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特開2022-184307ロボットの制御信号の監視装置および監視方法
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  • 特開-ロボットの制御信号の監視装置および監視方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184307
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ロボットの制御信号の監視装置および監視方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G06F11/07 157
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092076
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 厚志
(72)【発明者】
【氏名】酒井 竜児
(72)【発明者】
【氏名】川田 進也
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GB07
5B042JJ21
(57)【要約】
【課題】ウォッチドッグタイマが正常に機能しているかどうかを確認することができるロボットの制御信号の監視装置および監視方法を提供する。
【解決手段】ロボットの制御信号の監視装置100は、ロボットを駆動制御するCPU102と、CPU102の動作を監視するウォッチドッグタイマ104と、CPU102から出力される駆動信号とウォッチドッグタイマ104のタイマ出力とが入力されるANDゲート106と、CPU102から出力されるマスク信号とANDゲート106の出力とが入力されてロボットの制御信号を出力するORゲート108と、ORゲート108の出力をCPU102に入力するフィードバック回路110とを備え、マスク信号は、ウォッチドッグタイマ104が停止しているときにもロボットの動作を継続させる信号であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを駆動制御するCPUと、
前記CPUの動作を監視するウォッチドッグタイマと、
前記CPUから出力される駆動信号と前記ウォッチドッグタイマのタイマ出力とが入力されるANDゲートと、
前記CPUから出力されるマスク信号と前記ANDゲートの出力とが入力されて前記ロボットの制御信号を出力するORゲートと、
前記ORゲートの出力を前記CPUに入力するフィードバック回路と、
を備え、
前記マスク信号は、前記ウォッチドッグタイマが停止しているときにも前記ロボットの動作を継続させる信号であることを特徴とするロボットの制御信号の監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットの制御信号の監視装置を用いた監視方法であって、
前記CPUは、
前記マスク信号を出力して前記制御信号の出力を維持しながら、
前記ウォッチドッグタイマに周期的に出力するタイマクリア信号を停止し、
前記ウォッチドッグタイマのタイムアウトを待ち、
前記ウォッチドッグタイマがタイムアウトした後に前記マスク信号を停止し、
前記フィードバック回路から入力された前記制御信号が停止するか否かによって前記ウォッチドッグタイマの動作を確認し、
前記ウォッチドッグタイマが正常に動作していないときはエラーフラグをセットし、
前記タイマクリア信号の出力を再開して前記制御信号の出力を維持することを特徴とするロボットの制御信号の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを駆動制御するCPUの動作を監視するウォッチドッグタイマを備えたロボットの制御信号の監視装置および監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一例としてロボットの制御信号の監視装置は、ロボットを駆動制御する駆動信号を出力するCPUと、CPUの動作を監視するウォッチドッグタイマとを備える。CPUは、ウォッチドッグタイマに対してタイマをリセットするタイマクリア信号を一定周期毎に出力する。ウォッチドッグタイマは、タイマが一定周期でリセットされない場合、CPUの動作が異常と判定してタイムアウトを示すタイマ出力を行う。この監視装置は、ウォッチドッグタイマからタイムアウト出力が行われると、CPUから出力される駆動信号を遮断することにより、ロボットを安全に制御する。
【0003】
ここで、CPUの動作が異常であるとき、ウォッチドッグタイマを用いてCPUの駆動信号を遮断する構成において、駆動信号を遮断する回路が正常に動作するかを診断する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
特許文献1のエアバッグシステムは、外部スイッチング素子の駆動許可を与えるサブCPUと、外部スイッチング素子および内部スイッチング素子を駆動するメインCPUと、異常時にリセット処理を行うウォッチドッグタイマ回路と、内部スイッチング素子を含むICを備える。
【0005】
