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  • 特開-ロボットビジョンシステム 図1
  • 特開-ロボットビジョンシステム 図2
  • 特開-ロボットビジョンシステム 図3
  • 特開-ロボットビジョンシステム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184269
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ロボットビジョンシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20221206BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20221206BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01B11/00 H
B25J13/08 A
G01C3/06 120P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092021
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】三本木 將夫
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
3C707
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065BB05
2F065DD02
2F065FF05
2F065JJ03
2F065LL30
2F065MM06
2F065MM16
2F065PP25
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ29
2F065QQ31
2F065UU05
2F112AC06
2F112BA10
2F112CA04
2F112CA12
2F112DA32
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA35
2F112FA45
3C707AS01
3C707BS10
3C707CY36
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS07
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT11
3C707KX06
(57)【要約】
【課題】複数のカメラを用いることなく複数の画像を得ることができ、装置の小型化および装置コストの削減を図ることが可能なロボットビジョンシステムを提供する。
【解決手段】本発明のロボットビジョンシステム100の構成は、カメラ106を有するロボットビジョンシステム100において、ロボットのハンド軸の回転中心と光軸とを一致させて配置されたカメラ106と、カメラ106の瞳を半分遮蔽するシャッタ108と、カメラを光軸を中心に回転させて撮像した複数の画像から視差情報を算出する視差情報算出部116と、視差情報から被写体(ワーク200)の距離情報を算出する距離情報算出部118とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを有するロボットビジョンシステムにおいて、
ロボットのハンド軸の回転中心と光軸とを一致させて配置されたカメラと、
前記カメラの瞳を半分遮蔽するシャッタと、
前記カメラを光軸を中心に回転させて撮像した複数の画像から視差情報を算出する視差情報算出部と、
前記視差情報から被写体の距離情報を算出する距離情報算出部とを備えたことを特徴とするロボットビジョンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを有するロボットビジョンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等の生産現場において、ロボットアーム等の産業用機械が用いられている。例えば特許文献1には、ロボットとステレオカメラから構成されるロボットシステムが開示されている。特許文献1のステレオカメラは、第1の撮像部および第2の撮像部を有する。そして、ステレオカメラは、第1の撮像部および第2の撮像部から第1の広角画像と第2の広角画像、ならびに第1の望遠画像と第2の望遠画像を同時に取得する。また第1の撮影光学系を構成する広角光学系と望遠光学系とは光軸が一致し、同様に第2の撮影光学系も同様に構成されている。
【0003】
特許文献1の構成によれば、ステレオ画像である2つの広角画像とステレオ画像である2つの望遠画像とを同時に取得することができる。特に2つの望遠画像を取得する際に2つの望遠光学系の光軸上で測定対象物を確実に捕捉することができる。これにより、正確な距離情報に基づいてロボットを駆動させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-134712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロボットシステムでは、第1の撮像部および第2の撮像部からなるステレオカメラを用いている。このような構成であると、撮像部およびそれに付随する光学系が複数必要であるため、装置が大型化し、装置コストが増大してしまう。
【0006】
また従来から、ロボットアームにカメラを搭載して、カメラでワークをねらいながらロボットアームを円弧運動させることによって視差画像を得ることも行われている。しかしながらロボットアームを移動させるためには時間がかかる上、ロボットアーム全体を動かすとカメラの位置の精度が向上させづらいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、複数のカメラを用いることなく複数の画像を得ることができ、装置の小型化および装置コストの削減を図ることが可能なロボットビジョンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のロボットビジョンシステムの代表的な構成は、カメラを有するロボットビジョンシステムにおいて、ハンド軸の回転中心と光軸とを一致させて配置されたカメラと、カメラの瞳を半分遮蔽するシャッタと、カメラを光軸を中心に回転させて撮像した複数の画像から視差情報を算出する視差情報算出部と、視差情報から被写体の距離情報を算出する距離情報算出部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
