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特開2022-184287エディブルフラワー用ビオラの栽培方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184287
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】エディブルフラワー用ビオラの栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20221206BHJP
   A01G 22/60 20180101ALI20221206BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
A01G22/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092047
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大竹 範子
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 洋
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AB17
2B022DA08
2B022DA17
(57)【要約】
【課題】青色光と赤色光の特殊な組み合わせによって、エディブルフラワー用ビオラの栽培において、花の収穫量を増やす方法を提供すること。
【解決手段】光源から、赤色光と青色光とを照射するビオラの栽培方法であって、24時間を一つのサイクルとする一定の照射パターンに基づき、該照射パターンが、赤色光を照射する工程(a)と、青色光を照射する工程(b)と、赤色光と青色光を同時照射する工程(c)と、を有し、工程(a)と工程(b)の時間が同じ長さであり、工程(c)の時間が、8時間~20時間とすることにより、エディブルフラワー用のビオラを栽培する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から、赤色光と青色光とを照射するビオラの栽培方法であって、24時間を一つのサイクルとする一定の照射パターンに基づき、該照射パターンが、赤色光を照射する工程(a)と、青色光を照射する工程(b)と、赤色光と青色光を同時照射する工程(c)と、を有し、工程(a)と工程(b)の時間が同じ長さであり、工程(c)の時間が、8時間~20時間である、エディブルフラワー用のビオラの栽培方法。
【請求項2】
栽培が植物工場において行われ、照明光としてLEDを用いる、請求項1に記載のエディブルフラワー用のビオラの栽培方法。
【請求項3】
照射パターンが、工程(a)、工程(c)、工程(b)の順番である、請求項1または請求項2に記載のエディブルフラワー用のビオラの栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場におけるエディブルフラワー用のビオラの栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エディブルフラワーとは、花を食用に用いる栽培植物のことを言う。エディブルフラワーには、広い意味では花を食用とするブロッコリーやカリフラワーなども含まれ、古くから知られている。
【0003】
本開示では、料理の装飾的機能を有することから注目を集めている、エディブルフラワーとしてのビオラに着目した。一般に、ビオラは、華やかな花を咲かせる為、園芸愛好家らに好まれ栽培されている。しかし、鑑賞用に栽培されたビオラの花においては、病害虫の被害や、栽培時に使用される農薬などの影響が懸念される。このため、鑑賞用に栽培されたビオラの花を、料理等に使用する場合には、注意が必要である。
【0004】
一方、植物工場における植物の栽培は、管理された環境下に実施することができるため、病害虫の心配がなく、農薬の散布なども必要が無い。収穫された作物は、そのまま食用に使用できるという長所を持つ。こうした背景からエディブルフラワーとしてのビオラは、病害虫の心配や、農薬散布の必要のない植物工場での栽培に向いた作物ということができる。
【0005】
植物工場で植物を効率よく栽培する方法として、赤色光と青色光を交互に連続して照射する栽培方法が知られている。特許文献1には、この方法が様々な植物に適用できることが報告されている。さらに本方法を発展させた光の照射方法に関して、特許文献2にはケールの栽培方法が報告されている。
【0006】
