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  • 特開-超音波浴槽および水槽 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184232
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】超音波浴槽および水槽
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20221206BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A47K3/00 Z
A47K3/00 H
A01K63/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091952
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】721005119
【氏名又は名称】赤石 維衆
(72)【発明者】
【氏名】赤石維衆
【テーマコード(参考)】
2B104
2D005
【Fターム(参考)】
2B104EF11
2D005FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】浴槽の場合、循環浴槽でも使えるエアレス超音波発信法で、菌類増殖を防ぐために水が残滓、滞留しない設置法で、浄化装置などの吐出口のような水流のある場所に超音波振動子を設置する場合は、振動子が破損しにくい構造で、水中で効率よく超音波を照射できる超音波浴槽、水槽を提供する。
【解決手段】超音波振動子による超音波発生方法を採用し、水槽の側面に設置する場合は、水栓金具あり、なしの方法があり、ありの場合は、金具で照射が邪魔にならないように格子を少なくするか、反射しやすい材質、構造とする。水栓金具なしの場合は、開口部から振動子までの距離があり、水が残滓しやすく、菌類が増殖しやすいため、開口部に向かって下方傾斜を設ける構造とする。水流中に振動子を設置する場合は、錐構造の先端を水流上方に向けて、水圧を分散させる。振動子、発信回路、電源を格納容器に入れて、可動式にする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽および人間が入る水槽および生物を生育・養殖する水槽内に超音波を照射するにあたり、水中の照射する場所に格納場所(円筒型または角筒型またはこれに類する構造、以下格納場所)を設置し、その内側に超音波振動子を設ける方式。格納場所は壁面、ろ過機類の浄化装置などの機器類(補給水吐出口を含む)の吐出口、水中に設けてもよい。ろ過機類の流入口または吐出口に設ける場合は、水流の大きく阻害にならないように振動子を設けるか、振動子の大きさに対して十分大きな口径の配管を設けるか。反射板を格子状(類する構造を含む、水栓金具に類した構造)にして水流阻害を小さくするかする。
なお、超音波の周波数は、概ね10kHz以上とし、超音波単独照射か、超音波発信回路と音楽などの可聴音発信回路がミキシングでき、合成した信号を振動子に供することができるものとする。
【請求項2】
水栓金具を設ける場合、格子と格子の間の隙間は、人間の指が入らない大きさとし、格子の数は、極力少なくする。また、振動子の振動を効率よく照射するため、振動子から水栓金具までラッパ状にステンレス板または耐腐食性鋼板または耐腐食性金属板または樹脂製板などの反射板を設ける(以下、反射板と称する)。
水栓金具の格子を平板状または丸棒状にすることで、衝突した超音波を反射板に反射させるものとする。
*水栓金具:水槽の壁面と照射口をフラットにするため、取り付ける蓋状物で材質は金属に限らない。
【請求項3】
壁面に水栓金具を設けない場合、人体の一部が入らないようにあるいは万一入っても振動子まで届かないように、水槽壁面から振動子まで距離をとる必要がある。このため、側面の場合特に、水槽の水を交換した際に水が残置し、菌類の増殖が危惧される。
このため、振動子から水槽壁面まで振動子上方部分は、ラッパ状(類する構造を含む)または底面と平行にし、下部は壁面に対して下り勾配のラッパ状に反射板を設けるかまたは格納場所の壁面にすることで、水槽水交換時に効率よく壁面に向かって排水できるようにする。
また底面に設けるときは排水ができるように排水バルブを設置するものとする。
【請求項4】
振動子、各種回路、電源を密封した筒状の格納容器に入れて、水中で設置位置や照射方向を自由に変えられるようにする。振動子の先については、請求項2および3の方法に準ずる。
【請求項5】
