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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184302
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/26 20060101AFI20221206BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L21/26 T
H01L21/26 G
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092069
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真司
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142DB52
5F142DB54
5F142GA40
(57)【要約】
【課題】温度計を用いることなく、被処理基板における温度ムラを抑制するように制御しながら加熱処理できる光加熱装置を提供する。
【解決手段】被処理基板を収容するチャンバと、チャンバ内で被処理基板を支持する支持部材と、被処理基板の主面に向かって加熱光を出射する複数の固体光源と、同一の電力値の電力が供給されて被処理基板の主面に向かって参照光を出射する複数の参照用光源と、複数の参照用光源のそれぞれに対応するように被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、受光した参照光の強度に応じた信号を出力する複数の光検出器と、参照モードと加熱モードとを実行する制御部とを備え、対応する参照用光源と光検出器は、参照用光源の光出射面と、光検出器の受光面とが、被処理基板を介して対向するように配置され、光検出器が、参照用光源から出射されて被処理基板を透過した参照光を受光するように構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱処理対象である被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内で前記被処理基板を支持する支持部材と、
前記支持部材によって支持されている前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が300nm以上1050nm以下の範囲に含まれる加熱光を出射する複数の固体光源と、
前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、同一の電力値の電力が供給されて前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が1.2μm以上6.0μm以下の範囲に含まれる参照光を出射する複数の参照用光源と、
前記複数の参照用光源のそれぞれに対応するように前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、受光した前記参照光の強度に応じた信号を出力する複数の光検出器と、
前記複数の光検出器から出力された前記信号によって得られた複数の前記参照光の強度値を比較して、前記複数の固体光源のそれぞれに供給する電力の電力値を決定する参照モードと、前記複数の固体光源のそれぞれに、前記参照モードで決定した電力値の電力を供給する加熱モードとを実行する制御部とを備え、
対応する前記参照用光源と前記光検出器は、当該参照用光源の光出射面と、当該光検出器の受光面とが、前記被処理基板を介して対向するように配置され、前記光検出器が、前記参照用光源から出射されて前記被処理基板を透過した前記参照光を受光するように構成されていることを特徴とする光加熱装置。
【請求項2】
加熱処理対象である被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内で前記被処理基板を支持する支持部材と、
前記支持部材によって支持されている前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が300nm以上1050nm以下の範囲に含まれる加熱光を出射する複数の固体光源と、
前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、同一の電力値の電力が供給されて前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が1.2μm以上6.0μm以下の範囲に含まれる参照光を出射する複数の参照用光源と、
前記複数の参照用光源のそれぞれに対応するように前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、受光した前記参照光の強度に応じた信号を出力する複数の光検出器と、
前記複数の光検出器から出力された前記信号によって得られた複数の前記参照光の強度値を比較して、前記複数の固体光源のそれぞれに供給する電力の電力値を決定する参照モードと、前記複数の固体光源のそれぞれに、前記参照モードで決定した電力値の電力を供給する加熱モードとを実行する制御部とを備え、
前記光検出器は、対応する前記参照用光源から出射されて、前記被処理基板の主面で反射した前記参照光を受光するように構成されており、
対応する前記複数の参照用光源と前記複数の光検出器のそれぞれは、
前記複数の参照用光源から出力されて前記被処理基板に入射するまでの前記参照光の主光線の光路長が同一となるように構成され、
