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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184286
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/66 20060101AFI20221206BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20221206BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221206BHJP
   B26D 1/30 20060101ALI20221206BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J11/66
B65H37/04 Z
G03G15/00 430
B26D1/30 501C
B26D5/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092046
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅川 稔
【テーマコード(参考)】
2C058
2H072
3C024
3F108
【Fターム(参考)】
2C058AB03
2C058AC08
2C058AE02
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA18
2C058LA26
2C058LB09
2C058LB17
2C058LC24
2H072AA07
2H072AA16
2H072AA23
2H072GA05
2H072HA02
3C024FF01
3F108GA02
3F108GB06
(57)【要約】
【課題】名刺断裁の様な小片多数枚用紙作成の場合であっても、断裁後の用紙の品質確認を容易に手間なく行うことが可能な後処理装置及び当該後処理装置を備える画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像が形成された用紙を断裁する用紙断裁部(断裁部22)と、用紙断裁部により断裁された用紙を読み取る読み取り部(画像読取装置30)と、読み取り部による読み取り結果に基づいて、用紙断裁部により断裁された用紙の断裁位置の良否を判定する判定部(画像形成制御部16)と、を備える。また、判定部は、用紙断裁部により用紙を部分的に断裁する部分断裁が行われた用紙の断裁位置の良否を判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された用紙に後処理を行う後処理装置であって、
前記画像が形成された用紙を断裁する用紙断裁部と、
前記用紙断裁部により断裁された用紙を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部による読み取り結果に基づいて、前記用紙断裁部により断裁された用紙の断裁位置の良否を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記用紙断裁部により前記用紙を部分的に断裁する部分断裁が行われた用紙の断裁位置の良否を判定することを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記読み取り部は、前記用紙断裁部の下流に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記判定部による判定結果に基づいて、前記断裁位置を調整する調整部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の後処理装置。
【請求項4】
ジョブを実行する実行部を備え、
前記用紙を断裁するジョブが設定された場合、
前記判定部は、前記ジョブの実行前に前記断裁位置の良否を判定し、
前記調整部は、前記ジョブの実行前に前記断裁位置を調整し、
前記実行部は、前記調整部による前記断裁位置の調整が反映されたジョブを実行することを特徴とする請求項3に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記用紙を断裁するジョブは、1枚の前記用紙を、前記用紙の搬送方向及び前記搬送方向に直交する方向に複数断裁し、同一サイズの多数枚断裁用紙を作成して排出する名刺カード作成ジョブを含むことを特徴とする請求項4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記用紙断裁部による前記用紙の断裁を制御する断裁制御部を備え、
前記断裁制御部は、前記用紙の搬送方向及び前記搬送方向に直交する方向の両方向に前記用紙を断裁するジョブが設定された場合であって、前記用紙断裁部により前記用紙の部分断裁を行わせる場合、いずれか一の方向のみの部分断裁を行わせることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙に後処理を行う請求項1~6のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び当該後処理装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙上に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置により画像が形成された用紙に対して後処理を施す後処理装置と、を備える画像形成システムが知られている。後処理装置としては、例えば、画像形成装置により画像が形成された用紙を断裁する用紙断裁部を備えるものが知られている。