水流がある管路など通路に超音波振動子を設置する場合、流入および吐出口の配管内部に反射板を巻き付けて、または、ラッパ状の反射板を格子状にするなど吐出の阻害をなるべく少なくする構造とする。
または、錐状の遮水装置を設ける。これは錐を流れ上流に向けて、振動子に向かってくる水流を錐の形状で振動子に水流の力が直接衝突しないようにするものである。また、錐構造の内部に振動子を固着させ、上記の効果を確保すると同時に、錐内の上流部分に固着することで、振動子の振動を円錐の裾部分の反射により、振動を分散させることなく効率よく、外部に照射するものとする。
さらに、管径を超音波振動子より十分大きな構造にして、水流の流速を減じてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
可聴音の混合波を含む超音波を効率よく浴槽または人間や生物が生息する水槽に供するため、壁面および底面に固着または水中に設置した超音波振動子によって超音波を供するものである。
なお、超音波が人体に与える影響については、下記文献によって効果が示されている。
1) 『空気伝導による超音波がヒトの脳波に与える影響』索et.al(日本生理人類学会誌vol9,No.4,29\004.1)
2) 『超音波領域の音が人間に与える影響について』伊藤et.al(日本大学)
【背景技術】
【0002】
浴槽に超音波を供する方法は、特開平3-205056(年金不納による抹消によって記載されている(存続期間2009/12/29まで))または特開平8-196450(進歩性がないため拒絶査定)が、浴槽に超音波振動子を固着する方法で、浴槽に限られる上、浴槽が超音波振動子と共に振動する材質(公開資料にはステンレスが挙げられている)である必要があり、超音波が必要な箇所以外の箇所(例:人間の頭部)にも、不必要に照射されるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平3-205056
特開平8-196450
特開2008-206679
特開2015-062906
特開2014-226251
特開2014-168759
特開2012-236147
特開2012-235951
【非特許文献】
【0004】
『水中錐噴流による超音波の発生』今尾et.al(岐阜大学 日本機械学会老ン文集77巻775号2011-3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(課題1)
先行技術特許文献のうち、特開ではじまる文献は全て、超音波を照射する場合は、エアを含ませる。『公衆浴場における衛生など管理要領』(健発第0214004 厚労省)では、バブル状態にする場合は、レジオネラ菌の感染の恐れがあるため、浴槽水を1日1回交換する必要がある旨、示されており、数日水を使いまわす循環ろ過浴槽には実質使用できず、水道費がかかる。
(課題2)
振動子からの超音波を効率よく照射し、水栓金具で減衰することなく、反射板に効率よく反射させる必要がある。水栓金具を設けない場合、壁面から振動子までの距離をとる必要があり(人体の一部が入らないようにするため)、水槽の水交換時に残滓が残る可能性があり、レジオネラ菌などが繁殖する恐れがある。
(課題3)
ろ過機の吐出側など水流がある箇所に振動子を設置する場合、水流をとおすために反射板は格子状である必要があるが、反射を効率よくする構造にする必要がある。さらに、振動子に水流が衝突し、振動子が破損するおそれを軽減する必要がある。
(課題4)
人体や生体など効率よく超音波を水中で照射するために、水中で振動子などを独立および可動式にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(超音波発生方法)
エアを噴流に乗せて超音波を発生させる既存の技術では、課題1が生じる。このため、超音波発生は既存技術である超音波振動子を水中に没する方式とする。
(設置方法)
水中に照射する場所に格納場所(円筒型または角筒型またはこれらに類する構造)を設置し、その内側に超音波振動子を設ける。格納場所は壁面でもろ過機類(補給水吐出口を含む)の浄化装置などの機器の流入・吐出口内部でも水中(底面や側面の表面、水中に浮遊問わず)に設けてもよい。ろ過機類の流入・吐出口内部に設ける場合は、吐出水流の大きく阻害にならないように振動子を設けるか、振動子の大きさに対して十分大きな口径の配管で水流を流す(図4,5)。
