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特開2022-184319回路基板装置および回路基板装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184319
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】回路基板装置および回路基板装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H05K3/34 502C
H05K3/34 507B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092093
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】岩木 賢典
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA02
5E319AA07
5E319AB01
5E319AC13
5E319BB05
5E319CC36
5E319CD29
5E319GG03
(57)【要約】
【課題】リフロー方式により挿入部品を回路基板に実装する場合において、挿入部品が挿入されたスルーホール部に残存するボイドが抑制された回路基板装置および回路基板装置の製造方法を提供する。
【解決手段】スルーホール部が形成され、スルーホール部の周縁でスルーホール部と電気的に連続するパッドを有するパッド形成部が形成された回路基板と、スルーホール部にリードが挿入された挿入部品と、リードとパッドとを電気的に接続するはんだ接合部とを備える。パッド形成部は、スルーホール部の周縁のうち一部と接続され、挿入部品との間に空間がある第1の面と、挿入部品との間にはんだ接合部がある第2の面とを有することを特徴とする。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーホール部が形成され、前記スルーホール部の周縁で前記スルーホール部と電気的に連続するパッドを有するパッド形成部が形成された回路基板と、前記スルーホール部にリードが挿入された挿入部品と、前記リードと前記パッドとを電気的に接続するはんだ接合部とを備え、
前記パッド形成部は、前記スルーホール部の前記周縁のうち一部と接続され、前記挿入部品との間に空間がある第1の面と、前記挿入部品との間に前記はんだ接合部がある第2の面とを有することを特徴とする回路基板装置。
【請求項2】
前記パッド形成部は、前記第1の面が前記はんだ接合部が形成されていない面であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板装置。
【請求項3】
前記パッド形成部は、前記第1の面と前記第2の面とに前記パッドが形成されており、
前記第1の面は、前記パッド上にソルダレジストが形成されており、
前記第2の面は、前記パッド上に前記はんだ接合部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路基板装置。
【請求項4】
前記パッド形成部は、前記第2の面に前記パッドが形成されており、
前記第2の面は、前記パッド上に前記はんだ接合部が形成されており、
前記第1の面は、前記パッドが形成されていないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路基板装置。
【請求項5】
前記第1の面は、複数の面から構成される請求項1から請求項4の何れか1項に記載の回路基板装置。
【請求項6】
前記第1の面の前記複数の面のうち少なくとも一つは、前記挿入部品のハウジングと対向しないことを特徴とする請求項5に記載の回路基板装置。
【請求項7】
前記スルーホール部の前記周縁と前記第1の面とが接続された部分の長さは、前記スルーホール部の直径の8分の1より大きく、前記スルーホール部の直径の2分の1よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の回路基板装置。
【請求項8】
回路基板に、スルーホール部と、前記回路基板の挿入部品が載置される側の面において、前記スルーホール部の周縁で前記スルーホール部と電気的に連続するパッドを有するパッド形成部とを形成する第1の工程と、
前記回路基板において、前記パッド形成部にはんだを配置する第2の工程と、
前記はんだが配置された前記回路基板において、前記挿入部品をリードが前記スルーホール部に挿入される位置に載置する第3の工程と、
前記挿入部品を載置した状態で前記はんだを加熱して溶融させ、溶融した前記はんだを固化することで前記挿入部品を前記パッド形成部および前記スルーホール部に接続する第4の工程とを備え、
前記第1の工程は、前記回路基板の前記挿入部品が載置される側の面において、前記スルーホール部の前記周縁のうち一部と接続された面である第1の面と前記パッドが形成された面である第2の面とを有するパッド形成部を形成し、
