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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184248
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】発光素子および発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20221206BHJP
   H01S 5/30 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091971
(22)【出願日】2021-05-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、文部科学省、「省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(71)【出願人】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩一
(72)【発明者】
【氏名】奥野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】大矢 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】飯田 一喜
(72)【発明者】
【氏名】上山 智
(72)【発明者】
【氏名】竹内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 素顕
(72)【発明者】
【氏名】赤▲崎▼ 勇
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA21
5F173AC03
5F173AC13
5F173AC26
5F173AF12
5F173AG03
5F173AG22
5F173AH22
5F173AP05
5F173AP13
5F173AR26
(57)【要約】
【課題】光閉じ込め効率の向上された発光素子を実現すること。
【解決手段】半導体発光素子100は、基板110と、空隙層120と、柱状半導体130と、埋め込み層140と、カソード電極N1と、アノード電極P1と、を有する。空隙層120は、基板110と埋め込み層140との間の空間であり、空気により満たされた領域である。空隙層120は柱状n型半導体131を選択成長させるためのマスク150を除去することにより生じた空間である。空隙層120は、柱状n型半導体131の存在する領域を除いて連続的で均一な厚さの1つの膜として存在している。空隙層120は空気で満たされた空間のため、屈折率が低く、埋め込み層140との屈折率差が大きくなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型半導体からなる第1半導体層上に、誘電体からなり複数の開口部を有したマスクを形成する工程と、
前記開口部にn型半導体からなる柱状n型半導体を選択成長させ、前記柱状n型半導体の外周に沿って活性層を形成することにより柱状半導体を形成する工程と、
前記柱状半導体間を埋め込む埋め込み層を形成する工程と、
前記マスクをエッチングによって除去し、その除去された空間をそのまま残して空隙層を形成工程と、
を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項2】
n型半導体からなる第1半導体層上に、誘電体からなり複数の開口部を有したマスクと、半導体からなり前記マスクの前記開口部と同一のパターンの開口部を有した半導体層とを、交互に繰り返し積層させて積層体を形成する工程と、
前記積層体の前記開口部にn型半導体からなる柱状n型半導体を選択成長させ、前記柱状n型半導体の外周に沿って活性層を形成することにより柱状半導体を形成する工程と、
前記柱状半導体間を埋め込む埋め込み層を形成する工程と、
前記マスクをエッチングによって除去し、その除去された空間をそのまま残して空隙層を形成することにより、前記空隙層と前記半導体層とが交互に繰り返し積層されたDBR層を形成する工程と、
を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記半導体層は、スパッタ、CVDまたは蒸着によって形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記空隙層の厚さは10~100nmである、ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記発光素子は、面発光レーザーである、ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記発光素子は、リッジ構造の端面発光レーザーである、ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項7】
n型半導体からなる第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられ、n型半導体からなる複数の柱状n型半導体と、前記柱状n型半導体の外周に沿って設けられた活性層と、を有する柱状半導体と、
半導体からなり、前記柱状半導体間を埋め込む埋め込み層と、