また、照射する光の条件を変えた時のバラの花における影響を報告する文献として、非特許文献1があげられる。非特許文献1では、青色光の比率が高いLEDの照射によって、バラの光合成能力が増強されたことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5729786号公報
【特許文献2】国際公開第2020/067266号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Physiol. Plant. (米),148, 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、植物工場におけるエディブルフラワー用のビオラの栽培について検討した。栽培における、赤色光や青色光を用いた効果を調べたところ、ビオラの成長に良い効果を有する照射条件が存在していた。しかし、花を食用として収穫するビオラの栽培においては、花の生産性がより重要であるところ、より花の生産性の高い条件が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、ある特定の光の照射条件において、花の生産性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、青色光と赤色光の特殊な組み合わせによって、エディブルフラワー用ビオラの栽培において、収穫量を増やす方法を開示するものであって、以下の態様に関する。
[1]光源から、赤色光と青色光とを照射するビオラの栽培方法であって、24時間を一つのサイクルとする一定の照射パターンに基づき、該照射パターンが、赤色光を照射する工程(a)と、青色光を照射する工程(b)と、赤色光と青色光を同時照射する工程(c)と、を有し、工程(a)と工程(b)の時間が同じ長さであり、工程(c)の時間が、8時間~20時間である、エディブルフラワー用のビオラの栽培方法。
[2]栽培が植物工場において行われ、照明光としてLEDを用いる、[1]に記載のエディブルフラワー用のビオラの栽培方法。
[3] 照射パターンが、工程(a)、工程(c)、工程(b)の順番である、[1]または[2]に記載のエディブルフラワー用のビオラの栽培方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の栽培方法によれば、エディブルフラワーとしてのビオラの栽培において、茎葉などの成長を抑えて効果的に花を収穫することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
<ビオラ>
本発明におけるビオラとは、花を食用にできる種として販売されているものを指す。そのビオラはスミレ科の一年草で、草丈10~30cmの植物である。その種は、(株)グリーンフィールドプロジェクトなどから入手するものが使用できる。望ましくは、有機種子、固定種のビオラで、紫・黄色・白色の3色からなるものがよい。
【0013】
本発明の栽培法に使用するビオラの苗は、市販のものを使用しても良いし、種子から得たものでもよい。種子から得る場合は、適当な培地にて種子を発芽させたものを、適当な光条件下で育成する。苗の育成に悪い影響がない限り、太陽光や人工光を用いることができる。LEDランプによって、赤色光と青色光を同時照射してもよい。苗は、このようにして種子から20日から25日程度、育成したものが用いられる。
本発明の栽培方法は、ビオラの苗の移植直後から、花の収穫時までに適用される。
【0014】
<光源>
本発明で使用する赤色光および青色光の光源としては、後述する工程で使用される波長域を発するものであれば特に限定されないが、波長選択が容易である人工光源が好ましい。人工光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、直管形およびコンパクト形の蛍光ランプ、電球形蛍光ランプ、高圧放電ランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。このうち、有効波長域の光エネルギーの占める割合が大きい光を放射できる点で、LEDを用いることが好ましい。
【0015】
上記光源は、赤色光と青色光とを別個独立に点灯および消灯できるものが好ましい。また、赤色光の光源および青色光の光源は、それぞれ供給する電流の大きさを調節することにより、光源から照射される赤色光および青色光の強度を制御できるものが好ましい。
【0016】