距離情報とは、ハンドからワークまでの距離、ワークの寸法、ワークの位置などの絶対値をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のカメラを用いることなく複数の視差画像を得ることができ、装置の小型化および装置コストの削減を図ることが可能なロボットビジョンシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態にかかるロボットビジョンシステムを説明する概略図である。
図2】カメラとシャッタを説明する図である。
図3】本実施形態のロボットビジョンシステムの動作を説明するフローチャートである。
図4】撮像した画像を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかるロボットビジョンシステム100を説明する概略図である。本実施形態のロボットビジョンシステム100では、産業用機械としてロボットアーム102、ロボット制御装置110、およびワーク200を撮影するカメラ106を含んで構成される。ロボットアーム102は、ワーク200を把持し、かかるワーク200を所定の位置まで移動する。
【0014】
ロボット制御装置110は、アーム移動部112を有する。アーム移動部112は、ロボットアーム102に対して所定の位置への移動を指示する。またロボット制御装置110は、回転制御部114と、視差情報算出部116と、距離情報算出部118をさらに備える。
【0015】
図2はカメラとシャッタを説明する図である。カメラ106は、ロボットアーム102のハンド軸104の先端に、ハンド軸104の回転中心と光軸とを一致させて配置されている。ハンド軸104とは、例えばハンド105のようなエンドエフェクタを回転させる軸であり、6軸ロボットであれば6軸(6番目の軸)、5軸ロボットであれば5軸と呼ばれる軸である。したがってハンド軸104を回転させると、カメラ106は、位置は変わらずに角度を回転させた画像を撮像することができる。
【0016】
カメラ106には、カメラ106にある図示しない光学系の瞳を半分遮蔽するシャッタ108が取り付けられている。瞳とはカメラの光学系の絞りの開口のことを意味していて、シャッタ108はカメラの内部の絞りに隣接して設けることが理想的である。ただし、絞りに近い位置であれば光学系の外側(カメラモジュールの外側)であってもよい。なお、シャッタ108が絞りからあまり離れると撮像した画像にシャッタ108そのものが写り込んでしまうので、シャッタ108が写り込まない位置に配置する必要がある。
【0017】
本発明は1つのカメラの光学系の瞳を半分遮蔽することによって視点をずらし、カメラを回転させて複数枚の画像を撮像することにより、視差画像を得るものである。
【0018】
シャッタ108によって瞳を遮蔽する位置は、一般的にはシャッタ108を移動させることが考えられる。しかしカメラ106にそのようなシャッタ機構を設けることは、特別なカメラモジュールを必要としてしまう。そこで本発明においては、ハンド軸104を回転させることによって、ワーク200に対して相対的に遮蔽する位置を切り替える。
【0019】
図3は本実施形態のロボットビジョンシステム100の動作を説明するフローチャート、図4は撮像した画像を例示する図である。本実施形態のロボットビジョンシステム100では、まずロボット制御装置110は、アーム移動部112によってロボットアーム102を移動し、ワーク200が画角に入る所定の位置で撮像する(S202)。
【0020】
このとき、図4(a)に示すように、カメラ106の瞳の半分がシャッタ108によって遮蔽された状態である。ワーク200は台座202の中心に配置されているとする。仮にカメラ106にシャッタ108を備えていない場合のワーク200の輪郭を破線で示す。これを、カメラ106の瞳106aの左半分をシャッタ108によって遮蔽した状態で撮像すると、ワーク200は右側から見た姿勢200aで撮像される。
【0021】
次に回転制御部114は、ロボットアーム102のハンド軸104を180度回転させる(S204)。すると、ワーク200に対してカメラ106の瞳がシャッタ108によって遮蔽される位置が反転する。そしてロボット制御装置110は、カメラ106によって画像を撮像する(S206)。
【0022】
図4(b)において、破線で示したワーク200の輪郭は図4(a)と同じである。そしてカメラ106の瞳106aの右半分をシャッタ108によって遮蔽した状態で撮像することになり、ワーク200は左側から見た姿勢200bで撮像される。
【0023】
画像を撮影したら、ロボット制御装置110は、撮像が所定回数(複数回)行われたかを判断する(S208)。撮像回数が所定回数に満たない場合(S208のNO)、撮像回数が所定回数に達するまでS204からS208の処理を繰り返す。例えば、視差画像2枚から距離情報を算出する場合は、S206で1度目の撮像をしているから、所定回数は1回となる。さらに複数の視点(アングル)からの視差画像を得たい場合には、180度だけでなく、90度や60度などに角度を変えて所定回数撮像する。
【0024】
撮像回数が所定回数行われたら(S208のYES)、視差情報算出部116は、複数の画像から視差情報を算出する(S210)。そして距離情報算出部118は、S212において算出された視差情報から、ワーク200(被写体)の距離情報(ハンド105からワーク200までの距離、ワーク200の寸法、ワーク200の位置などの絶対値)を算出する(S212)。
【0025】
上記説明したように本実施形態のロボットビジョンシステム100によれば、1つのカメラ106を用いて複数の視差画像を得ることができ、ワーク200の距離情報を算出することができる。したがって、複数のカメラ106を用いることなく複数の画像を得ることができ、装置の小型化および装置コストの削減を図ることが可能となる。
【0026】
また本実施形態のロボットビジョンシステム100では、カメラ106に対してシャッタ108を取り付け、ハンド軸を回転させて撮像するという変更のみで上述した効果が得られる。したがって、従来のカメラに適用しやすく、カメラの交換を不要とすることが可能となる。
【0027】
またロボットアーム全体を動かして視差画像を得る場合と比べると、ハンド軸を回転させるだけであるため動作が短時間で済み、またカメラの位置精度も飛躍的に高められるという利点を有している。
【0028】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、カメラを有するロボットビジョンシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
100…ロボットビジョンシステム、102…ロボットアーム、106…カメラ、106a…瞳、108…シャッタ、110…ロボット制御装置、112…アーム移動部、114…回転制御部、116…視差情報算出部、118…距離情報算出部、200…ワーク、200a…右側から見た姿勢、200b…左側から見た姿勢、202…台座
図1
図2
図3
図4