【0003】
用紙断裁部を備える後処理装置において、名刺断裁の様に、同一用紙に対して主走査方向に多数回の断裁処理を行って小片作成を行う場合、各断裁処理は、断裁前用紙の先端を基準として、各断裁処理パラメーター(移動時間、移動ステップ数など)により順次実行される。
複数回の断裁は、「用紙搬送」「用紙停止」「断裁」「用紙再搬送」「用紙停止」「断裁」…の繰り返しで実行される。このとき、「用紙再搬送」のステップで、用紙種等に起因する駆動ローラー滑り等により、狙いの移動量に対して若干のズレが発生し、その移動量のズレが断裁回数に応じて徐々に蓄積してゆくことで、用紙片断裁位置が適正な位置からずれてゆく傾向がある。すなわち、複数断裁の前段~後段部で、断裁サイズが設定サイズに対して異なってしまう場合がある。図11に、断裁位置が適正な位置からずれてゆく様子の一例を示す。なお、図11中の符号Pは用紙を、符号Q1(実線)は適正な位置(狙い位置)を、符号R1(破線)は実際の断裁位置を、それぞれ示している。
【0004】
その移動量のズレの蓄積に対し、事前に各断裁位置を調整する機能により、ズレ分を補正してジョブを実行する機能が知られている。ただし、ズレの起因となる移動量のバラツキ要因は、用紙種類や断裁回数条件にあるため、実行しようとするジョブで使用する用紙やジョブ内容ごとにズレの条件は異なり、そのジョブごとに事前に各断裁位置を調整しなければならず、ユーザーの作業負荷は大きい。
【0005】
そこで、断裁処理後に用紙の画像を読み取って、断裁処理(断裁位置)が適正であるか否かを判断する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-180228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の構成は、断裁後の用紙を読み取る際、断裁装置の後段に接続された読取装置を用いるようにしているが、小片を多数枚作成する断裁処理の場合、その小片を後段の読取装置に安定搬送させるためには、専用の搬送機構を設ける必要があり、コストが嵩むという課題がある。専用の搬送機構が設けられていない場合、読取装置への搬送ができないため、断裁装置内の専用スタッカーに格納させることとなり、小片を多数枚作成する断裁処理後の画像読み取りを行うことができなかった。
また、仮に、小片を多数枚作成する断裁処理後の画像読み取りをユーザーの手作業で実施するような場合、バラバラになった小片を画像の読み取り位置に1枚ずつ配置する必要があるため、過剰に手間が掛かっていた。
【0008】
本発明は、名刺断裁の様な小片多数枚用紙作成の場合であっても、断裁後の用紙の品質確認を容易に手間なく行うことが可能な後処理装置及び当該後処理装置を備える画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
後処理装置において、
画像が形成された用紙に後処理を行う後処理装置であって、
前記画像が形成された用紙を断裁する用紙断裁部と、
前記用紙断裁部により断裁された用紙を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部による読み取り結果に基づいて、前記用紙断裁部により断裁された用紙の断裁位置の良否を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記用紙断裁部により前記用紙を部分的に断裁する部分断裁が行われた用紙の断裁位置の良否を判定することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の後処理装置において、
前記読み取り部は、前記用紙断裁部の下流に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の後処理装置において、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記断裁位置を調整する調整部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の後処理装置において、
ジョブを実行する実行部を備え、
前記用紙を断裁するジョブが設定された場合、
前記判定部は、前記ジョブの実行前に前記断裁位置の良否を判定し、
前記調整部は、前記ジョブの実行前に前記断裁位置を調整し、
前記実行部は、前記調整部による前記断裁位置の調整が反映されたジョブを実行することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の後処理装置において、
前記用紙を断裁するジョブは、1枚の前記用紙を、前記用紙の搬送方向及び前記搬送方向に直交する方向に複数断裁し、同一サイズの多数枚断裁用紙を作成して排出する名刺カード作成ジョブを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の後処理装置において、
前記用紙断裁部による前記用紙の断裁を制御する断裁制御部を備え、
前記断裁制御部は、前記用紙の搬送方向及び前記搬送方向に直交する方向の両方向に前記用紙を断裁するジョブが設定された場合であって、前記用紙断裁部により前記用紙の部分断裁を行わせる場合、いずれか一の方向のみの部分断裁を行わせることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、
