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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184278
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】バリ取り装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/04 20060101AFI20221206BHJP
   B24B 9/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B24B9/04 C
B24B9/00 602L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092036
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】黒川 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】関口 智彦
(72)【発明者】
【氏名】小倉 修平
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】篠原 啓佑
【テーマコード(参考)】
3C049
【Fターム(参考)】
3C049AA06
3C049AA11
3C049AA16
3C049AA18
3C049CA01
3C049CA04
3C049CB03
(57)【要約】
【課題】リベット上とリベットの周囲にそれぞれ異なる荷重を付与した状態でバリ取りを実行することで、2種類のバリを同時に除去する。
【解決手段】バリ取り装置1は、中央に設けられた第1のバリ取り手段12と、第1のバリ取り手段12の周囲に設けられた第2のバリ取り手段13と、第1のバリ取り手段12と、第2のバリ取り手段13と、をそれぞれ固定する固定部11と、を備え、第1のバリ取り手段12と、第2のバリ取り手段13のいずれか一方は、固定部11に対して弾性部材21を介して固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に設けられた第1のバリ取り手段と、
前記第1のバリ取り手段の周囲に設けられた第2のバリ取り手段と、
前記第1のバリ取り手段と、前記第2のバリ取り手段と、をそれぞれ固定する固定部と、を備え、
前記第1のバリ取り手段と、前記第2のバリ取り手段のいずれか一方は、前記固定部に対して弾性部材を介して固定されている、
バリ取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリ取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗溶接機を利用し、リベット(鉄)を用いてアルミと鉄を接合する際に、リベット周囲やリベット上にバリが発生することがある。
【0003】
近年、このような分野の技術として、特開2007―144604号公報がある。この公報に記載されたバリ取り装置には、基台と、基台に設けられたブラシ片が設けられており、1種類のブラシで、リベット上とリベット周囲に一定荷重を付与することにより、バリ取りを実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007―144604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、リベット周囲に発生するアルミバリはリベットやアルミ板に固着しているのに対し、リベット上に発生する鉄バリは比較的容易に除去が可能である。
【0006】
しかしながら、前述した従来のバリ取り装置では、鉄バリを除去することが可能な押付量ではアルミバリの除去を行うことができず、逆に、アルミバリを除去することが可能な押付量とするとリベットが削れてしまうという場合がある。そのため、アルミバリと鉄バリをそれぞれ除去するためには、除去するバリに合わせた2種類のツールを用い2回のバリ取りが必要となることから、バリの除去に時間がかかってしまうという問題がある。
本発明は、2種類のバリを同時に除去可能であるバリ取り装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるバリ取り装置は、中央に設けられた第1のバリ取り手段と、前記第1のバリ取り手段の周囲に設けられた第2のバリ取り手段と、前記第1のバリ取り手段と、前記第2のバリ取り手段と、をそれぞれ固定する固定部と、を備え、前記第1のバリ取り手段と、前記第2のバリ取り手段のいずれか一方は、前記固定部に対して弾性部材を介して固定されている。
これにより、リベット上とリベットの周囲にそれぞれ異なる荷重を付与した状態でバリ取りを実行することができる。
