動物が写っている画像、目や耳が判別出来ないほど顔が小さく写っている画像あるいは不鮮明な画像は好ましくない。画像については、ノーマライゼーションが施されたものや、解像度が統一されたものが好ましい。
また、受付手段は、ペットの画像以外に、当該ペットに関する情報、例えば、当該ペットの日齢(月齢でもよい)、生年月日(年・月・日)、ペットショップ入店日(年・月・日)、出生地(都道府県レベルや市町村レベル等)、性別、ペットショップの所在地(都道府県や市町村レベル等)及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上の情報や、これらの情報の代わりに、或いは、これらの情報に加えて、仕入価格、販売時在庫日数(販売時における入店日からの日数)といった情報を受け付ける構成とすることもできる。
【0016】
[判定手段]
判定手段は、学習済みモデルを用いて、前記受付手段に入力されたペットの画像からそのペットの推定販売価格を判定する手段である。本実施形態において、学習済みモデルは、ペットの画像と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習した学習済みモデルである。
【0017】
上記のような学習済みモデルは、例えば、教師あり学習や教師なし学習によって生成することができる。教師あり学習の場合の教師データとしては、例えば、ペットの画像とそのペットのペットショップにおける販売価格(実販売価格)に関するデータが挙げられる。ペットの画像に、そのペットのペットショップにおける販売価格に応じたタグを付けて教師データとしてもよい。ペットの画像や、その販売価格のデータは、ペットショップから入手することができる。
【0018】
教師データとして用いるペットの販売価格とは、例えば、そのペットが、ペットショップに入荷され、店頭やウェブサイト上で販売される際の価格である。税込みであっても税抜きであってもよい。また、セールなど特別な状況下における時限的な価格を含めることもできるが、好ましくは、店頭やウェブサイトでの販売開始当初の販売価格である。
【0019】
教師データとして用いるペットの画像のフォーマットは特に限定されない。例えば、顔をメインに写っている画像を用いる場合もあれば、全身が映っている画像を用いる場合もある。そのため、画像に写っている動物の部位は特に限定されないが、ペットの画像は、ペットの顔と全身が映っている写真であることがより好ましい。動物の顔全体が写っていない画像、画像編集ソフトウェアで形状が編集された画像、複数の動物が写っている画像、目や耳が判別出来ないほど顔が小さく写っている画像あるいは不鮮明な画像は好ましくない。画像については、ノーマライゼーションが施されたものや、解像度が統一されたものが好ましい。教師データで用いた画像と、受付手段により受け付ける画像の解像度が統一されていることがより好ましい。
【0020】
さらに、教師データとして、ペットの販売価格以外のペットの情報を用いることもできる。例えば、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日(年・月・日)、出生地(都道府県レベルや市区町村レベル)、性別、ペットショップの所在地(都道府県レベルや市区町村レベル)、ペットの毛色、ペットを育てたブリーダーに関する情報、生年月日が休日であるか平日であるか、仕入価格、販売時在庫日数(販売時における入店日からの日数)といった情報が挙げられる。日齢とは、生まれてからの日数であり、例えば、ペットショップ入店日における日齢である。また、教師データとして、ペットの画像に加えて、当該ペットの日齢(月齢でもよい)、生年月日(年・月・日)、ペットショップ入店日(年・月・日)、出生地(都道府県レベルや市区町村)、性別、ペットショップの所在地(都道府県レベルや市区町村)及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上の情報に関する情報を用いることも好ましい。ペットの画像以外に加えて、他の情報を教師データとして用いる場合には、マルチモーダルな人工知能を用いることが好ましい。マルチモーダルな人工知能とは、
図7に示すように、画像認識や音声認識などの複数の情報を複合的に処理、判断する人工知能である。
【0021】
学習済みモデルとしては、人工知能(AI)が好ましい。人工知能(AI)とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムであり、具体的には、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのことをいう。人工知能としては、汎用型、特化型のいずれであってもよく、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク等のいずれであってもよく、公開されているソフトウェアを使用することができる。
【0022】
学習済みモデルを生成するために、人工知能を学習させる。学習としては、機械学習とディープラーニング(深層学習)のいずれであってもよいが、ディープラーニングが好ましい。ディープラーニングは、機械学習を発展させたものであり、特徴量を自動的に見つけ出す点に特徴がある。
【0023】