画像形成システムにおいて、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙に後処理を行う請求項1~6のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、名刺断裁の様な小片多数枚用紙作成の場合であっても、断裁後の用紙の品質確認を容易に手間なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成システムの制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】断裁部の構成を示す側面図である。
図4】部分断裁が行われた用紙の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る画像形成システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図6】新規補正調整選択画面の一例を示す図である。
図7】情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
図8】既補正調整値使用選択画面の一例を示す図である。
図9】既補正調整値選択画面の一例を示す図である
図10】変形例1に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図11】従来技術において、断裁位置が適正な位置からずれてゆく様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施形態に係る画像形成システム1は、図1及び図2に示すように、画像形成装置10と、リレーユニットRUと、本発明の後処理装置としての断裁装置20及び画像読取装置30と、排紙装置40と、を備えて構成されている。
【0020】
画像形成装置10は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ、又は、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真方式によりカラー画像を形成する。画像形成された用紙は、リレーユニットRUへと排出される。
画像形成装置10は、図1及び図2に示すように、操作部11と、表示部12と、原稿読取ユニット13と、画像形成部14と、給紙部15と、画像形成制御部16と、記憶部17と、コントローラーIF(Inter Face)18と、画像処理部19と、を備えて構成されている。
【0021】
操作部11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を画像形成制御部16に出力する。
【0022】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、画像形成制御部16から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0023】
原稿読取ユニット13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備え、原稿の画像を読み取って得られた画像データを画像形成制御部16に出力する。
【0024】
画像形成部14は、画像処理部19により画像処理が行われた画像データに基づいて、給紙部15から供給された用紙上に画像を形成する。
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム141Y,141M,141C,141K、中間転写ベルト142、2次転写ローラー143、定着部144等を備えて構成されている。
【0025】
感光体ドラム141Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム141Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム141M,141C,141Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム141Yと同様であるため、説明を省略する。
【0026】
感光体ドラム141Y,141M,141C,141K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト142上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト142上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト142上のカラートナー像は、2次転写ローラー143により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0027】
定着部144は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0028】
給紙部15は、給紙トレイT11~T13を備え、画像形成部14に用紙を供給する。各給紙トレイT11~T13には、給紙トレイごとに予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0029】
画像形成制御部16は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、画像形成装置10の各部の動作を集中制御する。また、CPUは、出力された用紙に対して断裁処理を行う場合には、断裁装置20に所定の断裁処理を実行する指示を出す。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
