(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184318
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】スペアタイヤ支持装置
(51)【国際特許分類】
B62D 43/04 20060101AFI20221206BHJP
F16H 19/02 20060101ALI20221206BHJP
F16H 35/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B62D43/04 E
F16H19/02 D
F16H35/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092092
(22)【出願日】2021-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】521217194
【氏名又は名称】八尾 亮仁
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】八尾 亮仁
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA01
3J062AB13
3J062AC07
3J062BA35
3J062CA03
3J062CA33
(57)【要約】
【課題】本開示の目的は、チェーンホイールの回り止めが行われている状態であるか否かを目視により確認することの可能な、スペアタイヤ支持装置を提供する。
【解決手段】車体13に対して回転及び停止可能に設けられるチェーンホイール18と、チェーンホイール18に巻き掛けられ、かつ、スペアタイヤを吊り下げるチェーン20と、チェーンホイール18及びチェーン20を囲むように設けられるカバー39と、カバー39の外部に設けられ、かつ、チェーンホイール18がスペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止するロック機構21と、ロック機構21は、チェーンホイール18に接続されたギヤ32と、車体13に設けられた支持軸34と、支持軸34を中心として所定角度の範囲内で回転可能なストッパ35とを有し、ストッパ35は、ギヤ32に係合されるとチェーンホイール18が回転することを阻止するスペアタイヤ支持装置15を構成した。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して回転及び停止可能に設けられるチェーンホイールと、
前記チェーンホイールに巻き掛けられ、かつ、スペアタイヤを吊り下げるチェーンと、
前記チェーンホイール及び前記チェーンを囲むように設けられるカバーと、
前記カバーの外部に設けられ、かつ、前記チェーンホイールが前記スペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止するロック機構と、
を有し、
前記ロック機構は、
前記チェーンホイールに接続されたギヤと、
前記車体に設けられた支持軸と、
前記支持軸を中心として所定角度の範囲内で回転可能であり、かつ、前記ギヤに係合及び解放されるストッパと、
を有し、
前記ストッパは、前記ギヤに係合されることにより、前記チェーンホイールが前記スペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止する、スペアタイヤ支持装置。
【請求項2】
請求項1記載のスペアタイヤ支持装置において、
前記ロック機構は、
前記車体に設けられたブラケットと、
前記ブラケットに支持され、かつ、前記ギヤに係合された前記ストッパの回転を阻止するロックピンと、
を更に有する、スペアタイヤ支持装置。
【請求項3】
請求項2記載のスペアタイヤ支持装置において、
前記ブラケットは、
差し込み穴と、
前記差し込み穴から鉛直方向に延ばされた切り欠きと、
を有し、
前記ロックピンは、
前記差し込み穴に差し込まれる軸部と、
前記軸部から前記軸部の径方向に突出された接続部と、
前記軸部から前記軸部の径方向に突出された翼片と、
を有し、
前記接続部と前記翼片とが、前記軸部の周方向で異なる位置に設けられている、スペアタイヤ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に設けられてスペアタイヤを支持するスペアタイヤ支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられてスペアタイヤを支持するスペアタイヤ支持装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されているスペアタイヤ支持装置は、車体フレームのクロスメンバに取り付けられるスペアタイヤキャリヤと、スペアタイヤキャリヤにより回転可能に支持されたクランクシャフトと、クランクシャフトの外周に固定され、かつ、チェーンを巻き上げるチェーンホイールギヤと、チェーンホイールギヤに設けられた第1ギヤと、スペアタイヤキャリヤに設けられた第2ギヤと、チェーンホイール、第2ギヤを覆うカバーと、を有する。スペアタイヤは、チェーンによって吊り下げられる。
