(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184236
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両用内装品および内装パネル
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/14 20170101AFI20221206BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20221206BHJP
B60Q 3/62 20170101ALI20221206BHJP
B60Q 3/70 20170101ALI20221206BHJP
B60Q 3/78 20170101ALI20221206BHJP
F21V 29/15 20150101ALI20221206BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20221206BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20221206BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B60Q3/14
B60Q3/217
B60Q3/62
B60Q3/70
B60Q3/78
F21V29/15
B60Q3/54
B60K37/00 D
B60R13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091958
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 寛之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
【テーマコード(参考)】
3D023
3D344
3K040
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB01
3D023BD12
3D023BE02
3D023BE25
3D344AA08
3D344AC02
3D344AC07
3D344AD11
3D344AD13
3K040CA01
3K040CA03
3K040CA04
3K040CA05
3K040CA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空調用レジスタおよび照明装置を具備する車両用内装品において、照明装置への水の到達を抑制し、かつ、照明装置での結露の発生を抑制し得る技術を提供すること。
【解決手段】車両室内に配設される車両用内装品であって、車両用空調装置に接続され前記車両室内に空調空気を吹き出す空調用レジスタ25を有する空調用ダクト装置と、LED光源35の出射光により車両室内を照明する発光部30を有する照明装置と、車両室内に露出するとともに空調用ダクト装置および照明装置の少なくとも一部を背面側に隠す内装パネルと、を具備し、内装パネルは、空調用レジスタ25と発光部30との間に遮蔽部70を有し、遮蔽部70は、背面側に突出し空調用レジスタ25側から発光部30側に向けて配列する2つの隔壁および前記2つの隔壁の間に設けられている断熱層75を含む車両用内装品。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内に配設される車両用内装品であって、
車両用空調装置に接続され前記車両室内に空調空気を吹き出す空調用レジスタを有する空調用ダクト装置と、光源の出射光により前記車両室内を照明する発光部を有する照明装置と、前記車両室内に露出するとともに前記空調用ダクト装置および前記照明装置の少なくとも一部を背面側に隠す内装パネルと、を具備し、
前記内装パネルは、前記空調用レジスタと前記発光部との間に遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記背面側に突出し前記空調用レジスタ側から前記発光部側に向けて配列する2つの隔壁と、前記2つの隔壁の間に設けられている断熱層と、を含む、車両用内装品。
【請求項2】
車両室内に配設され、前記車両室内に露出するとともに、車両用空調装置に接続され前記車両室内に空調空気を吹き出す空調用レジスタを有する空調用ダクト装置と、光源の出射光により前記車両室内を照明する発光部を有する照明装置と、の少なくとも一部を背面側に隠す内装パネルであって、
前記空調用レジスタと前記発光部との間に遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記背面側に突出し前記空調用レジスタ側から前記発光部側に向けて配列する2つの隔壁と、前記2つの隔壁の間に設けられている断熱層と、を含む、内装パネル。
【請求項3】
前記断熱層は空気層である、請求項2に記載の内装パネル。
【請求項4】