例えば、画像形成制御部16は、画像読取装置30による読み取り結果に基づいて、断裁部22により断裁された用紙の断裁位置の良否を判定する本発明の判定部として機能する。
例えば、画像形成制御部16は、ジョブを実行する本発明の実行部として機能する。
また、画像形成制御部16は、断裁部22による用紙の断裁を制御する本発明の断裁制御部として機能する。
【0030】
記憶部17は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部17には、プログラムデータや各種設定データ等のデータを画像形成制御部16から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部17には、例えば、名刺カード作成ジョブに関連する制御パラメーター(断裁位置等)の調整値を記憶している。この調整値は、例えば、画像読取装置30により読み取られた読み取り結果に基づいて作成された新規補正調整値を既補正調整値として記憶したものである。
【0031】
コントローラーIF18は、外部装置から入力される画像データを受信する。
【0032】
画像処理部19は、記憶部17に記憶された画像データ、原稿読取ユニット13により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部14に送信する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0033】
リレーユニットRUは、画像形成装置10と断裁装置20との間に設置され、画像形成装置10から搬送されてくる用紙の搬送スピードと同期をとる機能を備える。
【0034】
断裁装置20は、リレーユニットRUから出力された用紙に、必要に応じて断裁処理を行う装置である。断裁処理は必須ではなく、断裁装置20は、画像形成装置10から指示された場合のみ実行する。断裁処理がない場合、断裁装置20は搬送された用紙をそのまま画像読取装置30に搬送する。
【0035】
断裁装置20は、図1に示すように、搬送部21と、断裁部22と、断裁部22で名刺/カードのサイズに断裁された用紙を名刺カードスタッカーCS1に排出する排紙ローラー23と、断裁装置20からパージする用紙を積載するサブトレイ24と、を備えて構成されている。
【0036】
搬送部21は、リレーユニットRUから搬送された用紙を断裁部22に搬送し、断裁部22で断裁処理が行われた用紙をサブトレイ24又は画像読取装置30に搬送する。
【0037】
断裁部(用紙断裁部)22は、複数の機能ユニットにより、搬送されてきた用紙に断裁処理を行う。断裁部22は、機能ユニットを装填するための複数(本実施形態では4つ)のスロットSL1~SL4を有する。本実施形態において、搬送方向の最上流のスロットSL1には、天地スリット処理を行うためのユニットが装填され、スロットSL2及びスロットSL3には、ドブ断ちスリット処理を行うためのユニットが装填され、最下流のスロットSL4には、CD断裁処理を行うためのユニットが装填される。上記の組み合わせにより、名刺カードの複数断裁が実施される。なお、機能ユニットの組み合わせを適宜変更することにより、四方断裁、分割断裁、筋付けクリース、ミシン目加工等、名刺カード作成以外の断裁・用紙加工を実施することも可能である。
排紙ローラー23は、最下流のスロットSL4の直後に配置されている。
【0038】
断裁部22を構成する各機能ユニット22Uは、図3に示すように、断裁時に用紙Pに当接する断裁下刃221と、断裁下刃221を上方から押圧して断裁下刃221の用紙Pに対する当接領域(当接量)を調整する断裁上刃222と、を備えて構成されている。
断裁上刃222は、断裁方向の一端部(図中右端部)が回動可能に軸支され、回動量に応じて断裁下刃221の用紙Pに対する当接領域を調整する。
【0039】
全面断裁を行う場合、図3(A)に示すように、断裁方向において断裁上刃222の全体が断裁下刃221に当接することで、断裁方向において断裁下刃221の全体が用紙Pに当接する。
一方、用紙Pを部分的に断裁する部分断裁を行う場合、図3(B)に示すように、断裁方向における断裁上刃222の一部が断裁下刃221に当接することで、断裁方向における断裁下刃221の一部が用紙Pに当接する。
上記のように、断裁上刃222の回動量を調整することで、断裁方向における断裁下刃221の用紙Pに対する当接領域を調整することができるので、用紙Pの断裁領域(図中符号E1参照)を調整することができる。
【0040】
図4に、部分断裁が行われた用紙P1の一例を示す。
本実施形態において、部分断裁は、用紙の搬送方向(FD方向)及び搬送方向に直交する方向(CD方向)の両方向に用紙を断裁するジョブ(名刺カード作成ジョブ等)が設定された場合であっても、主走査方向(搬送方向に直交する方向:CD方向)のみに行われる(図中符号N1参照)。これは、副走査方向(搬送方向:FD方向)への断裁が、後段装置への搬送障害を引き起こすおそれがあるからである。ただし、副走査方向であっても、短い長さの部分断裁(例えば一列目のみの部分断裁)であれば、搬送障害のリスクを低減させることができるので、部分断裁を実施することは可能である(図中符号N2参照)。
【0041】
画像読取装置30は、断裁装置20の後段に接続されている。画像読取装置30は、例えば、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備えて構成され、断裁部22により断裁された用紙を読み取って、得られた読取画像を画像形成装置10の画像形成制御部16に出力する。すなわち、画像読取装置30は、本発明の読み取り部として機能する。