前記第4の工程は、前記第1の面には溶融した前記はんだが形成されず、前記第2の面に溶融した前記はんだが形成されることを特徴とする回路基板装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の工程は、前記第1の面と前記第2の面とに前記パッドを形成し、前記第1の面の前記パッド上にソルダレジストを形成することを特徴とする請求項8に記載の回路基板装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1の工程は、前記第2の面に前記パッドを形成し、前記第1の面に前記パッドを形成しないことを特徴とする請求項8に記載の回路基板装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の工程は、前記第1の面が複数の面から構成されたパッド形成部を形成する請求項8から請求項10の何れか1項に記載の回路基板装置の製造方法。
【請求項12】
前記第3の工程は、前記第1の面の前記複数の面のうち少なくとも1つが、前記挿入部品のハウジングと対向しない位置に前記挿入部品を載置することを特徴とする請求項11に記載の回路基板装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の工程は、前記スルーホール部の前記周縁と前記第1の面とが接続された部分の長さが、前記スルーホール部の直径の8分の1より大きく、前記スルーホール部の直径の2分の1よりも小さくなるパッド形成部を形成する請求項8から請求項12の何れか1項に記載の回路基板装置の製造方法。
【請求項14】
前記第4の工程は、前記スルーホール部に充填された前記はんだに発生した空気が、前記スルーホール部の前記周縁と前記第1の面とが接続された部分から排出されることを特徴とする請求項8から請求項13の何れか1項に記載の回路基板装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面実装される電子部品を回路基板に実装した回路基板装置および回路基板装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路基板へ電子部品を実装する際、表面実装部品を実装する場合は、回路基板の表面にはんだペーストを印刷して、電子部品を搭載し、リフローはんだ付けを行う表面実装工法による実装が一般的である。一方、挿入部品を実装する場合は、挿入部品のリードをスルーホール部に挿入し、溶融はんだを回路基板の電子部品を載置する面と反対側の面であるソルダー面から接触させる。その後、スルーホール部にはんだを充填するフローはんだ付けが一般的である。しかし、回路基板へ実装する電子部品として、表面実装部品と挿入部品とが混在する場合においては、リフロー方式により挿入部品を回路基板に実装する技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ピンインリフロー方式により、回路基板に挿入部品をはんだ付けしている。詳しくは、回路基板の電子部品側の面から、スルーホール部にリングはんだを挿入する。その後、挿入部品をスルーホール部に挿入し、リフロー炉にて加熱することでスルーホール部にはんだで充填させて、リフローはんだ付けを完了させている。
【0003】
また、回路基板に電子部品をリフローはんだ付けにより実装する際に、はんだペーストをリフローする際に溶融したはんだに、ボイドが発生することを抑制するものがある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、回路基板の表面に配列されたパッドにはんだペーストを印刷する際に、パッドから所定位置ずれた位置にはんだペーストを印刷している。これにより、リフロー時にはんだペーストが溶融し、溶融はんだがパッド全体に広がるように流動する。従って、溶融はんだ内に閉じ込められていた空気が溶融はんだの流動と共に溶融はんだの外部へ吐き出される。よって、溶融はんだが冷却されて固化したはんだ接合部にボイドが発生することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-9533号公報
【特許文献2】特開2004-55827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の回路基板の電子部品の側の面から、はんだと挿入部品とをスルーホール部に挿入し、リフロー方式で実装するはんだ付け方法においては、スルーホール部に充填されたはんだ接合部にボイドが残るという課題がある。特許文献1では、回路基板の電子部品が載置される側の面から挿入されたリングはんだが溶融して、スルーホール部に流れ込む際に、空気を巻き込む。この巻き込まれた空気が、溶融したはんだが固体化する前に外部へ抜け出せずにボイドとして残る。特に特許文献1のように、はんだを溶融する際に、回路基板の電子部品の側の面においてスルーホール部の周縁の全体が溶融はんだで覆われている場合は、その溶融はんだの酸化膜がボイドが抜け出す妨げとなっている。
【0006】
また特許文献2では、ボイドの発生を抑制することができるが、回路基板に実装する電子部品の高密度化により、隣接するパッドの位置が近い場合は、パッドから所定位置ずれた位置にはんだペーストを印刷することが難しいという課題があった。