前記埋め込み層と前記第1半導体層との間に設けられた空間であって、前記柱状n型半導体の領域を除いた領域に設けられた1つの膜である空隙層と、
を有する、
ことを特徴とする発光素子。
【請求項8】
n型半導体からなる第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられ、n型半導体からなる複数の柱状n型半導体と、前記柱状n型半導体の外周に沿って設けられた活性層と、を有する柱状半導体と、
半導体からなり、前記柱状半導体間を埋め込む埋め込み層と、
前記埋め込み層と前記第1半導体層との間に設けられ、前記柱状n型半導体の領域を除いた領域に設けられた1つの膜であるDBR層と、
を有し、
前記DBR層は、空間である空隙層と、半導体からなる半導体層とを交互に繰り返し積層させた構造である、
ことを特徴とする発光素子。
【請求項9】
前記空隙層の厚さは、10~100nmである、ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記発光素子は、面発光レーザーである、ことを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項11】
前記発光素子は、リッジ構造の端面発光レーザーである、ことを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子の活性層として、従来は平坦なシート状の構造が用いられてきたが、近年、柱状などの3次元的構造を有する活性層について研究されている。
【0003】
たとえば、特許文献1のように、半導体層を六角柱状のナノワイヤ(NW)とし、その六角柱を覆うように活性層を形成したコアシェル型の構造(multi-quantum shell;MQS)とした半導体発光素子が知られている。MQSでは、活性層の主たる面をm面とすることができる。m面とすると分極が生じず、量子閉じ込めシュタルク効果がないので、内部量子効率の向上が期待できる。
【0004】
ナノワイヤは、基板上にn層を形成し、直径がナノオーダーの開口(ナノホール)を有した誘電体からなるマスクを形成し、その開口に露出するn層から半導体を選択成長させることにより形成する。
【0005】
特許文献2には、マスクの開口から成長させた柱状であって第1の伝導型である接触部分と、接触部分の先端部をシェル状に覆うアクティブ区域(発光層)と、アクティブ区域をシェル状に覆う第2の伝導型である極性部分と、を有したナノワイヤが記載されている。アクティブ区域および極性部分とマスクの間には空間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-77817号公報
【特許文献2】特開2018-29205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1を半導体レーザーに適用する場合、レーザーの特性向上のためにマスクの反射率を上げ、光閉じ込め効率を向上させることが考えられる。マスクの反射率を上げるためには、マスクの材料として屈折率の低い材料を用い、ナノワイヤとの屈折率差を大きくすることが考えられる。しかし、従来マスクとして用いられているSiO2 よりも屈折率が低くてエッチング性のよい材料が現状では見つかっておらず、光閉じ込め効率を向上させることが困難であった。
【0008】
また、特許文献2では、アクティブ区域および極性部分とマスクとの間に空間が存在しているため、光閉じ込め効率を向上させることが可能であるが、ナノワイヤをこのような形状に結晶成長させることは困難であった。
【0009】
そこで本開示の目的は、光閉じ込め効率が向上された発光素子およびその製造方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様は、n型半導体からなる第1半導体層上に、誘電体からなり複数の開口部を有したマスクを形成する工程と、開口部にn型半導体からなる柱状n型半導体を選択成長させ、柱状n型半導体の外周に沿って活性層を形成することにより柱状半導体を形成する工程と、柱状半導体間を埋め込む埋め込み層を形成する工程と、マスクをエッチングによって除去し、その除去された空間をそのまま残して空隙層を形成工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0011】
第2態様は、n型半導体からなる第1半導体層上に、誘電体からなり複数の開口部を有したマスクと、半導体からなりマスクの開口部と同一のパターンの開口部を有した半導体層とを、交互に繰り返し積層させて積層体を形成する工程と、積層体の開口部にn型半導体からなる柱状n型半導体を選択成長させ、柱状n型半導体の外周に沿って活性層を形成することにより柱状半導体を形成する工程と、柱状半導体間を埋め込む埋め込み層を形成する工程と、マスクをエッチングによって除去し、その除去された空間をそのまま残して空隙層を形成することにより、空隙層と半導体層とが交互に繰り返し積層されたDBR層を形成する工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法である。
【0012】