【0042】
排紙装置40は、画像読取装置30の後段に接続され、画像読取装置30から搬送された用紙を機外に排出する。
【0043】
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5に示す動作は、名刺カード作成ジョブの開始前に行われる。名刺カード作成ジョブは、1枚の用紙を、用紙の搬送方向(FD方向)及び搬送方向に直交する方向(CD方向)に複数断裁し、同一サイズの多数枚断裁用紙を作成して排出するジョブである。
【0044】
まず、画像形成制御部16は、ユーザーにより、新規補正調整が選択されたか否かを判定する(ステップS1)。新規補正調整とは、デフォルト調整値における断裁位置のずれを取得して、そのずれを補正するための調整値(新規補正調整値)を新たに取得し、取得した調整値を採用して用紙の断裁位置を補正(調整)する処理のことである。
図6に、新規補正調整を選択するための新規補正調整選択画面G1の一例を示す。新規補正調整選択画面G1は、名刺カード作成ジョブのスタート操作が行われた場合に、表示部12に表示される。
新規補正調整選択画面G1には、新規補正調整を選択するためのYESボタンB1と、その他の調整を選択するためのNOボタンB2と、が設けられている。ステップS1において、画像形成制御部16は、ユーザーによるYESボタンB1の押下操作を検出した場合に、新規補正調整が選択されたと判定する。
画像形成制御部16は、新規補正調整が選択されたと判定した場合(ステップS1:YES)、次のステップS2へと移行する。
一方、画像形成制御部16は、新規補正調整が選択されていないと判定した場合(ステップS1:NO)、ステップS6へと移行する。
【0045】
ステップS2において、画像形成制御部16は、情報取得処理を行う。情報取得処理は、新規補正調整値の作成に必要な情報(部分断裁位置)を取得する処理である。以下、情報取得処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
まず、画像形成制御部16は、指定用紙(予め新規補正調整時に使用することが指定された用紙)を給紙して搬送する(ステップS21)。
次に、画像形成制御部16は、ステップS21で搬送された指定用紙を、断裁部22によりデフォルト調整値で部分断裁させることで、部分断裁用紙(検査用紙)を作成させる(ステップS22)。
次に、画像形成制御部16は、ステップS22で作成された検査用紙の部分断裁位置を、画像読取装置30により読み取らせる(ステップS23)。ステップS23で読み取られた情報(読み取り結果)は、画像形成制御部16に通知される。その後、ステップS23で部分断裁位置が読み取られた検査用紙は、排紙装置40により機外に排出される。
【0047】
図5に戻り、ステップS3において、画像形成制御部16は、図7のステップS23で部分断裁位置が読み取られた検査用紙が、排紙装置40により機外に排出されたか否かを判定する。具体的には、画像形成制御部16は、排紙装置40から排出完了を示す情報が通知された場合に、排紙装置40により機外に排出されたと判定する。
画像形成制御部16は、排紙装置40により機外に排出されたと判定した場合(ステップS3:YES)、次のステップS4へと移行する。
一方、画像形成制御部16は、排紙装置40により機外に排出されていないと判定した場合(ステップS3:NO)、機外に排出されるまでステップS3の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS4において、画像形成制御部16は、図7のステップS23で読み取られた読み取り結果に基づいて、断裁部22により部分断裁が行われた用紙(検査用紙)の断裁位置の良否を判定する。なお、画像形成制御部16は、検査用紙の断裁位置のずれが許容範囲内にある場合に良であると判定し、許容範囲外にある場合に否であると判定する。
画像形成制御部16は、検査用紙の断裁位置が良であると判定した場合(ステップS4:YES)、補正を行う必要がないと判断して処理を終了し、新規補正調整値を作成することなく、デフォルト調整値を採用してジョブを開始させる。
一方、画像形成制御部16は、検査用紙の断裁位置が否であると判定した場合(ステップS4:NO)、次のステップS5へと移行する。
【0049】
ステップS5において、画像形成制御部16は、図7のステップS23で読み取られた読み取り結果に基づいて新規補正調整値を作成し、当該新規補正調整値を採用(設定)する。具体的には、画像形成制御部16は、適正断裁位置と読み取り結果との差分からデフォルト調整値に対する新規補正調整値を作成し、当該新規補正調整値を採用して用紙の断裁位置を補正(調整)する。ステップS5で作成された新規補正調整値は、記憶部17に記憶される。ステップS5の処理により、画像形成制御部16は、判定部による判定結果に基づいて、断裁位置を調整する本発明の調整部として機能する。
【0050】
ステップS6において、画像形成制御部16は、ユーザーにより、既補正調整値の使用が選択されたか否かを判定する。既補正調整値とは、過去に作成された新規補正調整値のことである。
図8に、既補正調整値又は現在調整値の使用を選択するための既補正調整値使用選択画面G2の一例を示す。既補正調整値使用選択画面G2は、新規補正調整選択画面G1(図6参照)において、ユーザーによるNOボタンB2の押下操作を検出した場合に、表示部12に表示される。
