(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184285
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、表示システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092043
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】516329543
【氏名又は名称】株式会社バカン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛進
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎介
(72)【発明者】
【氏名】大形 尚弘
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】トイレ施設に中継器を設置しなくても、あるいは中継器に不具合が起こったとしても、空室管理サーバで各トイレ個室の利用状況(混雑状況)を管理可能にする。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、複数の個室を有する施設に関する情報を管理する情報処理装置であって、複数の個室のそれぞれに設置され、通信機能を有する複数の表示端末と通信可能な通信装置と、施設の単位で、複数の個室の利用状況を管理する処理を行うプロセッサと、複数の個室の利用状況の情報を格納する記憶デバイスと、を備え、プロセッサは、複数の表示端末の情報に基づいて、複数の表示端末のうち、複数の個室のそれぞれの利用状況を管理する一次表示端末を決定する一次表示端末決定処理と、一次表示端末に指定した表示端末に一次表示端末として機能させるための一次表示端末用データを送信する処理と、を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個室を有する施設に関する情報を管理する情報処理装置であって、
前記複数の個室のそれぞれに設置され、通信機能を有する複数の表示端末と通信可能な通信装置と、
前記施設の単位で、前記複数の個室の利用状況を管理する処理を行うプロセッサと、
前記複数の個室の利用状況の情報を格納する記憶デバイスと、を備え、
前記プロセッサは、
前記複数の表示端末の情報に基づいて、前記複数の表示端末のうち、前記複数の個室のそれぞれの利用状況を管理する一次表示端末を決定する一次表示端末決定処理と、
前記一次表示端末に指定した表示端末に前記一次表示端末として機能させるための一次表示端末用データを送信する処理と、
を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記プロセッサは、表示コンテンツデータと、表示コンテンツの表示態様を含む表示設定情報と、前記施設の個室に関する情報を含む、前記一次表示端末用データを前記一次表示端末に送信する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記プロセッサは、前記複数の表示端末の情報として、事前に設定された表示端末の優先順位に基づいて、前記一次表示端末を決定する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記プロセッサは、前記複数の個室のそれぞれに設置され、個室が空室か利用中かを検知する通信機能付きセンサから発信された検知結果情報の、前記複数の表示端末のそれぞれによる受信結果に基づいて、前記一次表示端末を決定する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記プロセッサは、前記施設における前記複数の個室の配置の情報に基づいて、前記一次表示端末を決定する、情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項において、
前記プロセッサは、前記一次表示端末において前記利用状況の情報を用いて算出された混雑度の受信結果に基づいて前記一次表示端末の機能を別の表示端末に移行させるか否か決定し、前記一次表示端末の機能を移行させる場合、現在一次表示端末として機能する表示端末に対しては当該一次表示端末として動作することを停止するように指令を送信し、新たに一次表示端末に指定し表示端末に対しては、前記一次表示端末用データを送信する、情報処理装置。
【請求項7】
施設に設置された複数の個室のそれぞれの利用を検出する検出装置と、
前記複数の個室内に設置され、前記検出装置による検出結果に応じて、コンテンツを表示する、複数の表示端末と、を備え、
前記複数の表示端末はそれぞれ通信機能を有し、前記検出装置から発信される前記検出結果を受信し、
前記複数の表示端末のうち一次表示端末に指定された表示端末は、前記検出装置による検出結果を受信して、前記複数の個室それぞれの利用状況を管理し、
前記一次表示端末以外の二次表示端末のそれぞれは、自端末が設置された個室に対応する利用状況の情報を前記一次表示端末から取得し、当該取得した利用状況の情報に基づいて、前記コンテンツを表示させる、表示システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記一次表示端末は、
複数の施設のそれぞれの利用状況を管理する管理サーバから前記コンテンツおよび当該コンテンツの表示条件の情報を受信して、記憶デバイスに格納する処理と、
前記コンテンツおよび前記コンテンツの表示条件の情報を、前記二次表示端末のそれぞれに配信する処理と、
を実行する、表示システム。
【請求項9】
請求項8において、
前記一次表示端末は、前記二次表示端末のリクエストに応答して、当該リクエストを送信した二次表示端末が設置されている前記個室の利用状況の情報を、前記リクエストを送信した二次表示端末に返信する、表示システム。
【請求項10】
コンピュータを請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、表示システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ施設の個室等に表示端末を設置し、利用者が便器に近づくとセンサにより利用者を検知し広告やイベント情報等の画像を表示することが広まりつつある。例えば、特許文献1は、トイレ個室内に通信機能を有する表示端末を設置し、利用者に対して当該表示端末の画面を介して広告コンテンツを表示するシステムについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるようなシステムでは、トイレ施設に中継器(ゲートウェイ)を設置し、当該中継器を介して、トイレ施設の各トイレ個室の入退室を検知するセンサ(通信機能付き)から空室管理サーバへの通信を行い、空室管理サーバで各トイレ個室の利用状況を管理する。
【0005】
しかしながら、中継器はしばしば通信に不具合(例えば、電源プラグが抜けたり、何らかの衝撃や経年劣化により故障したりする)を来すことがある。この場合、特定のトイレ施設における各トイレ個室の利用状況(混雑状況)の情報を取得できないため、空室管理サーバはユーザに当該トイレ施設の利用状況の情報を提供できなくなってしまう。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑み、空室管理サーバで各トイレ個室の利用状況(混雑状況)をより安定して管理可能にする技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本開示は、複数の個室を有する施設に関する情報を管理する情報処理装置であって、複数の個室のそれぞれに設置され、通信機能を有する複数の表示端末と通信可能な通信装置と、施設の単位で、複数の個室の利用状況を管理する処理を行うプロセッサと、複数の個室の利用状況の情報を格納する記憶デバイスと、を備え、プロセッサは、複数の表示端末の情報に基づいて、複数の表示端末のうち、複数の個室のそれぞれの利用状況を管理する一次表示端末を決定する一次表示端末決定処理と、一次表示端末に指定した表示端末に一次表示端末として機能させるための一次表示端末用データを送信する処理と、を実行する、情報処理装置を提供する。
【0008】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、空室管理サーバで各トイレ個室の利用状況(混雑状況)をより安定して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る空室管理システム1の概略構成例を示す図である。
【0011】
【
図2】本実施形態における、1つのトイレ施設の各トイレ個室20の設置例を示す図である。
【
図3】空室管理サーバ10のハードウェアおよびソフトウェアの概略構成例を示す図である。
【