第3態様は、n型半導体からなる第1半導体層と、第1半導体層上に設けられ、n型半導体からなる複数の柱状n型半導体と、柱状n型半導体の外周に沿って設けられた活性層と、を有する柱状半導体と、半導体からなり、柱状半導体間を埋め込む埋め込み層と、埋め込み層と第1半導体層との間に設けられた空間であって、柱状n型半導体の領域を除いた領域に設けられた1つの膜である空隙層と、を有することを特徴とする発光素子である。
【0013】
第4態様は、n型半導体からなる第1半導体層と、第1半導体層上に設けられ、n型半導体からなる複数の柱状n型半導体と、柱状n型半導体の外周に沿って設けられた活性層と、を有する柱状半導体と、半導体からなり、柱状半導体間を埋め込む埋め込み層と、埋め込み層と第1半導体層との間に設けられ、柱状n型半導体の領域を除いた領域に設けられた1つの膜であるDBR層と、を有し、DBR層は、空間である空隙層と、半導体からなる半導体層とを交互に繰り返し積層させた構造である、ことを特徴とする発光素子である。
【0014】
DBR層の半導体層は、スパッタ、CVDまたは蒸着によって形成してもよい。
【0015】
空隙層の厚さは、10~100nmとするとよい。
【0016】
発光素子は、面発光レーザーや、リッジ構造の端面発光レーザーであってよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、光閉じ込め効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態の半導体発光素子100の構成を示した図。
図2】第1の実施形態の半導体発光素子100の構成を示した図。
図3】柱状半導体130の配列を示した図。
図4】柱状半導体130の断面を示した図。
図5】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図6】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図7】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図8】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図9】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図10】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図11】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図12】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造工程を示した図。
図13】第1の実施形態の変形例を示した図。
図14】第1の実施形態の変形例を示した図。
図15】第2の実施形態の半導体発光素子200の構成を示した図。
図16】第1DBR層220の構成を示した図。
図17】第2の実施形態の半導体発光素子200の製造工程を示した図。
図18】第2の実施形態の半導体発光素子200の製造工程を示した図。
図19】第2の実施形態の半導体発光素子200の製造工程を示した図。
図20】第2の実施形態の半導体発光素子200の製造工程を示した図。
図21】第2の実施形態の半導体発光素子200の製造工程を示した図。
図22】第2の実施形態の半導体発光素子200の製造工程を示した図。
図23】第2の実施形態の半導体発光素子200の製造工程を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具体的な実施形態について、半導体発光素子を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本開示はこれらの実施形態に限定されるものではない。また、後述する半導体発光素子の各層の積層構造および電極構造は、例示である。実施形態とは異なる積層構造であってもよい場合がある。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0020】
(第1の実施形態)
1.半導体発光素子
図1は、第1の実施形態の半導体発光素子100の断面を示した図である。図2は、半導体発光素子100の一部を拡大して示した図である。半導体発光素子100は、リッジ構造を有する端面発光レーザーであり、発振波長はたとえば430nmである。また、図1、2に示すように、半導体発光素子100は、基板110と、空隙層120と、柱状半導体130と、埋め込み層140と、カソード電極N1と、アノード電極P1と、を有する。
【0021】
基板110は、柱状半導体130を成長させる成長基板であり、かつ、柱状半導体130を支持するためのものである。基板110は、導電性基板111と、導電性基板111上に位置するn型半導体層(第1半導体層)112と、を有する。
【0022】
導電性基板111は、例えば、主面をc面とするn型GaN基板や、Si、SiCである。
【0023】
n型半導体層112は、例えば、Siドープのn型GaN層である。n型半導体層112の厚さは、例えば1~5μmである。
【0024】
