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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184238
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F02M25/08 Z
F02M25/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091960
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】干鯛 敦也
(72)【発明者】
【氏名】木下 久寿
(72)【発明者】
【氏名】岩本 一輝
(72)【発明者】
【氏名】平野 敦士
(72)【発明者】
【氏名】笠原 龍哉
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA22
3G144BA40
3G144DA01
3G144FA02
3G144GA02
3G144GA04
3G144GA11
3G144GA22
3G144GA23
3G144GA24
3G144HA02
3G144HA21
(57)【要約】
【課題】鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品が搭載された鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両である車両1は、エバポレーティブエミッションシステム30からの気体Gの漏れを検出するキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を有する。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、直立状態の車両1において、バーハンドル6の左右方向における中心を含み且つ左右方向に垂直な仮想鉛直面である仮想左右中心面Pw、前輪3の前端と後輪4の後端との間の前後方向における中心を含み且つ前後方向に垂直な仮想鉛直面である仮想前後中心面Plまたはバーハンドル6の上端と前輪3の下端との間の上下方向における中心を含み且つ上下方向に垂直な仮想水平面である仮想上下中心面Phのうち少なくとも1つと交差するように配置される。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と、
後輪と、
前記前輪を操舵するバーハンドルと、
前記前輪または前記後輪を駆動するエンジンと、
前記エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンク内で発生した蒸発燃料をキャニスタによって回収し、外気を導入する外気導入通路から前記キャニスタに外気を導入し、前記回収した蒸発燃料と前記導入した外気とを前記キャニスタから前記エンジンの吸気通路に排出するエバポレーティブエミッションシステムと、を有する鞍乗型車両であって、
前記エバポレーティブエミッションシステムは、
前記外気導入通路を閉塞する閉塞状態と前記外気導入通路を開放する開放状態とに切り替える電動のベントバルブ、または、前記外気導入通路を含み且つ前記エバポレーティブエミッションシステムにおいて前記蒸発燃料と前記外気との少なくとも一方を含む気体が流れる気体通路内の気体を吸引する電動の吸引ポンプのうち少なくとも一つと、前記キャニスタとが一体化された状態で、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出するキャニスタ一体式漏れ検出デバイスを有し、
前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、
直立状態の前記鞍乗型車両において、前記バーハンドルの左右方向における中心を含み且つ左右方向に垂直な仮想鉛直面である仮想左右中心面、前記前輪の前端と前記後輪の後端との間の前後方向における中心を含み且つ前後方向に垂直な仮想鉛直面である仮想前後中心面または前記バーハンドルの上端と前記前輪の下端との間の上下方向における中心を含み且つ上下方向に垂直な仮想水平面である仮想上下中心面のうち少なくとも1つと交差するように配置される、鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両において、
前記キャニスタは、筐体を有し、
前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、
支持部材によって前記鞍乗型車両に連結され、
前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスにおいて、前記ベントバルブ及び前記吸引ポンプのうち前記キャニスタと一体化された少なくとも一つの部品は、
前記キャニスタの筐体または前記支持部材に連結部材を介して連結され、または、前記キャニスタの筐体または前記支持部材に接触した状態で連結される、
鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1から2のいずれか一項に記載の鞍乗型車両において、
前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、
前記気体通路内の圧力を測定する圧力センサを有し、
前記キャニスタと前記ベントバルブとが一体化されている場合、
前記ベントバルブによって前記外気導入通路を閉塞した状態で、前記圧力センサによって前記気体通路の圧力を測定し、
または、
前記キャニスタと前記吸引ポンプとが一体化され、前記吸引ポンプが前記気体通路の一部である前記外気導入通路に設けられている場合、
前記吸引ポンプによって前記気体通路内の気体を吸引し、前記圧力センサによって前記気体通路内の圧力を測定し、
または、
前記キャニスタと前記ベントバルブと前記吸引ポンプとが一体化されている場合、
前記ベントバルブによって前記外気導入通路を閉塞した状態で、前記吸引ポンプによって前記気体通路内の気体を吸引し、前記圧力センサによって前記気体通路内の圧力を測定し、
前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出する、鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の鞍乗型車両において、
前記キャニスタは、
直列または並列に接続された複数の分割キャニスタを含み、
前記ベントバルブまたは前記吸引ポンプのうち少なくとも一つの部品は、前記複数の分割キャニスタのうち少なくとも一つの分割キャニスタと一体化される、
鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車などのエンジンを動力源とする鞍乗型車両は、燃料タンク内での燃料の気化により得られる蒸発燃料が大気中に排出されることを抑制するために、前記蒸発燃料を回収するエバポレーティブエミッションシステムを有している。前記エバポレーティブエミッションシステムは、パージ管によって前記燃料タンクと前記エンジンの吸気通路とに接続されたキャニスタを有している。前記エバポレーティブエミッションシステムは、前記燃料タンクから前記パージ管を介して前記キャニスタ内に流入した前記蒸発燃料を前記キャニスタ内の活性炭に吸着させる。また、前記エバポレーティブエミッションシステムは、前記活性炭が吸着した前記蒸発燃料を外気導入通路から導入した外気と共に前記エンジンの吸気通路に排出する。前記エバポレーティブエミッションシステムから前記エンジンの吸気通路内に排出された蒸発燃料は、前記エンジンによって燃焼される。
【0003】
前記キャニスタは、燃料タンクの容積、燃料の液面の面積等から算出される蒸発燃料の発生量に基づいて、前記蒸発燃料を活性炭によって回収するために必要な容積が定まる。よって、前記キャニスタの容積は、前記燃料タンクの容積、燃料の液面の面積等が増大すると大きくなる。一方、自動二輪車などの鞍乗型車両は、限られたスペースにエンジン及び前記エンジン用の補機等の多数の構成部品を搭載している。前記キャニスタは、蒸発燃料を回収可能な容積を確保しつつ、他の構成部品と共に前記鞍乗型車両の限られたスペース内に搭載されている。例えば特許文献1には、車体フレームとエンジンとの間であって、燃料ポンプの上方にキャニスタが配置された鞍乗型車両が開示されている。前記キャニスタは、前記燃料ポンプと共通の支持部材を介して前記車体フレームに固定される。特許文献1に記載の鞍乗型車両では、前記エンジンの近傍に前記キャニスタと前記燃料ポンプとが上下に配置されることにより、燃料系の部品をコンパクトに配置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/184226号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記エバポレーティブエミッションシステムは、蒸発燃料が外部に漏れないように気密性を確保する必要がある。そのため、鞍乗型車両は、前記エバポレーティブエミッションシステムにおいて蒸発燃料が外部に漏れない程度の気密性を有しているか否かを確認する漏れ検査を定期的に行うことが求められている。前記エバポレーティブエミッションシステムの気密性は、例えば外気導入通路を閉じた状態において、前記エバポレーティブエミッションシステムの気体通路内の気体を吸引した際の前記気体通路内の圧力値によって判断する。
【0006】