特許文献1では、メインCPUが外部スイッチング素子を駆動する前に、ICが、ウォッチドッグタイマ回路を経由せずに、メインCPUから内部スイッチング素子を停止させるマスク入力信号を受信し、サブCPUに内部スイッチング素子が停止したことを伝えるマスク出力信号を発信した後、外部スイッチング素子の駆動チェックを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4103642号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし特許文献1では、外部スイッチング素子の駆動チェックの際、ウォッチドッグタイマ回路を介さずにマスク信号を用いているため、ウォッチドッグタイマ回路自身が正常に機能しているかどうかを確認することができない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、ウォッチドッグタイマが正常に機能しているかどうかを確認することができるロボットの制御信号の監視装置および監視方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかるロボットの制御信号の監視装置の代表的な構成は、ロボットを駆動制御するCPUと、CPUの動作を監視するウォッチドッグタイマと、CPUから出力される駆動信号とウォッチドッグタイマのタイマ出力とが入力されるANDゲートと、CPUから出力されるマスク信号とANDゲートの出力とが入力されてロボットの制御信号を出力するORゲートと、ORゲートの出力をCPUに入力するフィードバック回路とを備え、マスク信号は、ウォッチドッグタイマが停止しているときにもロボットの動作を継続させる信号であることを特徴とする。
【0010】
上記構成では、ウォッチドッグタイマを停止させるとタイマ出力はLowになり、駆動信号がHighでもANDゲートの出力はLowになって、ORゲートに入力される。しかし、ORゲートに入力されるCPUのマスク信号をHighにすることによって、ウォッチドッグタイマが停止しているときも(ANDゲートの出力がLowであっても)、ORゲートの出力(ロボットの制御信号)をHighにすることができ、ロボットの動作を継続することができる。
【0011】
そして、ウォッチドッグタイマが停止しているときに、マスク信号もLowにすると、ロボットの制御信号はLowになる。ところがロボットは、仮に制御信号が途絶えても、短時間であれば反応しないリレーを用いることにより、動作を継続することができる。
【0012】
そこで本発明では、ロボットが動作を継続できる程度に制御信号を短時間停止させることにより、ロボットの動作を止めずにウォッチドッグタイマの動作を確認することができる。さらに、ウォッチドッグタイマをタイムアウトさせた状態において、ORゲートに入力されるCPUのマスク信号をLowにすることによって、ORゲートの出力がLowであれば、ウォッチドッグタイマが正常に機能していることを確認することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明にかかるロボットの制御信号の監視方法の代表的な構成は、上記のロボットの制御信号の監視装置を用いた監視方法であって、CPUは、マスク信号を出力して制御信号の出力を維持しながら、ウォッチドッグタイマに周期的に出力するタイマクリア信号を停止し、ウォッチドッグタイマのタイムアウトを待ち、ウォッチドッグタイマがタイムアウトした後にマスク信号を停止し、フィードバック回路から入力された制御信号が停止するか否かによってウォッチドッグタイマの動作を確認し、ウォッチドッグタイマが正常に動作していないときはエラーフラグをセットし、タイマクリア信号の出力を再開して制御信号の出力を維持することを特徴とする。
【0014】
上記のように、CPUは、ウォッチドッグタイマのタイムアウトを待ってマスク信号を停止して、制御信号が停止したことを以て、ウォッチドッグタイマの動作を確認するという手順を実行する。このため上記構成によれば、ウォッチドッグタイマが正常に機能していることを確認することができ、さらに正常に動作していないときはエラーフラグをセットすることで、エラー処理を行う必要があることも確認することができる。なお、制御信号を生成するANDゲートやORゲートの異常も検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウォッチドッグタイマが正常に機能しているかどうかを確認することができるロボットの制御信号の監視装置および監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態におけるロボットの制御信号の監視装置の機能を示すブロック図である。
図2図1の監視装置の各部の出力を例示するタイミングチャートである。
図3図2のタイミングチャートの各タイミングでの動作説明を示す図である。
図4図1の監視装置の各タイミングでの処理を含むフローチャートである。
図5図1の監視装置の他の各タイミングでの処理を含むフローチャートである。
図6図1の監視装置の駆動信号をOFFにする処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態におけるロボットの制御信号の監視装置(以下、監視装置100)の機能の一部を示すブロック図である。監視装置100は、ロボット(不図示)の制御信号を監視する装置であって、ロボットを駆動制御するCPU102と、ウォッチドッグタイマ(WDT)104とを備える。
【0019】
CPU102は、ウォッチドッグタイマ104に対してタイマをリセットするタイマクリア信号を一定周期毎に出力する。ウォッチドッグタイマ104は、CPU102の動作を監視する機能を有し、タイマが一定周期でリセットされない場合、CPU102の動作が異常と判定してタイムアウトを示すタイマ出力を行う。
【0020】
ロボットの安全性を確保するためには、CPU102の動作を監視するウォッチドッグタイマ104が正常に機能している必要がある。そこで監視装置100では、ロボットが動作を継続できる程度にロボットを短時間停止させることにより、ロボットの動作を止めずにウォッチドッグタイマ104の動作を確認することができる構成を採用した。