図1、2に示すように、柱状半導体130は、柱状のIII 族窒化物半導体である。柱状半導体130は、基板110の上に形成されている。柱状半導体130は、六角柱形状をしている。柱状半導体130における中心軸方向に垂直な断面は、正六角形または扁平形状の六角形である。柱状半導体130は、正方格子状に配置されている(図3参照)。正方格子状以外にも、平行体格子、矩形格子、斜方格子、正三角格子、ハニカム状などの周期的配列であってもよい。
【0025】
柱状半導体130の配置は、n型半導体層112の結晶方位に沿った配置が好ましい。たとえば、柱状半導体130をウルツ鉱構造であるIII 族窒化物半導体の{0001}面に三角格子で配置する場合、その三角格子がIII 族窒化物半導体の任意の結晶方位と重なる、あるいは30°回転した関係で配置することが好ましい。一方、柱状半導体130を正方格子で配置する場合、その配列は2回対称となりIII 族窒化物半導体の{0001}面の対称性と異なる。その場合、正方格子の一辺をIII 族窒化物半導体の任意の結晶方位と合わせることが好ましい。このように柱状半導体130の配置をn型半導体層112の結晶方位に揃えることで、埋め込み層140の成長モードが安定する傾向となり、埋め込みしやすくなる傾向にある。もちろん、柱状半導体130の配置はn型半導体層の結晶方位とずれていてもよく、全く異なっていてもよい。
【0026】
埋め込み層140は、柱状半導体130と柱状半導体130との間の隙間を埋め込むための層である。ただし、基板110と埋め込み層140との間には隙間が空いている。この隙間は後述の空隙層120である。埋め込み層140は、柱状半導体130を覆っている。埋め込み層140表面は平坦である。埋め込み層140の材料は、例えば、Mgドープのp-GaNである。埋め込み層140を設けることにより光取り出し率の向上を図っている。
【0027】
なお、第1の実施形態では、埋め込み層140の材料はGaNであるが、AlGaNを用いてもよい。また、埋め込み層140上に埋め込み層140よりも低屈折率な材料からなる層を設けることで、上面での反射率を向上させ、光閉じ込め効率を向上させてもよい。たとえば、埋め込み層140としてGaNを用い、埋め込み層140上にAlGaNからなる層を設けてもよい。
【0028】
空隙層120は、基板110と埋め込み層140との間の空間であり、空気により満たされた領域である。詳しくは後述の製造方法の段で述べるが、空隙層120は柱状n型半導体131を選択成長させるためのマスク150を除去することにより生じた空間である。空隙層120は、柱状n型半導体131の存在する領域を除いて連続的で均一な厚さの1つの膜として存在している。
【0029】
空隙層120は空気で満たされた空間のため、屈折率が低く、埋め込み層140との屈折率差が大きくなる。そのため、埋め込み層140と空隙層120との界面での反射率を高くすることができ、基板110垂直方向における光閉じ込め効率を向上させることができる。また、空隙層120は空気で満たされた空間であるため面内に均質であり、マスク150よりも絶縁性も高いため、n型半導体層112と埋め込み層140との間の電流リークを抑制することができる。
【0030】
空隙層120の厚さは、たとえば10~100nmである。10nm以上とすることで、絶縁性を十分とすることができる。また、100nm以下とすることで、柱状半導体130を精度よく選択成長させることができる。空隙層120は、柱状半導体130を選択成長させるためのマスク150が形成されていた領域であるため、空隙層120の厚さはマスク150の厚さ以上となる。
【0031】
空隙層120に替えて、空隙層と半導体層とを所定の厚さで交互に繰り返し積層させたDBR層としてもよい。半導体層は、たとえばGaNやAlGaNであり、スパッタ、CVDや蒸着により形成された層である。半導体層はノンドープでもよいし、n型でもよい。DBR層における空隙層もまた、空隙層120と同様にマスクの除去によって形成された空気で満たされた空間である。このようなDBR層とすることで反射率をより向上させることができ、光閉じ込め効率を向上させることができるので、半導体発光素子100のレーザーの特性をより向上させることができる。
【0032】
なお、第1の実施形態では空隙層120は空気が満たしているとしているが、窒素など他の気体により満たされていてもよいし、真空であってもよい。
【0033】
半導体発光素子100は、図1のように、リッジ構造170を有している。すなわち、平面視で一部領域が、埋め込み層140および柱状半導体130については全て、n型半導体層112については一部または全てがエッチングにより除去され、長尺な直方体状に残されている。ここで、上方から見たときにリッジの長方形の各辺は、柱状半導体130の正方格子状の配列方向と一致するようにしている。リッジ構造170の側面および底面は絶縁膜160により覆われている。また、リッジ端面の一方には全反射膜、他方には半反射膜が設けられている。いずれも図示しない。半反射膜は、たとえば半導体発光素子100の発振波長に対して反射率が10~30%の膜である。全反射膜は、たとえば半導体発光素子100の発振波長に対して反射率が90%以上の膜である。また、全反射膜および半反射膜は、たとえば低屈折率材料と高屈折率材料を所定の厚さで交互に繰り返し積層させたDBR構造である。
【0034】
カソード電極N1は、基板110の裏面に形成されている。
【0035】
アノード電極P1は、リッジ構造の上面(埋め込み層140上)に形成されている。
【0036】