図4】表示端末40のハードウェアおよびソフトウェアの概略構成例を示す図である。
【
図5】空室検知センサ30のハードウェア概略構成例を示す図である。
【
図6】管理端末60のハードウェア概略構成例を示す図である。
【
図7】空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各トイレ施設T1からTnの各トイレ個室20の利用状況を管理する空室管理データベース(空室管理テーブル)121の構成例を示す図である。
【
図8】空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各広告コンテンツデータを管理する広告管理データベース(広告管理テーブル)122の構成例を示す図である。
【
図9】空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各施設(オフィスビルや商業施設など)の情報を管理する施設管理データベース(施設管理テーブル)123の構成例を示す図である。
【
図10】空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各トイレ施設T1からTnの情報を管理するトイレ施設管理データベース(トイレ施設管理テーブル)124の構成例を示す図である。
【
図11】一次表示端末40Pに指定された表示端末40が記憶デバイスに生成し保持する個室利用状況管理テーブル1100の構成例を示す図である。
【
図12】空室管理サーバ10による、トイレ施設Tkに設置されている複数の表示端末40の中から一次表示端末40Pを決定する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13】一次表示端末40Pに指定された表示端末40におけるセットアップ処理を説明するためのフローチャートである。
【
図14】トイレ施設Tkにおける各トイレ個室20の各空室検知センサ30から一次表示端末40Pに検知結果(ドア開閉=空室か否か)を送信し、一次表示端末40Pで個室利用状況管理テーブル1100に格納されるまでのシーケンスを説明するためのフローチャートである。
【
図15】表示端末(一次表示端末40Pおよび二次表示端末40S_1から40S_n)40において広告コンテンツデータを表示する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図16】空室管理サーバ10が一のトイレ施設Tkにおける一次表示端末40Pの機能を別の表示端末40(同一トイレ施設Tk内)に移行させる(一次表示端末の変更)処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(1)第1の実施形態
<システム構成例>
図1は、本実施形態に係る空室管理システム1の概略構成例を示す図である。
図1の空室管理システム1は、空室管理サーバ10と、複数のトイレ施設T1からTn(nは2以上の整数)の各トイレ個室20に設けられる空室検知センサ30および表示端末40と、管理端末60と、を備え、空室管理サーバ10には複数のユーザ端末80のそれぞれからアクセス可能に構成されている。各ユーザ端末80は、空室管理サーバ10にアクセスして、ユーザが所望するトイレ施設の利用状況(混雑状況)を示す情報を取得し、当該情報を表示画面上に表示する。
【0013】
トイレ施設は、共通の出入り口から入室可能なトイレ個室群を備える施設である。また、本実施形態では、1つのトイレ施設において、複数の表示端末40のうち、1つの表示端末40が一次表示端末(親機と称することもできる)40Pとして機能し、他の表示端末40が二次表示端末(子機と称することもできる)40S_1から40S_nとして機能する。一次表示端末40Pは、後述のように、空室管理サーバ10によって選択および指名され、各トイレ個室に設置された空室検知センサ30のそれぞれから検知結果を取得し、空室管理サーバ10に送信する。また、一次表示端末40Pは、空室管理サーバ10から一次端末用データ(親機として機能させるためのデータ)として広告コンテンツデータおよび表示設定情報(例えば、広告コンテンツデータの表示ルール(広告の個数、再生順、ループ再生の有無など)を含む)を取得し、広告コンテンツデータおよび表示設定情報を各二次表示端末40S_1から40S_nに送信する。つまり、一次表示端末40Pは、上述の中継器として役割を有することになる。
【0014】
空室管理サーバ10は、管理端末60とネットワーク70を介して接続されるように構成してもよいし、直接管理端末60と接続されるように構成してもよい。また、空室管理サーバ10は、ネットワーク70を介して一次表示端末40Pにデータを送信(広告コンテンツデータなど)することができるように構成されている。
【0015】
各空室検知センサ30は、例えば、マグネットセンサによって構成することができ、トイレ個室20の扉の開閉状態を検知する。また、各空室検知センサ30は、送信機能(例えば、短距離無線通信方式であるジグビー(登録商標)やBLEなど)を有しており、所定時間(例えば、10秒)毎に扉の開閉状態の検知結果を発信する。一次表示端末40Pおよび二次表示端末40S_1から40S_nは、各空室検知センサ30から発信される検知結果を受信すると、全て記憶しておく。一次表示端末40Pは、それが設置されているトイレ施設Tk(k=1からnの整数)の全ての空室検知センサ30から検知結果を受信することができる。二次表示端末40S_1から40S_nは、任意の数(1からm(mはトイレ施設Tkのトイレ個室数))の空室検知センサ30から検知結果を受信することができる。
【0016】
一次表示端末40Pは、空室管理サーバ10とネットワーク70を介して通信を行う。また、一次表示端末40Pは、トイレ施設Tkの各トイレ個室20に設けられた空室検知センサ30のそれぞれから送信された検知結果(扉の開閉:空室or在室)を受信し、これを個室利用状況管理テーブル1100(
図11参照)に格納する。また、一次表示端末40Pは、中継器としての機能を有するので、各空室検知センサ30から取得した各検知結果を空室管理サーバ10に送信する。
【0017】
空室管理サーバ10は、一次表示端末40Pに、広告画像、広告動画、アンケート画像、または利用者へお願いする内容を含む動画や静止画などをはじめとする表示コンテンツ(以下、広告コンテンツという)や表示設定情報を配信する。ここで、表示設定情報は、広告コンテンツをランダム再生するか否か、広告コンテンツの表示期間(有効期間)の情報、利用者入室後に広告コンテンツを表示開始する時間(例えば、入室検知後5秒後などの時間設定情報)、ループ回数、広告コンテンツの個数、複数の広告コンテンツがある場合の表示ルール(ランダムに表示する、予め決められた順序で表示する、各広告の一部のみを表示するなどのルール)などを含む情報である。一次表示端末40Pに配信された広告コンテンツは、一次表示端末40Pのディスプレイ上に表示されるとともに、一次表示端末40Pから二次表示端末40S_1から40S_nにそれぞれ配信され、各トイレ個室20(一次表示端末40Pが設置された個室以外の個室)内にそれぞれ設置された表示端末40(二次表示端末40S_1から40S_n)のディスプレイ上に表示される。
【0018】
表示端末40(一次表示端末40Pおよび二次表示端末40S_1から40S_n)は、複数のトイレ施設T1からTnの各トイレ個室に設置され、利用者がトイレ個室利用中に広告やお知らせ、アンケートなどのコンテンツを表示する装置である。例えば、表示端末40としてタブレット端末を利用することができる。また、表示端末40(二次表示端末40S_1から40S_n)は、所定時間(例えば、10分)ごとに、表示端末が起動中であることを示す動作確認用データを、エリアID、施設ID、およびトイレ個室ID(
図5C参照:なお、表示端末自体に識別情報を付してそれを用いてもよい)とともに一次表示端末40Pに送信する。動作確認用データとは、二次表示端末40S_1から40S_nが正常に動作していることを示すデータである。二次表示端末40S_1から40S_nが故障している場合や電源が供給されていないような場合には、当該データは二次表示端末40S_1からS_nから発信されないことになる。一次表示端末40Pは、ネットワーク70を介して空室管理サーバ10に対して、施設ID、トイレ施設ID、およびトイレ個室IDとともに自身(一次表示端末40P)および二次表示端末40S_1から40S_nの動作確認用データを送信することができる。なお、後述の方法によって何れの表示端末40を一次表示端末40Pとするかは空室管理サーバ10によって決定されるが、何れのトイレ個室20の表示端末40を一次表示端末40Pとするかを、表示端末40を設置する前に予め定めておくようにしてもよい。
【0019】
空室検知センサ30は、各トイレ施設T1からTnの各トイレ個室に設置され、利用者に利用されるトイレ個室20の空室情報(空室状況または利用状況を示す)を検知するための検知機器(監視機器)である。空室検知センサ30は、監視対象となる個室毎に設置される。