【0007】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、リフロー方式により挿入部品を回路基板に実装する場合において、挿入部品が挿入されたスルーホール部に残存するボイドが抑制された回路基板装置および回路基板装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る回路基板装置は、スルーホール部が形成され、スルーホール部の周縁でスルーホール部と電気的に連続するパッドを有するパッド形成部が形成された回路基板と、スルーホール部にリードが挿入された挿入部品と、リードとパッドとを電気的に接続するはんだ接合部とを備え、パッド形成部は、スルーホール部の周縁のうち一部と接続され、挿入部品との間に空間がある第1の面と、挿入部品との間にはんだ接合部がある第2の面とを有することを特徴とする。
【0009】
本開示に係る回路基板装置の製造方法は、回路基板に、スルーホール部と、回路基板の挿入部品が載置される側の面において、スルーホール部の周縁でスルーホールと電気的に連続するパッドを有するパッド形成部とを形成する第1の工程と、回路基板において、パッド形成部にはんだを配置する第2の工程と、はんだが配置された回路基板において、挿入部品をリードがスルーホール部に挿入される位置に載置する第3の工程と、挿入部品を載置した状態ではんだを加熱して溶融させ、溶融したはんだを固化することで挿入部品をパッド形成部およびスルーホール部に接続する第4の工程とを備え、第1の工程は、回路基板の挿入部品の側の面において、スルーホール部の周縁のうち一部と接続された面である第1の面とパッドが形成された面である第2の面とを有するパッド形成部を形成し、第4の工程は、第1の面には溶融したはんだが形成されず、第2の面に溶融したはんだが形成されることを特徴とする
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、挿入部品が挿入されたスルーホール部の周縁に挿入部品との間に空間を有する面である第1の面が接続されている。はんだを溶融する際に、スルーホール部に発生した空気を、スルーホール部の周縁において、第1の面と接続された部分から外部へ排出することができる。よって、スルーホール部に残存するボイドを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る回路基板装置の挿入部品を仮想的に取り外した場合の、挿入部品の側からみた上面図である。
図2】実施の形態1に係る回路基板装置の、スルーホール部及びパッド形成部の第1の面が形成されている部分の断面図である。
図3】実施の形態1に係る回路基板装置の挿入部品とはんだ接合部とを仮想的に取り外した場合の、挿入部品が載置される側からみた上面図である。
図4】実施の形態1に係る回路基板装置の挿入部品とはんだ接合部とを仮想的に取り外した場合の、スルーホール部及びパッド形成部の第1の面が形成されている部分の断面図である。
図5】比較例の回路基板装置において、はんだを溶融した際の断面図を示す。
図6】実施の形態1に係る回路基板装置において、はんだを溶融した際の断面図を示す。
図7】実施の形態1に係る回路基板装置のスルーホール部の直径と、スルーホール部の第1の面と接続された部分の長さの関係を示す図である。
図8】実施の形態1に係る回路基板装置の製造の工程を説明する図である。
図9】実施の形態1に係る回路基板装置の比較例の製造工程を説明する図である。
図10】実施の形態2に係る回路基板装置の挿入部品とはんだ接合部5とを仮想的に取り外した場合の、挿入部品1が載置される側からみた上面図である。
図11】実施の形態2に係る回路基板装置の第1の面が、3つの面から構成されている場合の上面図である。
図12】実施の形態3に係る回路基板装置の挿入部品とはんだ接合部とを仮想的に取り外した場合の、挿入部品が載置される側からみた上面図である。
図13】実施の形態3に係る回路基板装置の第1の面が、2つの面から構成されている場合の上面図である。
図14】実施の形態3に係る回路基板装置の第1の面が、3つの面から構成されている場合の上面図である。
【0012】
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る回路基板装置100について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。図1は、実施の形態1に係る回路基板装置100の挿入部品1を仮想的に取り外した場合の、挿入部品1の側からみた上面図である。図2は、実施の形態1に係る回路基板装置100の、スルーホール部2及びパッド形成部4の第1の面8が形成されている部分の断面図である。
【0013】
回路基板装置100は、貫通孔であるスルーホール部2とパッド形成部4とが形成された回路基板3と、挿入部品1と、はんだ接合部5とを備える。図1図2とでは、回路基板装置100に実装された挿入部品1のうち、1個の挿入部品1とその周辺とを示す。
【0014】
回路基板3は、挿入部品1のリード6が挿入されるスルーホール部2が形成されている。ここでは、スルーホール部2は回路基板3を貫通する貫通穴である。回路基板3は、例えばプリント配線板である。また、回路基板3は、両面に電子部品を実装する両面実装基板でもよい。
【0015】