【0003】
そして、クランクハンドルによってクランクシャフトを回転させると、チェーンホイールギヤが回転してチェーンが巻き上げられ、スペアタイヤが上昇する。クランクシャフトが停止されると、第1ギヤと第2ギヤとが噛み合い、チェーンホイールが逆回転することを防止できる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されたスペアタイヤ支持装置では、第1ギヤと第2ギヤとの噛み合い箇所が、チェーンホイールの回り止めが行われている状態であるか否かを目視により確認できない、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、チェーンホイールの回り止めが行われている状態であるか否かを目視により確認することの可能な、スペアタイヤ支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のスペアタイヤ支持装置は、車体に対して回転及び停止可能に設けられるチェーンホイールと、前記チェーンホイールに巻き掛けられ、かつ、スペアタイヤを吊り下げるチェーンと、前記チェーンホイール及び前記チェーンを囲むように設けられるカバーと、前記カバーの外部に設けられ、かつ、前記チェーンホイールが前記スペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止するロック機構と、を有し、前記ロック機構は、前記チェーンホイールに接続されたギヤと、前記車体に設けられた支持軸と、前記支持軸を中心として所定角度の範囲内で回転可能であり、かつ、前記ギヤに係合及び解放されるストッパと、を有し、前記ストッパは、前記ギヤに係合されることにより、前記チェーンホイールが前記スペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のスペアタイヤ支持装置によれば、チェーンホイールがスペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止されているか否かを、目視により確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)は、本開示のスペアタイヤ支持装置の対象であるトラックの全体側面図、(B)は、
図1(A)の部分的な拡大図である。
【
図2】スペアタイヤを上昇及び下降可能な状態にあるスペアタイヤ支持装置の側面図である。
【
図3】スペアタイヤを上昇及び下降可能な状態にあるスペアタイヤ支持装置の平面図である。
【
図4】スペアタイヤを固定した状態にあるスペアタイヤ支持装置の側面図である。
【
図5】スペアタイヤを固定した状態にあるスペアタイヤ支持装置の平面図である。
【
図6】(A)は、ロック機構がギヤの回転を可能としている状態の図、(B)は、ロック機構がギヤの回転を阻止している状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のスペアタイヤ支持装置をトラックに設けた一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
図1(A)に示すトラック10は、運転席11、及び運転席11の後方に設けられた荷台12、
図1(B)に示す車体13を有する。荷台12は、車体13によって支持されている。運転席11の下部にエンジンが設けられ、運転席11の下部及び車体13の下部にタイヤ14がそれぞれ設けられている。エンジンのトルクが、変速機、動力伝達装置を経由してタイヤ14に伝達されると、トラック10が走行可能である。
【0012】
スペアタイヤ支持装置15は、車体13に設けられている。スペアタイヤ支持装置15は、タイヤ14の交換対象としてのスペアタイヤ16を支持する。スペアタイヤ支持装置15は、スペアタイヤ16を車体13に対して固定させる機能と、スペアタイヤ16を車体13と地面17との間において、上昇及び下降させる機能と、を有する。スペアタイヤ支持装置15は、
図2、
図3、
図4及び
図5に示すように、チェーンホイール18、チェーンホイール18が取り付けられた回転軸19、チェーンホイール18に巻き掛けられるチェーン20、及びロック機構21を有する。
【0013】
車体13は、トラック10の前後方向に沿って設けられた2つのフレーム22,23を有する。2つのフレーム22,23は、それぞれ軸孔24を有する。回転軸19は、2つの軸孔24内に配置されており、回転軸19は、中心線A1を中心として回転可能である。本実施形態では、中心線A1がトラック10の幅方向、つまり、左右方向に配置され、かつ、略水平に配置されているものとする。中心線A1は、回転軸19の中心を通る仮想線である。
【0014】
2つのフレーム22,23及び回転軸19は、それぞれ金属製、具体的には、機械構造用鋼等により構成されている。2つのフレーム22,23のうち、フレーム22は、トラック10の幅方向でフレーム23よりも外側に配置されている。回転軸19における中心線A1に沿った方向の端部25は、トラック10の幅方向でフレーム22よりも外側に配置されている。回転軸19の端部25は、