【0020】
空室検知センサ30としては、例えばトイレ個室20内の人(利用者)の存在を検知する人感センサやトイレ個室20の扉の開閉を検知する磁気センサなどを用いることができる。人感センサを用いた場合にはトイレ個室20内に人感を検知したときに、トイレ個室20が利用者に利用されていると判定することができる。また、トイレ個室20が常開式である場合、磁気センサを用いてトイレ個室20の扉が閉まったことを検知したときに、トイレ個室20が利用者に利用されていると判定することができる。本実施形態においては、扉の開閉を検知する磁気センサを空室検知センサ30として用いるものとする。空室検知センサ30は、例えば5秒おきに扉の開閉状態を検知し、検知結果の情報(扉が開か閉か)を発信する。具体的には、空室検知センサ30は、扉が閉まっている場合には検知信号1を、扉が開いている場合には検知信号0をトイレ個室ID(空室検知センサ自体に識別情報を付してそれを用いてもよい)とともに出力する。なお本実施形態において空室検知センサ30は、検知結果の情報を発信する際に受診相手を指定せずに出力する。一次表示端末40Pは、発信された検知結果の情報を受信する。
【0021】
ネットワーク70は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク70は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)などを含む。
【0022】
<トイレ施設におけるトイレ個室の設置例>
図2は、本実施形態における、1つのトイレ施設の各トイレ個室20の設置例を示す図である。空室検知センサ30は、トイレ個室20の空室情報(利用状況)を監視するため、各トイレ個室20内の所定の場所に設置される。
図2のトイレ施設の場合には、合計5つのトイレ個室20が設けられているため、トイレ個室20毎に、合計5台の空室検知センサ30が設置される。
【0023】
上述したように、空室検知センサ30は、例えばトイレ個室20内の利用者の人感を検知する人感センサやトイレ個室20の扉の開閉を検知する磁気センサなどを用いることができる。空室検知センサ30に人感センサを用いた場合、空室検知センサ30はトイレ個室20の天井等に設置されうる。また、空室検知センサ30に磁気センサを用いた場合、空室検知センサ30はトイレ個室20の扉に設置されうる。
【0024】
表示端末40は、トイレ個室に入室した利用者が閲覧可能なように、各トイレ個室20内の所定の場所に設置される。
図2のトイレ施設の場合には、合計5つの個室が設けられているため、トイレ個室20毎に、合計5台の表示端末40が設置される。表示端末40は、トイレ施設内の無線又は有線ネットワークを介して空室管理サーバ10と通信可能に接続される。上述のように、複数の表示端末40は、中継器の役割を担う一次表示端末40Pとして機能する1つの表示端末40と、一次表示端末40Pから広告コンテンツや表示設定情報を取得する二次表示端末40S_1から40S_nとして機能する複数の表示端末40に分類される。
【0025】
<空室管理サーバの構成例>
図3は、空室管理サーバ10のハードウェアおよびソフトウェアの概略構成例を示す図である。
図3に示されるように、空室管理サーバ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成されるプロセッサ110と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される記憶デバイス120と、通信装置130と、キーボード、マウス、各種スイッチなどで構成される入力装置140と、を備える。
【0026】
プロセッサ110は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。記憶デバイス120は、起動時に必要なプログラム、各種データ、および各種プログラムを格納したり、プロセッサ110での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアとしても機能する。通信装置130は、ネットワーク70を介して他装置との通信を行う。入力装置140は、サーバ管理者がプロセッサ110に対する指示やデータを入力する場合等に用いられる。
【0027】
空室管理サーバ10は、利用状況管理機能、一次表示端末決定機能、広告制御機能、および監視機能を少なくとも含む。利用常用管理機能は、空室検知センサ30からの検知情報に基づいて各トイレ個室20の利用状況を管理する機能である。一次表示端末決定機能は、各トイレ施設T1からTnにおいて各表示端末40および各空室検知センサ30と空室管理サーバ10との通信を中継する中継器として機能させる1つの表示端末(一次表示端末40P)を決定する機能である。広告制御機能は、広告管理データベース(DB:Data Base)を保持し、各トイレ施設T1からTnの一次表示端末40Pに広告コンテンツデータなどを配信する機能である。監視機能は、一次表示端末40Pとの通信状態を監視する機能である。これらの機能を実現するため、
図3に示されるように、空室管理サーバ10は、主な機能部として、管理部111、決定部112、配信部113、通信制御部114を有する。
【0028】
プロセッサ110は、記憶デバイス120から各種プログラムを読み込んで内部メモリ(図示せず)に展開することにより、各機能部(管理部111、決定部112、配信部113、および通信制御部114)を構築(生成)する。このように、各機能部は、空室管理サーバ10を構成するコンピュータのプロセッサ、記憶デバイス等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0029】
管理部111は、各トイレ施設T1からTnの各トイレ個室20の利用状況(利用者の有無:空室か否か)の情報を取得し、空室管理DB121で管理する。具体的に管理部111は、トイレ個室20に設置された空室検知センサ30からの検知情報(検知結果の情報)を、一次表示端末40Pを介して、定期的又は検知情報が変化したタイミングで受信する。検知情報は、トイレ個室ID、センサID、表示端末ID、および検知信号を含む。そして、管理部111は、検知信号が1を示す場合に検出結果として当該トイレ施設における当該トイレ個室は利用者あり(在室中)と認識し、検知信号が0を示す場合に検出結果として当該トイレ施設における当該トイレ個室は利用者なし(空室)と認識する。また、管理部111は、検知情報と当該検知情報の受信時刻に基づいて、空室管理DB121を更新する。さらに、管理部111は、エラーの発生及びその種別(特定の表示端末40の非動作状態か空室検知センサ30の非動作状態)を管理端末60に通知する。
決定部112は、各トイレ施設T1からTnにおける複数の表示端末40から一次表示端末40Pとして機能すべき表示端末40を決定する。
【0030】
配信部113は、例えば、通信制御部114と協働し、通信装置130を介して、施設(例えば、ショッピングモールや商業ビルなど)の営業時間外に、トイレ施設T1からTnのそれぞれにおける一次表示端末40Pに対して、広告コンテンツおよび表示設定情報を配信する。通信制御部114は、通信装置130による通信処理を制御する。
【0031】
記憶デバイス120は、データベースとして、空室管理DB(空室管理テーブル)121と、広告管理DB(広告管理テーブル)122と、施設管理DB(施設管理テーブル)123と、トイレ施設管理DB(トイレ施設管理テーブル)124と、を保持している。空室管理DBは、各トイレ個室の利用状況(混雑状況)と各表示端末40が一次表示端末であるか二次表示端末であるかを示す表示端末種別を管理するデータベースである。広告管理DB122は、各種広告コンテンツ(動画ファイル)とそれを配信すべき施設の情報(対象施設ID)を管理するデータベースである。施設管理DB123は、トイレ施設T1からTnが設置されている施設(オフィスビルや商業施設などの建物)の情報を管理するデータベースである。トイレ施設管理DB124は、各トイレ施設T1からTnの情報を管理するデータベースである。各種データベースの詳細については、
図7から
図10を参照して後述する。
【0032】
なお、上述の広告制御機能、利用状況管理機能、一次端末決定機能、および監視機能は、それぞれ別のサーバ装置で実現してもよい。1つのサーバで実現した場合、このサーバが停止してしまうとすべての機能が動作しなくなるため、リスク低減および分散の観点から監視機能のみを別のサーバで実現するようにしてもよい。
【0033】
<表示端末の構成例>
図4は、表示端末40のハードウェアおよびソフトウェアの概略構成例を示す図である。