前記鞍乗型車両は、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うために、前記外気導入通路を遮蔽するベントバルブ、前記気体通路内の気体を吸引するための吸引ポンプ等、ある程度の体積及び重量を有する部品を更に搭載しなければならない。しかし、前記鞍乗型車両では、様々な構成部品が限られたスペースに適切な重量バランスで質量が集中するように配置されている。従って、前記鞍乗型車両に重量物である前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品を追加した場合、前記鞍乗型車両の重量バランスが偏り、前記鞍乗型車両の質量の分布が分散する可能性がある。
【0007】
本発明は、鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品が搭載された鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品を搭載した鞍乗型車両について検討した。鋭意検討の結果、本発明者らは、以下のような構成に想到した。
【0009】
本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両は、前輪と、後輪と、前記前輪を操舵するバーハンドルと、前記前輪または前記後輪を駆動するエンジンと、前記エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内で発生した蒸発燃料を前記キャニスタによって回収し、外気を導入する外気導入通路から前記キャニスタに外気を導入し、前記回収した蒸発燃料と前記導入した外気とを前記キャニスタから前記エンジンの吸気通路に排出するエバポレーティブエミッションシステムを有している。前記エバポレーティブエミッションシステムは、前記外気導入通路を閉塞する閉塞状態と前記外気導入通路を開放する開放状態とに切り替える電動のベントバルブまたは前記エバポレーティブエミッションシステムにおいて気体が流通する通路である気体通路内の気体を吸引する電動の吸引ポンプのうち少なくとも一つと、前記キャニスタとが一体化された状態で、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出するキャニスタ一体式漏れ検出デバイスを有している。
【0010】
前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、直立状態の前記鞍乗型車両において、前記バーハンドルの左右方向における中心を含み且つ左右方向に垂直な仮想鉛直面である仮想左右中心面、前記前輪の前端と前記後輪の後端との間の前後方向における中心を含み且つ前後方向に垂直な仮想鉛直面である仮想前後中心面または前記バーハンドルの上端と前記前輪の下端との間の上下方向における中心を含み且つ上下方向に垂直な仮想水平面である仮想上下中心面のうち少なくとも1つと交差するように配置される。
【0011】
上述の構成では、前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品のうち重量物である前記ベントバルブ、または前記ベントバルブ及び前記吸引ポンプのうち少なくとも一つが前記キャニスタに一体化されている。よって、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品の質量が前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスに集中している。また、前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスの少なくとも一部は、前記鞍乗型車両の左右方向における中心を含む仮想左右中心面、前記鞍乗型車両の前後方向における中心を含む仮想前後中心面または前記鞍乗型車両の上下方向における中心を含む仮想上下中心面に交差している。これにより、前記鞍乗型車両は、前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスを含めた車体の重量バランスを維持している。したがって、前記鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品を前記鞍乗型車両に搭載することができる。
【0012】
他の観点によれば、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記キャニスタは、筐体を有する。前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、支持部材によって前記鞍乗型車両に連結される。前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスにおいて、前記ベントバルブまたは前記吸引ポンプのうち前記キャニスタと一体化された少なくとも一つの部品は、前記キャニスタの筐体または前記支持部材に連結部材を介して連結され、または、前記キャニスタの筐体または前記支持部材に接触した状態で連結される。
【0013】
上述の構成では、前記ベントバルブまたは前記吸引ポンプのうち前記キャニスタに一体化された部品は、前記キャニスタまたは前記キャニスタを支持している支持部材に連結部材を介して連結される。または、前記ベントバルブまたは前記吸引ポンプのうち前記キャニスタに一体化された部品は、前記連結部材を介さずに前記キャニスタの筐体に接触した状態で直接連結される。これにより、前記ベントバルブまたは前記吸引ポンプのうち前記キャニスタに一体化された部品と前記キャニスタとが相対距離を維持した状態で前記鞍乗型車両に搭載される。したがって、前記鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品を前記鞍乗型車両に搭載することができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、前記気体通路内の圧力を測定する圧力センサを有している。前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、前記キャニスタと前記ベントバルブとが一体化されている場合、前記ベントバルブによって前記外気導入通路を閉塞した状態において、前記圧力センサによって前記気体通路の圧力を測定し、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出する。または、前記キャニスタと前記吸引ポンプとが一体化され、前記吸引ポンプが前記気体通路の一部である前記外気導入通路に設けられている場合、前記吸引ポンプによって前記気体通路内の気体を吸引し、前記圧力センサによって前記気体通路内の圧力を測定し、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出する。または、前記キャニスタと前記ベントバルブと前記吸引ポンプとが一体化され、前記ベントバルブが前記外気導入通路に設けられている場合、前記ベントバルブによって前記外気導入通路を閉塞した状態において、前記吸引ポンプによって前記気体通路内の気体を吸引し、前記圧力センサによって前記気体通路の圧力を測定し、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出する。
【0015】
上述の構成では、前記キャニスタ一体式漏れ検出デバイスは、前記ベントバルブ及び前記圧力センサ、または前記吸引ポンプ及び前記圧力センサ、または前記ベントバルブ、前記圧力センサ及び前記吸引ポンプを用いて前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出する。したがって、前記鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品を前記鞍乗型車両に搭載した状態において前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れを検出することができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の鞍乗型車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記キャニスタは、直列または並列に接続された複数の分割キャニスタを含み、前記ベントバルブまたは前記吸引ポンプのうち少なくとも一つは、前記複数の分割キャニスタのうち少なくとも一つと一体化される。
【0017】
上述の構成では、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品が、前記鞍乗型車両の重量バランス及び質量の分布を考慮して複数の分割キャニスタのうち少なくとも一つに一体化している。これにより、前記鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、前記エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品を搭載することができる。
【0018】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で利用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0019】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0020】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの一つまたは複数を含むことができる。
【0021】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。
【0022】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0023】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0024】