学習済みモデルを生成するための学習方法としては、特に制限されず、公開されているソフトウェアを用いることができる。例えば、NVIDIAが公開しているDIGITS (the Deep Learning GPU Training System)を用いることができる。その他、例えば、「サポートベクターマシン入門」(共立出版)等において公開されている公知のサポートベクターマシン法(Support Vector Machine法)等によって学習させてもよい。
【0024】
[出力]
判定手段は、入力情報として、ペットの画像を受け付けると、上記学習済みモデルによって、当該ペットの推定販売価格についての判定を行う。推定販売価格とは、例えば、ペットショップで販売される場合の価格の推定額である。税抜きであっても税込みであってもよい。
出力の形式は特に限定されず、例えば、パソコンの画面上において、「この子の推定販売価格は、300000円です。」のように、推定販売価格を表示する方法や、「この子の推定販売価格は、250000円~350000円です」のように、推定販売価格を数値範囲で表示する方法であってもよい。
本発明のペット販売価格判定システムは、判定手段から判定結果を受信し、判定結果を出力する出力手段を別途有していてもよい。
【0025】
[判定補正手段]
本発明のペット販売価格判定システムは、判定補正手段を備えていてもよい。判定補正手段は、学習済みモデルを用いて、上記判定手段が判定したペットの推定販売価格を補正する手段である。判定補正手段を備える場合には、2つの学習済みモデルを適用して、2段階でペットの推定販売価格を算出することになり、より正確な算出が期待できる。この場合、シングルモーダルの学習済みモデルで判定した後に、判定補正手段によって、判定価格を補正して、最終的な推定販売価格を算出してもよいし、マルチモーダルの学習済みモデルを用いて推定販売価格を算出した後に、判定補正手段によって判定価格を補正して、最終的な推定価格を出してもよい。
【0026】
判定補正手段は、学習済みモデルを用いて、上記推定販売価格を補正する。学習済みモデルを生成するために、人工知能を学習させる。学習としては、機械学習とディープラーニング(深層学習)のいずれであってもよいが、機械学習が好ましい。機械学習のフレームワークとしては公開されているものをいずれも用いることができる。機械学習のアルゴリズムとしては、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、クラスタリング等の公知のものを適宜用いることができる。
【0027】
判定補正手段が用いる学習済みモデルとしては、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、ペットの販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることが好ましい。日齢とは、生まれてからの日数であり、例えば、ペットショップ入店日における日齢である。
【0028】
判定補正手段が用いる学習済みモデルのための教師データとして、例えば、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地、ペットの毛色、ペットを育てたブリーダーに関する情報、生年月日が休日であるか平日であるか、といった情報が挙げられる。また、教師データとして、ペットの画像に加えて、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いることも好ましい。
【0029】
判定補正手段を備える場合、判定手段による第1段階の推定販売価格の判定結果は出力せずに、判定補正手段による補正結果を踏まえた最終的な推定販売価格を出力することが好ましい。
【0030】
以下、本発明のペット販売価格判定システムの一実施態様を
図3を参照しながら説明する。
【0031】
図3中、端末40は、利用者が利用する端末である。利用者としては、例えば、これからペットをペットショップで購入しようとする者、ペットの値付けを検討しているペットショップである。端末40は、例えばパーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末などが挙げられる。端末40は、CPUなどの処理部、ハードディスク、ROMあるいはRAMなどの記憶部、液晶パネルなどの表示部、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入力部、ネットワークアダプタなどの通信部などを含んで構成される。
【0032】
利用者は、端末40から、サーバにアクセスし、ペットの画像(写真)を入力、送信する。必要であれば、当該ペットの種類、品種、性別、体重などの情報、或いは、ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を併せて入力するようにしてもよい。また、利用者が、本ペット販売価格判定システム利用時に、その場でスマートフォンのカメラを使って対象となるペットの写真を撮影し、それを入力、送信するという態様であってもよい。例えば、利用者は、端末40の画面上に表示される指示に従って対象となるペットの写真を撮影し、それをサーバに送信する。このとき、サーバ内にある判定手段が当該写真画像中のペットの推定販売価格を判定し、出力する。サーバが、別途、画像判定プログラムからなる写真撮影補助手段を備え、写真撮影補助手段が、撮影目的に応じて、動物の顔全体や体全体が撮像されていること、動物の顔の正面からの写真であるといった、ブレやピンボケの有無、好適な写真であるかどうかを判定し、インターフェースや端末を通じて利用者に伝達するという構成を備えていてもよい。