図4に示されるように、表示端末40は、一次表示端末40Pおよび二次表示端末40S_1から40S_nともに、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成されるプロセッサ410と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される記憶デバイス420と、通信装置430と、ディスプレイなどで構成される表示装置440と、を備える。
【0034】
プロセッサ410は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。記憶デバイス420は、起動時に必要なプログラム、広告コンテンツデータ、プロセッサ410での処理やデータを記憶する。また、記憶デバイス420は、後述の個室利用状況管理テーブル1100(
図11参照)を保持している。通信装置430は、ネットワーク70を介して空室管理サーバ10との通信を行う。表示装置440は、空室管理サーバ10から配信された広告コンテンツを表示する。
【0035】
表示端末40は、主な機能部として、プロセッサ410内部(内部メモリ)に、通信制御部411、記憶制御部412、および表示制御部413を構築(生成)する。各機能部は、表示端末40を構成するコンピュータのプロセッサ、記憶デバイス等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0036】
表示端末40が一次表示端末40Pである場合、通信制御部411は、通信装置430を制御し、空室管理サーバ10の配信部113により配信された広告コンテンツデータおよび表示設定情報などを受信するとともに、各トイレ個室が利用中であることを示す空室情報(利用状況の情報)を同一トイレ施設の各空室検知センサ30から受信する。表示端末40が二次表示端末40S_1から40S_nの場合、通信制御部411は、通信装置430を制御し、一次表示端末40Pから広告コンテンツデータおよび表示設定情報を受信する。
【0037】
記憶制御部412は、通信装置430を用いて通信制御部411が受信した広告コンテンツデータおよび表示設定情報を記憶デバイス420に記憶する。また、表示制御部413は、表示設定情報に従って広告コンテンツデータを画面に表示するように表示装置440を制御する。また、表示端末40が一次表示端末40Pの場合、自個室20の利用状況は把握しているので、利用者による入室を検知したら、表示制御部413は、表示設定情報に従って広告コンテンツを表示装置440に表示する。一方、表示端末40が二次表示端末40S_1から40S_nである場合、表示制御部413は、所定の時間(例えば10秒)ごとに一次表示端末40Pに自端末のIDとともに空室情報の送信をリクエストして、利用状況(対象のトイレ個室が空室か利用中かを示す)の情報を取得し、利用者による入室を検知したら広告を表示する。さらに、表示制御部413は、利用者の退室の情報を取得すると、広告表示を終了させる。
【0038】
<空室検知センサの構成例>
図5は、空室検知センサ30のハードウェア概略構成例を示す図である。
図5に示されるように、空室検知センサ30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成されるプロセッサ310と、ROM(Read Only Memory)320と、RAM(Random Access Memory)330と、トイレ個室20の扉の開閉を検知するセンサ340(例えば、マグネットセンサ)と、通信装置350と、を有する。プロセッサ310は、ROM320から動作プログラムを読み込み、図示しない内部メモリに展開して必要な機能を実現する。プロセッサ310は、RAM53に一時的に(例えば、同一トイレ個室IDに関して次の通知を受けるまで)格納するとともに、空室管理サーバ10に受信した通知を送信するように通信装置54の動作を制御する。
【0039】
<管理端末の構成例>
図6は、管理端末60のハードウェア概略構成例を示す図である。
図6に示されるように、管理端末60は、CPU(Central Processing Unit)などで構成されるプロセッサ610と、ROM(Read Only Memory)620と、RAM(Random Access Memory)630と、通信装置640と、メモリ650と、表示装置660と、HDD(Hard Disk Drive)670と、を備える。プロセッサ610は、ROM620から動作プログラムを読み込み、図示しない内部メモリに展開して必要な機能を実現する。管理端末60では、通信装置640が空室管理サーバ10から通知(いずれかの表示端末40が動作していないこと、中継器50が動作していないこと、空室検知センサ30からの検知結果が受信できていない場合のエラー通知、あるいは通信状況が悪いことなど)を受信すると、プロセッサ610は、RAM63に一時的に格納するとともに、当該受信した通知を表示するように表示装置66を制御する。
【0040】
<空室管理DB>
図7は、空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各トイレ施設T1からTnの各トイレ個室20の利用状況を管理する空室管理データベース(空室管理テーブル)121の構成例を示す図である。
【0041】
空室管理データベース121は、例えば、トイレ個室ID1211と、センサID1212と、表示端末ID1213と、利用状況(+日時)1214と、表示端末種別1215と、を構成項目として含む。
【0042】
トイレ個室ID1211は、トイレ施設T1からTnの各トイレ個室20を一意に特定・識別するトイレ個室識別情報(番号や記号)である。センサID1212は、各トイレ個室20に設置された空室検知センサを一意に特定・識別するセンサ識別情報である。表示端末ID1213は、各トイレ個室20に設置された表示端末(一次表示端末および二次表示端末)を一意に特定・識別する表示端末識別情報である。
【0043】
利用状況(+日時)1214は、日時情報(個室利用状況管理テーブル1100の日時1106に対応する)とトイレ個室20の利用状態の情報を含み、該当する日時において各トイレ個室20が利用されているか否かを示す情報である。例えば、利用状況(+日時)1214が「1」の場合は当該トイレ個室20が「利用中」を示し、利用状況(+日時)1214が「0」の場合は当該トイレ個室20が「空室」であることを示している。空室管理サーバ10によって一次表示端末40Pに指定された表示端末40が各トイレ個室20に設置された空室検知センサ30から受信(取得)した検知結果を集計し、空室管理サーバ10に送信する。空室管理サーバ10は、一次表示端末40Pから集計された検知結果を受信し、それらを空室管理DB121の利用状況(+日時)1214に反映する。このようにして、空室管理DB121の利用状況(+日時)1214は、定期的に更新されることになる。
【0044】
表示端末種別1215は、各トイレ個室20に設置された表示端末40が一次表示端末であるのか二次表示端末40S_1から40S_nであるのかを示す情報である。表示端末種別1215が「1」の場合は当該表示端末40が一次表示端末40Pであることを示し、表示端末種別1215が「0」の場合は当該表示端末40が二次表示端末40S_1から40S_nであることを示す。一次表示端末40Pの決定処理については後述する(
図12参照)。
【0045】
<広告管理DB>
図8は、空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各広告コンテンツデータを管理する広告管理データベース(広告管理テーブル)122の構成例を示す図である。
【0046】
広告管理データベース122は、例えば、広告ID1221と、対象施設ID1222と、表示期間1223と、広告ファイル1224と、を構成項目として含む。
【0047】
広告ID1221は、広告コンテンツデータを一意に特定・識別する広告識別情報(番号や記号)である。対象施設ID1222は、当該広告コンテンツデータが配信される施設(トイレ施設T1からTnが設置されている施設:オフィスビルや商業施設などの建物)を一意に特定・識別する対象施設識別情報(番号や記号)である。
【0048】
表示期間1223は、当該広告コンテンツデータを利用(表示)できる有効期間を示す情報である。表示期間が経過すると、例えば、広告ファイル1224が新しいデータに書き換えられ、新たな表示期間1223が設定される。
【0049】
広告ファイル1224は、実際に対象施設の各トイレ施設における一次表示端末40Pに配信される広告コンテンツデータ(動画や静止画)を示している。動画ファイルの場合、例えば、15秒や30秒の広告動画とすることができる。一次表示端末40Pは、空室管理サーバ10から広告コンテンツデータおよび表示設定情報を取得すると、同一トイレ施設Tk(k=1からnの整数)の二次表示端末40S_1から40S_nのそれぞれに広告コンテンツデータおよび表示設定情報を送信する。
【0050】
<施設管理DB>