本発明の説明においては、いくつもの技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の一つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0025】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0026】
本明細書では、本発明に係る鞍乗型車両の実施形態について説明する。
【0027】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0028】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0029】
[鞍乗型車両]
本明細書において、鞍乗型車両とは、乗員がシートを跨いだ状態で該シートに着座する車両である。よって、前記鞍乗型車両には、乗員がシートを跨いだ状態で該シートに着座する車両であれば、二輪車に限らず三輪車及び四輪車などの車両も含む。前記鞍乗型車両は、一人乗りの車両であってもよいし、複数人が乗車可能な車両であってもよい。
【0030】
[キャニスタと一体化]
本明細書において、キャニスタと一体化とは、キャニスタと、前記キャニスタとの相対距離が近い位置で前記キャニスタに固定されている状態を意味する。前記近い位置とは、例えば、前記キャニスタの最大長と前記キャニスタと一体化される部品の最大長よりも短い距離の位置であればよい。なお、前記近い位置は、キャニスタの最大長よりも短い距離の位置でもよい。また、前記キャニスタと、前記キャニスタと一体化された部品との一体化の手順、方法は限定しない。
【0031】
[蒸発燃料]
本明細書において、蒸発燃料とは、鞍乗型車両の燃料であるガソリン、軽油等の炭化水素燃料が気温、気圧の影響によって気化した燃料を意味する。
【0032】
[仮想左右中心面]
本明細書において、仮想左右中心面とは、鞍乗型車両の直立状態において、バーハンドルの左右方向における中心を含み且つ左右方向に垂直な仮想鉛直面を意味する。つまり、仮想左右中心面とは、前記鞍乗型車両の直立状態において、前記鞍乗型車両を鉛直方向に見て前記鞍乗型車両を左右方向における右半分と左半分とに分ける仮想鉛直面を意味する。
【0033】
[仮想前後中心面]
本明細書において、仮想前後中心面とは、鞍乗型車両の直立状態において、前輪の前端と後輪の後端との間の前後方向における中心を含み且つ前後方向に垂直な仮想鉛直面を意味する。つまり、仮想前後中心面とは、前記鞍乗型車両の直立状態において、前記鞍乗型車両を鉛直方向に見て前記鞍乗型車両を前後方向における前半分と後半分とに分ける仮想鉛直面を意味する。
【0034】
[仮想上下中心面]
本明細書において、仮想上下中心面とは、鞍乗型車両の直立状態において、バーハンドルの上端と前輪の下端との間の上下方向における中心を含み且つ上下方向に垂直な仮想水平面を意味する。つまり、仮想前後中心面とは、前記鞍乗型車両の直立状態において、前記鞍乗型車両を水平方向に見てミラーを除く前記鞍乗型車両を上下方向における上半分と下半分とに分ける仮想水平面を意味する。
【0035】
[気体通路]
本明細において、気体通路とは、前記エバポレーティブエミッションシステムにおいて、蒸発燃料または外気のうち少なくとも一方が通過する通路を意味する。前記気体通路は、前記燃料タンクと前記キャニスタとを連結する上流側のパージ管内の蒸発燃料が通過する空間、前記キャニスタと前記エンジンの吸気管とを連結する下流側のパージ管内の蒸発燃料及び外気が通過する空間、外気を導入する外気導入通路であるパージ管、バルブ内の気体が通過する空間、及び、前記キャニスタにおいて、蒸発燃料及び外気が通過する空間を含む。気体通路内には、蒸発燃料を捕捉するための活性炭が位置している。
【0036】
[相対距離]
本明細書において、相対距離とは、一体化された部品の重心同士の距離を意味する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一実施形態によれば、鞍乗型車両の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、エバポレーティブエミッションシステムからの気体の漏れ検査を行うための部品が搭載された鞍乗型車両を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の全体構成の概略を示す側面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の全体構成の概略を示す平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両に搭載された実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステムについての概略構成図である。
図4図4は、実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステムにおいてベントバルブ及び吸引ポンプが筐体に連結されたキャニスタの模式図である。
図5図5は、実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステムにおいてベントバルブ及び吸引ポンプの一部が筐体内に位置するキャニスタの模式図である。
図6図6は、実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステムのキャニスタ一体式漏れ検出デバイスが鞍乗型車両の仮想左右中心面と交差する位置に配置された状態を示す鞍乗型車両の平面図である。
図7図7は、実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステムのキャニスタ一体式漏れ検出デバイスが鞍乗型車両の仮想前後中心面と交差する位置に配置された状態を示す鞍乗型車両の側面図である。
図8図8は、実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステムのキャニスタ一体式漏れ検出デバイスが鞍乗型車両の仮想上下中心面と交差する位置に配置された状態を示す鞍乗型車両の側面図である。
図9図9は、エバポレーティブエミッションシステムにおいてベントバルブ及び吸引ポンプが連結部材を介して筐体に連結されたキャニスタの模式図である。
図10図10は、エバポレーティブエミッションシステムにおいてベントバルブ及び吸引ポンプが連結部材を介して支持部材に連結されたキャニスタの模式図である。
図11図11は、エバポレーティブエミッションシステムにおいてベントバルブ及び吸引ポンプが支持部材に連結されたキャニスタの模式図である。
図12図12は、エバポレーティブエミッションシステムにおいてベントバルブ、吸引ポンプ及び圧力センサが筐体に連結されたキャニスタの模式図である。
図13図13は、エバポレーティブエミッションシステムにおいてベントバルブ、吸引ポンプ及び圧力センサが連結部材を介して筐体に連結された分割キャニスタの模式図である。
図14図14は、本発明の実施形態2に係るエバポレーティブエミッションシステムの概略構成図である。
図15図15は、本発明の実施形態3に係るエバポレーティブエミッションシステムの概略構成図である。
図16図16は、本発明に係るエバポレーティブエミッションシステムにおいてキャニスタ一体式漏れ検出デバイスが鞍乗型車両の仮想左右中心面と交差する位置に配置された状態を示す鞍乗型車両の平面図、及び、仮想前後中心面または仮想上下中心面と交差する位置に配置された状態をそれぞれ示す鞍乗型車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表していない。
【0040】
以下、図中の矢印Fは、車両の前方向を示す。図中の矢印Uは、車両の上方向を示す。図中の矢印Lは、車両の左方向を示す。図中の矢印Rは、車両の右方向を示す。また、以下の説明において前後左右の方向は、それぞれ、車両を運転する乗員から見た場合の前後左右の方向を意味する。
【0041】
[実施形態1]
<鞍乗型車両の全体構成>
図1及び図2を用いて、本発明の鞍乗型車両である車両1について説明する。図1は、実施形態に係る車両1の全体構成の概略を示す側面図である。図2は、実施形態に係る車両1の全体構成の概略を示す平面図である。車両1は、例えば、自動二輪車であり、車体2と、前輪3と、後輪4とを備える。車両1は、傾斜姿勢で旋回する。すなわち、車両1は、左方向に旋回する際に左方向に傾斜し、右方向に旋回する際に右方向に傾斜する。
【0042】
車体2は、車体カバー5、バーハンドル6、シート7、燃料タンク8及びパワーユニット9等の各構成部品を支持する。本実施形態では、車体2は、フレーム10を含み、車両1の各構成部品を支持する。
【0043】
フレーム10は、ヘッドパイプ11と、メインフレーム12と、シートレール13とを有する。
【0044】
ヘッドパイプ11は、車両1の前側に位置し、前輪3を操舵するバーハンドル6に接続された図示しないステアリングシャフトを回転可能に支持する。
【0045】
メインフレーム12は、前部がヘッドパイプ11に接続されているとともに、車両後方に延びる形状を有する。メインフレーム12の後部は、車両後方且つ下方に向かって延びている。メインフレーム12には、前輪3または後輪4を駆動するエンジン9aを含むパワーユニット9等が支持されている。
【0046】
メインフレーム12の上部には、燃料タンク8が固定されている。車両1の左右方向において、メインフレーム12の表面上の少なくとも一部には、車体カバー5の一部が固定されている。すなわち、メインフレーム12は、燃料タンク8の下方に位置する部分を、車体カバー5の一部によって覆われている。なお、本実施形態では、メインフレーム12の下端部且つ後端部は、車体カバー5等に覆われることなく露出している。すなわち、メインフレーム12は、少なくとも一部が車両1の左右方向の外表面を構成する。