また、利用者は、端末40がサーバにアクセスすることによって、画像に写っているペットの推定販売価格についての判定の結果を受信することができる。
【0033】
本実施形態においては、サーバはコンピュータによって構成されるが、本発明にかかる機能を有する限りにおいて、どのような装置であってもよい。サーバは、クラウド上にあるサーバであってもよい。
【0034】
記憶部10は、例えばROM、RAMあるいはハードディスクなどから構成される。記憶部10には、サーバの各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶され、特に、判定手段(学習済みモデル)11が記憶される。
【0035】
判定手段(学習済みモデル)11は、利用者が入力した対象となるペットの画像、或いは、ペットの画像とペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を入力とし、当該ペットのペットショップにおける推定販売価格についての判定を出力するものである。本実施形態における判定手段(学習済みモデル)11は、例えばディープニューラルネットワーク又は畳み込みニューラルネットワークを含んで構成される。
【0036】
処理演算部20は、記憶部に記憶された判定手段(学習済みモデル)11を用いて、ペットのペットショップにおける推定販売価格についての判定を実行する。
【0037】
インターフェース部(通信部)30は、受付手段31と出力手段32を備え、利用者の端末から、動物の画像やその他の情報を受け付け、利用者の端末に対して、ペットのペットショップにおける推定販売価格についての判定の結果を出力する。
【0038】
本実施形態のペット販売価格判定システムにより、利用者は、ペットの写真や動画などをサーバにアップロードすることで、簡便にペットの推定販売価格についての判定を得ることができる。
【0039】
本実施形態では、判定手段や受付手段がサーバに格納され、利用者の端末とインターネットやLAN等の接続手段で接続される態様を説明したが、本発明はこれに限定されず、判定手段、受付手段、インターフェース部が一つのサーバや装置内に格納される態様や、利用者が利用する端末を別途必要としない態様等であってもよい。
【0040】
また、本発明のペット販売価格判定システムは、アプリやソフトウェアとして、受付手段及び学習済みモデルを含む判定手段をコードしたソフトウェアが利用者の端末にダウンロードされ、利用者の端末内において、画像の受付、判定、判定結果の出力を一貫して行う構成としてもよい。
【0041】
本発明のペット販売価格判定システムの一実施態様に基づく推定販売価格判定のフローチャートを
図4に示す。利用者が、受付手段に、対象となるペットの画像をアップロードする(ステップS1)。サーバの処理演算部は、判定手段(学習済みモデル)を用いて、アップロードされた画像から、そのペットの推定販売価格を判定する(ステップS2)。出力手段は、導き出された判定結果を画面に表示するなどして出力し、利用者に提示する(ステップS3)。
【0042】
<他の実施態様>
本発明の他の実施態様として、
図5のように、上記構成に加えて、判定補正手段(学習済みモデル)14を備えたペット販売価格判定システムが挙げられる。判定補正手段14(学習済みモデル)は、上記判定手段11が算出したペットの画像を入力として算出、判定した当該ペットの推定販売価格を、ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報によって補正するものである。本実施形態における判定補正手段(学習済みモデル)14は、例えばディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、又は決定木モデルなどの機械学習モデルを含んで構成される。
【0043】
本発明のペット販売価格判定システムが、判定補正手段を備える場合の一実施態様に基づく画像判定のフローチャートを
図6に示す。利用者が、例えば、端末を通じて、受付手段に、対象となるペットの画像、並びに、ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報をアップロードないし入力する(ステップS1)。サーバの処理演算部は、判定手段(学習済みモデル)を用いて、アップロードされた画像から、そのペットの推定販売価格を判定する(ステップS2)。サーバの処理演算部は、判定補正手段(学習済みモデル)を用いて、対象となるペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報から、判定手段が算出した推定販売価格を補正して、最終的な推定販売価格の判定結果を導き出す(ステップS3)。出力手段は、導き出された判定結果を画面に表示するなどして出力し、利用者に提示する(ステップS4)。
【0044】
<ペット販売価格判定方法>