前記2つの隔壁のうち、前記空調用レジスタ側に位置する第1隔壁には、前記空調用レジスタ側の表面に撥水加工が施されている、請求項2または請求項3に記載の内装パネル。
【請求項5】
前記2つの隔壁のうち、前記空調用レジスタ側に位置する第1隔壁は、突出端側が下向した傾斜壁である、請求項2~請求項4の何れか一項に記載の内装パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両室内に配設される車両用内装品、および当該車両用内装品の一部である内装パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大多数の車両には車両用空調装置が搭載されている。当該車両用空調装置には、空調用ダクト装置が接続され、当該空調用ダクト装置は車両室内に空調空気を吹き出す空調用レジスタを有する。また、近年、車両室内を間接照明するための照明装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
上記した空調用ダクト装置および照明装置の少なくとも一部は、インストルメントパネルやドアパネル等の内装パネルの背面側に隠される。そして、当該空調用ダクト装置および照明装置は、内装パネルに設けられた開口や隙間等を通じて車両室内に空調空気や光を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調用ダクト装置には、車両用空調装置から供給される空調空気が流通する。空調空気が冷風である場合には、空調用ダクト装置の周囲にある空気中の水蒸気が冷却されて、空調用ダクト装置の表面に結露が生じる場合がある。
【0005】
空調用ダクト装置のうち空調用レジスタは、車両室内に空調空気を吹き出す都合上、内装パネルの背面側かつ内装パネルの近傍に配置される。上記した照明装置もまた、車両室内を照明する都合上、空調用レジスタと同様に内装パネルの背面側かつ内装パネルの近傍に配置される。
ここで、照明装置は給電を受けて動作する電気製品であるため、結露により空調用レジスタの表面に付着した水が当該照明装置にまで到達したり、照明装置自体に結露が生じたりすることは好ましくない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、空調用レジスタおよび照明装置を具備する車両用内装品において、照明装置への水の到達を抑制し、かつ、照明装置での結露の発生を抑制し得る技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の車両用内装品は、
車両室内に配設される車両用内装品であって、
車両用空調装置に接続され前記車両室内に空調空気を吹き出す空調用レジスタを有する空調用ダクト装置と、光源の出射光により前記車両室内を照明する発光部を有する照明装置と、前記車両室内に露出するとともに前記空調用ダクト装置および前記照明装置の少なくとも一部を背面側に隠す内装パネルと、を具備し、
前記内装パネルは、前記空調用レジスタと前記発光部との間に遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記背面側に突出し前記空調用レジスタ側から前記発光部側に向けて配列する2つの隔壁と、前記2つの隔壁の間に設けられている断熱層と、を含む、車両用内装品である。
また、上記課題を解決する本発明の内装パネルは、
車両室内に配設され、前記車両室内に露出するとともに、車両用空調装置に接続され前記車両室内に空調空気を吹き出す空調用レジスタを有する空調用ダクト装置と、光源の出射光により前記車両室内を照明する発光部を有する照明装置と、の少なくとも一部を背面側に隠す内装パネルであって、
前記空調用レジスタと前記発光部との間に遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記背面側に突出し前記空調用レジスタ側から前記発光部側に向けて配列する2つの隔壁と、前記2つの隔壁の間に設けられている断熱層と、を含む、内装パネルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用内装品および内装パネルによると、照明装置への水の到達を抑制し、かつ、照明装置での結露の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の車両用内装品を模式的に表す説明図である。
【
図2】実施例1の車両用内装品を表面側-背面側方向に切断した様子を模式的に表す説明図である。
【
図3】実施例2の車両用内装品を模式的に表す説明図である。
【
図4】実施例2の車両用内装品を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の車両用内装品は、空調用ダクト装置、照明装置および内装パネルを具備する。本発明の内装パネルは、本発明の車両用内装品における内装パネルに相当する。
【0011】