前記被処理基板の主面で反射して前記光検出器に入射するまでの前記参照光の主光線の光路長が同一となるように構成されていることを特徴とする光加熱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると前記複数の固体光源を消灯することを特徴とする請求項1又は2に記載の光加熱装置。
【請求項4】
それぞれの前記参照用光源は、他の前記参照用光源に対して、対応する前記光検出器との離間距離よりも相互に離間して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光加熱装置。
【請求項5】
加熱処理対象である被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内で前記被処理基板を支持する支持部材と、
前記支持部材によって支持されている前記被処理基板の主面に向かって、波長が1.2μm以上6.0μm以下の赤外光を含む加熱光を出射する複数の加熱用光源と、
前記複数の加熱用光源のいずれかと対応して設けられ、受光した前記赤外光の強度に応じた信号を出力する複数の光検出器と、
前記複数の光検出器から出力された前記信号によって得られた複数の前記加熱光の強度値を比較して、前記複数の加熱用光源のそれぞれに供給する電力の電力値を決定する参照モードと、前記複数の加熱用光源のそれぞれに、前記参照モードで決定した電力値の電力を供給する加熱モードとを実行する制御部とを備え、
対応する前記加熱用光源と前記光検出器は、当該加熱用光源の光出射面と、当該光検出器の受光面とが、前記被処理基板を介して対向するように配置され、
前記光検出器は、対応する前記加熱用光源から出射されて、前記被処理基板を透過した前記加熱光を受光するように構成され、
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると、少なくとも前記光検出器に対応している前記加熱用光源に対して同じ電力値の電力を供給することを特徴とする光加熱装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると、前記複数の加熱用光源に対して同じ電力値の電力を供給することを特徴とする請求項5に記載の光加熱装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると、前記光検出器と対応している前記加熱用光源に対して同じ電力値の電力を供給し、他の前記加熱用光源に対する電力の供給を停止することを特徴とする請求項5に記載の光加熱装置。
【請求項8】
前記加熱用光源は、固体光源であることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の光加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスでは、半導体ウェハ等の被処理基板に対して、成膜処理、酸化拡散処理、改質処理、アニール処理といった様々な熱処理が行われる。これらの処理は、非接触での処理が可能な光照射による加熱処理方法が多く採用されている。
【0003】
被処理基板を加熱処理するための装置としては、ハロゲンランプ等のランプや、LED等の固体光源を搭載し、被処理基板に対して加熱用の光(以下、「加熱光」という。)を照射する装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、複数のLEDが搭載されたウェハ加熱ユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-009927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体製造プロセスは、更なる微細化の検討が盛んに進められており、数nmオーダーのプロセスが主流となってきている。そして、半導体製造プロセスは、微細化することで発生する課題が多々存在しており、日々課題を解決するための手法や装置が検討されている。
【0006】
半導体製造プロセスの微細化を進める上で生じる課題の一つに、加熱処理温度の課題がある。従来、半導体製造プロセスにおける、アニール処理等の加熱処理工程は、500℃~1000℃(プロセスによっては1000℃以上)の温度範囲で加熱処理されることが一般的であった。
【0007】
ところが、数nmオーダーの半導体製造プロセスでは、従来のプロセスと同じように上記温度範囲で加熱処理すると、半導体ウェハ上に形成された狭小な配線や微小な素子等が熱的なダメージに耐えられず、許容できない程にまで劣化してしまう。このため、半導体製造プロセスは、微細化が進むにつれて、従来に比べて低い温度(500℃以下)での加熱処理が求められるようになってきた。
【0008】
また、半導体ウェハ上の成膜等の出来栄えは、半導体製造プロセスにおける加熱処理時の温度によって左右される場合がある。このため、半導体製造プロセスにおける加熱処理は、半導体ウェハ全体が温度ムラなく加熱されることが求められる。
【0009】
そこで、本発明者は、従来と比べて低い温度で、半導体ウェハ等の被処理基板を温度ムラなく加熱処理できる光加熱装置について鋭意検討していたところ、以下のような課題が存在することを見出だした。以下、図面を参照しながら説明する。
【0010】
半導体製造プロセスは、半導体ウェハを温度ムラなく加熱処理する方法として、温度計を用いて半導体ウェハの温度分布を参照しながら加熱処理を行う方法が知られている。具体的な方法としては、例えば、物体から放射される赤外光を検出することで、非接触で温度測定が可能な放射温度計等を用いて加熱処理中の半導体ウェハの温度データを取得し、当該温度データに応じて半導体ウェハに照射する光の強度を調整する方法がある。