挿入部品1は、ハウジング7と、ハウジング7から突出したピン形状の電極であるリード6とを備えている電子部品である。リード6は、挿入部品1と回路基板3とを電気的に接続する金属製の端子である。挿入部品1は、例えば、1つのハウジング7に1つのピン状のリード6を備えているもの、または、1つのハウジング7に複数のピン状のリード6を備えているものである。
【0016】
図3は、回路基板装置100の挿入部品1とはんだ接合部5とを仮想的に取り外した場合の、挿入部品1が載置される側からみた上面図である。図4は、回路基板装置100の挿入部品1とはんだ接合部5とを仮想的に取り外した場合の、スルーホール部2及びパッド形成部4の第1の面8が形成されている部分の断面図である。パッド形成部4は、回路基板3の挿入部品1の側の面において、スルーホール部2の周縁でスルーホール部2と電気的に連続するパッド40を有する。パッド形成部4は、スルーホール部2の周縁を囲む部分である。スルーホール部2の周縁は、挿入部品1の側の端部であり、回路基板3を、挿入部品1が載置される側から見たときの、スルーホール部2の外周の部分である。ここでは、パッド40は、パッド形成部4の全面に形成されており円環形状から矩形形状が3か所突出した形状である。パッド形成部4は、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と挿入部品1のハウジング7との形状に合わせた形状であればよい。また、ここでは、回路基板3の挿入部品1の側と反対側の面において、第2のパッド形成部43がスルーホール部2の挿入部品1の側と反対側の周縁を囲むように形成されている。第2のパッド形成部43は、スルーホール部2と電気的に連続するパッド40を有する。つまり、回路基板3の挿入部品1の側の面に形成されたパッド形成部4のパッド40と、回路基板3の挿入部品1の側と反対側の面に形成された第2のパッド形成部43のパッド40とを接続するようにスルーホール部2が形成されている。パッド形成部4に形成されたパッド40と、第2のパッド形成部43に形成されたパッド40とは導通している。第2のパッド形成部43は、全面にパッド40が形成されている。なお、回路基板3の挿入部品1の側と反対側の面の第2のパッド形成部43は、必要に応じて設ければよい。
【0017】
パッド形成部4の挿入部品1の側の面は、第1の面8と第2の面9とを有する。第1の面8は、パッド形成部4の挿入部品1の側の面において、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁のうち一部と接続され、挿入部品1との間に空間がある面である。また、第1の面8は、はんだ接合部5が形成されていない面である。第2の面9は、パッド形成部4において第1の面8以外の面であり、挿入部品1との間にはんだ接合部5がある面である。また、第2の面は、はんだ接合部5が形成されている面である。ここでは、第2の面9は、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁のうち第1の面8が接続されている部分以外と接続されている。
【0018】
パッド形成部4の全面にパッド40が形成されているため、第1の面8と第2の面9とは、それぞれ全面にパッド40が形成されいる。そして、第1の面8に形成されたパッド40上にソルダレジスト10が形成されている。これにより、第1の面8には、後述するはんだペースト15を溶解した際に、溶解したはんだペースト15が濡れ広がらない。そのため、第1の面8には、はんだ接合部5が形成されない。一方、第2の面9には、はんだペースト15を溶融した際に、溶融したはんだペースト15が濡れ広がり、はんだ接合部5が形成されている。また、回路基板3の挿入部品1の側の面において、パッド形成部4の外側にはソルダレジスト11が形成されている。これにより、はんだペースト15を溶解した際に、溶解したはんだペースト15は、パッド形成部4の外側には濡れ広がらない。
【0019】
はんだ接合部5は、挿入部品1のリード6と、パッド形成部4の第2の面9に形成されたパッド40とを電気的に接続する。はんだ接合部5は、回路基板3に形成されたクリーム状のはんだであるはんだペースト15が、リフロー工程により溶融して、その後固体化したものである。はんだ接合部5は、スルーホール部2の内部にも充填されており、挿入部品1のリード6とスルーホール部2とを電気的に接続する。また、パッド形成部4に形成されたはんだ接合部5は、挿入部品1の側から見ると、第2の面9の形状に形成されている。ここでは、第2の面9は、円環形状の一部が切り取られたC字形状から矩形形状が3か所突出した形状である。これは、パッド40上に印刷されたはんだペースト15が、リフロー工程により溶融された際に、第1の面8へ流れず、第2の面9のみへ流れたためである。また、パッド40上に印刷されたはんだペースト15は、リフロー工程により溶融された際に、スルーホール部2へも流れる。そのため、スルーホール部2にもはんだ接合部5が形成されている。
【0020】