本発明の車両用内装品は、本発明の内装パネルを具備する。本発明の内装パネルは、空調用レジスタと発光部との間に遮蔽部を有する。本発明の車両用内装品における空調用ダクト装置および照明装置は、本発明の内装パネルにおける遮蔽部によって隔てられる。
【0012】
本発明の内装パネルの遮蔽部は、空調用レジスタ側から発光部側に向けて配列する2つの隔壁、および、当該2つの隔壁の間に設けられている断熱層を含む。したがって、遮蔽部は、空調用レジスタおよび発光部の間に介在するとともに、両者を熱的に遮断し得る。
これにより、本発明の車両用内装品および内装パネルによると、照明装置への水の到達を抑制し、かつ、照明装置での結露の発生を抑制することが可能である。
【0013】
以下、本発明の車両用内装品および内装パネルをその構成要素毎に説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a~b」は、下限aおよび上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例や参考例等に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0014】
先ず本発明の車両用内装品について説明する。
本発明の車両用内装品は、空調用ダクト装置、照明装置および内装パネル、を具備する。
本発明の車両用内装品は空調用ダクト装置に起因する結露を抑制するものであるため、本発明の車両用内装品における空調用ダクト装置が接続される車両用空調装置は、少なくとも冷房機能を有するものであれば良い。
【0015】
空調用ダクト装置は、車両用空調装置が生じる空調空気を車両室内に導くダクトとして機能し、車両室内への空調空気の吹出口となる空調用レジスタを有する。
当該空調用ダクト装置は、車両用空調装置に直接的に接続されても良いし、間接的に接続されても良い。例えば、本発明の車両用内装品は、空調用ダクト装置として、車両用空調装置に直接的に接続される空調用ダクトと、当該空調用ダクトに直接的に接続される空調用レジスタと、の両方を備えても良い。または、本発明の車両用内装品は、空調用ダクト装置として空調用レジスタのみを備えても良い。空調用レジスタは、空調用ダクト装置のうち車両室内側、換言すると内装パネル側に位置し、空調用ダクトを介して間接的に車両用空調装置に接続されるといい得る。
空調用レジスタは、単なる筒状をなすものであっても良いし、空調空気の吹出方向を調整するためのフィンや空調空気の流路を開閉するためのダンパを有するものであっても良い。
【0016】
照明装置は、光源の出射光により前記車両室内を照明する発光部を有する。当該発光部は、光源自体であっても良いし、光源の出射光を光源から離れた位置に導く導光体であっても良い。光源や導光体は、露出していても良いし、レンズやケース等で覆われていても良い。
具体的な光源としては、LED、白熱電球、ハロゲンランプ、蛍光灯、有機EL素子等の各種の光源を例示できるが、照明装置の光源は特に限定されない。
【0017】
導光体は、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート等の透明樹脂に代表される、光を透過し得る材料からなるものである。導光体の形状は特に限定しないが、光源から離れた位置にまで延びる形状、例えば棒状や板状等の形状を例示できる。導光体は、光を出射する出射面以外の面に、凹凸形状を有する反射面を有しても良い。更に、当該反射面には、光を透過しない反射層を設けても良い。
【0018】
内装パネルは、車両室内に露出するとともに、その背面側に空調用ダクト装置および照明装置の少なくとも一部を隠す。このような内装パネルとしては、既述したように、車両用のインストルメントパネルやドアパネル等を例示できる。
【0019】
内装パネルは、空調用レジスタからの車両室内への空調空気の供給経路と、照明装置から車両室内への光の供給経路とを有する。内装パネルにおける空調空気の供給経路を空調用開口と称し、内装パネルにおける光の供給経路を照明用開口と称する。空調用開口および照明用開口は、一枚のパネルを厚さ方向に貫通する開口であっても良いし、2以上のパネルの隙間であっても良い。
空調用開口の背面側には空調用レジスタが配置され、照明用開口の背面側には発光部が配置される。空調用レジスタは空調用開口を介して車両室内に露出するということができ、発光部は照明用開口を介して車両室内に露出するということができる。
【0020】
内装パネルは、空調用レジスタと発光部との間に遮蔽部を有する。ここで、内装パネルの背面とは、内装パネルの表面すなわち内装パネルのうち車室内に露出する面に対して逆側の面を意味し、換言すると内装パネルのうち車両室外側に向く面である。遮蔽部は、内装パネルのうち上記した空調用開口および照明用開口の間に設けられ、空調用レジスタと発光部との間に介在する。
【0021】
