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  • 特開-ロボットシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184267
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092019
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707LS15
3C707LS19
3C707MS29
(57)【要約】
【課題】
複雑な処理を行うことなくロボットの移動経路の動作確認をすることができ、ロボットを安全に運用することが可能なロボットシステムを提供する。
【解決手段】
本発明にかかるロボットシステム100の構成は、ロボット110と、ロボット110の動作を制御する動作制御部122と、ロボット110の動作を制限するロボット監視部124と、ロボット110の動作確認テーブル130を記憶している記憶部126と、動作確認テーブル130は、ロボット110の始点から終点までの移動経路の動作確認データを格納していることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、
前記ロボットの動作を制御する動作制御部と、
前記ロボットの動作を制限するロボット監視部と、
前記ロボットの動作確認テーブルを記憶している記憶部と、
前記動作確認テーブルは、前記ロボットの始点から終点までの移動経路の動作確認データを格納していることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記動作確認データは、前記ロボットが始点から終点までの間に経由する中間経由位置を含むことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全に運用することが可能なロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の生産現場では、ロボットハンドのような産業用機械が用いられている。このような産業用機械は、制御装置に接続されていて、かかる制御装置によって動作が制御される。例えば特許文献1にはロボット装置の制御方法およびロボット装置が開示されている。
【0003】
特許文献1のロボット装置の制御方法では、制御装置は、教示データの変更前後の差分を抽出する差分検出行程と、差分検出行程で抽出された差分に係る制御ステップがロボットアームの動作に及ぼす影響範囲を判断する影響範囲判断行程を実行する。そして制御装置は、影響範囲に含まれロボットアームを動作させる制御ステップに対し、確認動作が未実施であることを示す動作確認情報を付加する情報付加行程を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-83730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のロボット装置の制御方法では、1つの制御プログラムを変更した場合、その変更の影響範囲に含まれるすべての制御プログラムに関して修正をし、動作確認情報の有無を確認して確認情報を付加しなくてはいけない。このような制御方法であると、制御プログラムが簡略であれば十分に対応可能であるが、制御プログラムが複雑であった場合、すべての制御プログラムの動作確認を確実に行うことは極めて困難である。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、複雑な処理を行うことなくロボットの移動経路の動作確認をすることができ、ロボットを安全に運用することが可能なロボットシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるロボットシステムの代表的な構成は、ロボットと、ロボットの動作を制御する動作制御部と、ロボットの動作を制限するロボット監視部と、ロボットの動作確認テーブルを記憶している記憶部と、動作確認テーブルは、ロボットの始点から終点までの移動経路の動作確認データを格納していることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、動作確認テーブルに移動経路の動作確認データが格納されていたら、動作制御部は、その移動経路においてロボットを動作させる。一方、動作確認テーブルに移動経路の動作確認データが格納されていなかったら、動作制御部は、ロボット監視部によってロボットの動作を制限する。したがって、動作確認テーブルを参照することで移動経路の動作確認が済んでいるか否かを判断可能である。これにより、複雑な処理を行うことなくロボットの移動経路の動作確認をすることができ、ロボットを安全に運用することが可能となる。
【0009】
上記動作確認データは、ロボットが始点から終点までの間に経由する中間経由位置を含むとよい。かかる構成によれば、中間経由位置を含んだロボットの移動経路を記憶することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複雑な処理を行うことなくロボットの移動経路の動作確認をすることができ、ロボットを安全に運用することが可能なロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態にかかるロボットシステムの全体構成を説明する図である。
図2】動作確認テーブルの例を説明する図である。
図3】本実施形態のロボットシステムの動作を説明するフローチャートである。
図4】動作確認が未完了の移動経路の動作確認データの入力について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は本実施形態にかかるロボットシステム100の全体構成を説明する図である。ロボットシステム100は、ロボット110と、ロボット制御装置120を備えている。ロボット制御装置120には、ロボット110の動作を制御する動作制御部122と、ロボット110の動作を制限するロボット監視部124と、記憶部126が備えられている。ロボット監視ユニット124は、ロボット制御装置120と同じCPUで演算してもよいし、異なるCPU(増設ボードなど)で演算してもよい。
【0014】
記憶部126には、動作プログラム、および可動範囲や動作速度などの諸条件が記憶されている。また本実施形態のロボットシステム100の特徴として、記憶部126には、ロボット110の動作確認テーブル130が記憶されている。
【0015】
図2は動作確認テーブル130の例を説明する図である。図2に示すように動作確認テーブル130では、ロボット110の始点をABCDEFGとし、始点以外のABCDEFGをロボット110の終点とした際のロボット110の各移動経路における動作確認データが格納されている。動作確認が完了している移動経路においては、その終点が動作確認データとして格納されている。一方、動作確認が完了していない移動経路については、動作確認データが存在しないため「NULL」と入力されている。
【0016】
また図2に示すように、例えば始点をCまたはFのいずれか一方とし、終点を他方とした場合のロボットの移動経路は、中間経由位置F´を含んでいる。このように、中間経由位置を含む場合には、中間経由位置が動作確認テーブル130に格納されている。かかる構成によれば、例えばロボットがCからFの間で直線的に動いた際に他のロボット等と干渉するような事態を好適に回避することができる。