図9は、空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各施設(オフィスビルや商業施設など)の情報を管理する施設管理データベース(施設管理テーブル)123の構成例を示す図である。
【0051】
施設管理データベース123は、例えば、施設ID1231と、施設名称1232と、営業時間1233と、住所1234と、保有トイレ施設ID1235と、表示設定情報1236と、を構成項目として含む。
【0052】
施設ID1231は、管理対象のトイレ施設が設置されている施設を一意に特定・識別する施設識別情報である。施設には、上述のように、オフィスビル、ショッピングモールなどの大型商業施設、デパートなどの建物が含まれる。
【0053】
施設名称1232は、当該施設の名称を示す情報である。営業時間1233は、当該施設の営業時間を示す情報である。例えば、商業施設であれば開店時間から閉店時間が該当し、オフィスビルであれば受付開始時間から受付終了時間が該当する。住所は、当該施設の所在地を示す情報である。保有トイレ施設ID1235は、当該施設に設置された(当該施設が保有する)トイレ施設の識別情報を示している。保有トイレ施設ID1235からは対象の施設に設置された(施設が保有する)トイレ施設の個数も分かる。
【0054】
表示設定情報1236は、当該施設に設置されたトイレ施設(保有トイレ施設IDで特定されるトイレ施設)に配信される広告コンテンツデータの識別情報(例えば、001-003)と、利用者のトイレ個室への入室検知から広告コンテンツを表示端末40の画面上に表示し始めるまでの時間(例えば、5秒後)と、表示(配信)広告コンテンツの個数とを示す情報である。
【0055】
<トイレ施設管理DB>
図10は、空室管理サーバ10が記憶デバイス120に保持し、各トイレ施設T1からTnの情報を管理するトイレ施設管理データベース(トイレ施設管理テーブル)124の構成例を示す図である。
【0056】
トイレ施設管理データベース124は、トイレ施設ID1241と、所属施設ID1242と、設置場所1243と、保有個室ID1244と、を構成項目として含む。
【0057】
トイレ施設ID1241は、トイレ施設を一意に特定・識別するトイレ施設識別情報である。所属施設ID1242は、対象のトイレ施設が設置されている(所属する)施設(オフィスビルや商業施設など)を特定・識別する情報である。設置場所1243は、対象のトイレ施設が設置されている、施設内の場所を示す情報である。保有個室ID1244は、対象のトイレ施設に存在する個室を特定・識別する情報である。保有個室ID1244からは対象のトイレ施設に設置された(トイレ施設が保有する)トイレ個室の個数も分かる。
【0058】
<個室管理DB>
図11は、一次表示端末40Pに指定された表示端末40が記憶デバイスに生成し保持する個室利用状況管理テーブル1100の構成例を示す図である。
【0059】
個室利用状況管理テーブル1100は、センサID1101と、トイレ施設ID1102と、個室ID1103と、表示端末ID1104と、ドア開閉状態1105と、日時1106と、利用回数1107と、端末種別1108と、を構成項目として含む。
【0060】
センサID1101は、一次表示端末40Pが管理すべきトイレ個室20、空室検知センサ30、表示端末40が設置されたトイレ施設Tkの各トイレ個室に20に設置された空室検知センサ30を一意に特定・識別する空室検知センサ識別情報である。トイレ施設ID1102は、当該トイレ施設Tkを一意に特定・識別するトイレ施設識別情報である。1つの一次表示端末40Pが保持する個室利用状況管理テーブル1100では、例えば、1つのトイレ施設が管理される。一次表示端末40Pは1つのトイレ施設に関連する情報を管理するからである。
【0061】
個室ID1103は、当該トイレ施設Tkに含まれる個室を一意に特定・識別するトイレ個室識別情報である。表示端末ID1104は、各トイレ個室20に設置された表示端末を一意に特定・識別する表示端末識別情報である。
【0062】
ドア開閉状態1105は、対象の個室20のドアが開いているか、閉じているかを示す情報である。ドアが開いている場合は「1」となり、当該個室20は空室(非利用)であることが分かる。ドアが閉じている場合は「0」となり、当該個室20は利用されていることが分かる。一次表示端末40Pは、自トイレ個室(一次表示端末40Pが設置されているトイレ個室)と他のトイレ個室に設置された空室検知センサ30から定期的(例えば、10秒毎)に検知結果を受信し、当該個室利用状況管理テーブル1100のドア開閉状態1105の情報を更新する。日時1106は、一次表示端末40Pが各空室検知センサ30から最新の検知結果を受信した日時(空室検知センサ30が検知した日時でもよい)を示す情報である。つまり、最新の検知結果は、現在、トイレ個室20が空室か利用されているかを示す情報であるため、ドア開閉状態1105と日時1106とを合わせると、その時点での利用状態が分かることになる。
【0063】
利用回数1107は、特定の期間(例えば、1日、1週間などのまとまった時間)内に当該個室の利用回数(延べ利用者数)を示す情報である。利用回数1107の情報は、後述の変形例で説明するように、当該トイレ施設Tkにおける各トイレ個室20の複数の表示端末40の中から一次表示端末40Pを決定する際の判断情報として用いることができる。
【0064】
端末種別1108は、当該トイレ施設Tkの各トイレ個室に設置された表示端末40の種別を示す情報である。例えば、端末種別「1」は対象の表示端末40が一次表示端末40Pに指定されていることを示し、端末種別「0」は対象の表示端末40が二次表示端末40S_1から40S_nであることを示している。一次表示端末40Pと二次表示端末40S_1から40S_nとの関係は、例えば、通信機における親機と子機との関係のようなものである。
【0065】
<機器設定処理:一次表示端末の決定処理>
図12は、空室管理サーバ10による、トイレ施設Tkに設置されている複数の表示端末40の中から一次表示端末40Pを決定する処理を説明するためのフローチャートである。
図12に示す機器設定処理は、定期的に(例えば、月に一度、年に一度)、あるいは指定した日に実行するようにしてもよいし、管理者の指示に応答して随時実行するようにしてもよい。
【0066】
(i)S1201
空室管理サーバ10の決定部112は、トイレ施設管理DB124から1つのトイレ施設Tk(k=1からn)を処理対象として選択する。
【0067】
(ii)S1202
決定部112は、S1201で選択したトイレ施設Tkに含まれるトイレ個室20に設置された各表示端末40から所定時間内(例えば、直近3分以内)に空室検知センサ30から受信した検知結果情報を取得する。
【0068】
空室検知センサ30は、定期的に検知結果を発信しており、トイレ施設Tkに設置されている各表示端末40は、通信機能や通信環境が正常であれば全ての空室検知センサ30から検知結果を受信することができ、所定時間内の検知結果を蓄積するように構成されている。空室管理サーバ10は、通信装置130を用いて、トイレ施設Tk内の各表示端末40から送信されてきた蓄積検知結果情報を受け取り、管理部111を介して記憶デバイス120に格納する。なお、このような各表示端末40から取得した蓄積検知結果情報を送信元である表示端末40の識別情報に関連付けてデータベース化して管理してもよい。そして、決定部112は、記憶デバイス120から各表示端末40から所定時間内に受信した検知結果情報を取得することができる。
【0069】
(iii)S1203
決定部112は、S1202で取得した検知結果情報を確認し、上記トイレ施設Tk内の全ての空室検知センサ30の検知結果(各空室検知センサ30が送信した全ての検知結果としてもよい)を取得できていない表示端末40があれば、その表示端末40を一次表示端末40Pの候補から除外する。
【0070】
(iv)S1204
決定部112は、S1203で除外されていない(残りの)表示端末40からランダムに1つの表示端末40を一次表示端末(親機)40Pに設定する。
【0071】
(v)S1205
決定部112は、空室管理データベース121、広告管理データベース122、および施設管理データベース123を参照して、S1204で決定した一次表示端末40Pに送信すべき一次表示端末用データと、一次表示端末40Pに指定された表示端末40の情報(表示端末IDおよび一次表示端末として指名されたことを示す一次表示端末指名情報を含む)を取得する。例えば、決定部112は、空室管理データベース121から対象のトイレ施設Tkの一次表示端末40Pの情報を取得し、それに対して送るべき一次表示端末用データとして、トイレ施設管理データベース124で管理されている、対象のトイレ施設Tkに設置されたトイレ個室20の情報と、広告管理データベース122で管理されている、一次表示端末40Pが設置されているトイレ施設Tkが存在する施設に送信すべき広告コンテンツデータ(表示期間1223および広告ファイル1224)と、施設管理データベース123で管理されている、対象の施設の営業時間1233の情報および対象の施設に対応する表示設定情報1236の情報を取得する。また、決定部112は、取得した一次表示端末40Pの情報(表示端末IDと配信先の情報)と一次表示端末用データを配信部113に受け渡す。