赤色光および青色光の強度は、光量子計(例えば、LI-250A(LI-COR社))を用いて栽培面の各栽培位置で測定した値の平均値から算出することができる。工程(a)、(b)および(c)における赤色光および青色光の光量(強度)は、一般的に植物が有効に光合成を行う時の光飽和点と光補償点の範囲内であれば、特に限定されない。例えば照射される赤色光および青色光の光合成光量子束密度(Photosynthetic Photon Flux Density:以下、「PPFD」という場合がある)は、それぞれ、30~400μmol/(m・s)、好ましくは50~350μmol/(m・s)、特に好ましくは60~300μmol/(m・s)である。
【0017】
<光照射>
ビオラに対する本発明の光照射の開始は、通常はビオラの苗に対して行う。ビオラは育苗後のものを定植した上で、花をつけた状態まで栽培する。なお、工程(a)および工程(b)、並びに工程(c)は、育苗後、通常は、20~40日間行われる。
【0018】
〔工程(a)〕
工程(a)は、光源から赤色光をビオラに照射する工程である。赤色光の波長は、中心波長600nm以上730nm以下が好ましい。中心波長が640nm以上680nm以下であることが、光合成反応に対する効率が高く、特に成育速度の向上に効果が大きい点で好ましく、中心波長が645nm以上670nm以下であることがより好ましい。工程(a)で照射される赤色光は、上記波長域と異なる波長域の光を含んでもよいが、後述する青色光は含まない。
【0019】
工程(a)一回当たりの照射時間は、1時間以上8時間以下が好ましく、2時間以上7時間以下がより好ましく、3時間以上6時間未満がさらに好ましい。
【0020】
また、本発明では、工程(a)は、中心波長を上記波長域内で任意に変更してもよい。また、照射時間も上記照射時間内で任意に変更してもよい。そうすることで、ビオラに与えられる1日あたりの積算光量を制御しやすくなり、一定の品質を有するビオラを栽培できるようになる。
【0021】
〔工程(b)〕
工程(b)は、光源から青色光をビオラに照射する工程である。青色光の波長は、中心波長400nm以上515nm以下が好ましい。中心波長が430nm以上470nm以下であることが、光合成反応に対する効率が高く、特に成育速度の向上に効果が大きい点で好ましく、中心波長が440nm以上460nm以下であることがより好ましい。工程(b)で照射される青色光は、上記波長域と異なる波長域の光を含んでもよいが、上記赤色光は含まない。
【0022】
本発明では、工程(b)一回当たりの照射時間は、1時間以上8時間以下が好ましく、2時間以上7時間以下がより好ましく、3時間以上6時間未満がさらに好ましい。
【0023】
また、本発明では、工程(b)は、中心波長を上記波長域内で任意に変更してもよい。また、照射時間も上記照射時間内で任意に変更してもよい。そうすることで、ビオラに与えられる1日あたりの積算光量を制御しやすくなり、一定の品質を有するビオラを栽培できるようになる。工程(a)と工程(b)は、通常、同じ照射時間が選択されるが、必要に応じて、1時間程度の差があっても構わない。
【0024】
〔工程(c)〕
本発明の栽培方法において、工程(a)と工程(b)に加えて、赤色光と青色光とを同時にビオラに照射する工程(c)を行うことで、ビオラの成長に加えて、花の高い収穫量を確保することが可能になる。工程(c)における赤色光と青色光の各波長は、工程(a)と工程(b)の波長とそれぞれ同様である。本発明の栽培方法では、工程(c)の前後に、工程(a)あるいは工程(b)を実施する。
【0025】
工程(c)における、ビオラに対して赤色光と青色光とを同時に照射する時間は、8時間以上20時間以下である。この時間範囲で、工程(c)を行うことで、ビオラがいたずらに成長し、栄養成長にエネルギーを消費されたり、不完全な花が収穫されたりすることが少なくなる。その結果、生体重あたりの花の収穫量が多くなる。このことは、エディブルフラワーの栽培において、無駄な葉や茎の処理に要する費用を削減することができることを示し、経済性に優れている。工程(c)の時間は、10時間以上19時間以下がより好ましく、12時間以上18時間以下がさらに好ましい。
【0026】
本発明では、工程(a)と工程(b)と工程(c)を行うが、工程(c)を挟み、工程(a)が先であってもよく、工程(b)が先であってもよい。
本発明では、工程(a)と工程(b)および工程(c)が行われる工程を、一つのサイクルとする。そのサイクルは24時間とする。サイクルの長さは、栽培条件に影響をしない範囲で、1時間程度の長短が発生しても構わない。