パッド電極PADは、アノード電極P1上および絶縁膜160上に連続して形成されている。
【0037】
2.柱状半導体
図2のように、柱状半導体130は、柱状n型半導体131と、活性層132と、を有する。柱状n型半導体131の側面は、m面である。または、m面に近い面である。m面は非極性面である。そのため、活性層132において、ピエゾ分極による発光効率の低下がほとんどない。
【0038】
2-1.柱状半導体の構造
柱状n型半導体131は、n型半導体層112表面を起点に柱状に選択成長させた半導体層である。柱状n型半導体131は、六角柱形状をしている。この六角柱の軸方向に垂直な断面は、正六角形または扁平形状の六角形である。柱状n型半導体131は、例えば、n型GaN層である。
【0039】
柱状n型半導体131の高さは、例えば、0.25μm以上5μm以下である。柱状n型半導体131の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。ここで、径とは、柱状n型半導体131の六角形の外接円をとったときの外接円の直径である。柱状n型半導体131の間隔(隣接する柱状半導体130の中心間の距離)は、例えば、0.27μm以上5μm以下である。これらの数値は例示であり、上記以外の数値であってもよい。
【0040】
活性層132は、六角柱形状の柱状n型半導体131の外周に沿って形成されている。そのため、活性層132は、六角筒形状を備える。活性層132は、例えば、1個以上5個以下の井戸層と、井戸層を挟む障壁層と、を有する。活性層132の井戸層は、基板110の板面にほぼ垂直である。ただし、活性層132の頂部は、柱状n型半導体131の頂部を覆っていてもよい。活性層132の頂部は、基板110の板面にほぼ平行であってもよい。例えば、井戸層はInGaN層であり、障壁層はAlGaInN層である。なお、活性層132の基板110側端部はn型半導体層112に接しておらず、空隙層120により隔てられている。
【0041】
なお、第1の実施形態では、柱状n型半導体131はn型GaN層であり、井戸層はInGaN層であり、障壁層はAlGaInN層であり、筒状p型半導体133はp型GaN層であるが、これらは例示であり、その他のIII 族窒化物半導体であってもよい。また、その他の半導体であってもよい。
【0042】
また、柱状半導体130の頂部に透明絶縁膜を設けてもよい。柱状半導体130の側面からの電流注入を促進させることができ、柱状半導体130の頂部に流れる電流が阻止され、柱状半導体130の側面から良好に電流注入を行うことができる。これにより発光効率の向上を図ることができる。
【0043】
2-2.断面形状
図4は、図2のIV-IV 断面を示す断面図である。図4は、柱状半導体130における基板110の板面に平行な断面を示している。図4に示すように、柱状半導体130における軸方向に垂直な断面の形状は、正六角形である。そして、六角柱形状の柱状半導体130の内側から、柱状n型半導体131と、活性層132と、筒状p型半導体133と、トンネル接合層134が同心六角形状に配置されている。なお、柱状半導体130における軸方向に垂直な断面の形状は、正六角形である必要はなく、扁平な六角形であってもよい。
【0044】
3.半導体発光素子の製造方法
3-1.基板準備工程
図5に示すように、成長基板111を準備する。そして、成長基板111の上に、MOCVD法によってn型半導体層112を順に積層する。以下、半導体層の形成にはいずれもMOCVD法を用いている。
【0045】
3-2.マスク形成工程
次に、図6に示すように、n型半導体層112の上にマスク150を形成する。たとえばスパッタやCVDによって形成する。マスク150の厚さは10~100nmである。なお、図6には、後述する開口部形成工程で形成される開口部150aが描かれている。マスク150の材料は、SiO2 である。他にも、表面での半導体の成長を阻害する材料であれば任意の材料を用いてよく、例えば、SiNx 、Al2 3 が挙げられる。
【0046】
3-3.開口部形成工程
次に、図6に示すように、マスク150にn型半導体層112を露出させる複数の開口部150aを形成する。マスク150のパターニングは、たとえばナノインプリントを用いる。開口部1150aの直径は、たとえば100~500nmである。図7は、マスク150の開口部150aの配列を示す図である。図7は、基板110の板面に垂直な方向から基板110を視た図である。図7には、参考のために、柱状半導体130の形状が破線で描かれている。図7に示すように、マスク150の開口部150aが円形で正方格子状に配列されている。
【0047】
なお、マスク150の開口部150aの形状を変えることで、柱状半導体130の形状を制御することができる。開口部150aの形状が円形の場合には、正六角形に近い断面形状を有する柱状半導体130を形成することができる。開口部150aの形状がオーバル形状の場合には、扁平形状に近い断面形状を有する柱状半導体130を形成することができる。
【0048】
3-4.柱状半導体形成工程
次に、図8に示すように、柱状半導体130を形成する。まず、マスク150の開口部150aの下に露出しているn型半導体層112を起点にして、六角柱形状の柱状n型半導体131を選択的に成長させる。そのために、公知の選択成長の技術を用いればよい。このように半導体層を選択成長させる場合に、m面がファセットとして表出しやすい。