はんだペースト15が溶融した際、溶融はんだにはボイドと呼ばれる空気が発生する。この溶融はんだに発生したボイドが、溶融はんだが固化して形成されたはんだ接合部5に残ると、はんだ接合部のプル強度を低くする原因となる。また、はんだ接合部に残ったボイドは、はんだ接合部が経年劣化した際にクラックが発生する原因となる。図5に、パッド形成部4が第1の面8と第2の面9とを有さない場合のはんだを溶融した際の、スルーホール部2が形成されている部分の断面図を示す。図5に示すように、一般に、はんだペーストが溶融した際の溶融はんだの表面には酸化膜が形成されるため、溶融はんだの内部に存在するボイドが大気中へ抜け出して拡散することが妨げられる。リフロー炉の炉内部を窒素ガス雰囲気にして加熱する窒素リフロー炉では、加熱時のリフロー炉内部の酸素濃度は、1000ppmから3000ppmでのコントロールが一般的である。特に、このような酸素濃度を高くコントロールする場合、溶融はんだの表面に酸化膜が形成される。一方、加熱時のリフロー炉内部の酸素濃度を1000ppm以下でコントロールすると、溶融はんだの表面に形成される酸化膜を減らすことができる。しかし、電子部品のはんだフィレット高さが低いものにしか適用することができない。よって、はんだフィレット高さが高い、挿入部品1の実装であるピンインリフロー方式では、加熱時のリフロー炉内部の酸素濃度は、1000ppm以上でのコントロールが必要となる。
【0021】
図6に、回路基板装置100において、はんだを溶融した際の、スルーホール部2及びパッド形成部4の第1の面8が形成されている部分の断面図を示す。回路基板装置100では、窒素リフロー炉の加熱時の炉内部の酸素濃度を、1000ppmから3000ppmでのコントロールした場合であっても、上記のパッド形成部4の構成によりボイドを外部へ排出することができる。詳しくは、リフロー加熱中に、スルーホール部2に充填された溶融したはんだの内部に発生したボイドは、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁において、スルーホール部2の周縁と第1の面8とが接続された部分から排出される。ここでは、スルーホール部2の周縁と第1の面8に形成されたソルダレジスト10との境界面から大気中へ出ていく。つまり、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と第1の面8とが接続された部分がボイド排出口12となる。このように、回路基板装置100では、はんだ接合部5のボイド残存率を低下させることができるので、はんだ付けの品質を向上することができる。
【0022】
図7は、スルーホール部2の直径Aと、スルーホール部2の第1の面8と接続された部分(ボイド排出口12)の長さLの関係を示す図である。スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と第1の面8とが接続された部分(ボイド排出口12)の長さLは、スルーホール部2の直径Aの8分の1より大きく、スルーホール部Aの直径の2分の1よりも小さい場合が好適である。
【0023】
スルーホール部2に充填されたはんだ接合部5は、印刷するはんだペースト15により供給する。スルーホール部2の体積Xと印刷するはんだペースト15の体積Vとの関係は、3V=Xとする。このとき、スルーホール部2の体積Xは、X=A/2×A/2×円周率×D1×B×C1である。Aは、上述の通りスルーホール部2の直径である。D1は回路基板3の厚さである。C1は、スルーホール部2に充填するはんだの充填率である、スルーホール部2に充填するはんだの充填率C1は、求められる仕様により決定する。例えば、スルーホール部2の充填率が100パーセントを要求する規格、または、充填率70パーセントを要求するIPC規格が一般的である。よって、ここでは、C1=1.0~0.7で計算する。また、印刷体積Vは、3V=P×D2×C2である。このとき、Pは、はんだペースト15を塗布する際に使用するメタルマスク13の開口の面積である。D2は、はんだペースト15を塗布する際に使用するメタルマスク13の厚さである。C2は、はんだペースト15が固化した際の体積減少率である。C2は使用するはんだペースト15の種類によって適切な値がある。ここでは、C2=0.9~0.7で計算する。
【0024】
次に、実施の形態1に係る回路基板装置100の製造の工程を説明する。詳しくは、回路基板装置100の回路基板3にパッド形成部4を形成する手順、及びはんだ接合部5を作成する手順を説明する。図8は、回路基板装置100の製造の工程を説明する図である。
【0025】
第1の工程(ST01)では、回路基板100にスルーホール部2とパッド形成部4とを形成する。パッド形成部4は、挿入部品1が載置される側の面においてスルーホール部2の挿入部品1の側の周縁を囲んで形成される。パッド形成部4は、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と電気的に連続するパッド40を有する。このとき、パッド形成部4の挿入部品1が載置される側の面において、第1の面8と第2の面9とを有するパッド形成部4が形成される。この第1の面8と第2の面9とにパッド40を形成し、第1の面8のパッド40上にソルダレジスト10を形成する。また、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と第1の面8とが接続された部分の長さが、スルーホール部2の直径Aの8分の1より大きく、スルーホール部2の直径Aの2分の1よりも小さいパッド形成部4を形成する。