既補正調整値使用選択画面G2には、現在調整値の使用を選択するための「現在調整値を使用ボタンB3」と、記憶部17に記憶されている調整値(既補正調整値)の使用を選択するための「既補正調整値を使用ボタンB4」と、が設けられている。ステップS6において、画像形成制御部16は、ユーザーによる「既補正調整値を使用ボタンB4」の押下操作を検出した場合に、既補正調整値の使用が選択されたと判定する。
画像形成制御部16は、既補正調整値の使用が選択されたと判定した場合(ステップS6:YES)、次のステップS7へと移行する。
一方、画像形成制御部16は、既補正調整値の使用が選択されていない(すなわち、「現在調整値を使用ボタンB3」の押下操作を検出した)と判定した場合(ステップS6:NO)、現在調整値の使用が選択されたと判断して処理を終了し、現在調整値(現在設定されている調整値)のままジョブを開始させる。
【0051】
ステップS7において、画像形成制御部16は、ユーザーにより選択された既補正調整値を採用(設定)する。
図9に、記憶部17に記憶されている既補正調整値の中から所望の既補正調整値を選択するための既補正調整値選択画面G3の一例を示す。既補正調整値選択画面G3は、既補正調整値使用選択画面G2(図8参照)において、ユーザーによる「既補正調整値を使用ボタンB4」の押下操作を検出した場合に、表示部12に表示される。
既補正調整値選択画面G3には、記憶部17に記憶されている既補正調整値が一覧表示される。図9に示す例では、「AJ001」、「AJ002」、「AJ003」、「AJ004」の4つの既補正調整値が一覧表示されている。ユーザーは、既補正調整値選択画面G3に表示された既補正調整値の中から、所望の既補正調整値を選択することができる。そして、画像形成制御部16は、ユーザーにより選択された既補正調整値を採用して用紙の断裁位置を補正(調整)する。
【0052】
上記の処理により断裁位置が調整された後、画像形成制御部16は、断裁位置の調整が反映されたジョブを実行する。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1は、画像が形成された用紙を断裁する用紙断裁部(断裁部22)と、用紙断裁部により断裁された用紙を読み取る読み取り部(画像読取装置30)と、読み取り部による読み取り結果に基づいて、用紙断裁部により断裁された用紙の断裁位置の良否を判定する判定部(画像形成制御部16)と、を備える。また、判定部は、用紙断裁部により用紙を部分的に断裁する部分断裁が行われた用紙の断裁位置の良否を判定する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、部分断裁が行われた用紙(各断裁処理において完全には分断させず、1枚にまとまった状態の用紙)を読み取らせることができるので、仮に画像読み取りをユーザーの手作業で実施する場合であっても、1枚にまとまった状態の用紙(バラバラになっていない用紙)を画像の読み取り位置に配置するだけで読み取らせることが可能となり、名刺断裁の様な小片多数枚用紙作成の場合であっても、断裁後の用紙の品質確認を容易に手間なく行うことができる。
【0054】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、読み取り部は、用紙断裁部の下流に配置されている。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、部分断裁が行われた用紙(1枚にまとまった状態の用紙)を用紙断裁部の後段に接続された読み取り部に安定搬送させることができるので、部分断裁が行われた用紙をインラインで読み取らせることが可能となり、名刺断裁の様な小片多数枚用紙作成の場合であっても、専用の搬送機構を設けることなく低コストで、断裁後の用紙の品質確認をさらに容易に手間なく行うことができる。
【0055】
また、本実施形態に係る画像形成システム1は、判定部による判定結果に基づいて、断裁位置を調整する調整部(画像形成制御部16)を備える。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、部分断裁が行われた用紙を読み取らせて各部分断裁位置の情報を取得することができるので、取得した各部分断裁位置の情報から(新規補正)調整値を作成することが可能となり、用紙の断裁位置を適切に補正(調整)することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、ジョブを実行する実行部(画像形成制御部16)を備え、用紙を断裁するジョブが設定された場合、判定部は、ジョブの実行前に断裁位置の良否を判定し、調整部は、ジョブの実行前に断裁位置を調整し、実行部は、調整部による断裁位置の調整が反映されたジョブを実行する。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、ジョブの実行前に断裁位置のずれを補正(調整)することができるので、ジョブの実行時に正確な断裁処理を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙を断裁するジョブは、1枚の用紙を、用紙の搬送方向及び搬送方向に直交する方向に複数断裁し、同一サイズの多数枚断裁用紙を作成して排出する名刺カード作成ジョブを含む。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、小片多数枚の用紙を作成する名刺カード作成ジョブにおいても、1枚にまとまった状態の用紙(バラバラになっていない用紙)を画像の読み取り位置に配置するだけで読み取らせることができるので、断裁後の用紙の品質確認を容易に手間なく行うことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、用紙断裁部による用紙の断裁を制御する断裁制御部(画像形成制御部16)を備え、断裁制御部は、用紙の搬送方向及び搬送方向に直交する方向の両方向に用紙を断裁するジョブが設定された場合であって、用紙断裁部により用紙の部分断裁を行わせる場合、いずれか一の方向(本実施形態では用紙の搬送方向に直交する方向:主走査方向)のみの部分断裁を行わせる。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、部分断裁を行う方向が、用紙の搬送方向又は搬送方向に直交する方向のいずれか一方向のみに限定されるので、後段装置への搬送障害を引き起こすリスクを低減させることができる。