【0047】
メインフレーム12の下部には、パワーユニット9が固定されている。エンジン9aには、吸引した外気が通過する吸気通路である吸気管9b(図3参照)が連結されている。
【0048】
図1に示すように、シートレール13は、メインフレーム12の後端部に接続されている。すなわち、シートレール13は、メインフレーム12の後端部から車両1の後方に向かって延びている。シートレール13の上方には、車両1の左右方向の中央に位置し、乗員が着座するシート7が配置されている。シートレール13の表面上の少なくとも一部には、車体カバー5の一部が固定されている。すなわち、シートレール13は、少なくとも一部が車体カバー5によって覆われている。
【0049】
<エバポレーティブエミッションシステム30の全体構成>
次に、図3を用いて本発明の車両1に搭載されたエバポレーティブエミッションシステムの実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステム30について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る車両1に搭載された実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステム30についての概略構成図である。
【0050】
図3に示すように、エバポレーティブエミッションシステム30は、燃料タンク8内での燃料Fの気化により得られる蒸発燃料Gfが大気中に排出されることを抑制するシステムである。エバポレーティブエミッションシステム30は、遮断バルブ31、第1パージ管32、キャニスタ33、ベント管34、第2パージ管35、パージ制御バルブ36、制御装置37を有している。また、エバポレーティブエミッションシステム30は、キャニスタ33を含むキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を有する。
【0051】
遮断バルブ31は、エバポレーティブエミッションシステム30において、蒸発燃料Gfと外気Gaとの少なくとも一方を含む気体Gが流れる気体通路を閉塞する閉塞状態と前記気体通路を開放する開放状態とに切り替える切替バルブである。遮断バルブ31は、例えば、電磁ソレノイドバルブである。遮断バルブ31は、エンジン9aに供給する燃料Fを貯留する燃料タンク8に連結されている。本実施形態において、遮断バルブ31は、燃料タンク8内に位置している。遮断バルブ31には、燃料タンク8の外部から第1パージ管32の一端部が接続されている。
【0052】
遮断バルブ31は、第1パージ管32の一端部を閉塞する閉塞状態と、第1パージ管32の一端部を開放する開放状態とに切り替える。遮断バルブ31が閉塞状態である場合、燃料タンク8内の蒸発燃料Gfは、第1パージ管32内に流れ込まない。遮断バルブ31が開放状態である場合、燃料タンク8内の蒸発燃料Gfは、遮断バルブ31内を通過して第1パージ管32内に流れ込む。このように、蒸発燃料Gfが流れる遮断バルブ31は、前記気体通路の一部を構成している。なお、遮断バルブ31は、燃料タンク8の外に位置していてもよい。また、遮断バルブ31は燃料タンク8以外の部品に支持されていてもよい。
【0053】
第1パージ管32は、燃料タンク8内の蒸発燃料Gfをキャニスタ33に流す配管である。第1パージ管32の他端部は、キャニスタ33に接続されている。つまり、第1パージ管32は、遮断バルブ31とキャニスタ33とを接続している。第1パージ管32は、遮断バルブ31によって、燃料タンク8内の蒸発燃料Gfが流れる開放状態と燃料タンク8内の蒸発燃料Gfが流れない遮蔽状態とに切り替わる。蒸発燃料Gfが流れる第1パージ管32は、前記気体通路の一部を構成している。
【0054】
キャニスタ33は、蒸発燃料Gfを回収し、且つ回収した蒸発燃料Gfを外気Gaとともにエンジン9aの吸気管9bに排出する燃料吸着装置である。キャニスタ33は、筐体33aと、蒸発燃料Gfを吸着する吸着剤である図示しない活性炭とを有する。筐体33aの内部空間には、活性炭が位置している。
【0055】
キャニスタ33には、第1パージ管32の他端部が接続されている。これにより、キャニスタ33には、第1パージ管32から燃料タンク8内の蒸発燃料Gfが流れ込む。また、キャニスタ33には、ベント管34と第2パージ管35とが接続されている。キャニスタ33には、ベント管34から外気Gaが流れ込む。このように、蒸発燃料Gf及び外気Gaが流れるキャニスタ33の内部空間は、前記気体通路の一部を構成している。
【0056】
ベント管34は、キャニスタ33内の気体Gを大気に排出し、且つ外気Gaをキャニスタ33内に導入する配管である。ベント管34の一端部は、キャニスタ33に接続されている。ベント管34の他端部は、大気に開放されている。これにより、ベント管34は、外気Gaを他端部からキャニスタ33内に導入可能である。また、ベント管34は、キャニスタ33内の活性炭によって蒸発燃料Gfが吸着された後の気体Gを大気に排出可能である。蒸発燃料Gfが吸着された後の気体Gが流れるベント管34は、前記気体通路の一部を構成している。
【0057】
第2パージ管35は、キャニスタ33内の蒸発燃料Gf及び外気Gaを含む気体Gをエンジン9aの吸気管9bに流す配管である。第2パージ管35の一端部は、キャニスタ33に接続されている。第2パージ管35の他端部は、エンジン9aの吸気管9bに接続されている。これにより、第2パージ管35は、キャニスタ33内の気体Gを吸気管9bに排出可能である。気体Gが流れる第2パージ管35は、前記気体通路の一部を構成している。第2パージ管35には、パージ制御バルブ36が設けられている。
【0058】
パージ制御バルブ36は、第2パージ管35を閉塞する閉塞状態と、第2パージ管35を開放する開放状態との間で連続的に開度を変更可能な流量制御バルブである。パージ制御バルブ36は、例えば、電磁比例制御バルブである。パージ制御バルブ36は、第2パージ管35の任意の位置に設けられている。パージ制御バルブ36は、車両1を構成している部品に連結されている。パージ制御バルブ36は、例えばフレーム10に連結されている。
【0059】
パージ制御バルブ36が閉塞状態である場合、キャニスタ33内の気体Gは、第2パージ管35から吸気管9bに排出されない。パージ制御バルブ36が閉塞状態でない場合、キャニスタ33内の気体Gは、パージ制御バルブ36の開度に比例した流量がパージ制御バルブ36を通過して第2パージ管35から吸気管9bに排出される。このように、気体Gが流れるパージ制御バルブ36は、前記気体通路の一部を構成している。
【0060】
制御装置37は、エバポレーティブエミッションシステム30を制御する。制御装置37は、例えばエンジン9aの駆動を制御するECUである。制御装置37は、遮断バルブ31及びパージ制御バルブ36と電気的に接続されている。制御装置37は、遮断バルブ31、パージ制御バルブ36及びキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を制御するために種々のプログラム、データが格納されている。制御装置37は、遮断バルブ31を閉塞状態と開放状態とに切り替えるように制御する。制御装置37は、パージ制御バルブ36の開度を閉塞状態から開放状態までの間において連続的に変更するように制御する。なお、制御装置37は、ECUとは別体であってもよい。
【0061】
<エバポレーティブエミッションシステムのパージ動作>
このように構成されるエバポレーティブエミッションシステム30において、エンジン9aが稼働していない場合、制御装置37は、遮断バルブ31を開放状態に切り替える。さらに、制御装置37は、パージ制御バルブ36を閉塞状態に切り替える。燃料タンク8内において発生した蒸発燃料Gfは、第1パージ管32を通ってキャニスタ33に流れ込む。キャニスタ33に流れ込んだ蒸発燃料Gfは、活性炭によって吸着される。蒸発燃料Gfが吸着された後の気体Gは、ベント管34から大気に排出される。
【0062】
エンジン9aが稼働している場合、制御装置37は、遮断バルブ31を閉塞状態に切り替える。さらに制御装置37は、エンジン9aの稼働状態に応じてパージ制御バルブ36の開度を変更する。エバポレーティブエミッションシステム30の気体通路内の気体Gは、エンジン9aの稼働による吸気管9b内の圧力低下により吸気管9bに向かって流れる。これにより、前記気体通路内の圧力が負圧になる。
【0063】
エバポレーティブエミッションシステム30は、前記気体通路内の負圧によってベント管34から外気Gaをキャニスタ33内に導入する。キャニスタ33内に流れ込んだ外気Gaは、活性炭に吸着された蒸発燃料Gfと混合される。エバポレーティブエミッションシステム30は、外気Gaと蒸発燃料Gfとが混合された気体Gを第2パージ管35から吸気管9bに排出する。エバポレーティブエミッションシステム30は、外気Gaによって活性炭が吸着していた蒸発燃料Gfが除去されるので、活性炭による回収可能な蒸発燃料Gfの容量が増大する。
【0064】
<キャニスタ一体式漏れ検出デバイスの構成>
次に、図3を用いて、エバポレーティブエミッションシステム30が有するキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40について説明する。
【0065】
図3に示すように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、エバポレーティブエミッションシステム30からの気体Gの漏れを検出する。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、エバポレーティブエミッションシステム30の気体通路内の圧力を強制的に負圧にした状態で前記気体通路内からの気体Gの漏れを検出する強制負圧式の漏れ検出デバイスである。