【0072】
(vi)S1206
配信部113は、通信制御部114と協働し、通信装置130を介して、施設(例えば、ショッピングモールや商業ビルなど)の営業時間外に、トイレ施設Tkにおける一次表示端末40Pに対して、上記一次表示端末用データ(広告コンテンツデータおよび表示設定情報)を配信する。
【0073】
(vii)S1207
配信部113は、トイレ施設Tkにおける二次表示端末40S_1から40S_n(子機:トイレ施設Tkにおいて、一次表示端末40Pに指定された表示端末40以外の表示端末40)に対して、一次表示端末40P(親機)の情報を送信する。これにより、二次表示端末40S_1から40S_nのそれぞれは、どの表示端末40が一次表示端末40Pであるか認識することができる。一次表示端末40Pと二次表示端末40S_1から40S_nは適宜通信を行い、広告コンテンツデータおよび表示設定情報の受け渡しが行われることになる。
【0074】
<一次表示端末のセットアップ処理>
図13は、一次表示端末40Pに指定された表示端末40におけるセットアップ処理を説明するためのフローチャートである。なお、後述の一次表示端末用プログラムは、全表示端末40に予めインストールされるようにしてもよいし、空室管理サーバ10から一次表示端末用データと共に一次表示端末用プログラムも配信されるようにしてもよい。以下では、一次表示端末用プログラムは表示端末40に予めインストールされているものとする。
【0075】
(i)S1301
空室管理サーバ10によって一次表示端末40Pに指定された表示端末40の通信装置430は、空室管理サーバ10から送信されてきた上記一次表示端末用データを受信する。
【0076】
(ii)S1302
当該表示端末40のプロセッサ410は、一次表示端末用データと共に配信されて来た一次表示端末指名情報に応じて、一次表示端末用プログラムを記憶デバイス420から読み込んで起動する。このとき、プロセッサ410は、空室管理サーバ10から受信した広告コンテンツデータおよび表示設定情報を管理するための広告管理部(図示せず)を内部メモリに生成するようにしてもよい。なお、ここで、一次表示端末用プログラムは、二次表示端末40S_1から40S_nから問い合わせを受けたときに、当該二次表示端末の表示端末IDを参照して、それに対応する空室検知センサ30による検知結果の情報を当該二次表示端末に送信する処理を実行するプログラムである。
【0077】
(iii)S1303
プロセッサ410は、表示設定情報に基づいて、自表示端末の広告表示プログラムを設定する。つまり、プロセッサ410は、表示設定情報に含まれる表示ルールに従って、表示装置440に広告コンテンツを表示することができるように、広告表示プログラムを設定する。
【0078】
また、プロセッサ410は、個室利用状況管理テーブル1100を参照して、二次表示端末40S_1から40S_nに設定された表示端末40に対して、空室管理サーバ10から受信した広告コンテンツデータおよび表示設定情報(表示端末40における広告表示条件)を、施設の営業時間外(営業時間の情報が一次表示端末用データに含まれているため、それに基づいて判断する)に配信する。なお、広告表示プログラムは、全表示端末40に予めインストールされるようにしてもよい。
【0079】
(iv)S1304
プロセッサ410は、個室利用状況管理テーブル1100の端末種別1108の情報を更新(自端末が一次表示端末40Pであり、他の表示端末40が二次表示端末40S_1から40S_nであると入力)する。また、プロセッサ410は、それ以降、各空室検知センサ30からの検知結果の情報を集約するとともに、各トイレ個室20の利用回数(所定時間内の延べ利用人数)をカウントし、その情報を個室利用状況管理テーブル1100に保持する。
【0080】
さらに、プロセッサ410は、空室管理サーバ10から受信した広告コンテンツデータおよび表示設定情報を表示端末用広告管理データベース(図示せず)に格納する。なお、一次表示端末40Pから二次表示端末40S_1から40S_nへの広告コンテンツデータおよび表示設定情報の配信タイミングと上記表示端末用広告管理データベースへの格納のタイミングの先後は任意であり、前者が後者よりも早くてもよいし遅くてもよい。また、同じタイミングでもよい。
【0081】
<空室検知センサから一次表示端末への検知結果の送信処理シーケンス>
図14は、トイレ施設Tkにおける各トイレ個室20の各空室検知センサ30から一次表示端末40Pに検知結果(ドア開閉=空室か否か)を送信し、一次表示端末40Pで個室利用状況管理テーブル1100に格納されるまでのシーケンスを説明するためのフローチャートである。一次表示端末40Pはトイレ施設Tkの各トイレ個室20に設置された全ての空室検知センサ30から検知結果を受信するので、
図13のシーケンスは空室検知センサ30の数だけ実行される。
【0082】
(i)S1401
空室検知センサ30のセンサ340は、例えば周期的なタイミング(例えば、8秒毎)に当該空室検知センサ30が設置されたトイレ個室20が空室か否か検知する。センサ340が例えばドア開閉を検知するマグネットセンサである場合には、当該トイレ個室20のドアの開閉を検知することにより空室か否かを検知することができる。トイレ個室20が空室か否か検知したセンサ340は、検知結果をプロセッサ310に受け渡す。
【0083】
(ii)S1402
プロセッサ310は、通信装置350を用いて、検知結果(検知日時の情報を含んでいてもよい)を発信する。
【0084】
(iii)S1403
一次表示端末40Pの通信制御部411が通信装置430を制御して空室検知センサ30から発信された検知結果を受信し、これを記憶制御部412に受け渡す。
【0085】
(iv)S1404
記憶制御部412は、記憶デバイス420に保持される個室利用状況管理テーブル1100の対応するセンサID1101の行のドア開閉状態105および日時1106の情報を更新し、さらに必要に応じて利用回数1107の情報も更新する。具体的に記憶制御部412は、ドア開(空室)からドア閉(利用中)に状態が変化した場合に、利用回数1107に1加えることとする。
【0086】
<広告コンテンツ表示処理>
図15は、表示端末(一次表示端末40Pおよび二次表示端末40S_1から40S_n)40において広告コンテンツデータを表示する処理を説明するためのフローチャートである。
【0087】
(i)S1501
表示端末40の表示制御部413は、表示装置440の画面上に初期画面を表示する。初期画面の画像は予め記憶デバイス420に格納されている画像(初期画面用画像として予め決められている)を用いることができる。
【0088】
(ii)S1502
プロセッサ410は、利用状況情報(当該表示端末40が設置されたトイレ個室20が空室か利用中かを示す情報)を取得する。表示端末40が一次表示端末40Pである場合、自身が個室管理データベース100を保持しているため、プロセッサ410は、自身の記憶デバイス420に格納されている個室利用状況管理テーブル1100を参照し、対応する空室検知センサ30(センサID1101によって特定可能)が検知した検知結果(ドア開閉状態1105と日時1106の情報)を取得する。一方、表示端末40が二次表示端末40S_1から40S_nである場合、通信制御部411は、通信装置430を制御し、一次表示端末40Pと通信し、対象のトイレ個室20に設置された空室検知センサ30の検知結果(ドア開閉状態1105と日時1106)を取得する。
【0089】
(iii)S1503
プロセッサ410は、S1502で取得した検知結果の情報に基づいて、対象のトイレ個室20に利用者が入室しているか(トイレ個室が空室か利用中か)を判断する。当該トイレ個室20が利用中である場合(S1503でYesの場合)、処理はS1504に移行する。一方、当該トイレ個室20が空室である場合(S1503でNoの場合)、処理はS1507に移行する。
【0090】
(iv)S1504
表示制御部413は、表示装置440の画面上の表示を広告コンテンツに切り替える(広告コンテンツの表示開始)。
【0091】
(v)S1505
広告コンテンツの表示と並行して、プロセッサ410は、S1502と同様にして利用状況情報を取得し(例えば、10秒毎に取得される)、当該利用状況情報に基づいて利用者の退出を検知したか判断する。利用者の退出を検知した場合(S1505でYesの場合)、処理はS1507に移行する。利用者が未だ在室している場合(S1505でNoの場合)、処理はS1506に移行する。
【0092】