【0026】
第2の工程(ST02)では、回路基板3において、パッド形成部4にはんだを配置する。詳しくは、パッド形成部4に形成されたパッド40上に、はんだペースト15を塗布する。ここでは、はんだペースト15を塗布する方法として、図8の(a)のように、回路基板3の挿入部品1の側の面に、必要な箇所に開口が設けられたメタルマスク13を密着させる。図8の(b)と(c)のように、その上に置いたはんだペースト15をスキージ14でパッド40上に必要な形状に塗布するスクリーン印刷を行う。その後、図8の(d)のように、メタルマスク13を外す。その他の方法を用いてはんだを塗布してもよい。ここでは、パッド形成部4において第2の面9に形成されたパッド40上にはんだペースト15が配置される。
【0027】
第3の工程(ST03)では、第2の工程ではんだが配置された回路基板3において、挿入部品1をリード6の部分がスルーホール部2に挿入される位置に載置する。第4の工程(ST04)では、挿入部品1を載置した状態ではんだを加熱して溶融させ、溶融したはんだを固化させることで挿入部品1をパッド形成部4およびスルーホール部2に接続する。加熱には、リフロー炉を使用する。ここでは、リフロー炉の内部の酸素濃度は、1000ppmから3000ppmでコントロールしている。回路基板装置100全体を加熱して、はんだペースト15が溶融してスルーホール部2に充填された後に、加熱を停止してはんだペースト15の温度が下がると、溶融したはんだが固化する。この溶融したはんだが固化したものがはんだ接合部5として形成される。固化したはんだであるはんだ接合部5により、挿入部品1は、回路基板3に接合される。第4の工程(ST04)では、はんだを溶融した際、第1の面8には溶融したはんだが形成されず、第2の面9に溶融したはんだが形成される。
【0028】
図9は、第2の工程(ST02)で、回路基板3の挿入部品1が載置される側の面において、スルーホール部2にはんだペースト15が配置される場合の回路基板装置100の製造工程を説明する図である。図9の(a)のように、回路基板3の挿入部品1の側の面に、スルーホール部に対向する部分に開口が設けられたメタルマスク13を密着させる。図9の(b)と(c)のように、その上に置いたはんだペースト15をスキージ14でパッド40上に必要な形状に塗布するスクリーン印刷を行う。その後、図9の(d)のように、メタルマスク13を外す。このように、はんだペースト15を配置することも可能である。しかし、この場合、第3の工程(ST03)において、挿入部品1のリード6をスルーホール部2に挿入する際に、リード6の先端にはんだペースト15が付着してしまう。よって、第3の工程(ST03)において、はんだペースト15を加熱する際に、はんだペースト15がリード6の先端で溶融し、玉形状となりはんだ付け不良となる。よって、第2の工程(ST02)では、図9のようにスルーホール部2にはんだペースト15を載置するよりも、図8のようにパッド形成部4に形成されたパッド40上にはんだペースト15を載置する方が好ましい。
【0029】
第4の工程(ST04)において、リフロー加熱中に、スルーホール部2に充填された溶融したはんだの内部に発生した空気は、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と第1の面8とが接続された部分から排出される。ここでは、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁において、第1の面8に形成されたソルダレジスト10と接続された部分(ボイド排出口12)から大気中へ出ていく。
【0030】
実施の形態1に係る回路基板装置100および回路基板装置100の製造方法によれば、スルーホール部2が、パッド形成部4の第1の面8と接続されている。そして、パッド形成部4の第1の面8にソルダレジスト10が形成されている。つまり、リフロー加熱中において、ソルダレジスト10上には溶融はんだが濡れ広がらないため、第1の面8に溶融はんだが形成されない。そのため、溶融はんだがパッド形成部4の全面に被らない構成となる。ここの構成により、リフロー加熱中に、スルーホール部2に充填された溶融はんだの内部に発生したボイドは、スルーホール部2とソルダレジスト10との境界面をボイド排出口12として容易に大気中へ排出することができる。よって、回路基板装置100は、溶融はんだが固化した部分であるはんだ接合部5のボイドの残存を抑制することができる。
【0031】
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る回路基板装置200について、図面を用いて説明する。図10は、回路基板装置200の挿入部品1とはんだ接合部5とを仮想的に取り外した場合の、挿入部品1が載置される側からみた上面図である。実施の形態2に係る回路基板装置200は、回路基板装置100の第1の面8の構成が異なるものである。その他の構成は、実施の形態1と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
【0032】