【0066】
キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、キャニスタ33に加えて、エバポレーティブエミッションシステム30からの気体Gの漏れ検査を行うための部品であるベントバルブ41、吸引ポンプ42、圧力センサ43を含む。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、キャニスタ33とベントバルブ41及び吸引ポンプ42が一体化している。キャニスタ33と一体化されたベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、キャニスタ33に対して、キャニスタ33の最も長い部分の長さである最大長Cとベントバルブ41または吸引ポンプ42の最大長との合計よりも短い距離に位置付けられている(図4参照)。
【0067】
ベントバルブ41は、外気導入通路であるベント管34を閉塞する閉塞状態とベント管34を開放する開放状態とに切り替える電動のバルブである。ベントバルブ41は、例えば、電磁ソレノイドバルブである。ベントバルブ41は、ベント管34の任意の位置に設けられている。ベントバルブ41には、吸引ポンプ42が接続されている。ベントバルブ41は、ベント管34を閉塞する閉塞状態において、吸引ポンプ42が前記気体通路の気体Gを吸引可能な状態に切り替える。また、ベントバルブ41は、ベント管34を開放する開放状態において、吸引ポンプ42が前記気体通路の気体Gを吸引不能な状態に切り替える。
【0068】
ベントバルブ41が開放状態である場合、エバポレーティブエミッションシステム30は、ベント管34からキャニスタ33内の蒸発燃料Gfが含まれない気体Gを大気に排出する。また、ベントバルブ41が開放状態である場合、エバポレーティブエミッションシステム30は、ベント管34から外気Gaをキャニスタ33内に導入する。この場合、吸引ポンプ42は、前記気体通路内の気体Gを吸引できない状態である。このように、気体Gが流れるベントバルブ41は、前記気体通路の一部を構成している。
【0069】
ベントバルブ41が閉塞状態である場合、エバポレーティブエミッションシステム30は、ベント管34からキャニスタ33内の気体Gを大気に排出しない。また、ベントバルブ41が閉塞状態である場合、エバポレーティブエミッションシステム30は、ベント管34から外気Gaをキャニスタ33内に導入しない。この場合、吸引ポンプ42は、前記気体通路内の気体Gを吸引できる状態である。ベントバルブ41は、制御装置37に電気的に接続されている。これにより、制御装置37は、ベントバルブ41を制御可能である。
【0070】
吸引ポンプ42は、前記気体通路内の気体Gを吸引する電動の吸引ポンプ42である。吸引ポンプ42は、例えばロータリーポンプである。吸引ポンプ42は、例えばベントバルブ41に設けられる。
【0071】
吸引ポンプ42は、ベントバルブ41が閉塞状態である場合、前記気体通路内の気体Gを吸引可能である。つまり、吸引ポンプ42は、前記気体通路内を負圧にする。吸引ポンプ42は、制御装置37に電気的に接続されている。これにより、制御装置37は、吸引ポンプ42を制御可能である。
【0072】
圧力センサ43は、前記気体通路内の圧力を測定するセンサである。圧力センサ43は、第1パージ管32における任意の位置、ベント管34におけるベントバルブ41よりもキャニスタ33に近い位置、キャニスタ33、または第2パージ管35におけるパージ制御バルブ36よりもキャニスタ33に近い位置のいずれかに設けられる。圧力センサ43は、前記気体通路内の圧力を測定する。圧力センサ43は、制御装置37に電気的に接続されている。これにより、制御装置37は、圧力センサ43から測定データを取得可能である。
【0073】
<エバポレーティブエミッションシステムの漏れ検出>
エバポレーティブエミッションシステム30からの気体Gの漏れを検出する場合、制御装置37は、遮断バルブ31、パージ制御バルブ36及びベントバルブ41を閉塞状態に切り替える。これにより、エバポレーティブエミッションシステム30は、前記気体通路が密閉状態になる。次に、制御装置37は、吸引ポンプ42によって前記気体通路内の気体Gを吸引する。制御装置37は、圧力センサ43によって前記気体通路内の圧力を測定する。圧力センサ43の測定値が基準値以上の場合、制御装置37は、エバポレーティブエミッションシステム30の気体通路から気体Gが漏れる可能性があると判断する。
【0074】
次に、図4図5とを用いて、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40においてキャニスタ33に一体化されるベントバルブ41及び吸引ポンプ42について説明する。
【0075】
図4は、実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステム30においてベントバルブ41及び吸引ポンプ42が筐体33aに連結されたキャニスタ33の模式図である。図5は、実施形態1に係るエバポレーティブエミッションシステム30においてベントバルブ41及び吸引ポンプ42の一部が筐体33a内に位置するキャニスタ33の模式図である。
【0076】
本実施形態において、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40では、キャニスタ33にベントバルブ41及び吸引ポンプ42が一体化されている。ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、キャニスタ33の筐体33aまたはキャニスタ33の支持部材33bと一体化されている。キャニスタ33は、支持部材33bによって車両1を構成する部品に連結されている。
【0077】
図4に示すように、キャニスタ33は、例えば支持部材33bによってフレーム10に連結されている。支持部材33bの一端部は、フレーム10に連結している。支持部材33bの他端部は、キャニスタ33の筐体33aに連結されている。支持部材33bの一端部から他端部までの長さC1は、キャニスタ33において最も長い部分の長さである最大長Cよりも短い。
【0078】
<キャニスタの筐体に接触した状態で連結>
図4に示すように、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42をキャニスタ33の筐体33aに接触した状態で連結する場合、ベントバルブ41は、少なくとも一部が筐体33aの外表面に接触した状態で締結部材等によってキャニスタ33の筐体33aに連結されている。ベントバルブ41は、キャニスタ33と一体化された状態でベント管34に接続されている。
【0079】
吸引ポンプ42は、少なくとも一部が筐体33aの外表面に接触した状態で締結部材等によってキャニスタ33に連結されている。吸引ポンプ42は、キャニスタ33と一体化された状態でベント管34に接続されている。
【0080】
ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、キャニスタ33に対して相対距離を維持した状態でキャニスタ33に支持される。これにより、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、キャニスタ33に対してキャニスタ33の最大長Cよりも短い距離の範囲にそれぞれの部品の重心が位置している。つまり、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、それぞれの部品の質量中心がキャニスタ33に対してキャニスタ33の最大長Cよりも短い距離の範囲に集中している。このように、キャニスタ33と、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42とは、接触しない状態で一体化されている。
【0081】
図5に示すように、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、少なくとも一部が筐体33a内に位置した状態で締結部材等によって固定されてもよい。また、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、少なくとも一部が筐体33aに含まれていてもよい。
【0082】
次に、図6から図8および図16を用いて車両1におけるキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40の配置について説明する。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、バーハンドル6の左右方向における中心を含み且つ左右方向に垂直な仮想鉛直面である仮想左右中心面Pw、前輪3の前端と後輪4の後端との間の前後方向における中心を含み且つ前後方向に垂直な仮想鉛直面である仮想前後中心面Plまたはバーハンドル6の上端と前輪3の下端との間の上下方向における中心を含み且つ上下方向に垂直な仮想水平面である仮想上下中心面Phのうち少なくとも1つと交差するように配置されている。
【0083】
図6は、エバポレーティブエミッションシステム30のキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40が車両1の仮想左右中心面Pwと交差する位置に配置された状態を示す車両1の平面図である。図7は、エバポレーティブエミッションシステム30のキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40が車両1の仮想前後中心面Plと交差する位置に配置された状態を示す車両1の側面図である。図8は、エバポレーティブエミッションシステム30のキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40が車両1の仮想上下中心面Phと交差する位置に配置された状態を示す車両1の側面図である。図16は、本発明に係るエバポレーティブエミッションシステム30においてキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40が車両1の仮想左右中心面Pwと交差する位置に配置された状態を示す車両1の平面図、及び、仮想前後中心面Plまたは仮想上下中心面Phと交差する位置に配置された状態をそれぞれ示す車両1の側面図である。