図2に示す挿入孔26及び切り欠き27を有する。
【0015】
チェーンホイール18は、回転軸19と同心状に設けられ、かつ、回転軸19の外周に固定されている。チェーンホイール18は、フレーム22とフレーム23との間に設けられている。チェーンホイール18は、金属製、例えば圧延鋼板等によって構成されている。チェーン20は、チェーンホイール18の外周に中心線A1を中心として所定角度の範囲内、例えば200度の範囲内で巻き掛けられている。チェーン20は、金属製、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等により構成されている。
【0016】
作業者が荷台12の側方から荷台12の下を覗くと、車体13、挿入孔26及び切り欠き27を目視することが可能である。作業者は、トラック10の運転者、同乗者、立ち合い者等を含む。作業者は工具、つまり、金属製のレンチ36を用意する。レンチ36は棒状であり、レンチ36の先端の外周に係合爪37が突出して設けられている。作業者は、レンチ36の先端を挿入孔26にさせ、かつ、係合爪37を切り欠き27に挿入した状態でレンチ36を回転させる。すると、係合爪37が回転軸19に係合されて、チェーンホイール18を回転させることができる。
【0017】
チェーン20の長手方向の第1端部は、フレーム22またはフレーム23に固定されている。チェーン20の長手方向の第2端部は、金属製の係合片に連結されている。係合片は、金属製のプレート28に連結され、係合片とプレート28との間に金属製の圧縮コイルスプリングが設けられている。なお、係合片及び圧縮コイルスプリングは、便宜上、図示を省略している。
【0018】
さらに、
図3及び
図4のように、フレーム22とフレーム23との間にカバー39が設けられており、カバー39は、フレーム22及びフレーム23に固定されている。カバー39は、チェーンホイール18及びチェーン20の側方及び上方を囲むように設けられている。カバー39の下方は開口されており、チェーン20は、長手方向に沿って移動されてカバー39により覆われた空間へ出入り可能である。
【0019】
図1(B)に示すスペアタイヤ16は、ゴム部29と、ゴム部29を支持する金属製のホイール30と、を有する。ホイール30は、金属製、例えば鋼製であり、ホイール30は、
図2のように支持孔31を有する。チェーン20が支持孔31に挿入され、かつ、プレート28がホイール30に係合された状態で、チェーン20の第2端部が、スペアタイヤ16の中心に位置することにより、スペアタイヤ16が自重で吊り下げられた状態で、チェーン20により支持される。
【0020】
ロック機構21は、チェーンホイール18が回転可能な状態と、チェーンホイール18の回転を阻止する状態とを切り替える機構である。ロック機構21は、フレーム22の側方に設けられている。ロック機構21は、
図3及び
図4のように、ギヤ32、ブラケット33、支持軸34、ストッパ35及びロックピン53を有する。ギヤ32は、回転軸19と同心状に設けられ、かつ、回転軸19に固定されている。ギヤ32は、中心線A1に沿った方向でフレーム22と端部25との間に設けられている。ギヤ32は、回転軸19と共に回転及び停止が可能である。ギヤ32は、金属製、例えば、鉄製、機械構造用鋼製である。ギヤ32は、円板形状のボス部41と、ボス部41の外周に等間隔で設けられた複数の突起42と、を有する。
【0021】
ブラケット33は、フレーム22の側面に固定されている。フレーム22に対するブラケット33の固定方法は、ねじ固定、または溶接固定の何れでもよい。ブラケット33は、金属製、例えば、鉄製、機械構造用鋼製である。ブラケット33は、
図2のように、フレーム22の側面視でギヤ32の側方に設けられている。ブラケット33は、
図3のように、第1プレート43、第2プレート44部及び接続部45を有する。第1プレート43は、フレーム22に面接触して固定されている。接続部45は、第1プレート43及び第2プレート44のうち、ギヤ32から最も離間された箇所同士を接続している。第1プレート43と第2プレート44とは互いに平行に配置され、かつ、フレーム22に沿って延ばされている。
【0022】
第1プレート43を中心線A1に沿った方向に貫通する差し込み穴46が設けられ、第2プレート44を中心線A1に沿った方向に貫通する差し込み穴47が設けられている。第2プレート44には、差し込み穴47から外側に突出された2つの切り欠き48が設けられている。2つの切り欠き48は、
図6(A),(B)のように、差し込み穴47から重力の作用方向(高さ方向・鉛直方向)に延ばされている。また、フレーム22を中心線A1に沿った方向に貫通する差し込み穴49が設けられている。3つの差し込み穴46,47,49は、同心状に設けられ、かつ、車体13の高さ方向で同じ位置に配置され、かつ、トラック10の前後方向で同じ位置に設けられている。
【0023】