【0017】
なお、ロボット110の動作には、始点と終点を指定して、直線補完、各軸補完、円弧補完等の様々な種類がある。このため、動作確認テーブル130は、補完種類ごとに設けるとよい。これにより、いずれの補完種類においてもロボット110が最適に動作することが可能となる。
【0018】
図3は本実施形態のロボットシステム100の動作を説明するフローチャートである。なお、図3では、図2の動作確認テーブル130に基づいたロボット110の制御について説明する。また図3に示す本実施形態のロボットシステム100の動作では、ロボット110をEを終点として移動させる場合(コマンドがEへの移動である場合)を想定している。
【0019】
まず動作制御部122は、ロボット110の移動の終点をEに設定する(S202)。そして、動作制御部122は、記憶部126に記憶されている動作確認テーブル130を参照し、ロボット110の現在位置が始点Aであるか(直前のコマンドがAの移動であるか否か)を判断する(S204)。ロボット110の現在位置が始点Aであった場合(S204のYES)、EからAへの移動経路の動作確認は完了しているため、動作制御部122は、ロボット110に対して始点Aから終点Eへ移動する指示を送信する(S206)。
【0020】
ロボットの現在位置が始点Aではなかった場合(S204のNO)、動作制御部122は、ロボット110の現在位置が始点Bであるかを判断する(S208)。ロボット110の現在位置が始点Bであった場合(S208のYES)、EからBへの移動経路の動作確認は完了しているため、動作制御部122は、ロボット110に対して始点Bから終点Eへ移動する指示を送信する(S210)。
【0021】
ロボット110の現在位置が始点Bではなかった場合(S208のNO)、動作制御部122は、ロボット110の現在位置が始点Cであるかを判断する(S212)。ロボット110の現在位置が始点Cであった場合(S212のYES)、CからEへの移動経路の動作確認は完了しているため、動作制御部122は、ロボット110に対して始点Bから終点Eへ移動する指示を送信する(S214)。
【0022】
ロボット110の現在位置が始点Cではなかった場合(S212のNO)、動作制御部122は、ロボットの現在位置が始点Dであるかを判断する(S216)。ロボット110の現在位置が始点Dであった場合(S216のYES)、DからEへの移動経路の動作確認は完了しているため、動作制御部122は、ロボット110に対して始点Dから終点Eへ移動する指示を送信する(S218)。
【0023】
ロボット110の現在位置が始点Dではなかった場合(S216のNO)、動作制御部122は、ロボット110の現在位置が始点Eであるかを判断する(S220)。ロボットの現在位置が始点Eであった場合(S220のYES)、始点と終点が同じであるため、動作確認テーブル130には移動経路は存在しない。このため動作制御部122は、ロボット110を移動させない(S222)。
【0024】
ロボット110の現在位置が始点Eではなかった場合(S220のNO)、動作制御部122は、ロボット110の現在位置が始点Fであるかを判断する(S224)。ロボット110の現在位置が始点Fであった場合(S224のYES)、FからEへの移動経路の動作確認は完了しているため、動作制御部122は、ロボット110に対して始点Fから終点Eへ移動する指示を送信する(S226)。
【0025】
ロボット110の現在位置が始点Fではなかった場合(S224のNO)、動作制御部122は、ロボットの現在位置が始点Gであると判断する(S228)。このとき、動作確認テーブル130においてFからGへの移動経路の動作確認情報は入力されていない。したがって、動作制御部122は、ロボット監視部124に指示を送信し、ロボット監視部124はロボット110に動作制限をかける(S230)。
【0026】
上記説明したように本実施形態のロボットシステム100によれば、動作確認テーブル130に移動経路の動作確認データが格納されていたら、動作制御部122はその移動経路においてロボット110を動作させる。一方、動作確認テーブル130に移動経路の動作確認データが格納されていなかったら、動作制御部122は、ロボット監視部124によってロボット110の動作を制限する(ロボットを移動させない)。このように本実施形態のロボットシステム100は、動作確認テーブル130を参照することで移動経路の動作確認が済んでいるか否かを判断することができる。したがって、複雑な処理を行うことなくロボット110の移動経路の動作確認をすることができ、ロボット110を安全に運用することが可能となる。
【0027】
図4は、動作確認が未完了の移動経路の動作確認データの入力について説明する図である。図4(a)および(b)では、ロボットシステム100における不図示の表示装置(例えばモニターやティーチングペンダント)に表示されるインターフェイスを例示している。
【0028】
例えば図2に示す動作確認テーブルでは、始点Eから終点Gへのロボットの移動経路については動作確認情報が入力されていない。このような場合、かかる移動経路においてロボット110を移動させようとすると、図4(a)に例示するダイアログ140aが表示装置に表示される。このとき、操作者が「いいえ」を選択すると、そのまま処理が終了する。一方、操作者が「はい」を選択すると、動作確認処理が開始される。
【0029】
動作確認処理が開始されると、図4(b)に例示するダイアログ140bが表示装置に表示される。そして、ロボット110が中間経由位置を経由することなく始点Eから終点Gに移動可能であった場合には、「確認完了」を選択する。これにより始点Eから終点Gへの移動経路の動作確認情報が動作確認テーブル130に格納される。
【0030】
一方、ロボット110が始点Eから終点Gに移動する際に他のロボット等と干渉する場合には、「中間経由位置の設定」を選択することで、始点Eから終点Gまでの中間経由位置G´を設定することができる。これにより、始点Eから終点Gへの移動経路の動作確認情報が中間経由位置G´を含んで動作確認テーブル130に格納される。「中断」を選択すると、動作確認処理が終了する。
【0031】
このように本実施形態のロボットシステム100によれば、動作確認テーブル130に動作確認情報が格納されていない移動経路について操作者が任意に動作確認を行うことができる。また図4において説明した動作確認処理によれば、すでに動作確認テーブル130に動作確認情報が格納されている移動経路を変更する場合にも、中間経由位置を設定することが可能である。
【0032】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は斯かる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、ロボットシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
100…ロボットシステム、110…ロボット、120…ロボット制御装置、122…動作制御部、124…ロボット監視部、126…記憶部、130…動作確認テーブル、140a…ダイアログ、140b…ダイアログ
図1
図2
図3
図4