【0011】
物体から放射される光の放射エネルギーは、温度が上昇するにつれて波長のピークが短波長側へとシフトすることが知られている。このため、一般的に市販されている放射温度計は、検出温度範囲が低くなるほど、赤外光の検出波長範囲がより長波長に設定されている。目安として例を挙げれば、検出温度範囲が500℃~2000℃である放射温度計は、赤外光の検出波長範囲が0.7μm~1.0μm、検出温度範囲が100℃~1000℃である放射温度計は、赤外光の検出波長範囲が1.5μm~4.0μmに設定されている。500℃以下の温度範囲で使用することが想定される場合、放射温度計は、概ね赤外光の検出波長範囲が1.5μm~4.0μmの放射温度計が採用される。
【0012】
しかしながら、当該検出波長範囲の放射温度計では、加熱処理されているときの半導体ウェハ(特にシリコンウェハ)の温度バラつきを正確に参照することが難しい。以下、その理由について、被処理基板がシリコンウェハである場合で説明する。
【0013】
図8は、シリコン(Si)の各温度における赤外光の波長と放射率の関係を示すグラフである。放射率の特性が特徴的であるシリコン(Si)は、図8に示すように、波長が1.5μmよりも短波長側に比べて、波長が1.5μmよりも長波長側の領域において、温度に応じて波長-放射率の特性曲線の形状が大幅に異なっており、温度変動に対する放射率の変動が極端に大きくなる。
【0014】
このため、検出波長範囲が1.5μm~4.0μmの放射温度計では、加熱処理による温度上昇に伴ってシリコンウェハの放射率が変動する。このため、温度上昇に伴って、放射温度計は、次第にシリコンウェハの温度を精度よく測定できなくなってしまう。
【0015】
このような場合、温度上昇に合わせて、放射温度計に適切な放射率を適宜設定するという方法が採られる場合がある。しかしながら、当該方法は、放射温度計に比べてシリコンウェハの温度を正確に取得できる別の温度計(例えば、熱電対等)を用いて、基準となる温度を確認する必要が生じるため、現実的ではない。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑み、温度計を用いることなく、被処理基板における温度ムラを抑制するように制御しながら加熱処理できる光加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の光加熱装置は、
加熱処理対象である被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内で前記被処理基板を支持する支持部材と、
前記支持部材によって支持されている前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が300nm以上1050nm以下の範囲に含まれる加熱光を出射する複数の固体光源と、
前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、同一の電力値の電力が供給されて前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が1.2μm以上6.0μm以下の範囲に含まれる参照光を出射する複数の参照用光源と、
前記複数の参照用光源のそれぞれに対応するように前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、受光した前記参照光の強度に応じた信号を出力する複数の光検出器と、
前記複数の光検出器から出力された前記信号によって得られた複数の前記参照光の強度値を比較して、前記複数の固体光源のそれぞれに供給する電力の電力値を決定する参照モードと、前記複数の固体光源のそれぞれに、前記参照モードで決定した電力値の電力を供給する加熱モードとを実行する制御部とを備え、
対応する前記参照用光源と前記光検出器は、当該参照用光源の光出射面と、当該光検出器の受光面とが、前記被処理基板を介して対向するように配置され、前記光検出器が、前記参照用光源から出射されて前記被処理基板を透過した前記参照光を受光するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の光加熱装置は、
加熱処理対象である被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内で前記被処理基板を支持する支持部材と、
前記支持部材によって支持されている前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が300nm以上1050nm以下の範囲に含まれる加熱光を出射する複数の固体光源と、
前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、同一の電力値の電力が供給されて前記被処理基板の主面に向かって、主発光波長が1.2μm以上6.0μm以下の範囲に含まれる参照光を出射する複数の参照用光源と、
前記複数の参照用光源のそれぞれに対応するように前記被処理基板の主面と平行な平面上に配列され、受光した前記参照光の強度に応じた信号を出力する複数の光検出器と、
前記複数の光検出器から出力された前記信号によって得られた複数の前記参照光の強度値を比較して、前記複数の固体光源のそれぞれに供給する電力の電力値を決定する参照モードと、前記複数の固体光源のそれぞれに、前記参照モードで決定した電力値の電力を供給する加熱モードとを実行する制御部とを備え、