【発明の効果】
【0008】
これにより、2種類のバリを同時に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】バリ取り装置の構成を示す図である。
図2】バリ取りのプロセスを示す図である。
図3】バリ取り装置の別の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、バリ取り装置1は、固定部11と、弾性部材21を介して固定部11に固定されている第1のバリ取り手段12と、第1のバリ取り手段12の周囲に設けられた第2のバリ取り手段13と、を備える。
【0011】
ここで、バリ取り装置1によるバリ取りの対象となる対象物2の一例について説明する。対象物2は、接合対象である鉄31及びアルミ32と、溶接機によって鉄31及びアルミ32に溶接されるリベット33と、を備える。
【0012】
なお図1に示すように、バリ取り装置1は対象物2の上方に配された状態から、下降して対象物2に接触し、バリ取りを行う。
【0013】
なお、対象物2では鉄31の板の上面に、アルミ32の板の下面が当接するように配される。さらに、リベット33は、上方であるアルミ32側からリベットボディ33aが挿入されるとともに、フランジ33bがアルミ32の板面上に配される。例えば、フランジ33bは、上面からの視点において円形状である。
【0014】
リベット33のフランジ33bの面上に、鉄バリ41が形成されている。また、アルミ32の上面かつリベット33のフランジ33bの側方に、アルミバリ42が形成されている。バリ取り装置1では、この鉄バリ41とアルミバリ42の除去を同時に行う。
【0015】
以下では、図1における上下方向をZ方向、左右方向をX方向とし、X方向及びZ方向のいずれにも垂直な方向をY方向として説明する。
【0016】
固定部11は、基部11aと、基部11aの情報に連結された回転軸11bと、を備える。
【0017】
例えば、基部11aは、XY方向に広く形成されているとともに、Z方向に面を有する円盤状である。基部11aのXY方向の長さは、少なくともリベット33におけるフランジ33bのXY方向の長さに比べて長い。
【0018】
回転軸11bは、XY方向において基部11aの中央部、かつ、Z方向の上面に接続された軸である。回転軸11bがZ方向に延びる軸周りに回転動作することにより、基部11aがZ軸周りに回動する。さらに後に詳述するように、この基部11aの回動によって、基部11aの下面に接続された第1のバリ取り手段12及び第2のバリ取り手段13が、Z軸周りの回動を行う。
【0019】
第1のバリ取り手段12の上端は、弾性部材21を介して、基部11aの下面に接続されている。
【0020】
より具体的には、弾性部材21の上端部は、基部11aのXY方向における中央部、かつ、Z方向における下面に連結されている。また弾性部材21の下端部は、第1のバリ取り手段12の上端部に接続されている。
【0021】
なお、弾性部材21にはバネを利用することができ、以下ではバネを利用することとして説明するが、弾性部材はこれに限られない。
【0022】
また、第1のバリ取り手段12の下端では、下面全体がバリ除去面となっている。典型的には、第1のバリ取り手段の下端に設けられた面は下方からの視点において円形状であり、フランジ33bの上面とほぼ合致している。第1のバリ取り手段12は、回転軸11bにより与えられた回転力によって基部11aが回転することにより、同時にZ軸周りの回動を行う。
【0023】
第1のバリ取り手段12は、下端に設けられたバリ除去面がフランジ33bの上面に当接した状態で回動する。これにより、第1のバリ取り手段12は、フランジ33bの上面に付着している鉄バリ41の除去を行うことができる。すなわち、第1のバリ取り手段12は、下端にバリ除去面を有しているインナーブラシである。
【0024】
なお、第1のバリ取り手段12の下端に設けられるバリ除去面には、ブラシを用いることができる他に、刃を用いることもできる。
【0025】
第2のバリ取り手段13は、第1のバリ取り手段12をXY方向に囲むように配置されている。例えば、第2のバリ取り手段13は下方からの視点において円筒状であり、中央に形成されている中空部内に、第1のバリ取り手段12が配されている。
【0026】
第2のバリ取り手段13の上端部は、基部11aの下面に連結されている。したがって、回転軸11bがZ軸周りに回動することにより、第2のバリ取り手段13も同時にZ軸周りに回転動作する。
【0027】
第2のバリ取り手段13は、下端に設けられたバリ除去面が、アルミ32の上面に当接した状態で回動する。これにより、第2のバリ取り手段13は、アルミ32の上面に付着しているアルミバリ42の除去を行うことができる。すなわち、第2のバリ取り手段13は、下端にバリ除去面を有しているアウターブラシである。
【0028】