【0021】
すなわち監視装置100はさらに、遮断用AND(ANDゲート106)と、マスク用OR(ORゲート108)と、フィードバック回路110とを有する。そしてCPU102は、図示のようにタイマクリア信号をWDT104に出力するだけでなく、駆動信号をANDゲート106に出力し、さらにマスク信号をORゲート108に出力する。マスク信号は、後述するが、ウォッチドッグタイマ104が停止しているときにもロボットの動作を継続させる信号である。
【0022】
ANDゲート106には、図示のように、CPU102から出力される駆動信号とウォッチドッグタイマ104のタイマ出力とが入力される。ORゲート108は、CPU102から出力されるマスク信号とANDゲート106の出力とが入力されて、ロボットの制御信号を出力する。フィードバック回路110は、ORゲート108の出力である制御信号をCPUにフィードバック入力する。
【0023】
以下、監視装置100を用いたロボットの制御信号の監視方法について説明する。図2は、図1の監視装置100の各部の出力(信号)を例示するタイミングチャートである。なお図中には、CPU102から出力される駆動信号、タイマクリアおよびマスク信号と、ウォッチドッグタイマ104のタイマ出力と、ANDゲート106の出力と、ORゲート108から出力される制御信号とが示され、さらに、各タイミングT1-T9が示されている。
【0024】
図3は、図2のタイミングチャートの各タイミングT1-T9での動作説明を示す図である。図4は、図1の監視装置の各タイミングT1、T2、T3での処理を含むフローチャートである。
【0025】
監視装置100において、まず、CPU102には、ORゲート108の出力である制御信号がフィードバック回路110によりフィードバック入力される(ステップS100)。つぎに、CPU102は、図2のタイミングT1で制御信号がLowか否かを判定する(ステップS102)。
【0026】
タイミングT1では、タイマ出力がLow、駆動信号がLowであるため、ANDゲート106の出力がLowとなり、さらにマスク信号がLowである。このため、ORゲート108の出力である制御信号はLowとなり、図3の診断内容に示すように、タイミングT1すなわち初期において、ロボットに制御信号が出力されていないことが診断される。したがってステップS102で制御信号がHighであれば(No)、エラー処理を行う(ステップS106)。
【0027】
CPU102は、ステップS102で制御信号がLowであれば(Yes)、駆動信号を出力する(ステップS104)。CPU102は、駆動信号を出力すると、タイミングT2で制御信号がLowか否かを判定する(ステップS108)。
【0028】
タイミングT2では、タイマ出力がLow、駆動信号がHighであるため、ANDゲート106の出力がLowとなるはずであり、さらにマスク信号がLowである。このため、ORゲート108の出力である制御信号はLowとなり、図3に示すように、タイミングT2すなわちウォッチドッグタイマ104の起動以前において、ロボットに制御信号が出力されないことが診断される。したがってタイミングT2で制御信号がHighであれば(No)、エラー処理を行う(ステップS106)。
【0029】
CPU102は、ステップS108で制御信号がLowであれば(Yes)、タイマクリア周期をクリアする(ステップS110)。CPU102は、タイマクリア周期をクリアすると、テスト周期をクリアして(ステップS112)、さらにタイマクリアをHighとする(ステップS114)。
【0030】
ステップS114でタイマクリアがHighになると、図2に示すようにウォッチドッグタイマ104は起動して、タイマ出力がHighとなる。つぎに、CPU102には、ORゲート108の出力である制御信号がフィードバック入力される(ステップS116)。
【0031】
続いてCPU102は、図2のタイミングT3(ウォッチドッグタイマがタイムアウトしていないタイミング)で制御信号がHighか否かを判定する(ステップS118)。タイミングT3では、タイマ出力がHigh、駆動信号がHighであるため、ANDゲート106の出力がHighとなり、さらにマスク信号がLowである。このため、ORゲート108の出力である制御信号はHighとなるはずであり、図3に示すように、タイミングT3すなわちウォッチドッグタイマ104を起動すると、ロボットに制御信号が出力されたと診断される。
【0032】
CPU102は、ステップS118で制御信号がHighであれば(Yes)、処理を終了し、制御信号がLowであれば(No)、ステップS106のエラー処理を行い、処理を終了する。
【0033】
図5は、駆動信号がONとなっている間にタイマクリア周期カウンタがタイマクリアタイミングを示した際に実行されるフローチャートである。まず、CPU102は、ステップS200においてタイマクリアがHighか否かを判定し、Higである場合(Yes)にはタイマクリアを反転してLowとする(ステップS202)。一方、タイマクリアがLowであった場合には(S202のNo)、CPU102は、タイマクリアを反転してHighにする(ステップS204)。
【0034】
CPU102は、タイマクリアをLowにすると、テストタイミングか否かを判定し(ステップS206)、テストタイミングであれば(Yes)、図2のタイミングT4でマスク信号をHighにする(ステップS208)。タイミングT4では、タイマクリアが停止され、マスク信号がHighであるため、制御信号が強制的にHighになる。このため、図3に示すようにタイミングT4では、何ら診断せず、ウォッチドッグタイマ104の診断の準備段階となる。
【0035】