繰り返される各サイクルにおいては、工程(c)の長さが前記範囲でそれぞれ変わっても構わないが、通常は、初めに設定された時間のままで照射が行われる。
【0027】
本発明の栽培方法では、ビオラに光を照射しない工程を、前記工程(a)、(b)および(c)の前後および各工程の途中の任意のタイミングで設けてもよい。この場合、光を照射しない工程の時間は、合計で1時間以下であることが好ましい。
【0028】
本発明の栽培方法は、ビオラが、花芽を出し、開花するまで行われる。例えば、完全閉鎖型人工照射によりビオラを栽培した場合は、花芽を出すまでに、35~50日間を要し、開花し収穫するまでには、40~65日間を要する。
【0029】
光の照射によって、植物に与えられた1日あたりの積算光量は、Daily Light Integral(DLI;単位はmol/(m・day))で表される。DLIは、例えば、照射光の各波長の「PPFD×照射時間/照射日数」の合計によって算出することができる。その場合、工程(c)のDLIは、青色光および赤色光についての各DLIを合計した値である。植物の栽培における経済性は、栽培に要する期間の長さおよび成長に要するDLIと関係する。本発明の栽培方法によれば、比較的少ないエネルギーにもかかわらず、効率よくビオラを成長、かつ、花を咲かせることができる。
【0030】
本発明において、収穫する花とは、ビオラの花びらが5枚揃った状態の花を言う。不完全な形で形成された花に関しては、経済的価値が低いので、収穫された花には数えない。不完全な形で形成された花としては、花びらが1枚の様な花が例示できる。工程(a)と工程(b)の合計時間が長くなるほど、ビオラの成長が促進されるが、生体重あたりの花の収穫量が減少するとともに、不完全な花の割合が増加する。このため、工程(a)と工程(b)の合計時間が、16時間を超えることは好ましくない。
【0031】
<栽培方式>
ビオラの栽培方式は、例えば、水耕栽培、噴霧栽培、固形培地耕などが挙げられる。衛生面、施肥作業および管理の容易性の点から水耕栽培が好ましい。
【0032】
水耕栽培の場合には、栽培プールに供給する養液の液温が10℃以上30℃以下であることが好ましく、18℃以上28℃以下が好ましく、20℃以上25℃以下がより好ましい。該液温内であれば、植物の根部の栄養吸収に障害が起き、生育が大幅に悪くなることを防止することができる。
【0033】
養液の制御は、養液電気伝導度(EC;Electric Conductivity)による濃度制御が一般的であり、養液濃度の目安として使用する。ECが高すぎる場合は栄養過剰による形態異常や、根域の浸透圧ストレスによる生育量低下を引き起こすことがある。従って、本発明においては、ECが1.3dS/m以上2.8dS/m以下であることが好ましく、1.5dS/m以上2.0dS/m以下であることがより好ましい。また、ビオラの成長促進の点から、pHが5.5以上6.5以下の条件で栽培するのが好ましい。
【0034】
栽培室温度は一般的な植物の水耕栽培を行う温度であり、10℃以上30℃以下が好ましく、15℃以上28℃以下がより好ましく、20℃以上25℃以下がさらに好ましい。
【0035】
栽培室内の相対湿度は一般的な植物の水耕栽培を行う相対湿度であり、40%以上90%以下が好ましく、50%以上80%以下がより好ましく、65%以上75%以下がさらに好ましい。
【0036】
植物群落内の相対湿度は密植されていない状態では、上述したのと同様に、65%以上75%以下に調整することが好ましい。一方で植物が成長してくると密植状態になるため植物群落内の相対湿度が非常に高くなる。そのため、植物群落内の相対湿度は、好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上80%以下、さらに好ましくは65%以上75%以下に維持する。
【0037】
ビオラの株密度は、25株/m~100株/mになるように調整することが好ましい。株間隔の短縮につれ生産株数がアップする一方で株あたりの重量が減少し、徒長する傾向になることから、品質と生産性のバランスの観点から、ビオラの株密度は、35株/m~80株/mがより好ましく、50株/m~60株/mがさらに好ましい。ビオラの株密度は、例えば、「株密度=栽培面の株数/栽培面の面積」の式により算出することができる。ここでいう栽培面は、栽培株が置かれた栽培用トレー等の表面上の、当該株の全部が収まる最小の正方形または長方形の領域を意味する。
【0038】