【0049】
前述したように、マスク150の開口部150aが円形形状であるため、断面が正六角形に近い六角柱形状の柱状n型半導体131が成長する。
【0050】
次に、柱状n型半導体131の周囲に活性層132を形成する。活性層132は、断面が正六角形に近い形状の柱状n型半導体131の側面に形成される。また、活性層132が柱状n型半導体131の頂部にも形成される。このようにして、柱状半導体130が形成される。
【0051】
3-5.埋め込み層形成工程
次に、図9に示すように、柱状半導体130と柱状半導体130との隙間を埋め込み層140で埋める。
【0052】
3-6.電極形成工程
次に、図10に示すように、埋め込み層140の上にアノード電極P1を形成する。
【0053】
3-7.リッジ形成工程
次に、図11に示すように、埋め込み層140表面の所定領域を導電性基板111またはn型半導体層112が露出するまでエッチングし、リッジ構造を形成する。ここではリッジはストライプ状であり、まだ個々の素子ごとには分離させない。
3-8.マスク除去工程
次に、図12に示すように、エッチングによってマスク150を除去し、その除去された領域をそのまま残すことで空隙層120を形成する。エッチングはドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。ドライエッチングの場合、エッチングガスはたとえばフッ素系ガスを用いる。ウェットエッチングの場合、エッチング溶液はたとえばフッ酸を用いる。
【0054】
マスク150は完全には除去しきれなくともよく、たとえばマスク150全体の体積に対して10%以下の残渣が残ってもよい。
【0055】
導電性基板111がc面GaN基板である場合、空隙層120下面120aであるn型半導体層112の表面は+c面((0001)面)となり、空隙層120上面120bである埋め込み層140の裏面は-c面((000-1)面)となる。つまり、空隙層120の下面120aと上面120bとでGaNの極性が異なる。また、GaN基板がc面以外の面方位であっても、空隙層120の下面120aと上面120bとで極性が異なる場合がある。このように空隙層120の下面120aと上面120bとで極性が異なる場合、エッチングの異方性によって空隙層120の下面120aよりも上面120bの方がエッチングが進み、空隙層120の上面120bは下面120aよりも表面粗さ(たとえばRaやRz)が大きくなる場合がある。この場合、エッチング条件を調整することにより、空隙層120の上面120bと下面120aの表面粗さを同じにすることが可能である。
【0056】
上記のように、マスク150をエッチングする際、空隙層120の上面120bである埋め込み層140裏面や、空隙層120の下面120aであるn型半導体層112表面も多少エッチングされる場合がある。そのため、空隙層120の厚さは、マスク150の厚さ以上となる。
【0057】
3-9.絶縁膜形成工程
次に、リッジ側面および底面に連続して絶縁膜160を形成する。
【0058】
3-10.パッド電極形成工程
次に、アノード電極P1上および絶縁膜160上に連続してパッド電極PADを形成する。
【0059】
3-11.カソード電極形成工程
次に、基板110裏面を研磨し、基板110裏面にカソード電極N1を形成する。
【0060】
3-12.端面形成工程
次に、エッチングまたはレーザースクライブとブレーキングによってリッジを個々の素子ごとに分離し、リッジの端面を露出させる。そして、一方の端面に全反射膜、他方の端面に半反射膜を形成する。次に、個々のチップに分離し、図1、2に示す第1の実施形態の半導体発光素子100が製造される。
【0061】
4.第1の実施形態の効果
第1の実施形態では、柱状半導体130の選択成長に用いるマスク150を除去して空隙層120を形成している。空隙層120はマスク150よりも屈折率が低いので、埋め込み層140との屈折率差が大きくなる。その結果、埋め込み層140と空隙層120との界面での反射率を高くすることができ、基板110垂直方向における光の閉じ込め効率を向上させることができ、レーザーの特性を向上させることができる。また、空隙層120は空気であるためマスク150の材料であるSiO2 よりも絶縁性が高く、面内において均質である。そのため、埋め込み層140とn型半導体層112との間の電流リークを抑制することができる。
【0062】
5.変形例
5-1.半導体発光素子の素子構造
第1の実施形態では、基板110の裏面にカソード電極N1を設けて基板110主面に垂直に導通を取る縦型の構造としているが、アノード電極P1と同じ側にカソード電極N1を設ける素子構造としてもよい。その場合、埋め込み層140上面側からエッチングしてn型半導体層112または導電性基板111を露出させ、その露出したn型半導体層112または導電性基板111の上にカソード電極N1を形成すればよい。
【0063】
5-2.トンネルジャンクション構造
第1の実施形態では、埋め込み層140をp型としているが、トンネルジャンクション構造を用いることにより、埋め込み層140をn型とすることができる。これにより導電性を向上させ、光吸収を低減させることができ、発光効率の向上を図ることができる。
【0064】