前記光検出器は、対応する前記参照用光源から出射されて、前記被処理基板の主面で反射した前記参照光を受光するように構成されており、
対応する前記複数の参照用光源と前記複数の光検出器のそれぞれは、
前記複数の参照用光源から出力されて前記被処理基板に入射するまでの前記参照光の主光線の光路長が同一となるように構成され、
前記被処理基板の主面で反射して前記光検出器に入射するまでの前記参照光の主光線の光路長が同一となるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
本明細書における「参照光」とは、光源から出射されて、被処理基板を透過、又は被処理基板の主面で反射した後、光検出器で受光される光であって、主に被処理基板の加熱ではなく、被処理基板の温度バラつきの参照に利用される光をいう。
【0020】
本明細書における「主発光波長」とは、スペクトルにおいて光強度が最も高くなるピーク波長である。
【0021】
本明細書における「同一の電力値の電力」とは、電力値が完全に同一な場合のみに限られず、回路構成に起因して生じる誤差や制御上生じ得る誤差程度は許容される。なお、「電力値」は、光源に応じて電流値又は電圧値に対応し、「電力を供給する」は、光源に応じて電流を供給することと、電圧を印加することに対応する。
【0022】
本明細書における「平行」とは、完全に平行な場合のみに限られず、装置を構成する上で生じ得る誤差程度の僅かな傾きは許容される。
【0023】
本明細書において、「対応する光源と光検出器」とは、参照光を出射する光源と、主に当該参照光を受光するように配置された光検出器をいう。
【0024】
被処理基板は、照射された光に対する透過率、反射率及び吸収率(=放射率)に関して、反射率+吸収率(放射率)+透過率=1の関係を満たす。このため、被処理基板は、放射率の変動に伴って、透過率と反射率が変動する。また、物体の放射率は、対象とする波長範囲にもよるが、シリコンのように温度に依存して僅かながらにも変動する。
【0025】
当該特性によれば、同じ強度で被処理基板に入射して被処理基板を透過した参照光、又は被処理基板の主面で反射された参照光は、被処理基板の入射位置の温度に応じた強度の光となる。
【0026】
つまり、光検出器が受光する光の強度が揃うように各固体光源の輝度を制御すれば、被処理基板全体における温度分布がより均一になり、被処理基板を温度ムラなく加熱処理することができる。
【0027】
しかしながら、加熱光と参照光の主発光波長が非常に近接していると、加熱光が参照光と同様に、被処理基板を透過、又は被処理基板の主面で反射されてしまう。この場合、光検出部は、対応する参照用光源から出射された参照光と共に、迷光となった加熱光を受光してしまい、光検出器が受光する光の強度は、被処理基板の温度のみならず、受光した加熱光によっても変動してしまう。つまり、制御部が、被処理基板の温度の情報を正確に取得できなくなってしまい、固体光源の輝度を適切に制御できなくなってしまう。
【0028】
このため、加熱光と参照光の主発光波長は、異なる波長範囲に含まれるように構成されていることが好ましい。具体的には、加熱光の主発光波長は、被処理基板の吸収率(放射率)が比較的高い波長範囲内となるように選択されることが好ましく、参照光の主発光波長は、被処理基板の吸収率(放射率)が比較的低い波長範囲内となるように選択されることが好ましい。
【0029】
特に、被処理基板がシリコンウェハである場合は、参照光の主発光波長は、放射率の温度依存性が顕著である1.2μm以上6.0μm以下の波長範囲内であることが好ましく、1.5μm以上4.0μm以下の波長範囲内であることがより好ましい。
【0030】
そして、固体光源が出射する加熱光の主発光波長は、参照光の主たる発光波長が含まれる上記波長範囲とは異なる範囲であって、シリコンの光に対する吸収率(放射率)が高い300nm以上1050nm以下の波長範囲内であることが好ましく、350nm以上1000nm以下の波長範囲内であることがより好ましい。
【0031】
以上より、上記構成とすることで、光加熱装置は、温度計を用いることなく、被処理基板全体の温度バラつきを把握することができ、被処理基板全体の温度ムラを抑制しながら加熱処理することができる。また、加熱光と参照光の主発光波長が含まれる波長帯域が異なる範囲に設定されているため、それぞれの光が互いに干渉しあうことがなく、精度よく被処理基板の温度バラつきを参照して、被処理基板を均一に加熱処理することができる。
【0032】
なお、被処理基板の実温度は、複数の固体光源(加熱用光源)が所望の輝度で点灯し、所程の点灯パターンで加熱処理が実行されることで、収束すると想定される温度(以下、「概略温度」という。)によって、許容可能な誤差範囲内となるように制御することができる。
【0033】
上記光加熱装置において、
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると前記複数の固体光源を消灯するように構成されていても構わない。
【0034】
上記構成とすることで、光検出器が受光する加熱光の量が低減され、制御部が、被処理基板の温度バラつきをより正確に参照することができる。したがって、被処理基板全体がより均一に加熱処理される。
【0035】
上記光加熱装置において、
それぞれの前記参照用光源は、他の前記参照用光源に対して、対応する前記光検出器との離間距離よりも相互に離間して配置されていても構わない。
【0036】
上記構成とすることで、対応する参照用光源とは別の参照用光源から出射される参照光が、光検出器に受光されてしまう量を抑制することができる。したがって、制御部は、より精度よく被処理基板の温度バラつきを参照することができ、より温度ムラを抑制しながら被処理基板を加熱処理することができる。