植物の成長を促進するために、炭酸ガス濃度を高めることも好適に用いられる。炭酸ガス濃度は経済性および生育への好影響の観点から、400volppm以上1600volppm以下が好ましい。より好ましくは600volppm以上1400volppm以下であり、さらに好ましくは700volppm以上1300volppm以下である。低すぎる場合は栄養不足による生育量低下を引き起こすことがある。
【0039】
本発明により、植物工場において収穫されたビオラの花は、その装飾性を生かして、サラダなどの料理に好適に利用することができる。
【実施例0040】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に示す実施例および比較例においては、以下の条件で育苗したビオラの苗について光照射を行い栽培した。
【0041】
<育苗>
品種はビオラ/3色すみれ(グリーンフィールドプロジェクト)を使用した。
種子を市販の水耕栽培用ウレタンスポンジに播種し、三日間の暗期処理後に光照射を開始した。水耕装置はTAPS-1SW(エスペックミック株式会社製)を使用し、気温は24℃、相対湿度は70%、CO2濃度は1000ppmとした。播種後14日目までは1日おきに水道水を潅水し、その後は培養液を使用した水耕栽培に切り替えた。培養液は肥料制御装置(らくらく肥料管理機3、セムコーポレーション株式会社製)により制御し、大塚A処方(EC=1.5±0.3dS/m、pH=6.0±0.3、OATアグリオ株式会社製)とした。光源には直管型LEDランプ(青:ピーク波長 450nm、LEDチップGA2PT450G、赤:ピーク波長 660nm、LEDチップHRP-350F、昭和電工株式会社製)を使用し、赤と青の光を照射して、赤120μmol/(m・s) 青80μmol/(m・s)、明期18時間、暗期6時間の条件で播種後23日目まで育苗を行った。光合成有効光量子束密度の測定は、光量子センサー(LI-190、LI-COR)およびライトメーター(LI-250、LI-COR)を使用した。
【0042】
[実施例1]
ビオラの苗、10株を栽培パネルに定植した。赤色光のPPFDを、120μmol/(m・s)、青色光のPPFDを80μmol/(m・s)に設定し、工程(a)を6時間、工程(c)を12時間、工程(b)を6時間の計24時間を一つのサイクルとして、繰り返し光の照射を行い、ビオラを播種後56日目まで栽培した。照射した。一つのサイクルにおけるDLIは、13.0(mol/(m・day))であった。栽培装置は育苗と同じものを使用した。培養液は、塚A処方(EC=2.0±0.3dS/m、pH=6.0±0.3OATアグリオ株式会社製)を使用した。
【0043】
開花したビオラに関して、完全な花を摘花し、その数を数え、平均を求め、摘花数とした。摘花数は、121個であった。さらに、その時のビオラの株全体の重量を測定し、その平均を求め、生体重とした。生体重は26.5gであった。生体重あたりの摘花数として、摘花数を生体重で割った値を求めた。4.56個/gであった。
【0044】
[実施例2]
赤色光のPPFDを、103μmol/(m・s)、青色光のPPFDを69μmol/(m・s)に設定し、工程(a)、工程(c)、工程(b)の時間を表1に記載の通り実施した以外は、実施例1と同様に栽培を行った。一つのサイクルにおけるDLIは、13.0(mol/(m・day))であった。
【0045】
[比較例1]
赤色光のPPFDを、120μmol/(m・s)、青色光のPPFDを80μmol/(m・s)に設定し、工程(c)のみを18時間行い、残りは光照射せず、他の条件は実施例1と同様にビオラの栽培を行い、栽培後の摘花数を生体中で割った値を求めた。
一つのサイクルにおけるDLIは、13.0(mol/(m・day))であった。
[比較例2]
工程(c)のみを24時間行い、その他の条件は比較例1と同様にビオラの栽培を実施した。
【0046】
[比較例3]
赤色光のPPFDを、144μmol/(m・s)、青色光のPPFDを96μmol/(m・s)に設定し、工程(a)、工程(c)、工程(b)の時間を表1に記載の通り実施した以外は、実施例1と同様に栽培を行った。一つのサイクルにおけるDLIは、13.0(mol/(m・day))であった。
【0047】
[比較例4]
赤色光のPPFDを、180μmol/(m・s)、青色光のPPFDを120μmol/(m・s)に設定し、工程(a)、工程(c)、工程(b)の時間を表1に記載の通り実施した以外は、実施例1と同様に栽培を行った。一つのサイクルにおけるDLIは、13.0(mol/(m・day))であった。
それぞれ、光の照射時間を、表1のように変えて、実施例1と同様にビオラを栽培した。
各実験例の結果を表にまとめた。
【0048】
【表1】