遮蔽部は、背面側に突出し空調用レジスタ側から発光部側に向けて配列する2つの隔壁、および、当該2つの隔壁の間に設けられている断熱層を含む。遮蔽部は、主に2つの隔壁によって、レジスタと発光部との間の空気の対流を阻害または遮断する効果を生じるとともに、主に断熱層によって、レジスタと発光部との間の熱的な連絡を阻害または遮断する効果を生じる。そして、これらの協働により、レジスタを流通する空調空気、特に冷風に因る冷熱によって発光部およびその周辺部が冷却されることを抑制し、ひいては、発光部およびその周辺部での結露の発生や、発光部が当該結露により侵されることを抑制することが可能である。
【0022】
遮蔽部における2つの隔壁のうち、空調用レジスタ側にあるものを第1隔壁と称し、発光部側にあるものを第2隔壁と称する。
第1隔壁および第2隔壁は空調用レジスタと発光部との間に介在すれば良く、その表面側-背面側方向における第1隔壁および第2隔壁の突出長さは特に限定されない。
【0023】
但し、第1隔壁は表面側-背面側方向において空調用レジスタの全体を覆うのが好ましく、第2隔壁は表面側-背面側方向において発光部の全体を覆うのが好ましい。各隔壁の好ましい突出長さすなわち表面側-背面側方向の長さの範囲としては、10mm~250mmの範囲内を例示できる。
【0024】
2つの隔壁は間隔をあけて配置されれば良く、その距離は特に限定しない。2つの隔壁の距離の好ましい範囲としては、5mm~200mmの範囲内を例示できる。
【0025】
第1隔壁および第2隔壁は、表面側-背面側方向以外にも、内装パネルの表面に沿った方向に延び得る。当該方向を面方向と称する。
第1隔壁は、当該面方向において空調用レジスタの一部のみを覆っても良いが、空調用レジスタの全体を覆うのが好ましい。より好ましくは、同様に、第2隔壁は、当該面方向において発光部の一部のみを覆っても良いが、発光部の全体を覆うのが好ましい。各隔壁の面方向の長さの好ましい範囲としては、20mm以上を例示できる。各隔壁の面方向の長さに好ましい上限値はないが、強いて言えば、1000mm以下を例示できる。
【0026】
2つの隔壁のうち第1隔壁は、空調用レジスタ側に配置される。このため第1隔壁は冷風により冷却され易く、第1隔壁には結露が生じ易い。このため、第1隔壁は、結露の進行を抑制し得る構造を有するのが好ましい。
【0027】
具体的には、第1隔壁における空調用レジスタ側の表面であるレジスタ側面は、撥水加工されるのが好ましい。
第1隔壁のレジスタ側面を撥水加工することにより、第1隔壁への水滴の滞留を抑制できる。これにより、第1隔壁に結露した水滴の成長を抑制でき、ひいては第1隔壁に付着する水の量を低減できる。
【0028】
撥水加工の方法は特に限定しないが、例えば、第1隔壁のレジスタ側面に疎水性のコート層を形成する方法や、当該レジスタ側面にシボやシワ、溝等の微細な凹凸を形成する方法を挙げることができる。
【0029】
当該レジスタ側面に加えて、第1隔壁における発光部側の表面である発光部側面にも、同様の撥水処理を施しても良い。さらには、第2隔壁におけるレジスタ側面や発光部側面にも、同様の撥水処理を施しても良い。
【0030】
遮蔽部は、結露した水滴を発光部から離れた位置に案内できる形状であるのが好ましい。具体的には、2つの隔壁のうち結露の生じ易い第1隔壁は、その突出端側すなわち背面側が下向した傾斜壁であるのが好ましい。こうすることで、第1隔壁に結露した水滴が発光部の近傍から背面側かつ下側に向けて案内されるため、発光部への水の侵入を抑制することが可能である。
第2隔壁もまた、同様にその突出端側が加工した傾斜壁であるのが好ましい。
第1隔壁及び第2隔壁の傾斜角度は特に限定しないが、第1隔壁および第2隔壁の好ましい傾斜角度として、2°~60°の範囲内を例示できる。
【0031】
第1隔壁と第2隔壁との間には断熱層が設けられる。当該断熱層の材料は特に限定せず、気体、固体、液体の何れであっても良い。例えば、断熱層を構成し得る気体としては空気を例示でき、断熱層を構成し得る固体としては各種の樹脂またはゴムを例示でき、断熱層を構成し得る液体としてはオイルを例示できる。
断熱層に因る断熱効果を考慮すると、断熱層の材料としては隔壁よりも熱伝導率の低い材料を選択するのが望ましい。製造の容易性やコスト面等を考慮すると、断熱層は空気層であるのが特に好ましい。
【0032】
断熱層が空気層である場合、断熱層としての空気層は第1隔壁と第2隔壁との間に封止されていても良いし、第1隔壁と第2隔壁との間と外界とを流通可能であっても良い。つまり、第1隔壁と第2隔壁との間に密閉空間を設けて当該密閉空間に空気を封止し、密閉空間に封止された空気の層を断熱層とみなしても良い。または、単に第1隔壁と第2隔壁とを間隔をあけて配置し、第1隔壁と第2隔壁との隙間にある空気の層を断熱層とみなしても良い。
その他、第1隔壁と第2隔壁との間に発泡体等を配置し、これを断熱層としても良い。この場合、発泡体と、当該発泡体の細孔内にある気体、液体または固体とが断熱層を構成する。
【0033】
以下、具体例を挙げて本発明のホルダ装置を説明する。
【0034】
(実施例1)
実施例1の車両用内装品を模式的に表す説明図を
図1に示す。実施例1の車両用内装品を表面側-背面側方向に切断した様子を模式的に表す説明図を
図2に示す。