【0037】
また、本発明の光加熱装置は、
加熱処理対象である被処理基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内で前記被処理基板を支持する支持部材と、
前記支持部材によって支持されている前記被処理基板の主面に向かって、波長が1.2μm以上6.0μm以下の赤外光を含む加熱光を出射する複数の加熱用光源と、
前記複数の加熱用光源のいずれかと対応して設けられ、受光した前記赤外光の強度に応じた信号を出力する複数の光検出器と、
前記複数の光検出器から出力された前記信号によって得られた複数の前記加熱光の強度値を比較して、前記複数の加熱用光源のそれぞれに供給する電力の電力値を決定する参照モードと、前記複数の加熱用光源のそれぞれに、前記参照モードで決定した電力値の電力を供給する加熱モードとを実行する制御部とを備え、
対応する前記加熱用光源と前記光検出器は、当該加熱用光源の光出射面と、当該光検出器の受光面とが、前記被処理基板を介して対向するように配置され、
前記光検出器は、対応する前記加熱用光源から出射されて、前記被処理基板を透過した前記加熱光を受光するように構成され、
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると、少なくとも前記光検出器に対応している前記加熱用光源に対して同じ電力値の電力を供給することを特徴とする。
【0038】
上記構成とすることで、光加熱装置は、加熱用光源を参照用光源としても活用することができる。したがって、光加熱装置は、構成する部材数を削減し、装置全体のサイズを小型化することができ、製造コストも抑制することができる。
【0039】
なお、ここでの「赤外光を含む」とは、少なくとも被処理基板を透過して、光検出器で検知できる光強度の赤外光を含むことをいう。
【0040】
上記光加熱装置において、
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると、前記複数の加熱用光源に対して同じ電力値の電力を供給するように構成されていても構わない。
【0041】
上記光加熱装置において、
前記制御部は、前記参照モードに切り替わると、前記光検出器と対応している前記加熱用光源に対して同じ電力値の電力を供給し、他の前記加熱用光源に対する電力の供給を停止するように構成されていても構わない。
【0042】
上記構成とすることで、それぞれの光検出器は、参照モードにおいて、同じ電力値の電力が供給されている加熱用光源から出射される光を受光する。このため、複数の光検出器から出力される信号に含まれる、それぞれの加熱用光源の輝度の差による誤差が抑制される。したがって、制御部が、被処理基板の温度バラつきをより正確に参照することができ、被処理基板全体をより均一に加熱処理することができる。
【0043】
また、参照モードにおいて、制御部が光検出器に対応していない加熱用光源への電力の供給を停止することで、対応していない加熱用光源から出射される光を光検出器が受光してしまうことを抑制できる。したがって、制御部が、被処理基板の温度バラつきをより正確に参照することができ、被処理基板全体をより均一に加熱処理することができる。
【0044】
上記光加熱装置において、
前記加熱用光源は、固体光源であっても構わない。
【0045】
上記構成とすることで、制御部が加熱用光源の点灯と消灯とを高速に制御することや、輝度をより精細に調整できる。したがって、光加熱装置は、点灯と消灯とを切り替える間に被処理基板の温度が大きく低下してしまうことがなく、また、より精細な温度制御が可能となる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、温度計を用いることなく、被処理基板における温度ムラを抑制するように制御しながら加熱処理できる光加熱装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】光加熱装置の一実施形態をY方向に見たときの模式的な断面図である。
図2図1のチャンバを+Z側から見たときの図面である。
図3】一実施形態における制御部のブロック図である。
図4】制御部が実行する各モードと、固体光源に供給される電流の関係を示すタイミングチャートである。
図5】光加熱装置の一実施形態をY方向に見たときの模式的な断面図である。
図6】光加熱装置の一実施形態をY方向に見たときの模式的な断面図である。
図7図6の光源部を-Z側から見たときの図面である。
図8】シリコン(Si)の各温度における赤外光の波長と放射率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の光加熱装置について、図面を参照して説明する。なお、光加熱装置に関する以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0049】
[第一実施形態]
図1は、光加熱装置1の第一実施形態をY方向に見たときの模式的な断面図であり、図2は、図1のチャンバ2を+Z側から見たときの図面である。図1に示すように、光加熱装置1は、チャンバ2と、光源部10と、複数の光検出器11と、制御部12とを備える。なお、図2においては、チャンバ2内の構造が視認できるように、後述される透光窓2aにはハッチングが施されていない。
【0050】
以下の説明においては、図2に示すように、チャンバ2内に収容された加熱処理対象である被処理基板W1の主面W1aと平行な平面をXY平面とし、図1に示すように、XY平面と直交する方向をZ方向とする。