【0059】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0060】
(変形例1)
例えば、上記実施形態では、画像読取装置30が断裁装置20(断裁部22)の下流に配置されている構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、画像読取装置30が断裁装置20(断裁部22)の上流に配置されている構成を採用するようにしてもよい。なお、説明の簡略化のため、実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
変形例1に係る画像形成システム1Aは、図10に示すように、画像形成装置10と、リレーユニットRUと、本発明の後処理装置としての画像読取装置30A及び断裁装置20と、排紙装置40と、を備えて構成されている。
画像読取装置30Aは、断裁装置20の前段に接続されている。画像読取装置30Aは、本発明の読み取り部として機能する。
【0061】
変形例1に係る画像形成システム1Aにおいては、部分断裁用紙(検査用紙)を作成した後、当該作成した検査用紙を排紙装置40により機外に排出させる。
次に、排出された検査用紙を給紙装置に再セットする。ここで、給紙装置は、画像形成装置10の給紙部15の他、リレーユニットRUや画像読取装置30Aに備えた給紙部(PIインサーターなど)であってもよい。画像読取装置30Aに備える場合は、読み取りを行う前の経路に給紙可能な構成であればよい。なお、検査用紙を再セットする際には、安定搬送のため、部分断裁が行われた箇所が搬送方向先端側とならないようにセットすることが好ましい。
次に、再セットされた検査用紙を画像読取装置30Aで読み取って、排紙装置40により機外に排出させる。画像形成装置10の画像形成制御部16は、画像読取装置30Aで読み取られた読み取り結果に基づいて、検査用紙の断裁位置の良否を判定する。検査用紙の断裁位置が否の場合、新規補正調整値を作成し、当該新規補正調整値を採用して用紙の断裁位置を補正(調整)する。上記の処理により断裁位置が調整された後、画像形成制御部16は、断裁位置の調整が反映されたジョブを実行する。
これにより、変形例1に係る画像形成システム1Aにおいても、本発明を実施することができる。
【0062】
(その他の変形例)
また、上記実施形態では、断裁部22により部分断裁が行われた用紙の断裁位置の良否を判定した後、断裁位置が否であると判定した場合に、作成した新規補正調整値を採用して断裁位置を調整するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、断裁部22により部分断裁が行われた用紙の断裁位置の良否の判定のみを行うようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、部分断裁を主走査方向のみに行うか、又は、主走査方向と副走査方向の双方に行うようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、副走査方向のみに部分断裁を行うようにしてもよい。
【0064】
また、既補正調整値使用選択画面G2(図8参照)において、「現在調整値を使用ボタンB3」、「既補正調整値を使用ボタンB4」に加えて、「デフォルト調整値を使用ボタン」を備えるようにしてもよい。ユーザーにより、当該「デフォルト調整値を使用ボタン」が選択された場合、デフォルト調整値(調整モードでマニュアル設定された調整値)を用いてジョブが実行される。
【0065】
なお、断裁装置20が制御部を備える構成とし、当該制御部を本発明の判定部、調整部、実行部、断裁制御部として機能させることで、本発明の後処理装置である断裁装置20及び画像読取装置30のみで本発明を実施することも可能である。この場合、断裁装置20は、名刺カード作成ジョブに関連する制御パラメーター(断裁位置等)の調整値を記憶する記憶部も備えるようにするとよい。
【0066】
その他、画像形成システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 操作部
12 表示部
13 原稿読取ユニット
14 画像形成部
15 給紙部
16 画像形成制御部(判定部、調整部、実行部、断裁制御部)
17 記憶部
18 コントローラーIF
19 画像処理部
RU リレーユニット
20 断裁装置(後処理装置)
21 搬送部
22 断裁部(用紙断裁部)
SL1~SL4 スロット
22U 機能ユニット
221 断裁下刃
222 断裁上刃
23 排紙ローラー
24 サブトレイ
CS1 名刺カードスタッカー
30 画像読取装置(後処理装置:読み取り部)
40 排紙装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11