(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184271
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】タンク一体型ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 23/02 20060101AFI20221206BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F04B23/02 E
F04B53/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092023
(22)【出願日】2021-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】古谷 一輝
(72)【発明者】
【氏名】山田 健治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健吾
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA03
3H071CC32
3H071CC33
3H071CC36
3H071DD32
3H071DD61
3H071DD72
3H071DD74
3H071DD83
(57)【要約】
【課題】一体型タンクと別置きのタンクの切替を容易にし、シリンダのサイズや設備によらず省スペース化を図ることが可能なタンク一体型ポンプを提供する。
【解決手段】本発明にかかるタンク一体型ポンプ100の代表的な構成は、作動油を送出する油圧ポンプ110と、油圧ポンプ110が作動油を吸入する吸入口122と、油圧ポンプ110に着脱可能であって吸入口を内包する一体型タンク130と、吸入口122の周囲に設けられたフランジ取付面160と、備え、吸入口122には、一体型タンク130を使用するときにフィルター152を取り付けるための雌ネジ122aが形成されていて、フランジ取付面160には、一体型タンク以外の別置きタンク190を吸入口122に連結する吸入配管170のフランジ180を取付可能であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を送出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプが作動油を吸入する吸入口と、
前記油圧ポンプに着脱可能であって前記吸入口を内包する一体型タンクと、
前記吸入口の周囲に設けられたフランジ取付面と、
を備え、
前記吸入口には、前記一体型タンクを使用するときにフィルターを取り付けるための雌ネジが形成されていて、
前記フランジ取付面には、前記一体型タンク以外の別置きタンクを前記吸入口に連結する吸入配管のフランジを取付可能であることを特徴とするタンク一体型ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクと一体化されたタンク一体型ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業用機械等の油圧源として用いられるポンプと、作動油を貯留するタンクとを一体化したタンク一体型ポンプが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1のタンク一体型ピストンポンプでは、ポンプの左右方向にタンクが配置されている。特許文献1によれば、前ケースを径方向に拡大してポンプケースとタンク外周壁とを兼用し、加えて後フランジに後ケースを加えてタンク容量を確保することにより、ポンプの形状、構造を簡単にし、容量を大きくし、さらにポンプケースの厚みを薄く軽量化するとともに、タンク内の作動油の白濁を防止できると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のタンク一体型ポンプにおいては、ポンプ容量の増大を目指している。しかしながら、ピストンのシリンダのサイズが大きくなると作動油の送出量がさらに増大するため、一体型タンクでは容量が不足することがある。このような場合、別置きの大容量のタンクを使用することとなるため、油圧ポンプと一体に設けられているタンクは不要となる。するとタンクによって余計なスペースが消費されてしまうか、またはタンク一体型ではないポンプに交換する必要がある。
【0005】
そこで本発明は、一体型タンクと別置きのタンクの切替を容易にし、シリンダのサイズや設備によらず省スペース化を図ることが可能なタンク一体型ポンプを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかるタンク一体型ポンプの代表的な構成は、作動油を送出する油圧ポンプと、油圧ポンプが作動油を吸入する吸入口と、油圧ポンプに着脱可能であって吸入口を内包する一体型タンクと、吸入口の周囲に設けられたフランジ取付面と、備え、吸入口には、一体型タンクを使用するときにフィルターを取り付けるための雌ネジが形成されていて、フランジ取付面には、一体型タンク以外の別置きタンクを吸入口に連結する吸入配管のフランジを取付可能であることを特徴とする。
【0007】