【0051】
また、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+Z方向」、「-Z方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「Z方向」と記載される。
【0052】
また、第一実施形態の説明においては、被処理基板W1がシリコンウェハであること前提として説明するが、本発明の光加熱装置1は、シリコンウェハ以外の被処理基板W1(例えば、ガラス基板等)の加熱処理に利用することも想定される。
【0053】
チャンバ2は、図1に示すように、内側に被処理基板W1を載置するための支持部材3と、光源部10から出射された光を内側へと導くための透光窓2aと、光源部10から出射されて、被処理基板W1を透過した光(後述される参照光R1)をチャンバ2の外側へと導くための透光窓2bとを備える。
【0054】
支持部材3は、図1及び図2に示すように、台座3aに複数の突起3bが設けられた構成であり、被処理基板W1は、複数の突起3bの先端に載置されて支持される。支持部材3の台座3aは、図2に示すように、円環形状を呈し、図1に示すように、被処理基板W1を透過した光(後述される参照光R1)が透光窓2bに到達するまでに遮光されないように構成されている。なお、図1及び図2に示す支持部材3の構成は、単なる一例であって、当該構成とは異なる形状や構造であっても構わない。
【0055】
光源部10は、図1に示すように、加熱光H1を出射する複数の固体光源10aと、参照光R1を出射する複数の参照用光源10bと、複数の固体光源10aと複数の参照用光源10bとが載置される光源用基板10cとを備える。
【0056】
光源用基板10cは、固体光源10aと参照用光源10bが載置される載置面10pがXY平面に対して平行となるように配置される。つまり、第一実施形態においては、固体光源10aと参照用光源10bは、XY平面に平行な同一平面上に配列されて、被処理基板W1の主面W1aに向かって光を出射するように配置されている。
【0057】
第一実施形態における固体光源10aは、主発光波長が400nmのLEDである。固体光源10aは、主発光波長が400nmとは異なる波長の光を出射するLEDであってもよく、LED以外の固体光源を採用しても構わない。
【0058】
なお、固体光源10aの主発光波長は、本実施例における被処理基板W1であるシリコンウェハを効率よく加熱処理するために、図8に示すように、吸収率が高い300nm以上1050nm以下の波長範囲内であることが好ましく、350nm以上1000nm以下の波長範囲内であることがより好ましい。
【0059】
第一実施形態における参照用光源10bは、主発光波長が1.5μmのLEDである。参照用光源10bは、主発光波長が1.5μmとは異なる波長の光を出射するLEDであってもよく、LD等のLED以外の固体光源を採用しても構わない。
【0060】
なお、参照用光源10bの主発光波長は、上述した固体光源10aの主発光波長が設定される範囲とは異なる波長範囲に設定される。特に、被処理基板W1がシリコンウェハである場合は、図8に示すように、温度変動に応じて放射率(=1-透過率-反射率)の変動が大きい1.2μm以上6.0μm以下の波長範囲内であることが好ましく、1.5μm以上4.0μm以下の波長範囲内であることがより好ましい。
【0061】
第一実施形態における光検出器11は、図1に示すように、被処理基板W1を透過して、透光窓2bからチャンバ2の外側へと出射された参照光R1を受光するように複数配置されている。
【0062】
光検出器11は、受光した参照光R1の光強度に応じた信号s1を出力する部材である。第一実施形態における光検出器11は、フォトダイオードであるが、フォトダイオード以外には、例えば、光起電力素子、リニアイメージセンサ等を採用し得る。
【0063】
それぞれの光検出器11は、複数の参照用光源10bのいずれかと対応しており、対応する参照用光源10bとは、Z方向において、受光面11aが参照用光源10bの光出射面10qと対向するように、XY平面上に配列されている。
【0064】
第一実施形態では、図1に示す、対応する参照用光源10bと光検出器11の離間距離d1は、80mm、隣接する光検出器11の離間距離d2は、100mmとなるように構成されている。つまり、隣接する光検出器11の離間距離d2は、対応する参照用光源10bと光検出器11の離間距離d1よりも大きくなるように構成されている。なお、参照用光源10bが、例えば、LD等のような発散角が十分に小さい参照光R1を出射する光源である場合は、それぞれの離間距離(d1,d2)は、上記とは関係なく、任意に設定されていても構わない。
【0065】
図3は、第一実施形態における制御部12のブロック図である。図3に示すように、制御部12は、入力回路12aと、温度分布制御回路12bと、点灯制御回路12cと、出力回路12dとを備える。
【0066】
制御部12は、複数の光検出器11から出力された信号s1によって得られた複数の参照光R1の強度値を比較して、複数の固体光源10aのそれぞれに供給する電流s2の電流値を決定する参照モードと、複数の固体光源10aのそれぞれに、参照モードで決定した電流値の電流s2を供給する加熱モードとを実行するように構成されている。制御部12は、例えば、MPUやMCU等の演算装置、又はPCやタブレット等の演算用の外部機器である。
【0067】