回路基板装置200は、貫通孔であるスルーホール部2とパッド形成部41とが形成された回路基板3と、挿入部品1と、はんだ接合部5とを備える。図1では、回路基板装置100に実装された挿入部品1のうち、1個の挿入部品1とその周辺とを示す。
【0033】
回路基板装置100のパッド形成部4は、挿入部品1の側の面に1つの連続した面である第1の面8が形成されていた。回路基板装置200のパッド形成部41は、図に示すように挿入部品1の側の面に複数の接続していない面から成る第1の面8が形成されている。つまり、第1の面8は、複数の面から構成される。スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁において、スルーホール部2と第1の面8との境界面が複数構成される。この境界面がボイド排出口12となるため、パッド形成部41では複数のボイド排出口12を備える。このとき、第1の面8において、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と接続された部分は、挿入部品1のハウジングの部分と対向しない部分を有する。第1の面のその他の構成は、パッド形成部4の第1の面8と実質的に同様である。
【0034】
図10では、第1の面8が2つの面から構成されている場合を示している。図11では、第1の面8は、3つの面から構成されている場合を示している。このように、第1の面8を複数の面から構成する場合、スルーホール部2と第1の面8との境界面が複数の箇所に設けられる。この複数のボイド排出口12からそれぞれボイドを排出することができる。よって、第1の面8を1つの面から形成する場合と比較して、よりボイドが外部へ排出されやすい構成とすることができる。また、第1の面8を複数の面から構成する場合、第1の面8において、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と接続された部分は、挿入部品1のハウジングの部分と対向しない部分を有することができる。これにより、スルーホール部2と第1の面8との境界面において、挿入部品1のハウジングの部分と対向しない部分から、ボイドをより多く排出することができる。
【0035】
次に、実施の形態2に係る回路基板装置200の製造方法を説明する。回路基板装置100の製造方法と異なる部分のみを説明する。
【0036】
第1の工程(ST01)では、回路基板100にスルーホール部2とパッド形成部4とを形成する。パッド形成部4は、挿入部品1が載置される側の面においてスルーホール部2の挿入部品1の側の周縁を囲んで形成される。パッド形成部4は、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と電気的に連続するパッド40を有する。このとき、パッド形成部4の挿入部品1が載置される側の面において、第1の面8と第2の面9とを有するパッド形成部4が形成される。また、第1の面8が複数の面から構成されたパッド形成部を形成する。この第1の面8と第2の面9とにパッド40を形成し、第1の面8のパッド40上にソルダレジスト10を形成する。また、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と第1の面とが接続された部分の長さが、スルーホール部2の直径Aの8分の1より大きく、スルーホール部2の直径Aの2分の1よりも小さいパッド形成部4を形成する。
【0037】
第3の工程(ST03)では、第2の工程ではんだが配置された回路基板3において、挿入部品1をリード6の部分がスルーホール部2に挿入される位置に載置する。第1の面8の複数の面のうち少なくとも1つが、挿入部品1のハウジングと対向しない位置に挿入部品1を載置する。その他の、製造工程は回路基板装置100と実質的に同様である。
【0038】
実施の形態2に係る回路基板装置200および回路基板装置200の製造方法によれば、スルーホール部2が、パッド形成部41の第1の面8と接続されている。そして、パッド形成部41の第1の面8にソルダレジスト10が形成されている。つまり、リフロー加熱中において、ソルダレジスト10上には溶融はんだが濡れ広がらないため、第1の面8に溶融はんだが形成されない。そのため、溶融はんだがパッド形成部4の全面に被らない構成となる。この構成により、リフロー加熱中に、スルーホール部2に充填された溶融はんだの内部に発生したボイドは、スルーホール部2とソルダレジスト10との境界面をボイド排出口12として容易に大気中へ排出することができる。よって、回路基板装置100は、溶融はんだが固化した部分であるはんだ接合部5のボイドの残存を抑制することができる。
【0039】
また、パッド形成部41は、第1の面8が複数の面から構成される。よって、第1の面8において、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と接続された部分は、挿入部品1のハウジングの部分と対向しない部分を有することができる。これにより、スルーホール部2と第1の面8との境界面において、挿入部品1のハウジングの部分と対向しない部分から、ボイドをより多く排出することができる。よって、ハウジング7により、全てのボイド排出口12を塞ぐことを防ぐことができる。
【0040】
実施の形態3.