(vi)S1506
プロセッサ410は、広告コンテンツの表示開始から所定時間(例えば、20分間)経過したか否か判断する。既に所定時間経過した場合(S1506でYesの場合)、処理はS1507に移行する。未だ所定時間経過していない場合(S1506でNoの場合)、処理はS1505に移行する。この場合(S1506でNoの場合)、広告コンテンツの表示は継続される。
【0093】
(vii)S1507
表示制御部413は、広告コンテンツの表示を終了し、初期画面(例えば、あらかじめ決められた静止画)を表示装置440の画面上に表示する(広告コンテンツから初期画像に画面表示を切り替える)。
【0094】
(viii)S1508
プロセッサ410は、管理者から終了の指示が入力された場合(S1508でYesの場合)、あるいは施設の営業時間が終了した場合(S1508でYesの場合)、当該広告コンテンツ表示処理を終了する。そのような場合でなければ(S1508でNoの場合)、処理はS1502に移行し、広告コンテンツ表示処理は継続して実行される。
【0095】
<第1の実施形態の効果>
従来技術によれば、各空室検知センサ30は、トイレ個室20の内部あるいは近傍に設置された中継器を介して、空室管理サーバ10に空室検知結果を送信し、各表示端末40は空室管理サーバ10から利用状況情報を取得する必要があった。
【0096】
しかし、本実施形態によれば、利用状況情報や広告配信などのデータの授受は、トイレ個室内に設置された機器間(表示端末40間、および一次表示端末40P-各空室検知センサ間)で実行される。このため、空室管理サーバ10と表示端末40間の通信状態が一時的に悪化するようなことがあっても、トイレ施設T1からTk内の広告コンテンツ表示動作は停止しない。また、機器設定処理(
図12)を定期的に実行する場合には、正常に全ての空室検知センサ30からの検知結果情報を取得している表示端末40が一次表示端末(親機)40Pとして選択(指定)されることになる。よって、システム管理を多重化することができる。つまり、今まで一次表示端末40Pとして機能していた表示端末40が全ての空室検知センサ30から検知結果を正常に受信できていない場合には、正常に受信できている表示端末40に切り替えて一次表示端末40Pの機能を担わせることができる。
【0097】
さらに、本実施形態では各空室検知センサ30からの検知結果情報を空室管理サーバ10に送信するための中継器を使用していないため、中継器の分コストを削減することができる。また、空室管理サーバ10による各表示端末40への広告コンテンツデータの送信の負担を減らすことができる。例えば、各フロアにトイレ施設がある施設(高層ビル)の場合(多数のトイレ個室20がある)、空室管理サーバ10が全てのトイレ個室20の各表示端末40に広告コンテンツデータを送信するのではなく、トイレ施設T1からTnごとの一次表示端末(親機)40Pに送るだけで残りの個室の表示端末40にも広告コンテンツデータがバトン方式で送信される。このため、空室管理サーバ10の負荷を軽減することができる。
【0098】
<第1の実施形態の変形例>
(i)第1の実施形態における一次表示端末(親機)40Pの決定方法は
図12で説明した通りであるが、他にも一次表示端末(親機)40Pを決定する方法はある。空室管理サーバ10が各トイレ施設T1からTnの表示端末40から所定時間内(例えば、1日や1週間)における各トイレ個室の利用回数の情報を取得できる場合は、使用頻度の少ないトイレ個室20の表示端末を一次表示端末(親機)40Pに選択してもよい。一次表示端末は二次表示端末よりも処理負荷や通信負荷が高い。そこで、広告コンテンツの表示回数が少ない端末である使用頻度の少ないトイレ個室20の表示端末を一次表示端末とすることで、処理負荷や通信負荷の偏りを抑制することができる。
【0099】
(ii)また、複数の条件を考慮して一次表示端末40Pを決定してもよい。例えば、対象のトイレ施設Tkに設置された全ての空室検知センサ30から検知結果情報を取得できた表示端末40であって、かつ所定時間内の利用回数(延べ利用者数)が最も少ないトイレ個室20に設置された表示端末40を一次表示端末40Pとして選択してもよい。
【0100】
(iii)さらに、対象のトイレ施設Tkにおける各トイレ個室20の位置情報に基づいて、一次表示端末(親機)40Pとなる表示端末40を決めるようにしてもよい。例えば、空室管理サーバ10が各トイレ個室20の表示端末40が設置された位置や空室検知センサ30の設置位置情報を取得し、全ての空室検知センサ30との距離の最大値が最も小さい表示端末40を一次表示端末(親機)40Pとすることもできる。端末同士の距離が近いほど通信環境が安定しやすいため、一次表示端末と二次表示端末それぞれとの距離ができるだけ近くになるように一次表示端末を決定することで、より安定した通信環境にすることができる。
【0101】
(iv)また、通信強度を計測する機器を用い、各表示端末40を各トイレ個室20に設置するときに、各表示端末40の電波状況を確認し、事前に表示端末40の優先順位を空室管理サーバ10に登録しておいてもよい。この場合、空室管理サーバ10は、事前に登録されたトイレ施設Tk内の表示端末40の優先順位に従って、一次表示端末40Pを決定することができる。これにより、他の表示端末との通信状況のよい表示端末を優先的に一次表示端末(親機)40Pとして設定することができる。
【0102】
(v)表示端末40に表示するコンテンツは、広告コンテンツだけではなく、施設の情報やお願い(例えば、「綺麗に使っていただいたありがとうございます」などのメッセージ)でもよいし、動画ではなく静止画であってもいい。
【0103】
(vi)対象のトイレ施設Tk内の表示端末40のうち、当該トイレ施設Tk内に設置された全ての空室検知センサ30の検知結果情報を取得できている表示端末40がない場合には、空室管理サーバ10は、暫定的に最も多くの空室検知センサ30の検知結果情報を取得している表示端末40を一次表示端末として決定するとともに、管理端末60に対してエラー通知をするようにしてもよい。これにより、管理者は即座に対策を講じることができるようになる。
【0104】
なお、第1の実施形態では変形例の説明のため、一次表示端末が管理対象とする複数のトイレ施設の利用回数をカウントすることとしたら、第1の実施形態のようにトイレ施設の利用回数を参照することなく一次表示端末を決定する場合など、利用回数が不要な場合は、必ずしも一次表示端末が利用回数を管理しなくてもよい。
【0105】
また、第1の実施形態ではユーザ端末80から空室管理サーバ10にアクセスすることで、所望のトイレ施設の利用状況を閲覧可能なシステムとしたが、必須の構成ではない。ユーザ端末80に向けて空室管理サーバ10からトイレ施設の混雑情報を配信する必要がない場合には、空室管理サーバ10に利用状況管理機能がなく、一次表示端末40Pは管理対象の各トイレ個室の利用状況に関する情報(検知結果情報など)を空室管理サーバ10に送信しない構成としてもよい。ユーザ端末80に空室管理サーバ10がトイレ施設の利用状況を配信するシステムである場合でも、ユーザ端末80にはトイレの利用状況を示す情報(混雑情報)として、トイレ施設に含まれるトイレ個室数とトイレ個室のうち利用中のトイレ個室数とが含まれていれば十分である場合には、一次表示端末は、各トイレ個室の利用状況に関する情報の代わりに、定期的にトイレ施設に含まれるトイレ個室数とトイレ個室のうち利用中のトイレ個室数とを示す混雑情報のみ空室管理サーバ10に送信するようにしてもよい。
【0106】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態では、中継器として動作する一次表示端末(親機)40Pが対象の(担当する)トイレ施設Tkの混雑度の情報を定期的(所定の時間間隔:例えば、3分毎)に空室管理サーバ10に送信する。このとき、空室管理サーバ10は、当該混雑度の情報(利用状況の情報)を空室管理データベース121で管理するようにしてもよい。そして、空室管理サーバ10は、ユーザ端末80からリクエストを受信すると、リクエストしたユーザ端末80に対して対象のトイレ施設Tkの混雑度の情報を送信する。
【0107】
また、第2の実施形態では、一次表示端末40Pから送信されるはずの混雑度の情報が一定期間送信されなかった場合(空室管理サーバ10が一次表示端末40Pから混雑度の情報を一定期間受信できなかった場合)、空室管理サーバ10は、当該一次表示端末40Pに不具合が生じている可能性があると判断し、同一トイレ施設Tk内の別の表示端末40に一次表示端末機能(親機機能)を移行させる処理を実行する。なお、第2の実施形態における空室管理システム1およびそれを構成する装置の構成は第1の実施形態と同一である。
【0108】
<混雑度算出>