図4は、制御部12が実行する各モードと、一部の固体光源10aに供給される電流s2の関係を示すタイミングチャートであり、(a)は各モードの切り替わるタイミング、(b)は、後述する点灯制御回路12cが出力するトリガ信号s6の出力、(c)は制御部12が固体光源10aに供給する電流s2の変動の一例を示している。以下、図3を参照しながら各ブロックの動作を説明した後、図3及び図4を参照しながら制御部12の各モードの動作の一例について説明する。
【0068】
入力回路12aは、複数の光検出器11から出力された信号s1が入力されると、信号s1に基づいて、温度分布制御回路12bが演算処理可能な光強度データs3を生成し、生成した光強度データs3を温度分布制御回路12bに対して出力する。
【0069】
また、入力回路12aは、温度分布制御回路12bに対して比較対象となる光強度データs3を全て出力すると、温度分布制御回路12bに対して光強度データs3の出力が完了したことを通知するための通知信号s4を点灯制御回路12cに対して出力する。
【0070】
温度分布制御回路12bは、入力回路12aから比較対象となる光強度データs3が入力されると、光強度データs3に基づいて、図1に示す複数の固体光源10aに供給する電流s2の電流値を算出する。温度分布制御回路12bは、電流s2の電流値の算出が完了すると、出力回路12dに対して電流値データs5を出力する。
【0071】
なお、固体光源10aに供給する電流s2の電流値は、それぞれの固体光源10aに対して個別に算出されてもよいが、光源用基板10cの固体光源10aが載置された載置面10pをいくつかの領域に区分けし、各領域に含まれる固体光源10aごとに算出されて決定されても構わない。
【0072】
点灯制御回路12cは、入力回路12aが出力した通知信号s4が入力されると、所定の時間が経過した後、出力回路12dが電流s2の出力を開始するためのトリガ信号s6を出力回路12dに対して出力する。なお、第一実施形態の点灯制御回路12cは、不図示のタイマを備えており、加熱モードと参照モードとを切り替える時間をカウントしている。
【0073】
出力回路12dは、温度分布制御回路12bから電流値データs5が入力されると、各固体光源10aに対して所定の電流値で電流s2を供給する状態となり、点灯制御回路12cからトリガ信号s6が入力されるのを待機する。そして、出力回路12dは、点灯制御回路12cからトリガ信号s6が入力されると、設定された電流値で、各固体光源10aに対して電流s2の供給を開始する。
【0074】
加熱モードX1は、図4に示すように、時刻t1で点灯制御回路12cから出力回路12dにトリガ信号s6が出力されることで開始する。加熱モードX1が開始すると、出力回路12dが各固体光源10aに対して、所定の電流値c1で電流s2を供給する。
【0075】
参照モードX2は、加熱モードX1が開始した時刻t1から所定の時間T1が経過した時間t2で、点灯制御回路12cから出力回路12dに対して、固体光源10aに対して電流s2の供給を停止するためのトリガ信号s6が出力されて開始する。なお、第一実施形態においては、図4(b)に示すように、電流s2の供給を開始する場合と電流s2の供給を停止するためのトリガ信号s6は同じ信号であり、出力回路12dは、トリガ信号s6が入力されるたびに動作が切り替わるように構成されている。
【0076】
参照モードX2が開始すると、出力回路12dは、固体光源10aへの電流s2の供給を停止し、光源部10が、固体光源10aが消灯して参照用光源10bのみが点灯している状態となる。そして、複数の光検出器11が、参照用光源10bのみが点灯している状態で受光した参照光R1に基づく信号s1を入力回路12aに対して出力する。
【0077】
図3に示すように、入力回路12aに複数の信号s1が入力されると、各ブロックが上述したそれぞれの動作を順に実行する。そして、出力回路12dが出力する電流s2の電流値c2が算出され、出力回路12dの電流出力の設定が完了すると、出力回路12dは、点灯制御回路12cからトリガ信号s6が出力されるのを待機する。そして、時刻t2から時間T2が経過したところで、図4に示すように、点灯制御回路12cから出力回路12dにトリガ信号s6が出力されて、加熱モードX1が開始する。
【0078】
それぞれの時間(T1,T2)は、加熱の速度等に応じて、適宜調整されるが、第一実施形態における時間(T1,T2)は、一例として、加熱モードX1の時間T1が1秒、参照モードX2の時間T2が0.1秒に設定されている。
【0079】
制御部12は、以上のように加熱モードX1と参照モードX2とを繰り返すことで、複数の固体光源10aに供給する電流s2の電流値を調整し、被処理基板W1の温度ムラを抑制しながら加熱処理する。
【0080】
上記構成とすることで、温度計を用いることなく、被処理基板W1全体の温度バラつきを参照することができ、被処理基板W1全体の温度ムラを抑制しながら加熱処理することができる。また、加熱光H1の主発光波長が含まれる波長帯域と参照光R1の主発光波長が含まれる波長帯域とが異なる範囲に設定されているため、それぞれの光が迷光となって互いに干渉し合うことがなく、加熱処理と温度バラつきの参照を精度よく実施することができる。
【0081】
第一実施形態の光源部10は、一つの光源用基板10c上に、複数の固体光源10aと複数の参照用光源10bとが載置されて構成されているが、複数の固体光源10aと複数の参照用光源10bとが載置された複数の光源用基板(10c,10c,…)を組み合わせて構成されていても構わない。さらに、光源部10は、固体光源10aが載置された光源用基板10cと、参照用光源10bが載置された異なる光源用基板10cを備えて構成されていても構わない。
【0082】