以下、実施例において上、下、左、右、前、後とは各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。このうち上下方向は鉛直方向と一致し、前後方向は表面側-背面側方向および車両進行方向と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。後述する内装パネルは、表面を後に向け背面を前に向ける。
【0035】
実施例1の車両用内装品1は、空調用ダクト装置2、照明装置3および内装パネル4を具備する。
図1に示すように、実施例1の車両用内装品1は、内装パネル4として、インストルメントパネル40および加飾パネル5を有する。インストルメントパネル40および加飾パネル5は上下に配列する。また、加飾パネル5は上下に2分割されている。加飾パネル5における上側部分をアッパパネル50と称し、下側部分をロアパネル60と称する。おり、アッパパネル50とロアパネル60との間には隙間45が設けられている。当該隙間45は概略車幅方向に沿って延びる。
【0036】
アッパパネル50における車幅方向の略中央位置と右側位置とには、各々、当該アッパパネル50を厚さ方向に貫通する開口51が設けられている。
【0037】
空調用ダクト装置2は、空調用ダクト20および2つの空調用レジスタ25を有する。空調用ダクト20は内装パネル4の背面側に配置され、空調用ダクト20の一端部は車両前側に配置されている車両用空調装置ACに接続される。空調用ダクト20の他端部は分岐している。当該分岐した各端部は、各々別々の空調用レジスタ25に接続される。各空調用レジスタ25は、アッパパネル50の開口51に取り付けられて、当該開口51を介して車両室内90に露出する。
空調用ダクト20には車両用空調装置ACからの空調空気が流通し、当該空調空気は各空調用レジスタ25を通じて車両室内90に吹き出す。
【0038】
照明装置3は、LED光源35および導光体36からなり内装パネル4の背面側に配置される発光部30を有する。発光部30のうちLED光源35は、右端側に配置されている。導光体36は、ポリカーボネート製であり、内装パネル4の背面側において、アッパパネル50とロアパネル60との隙間45に対面する位置に配置されている。より詳しくは、導光体36は、隙間45の前側において、当該隙間45に沿って概略車幅方向に延びる。導光体36の右端部はLED光源35の左隣に配置され、LED光源35が出射する光は導光体36に入射し、左側に向けて導かれる。
【0039】
図2に示すように、内装パネル4は、空調用レジスタ25と発光部30との間に遮蔽部70を有する。遮蔽部70は、2つの隔壁すなわち第1隔壁71および第2隔壁72と、第1隔壁71および第2隔壁72の間に設けられている断熱層75とを含む。遮蔽部70は、全体として、内装パネル4の背面側に突出するといい得る。
【0040】
第1隔壁71および第2隔壁72は、各々、前側すなわち背面側に突出し、概略車幅方向に延びる。また、第1隔壁71と第2隔壁72とは空調用レジスタ25側から発光部30側に向けて配列する。第1隔壁71は空調用レジスタ25側に位置し、第2隔壁72は発光部30側に位置する。
図2に示すように、空調用レジスタ25は発光部30の上方にあり、遮蔽部70は上下方向において空調用レジスタ25と発光部30との間にある。
【0041】
表面側-背面側方向において、第1隔壁71および第2隔壁72は、空調用レジスタ25および発光部30よりもさらに前側すなわち背面側にまで延びている。
また、車幅方向において、第1隔壁71および第2隔壁72は、空調用レジスタ25および発光部30よりもさらに車幅方向の先側にまで延びている。
【0042】
第1隔壁71と第2隔壁72との隙間には空気の層が形成されている。実施例1の車両用内装品1においては、当該空気の層が断熱層75に相当する。なお、実施例1の車両用内装品1においては、第1隔壁71と第2隔壁72との隙間は外界に連絡し、断熱層75の空気は断熱層の内外を対流可能である。
【0043】
第1隔壁71には、空調用レジスタ25側の表面と発光部30側の表面とに、各々、撥水加工が施されている。また、第2隔壁72には、空調用レジスタ25側の表面に撥水加工が施されている。実施例1の車両用内装品1において、撥水加工はシボ加工であり、第1隔壁71における空調用レジスタ25側の表面、第1隔壁71における発光部30側の表面、および第2隔壁72における空調用レジスタ25側の表面には、各々、微細な凹凸が形成されているともいえる。
【0044】
さらに、第1隔壁71および第2隔壁72は、突出端側すなわち前端側が下向した傾斜壁であり、その傾斜角度は35°程度である。
【0045】
実施例1の車両用内装品1によると、空調用レジスタ25と発光部30との間に、断熱層75を含む遮蔽部70が介在することで、空調用レジスタ25から冷風が吹き出す場合にも、発光部30は冷やされ難く、発光部30には結露が生じ難い。また、第1隔壁71および第2隔壁72の表面には撥水加工が施されているために、第1隔壁71および第2隔壁72に結露した水滴は成長し難い。さらに、第1隔壁71および第2隔壁72は突出端部が下向する傾斜壁であるため、第1隔壁71および第2隔壁72に滞留した水滴は、自重によって発光部30から離れた位置に案内される。