なお、第1のバリ取り手段12の下端に設けられるバリ除去面には、ブラシを用いることができる他に、刃を用いることもできる。
【0029】
ここで、第1のバリ取り手段12は弾性部材21を介して基部11aに接続されているため、第2のバリ取り手段13をアルミ32の上面に当接させた場合に、同時に第1のバリ取り手段12がフランジ33bに当接するように位置調整がされる。
【0030】
ここで、図2(a)~図2(c)を参照して、バリ取り装置1を用いたバリの除去プロセスの一例を説明する。
【0031】
図2(a)に示すように、バリ取り装置1を対象物2の上方に配する。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、バリ取り装置1を下降させる。これにより、バリ取り装置1が対象物2にセットされる。
【0033】
ここで、第2のバリ取り手段13の下端に設けられたバリ除去面が、アルミ32の上面に当接する状態になるとともに、第1のバリ取り手段12は弾性部材21によってZ方向の位置が調整されて、第1のバリ取り手段12下端に設けられたバリ除去面がフランジ33bの上面に当接した状態となる。
【0034】
このとき、バリ取り装置1を対象物2に押し付ける押し付け量によって、第1のバリ取り手段12のバリ除去面及び第2のバリ取り手段13のバリ除去面に付与される力は変化する。特に、第1のバリ取り手段12について、バリ取り装置1を対象物2に強く押し付けた場合には、弾性部材21が縮むことにより、バリ除去面はリベット33のフランジ33bに強く押し付けられる。
【0035】
なお、第2のバリ取り手段13については、基部11aと弾性部材21を介さずに接続されているので、バリ取り装置1を対象物2に押し付けることで、バリ除去面はアルミ32に強く押し付けられる。
【0036】
その後、図2(c)に示すように、回転軸11bが回動する。これにより、基部11aが回動にあわせて、第1のバリ取り手段12及び第2のバリ取り手段13がそれぞれ回動する。
【0037】
したがって、第1のバリ取り手段12をリベット33のフランジ33bに接触させての鉄バリ41を除去すると同時に、第2のバリ取り手段13をアルミ32に接触させてアルミバリ42を除去することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。すなわち上記の記載は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされており、当業者であれば、実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【0039】
上記の説明では、第1のバリ取り手段12の上端部において、弾性部材21を介して基部11aに接続されており、第2のバリ取り手段13の上端部は基部11aに直接接続されているものとして説明したが、これらを入れ替えることも可能である。
【0040】
例えば、図3に示すように、第1のバリ取り手段12の上端部は基部11aの下面に直接接続されており、第2のバリ取り手段13の上端部は、弾性部材21を介して基部11aに接続されることとしてもよい。
【0041】
より具体的には、第2のバリ取り手段13は本体部13aと、本体部13aの上端部と基部11aとを接続するガイド部13bとを有する構造とする。本体部13aの下端部にはバリ除去面が設けられている。本体部13aとガイド部13bをZ方向に摺動可能とする。
【0042】
さらに、コイル状のバネを弾性部材21として用い、ガイド部13bをコイル中心に収めるようにして、弾性部材21の上端を基部11aの下端と接続し、弾性部材21の下端を本体部13aの上端に接続させる。
【0043】
この構成により、第1のバリ取り手段12をリベット33のフランジ33bに接触させての鉄バリ41を除去すると同時に、第2のバリ取り手段13をアルミ32に接触させてアルミバリ42を除去することができる。
【0044】
特に、この構成によれば、リベット33のフランジ33b上に形成されている鉄バリ41が強く固着し、アルミ32上に形成されているアルミバリ42が容易に取れる場合に有効である。
【0045】
なお、第1のバリ取り手段12と、第2のバリ取り手段13のいずれか一方が、弾性部材21を介して固定部11に固定されているものとして説明したが、第1のバリ取り手段12と、第2のバリ取り手段13の両方が、弾性部材21を介して固定部11に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 バリ取り装置
2 対象物
11 固定部
11a 基部
11b 回転軸
12 第1のバリ取り手段
13 第2のバリ取り手段
13a 本体部
13b ガイド部
21 弾性部材
31 鉄
32 アルミ
33 リベット
33a リベットボディ
33b フランジ
41 鉄バリ
42 アルミバリ
図1
図2
図3