第一実施形態の制御部12は、参照モードX2時に固体光源10aへの電流s2の供給を停止するように構成されているが、加熱光H1と参照光R1とのスペクトルが十分に離れるように構成されて、温度バラつきを参照する上で固体光源10aが点灯していても問題がないような場合は、参照モードX2時に固体光源10aへの電流s2の供給を停止しないように構成されていても構わない。
【0083】
また、第一実施形態では、参照用光源10bが加熱モードX1と参照モードX2のいずれにおいても点灯しているが、制御部12が参照用光源10bの点灯と消灯とを切り替える制御回路を備え、参照モード時のみ参照用光源10bを点灯させるように構成されていても構わない。
【0084】
[第二実施形態]
本発明の光加熱装置1の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0085】
図5は、光加熱装置1の第二実施形態をY方向に見たときの模式的な断面図である。図5に示すように、第二実施形態の光加熱装置1は、光源部10の光源用基板10cには、固体光源10aのみが載置されている。そして、光源部10に対して+Z側に、対応する参照用光源10bと光検出器11を備える参照ユニット20が複数設けられている。
【0086】
参照ユニット20は、参照用光源10bが、光源部10に設けられた貫通孔10hを介して、被処理基板W1に向かって参照光R1(不図示)を出射する。そして、参照ユニット20に備えられた光検出器11は、被処理基板W1の主面W1aで反射されて、再び光源部10の貫通孔10hを介して参照ユニット20側に戻ってきた光を受光する。
【0087】
それぞれの参照ユニット20は、図5に示すように、参照用光源10bから出力されて被処理基板W1に入射するまでの参照光R1の主光線Rxの光路長d3が同一となるように構成されている。また、それぞれの参照ユニット20は、被処理基板W1の主面W1aで反射して光検出器11に入射するまでの参照光R1の主光線Rxの光路長d4が同一となるように構成されている。
【0088】
上記構成とすることで、チャンバ2に対するZ方向に関し、一方側(ここでは+Z側)に光源部10や光検出器11をまとめて配置することができるため、光加熱装置1全体を小型化することができる。また、第二実施形態の光加熱装置1は、参照用光源10bと対応する光検出器11とで一つの参照ユニット20が構成されているため、対応する参照用光源10bと光検出器11との位置合わせ等が容易になる。
【0089】
なお、第二実施形態の光加熱装置1は、光源部10と参照ユニット20による構成であるが、光源部10と参照ユニット20が一体的に構成されていてもよく、第一実施形態と同様に、光源部10には、固体光源10aと参照用光源10bとが載置され、光検出器11のみ別体として構成されていても構わない。
【0090】
[第三実施形態]
本発明の光加熱装置1の第三実施形態の構成につき、第一実施形態及び第二実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0091】
図6は、光加熱装置1の第三実施形態をY方向に見たときの模式的な断面図であり、図7は、図6の光源部10を-Z側から見たときの図面である。図7に示すように、第三実施形態の光加熱装置1は、光源部10が、XY平面上に配列された加熱光H1を出射する複数のランプ光源10dで構成されている。
【0092】
ランプ光源10dは、波長が1.2μm以上6.0μm以下の赤外光を含む加熱光H1を出射する光源であり、例えば、キセノンランプ等である。また、上記波長範囲の赤外光を出射できる光源であれば、ランプ光源以外の光源であってもよく、例えば、当該波長範囲内に主発光波長を有するLEDやLD等の固体光源であっても構わない。
【0093】
第三実施形態におけるランプ光源10dから出射される加熱光H1は、上記波長範囲の赤外光を含むことから、第一実施形態における参照光R1として利用することができる。つまり、ランプ光源10dは、加熱用光源であるとともに、参照用光源としての機能も兼ね備える。
【0094】
第三実施形態においては、制御部12は、参照モードに切り替わると光検出器11に対応している複数のランプ光源10dに供給(印加)する電流s2(又は電圧)が同じになるように制御し、光検出器11に対応していない複数のランプ光源10dに対しては、電流s2(又は電圧)の供給(印加)を停止する。
【0095】
なお、制御部12は、参照モードにおいて、全てのランプ光源10dに対して同じ電流s2(又は電圧)を供給(印加)するように制御する構成であっても構わない。
【0096】
上記構成とすることで、加熱用光源と参照用光源を別々に搭載する必要が無く、よりシンプルな構成の光加熱装置1が構成され、装置のメンテナンス作業や不具合時の原因確認等が容易となる。
【符号の説明】
【0097】
1 : 光加熱装置
2 : チャンバ
2a : 透光窓
2b : 透光窓
3 : 支持部材
3a : 台座
3b : 突起
10 : 光源部
10a : 固体光源
10b : 参照用光源
10c : 光源用基板
10d : ランプ光源
10h : 貫通孔
10p : 載置面
10q : 光出射面
11 : 光検出器
11a : 受光面
12 : 制御部
12a : 入力回路
12b : 温度分布制御回路
12c : 点灯制御回路
12d : 出力回路
20 : 参照ユニット
H1 : 加熱光
R1 : 参照光
Rx : 主光線
W1 : 被処理基板
W1a : 主面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8