続いて、CPU102は、図2のタイミングT5において予め設定されたウォッチドッグタイマ104のタイムアウトを待つ(ステップS210)。タイミングT5までは、図3に示すようにウォッチドッグタイマ104のタイムアウトを待つだけであり、診断を行わない。CPU102は、ウォッチドッグタイマ104のタイムアウト時間が経過したか否かを判定し(ステップS212)、タイムアウト時間が経過していないときは(No)、再びステップS210に戻る。
【0036】
タイムアウト時間を経過したタイミングT6においては、ウォッチドッグタイマ104がタイムアウトしてタイマ出力Lowになり、遮断用ANDがLowになる。このときマスク信号が正しくHighであればマスクOR出力もHighになるが、マスク信号がLowになっているとマスクOR出力がLowになってロボットが停止してしまう。このことから、ロボットが動作継続していることをもって、CPU102によるマスク信号の出力が有効であることを判断することができる。
【0037】
CPU102は、ステップS214で制御信号がHighであれば(Yes)、図2のタイミングT7でマスク信号をLowにする(ステップS218)。タイミングT7では、図3に示すようにマスク信号をLowにすることで、ウォッチドッグタイマ104の診断を行う準備が整う。
【0038】
そしてCPU102には、マスク信号をLowにした後、ORゲート108の出力である制御信号がフィードバック入力される(ステップS220)。CPU102は、制御信号がフィードバック入力されると、図2のタイミングT8で制御信号がLowか否かを判定する(ステップS222)。
【0039】
ここで、ウォッチドッグタイマ104が正常であれば、タイムアウトして停止するとタイマ出力はLowになり、駆動信号がHighであってもANDゲート106の出力はLowになって、ORゲート108に入力される。さらに、ステップS218でマスク信号がLowになっているため、ORゲート108の出力である制御信号はLowとなるはずである。
【0040】
つまり、一方、ステップS222で制御信号がLowであれば(Yes)、CPU102は、ウォッチドッグタイマ104が正常に機能していることを確認することができる。他方、制御信号がHighであれば、CPU102は、ウォッチドッグタイマ104が正常に機能せず、タイムアウトしないためにタイマ出力がHighになっているため、ステップS216でテストエラーフラグをセットする。
【0041】
またウォッチドッグタイマ104がタイムアウトしても、図2のタイミングT4でマスク信号をHighにすることによって、ORゲート108の出力であるロボットの制御信号をHighにすることができ、ロボットの動作を継続することができる。一方、ロボットは、仮に制御信号が途絶えても、短時間であれば反応しないリレーを用いることにより、動作を継続することができる。
【0042】
このため、CPU102は、ロボットが動作を継続できる程度に制御信号を短時間停止させる(タイミングT7からT9までの間を、ロボットが動作を継続できる所定時間未満にする)ことにより、ロボットの動作を止めずにウォッチドッグタイマ104の動作を確認することができる。なお、制御信号を生成するANDゲート106やORゲート108の異常も検出することができる。
【0043】
続いてCPU120は、ステップS222で制御信号がLowであり、ウォッチドッグタイマ104が正常に機能していることを確認した後、または制御信号がHighであり、ステップS216でテストエラーフラグをセットした後、テスト周期をクリアする(ステップS224)。
【0044】
さらにCPU102は、図2に示すタイミングT9でタイマクリアをHighにして(ステップS226)、タイマクリア周期をクリアして(ステップS228)、処理を終了する。タイミングT9では、図3に示すようにタイマクリアを再開して、ウォッチドッグタイマ104を起動する。
【0045】
なお上記のステップS204の後は、図5に示すようにタイマクリア周期をクリアして(ステップS228)、テストを実行しない。また、ステップS206でテストタイミングでないとき(No)も同様に、タイマクリア周期をクリアして(ステップS228)、テストを実行しない。
【0046】
図6は、図1の監視装置100の駆動信号をOFFにする処理を示すフローチャートである。まず、CPU102は、駆動信号をOFFにして(ステップS300)、さらにタイマクリアをLowにする(ステップS302)。つぎに、CPU102は、図5のステップS216のエラーフラグがセットされているか否かを判定し(ステップS304)、一方、エラーフラグがセットされていると(Yes)、エラー処理を行って(ステップS306)、処理を終了する。他方、ステップS304でエラーフラグがセットされていないときは(No)、そのまま処理を終了する。
【0047】
このように監視装置100では、駆動信号をOFFにするときにもエラー処理を行うことができる。また、エラーフラグをセットすることで、エラー処理を行う必要があることを確認できるため、監視装置100を停止して、再起動前に基板交換などの修理を行うことができる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ロボットを駆動制御するCPUの動作を監視するウォッチドッグタイマを備えたロボットの制御信号の監視装置および監視方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100…ロボットの制御信号の監視装置、102…CPU、104…ウォッチドッグタイマ、106…ANDゲート、108…ORゲート、110…フィードバック回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6