具体的には、図13のように、柱状半導体130に、筒状p型半導体133と、トンネル接合層134とをさらに加える。
【0065】
筒状p型半導体133は、六角筒形状を備える活性層132の外周に沿って形成されている。そのため、筒状p型半導体133は、六角筒形状を備える。筒状p型半導体133は、活性層132と直接に接触するが、柱状n型半導体131と直接には接触しなくともよい。筒状p型半導体133は、例えば、p型GaN層である。活性層132と筒状p型半導体133の間に電子障壁層を設けてもよい。電子障壁層は、筒状p型半導体133よりもバンドギャップの大きなp型半導体である。たとえばp-AlGaInNである。電子障壁層を設けることにより電子を効率的に活性層132に注入することができ、発光効率を向上させることができる。
【0066】
トンネル接合層134は、筒状p型半導体133の外周に沿って形成されている。そのため、トンネル接合層134は、六角筒形状を備える。トンネル接合層134は、p+層135と、n+層136と、を有する。p+層135は、筒状p型半導体133とn+層136との間の位置にある。p+層135は、高いp型不純物濃度を有する層であり、例えばp-GaNである。p+層135のMg濃度は、例えば、2×1020cm-3である。n+層136は、高いn型不純物濃度を有する層であり、例えばn-GaNである。n+層272のSi濃度は、例えば、4×1020cm-3である。トンネル接合層134を設けることにより、埋め込み層140をn型とした場合でも導通を取ることができるようにしている。
【0067】
なお、筒状p型半導体133およびトンネル接合層134のいずれも、その基板110側端部はn型半導体層112に接しておらず、空隙層120によって隔てられている。
【0068】
図14は、図13のIV-IV 断面を示す断面図である。図14は、柱状半導体130における基板110の板面に平行な断面を示している。図14に示すように、柱状半導体130における軸方向に垂直な断面の形状は、正六角形である。そして、六角柱形状の柱状半導体130の内側から、柱状n型半導体131と、活性層132と、筒状p型半導体133と、トンネル接合層134が同心六角形状に配置されている。
【0069】
(第2の実施形態)
1.半導体発光素子
図15は、第2の実施形態の半導体発光素子200の断面を示した図である。図15のように、半導体発光素子100は、面発光レーザーである。発振波長はたとえば430nmである。また、図15に示すように、半導体発光素子100は、基板110と、柱状半導体130と、埋め込み層140と、第1DBR層220と、第2DBR層221と、カソード電極N1と、アノード電極P2と、を有する。第1の実施形態と同一の構成については同一の符号としており、説明は省略する。
【0070】
第1DBR層220は、第1の実施形態の空隙層120に替えて設けられた層である。第1DBR層220は、空隙層120と同様に、基板110と埋め込み層140との間であって、柱状半導体130の存在する領域を除いて連続的に存在している。
【0071】
第1DBR層220は、図16に示すように、空隙層220Aと半導体層220Bとを所定の厚さで交互に繰り返し積層させた構造である。空隙層220Aは、第1の実施形態における空隙層120と同様に、マスクを除去することにより生じた空間であり、空気により満たされた空間である。半導体層220Bは、たとえばn-GaNやn-AlGaNであり、スパッタ、CVDや蒸着により形成された層である。半導体層220Bはノンドープでもよいし、n型でもよい。第1DBR層220の空隙層220Aおよび半導体層220Bの厚さは、第1DBR層220が全反射膜として機能するように設定されている。たとえば、半導体発光素子200の発振波長に対して反射率が90%以上となるように設定されている。第1DBR層220の最上層は空隙層220Aとすることが好ましい。また、第1DBR層220の最下層は、空隙層220Aとすることが好ましい。
【0072】
第1DBR層220では、空隙層220Aを用いているため半導体層220Bとの屈折率差が大きくなる。そのため、少ない積層数で反射率を向上させることができ、製造が容易となる。また、導電性基板111とn型半導体層112との間や、基板110とカソード電極N1との間にDBR層を設ける場合に比べて、より高い光閉じ込め効果を得られる。
【0073】
第2DBR層221は、埋め込み層140上に設けられた層である。第2DBR層211は、2つの屈折率の異なるp型半導体層を所定の厚さで交互に繰り返し積層させた構造である。たとえば、GaNとAlGaNを交互に繰り返し積層させた構造や、GaNとINGaNを交互に繰り返し積層させた構造である。第2DBR層211の各層の厚さは、第2DBR層211が半反射膜として機能するように設定されている。たとえば、半導体発光素子200の発振波長に対して反射率が10~30%となるように設定されている。
【0074】
半導体発光素子200では、第1DBR層220と第2DBR層211によって共振器を構成しており、基板110に垂直な方向であってアノード電極P2側から光を取り出す構成の面発光レーザーとなっている。
【0075】
アノード電極P2は、第2DBR層211上であって端部の領域に環状に設けられている。このようなパターンとすることで、アノード電極P2による光の吸収を抑制し、光取り出しを阻害しないようにしている。