【0084】
図6に示すように、車両1の左右方向の重量バランスを維持した状態でキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を配置する場合、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、直立状態の車両1において、バーハンドル6の左右方向における幅Wの中心を含み、且つ左右方向に垂直な仮想鉛直面である仮想左右中心面Pwと交差する位置に配置される。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40の少なくとも一部は、少なくとも車両1の左右方向における中心に位置している。
これにより、車両1は、重量物であるキャニスタ33、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42が車両1の左右方向の中心近傍に集約して搭載される。従って、少なくとも左右方向の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を搭載することができる。
【0085】
図7に示すように、車両1の前後方向の重量バランスを維持した状態でキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を配置する場合、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、前輪3の前端と後輪4の後端との間の前後方向における全長Lの中心を含み、且つ前後方向に垂直な仮想鉛直面である仮想前後中心面Plと交差する位置に配置される。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40の少なくとも一部は、少なくとも車両1の前後方向における中心に位置している。
これにより、車両1は、重量物であるキャニスタ33、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42が少なくとも車両1の前後方向の中心近傍に集約して搭載される。従って、少なくとも前後方向の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を搭載することができる。
【0086】
図8に示すように、車両1の上下方向の重量バランスを維持した状態でキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を配置する場合、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、バーハンドル6の上端と前輪3の下端との間の上下方向における高さHの中心を含み、且つ上下方向に垂直な仮想水平面である仮想上下中心面Phと交差する位置に配置される。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40の少なくとも一部は、少なくとも車両1の上下方向における中心に位置している。
これにより、車両1は、重量物であるキャニスタ33、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42が少なくとも車両1の上下方向の中心近傍に集約して搭載される。従って、少なくとも上下方向の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を搭載することができる。
【0087】
なお、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、仮想左右中心面Pw、仮想前後中心面Plまたは仮想上下中心面Phのいずれかに交差する位置に配置されている。しかしながら、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、仮想左右中心面Pw、仮想前後中心面Plまたは仮想上下中心面Phのうち複数の中心面に交差する位置に配置してもよい。
【0088】
このように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、車両1において、ベントバルブ41または吸引ポンプ42のうちキャニスタ33に一体化された部品とキャニスタ33とが相対距離を維持した状態で仮想左右中心面Pw、仮想前後中心面Plまたは仮想上下中心面Phの少なくとも一つに交差する位置に搭載される。したがって、車両1の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を車両1に搭載することができる。
【0089】
<キャニスタ一体式漏れ検出デバイスの変形例>
次に、図9から図13を用いて、エバポレーティブエミッションシステム30が有するキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40の変形例について説明する。図9は、エバポレーティブエミッションシステム30においてベントバルブ41及び吸引ポンプ42が連結部材を介して筐体33aに連結されたキャニスタ33の模式図である。図10は、エバポレーティブエミッションシステム30においてベントバルブ41及び吸引ポンプ42が連結部材を介して支持部材33bに連結されたキャニスタ33の模式図である。図11は、エバポレーティブエミッションシステム30においてベントバルブ41及び吸引ポンプ42が支持部材33bに連結されたキャニスタ33の模式図である。図12は、エバポレーティブエミッションシステム30においてベントバルブ41、吸引ポンプ42及び圧力センサ43が筐体33aに連結されたキャニスタ33の模式図である。図13は、エバポレーティブエミッションシステム30においてベントバルブ41、吸引ポンプ42及び圧力センサ43が連結部材を介して筐体44aに連結された分割キャニスタ44の模式図である。
【0090】
<キャニスタの筐体に連結部材を介して連結>
図9に示すように、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42をキャニスタ33の筐体33aに連結部材を介して連結する場合、ベントバルブ41は、ベントバルブ用連結部材41aによってキャニスタ33の筐体33aに連結されている。ベントバルブ用連結部材41aの一端部は、筐体33aに連結されている。ベントバルブ用連結部材41aの他端部は、ベントバルブ41に連結されている。つまり、ベントバルブ41は、キャニスタ33に接触していない状態でキャニスタ33に連結されている。
【0091】
ベントバルブ用連結部材41aの一端部から他端部までの長さB1は、キャニスタ33の最大長Cよりも短い。よって、ベントバルブ41は、キャニスタ33からの距離がキャニスタ33の最大長Cよりも短い位置でキャニスタ33に連結されている。このように、キャニスタ33とベントバルブ41とは、ベントバルブ用連結部材41aを介して一体化されている。ベントバルブ41は、キャニスタ33と一体化された状態でベント管34に接続されている。
【0092】
吸引ポンプ42は、吸引ポンプ用連結部材42aによってキャニスタ33に連結されている。吸引ポンプ用連結部材42aの一端部は、キャニスタ33の筐体33aに連結されている。吸引ポンプ用連結部材42aの他端部は、ベントバルブ41に連結されている。つまり、吸引ポンプ42は、キャニスタ33に接触しない状態で吸引ポンプ42に連結されている。
【0093】
吸引ポンプ用連結部材42aの一端部から他端部までの長さB2は、キャニスタ33の最大長Cよりも短い。よって、吸引ポンプ42は、キャニスタ33からの距離がキャニスタ33の最大長Cよりも短い位置でキャニスタ33に連結されている。このように、キャニスタ33と吸引ポンプ42とは、吸引ポンプ用連結部材42aを介して一体化されている。吸引ポンプ42は、キャニスタ33と一体化された状態でベント管34に接続されている。
【0094】
このように、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、キャニスタ33に対してベントバルブ用連結部材41a及び吸引ポンプ用連結部材42aによって定まる相対距離を維持した状態でキャニスタ33に支持される。これにより、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、キャニスタ33に対してキャニスタ33の最大長Cよりも短い距離の範囲にそれぞれの部品の重心が位置している。つまり、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、それぞれの部品の質量中心がキャニスタ33に対してキャニスタ33の最大長Cよりも短い距離の範囲に集中している。このように、キャニスタ33と、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42とは、接触しない状態で一体化されている。
【0095】
<キャニスタの支持部材に連結部材を介して連結>