油圧ポンプは、吸入口を取り囲むように、一体型タンクを取り付けるための段差を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一体型タンクと別置きのタンクの切替を容易にし、シリンダのサイズや設備によらず省スペース化を図ることが可能なタンク一体型ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】タンク一体型ポンプの概略構成を説明する図である。
【
図3】一体型タンク130以外の別置きタンクを接続した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態にかかるタンク一体型ポンプを説明する図であって、
図1(a)は外観図、
図1(b)は断面図である。
図1に示すように、本実施形態のタンク一体型ポンプ100は、油圧ポンプ110、ボディヘッド120、一体型タンク130、およびエンドカバー140を含んで構成される。
【0012】
油圧ポンプ110は、ボディヘッド120に設けられた吸入口122から作動油を吸入する。吸入口122より吸入された作動油は吸入管路124を通り、ポンプ内部に供給される。油圧ポンプ110から吐出された作動油は、ボディヘッド120に設けられた排出口126から油圧機器に送出される。
【0013】
一体型タンク130は、ボディヘッド120を介して油圧ポンプ110に着脱可能に取り付けられている。一体型タンク130は概ね筒形の部材(円筒形でも角筒形でもよい)であり、吸入口122を内包するように(吸入口122にかぶさるように)配置されている。一体型タンク130は一端をボディヘッド120によって、他端をエンドカバー140によって封止されている。エンドカバー140はボディヘッド120と例えば4本の取付ボルト142によって締結されている。
【0014】
図2はポンプの本体を説明する図であって、
図2(a)はタンクを取り外した分解図、
図2(b)はタンクを取り外した状態のポンプの断面図、
図2(c)はポンプの右側面図である。
【0015】
図2(a)に示すように、取付ボルト142を取り外すと、エンドカバー140および一体型タンク130をボディヘッド120から取り外すことができる。すると、一体型タンク130に内包されていた吸入口122が露出する。
【0016】
ボディヘッド120には、一体型タンク130を取り付けるための段差128が形成されている。段差128の外周面には溝128aが形成されていて、一体型タンク130を取り付けた際の気密性を保つためのOリング129が取り付けられる。段差128は吸入口122を取り囲む配置になっている。これにより、一体型タンク130を取り付けた場合には吸入口122が一体型タンク130に内包される。
【0017】
ここで
図2(b)に示すように、吸入口122の内面には雌ネジ122aが切られている。一方、
図1(b)に示すように吸入配管150の先端の外面には雄ネジ150aが切られている。そして、一体型タンク130を使用するときには、
図1(b)に示すように吸入口122の雌ネジ122aに吸入配管の雄ネジ150aを螺合することによって、吸入配管150およびフィルター152が着脱可能に取り付けられる。フィルター152はタンク内のコンタミが吸入口122に進入することを防止する。
【0018】
また
図2(c)に示すように、吸入口122の周囲にはフランジ取付面160が形成されている。フランジ取付面160は平坦面であって、例えば4本のボルト穴162を備えている。
【0019】
図3は一体型タンク130以外の別置きタンクを接続した状態を説明する図であって、
図3(a)は外観図、
図3(b)は吸入配管170およびフランジ180を示す図である。
図3(a)に示すように、別置きタンク190用の吸入配管170は、元端にフランジ180を備え、先端を別置きタンク190に連結されている。
図3(b)に示すように、フランジ180は例えば4本のボルト穴182を備えていて、ボルト184によってボディヘッド120のフランジ取付面160に着脱可能に取り付けられる。
【0020】
すなわち、タンク一体型ポンプ100におけるボディヘッド120の吸入口122を、従来通りの一体型タンク130からボディヘッド120の吸入管路124に作動油が流れる吸入口122としても、別置きタンク190の吸入配管170を接続する吸入口122としても使用することができる。
【0021】
上記構成によれば、一体型タンクと別置きのタンクの切替を容易にし、いずれの場合にもポンプ110およびボディヘッド120を共用することにより、ポンプ110のシリンダのサイズや設備によらず省スペース化を図ることが可能なタンク一体型ポンプ100を提供することができる。
【0022】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は斯かる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、タンクと一体化されたタンク一体型ポンプとして利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
100…タンク一体型ポンプ、110…ポンプ、120…ボディヘッド、122…吸入口、122a…雌ネジ、124…吸入管路、126…排出口、128…段差、128a…溝、129…Oリング、130…タンク、140…エンドカバー、142…取付ボルト、150…吸入配管、150a…雄ネジ、152…フィルター、160…フランジ取付面、162…ボルト穴、170…吸入配管、180…フランジ、182…ボルト穴、184…ボルト、190…別置きタンク