【0076】
2.半導体発光素子の製造方法
2-1.基板準備工程
まず、成長基板111を準備する。そして、成長基板111の上に、MOCVD法によってn型半導体層112を順に積層する。以下、半導体層の形成にはいずれもMOCVD法を用いている。
【0077】
2-2.マスク形成工程
次に、図17に示すように、n型半導体層112の上にマスク250を形成し、マスク250にn型半導体層112を露出させる複数の開口部250aを形成する。マスク250は、たとえばスパッタやCVDによって形成する。マスク250のパターニングは、たとえばナノインプリントを用いる。開口部250aの直径は、たとえば100~500nmである。マスク250の材料は、SiO2 である。他にも、表面での半導体の成長を阻害する材料であれば任意の材料を用いてよく、例えば、SiNx 、Al2 3 が挙げられる。
【0078】
2-3.半導体層形成工程
次に、図18に示すように、マスク250上に半導体層220Bを形成し、半導体層220Bに開口部220Baを形成する。この開口部220Baは、開口部250a上に同一のパターンで形成する。半導体層220Bは、たとえばスパッタや蒸着によって形成する。半導体層220Bの材料は、たとえばn-GaNである。半導体層220Bのパターニングは、たとえばナノインプリントを用いる。
【0079】
2-6.積層体形成工程
図19に示すように、開口部250aを有したマスク250と、開口部220Baを有した半導体層220Bを繰り返し積層させ、開口部252aを有した積層体252を形成する。
【0080】
2-7.柱状半導体形成工程
次に、図20に示すように、柱状半導体130を形成する。まず、積層体252の開口部252aの下に露出しているn型半導体層112を起点にして、六角柱形状の柱状n型半導体131を選択的に成長させる。積層体252の開口部252aが円形形状であるため、断面が正六角形に近い六角柱形状の柱状n型半導体131が成長する。
【0081】
次に、柱状n型半導体131の周囲に活性層132を形成する。活性層132は、断面が正六角形に近い形状の柱状n型半導体131の側面に形成される。また、活性層132が柱状n型半導体131の頂部にも形成される。このようにして、柱状半導体130が形成される。
【0082】
2-8.埋め込み層形成工程
次に、図21に示すように、柱状半導体130と柱状半導体130との隙間を埋め込み層140で埋める。
【0083】
2-9.第2DBR層形成工程
次に、図22に示すように、埋め込み層140上に、屈折率の異なる2種のp型III 族窒化物半導体を繰り返し積層し、第2DBR層211を形成する。
【0084】
2-9.電極形成工程
次に、第2DBR層211上に所定のパターンのアノード電極P2を形成する。
【0085】
2-10.素子分離溝形成工程
次に、第2DBR211表面の所定領域を導電性基板111が露出するまでエッチングし、素子分離溝を形成する。なお、素子分離溝は図示しない。
【0086】
2-11.マスク除去工程
次に、図23に示すように、エッチングによってマスク250を除去し、その除去された領域をそのまま残すことで空隙層220Aを形成する。これにより、空隙層220Aと半導体層220Bとが交互に繰り返し積層された第1DBR層220を形成する。エッチングはドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。ドライエッチングの場合、エッチングガスはたとえばフッ素系ガスを用いる。ウェットエッチングの場合、エッチング溶液はたとえばフッ酸を用いる。
【0087】
2-12.絶縁膜形成工程
次に、素子分離溝の側面および底面に絶縁膜を形成する。
【0088】
2-13.カソード電極形成工程
次に、基板110裏面を研磨し、基板110裏面にカソード電極N1を形成する。次に、個々のチップに分離し、図15に示す第2の実施形態の半導体発光素子200が製造される。
【0089】
3.第2の実施形態の効果
第2の実施形態では、第1DBR層220が空隙層220Aと半導体層220Bを交互に繰り返し積層させた構造である。この空隙層220Aはマスク250よりも屈折率が低いので、半導体層220Bとの屈折率差が大きくなる。その結果、第1DBR層220の反射率を向上させることができ、積層数も少なくすることができる。よって、基板110垂直方向における光の閉じ込め効率を向上させることができ、レーザーの特性を向上させることができる。
【0090】
4.変形例
第1の実施形態において述べた各種変形例は、第2の実施形態においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示の発光素子は、レーザーダイオードとして利用できる。
【符号の説明】
【0092】
100、200…半導体発光素子
110…基板
111…導電性基板
112…n型半導体層
120…空隙層
130…柱状半導体
131…柱状n型半導体
132…活性層
133…筒状p型半導体
134…トンネル接合層
140…埋込層
150…マスク
220…第1DBR層
221…第2DBR層
N1、N2…カソード電極
P1、P2…アノード電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23