本発明のペット販売価格判定方法は、ペットの画像を用意するステップと、前記画像を学習済みモデルに入力し、コンピュータが前記学習済みモデルを用いて、前記入力されたペットの画像からそのペットの推定販売価格についての判定を出力するステップと、を有するペット販売価格判定方法であって、前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットの販売価格との関係を学習した学習済みモデルであることを特徴とするものである。
【0045】
本発明のペット販売価格判定方法は、前記学習済みモデルが、ペットの画像と、該ペットの販売価格とを教師データとして用いて学習を行い、入力をペットの画像とし、出力をそのペットの推定販売価格についての判定とする学習済みモデルであることが好ましい。
【0046】
本発明のペット販売価格判定方法は、前記判定を出力するステップにおいて出力されたペットの推定販売価格を、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報を用いて補正を行う判定補正ステップをさらに備えることが好ましい。
【0047】
また、本発明のペット販売価格判定方法は、前記学習済みモデルが、ペットの画像、並びに、当該ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報と、該ペットのペットショップにおける販売価格との関係を学習したマルチモーダルの学習済みモデルであることが好ましい。
【0048】
ペットの画像、学習済みモデル、判定補正、ペットの日齢、生年月日、ペットショップ入店日、出生地、性別、ペットショップの所在地及びペットの毛色からなる群から選ばれる一つ以上に関する情報については、上記本発明のペット販売価格判定システムと同様である。
【実施例0049】
[実施例1]
ペットショップにおいて販売されていたトイプードルの子犬の写真を11000枚用意した。これらの犬の写真は、
図1や
図2のように、顔と全身が映っている写真であった。
これらの写真を用いて、ディープラーニングを行い、学習済みモデルを生成した。
各写真に、その写真に写っているトイプードルの子犬のペットショップにおける実際の販売価格についてのタグをつけて学習に用いた。
学習方法は、人工知能(ニューラルネットワーク)としてXceptionを使用したファインチューニングであり、機械学習ライブラリ(Deep Learningライブラリ)として、Kerasを用いた。
また、学習途中での評価を行うためのデータとして、トイプードルの子犬の写真2700枚と各トイプードルのペットショップにおける実際の販売価格データを用いた。
【0050】
次に、得られた学習済みモデルを用いて、上記教師データや検証データに用いた写真とは別のトイプードルの子犬の1500枚を用意して検証を行った。
結果を
図8に示す。
【0051】
図8から明らかなように、学習済みモデルによる推定販売価格と、実際のペットショップにおける販売価格との間には正の相関関係が見られた。決定係数の値(R
2)は0.3329であった。
【0052】
[実施例2]
上記実施例1において得られた学習済みモデルとは別に、各トイプードル11000匹のそれぞれの、生年月日の年・月・日、生年月日が休日か平日か、ペットショップの所在地の都道府県、トイプードルが生まれた場所の都道府県、ペットショップ入店時の年・月・日、ペットショップ入店時が休日か平日か、ペットショップ入店時の日齢、毛色及び性別に関するデータ(以下「テーブルデータ」という。)と、各トイプードルのペットショップにおける実際の販売価格を用いて、機械学習により学習済みモデル(判定補正手段)を得た。
上記実施例1で算出された、テスト用のトイプードル1500匹についての推定販売価格とテーブルデータとを、学習済みモデル(判定補正手段)に入力し、推定販売価格の補正を行った。
その結果を
図9に示す。
【0053】
図9から明らかなように、2つの学習済みモデルを用いた2段階での推定販売価格と、実際のペットショップにおける販売価格との間には正の相関関係が見られた。決定係数の値(R
2)は0.6768であった。
【0054】
[実施例3]
ペットショップにおいて販売されていたトイプードルの子犬の写真を11000枚用意した。これらの犬の写真は、
図1や
図2のように、顔と全身が映っている写真であった。
これらの写真と上記テーブルデータ,及び、各トイプードルのペットショップにおける実際の販売価格に関するデータを用いて、ディープラーニングを行い、学習済みモデルを生成した。
学習方法は、人工知能(ニューラルネットワーク)としてXceptionを使用した転移学習およびディープニューラルネットワークを用いた学習であり、機械学習ライブラリ(Deep Learningライブラリ)として、Kerasを用いた。
また、学習途中での評価を行うためのデータとして、トイプードルの子犬の写真2700枚と各トイプードルのペットショップにおける実際の販売価格データを用いた。
【0055】
次に、得られたマルチモーダルの学習済みモデルを用いて、上記教師データや検証データに用いた写真とは別のトイプードルの子犬の1500枚と各トイプードルのテーブルデータを用意して検証を行った。
結果を
図10に示す。
【0056】
図10から明らかなように、マルチモーダルの学習済みモデルによる推定販売価格と、実際のペットショップにおける販売価格との間には正の相関関係が見られた。決定係数の値(R
2)は0.7532であった。