図10に示すように、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42をキャニスタ33の支持部材33bに連結部材を介して連結する場合、ベントバルブ41は、ベントバルブ用連結部材41aを介して支持部材33bに連結されている。同様に、吸引ポンプ42は、吸引ポンプ用連結部材42aを介して支持部材33bに連結されている。これにより、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、キャニスタ33に対してキャニスタ33の最大長Cよりも短い距離の範囲にそれぞれの部品の重心が位置している。つまり、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、それぞれの部品の質量中心がキャニスタ33に対してキャニスタ33の最大長Cよりも短い距離の範囲に集中している。このように、キャニスタ33と、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42とは、接触しない状態で一体化している。
【0096】
<キャニスタの支持部材に接触した状態で連結>
図11に示すように、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42をキャニスタ33の支持部材33bに接触した状態で連結する場合、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、少なくとも一部が支持部材33bに接触した状態で締結部材等によって固定される。つまり、ベントバルブ41、吸引ポンプ42及びキャニスタ33は、支持部材33bによって支持される。これにより、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、それぞれの部品の質量中心がキャニスタ33に対してキャニスタ33の最大長Cよりも短い距離の範囲に集中している。
【0097】
<キャニスタに圧力センサが連結>
図12に示すように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、キャニスタ33と圧力センサ43とを一体化してもよい。圧力センサ43は、例えば圧力センサ用連結部材43aによってキャニスタ33の筐体33aに連結されている。圧力センサ43は、圧力センサ用連結部材43aによってキャニスタ33の支持部材33bに連結されてもよい。また、圧力センサ43は、キャニスタ33の筐体33aまたは支持部材33bに接触した状態で連結されてもよい。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、ベントバルブ41、吸引ポンプ42及び圧力センサ43を含むことでエバポレーティブエミッションシステム30の気体Gの漏れを検出するエバポリークチェックモジュールとして構成される。
【0098】
キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、圧力センサ43を含む場合、重量物であるベントバルブ41または吸引ポンプ42のうち少なくとも一つを用いて前記エバポレーティブエミッションシステム30からの気体Gの漏れを検出する。したがって、重量物を含んでいるキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40を車両1に搭載することにより、車両1の重量バランスを維持し且つ質量が集中した状態で前記エバポレーティブエミッションシステム30からの気体Gの漏れを検出することができる。
【0099】
<分割キャニスタ>
図13に示すように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、複数の分割キャニスタ44を含んでいてもよい。複数の分割キャニスタ44は、筐体44aと蒸発燃料Gfを吸着する活性炭をそれぞれ有している。複数の分割キャニスタ44は、気体Gの流れにおいて互いに直列または並列に接続している。つまり、直列に接続されている複数の分割キャニスタ44は、一方の分割キャニスタ44に流れ込んだ気体Gが他方の分割キャニスタ44に流れ込むように連結されている。また、並列に接続されている複数の分割キャニスタ44は、一方の分割キャニスタ44と他方の分割キャニスタ44とにそれぞれ気体Gが流れ込むように連結されている。本実施形態において、複数の分割キャニスタ44は、直列に接続されている。
【0100】
複数の分割キャニスタ44のうち一の分割キャニスタ44は、第1パージ管32によって燃料タンク8と接続されている。これにより、燃料タンク8内の蒸発燃料Gfは、第1パージ管32から分割キャニスタ44に流れ込む。また、複数の分割キャニスタ44のうちいずれか一つには、ベント管34が接続されている。これにより、外気Gaは、ベント管34から複数の分割キャニスタ44に流れ込む。また、複数の分割キャニスタ44のうち他の分割キャニスタ44は、第2パージ管35によってエンジン9aの吸気管9bに接続されている。これにより、複数の分割キャニスタ44内の気体Gは、第2パージ管35から吸気管9bに排出される(図3参照)。
【0101】
複数の分割キャニスタ44のうち少なくとも一つは、支持部材33bによって車両1を構成している部品に連結されている。本実施形態において、複数の分割キャニスタ44は、例えば支持部材44bによってそれぞれフレーム10に連結されている。
【0102】
ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、複数の分割キャニスタ44のうち少なくとも一つまたは複数の分割キャニスタ44のうち少なくとも一つを支持している支持部材44bと一体化されている。なお、複数の分割キャニスタ44は、圧力センサ43が一体化されてもよい。
【0103】
<分割キャニスタに連結部材を介して連結>
ベントバルブ41及び吸引ポンプ42を分割キャニスタ44に連結する場合、ベントバルブ41は、ベントバルブ用連結部材41aによって、複数の分割キャニスタ44のうち一つの分割キャニスタ44の筐体44aに連結されている。吸引ポンプ42は、吸引ポンプ用連結部材42aによって、複数の分割キャニスタ44のうち一つの分割キャニスタ44の筐体44aに連結されている。このように、分割キャニスタ44と、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42とは、接触しない状態で一体化されている。なお、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、それぞれの連結部材によって複数の分割キャニスタ44のうち少なくとも一つを支持している分割キャニスタ44の支持部材44bに連結されてもよい。
【0104】
<分割キャニスタの筐体に接触した状態で連結>
また、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、複数の分割キャニスタ44のうち一つの分割キャニスタ44の筐体44aまたは支持部材44bに接触した状態で締結部材等によって固定されてもよい。
【0105】
キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40が複数の分割キャニスタ44を含む場合、ベントバルブ41または吸引ポンプ42のうち少なくとも一つは、車両1の重量バランス及び質量の分布を考慮して複数の分割キャニスタ44のうち少なくとも一つに一体化されている。これにより、車両1の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、ベントバルブ41または吸引ポンプ42のうち少なくとも一つを車両1に搭載することができる。
【0106】
[実施形態2]
<強制負圧式のキャニスタ一体式漏れ検出デバイスの構成>
次に、図14を用いて、本発明の車両1に搭載されたエバポレーティブエミッションシステムの実施形態2であるエバポレーティブエミッションシステム30Aが有するキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aについて説明する。図14は、実施形態に係る車両1に搭載されたエバポレーティブエミッションシステム30Aについての概略構成図である。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0107】
図14に示すように、エバポレーティブエミッションシステム30Aは、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aを有している。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aは、エバポレーティブエミッションシステム30Aの気体通路内の圧力を吸引ポンプ42によって強制的に負圧にする強制負圧式の漏れ検出デバイスである。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aは、キャニスタ33に加えて、エバポレーティブエミッションシステム30Aからの気体Gの漏れ検査を行うための部品である吸引ポンプ42、圧力センサ43を含む。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aは、キャニスタ33に対して吸引ポンプ42が一体化している。
【0108】
吸引ポンプ42は、ベント管34に設けられる。吸引ポンプ42は、ベント管34を介して前記気体通路内の気体Gを吸引可能である。吸引ポンプ42が停止している場合、前記気体通路は、吸引ポンプ42内を通過した外気Gaが流れ込む状態である。吸引ポンプ42が稼働している場合、前記気体通路は、吸引ポンプ42によって内部の気体Gが大気に排出されているので、外気Gaが吸引ポンプ42内を通過して流れ込まない状態である。よって、エバポレーティブエミッションシステム30Aは、吸引ポンプ42を停止させることでキャニスタ33を含む前記気体通路に外気Gaを導入可能である。つまり、吸引ポンプ42は、ベント管34を、キャニスタ33内に外気Gaが流れ込まない閉塞状態とキャニスタ33内に外気Gaが流れ込む開放状態とに切り替え可能である。