以下、実施の形態3に係る回路基板装置300について、図面を用いて説明する。図12は、回路基板装置300の挿入部品1とはんだ接合部5とを仮想的に取り外した場合の、挿入部品1が載置される側からみた上面図である。実施の形態3に係る回路基板装置300は、回路基板装置100及び回路基板装置200の第1の面8の構成が異なるものである。その他の構成は、実施の形態1と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
【0041】
回路基板装置300は、貫通孔であるスルーホール部2が形成された回路基板3と、挿入部品1と、パッド形成部42と、はんだ接合部5とを備える。図1では、回路基板装置100に実装された挿入部品1のうち、1個の挿入部品1とその周辺とを示す。回路基板装置100のパッド形成部4は、パッド40が形成され、そのパッド40上にソルダレジスト10が形成された第1の面8が形成されていた。回路基板装置200のパッド形成部42は、パッド形成部4と比較すると、第1の面8にパッド40とソルダレジスト10とが形成されない点が異なる。つまり、パッド形成部において、第2の面9にパッド40が形成されており、第1の面8にパッド40が形成されず、基材が露出している構成となる。第1の面8はパッド40が形成されないため、ソルダレジスト10を備えない構成であっても、第1の面8にはんだ接合部が形成されず、第2の面9にはんだ接合部が形成された構成とすることできる。また、はんだ接合部5は、挿入部品1のリード6と、パッド形成部の第2の面9とを接続する。このとき、第1の面8の上にはパッド40が形成されていないため、第1の面8は第2の面9よりも回路基板1の厚さ方向の高さが低い構成となる。このため、挿入部品1のハウジング7と第1の面8との間に空間を有する構成となる。これにより、スルーホール部2から排出されたボイドを、ハウジング7と第1の面8との間の空間より外部へ排出することができる。よって、第1の面8と挿入部品1のハウジング7とが対向する構成であっても、ハウジング7によりボイド排出口12を塞ぐことを防ぐことができる。
【0042】
また、図13に、パッド形成部42の第1の面8が、2つの面から構成されている場合を示している。図14に、パッド形成部42の第1の面8が、3つの面から構成されている場合を示している。このように、パッド形成部42においても、回路基板装置200のパッド形成部41と同様に、第1の面8が複数の面から構成されていてもよい。これにより、パッド形成部41と同様に、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁において、スルーホール部2と第1の面8との境界面が複数構成される。この境界面がボイド排出口12となるため、パッド形成部41では複数のボイド排出口12を備える。この複数のボイド排出口12からそれぞれボイドを排出することができる。よって、第1の面8を1つの面から形成する場合と比較して、よりボイドが外部へ排出されやすい構成とすることができる。なお、パッド形成部42においても、第1の面8において、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と接続された部分は、挿入部品1のハウジングの部分と対向しない部分を有する構成としてもよい。パッド形成部42のその他の構成は、パッド形成部4及びパッド形成部41と実質的に同様である。
【0043】
次に、実施の形態3に係る回路基板装置300の製造方法を説明する。回路基板装置100の製造方法と異なる部分のみを説明する。
【0044】
第1の工程(ST01)では、回路基板100にスルーホール部2とパッド形成部4とを形成する。パッド形成部4は、挿入部品1が載置される側の面においてスルーホール部2の挿入部品1の側の周縁を囲んで形成される。パッド形成部4は、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と電気的に連続するパッド40を有する。このとき、パッド形成部4の挿入部品1が載置される側の面において、第1の面8と第2の面9とを有するパッド形成部4が形成される。また、第1の面8が複数の面から構成する場合は、第1の面8が複数の面から構成されたパッド形成部を形成する。そして、第2の面9のみにパッド40を形成し、第1の面8はパッド40を形成せず基材が露出した状態とする。また、スルーホール部2の挿入部品1の側の周縁と第1の面8とが接続された部分の長さが、スルーホール部2の直径Aの8分の1より大きく、スルーホール部2の直径Aの2分の1よりも小さいパッド形成部を形成する。
【0045】
第3の工程(ST03)では、第2の工程ではんだが配置された回路基板3において、挿入部品1をリード6の部分がスルーホール部2に挿入される位置に載置する。このとき、第1の面8の複数の面のうち少なくとも1つが、挿入部品1のハウジングと対向しない位置に挿入部品1を載置してもよい。その他の、製造工程は回路基板装置100と実質的に同様である。
【0046】
実施の形態3に係る回路基板装置300および回路基板装置300の製造方法によれば、スルーホール部2が、パッド形成部42の第1の面8と接続されている。そして、パッド形成部42の第1の面8にパッド40が形成されない構成である。つまり、リフロー加熱中において、第1の面8上には溶融はんだが濡れ広がらないため、第1の面8に溶融はんだが形成されない。そのため、溶融はんだがパッド形成部4の全面に被らない構成となる。この構成により、リフロー加熱中に、スルーホール部2に充填された溶融はんだの内部に発生したボイドは、スルーホール部2と第1の面8との境界面をボイド排出口12として容易に大気中へ排出することができる。よって、回路基板装置100は、溶融はんだが固化した部分であるはんだ接合部5のボイドの残存を抑制することができる。
【0047】
また、第1の面8の上にはパッド40が形成されていないため、挿入部品1のハウジング7と第1の面8との間に空間を有する構成となる。これにより、スルーホール部2から排出されたボイドを、ハウジング7と第1の面8との間の空間より外部へ排出することができる。よって、第1の面8と挿入部品1のハウジング7とが対向する構成であっても、ハウジング7によりボイド排出口12を塞ぐことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 挿入部品、2 スルーホール部、3 回路基板、4、41、42 パッド形成部、40 パッド、43 第2のパッド形成部、5 はんだ接合部、6 リード、7 ハウジング、8 第1の面、9 第2の面、10 ソルダレジスト、11 ソルダレジスト、12 ボイド排出口、13 メタルマスク、14 スキージ、15 はんだペースト、100、200、300 回路基板装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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