これらの協働により、実施例1の車両用内装品1における発光部30には結露が生じ難く、また、当該発光部30には水が到達し難い。
【0046】
(実施例2)
実施例2の車両用内装品は、導光体がケースで覆われている点、当該ケースが内装パネル4に設けられている保持部に保持されている点において、実施例1の車両用内装品と相違し、その余においては実施例1の車両用内装品と概略同じである。以下、実施例1の車両用内装品との相違点を中心として、実施例2の車両用内装品を説明する。実施例2の車両用内装品を模式的に表す説明図を
図3および
図4に示す。
【0047】
図3に示すように、実施例2の車両用内装品1において、導光体36はケース80で覆われている。ケース80は、透明樹脂製のレンズ81と、有色樹脂製のリテーナ85とが組み合わされてなる。ケース80は、リテーナ85を下方かつ前方すなわち背面側に向け、レンズ81を上方かつ後方すなわち表面側に向けつつ、内装パネル4の背面側において、アッパパネル50とロアパネル60との隙間45に対面する位置に配置され、ロアパネル60に設けられている保持部61に保持されている。
【0048】
保持部61はロアパネル60の背面側に設けられている。保持部61は、表面側-背面側方向に延びリテーナ85における底部85bを支持する底支持部62と、上下方向に延びリテーナ85の後面およびレンズ81の後面を支持する側支持部63とを有する。レンズ81の後面を透過面81tと称し、リテーナ85の後面を案内面85gと称する。リテーナ85と底支持部62とは係合している。
レンズ81の透過面81tは、レンズ81のうち車両室内90側の面であり、レンズ81のうちアッパパネル50とロアパネル60との隙間45を経て、導光体36が出射する光を車両室内90に供給するための面ともいい得る。
【0049】
リテーナ85の案内面85gは、リテーナ85のうち車両室内90側の面である。案内面85gはレンズ81の透過面81tと交差する方向に延びる。案内面85gは、上側かつ前側から下側かつ後側に向けて傾斜する傾斜面である。なお、案内面85gは、上端部においてはレンズ81の透過面81tの下端部に連続し、そこからさらに下側かつ後側に向けて延びる。
【0050】
図2に示すように、発光部30すなわち導光体36およびケース80の上側には、遮蔽部70が配置されている。図示しないが、遮蔽部70のさらに上側には空調用ダクト装置の空調用レジスタが配置されている。
【0051】
実施例2の車両用内装品1においては、導光体36すなわち発光部30がケース80に覆われている。このため、例えば車室内が非常に高温かつ多湿である場合に、図略の空調用レジスタが冷風を吹き出し、遮蔽部70における第2隔壁72の発光部30側の面に大量の水滴が結露した場合にも、当該水滴はケース80に阻まれて発光部30にまで到達し難い。また、ケース80の内側と外側とは熱的に遮断されるため、ケース80内の発光部30には結露が生じ難い。これにより、実施例2の車両用内装品1によると、発光部30への結露の発生および発光部30への水の到達をより信頼性高く抑制できる。
【0052】
図4に示すように、鉛直方向に対してリテーナ85の底部85bにおける上面85uのなす角を角Aとし、鉛直方向に対して透過面81tのなす角を角Bとし、透過面81tと案内面85gとのなす角を角Cとする。
実施例2の車両用内装品1において、角A、角Bおよび角Cの関係は、角A>(角B+角C)である。
【0053】
実施例2の車両用内装品1では、上記の関係が成り立つために、ケース80の外面にまで水滴が到達し、当該水滴が内装パネル4とケース80との隙間gに侵入した場合にも、当該水滴はケース80の内部には侵入し難い。つまり、内装パネル4とケース80との隙間g、より具体的には内装パネル4の側支持部63とケース80の透過面81tとの隙間gに侵入した水は、透過面81tと案内面85gとの境界bに到達すると、案内面85gによって当該境界bから離れた位置に案内される。これは、角A>(角B+角C)であり上面85uよりも案内面85gが急勾配になっているためである。
【0054】
なお、実施例2の車両用内装品1において、角A、角Bおよび角Cの関係はさらに、角A+角B+角C>90°を満たす。これにより、実施例2の車両用内装品1においては、ケース80の内部への水の侵入がより一層困難になる。
【0055】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0056】
1:車両用内装品
2:空調用ダクト装置
25:空調用レジスタ
3:照明装置
30:発光部
35:LED光源(光源)
4:内装パネル
70:遮蔽部
71:第1隔壁(隔壁)
72:第2隔壁(隔壁)
75:断熱層
90:車両室内
AC:車両用空調装置