【0109】
キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aに含まれる吸引ポンプ42は、吸引ポンプ用連結部材42aによってキャニスタ33の筐体33aまたは支持部材33bに連結されている。または、吸引ポンプ42は、筐体33aまたは支持部材33bに接触した状態で連結されている。吸引ポンプ42は、少なくとも一部が筐体33a内に位置していてもよい。また、吸引ポンプ42は、筐体33aの一部に含まれていてもよい。また、実施形態1と同様に、エバポレーティブエミッションシステム30Aは、分割キャニスタ44を有していてもよい。
【0110】
<エバポレーティブエミッションシステムの漏れ検出>
エバポレーティブエミッションシステム30Aからの気体Gの漏れを検出する場合、制御装置37は、遮断バルブ31及びパージ制御バルブ36を閉塞状態に切り替える。次に、制御装置37は、吸引ポンプ42によって前記気体通路内の気体Gを吸引し、ベント管34から大気に排出する。この際、前記気体通路には、ベント管34から外気Gaが流れ込まない。制御装置37は、圧力センサ43によって前記気体通路内の圧力を測定する。圧力センサ43の測定値が基準値以上の場合、制御装置37は、前記気体通路から気体Gが漏れる可能性があると判断する。
【0111】
キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aは、キャニスタ33に一体化された吸引ポンプ42とキャニスタ33とが相対距離を維持した状態で車両1に搭載される。したがって、車両1の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Aを車両1に搭載することができる。
【0112】
[実施形態3]
<自然負圧式のキャニスタ一体式漏れ検出デバイスの構成>
次に、図15を用いて、本発明の車両1に搭載されたエバポレーティブエミッションシステムの実施形態3であるエバポレーティブエミッションシステム30Bが有するキャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bについて説明する。図15は、実施形態に係る車両1に搭載されたエバポレーティブエミッションシステム30Bについての概略構成図である。
【0113】
図15に示すように、エバポレーティブエミッションシステム30Bは、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bを有する。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bは、エバポレーティブエミッションシステム30Bの気体通路内の圧力を、燃料タンク8内の蒸発燃料Gfの熱膨張及び熱収縮を利用して負圧にする自然負圧式の漏れ検出デバイスである。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bは、キャニスタ33に加えて、エバポレーティブエミッションシステム30Bからの気体Gの漏れ検査を行うための部品であるベントバルブ41、圧力センサ43を含む。キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bでは、キャニスタ33に対してベントバルブ41が一体化されている。
【0114】
キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bに含まれるベントバルブ41は、ベントバルブ用連結部材41aによってキャニスタ33の筐体33aまたは支持部材33bに連結されている。または、ベントバルブ41は、筐体33aまたは支持部材33bに接触した状態で連結されている。ベントバルブ41は、筐体33aの一部に含まれていてもよい。また、ベントバルブ41は、少なくとも一部が筐体33a内に位置していてもよい。また、実施形態1と同様に、エバポレーティブエミッションシステム30Bは、分割キャニスタ44を有していてもよい。
【0115】
<エバポレーティブエミッションシステムの漏れ検出>
エバポレーティブエミッションシステム30Bからの気体Gの漏れを検出する場合、制御装置37は、遮断バルブ31を開放状態に切り替える。更に、制御装置37は、ベントバルブ41及びパージ制御バルブ36を閉塞状態に切り替える。次に、制御装置37は、圧力センサ43によって前記気体通路内の圧力を測定する。合わせて、制御装置37は、図示しない温度計によって燃料タンク8内の温度を測定する。制御装置37は、燃料タンク8の温度の変動と前記気体通路内の圧力の変動とから前記気体通路から気体Gが漏れる可能性があるかどうか判断する。
【0116】
キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bは、キャニスタ33に一体化されたベントバルブ41とキャニスタ33とが相対距離を維持した状態で車両1に搭載される。したがって、車両1の重量バランスを維持し且つ質量が集中するように、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40Bを車両1に搭載することができる。
【0117】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態1において、キャニスタ33には、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42が一体化されている。しかしながら、キャニスタ33には、ベントバルブ41または吸引ポンプ42のうち少なくとも一方が一体化されていればよい。
【0118】
また、上述の実施形態1において、キャニスタ33または分割キャニスタ44は、車両1を構成する部品に連結されている。この際、車両1に対するキャニスタ33または分割キャニスタ44の向き及びキャニスタ33または分割キャニスタ44における連結位置は、限定しない。
【0119】
また、上述の実施形態1において、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、キャニスタ33または分割キャニスタ44に連結されている。この際、キャニスタ33または分割キャニスタ44に連結されるベントバルブ41及び吸引ポンプ42のキャニスタ33または分割キャニスタ44に対する向き及び位置は、限定しない。
【0120】
また、上述の実施形態1において、キャニスタ一体式漏れ検出デバイス40は、ベントバルブ41がベントバルブ用連結部材41aによってキャニスタ33の筐体33aまたは支持部材33bに連結され、吸引ポンプ42が吸引ポンプ用連結部材42aによって筐体33aまたは支持部材33bに連結されている。しかしながら、ベントバルブ41と吸引ポンプ42とは、同一の連結部材によって筐体33aまたは支持部材33bに連結されてもよい。また、ベントバルブ41と吸引ポンプ42とは、一体化された状態で筐体33aまたは支持部材33bに連結されてもよい。
【0121】
また、上述の実施形態1において、吸引ポンプ42は、ベント管34に設けられたベントバルブ41によって前記気体通路内の気体Gを吸引可能な状態と吸引不能な状態とに切り替えられる。しかしながら、吸引ポンプ42が吸引ポンプ専用の開閉弁を有する場合、吸引ポンプ42は、第1パージ管32、キャニスタ33、ベント管34、第2パージ管35のいずれかに設けられてもよい。また、吸引ポンプ42は、ベントバルブ41よりも大気側のベント管34に設けられてもよい。
【0122】
また、上述の実施形態1において、キャニスタは、2つの分割キャニスタ44を有している。しかしながら、キャニスタは、3つ以上の分割キャニスタ44を有してもよい。3つ以上の分割キャニスタ44は、直列に接続している分割キャニスタ44と並列に接続している分割キャニスタ44とが含まれていてもよい。
【0123】
また、上述の実施形態1において、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、複数の分割キャニスタ44のうち一つの分割キャニスタ44の筐体44aまたは支持部材44bに連結している。しかしながら、ベントバルブ41及び吸引ポンプ42は、それぞれ異なる分割キャニスタ44の筐体44aまたは支持部材44bに連結してもよい。すなわち、複数の分割キャニスタ44のうち一つの分割キャニスタ44の筐体44aまたは支持部材44bには、ベントバルブ41を連結し、複数の分割キャニスタ44のうち他の分割キャニスタ44の筐体44aまたは支持部材44bには、吸引ポンプ42を連結してもよい。
【0124】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 車両
2 車体
3 前輪
4 後輪
5 車体カバー
6 バーハンドル
7 シート
8 燃料タンク
9 パワーユニット
9a エンジン
9b 吸気管
10 フレーム
11 ヘッドパイプ
12 メインフレーム
13 シートレール
30、30A、30B エバポレーティブエミッションシステム
31 遮断バルブ
32 第1パージ管
33 キャニスタ
33a、44a 筐体
33b、44b 支持部材
34 ベント管
35 第2パージ管
36 パージ制御バルブ
37 制御装置
40、40A、40B キャニスタ一体式漏れ検出デバイス
41 ベントバルブ
41a ベントバルブ用連結部材
42 吸引ポンプ
42a 吸引ポンプ用連結部材
43 圧力センサ
43a 圧力センサ用連結部材
44 分割キャニスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16