支持軸34は、第1プレート43及び第2プレート44に取り付けられ、かつ、中心線A1に沿った方向に設けられている。ストッパ35は、第1プレート43と第2プレート44との間に設けられ、かつ、支持軸34を中心として作動可能、つまり、回転可能である。ストッパ35が支持軸34を中心として回転されて、ストッパ35の先端50が、ギヤ32の突起42に係合及び解放することが可能である。
【0024】
図3及び
図6(A)のように、第2プレート44に支持軸51が設けられており、支持軸51には接続部材52を介してロックピン53が取り付けられている。ロックピン53は、金属製であり、軸部54と、軸部54に接続された接続部55を有する。接続部55は、軸部54から、軸部54の径方向に突出されており、ロックピン53はL字形に屈曲されている。接続部材52は可撓性を有するチェーン、ワイヤー等で構成されている。接続部材52は、接続部55に接続されている。軸部54は接続部55よりも長い。軸部54の外径は、差し込み穴46,47,49のそれぞれの内径未満である。軸部54の外周面から突出された翼片56が設けられている。接続部55と翼片56が、軸部54の周方向で異なる位置に設けられている。
【0025】
次に、作業者が、スペアタイヤ16をスペアタイヤ支持装置15で支持させる作業、及びスペアタイヤ16をスペアタイヤ支持装置15から取り外す作業を説明する。スペアタイヤ16がスペアタイヤ支持装置15で支持される前の状態において、
図6(A)のようにロックピン53は差し込み穴46,47,49から抜かれている。また、ストッパ35の先端50は、ギヤ32の突起42と突起42との間に位置し、かつ、ボス部41の外周面に接触された状態で、ストッパ35が停止されている。ストッパ35の先端50とボス部41とが接触されている位置は、回転軸19及び支持軸34よりも上である。
【0026】
作業者は、プレート28をホイール30の支持孔31へ挿入させる。そして、レンチ36の先端を回転軸19の挿入孔26に挿入し、かつ、係合爪37を切り欠き27へ挿入する。さらに、作業者がレンチ36を回転させると、回転軸19が
図2で時計方向に回転され、チェーンホイール18がチェーン20を巻き上げる。すると、プレート28がホイール30に係合され、スペアタイヤ16がチェーン20によって吊り上げられ、かつ、上昇する。
【0027】
ギヤ32が、
図2において時計方向に回転されている間、ストッパ35は、先端50の下方に位置する突起42により押し上げられて、ストッパ35は反時計方向に所定角度の範囲で回転され、かつ、突起42を乗り越えると、ストッパ35は自重で時計回りに回転され、先端50がボス部41に接触する、という動作を繰り返す。
【0028】
そして、ホイール30が
図4のように車体13に押し付けられた時点で、作業者は、レンチ36を停止させ、かつ、レンチ36の先端を挿入孔26から抜き出す。スペアタイヤ16の質量により、ギヤ32には、
図4で反時計方向に回そうとする力が加わっている。しかし、ストッパ35の先端50が、先端50より上に位置する突起42に合され、ストッパ35は、ギヤ32及びチェーンホイール18の回転を阻止している。
【0029】
さらに、作業者は、ロックピン53の軸部54を
図5のように、差し込み穴47に差し込み、かつ、差し込み穴46,49へ挿入する。ここで、翼片56が垂直方向に向くように軸部54の位相を設定することで、翼片56を切り欠き48へ挿入できる。そして、作業者がロックピン53から手を離すと、接続部55の自重により、接続部55が軸部54を中心として所定角度、つまり、略90度回転し、かつ、
図4及び
図6(B)のように、接続部55が真下を向いた位置で接続部55が停止する。このようにして、スペアタイヤ16をスペアタイヤ支持装置15で支持する作業が終了する。また、
図4のように、翼片56と切り欠き48とが、差し込み穴47の周方向で異なる位置にあるため、ロックピン53が差し込み穴49,46,47から抜けようとする力が働いても、翼片56が第2プレート44に接触するため、ロックピン53が差し込み穴49,46,47から抜けることは無い。
【0030】
スペアタイヤ16がスペアタイヤ支持装置15により支持されていると、プレート28が圧縮コイルスプリングの力でホイール30に押し付けられている。つまり、ホイール30は、プレート28と車体13とにより挟み付けられており、スペアタイヤ16が車体に対して確実に固定される。したがって、トラック10の走行中に、スペアタイヤ16が振動することを防止できる。
【0031】
また、トラック10の走行中の振動により、
図4においてギヤ32を時計方向に回転させようとする力が発生すると、ストッパ35を支持軸34を中心として反時計回りに回転させようとする力が働く。しかし、ロックピン53の軸部54がストッパ35に接触することで、ストッパ35が支持軸34を中心として反時計方向に回転することが阻止される。このため、ストッパ35の先端50が、ギヤ32の突起42に係合された状態を維持できる。したがって、ギヤ32及びチェーンホイール18が
図4で反時計回りに回転することを阻止でき、スペアタイヤ16がスペアタイヤ支持装置15から脱落することを防止できる。