一次表示端末40Pのプロセッサ410は、所定時間(例えば、3分)毎に個室利用状況管理テーブル1100を参照し、ドア開閉状態1105の情報(各トイレ個室の利用状況の情報に対応する)から利用中のトイレ個室20の数を確認し、混雑度を算出する。当該トイレ施設Tkの混雑度は、利用中のトイレ個室数/トイレ施設Tkの総個室数によって算出することができる。そして、通信制御部411は、通信装置43を制御して、算出した混雑度の情報を空室管理サーバ10に送信する。つまり、空室管理サーバ10は、所定時間(例えば、3分)間隔で各トイレ施設T1からTkの一次表示端末40Pから混雑度の情報を取得することになる。
【0109】
<空室管理テーブル>
第2の実施形態において、空室管理サーバ10は、空室管理テーブル121において、利用状況(+日時)1214に加えて、各トイレ施設T1からTnの一次表示端末40Pから受信した混雑度の情報を管理するようにしてもよい。空室管理サーバ10は、各一次表示端末40Pから混雑度の情報を受信する度に、空室管理テーブル121の混雑度の欄(
図7には図示せず)を更新するが、混雑度の履歴として記憶デバイス120に少なくとも所定期間(例えば、1日)保持するようにする。
【0110】
<一次表示端末変更処理>
図16は、空室管理サーバ10が一のトイレ施設Tkにおける一次表示端末40Pの機能を別の表示端末40(同一トイレ施設Tk内)に移行させる(一次表示端末の変更)処理を説明するためのフローチャートである。当該一次表示端末変更処理は、所定間隔(例えば、20分)おきに実行される。
【0111】
(i)S1601
決定部112は、空室管理サーバ10における管理対象となっているトイレ施設T1からTnの中から、処理対象のトイレ施設Tk(k=1からnの何れかの整数)を選択する。S1602からS1608までの処理を実行するために、トイレ施設T1からTnを順番にチェックしていってもよいし、その中の一部のみをオペレータが指定してチェックするようにしてもよい。
【0112】
(ii)S1602
決定部112は、記憶デバイス120にアクセスし、対象のトイレ施設Tkにおける混雑度の情報の受信履歴(例えば、直近の所定期間(20分間)における受信履歴)を取得する。
【0113】
(iii)S1603
決定部112は、S1602において混雑度の情報を受信できているか判断する。混雑度情報が受信できている場合(S1603でYesの場合)、処理はS1608に移行する。混雑度情報が受信できていない場合(S1603でNoの場合)、処理はS1604に移行する。
【0114】
なお、当該ステップにおいて、混雑度の情報を全て欠落なく受信できているか確認してもよいし、受信の成功率(一次表示端末40Pからの送信時間間隔(20分間)に基づいて、受信数/想定される送信数で求められる)を算出して所定値(例えば、90%)以上であれば混雑度を取得できていると判断するようにしてもよい。また、連続して所定回数(例えば、3回)以上受信できなった場合には混雑情報を取得できなかったと判断するようにしてもよい。
【0115】
(iv)S1604
決定部112は、現在動作している一次表示端末40Pの指定を解除する。具体的には、通信制御部114は、通信装置130を制御して、現在一次表示端末40Pとして機能している表示端末40に対して、一次表示端末40Pとしての機能(他の表示端末に対する広告コンテンツデータを配信する、各トイレ個室の利用状況を個室利用状況管理テーブル1100で管理する、他の表示端末のリクエストに応答して該当するトイレ個室20の利用状況の情報を返信するなど)の停止命令を送信する。
【0116】
(v)S1605
決定部112は、今まで一次表示端末40Pとして動作していた表示端末40を除く表示端末40(今まで二次表示端末40S_1から40S_nとして動作していた表示端末40)の中から新たに一次表示端末40Pとして動作する表示端末40を選択する。新たな一次表示端末40Pとして、現時点から所定時間内に同一トイレ施設Tk内で最も多くの空室検知センサ30から検知結果情報を取得できている表示端末40を選択(指定)するようにしてもよいし、
図12に示す機器設定処理(一次表示端末決定処理)に従って決定するようにしてもよい。
【0117】
また、決定部112は、新たに一次表示端末40Pに指定した表示端末40の情報(表示端末IDおよび配信先の情報)と、一次表示端末用データ(広告コンテンツデータおよび表示設定情報)を記憶デバイス120(空室管理データベース121、広告管理データベース122、施設管理データベース123)から取得する。
【0118】
(vi)S1606
配信部113は、決定部112から一次表示端末40Pに指定した表示端末40の情報(表示端末IDおよび配信先の情報)および一次表示端末用データ(広告コンテンツデータおよび表示設定情報)を受け取る。
【0119】
(vii)S1607
配信部113は、新たな一次表示端末40Pに対して、S1606で取得した一次表示端末用データを送信する。
【0120】
(viii)S1608
決定部112は、全ての処理対象のトイレ施設(トイレ施設T1からTnの少なくとも一部)についてS1602からS1607の処理を実行完了したか確認する。未処理のトイレ施設がある場合(次に処理すべき施設がある場合:S1608でYesの場合)、処理はS1601に移行する。未処理のトイレ施設がない場合(次に処理すべき施設がない場合:S1608でNoの場合)、当該一次表示端末変更処理は終了する。
【0121】
<第2の実施形態の効果>
一次表示端末40Pとして機能していた表示端末40に不具合が生じても、他の表示端末40に一次表示端末40Pの機能を移行する(一次表示端末(親機)の変更)ことにより、トイレ施設T1からTn内の一次表示端末40P(中継器)の機能(広告コンテンツデータおよび表示設定情報配信、空室検知センサ30からのデータの管理など)を多重化することができる。よって、トイレ施設T1からTnに設置された各表示端末40と空室管理サーバ10との通信への影響を最小限に抑えることができる。従来であれば、中継器に不具合が生じてしまうと全ての表示端末(不具合がないにも拘らず)に悪影響を及ぼすことになっていたが、このような事態を回避することができるようになる。
【0122】
(3)変形例
(i)第1および第2の実施形態では、中継器を設置しない空室管理システム1について説明しているが、中継器を設置した上で本実施形態のように一次表示端末40Pを設定するようにしてもよい。例えば、従来の通り、各空室検知センサ30からの情報を中継器が空室管理サーバ10に送信し、各表示端末40は、それが設置されたトイレ個室20内の利用状況の情報を空室管理サーバ10に問い合わせ、利用状況に応じて表示端末40の表示画面上に広告コンテンツを表示させるシステムとする。このとき、空室管理サーバ10は、中継器から一定期間の通信が途絶えたことを検知した場合、中継器の代わりとなる表示端末40を一次表示端末(親機)40Pとして設定し、システムを継続的に動作させることができる。このように、中継器と空室管理サーバ10との通信状況によるシステムの不具合が生じた場合にも他の装置を利用(中継器に転用)可能にすることで、空室管理システム1の動作を停止することなく運用し続けることができる。
【0123】
(ii)第1および第2の実施形態では、各トイレ施設T1からTkに設置された複数のトイレ個室20の利用状況(混雑情報、混雑度)を管理するようにしているが、トイレ施設内の個室に限らず、別の施設の個室を管理対象としてもよい。例えば、ファッションストアにおける複数のフィッティングルーム(モニタ設置)や授乳室など、利用者が一時的に滞在する個室(モニタ設置)を管理対象とすることができる。
【0124】
(iii)第1および第2の実施形態では、空室管理サーバ10がトイレ施設内のうち一次表示端末として選択した表示端末には一次表示端末用データを、他の表示端末には一次表示端末の情報を送信するようにしたが、一次表示端末として選択した表示端末にのみデータ送信する構成とすることもできる。一次表示端末用データに、同じトイレ施設内の他のトイレ個室に関する情報(トイレ個室ID、センサID、表示端末IDなど)を一次表示端末用データに含めて一次表示端末に送信した後、一次表示端末として指定された表示端末自身が、自身が管理対象とすべき二次表示端末(同じトイレ施設内の他の表示端末)それぞれに対して、一次表示端末に関する情報として自身の表示端末IDを送信する。
【0125】
(4)その他
本開示の技術は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し作動させる処理によって実現することができる。また、1以上の機能を実現する回路によって実現しても良い。
されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0126】
1 空室管理システム
10 空室管理サーバ
20 トイレ個室
30 空室検知センサ
40 表示端末
40P 一次表示端末(親機)
40S_1から40S_n 二次表示端末(子機)
60 管理端末
70 ネットワーク
80 ユーザ端末