側面および底面の内側に設ける場合は、壁面および底面をフラットにして格納場所に人体の一部が入らないようにする蓋で、格納場所からの超音波照射が水槽内部に照射されるために蓋部分が格子状およびそれに類した構造になっているもの(上述および以下、水栓金具(2)と称する)を設けずに、水槽側面・底面と振動子(7)の間の距離をとるか(図2のB)、あるいは水栓金具を設けて、振動子(4)と側面・底面の距離(図1のA)を短くするもの(B>A)とする。
(水栓金具あり)
水栓金具(2)を設ける場合、格子と格子の間の隙間(9)は、人間の指が入らない大きさとし、超音波の衝突による減衰を極力防ぐため、水栓金具の格子は、極力少なくする。また、振動子の振動を効率よく照射するため、振動子から水栓金具までラッパ状にステンレス板または耐腐食性鋼板または耐腐食性金属板または樹脂製板などの反射板を設ける(以下、反射板(3)と称する)。ろ過機類の吐出口内に設ける場合は吐出口の配管内部に反射板を巻き付けて、または、ラッパ状の反射板を格子状にするなど吐出の阻害をなるべく少なくする構造とする。この構造は請求項3の水栓金具なしの場合でも適用できる(図4)。
水栓金具の格子を平板状または丸棒状にすることで、衝突した超音波を反射板に反射させるものとする(10)。
また底面に設けるときは排水ができるように排水バルブ(5)を設置するものとする。

(水栓金具なし)
壁面に水栓金具を設けない場合、人体の一部が入らないようにあるいは万一入っても振動子(7)まで届かないように、水槽壁面から振動子まで距離をとる必要がある。このため、水槽の水を交換した際に水が残置し、課題2で示すような菌類の増殖が危惧される。
このため、振動子から水槽壁面まで振動子上方部分は、ラッパ状または底面と平行(6a)にし、下部は壁面に対して下り勾配のラッパ状に反射板または格納場所の壁面にすること(6b)で、水槽水交換時に効率よく壁面に向かって排水できるようにする。
また底面に設けるときは排水ができるように排水バルブ(8)を設置するものとする。
(水中可動式)
振動子、各種回路(発信回路、ミキシング回路など)、電源を密封した筒状の格納容器に入れて、水中で設置位置や照射方向を自由に変えられるようにする。これにより人の入浴の場合または植物などの生態を生育する場合などでは、照射したい場所に直接照射できる。振動子の先については、請求項2および3の方法に準ずる。

(可聴音とのミキシング)
超音波の周波数は、概ね10kHz以上(JIS Z8106:2000では16kHz以上、JIS Z2300:2000では20kHzと定義されているため)とし、超音波単独照射か超音波発信回路と音楽などの可聴音発信回路がミキシングでき、合成した信号を振動子に供することができるものとする。発信強度、ミキシングバランスなどについては、外部に突出した可変つまみ、ボタンなどで調節できる構造とする。

(水流のある場所での振動子設置方法)
1) 水流がある管路など通路に超音波振動子を設置する場合、反射板を図4に示す通り、格子状(9)とする(およびそれに類した構造)。さらに振動子に対して管路などの管径は十分大きさにしてもよい(しなくても可)。
2) 水流ある管路など通路に超音波振動子を設置する場合、図5に示すとおり、円錐状・角錐状(およびそれに類した構造、以下、錐状)の水流分断器を設ける。これは錐状を流れ上流に向けて、振動子に向かってくる水流を錐状の形状で振動子に水流の力が直接衝突しないようにするものである。また、錐状構造の内部に振動子を固着させ、上記の効果を確保すると同時に、錐状内の上流部分に固着することで、振動子の振動を錐状の裾部分の反射により、振動を分散させることなく効率よく、外部に照射するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】超音波振動子の水栓金具付き設置方法1:浴槽や生物体を生育するなど超音波を照射する水槽2:水栓金具(水槽の壁面と照射口をフラットにするため、取り付ける蓋状物で材質は金属に限らない)3:反射板4:超音波振動子5:排水バルブ6:反射板 6a:格納装置上部の反射板構造6b:格納装置下部の反射板構造7:超音波振動子8:排水バルブ
図2】超音波振動子の水栓金具なし設置方法
図3】水栓金具および反射板(格子状)の構造
図4】超音波振動子の水流中の設置方法1
図5】超音波振動子の水流中の設置方法2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-07-07
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
図1】超音波振動子の水栓金具付き設置方法
図2】超音波振動子の水栓金具なし設置方法
図3】水栓金具および反射板(格子状)の構造
図4】超音波振動子の水流中の設置方法1
図5】超音波振動子の水流中の設置方法2
図6】水中可動性超音波振動子