【0032】
また、ストッパ35の先端50と、ギヤ32の突起42との係合箇所は、カバー39の外部に設けられている。このため、作業者は、車体13の側方から、ストッパ35と突起42とが係合されていることを、目視で確認することが可能である。したがって、トラック10の運転歴、スペアタイヤ16の交換歴等に関わりなく、ロック機構21の信頼性が向上する。
【0033】
作業者が、スペアタイヤ16をスペアタイヤ支持装置15から取り外す場合は、ロックピン53を回転させて翼片56と切り欠き48との位相を一致させ、かつ、ロックピン53を差し込み穴46,47,49から抜き取る。そして、レンチ36の先端を回転軸19の挿入孔26に差し込み、レンチ36を
図4において時計方向に回転させてストッパ35と突起42とを解放させる。
【0034】
さらに、作業者は、ストッパ35を支持軸34を中心として
図4で反時計方向に回転させ、
図2のようにストッパ35を自重で垂下された位置で停止させる。その後、作業者がレンチ36によってギヤ32を反時計回りに回転させ、スペアタイヤ16を下降させる。さらに、プレート28を支持孔31から抜き出し、スペアタイヤ16を取り外す。
【0035】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。スペアタイヤ支持装置15は、スペアタイヤ支持装置の一例である。車体13は、車体の一例であり、チェーンホイール18は、チェーンホイール18の一例である。チェーン20は、チェーンの一例である。カバー39は、カバーの一例である。ロック機構21は、ロック機構の一例である。ギヤ32は、ギヤの一例である。ストッパ35は、ストッパの一例である。ブラケット33は、ブラケットの一例である。支持軸34は、支持軸の一例である。ロックピン53は、ロックピンの一例である。差し込み穴47は、差し込み穴の一例である。軸部54は、軸部の一例であり、接続部55は、接続部の一例である。翼片56は、翼片の一例である。切り欠き48は、切り欠きの一例である。
【0036】
本実施形態で説明した殺菌装置は、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、スペアタイヤ支持装置は、車体に設けられていてもよいし、車体に設けられたブラケット、フレーム、メンバ等に設けられていてもよい。また、チェーンホイールの回転中心を示す中心線は、車両の前後方向、または、車両の幅方向の何れに沿って設けられていてもよい。つまり、本開示のスペアタイヤ支持装置は、作業者が、車両の側方、または車両の後方の何れの方向から、レンチを用いて回転軸を回転させる構造でもよい。スペアタイヤ支持装置が設けられる車両は、トラック、貨物自動車、ダンプ、トレーラ等の何れでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本実施形態のスペアタイヤ支持装置は、車体の下方でスペアタイヤを上昇、下降及び固定するものであり、スペアタイヤを吊り下げ式で支持する構造の車両において利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
13…車体、15…スペアタイヤ支持装置、18…チェーンホイール、20…チェーン、21…ロック機構、32…ギヤ、33…ブラケット、34…支持軸、35…ストッパ、39…カバー、48…切り欠き、53…ロックピン、54…軸部、55…接続部、56…翼片
【手続補正書】
【提出日】2021-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して回転及び停止可能に設けられるチェーンホイールと、
前記チェーンホイールに巻き掛けられ、かつ、スペアタイヤを吊り下げるチェーンと、
前記チェーンホイール及び前記チェーンを囲むように設けられるカバーと、
前記カバーの外部に設けられ、かつ、前記チェーンホイールが前記スペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止するロック機構と、
を有し、
前記ロック機構は、
前記チェーンホイールに接続されたギヤと、
前記車体に設けられた支持軸と、
前記支持軸を中心として所定角度の範囲内で回転可能であり、かつ、前記ギヤに係合及び解放されるストッパと、
を有し、
前記ストッパは、前記ギヤに係合されることにより、前記チェーンホイールが前記スペアタイヤを下降させる方向に回転することを阻止し、
前記ロック機構は、
前記車体に設けられたブラケットと、
前記ブラケットに支持され、かつ、前記ギヤに係合された前記ストッパの回転を阻止するロックピンと、
を更に有し、
前記ブラケットは、
差し込み穴と、
前記差し込み穴から鉛直方向に延ばされた切り欠きと、
を有し、
前記ロックピンは、
前記差し込み穴に差し込まれる軸部と、
前記軸部から前記軸部の径方向に突出された接続部と、
前記軸部から前記軸部の径方向に突出された翼片と、
を有し、
前記接続部と前記翼片とが、前記軸部の周方向で異なる位置に設けられている、
スペアタイヤ支持装置。